JPH06240057A - ポリオレフィン樹脂組成物 - Google Patents

ポリオレフィン樹脂組成物

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JPH06240057A
JPH06240057A JP2544493A JP2544493A JPH06240057A JP H06240057 A JPH06240057 A JP H06240057A JP 2544493 A JP2544493 A JP 2544493A JP 2544493 A JP2544493 A JP 2544493A JP H06240057 A JPH06240057 A JP H06240057A
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JP
Japan
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polyolefin resin
group
resin composition
weight
parts
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JP2544493A
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English (en)
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Hidenori Sakai
井 英 紀 酒
Tetsushi Kasai
井 徹 志 笠
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明の組成物は、ポリオレフィン樹脂と、
分子量が500以上であって式[I]で表される部分構
造を有するフェノール化合物と、式[II]または[II
I]で表される部分構造を有するヒンダードアミン化合
物とを含有する。 【化1】 式中、R1、R2は、炭素数1〜4のアルキル基、R3
4は、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基または
アラアルキル基である。 【効果】 本発明によれば、耐熱老化性、耐候性が良好
で窒素酸化物との接触による変色を起こさないポリオレ
フィン樹脂組成物を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐熱老化性、耐候性が優
れると共に、窒素酸化物との接触によっても変色の少な
いポリオレフィン樹脂組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】ポリエチレンやポリプロピレンな
どで代表されるポリオレフィン樹脂は、加工性、耐薬品
性、電気的性質および機械的性質等の特性に優れてお
り、射出成形品、中空成形品、フィルム、シート、繊維
等に加工されて、家庭用品から工業用品に至る広い用
途、例えば、食品容器、電気部品、電子部品、自動車部
品、機械機構部品などに用いられている。
【0003】これらのポリオレフィン樹脂を実用に供す
る場合、ポリオレフィン樹脂を単独で使用することはな
く、各種安定剤、可塑剤等の添加剤を配合して使用され
る。例えば、耐熱安定剤として各種のフェノール系安定
剤が添加されており、また製品が屋外で使用される場合
には各種の耐候安定剤が添加される。このような安定剤
の中でも、ある程度分子量の大きいフェノール系安定剤
は優れた耐熱老化改良効果を有しており、ポリオレフィ
ン樹脂の耐熱安定剤として広汎に使用されている。
【0004】また、上記のようなフェノール系安定剤と
は別に、ポリオレフィン樹脂に次式[IV]で表される構
造を有するヒンダードアミン系化合物を配合することに
より、成形体に優れた耐候性を付与することができるこ
とが知られており、このようなヒンダードアミン系化合
物が耐候安定剤として広く使用されている。
【0005】
【化3】
【0006】ただし、上記[IV]において、Rは、水素
または有機基を表し、nは1以上の整数を表す。上記の
ように従来から使用されている安定剤は、熱、紫外線等
に対する成形体の耐性を向上させるものであり、こうし
た目的の範囲内では、従来の安定剤は良好な効果を奏し
ていた。すなわち、これらのフェノール系安定剤とヒン
ダードアミン系安定剤とをポリオレフィン樹脂に添加す
ることにより、ポリオレフィン樹脂組成物の耐熱老化性
および耐候性を向上させることができる。
【0007】ところが、ポリオレフィン樹脂に上記のよ
うな複数の安定剤を配合した組成物から製造された成形
体について詳細に検討してみると、ピンク色や茶色に変
色するものが多くなってきている。
【0008】本発明者はこのようなポリオレフィン樹脂
の変色の原因について、検討した結果、これらの変色の
原因が大気中に含有される窒素酸化物にあるとの知見を
得た。近年、自動車等の廃棄ガスの増加、石油燃料の燃
焼等により大気中における窒素酸化物の含有率が徐々に
高くなってきており、このような大気中の窒素酸化物に
よるポリオレフィン樹脂の着色は増大する傾向にある。
【0009】しかしながら、従来から使用されている安
定剤処方では、上記のような窒素酸化物に起因するポリ
オレフィン樹脂の変色を防止することができないことが
判明した。
【0010】
【発明の目的】本発明は、窒素酸化物との接触によって
も変色しにくく、しかも耐候性のよいポリオレフィン樹
脂組成物を提供することを目的としている。
【0011】
【発明の概要】本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、
ポリオレフィン樹脂と、分子量が500以上であって次
式[I]で表される部分構造を有するフェノール化合物
と、次式[II]または[III]で表される部分構造を有
するヒンダードアミン化合物とからなることを特徴とし
ている。
【0012】
【化4】
【0013】上記式[I]において、R1およびR2は、
それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
【0014】
【化5】
【0015】上記式[II]および[III]において、R3
およびR4は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキ
ル基、アリール基またはアラアルキル基のいずれかの基
を表す。
【0016】上記のようにポリオレフィン樹脂に、特定
の構造を有すると共に分子量が500以上であるフェノ
ール化合物と、特定の部分構造を有するヒンダードアミ
ン化合物を配合することにより、この樹脂組成物は窒素
酸化物と長期間接触しても変色しにくく、しかも耐候性
の良好であるという特性を有するようになる。
【0017】
【発明の具体的説明】次に本発明のポリオレフィン樹脂
組成物について具体的に説明する。本発明のポリオレフ
ィン樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂と、特定のフェ
ノール化合物および特定のヒンダードアミン化合物を含
有している。
【0018】本発明のポリオレフィン樹脂組成物を形成
するポリオレフィン樹脂には特に制限はなくm通常炭素
数2〜10程度のα-オレフィンの単独重合体、また
は、これらのα-オレフィンの共重合体が用いられる。
このようなα-オレフィンの例としては、エチレン、プ
ロピレン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デ
セン、1-ドデセン、4-メチル-1-ペンテンおよび3-メチ
ル-1-ペンテンなどのα-オレフィンを挙げることができ
る。また、ポリオレフィン樹脂は、上記α-オレフィン
と共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよ
い。また、ポリオレフィン樹脂は、上記のようなポリオ
レフィンの単独重合体または共重合体であってもよい
し、二種以上のポリオレフィン樹脂の混合物であっても
よい。
【0019】特に本発明においては、ポリオレフィン樹
脂がプロピレンの単独重合体、またはポリプロピレンに
少量の他のα-オレフィンが共重合した共重合体に対す
る変色防止効果が大きい。
【0020】本発明の組成物に含有されているフェノー
ル化合物は、分子量が500以上であることが必要であ
り、この分子量が600〜2000の範囲内にあるフェ
ノール化合物が特に好ましい。
【0021】そして、このフェノール化合物は、式
[I]で表される部分構造を有している。
【0022】
【化6】
【0023】上記式[I]において、R1およびR2は、
炭素数1〜4のアルキル基を表す。このアルキル基の例
としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロ
ピル基、n-ブチル基およびtert-ブチル基を挙げること
ができる。このR1およびR2は同一であっても異なって
いてもよい。特に本発明ではR1およびR2が共にtert-
ブチル基またはメチル基とtert-ブチル基とであること
が好ましい。
【0024】上記式[I]で表される部分構造と結合し
てフェノール化合物を形成している他の部分(この他の
部分を仮に基「X」とする)は、式[I]で表される基
と結合可能な基であって、このフェノール化合物の分子
量が500以上になる範囲内で種々の基を選択できる。
すなわち、窒素酸化物との接触による変色を防止する作
用には、分子量とこのフェノール化合物の分子中に存在
する上記式[I]で表される構造部分が作用しているの
であり、この式[I]で表される部分構造に結合する基
の種類によってはこの変色防止作用には殆ど影響を受け
ない。
【0025】従って、この基Xの例としては、アルキル
基、アリール基およびアラアルキル基などの基を挙げる
ことができ、さらに、このアルキル基、アリール基およ
びアラアルキル基は、その基の内部にエステル基、アミ
ノ基、アミド基またはエーテル基などの基を有していて
もよい。また、この上記式[I]で表される基が結合し
ているアルキル基、アリール基およびアラアルキル基を
構成する水素原子の一部が、上記式[I]で表されるフ
ェノール基、これ以外のフェノール基、ヒンダードアミ
ン基等で置換されていてもよい。従って、本発明のフェ
ノール化合物は、炭素原子または炭化水素基に上記式
[I]で表される基が2個、3個または4個結合した化
合物であってもよい。
【0026】このようなフェノール化合物の例を以下に
示す。 トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチ
ル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート];分子量
587、 1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-
ヒドロキシフェニル)プロピオネート];分子量63
9、 2,2-チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート];分子量643、 N,N'-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロ
キシ-ヒドロシンナミド);分子量637 トリス[(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プ
ロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート;分子量1
045、 テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート]メタン;分子量117
6、 N,N'-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニ
ル)プロピオニル]ヒドラジン;分子量553、 2,2'-オギザミドビス[エチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-
ヒドロキシフェニル)プロピオネート];分子量63
2、 3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-{β-(3-t-ブチル-4-ヒド
ロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチ
ル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカ
ン;分子量741、 β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピ
オン酸ステアリルエステル;分子量530。
【0027】このフェノール化合物は単独であるいは組
み合わせて使用することができる。これらのフェノール
化合物は、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、
通常は0.01〜5重量部の量で配合されており、さら
に、0.02〜2重量部の量で配合されていることが好
ましい。
【0028】本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、上
記のフェノール化合物に加えて下式[II]または[II
I]で表される部分構造を有するヒンダードアミン化合
物を含有している。
【0029】
【化7】
【0030】上記式[II]および[III]において、R3
およびR4は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキ
ル基、アリール基またはアラアルキル基のいずれかの基
を表す。
【0031】ここでアルキル基の例としては、メチル
基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル
基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、ヘキシル基、ヘプ
チル基およびオクチル基を挙げることができる。なお、
このアルキル基は環状構造を有していてもよい。またア
リール基の例としては、フェニル基、メチルフェニル基
およびエチルフェニル基を挙げることができる。さらに
アラアルキル基の例としては、トルイル基およびベンジ
ル基を挙げることができる。
【0032】上記式[II]および[III]においてR3
よびR4は同一であっても異なっていてもよい。特に本
発明においては、これらの中でも、R3およびR4がアル
キル基、好ましくはメチル基である部分構造を有する化
合物を用いた場合に変色防止効果が大きい。
【0033】上記式[II]で表される部分構造と結合し
てヒンダードアミン化合物を形成している他の部分(こ
の他の部分を仮に基「Y」とする)、上記式[III]で
表される部分構造と結合してヒンダードアミン化合物を
形成している他の部分(この他の部分を仮に基「Z」と
する)は、式[II]または式[III]で表される基と結
合可能な基であればよく、このような種々の基の中から
任意の基を選択できる。すなわち、窒素酸化物との接触
による変色を防止する作用には、これらのヒンダードア
ミン化合物の分子中に存在する上記式[II]および[II
I]で表される構造部分が作用しているのであり、この
式[II]および[III]で表される部分構造に結合する
基の種類によってはこの変色防止作用には殆ど影響を受
けない。
【0034】従って、この基Yおよび基Zの例として
は、アルキル基、アリール基、アラアルキル基などの基
を挙げることができ、さらに、このアルキル基、アリー
ル基、アラアルキル基は、その基の内部にエステル基、
アミノ基、アミド基、エーテル基などの基を有していて
もよい。また、この上記式[II]または[III]で表さ
れる基が結合しているアルキル基、アリール基、アラア
ルキル基を構成する水素原子の一部が、上記式[I]で
表されるフェノール基、これ以外のフェノール基で置換
されていてもよい。また式[II]で表される基または式
[III]で表される基に結合しているアルキル基、アリ
ール基、アラアルキル基を構成する水素原子の一部が、
式[II]または式[III]で表されるヒンダードアミン
基、またはこれ以外のヒンダードアミン基等で置換され
ていてもよい。従って、本発明で用いられるヒンダード
アミン化合物は、上記式で表される基に結合している炭
素原子または炭化水素基に上記式[II]または式[II
I]で表される基が2個、3個または4個結合した化合
物であってもよい。
【0035】特に本発明においてこのヒンダードアミン
化合物は、分子内に上記式[II]または[III]で表さ
れる部分構造を2個有する化合物であることが好まし
い。また、式[II]で表される部分構造を有するヒンダ
ードアミン化合物と式[III]で表される部分構造を有
するヒンダードアミン化合物とを比較すると、式[II]
で表される部分構造を有するヒンダードアミン化合物が
より窒素酸化物との接触による変色防止に優れている傾
向がある。
【0036】上記式[II]または[III]で表される部
分構造を有するヒンダードアミン化合物の例を以下に示
す。 ビス(1-アセチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジ
ル)セバケート、ポリ[[6-(1,1,3,3-テトラメチルブ
チル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2-4-ジイル][(1-ア
セチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]
ヘキサメチレン[(1-アセチル-2,2,6,6-テトラメチル-
4-ピペリジル)イミノ]])、テトラキス(1-アセチル
-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタ
ンテトラカルボキシレート、1-アセチル-2,2,6,6-テト
ラメチル-4-ピペリジルベンゾエート、1,1'-(1,2-エタ
ンジイル)ビス(4-アセチル-3,3,5,5-テトラメチルピ
ペラジノン)、(ミックスト1-アセチル-2,2,6,6-テト
ラメチル-4-ピペリジル/トリデシル)-1,2,3,4-ブタン
テトラカルボキシレート、ミックスト{1-アセチル-2,
2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル/β,β,β',β'-テ
トラメチル-3,9-[2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,
5)ウンデカン]ジエチル}-1,2,3,4-ブタンテトラカル
ボキシレート、N,N'-ビス(3-アミノプロピル)エチレ
ンジアミン-2-4-ビス[N-ブチルN-(1-アセチル-2,2,6,
6,-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ]-6-クロロ-1,
3,5-トリアジン縮合物、ポリ[[6-N-モルホリル-1,3,5
-トリアジン-2-4-ジイル][(1-アセチル-2,2,6,6-テ
トラメチル-4-ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン
[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミ
ノ]]、N,N'-ビス(1-アセチル-2,2,6,6-テトラメチル
-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2-ジブロ
モエタンとの縮合物、[N-(1-アセチル-2,2,6,6-テト
ラメチル-4-ピペリジル)-2-メチル-2-(2,2,6,6-テト
ラメチル-4-ピペリジル)イミノ]プロピオンアミド、
1,5-ジオキサスピロ[5,5]ウンデカン-3,3-ジカルボン
酸と1-アセチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-ア
ルとのジエステル、ビス(1-アセチル-2,2,6,6-テトラ
メチル-4-ピペリジル)サクシネート、N-(1-アセチル-
2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)-ドデシルコハク酸イ
ミド。
【0037】これらのヒンダードアミン化合物は単独で
あるいは組み合わせて使用することができる。これらの
ヒンダードアミン化合物は、ポリオレフィン樹脂100
重量部に対して、通常は0.01〜5重量部、好ましく
は0.02〜2重量部の量で配合される。
【0038】また、上記フェノール化合物とヒンダード
アミン化合物との配合重量比は、通常は1:9〜9:
1、好ましくは2:8〜8:2である。上記のような量
でフェノール化合物およびヒンダードアミン化合物を配
合することにより、両者が共同して窒素酸化物との接触
による変色防止がより大きくなる。
【0039】本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、上
記のように特定のフェノール化合物及び特定のヒンダー
ドアミン化合物を含有しているが、上記フェノール化合
物およびヒンダードアミン化合物に加えて、さらにカル
ボン酸金属塩を配合することが好ましい。
【0040】ここでカルボン酸は、通常は炭素数10〜
22程度のカルボン酸であり、このカルボン酸は不飽和
結合を有していてもよい。このカルボン酸の例として
は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘニ
ン酸、エルシン酸および12-ヒドロキシステアリン酸を
挙げることができる。また、上記のカルボン酸と塩を形
成する金属の例としては、リチウム、カリウム、ナトリ
ウム、カルシウム、マグネシウム、バリウムおよび亜鉛
を挙げることができる。
【0041】特に本発明ではステアリン酸カルシウムの
ように炭素数18程度の飽和カルボン酸とニ価の金属と
の塩が好ましく使用される。上記のようなカルボン酸金
属塩は、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して通常
は0.01〜2.0重量部、好ましくは0.05〜1.0重
量部の量で含有されている。さらに、上記フェノール化
合物とヒンダードアミン化合物との合計重量とこのカル
ボン酸金属塩との配合重量比を通常は1:9〜9:1、
好ましくは2:8〜8:2の範囲内にすることにより特
に色調のよい組成物を得ることができ、この組成物は窒
素酸化物との接触によっても変色しにくい特性を有する
ようになる。
【0042】なお、本発明のポリオレフィン樹脂組成物
には、本発明の目的を損なわない範囲で、耐熱安定剤、
耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキ
ング剤、核剤、防曇剤、滑剤、難燃剤、染料、顔料、天
然油、合成油、ワックス、有機または無機の充填剤、補
強剤などを配合することができ、その配合割合は適宜で
ある。
【0043】本発明のポリオレフィン樹脂組成物は公知
の方法を採用して製造することができる。例えば、上記
のポリオレフィン樹脂とフェノール化合物とヒンダード
アミン化合物と、さらに必要によりカルボン酸金属塩な
どの他の成分とを押出機で溶融混合して製造する方法な
どを挙げることができる。
【0044】上記のような組成を有する本発明のポリオ
レフィン樹脂組成物は、耐熱老化性、耐候性などの特性
に優れる。特にサンシャインウエザーメーター(ブラッ
クパネル温度63℃、雨あり条件)でダンベル型試験片
に紫外線照射して、このダンベル型試験片の引張伸び率
が初期値の50%になるまでの時間で表される耐候性が
非常に良好になり、通常は1200時間以上、多くの場
合1000時間以上になる。
【0045】そして、本発明のポリオレフィン樹脂組成
物は、窒素酸化物との接触によっても変色しにくいとい
う特性を有している。すなわち、試料角板を窒素酸化物
ガス雰囲気下で、120℃、1時間の条件でエージング
し、このときの試料角板の色相について、L値、a値お
よびb値をハンター法により測定し、試験前後における
これらの値の変動を幅を求めると、L値の変動幅は通常
8以下、多くの場合5以下であり、a値の変動幅は通常
は−3.0以上、多くの場合0以上であり、さらにb値
の変動幅は通常は−6以上、多くの場合−5以上であ
る。なお、このときに用いられる試料角板の大きさは、
5cm×5cm×2mmである。
【0046】このように特定のフェノール化合物と特定
のヒンダードアミン化合物とを併用する本発明のポリオ
レフィン樹脂組成物は、優れた耐候性を有すると共に、
窒素酸化物との接触による色相の変化が少ないという特
性を有している。この窒素酸化物との接触における変色
防止効果は、上記特定のフェノール化合物と特定のヒン
ダードアミン化合物とを併用することによりはじめて達
成することができるのである。
【0047】従って、本発明のポリオレフィン樹脂組成
物は、化石燃料の燃焼ガスなど窒素酸化物との接触頻度
の高く、しかも大気中に晒されて使用されるプラスチッ
ク成形体の製造原料として極めて有用性が高い。すなわ
ち、本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、通常ポリオ
レフィン樹脂が使用される用途に広汎に使用することが
できることは勿論、特に窒素酸化物と長期間接触する自
動車部品、工業部品、電気部品、繊維、シート、コンテ
ナ等の成形体、色相の変化が製品の特性に著しい影響を
及ぼす光学的用途に使用される成形体などを製造するた
めの原料として好適に使用することができる。
【0048】
【発明の効果】本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、
上述のように、特定のフェノール化合物と特定のヒンダ
ードアミン化合物とを併用することにより、従来全く認
識されていなかった窒素酸化物との接触による色相の変
化を有効に抑制すると共に、ポリオレフィン樹脂の耐熱
老化性、耐候性を改良するものである。従って、本発明
のポリオレフィン樹脂組成物は、窒素酸化物との接触頻
度が高い成形体の製造原料、色相の変化が特性に著しい
影響を及ぼす成形体の製造原料として有用である。排出
基準などの規制によって、大気中の窒素酸化物濃度の上
昇傾向が鈍化する方向にあるが、大気中における窒素酸
化物の絶対的な濃度はわずかづつではあるが依然として
上昇していることは事実であり、大気中には必ず窒素酸
化物が含有され、こうした雰囲気中でポリオレフィン樹
脂を使用し続けなければならないという事実関係に着目
して、この窒素酸化物によるポリオレフィン樹脂の色相
の変化を有効に防止する本発明の組成物の有用性は将来
的に極めて高いものである。
【0049】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例を示して
具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定的に
解釈されるべきではない。
【0050】なお、本発明において、特性の測定および
評価は以下に記載する方法により行った。試験方法 <耐候性>試料の耐候性は、ダンベル型試験片にサンシ
ャインウエザーメーター(ブラックパネル温度63℃、
雨あり条件)で紫外線照射し、引張伸び率の変化により
評価した。引張伸び率が初期の50%になる時間を試料
の耐候寿命とした。 <耐熱老化性>試料の耐熱老化性は、ダンベル型試験片
を150℃のギアオーブンでエージングし評価した。試
料の弾力性がなくなり容易に折れるようになるまでの時
間を耐熱寿命とした。 <耐窒素酸化物ガス変色性>亜硝酸ナトリウム水溶液に
燐酸水溶液を滴下して生成した窒素酸化物ガスに、試料
の角板を曝した後、120℃で1時間エージングした。
この角板の処理前後の色相をハンター法により、L値、
a値、b値で評価した。
【0051】
【実施例1〜9および比較例1〜10】ポリプロピレン
ホモポリマー(MFR1.5g/10分)に、以下に記
載する添加剤を表1に記載する量で配合して、押出機を
用いて230℃で溶融ブレンドしペレット化した。
【0052】このペレットより、射出成形機により5c
m×5cm×2mmの角板およびダンベル型試験片を成
形した。これらの試験片を用いて各種試験を行った。結
果を表2に示す。 <使用した安定剤>フェノール化合物 (A)テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-
ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン (B)N,N'-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-
ヒドロキシ-ヒドロシンナミド) (C)3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-{β-(3-t-ブチル-4
-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}
エチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデ
カン。ヒンダードアミン化合物 (D)ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セ
バケート[式[IV]で表される基を2個有する化合物]、 (E)ビス(1-アセチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペ
リジル)セバケート[R4がメチル基である式[III]で
表される基を2個有する化合物]、 (F)N-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)-ドデシ
ルコハク酸イミド[式[IV]で表される基を1個有する
化合物]、 (G)N-(1-アセチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジ
ル)-ドデシルコハク酸イミド[R4がメチル基である式
[III]で表される基を1個有する化合物]、 (H)1,1'-(1,2-エタンジイル)ビス(3,3,5,5-テト
ラメチルピペラジノン)[式[II]においてR3-CO-の代わ
りに水素が結合した基を2個有する化合物]、 (I)1,1'-(1,2-エタンジイル)ビス(4-アセチル-3,
3,5,5-テトラメチルピペラジノン)[R3がメチル基であ
る式[II]で表される基を2個有する化合物]。カルボン酸金属塩 (J)ステアリン酸カルシウム。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【実施例10〜15および比較例11〜17】高密度ポ
リエチレン(密度 0.960g/cm3、MFR 5.0
g/10分)に、上記の実施例1で示す添加剤を表3に示
す量で配合し、押出機を用いて、200℃で溶融ブレン
ドしペレット化した。
【0056】このペレットより射出成形機により実施例
1と同様の各種試験片を成形した。これらの試験片を用
いて各種試験を行った。結果を表4に示す。
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン樹脂と、分子量が500
    以上であって次式[I]で表される部分構造を有するフ
    ェノール化合物と、次式[II]または[III]で表され
    る部分構造を有するヒンダードアミン化合物とからなる
    ことを特徴とするポリオレフィン樹脂組成物; 【化1】 [上記式[I]において、R1およびR2は、それぞれ独
    立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す]; 【化2】 [上記式[II]および[III]において、R3およびR4
    は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、アリ
    ール基またはアラアルキル基のいずれかの基を表す]。
  2. 【請求項2】 前記ポリオレフィン樹脂組成物が、ポリ
    オレフィン樹脂100重量部に対して、フェノール化合
    物を0.01〜5重量部、ヒンダードアミン化合物を0.
    01〜5重量部の範囲内の量で含有し、かつ該フェノー
    ル化合物とヒンダードアミン化合物との重量比が1:9
    〜9:1の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項
    記載のポリオレフィン樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記ポリオレフィン樹脂組成物が、さら
    に、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して0.01
    〜2.0重量部のカルボン酸金属塩を含有することを特
    徴とする請求項第1項または第2項記載のポリオレフィ
    ン樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 サンシャインウエザーメーター(ブラッ
    クパネル温度63℃、雨あり条件)でダンベル型試験片
    に紫外線照射して、このダンベル型試験片の引張伸び率
    が初期値の50%になるまでの時間が、1000時間以
    上であることを特徴とする請求項第1項記載のポリオレ
    フィン樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 エージング前にハンター法により測定し
    たL値、a値およびb値と、窒素酸化物ガス雰囲気下
    に、120℃で1時間エージングした後に測定したL値
    の変動幅が8以下であり、a値の変動幅が−3.0以上
    であり、かつb値の変動幅が−6以上であることを特徴
    とする請求項第1項または第4項記載のポリオレフィン
    樹脂組成物。
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