JPH06242031A - 二次電子分光法 - Google Patents
二次電子分光法Info
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- JPH06242031A JPH06242031A JP5032092A JP3209293A JPH06242031A JP H06242031 A JPH06242031 A JP H06242031A JP 5032092 A JP5032092 A JP 5032092A JP 3209293 A JP3209293 A JP 3209293A JP H06242031 A JPH06242031 A JP H06242031A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 サンプルから放出される二次電子のエネルギ
ーの絶対値を正確に決定できる二次電子分光法を提供す
る。 【構成】 試料室(8) 内で、サンプル(11)に粒子線を照
射して二次電子を放出させ、その二次電子を電子分光器
(13)を介して検出器(14)で検出して、二次電子の分光ス
ペクトルを測定するにあたり、試料室(8) に既知の二次
電子共鳴線を有するガスを封入し、このガスの二次電子
共鳴線のエネルギー測定値に基づいて、サンプル(11)か
ら放出された二次電子のエネルギー測定値を較正する。
ーの絶対値を正確に決定できる二次電子分光法を提供す
る。 【構成】 試料室(8) 内で、サンプル(11)に粒子線を照
射して二次電子を放出させ、その二次電子を電子分光器
(13)を介して検出器(14)で検出して、二次電子の分光ス
ペクトルを測定するにあたり、試料室(8) に既知の二次
電子共鳴線を有するガスを封入し、このガスの二次電子
共鳴線のエネルギー測定値に基づいて、サンプル(11)か
ら放出された二次電子のエネルギー測定値を較正する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、サンプルに、電子、
陽子、陽電子、イオン、中性子、光子等の粒子線を照射
することによって放出される二次電子の分光スペクトル
を測定する二次電子分光法に関するものである。
陽子、陽電子、イオン、中性子、光子等の粒子線を照射
することによって放出される二次電子の分光スペクトル
を測定する二次電子分光法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体の表面分析、特に炭素を含
む有機物の解析、CVDをはじめとする半導体プロセス
の解析、有機エレクトロニクスデバイスの評価等の分野
においては、数Å以上の長波長の軟X線領域の光をプロ
ーブとするESCA(電子分光化学分析法)、オージェ
分光等の方法を用いた評価が必要となっている。特に、
最近では、酸素(K吸収端23.32Å)、窒素(K吸
収端30.99Å)、炭素(K吸収端43.68Å)、
燐(L吸収端94Å,K吸収端5.8Å)、カルシウム
(L吸収端35Å)、ナトリウム(K吸収端11.6
Å)、マグネシウム(K吸収端9.5Å)等の生体物質
に関する研究が盛んであり、5Å以上の長波長の軟X線
をプローブとした分析が要求されている。
む有機物の解析、CVDをはじめとする半導体プロセス
の解析、有機エレクトロニクスデバイスの評価等の分野
においては、数Å以上の長波長の軟X線領域の光をプロ
ーブとするESCA(電子分光化学分析法)、オージェ
分光等の方法を用いた評価が必要となっている。特に、
最近では、酸素(K吸収端23.32Å)、窒素(K吸
収端30.99Å)、炭素(K吸収端43.68Å)、
燐(L吸収端94Å,K吸収端5.8Å)、カルシウム
(L吸収端35Å)、ナトリウム(K吸収端11.6
Å)、マグネシウム(K吸収端9.5Å)等の生体物質
に関する研究が盛んであり、5Å以上の長波長の軟X線
をプローブとした分析が要求されている。
【0003】しかし、現在の市販の評価装置において
は、光源にX線管を用いていることから、数Å以下の短
波長の特性X線のみしか利用できず、このため炭素が中
心となって構成されている有機物質の評価においては、
その吸収係数が小さく、二次電子やオージェ電子の生成
率が悪くなって、分析感度が低くなるという不具合があ
る。また、特定の波長のX線しか利用できないため、多
角的な分析ができず、特に、元素同定の際に不利とな
る。
は、光源にX線管を用いていることから、数Å以下の短
波長の特性X線のみしか利用できず、このため炭素が中
心となって構成されている有機物質の評価においては、
その吸収係数が小さく、二次電子やオージェ電子の生成
率が悪くなって、分析感度が低くなるという不具合があ
る。また、特定の波長のX線しか利用できないため、多
角的な分析ができず、特に、元素同定の際に不利とな
る。
【0004】このようなことから、数Å以上の長波長の
軟X線領域の光を用いる評価が必要となっているが、従
来、白色の軟X線を得るためには、施設が大規模となる
SOR(シンクロトロン放射)光源が必要となり、一般
ユーザには実施が極めて困難である。
軟X線領域の光を用いる評価が必要となっているが、従
来、白色の軟X線を得るためには、施設が大規模となる
SOR(シンクロトロン放射)光源が必要となり、一般
ユーザには実施が極めて困難である。
【0005】このような不具合を解決するため、本願人
は、特開平4−140651号公報において、レーザプ
ラズマ光源を用いた電子分光分析装置を提案している。
この分析装置においては、10-4Torr以下の真空中
において、金属をはじめとするターゲット上に、1012
W/cm2 以上の強度のレーザ光を照射し、これにより
ターゲットの金属をプラズマ状態として、5Å以上の波
長の軟X線を発光させるもので、市販のYAGレーザと
小型の真空容器とを用いて実現することができる。
は、特開平4−140651号公報において、レーザプ
ラズマ光源を用いた電子分光分析装置を提案している。
この分析装置においては、10-4Torr以下の真空中
において、金属をはじめとするターゲット上に、1012
W/cm2 以上の強度のレーザ光を照射し、これにより
ターゲットの金属をプラズマ状態として、5Å以上の波
長の軟X線を発光させるもので、市販のYAGレーザと
小型の真空容器とを用いて実現することができる。
【0006】このレーザプラズマ光源から放射される軟
X線領域の光は、定偏角型分光器よりも斜入射型分光器
を用いることによって、有利に広範囲に分光でき、ま
た、この斜入射型分光器のローランド円上にスリットを
設けることによって、特定の波長を取り出すことができ
る。したがって、このスリットを通る単色のX線をサン
プル表面に照射し、それによって放出される二次電子を
特定の観測角に設置した電子分光器により検出して、そ
のエネルギー分析を行うことにより、サンプル表面の元
素同定等を高精度で行うことができる。すなわち、サン
プル表面より放出された光電離電子やオージェ電子のエ
ネルギーを観測すれば、どの元素のどのエネルギー準位
の電子が多く放出されたのかがわかる。
X線領域の光は、定偏角型分光器よりも斜入射型分光器
を用いることによって、有利に広範囲に分光でき、ま
た、この斜入射型分光器のローランド円上にスリットを
設けることによって、特定の波長を取り出すことができ
る。したがって、このスリットを通る単色のX線をサン
プル表面に照射し、それによって放出される二次電子を
特定の観測角に設置した電子分光器により検出して、そ
のエネルギー分析を行うことにより、サンプル表面の元
素同定等を高精度で行うことができる。すなわち、サン
プル表面より放出された光電離電子やオージェ電子のエ
ネルギーを観測すれば、どの元素のどのエネルギー準位
の電子が多く放出されたのかがわかる。
【0007】また、照射するX線の波長を選択すること
により、特定の元素からのオージェ電子の観測量を増や
すことができる。例えば、炭素のK吸収端の近傍の波長
を照射すれば、放出運動エネルギーが250eV程度の
炭素KLLオージェ電子を優先的に観測することがで
き、これによりサンプル表面の炭素の含有量を測定する
ことができる。
により、特定の元素からのオージェ電子の観測量を増や
すことができる。例えば、炭素のK吸収端の近傍の波長
を照射すれば、放出運動エネルギーが250eV程度の
炭素KLLオージェ電子を優先的に観測することがで
き、これによりサンプル表面の炭素の含有量を測定する
ことができる。
【0008】このように、本願人が先に開発した電子分
光分析装置によれば、X線の波長を選択することによっ
て、種々の元素からのオージェ電子を観測することがで
きるので、従来のX線管を用いたESCA等と比較し
て、感度の高い元素分析を行うことができる。また、サ
ンプル上に照射するX線の波長を走査し、放出された二
次電子量を計測することにより、EXAFS(Extended
X-ray Absorption FineStructure)による解析も可能
である。さらに、分光器のローランド円上に設けたスリ
ットの後方に、斜入射鏡等のX線光学系を設置して、X
線マイクロビームを形成し、これによりサンプルステー
ジを走査すれば、観測したい元素分布の二次元像を得る
ことができる。この場合、X線光学系として、シュヴァ
ルツシルト型光学系やゾーンプレートのような波長分散
性のあるX線光学系を用いれば、分光器を省略すること
もできる。
光分析装置によれば、X線の波長を選択することによっ
て、種々の元素からのオージェ電子を観測することがで
きるので、従来のX線管を用いたESCA等と比較し
て、感度の高い元素分析を行うことができる。また、サ
ンプル上に照射するX線の波長を走査し、放出された二
次電子量を計測することにより、EXAFS(Extended
X-ray Absorption FineStructure)による解析も可能
である。さらに、分光器のローランド円上に設けたスリ
ットの後方に、斜入射鏡等のX線光学系を設置して、X
線マイクロビームを形成し、これによりサンプルステー
ジを走査すれば、観測したい元素分布の二次元像を得る
ことができる。この場合、X線光学系として、シュヴァ
ルツシルト型光学系やゾーンプレートのような波長分散
性のあるX線光学系を用いれば、分光器を省略すること
もできる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
上記の本願人の提案に係る電子分光分析装置は、サンプ
ルの各種の解析に極めて有効であるが、本発明者による
種々の実験によれば、以下のような改良すべき点がある
ことが判明した。すなわち、オージェ電子等の共鳴二次
電子線のエネルギー分析において、化学状態を分析する
ためにオージェ電子の微小なエネルギーの移動(ケミカ
ルシフト、最大数eV移動する)や、また未知の元素の
二次電子のエネルギーの絶対値を知りたい場合がある。
これらの場合、基本的には、電子分光器に印加する磁場
や電位がわかれば、電子分光器を通過する二次電子のエ
ネルギーの絶対値を決定できるが、実際には、電子分光
器内で発生する電子による空間電位の変化等によって、
電子分光器内に、印加した磁場や電位と異なった電磁界
が発生するため、二次電子のエネルギーの絶対値を正確
に決定することができず、その精度はせいぜい±数eV
となってしまう。したがって、何らかの方法で、二次電
子のエネルギーの絶対値を正確に決定する必要がある。
上記の本願人の提案に係る電子分光分析装置は、サンプ
ルの各種の解析に極めて有効であるが、本発明者による
種々の実験によれば、以下のような改良すべき点がある
ことが判明した。すなわち、オージェ電子等の共鳴二次
電子線のエネルギー分析において、化学状態を分析する
ためにオージェ電子の微小なエネルギーの移動(ケミカ
ルシフト、最大数eV移動する)や、また未知の元素の
二次電子のエネルギーの絶対値を知りたい場合がある。
これらの場合、基本的には、電子分光器に印加する磁場
や電位がわかれば、電子分光器を通過する二次電子のエ
ネルギーの絶対値を決定できるが、実際には、電子分光
器内で発生する電子による空間電位の変化等によって、
電子分光器内に、印加した磁場や電位と異なった電磁界
が発生するため、二次電子のエネルギーの絶対値を正確
に決定することができず、その精度はせいぜい±数eV
となってしまう。したがって、何らかの方法で、二次電
子のエネルギーの絶対値を正確に決定する必要がある。
【0010】この発明は、上記の点に鑑みてなされたも
ので、サンプルから放出される二次電子のエネルギーの
絶対値を正確に決定できる二次電子分光法を提供するこ
とを目的とする。
ので、サンプルから放出される二次電子のエネルギーの
絶対値を正確に決定できる二次電子分光法を提供するこ
とを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明では、試料室内で、サンプルに粒子線を照
射して二次電子を放出させ、その二次電子を電子分光器
を介して検出器で検出して、二次電子の分光スペクトル
を測定するにあたり、前記試料室に既知の二次電子共鳴
線を有するガスを封入し、このガスの二次電子共鳴線の
エネルギー測定値に基づいて、前記サンプルから放出さ
れた二次電子のエネルギー測定値を較正する。
め、この発明では、試料室内で、サンプルに粒子線を照
射して二次電子を放出させ、その二次電子を電子分光器
を介して検出器で検出して、二次電子の分光スペクトル
を測定するにあたり、前記試料室に既知の二次電子共鳴
線を有するガスを封入し、このガスの二次電子共鳴線の
エネルギー測定値に基づいて、前記サンプルから放出さ
れた二次電子のエネルギー測定値を較正する。
【0012】
【作用】かかる分光法において、電子分光器は、内部の
空間電位の変化によって分析するエネルギーの測定値が
変動するが、その変動エネルギー量はどの二次電子も同
じである。したがって、試料室に既知の二次電子共鳴線
を有するガスを封入して測定を行い、そのガスの既知の
二次電子共鳴線(オージェ、自動電離、光電子)のエネ
ルギー値と、当該ガスの実際の二次電子共鳴線のエネル
ギー測定値との差に基づいて、サンプルから放出された
二次電子のエネルギー測定値を較正すれば、その絶対値
を正確に決定することが可能となる。ここで、試料室に
封入する既知の二次電子共鳴線を有するガスとしては、
希ガス(He,Ne,Ar,Kr,Xe,Rn)等の安
定ガスを用いることができる。
空間電位の変化によって分析するエネルギーの測定値が
変動するが、その変動エネルギー量はどの二次電子も同
じである。したがって、試料室に既知の二次電子共鳴線
を有するガスを封入して測定を行い、そのガスの既知の
二次電子共鳴線(オージェ、自動電離、光電子)のエネ
ルギー値と、当該ガスの実際の二次電子共鳴線のエネル
ギー測定値との差に基づいて、サンプルから放出された
二次電子のエネルギー測定値を較正すれば、その絶対値
を正確に決定することが可能となる。ここで、試料室に
封入する既知の二次電子共鳴線を有するガスとしては、
希ガス(He,Ne,Ar,Kr,Xe,Rn)等の安
定ガスを用いることができる。
【0013】
【実施例】図1は、この発明の二次電子分光法を実施す
る電子分光分析装置の一例の構成を示すものである。こ
の実施例では、YAGレーザ光源1からのレーザ光を集
光レンズ2、真空容器3に設けた窓4を介して、真空容
器3内に回転可能に設けたターゲット5に集光させ、こ
れによりターゲット5の一部をプラズマ化して軟X線を
発生させる。ターゲット5で発生した軟X線は、真空容
器3に連通する真空容器6内に設けた凹面回折格子7で
分光して、真空容器6に連通する真空試料室8に導くよ
うにする。
る電子分光分析装置の一例の構成を示すものである。こ
の実施例では、YAGレーザ光源1からのレーザ光を集
光レンズ2、真空容器3に設けた窓4を介して、真空容
器3内に回転可能に設けたターゲット5に集光させ、こ
れによりターゲット5の一部をプラズマ化して軟X線を
発生させる。ターゲット5で発生した軟X線は、真空容
器3に連通する真空容器6内に設けた凹面回折格子7で
分光して、真空容器6に連通する真空試料室8に導くよ
うにする。
【0014】真空試料室8内には、スリット9、X線光
学系(ウォルタミラー光学系)10、サンプル11を保
持するサンプルホルダ12、電子分光器13およびMC
P14を設け、この真空試料室8全体を、スリット9が
凹面回折格子7のローランド円上を移動し得るように、
真空容器6に対して移動可能に構成する。電子分光器1
3は、図2に示すように、入射スリット15および射出
スリット16と、これらスリット間に設けた二枚の円筒
型電極17,18を有する同軸円筒型静電型のものを用
い、これを支持台19に保持する。また、サンプルホル
ダ12は、支持台19に対して軟X線の入射方向と直交
する平面内で二次元方向に移動可能に設ける。
学系(ウォルタミラー光学系)10、サンプル11を保
持するサンプルホルダ12、電子分光器13およびMC
P14を設け、この真空試料室8全体を、スリット9が
凹面回折格子7のローランド円上を移動し得るように、
真空容器6に対して移動可能に構成する。電子分光器1
3は、図2に示すように、入射スリット15および射出
スリット16と、これらスリット間に設けた二枚の円筒
型電極17,18を有する同軸円筒型静電型のものを用
い、これを支持台19に保持する。また、サンプルホル
ダ12は、支持台19に対して軟X線の入射方向と直交
する平面内で二次元方向に移動可能に設ける。
【0015】このようにして、真空試料室8を真空容器
6に対して移動させてスリット9を通る所望の波長の軟
X線を選択し、この選択した波長の軟X線をX線光学系
10を介してサンプル11に照射し、それによって放出
される二次電子を電子分光器13を介して、その二枚の
円筒型電極17,18に印加する電圧を掃引しながらM
CP15で検出するようにする。このように、電子分光
器13において二枚の円筒型電極17,18に印加する
電圧を掃引すると、入射スリット15から入射した荷電
粒子のうち、印加電圧に応じた特定の運動エネルギーを
持つ粒子が、電極間を通る円形軌道を通るように偏向さ
れて射出スリット16から射出し、MCP14に入射す
ることになる。
6に対して移動させてスリット9を通る所望の波長の軟
X線を選択し、この選択した波長の軟X線をX線光学系
10を介してサンプル11に照射し、それによって放出
される二次電子を電子分光器13を介して、その二枚の
円筒型電極17,18に印加する電圧を掃引しながらM
CP15で検出するようにする。このように、電子分光
器13において二枚の円筒型電極17,18に印加する
電圧を掃引すると、入射スリット15から入射した荷電
粒子のうち、印加電圧に応じた特定の運動エネルギーを
持つ粒子が、電極間を通る円形軌道を通るように偏向さ
れて射出スリット16から射出し、MCP14に入射す
ることになる。
【0016】この実施例では、真空容器6と真空試料室
8とが、スリット9を介して連通するように、それらの
間に蓋20を設ける。また、真空試料室8にはガス注入
装置21を連結し、これによりサンプル11の二次電子
の分析に先立って真空試料室8内にHeガスを封入する
ようにする。ここで、真空容器3,6および真空試料室
8の真空状態は、10-4〜10-6Torrとする。
8とが、スリット9を介して連通するように、それらの
間に蓋20を設ける。また、真空試料室8にはガス注入
装置21を連結し、これによりサンプル11の二次電子
の分析に先立って真空試料室8内にHeガスを封入する
ようにする。ここで、真空容器3,6および真空試料室
8の真空状態は、10-4〜10-6Torrとする。
【0017】このようにして、真空試料室8にHeガス
を封入した状態で二次電子の分光スペクトルを測定し、
このHeガスの既知の二次電子共鳴線のエネルギー値
と、実際の測定値との差を検出し、その差をサンプル1
1から放出された二次電子のエネルギー測定値から差し
引くことにより、サンプル11の二次電子のエネルギー
測定値を較正して絶対値を決定する。
を封入した状態で二次電子の分光スペクトルを測定し、
このHeガスの既知の二次電子共鳴線のエネルギー値
と、実際の測定値との差を検出し、その差をサンプル1
1から放出された二次電子のエネルギー測定値から差し
引くことにより、サンプル11の二次電子のエネルギー
測定値を較正して絶対値を決定する。
【0018】図3は、電子衝撃におけるHeガスの自動
電離共鳴線のエネルギースペクトルを示すものである。
これらの共鳴線のエネルギーは既知であり、特にHeガ
スは高エネルギーの電子で衝撃した場合、共鳴線以外の
電離による信号が少なく、また自動電離共鳴線は40e
V以下にしか現れないので、サンプル11の二次電子を
分析する際のバックグランドノイズを非常に小さくでき
る。したがって、Heガスの既知の二次電子共鳴線のエ
ネルギー値と、実際の測定値との差を求めれば、電子分
光器13内で発生した不所望な電磁界によるエネルギー
の変動分を知ることができるので、この変動分をサンプ
ル11の二次電子のエネルギーの測定値から差し引くこ
とにより、サンプル11の二次電子のエネルギーの絶対
値を正確に決定することができる。
電離共鳴線のエネルギースペクトルを示すものである。
これらの共鳴線のエネルギーは既知であり、特にHeガ
スは高エネルギーの電子で衝撃した場合、共鳴線以外の
電離による信号が少なく、また自動電離共鳴線は40e
V以下にしか現れないので、サンプル11の二次電子を
分析する際のバックグランドノイズを非常に小さくでき
る。したがって、Heガスの既知の二次電子共鳴線のエ
ネルギー値と、実際の測定値との差を求めれば、電子分
光器13内で発生した不所望な電磁界によるエネルギー
の変動分を知ることができるので、この変動分をサンプ
ル11の二次電子のエネルギーの測定値から差し引くこ
とにより、サンプル11の二次電子のエネルギーの絶対
値を正確に決定することができる。
【0019】なお、この発明は上述した実施例にのみ限
定されるものではなく、幾多の変更または変形が可能で
ある。例えば、上述した実施例では、測定の際に真空試
料室8内にHeガスを封入するようにしたが、このガス
の種類は、サンプル11を衝撃する粒子線に応じて適宜
選択することができる。例えば、X線等の光子を用いる
場合には、自動電離共鳴線よりもオージェ電子が容易に
発生するので、この場合には、図4に示すような既知の
MNNオージェ共鳴線のエネルギースペクトルを有する
Krガスを用いて較正すれば、サンプル11の二次電子
のエネルギーの絶対値を正確に決定することができる。
定されるものではなく、幾多の変更または変形が可能で
ある。例えば、上述した実施例では、測定の際に真空試
料室8内にHeガスを封入するようにしたが、このガス
の種類は、サンプル11を衝撃する粒子線に応じて適宜
選択することができる。例えば、X線等の光子を用いる
場合には、自動電離共鳴線よりもオージェ電子が容易に
発生するので、この場合には、図4に示すような既知の
MNNオージェ共鳴線のエネルギースペクトルを有する
Krガスを用いて較正すれば、サンプル11の二次電子
のエネルギーの絶対値を正確に決定することができる。
【0020】また、電子分光器13は、図2に示した同
軸円筒型静電型に限らず、例えば図5〜図8に示すよう
なものを使用することもできる。図5は、平行平面型静
電型電子分光器を示すものである。この電子分光器にお
いては、二枚の電極間に電圧を印加することにより、入
射スリットから入射した荷電粒子のうち、印加電圧に応
じた特定の運動エネルギーを持つ粒子を偏向して射出ス
リットを経て検出器(電子増倍管)で検出するもので、
印加電圧を掃引することにより荷電粒子のエネルギース
ペクトルを分析することができる。図6は、半球型静電
型電子分光器を示すものである。この電子分光器は、図
2に示した同軸円筒型静電型電子分光器とその原理的を
同じにするが、電極が球形となっているので、種々の入
射角の荷電粒子のエネルギー分析を行うことができると
いう利点がある。
軸円筒型静電型に限らず、例えば図5〜図8に示すよう
なものを使用することもできる。図5は、平行平面型静
電型電子分光器を示すものである。この電子分光器にお
いては、二枚の電極間に電圧を印加することにより、入
射スリットから入射した荷電粒子のうち、印加電圧に応
じた特定の運動エネルギーを持つ粒子を偏向して射出ス
リットを経て検出器(電子増倍管)で検出するもので、
印加電圧を掃引することにより荷電粒子のエネルギース
ペクトルを分析することができる。図6は、半球型静電
型電子分光器を示すものである。この電子分光器は、図
2に示した同軸円筒型静電型電子分光器とその原理的を
同じにするが、電極が球形となっているので、種々の入
射角の荷電粒子のエネルギー分析を行うことができると
いう利点がある。
【0021】図7は、シリンドリカルミラー型静電型電
子分光器を示すものである。この電子分光器は、図5に
示した平行平面型静電型電子分光器とその原理を同じに
するが、電極が円筒形となっているので、図6のものと
同様に、種々の入射角の荷電粒子のエネルギー分析を行
うことができるという利点がある。図8は、電界阻止型
静電型電子分光器を示すものである。この電子分光器
は、基本的には、荷電粒子を放出するサンプルの電位を
接地し、対向電極に荷電粒子を吸引する極性の電位を与
えると共に、サンプルと対向電極との間のグリッドには
荷電粒子を反発させる電位を与え、このグリッドを通過
して対向電極に到達する一定の運動エネルギー以上の荷
電粒子を、対向電極とアースとの間に流れる電流として
検出するもので、グリッドの電位を掃引し、その電流値
の差分をとることにより、二次電子のエネルギー分析を
行うことができる。
子分光器を示すものである。この電子分光器は、図5に
示した平行平面型静電型電子分光器とその原理を同じに
するが、電極が円筒形となっているので、図6のものと
同様に、種々の入射角の荷電粒子のエネルギー分析を行
うことができるという利点がある。図8は、電界阻止型
静電型電子分光器を示すものである。この電子分光器
は、基本的には、荷電粒子を放出するサンプルの電位を
接地し、対向電極に荷電粒子を吸引する極性の電位を与
えると共に、サンプルと対向電極との間のグリッドには
荷電粒子を反発させる電位を与え、このグリッドを通過
して対向電極に到達する一定の運動エネルギー以上の荷
電粒子を、対向電極とアースとの間に流れる電流として
検出するもので、グリッドの電位を掃引し、その電流値
の差分をとることにより、二次電子のエネルギー分析を
行うことができる。
【0022】なお、図1では、検出器としてMCPを用
いたが、電子増倍管を用いることもできるし、図5〜図
7においてはMCPを用いることもできる。また、電子
分光器は、上述したように荷電粒子を電界で偏向するも
のに限らず、特に分析する荷電粒子の運動エネルギーが
大きい場合には、磁場で偏向するものを用いることもで
きる。
いたが、電子増倍管を用いることもできるし、図5〜図
7においてはMCPを用いることもできる。また、電子
分光器は、上述したように荷電粒子を電界で偏向するも
のに限らず、特に分析する荷電粒子の運動エネルギーが
大きい場合には、磁場で偏向するものを用いることもで
きる。
【0023】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、粒子
線の照射によってサンプルから放出される二次電子の分
光スペクトルを測定するにあたって、サンプルを有する
試料室に既知の二次電子共鳴線を有するガスを封入し、
このガスの二次電子共鳴線のエネルギー測定値に基づい
て、サンプルから放出された二次電子のエネルギー測定
値を較正するようにしたので、その絶対値を正確に決定
することができる。
線の照射によってサンプルから放出される二次電子の分
光スペクトルを測定するにあたって、サンプルを有する
試料室に既知の二次電子共鳴線を有するガスを封入し、
このガスの二次電子共鳴線のエネルギー測定値に基づい
て、サンプルから放出された二次電子のエネルギー測定
値を較正するようにしたので、その絶対値を正確に決定
することができる。
【図1】この発明の二次電子分光法を実施する電子分光
分析装置の一例の構成を示す図である。
分析装置の一例の構成を示す図である。
【図2】図1に示す電子分光器の概略構成を示す図であ
る。
る。
【図3】この発明で使用し得るHeガスの既知の自動電
離共鳴線のエネルギースペクトルを示すものである。
離共鳴線のエネルギースペクトルを示すものである。
【図4】同じくKrガスの既知のMNNオージェ共鳴線
のエネルギースペクトルを示すものである。
のエネルギースペクトルを示すものである。
【図5】この発明で使用し得る電子分光器の他の例の概
略構成を示す図である。
略構成を示す図である。
【図6】同じく、さらに他の例の概略構成を示す図であ
る。
る。
【図7】同じく、さらに他の例の概略構成を示す図であ
る。
る。
【図8】同じく、さらに他の例の概略構成を示す図であ
る。
る。
1 YAGレーザ光源 2 集光レンズ 3,6 真空容器 4 窓 5 ターゲット 7 凹面回折格子 8 真空試料室 9 スリット 10 X線光学系 11 サンプル 12 サンプルホルダ 13 電子分光器 14 MCP 19 支持台 20 蓋 21 ガス注入装置
Claims (1)
- 【請求項1】 試料室内で、サンプルに粒子線を照射し
て二次電子を放出させ、その二次電子を電子分光器を介
して検出器で検出して、二次電子の分光スペクトルを測
定するにあたり、前記試料室に既知の二次電子共鳴線を
有するガスを封入し、このガスの二次電子共鳴線のエネ
ルギー測定値に基づいて、前記サンプルから放出された
二次電子のエネルギー測定値を較正することを特徴とす
る二次電子分光法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5032092A JPH06242031A (ja) | 1993-02-22 | 1993-02-22 | 二次電子分光法 |
US08/390,352 US5650616A (en) | 1992-04-14 | 1995-02-16 | Apparatus and method for analyzing surface |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5032092A JPH06242031A (ja) | 1993-02-22 | 1993-02-22 | 二次電子分光法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06242031A true JPH06242031A (ja) | 1994-09-02 |
Family
ID=12349245
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5032092A Withdrawn JPH06242031A (ja) | 1992-04-14 | 1993-02-22 | 二次電子分光法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06242031A (ja) |
-
1993
- 1993-02-22 JP JP5032092A patent/JPH06242031A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20000509 |