JPH06235478A - パイロット式電磁弁 - Google Patents

パイロット式電磁弁

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JPH06235478A
JPH06235478A JP4470893A JP4470893A JPH06235478A JP H06235478 A JPH06235478 A JP H06235478A JP 4470893 A JP4470893 A JP 4470893A JP 4470893 A JP4470893 A JP 4470893A JP H06235478 A JPH06235478 A JP H06235478A
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pilot
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piston ring
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寿司 田中
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 異物咬み込みが起こりにくく、仮に異物を咬
み込んでもその影響が少ない、パイロット式電磁弁を提
供すること。 【構成】 ピストンリング(361、362)のシリ
ンダ内壁と接する部分の軸方向長さが異物の径と同程度
なので、ピストンリング(361、362)とシリンダ
内壁との間に咬み込まれた異物は吹き飛びやすい。ま
た、ピストンリングと環状溝とが2組(361と35
1、362と352)設けられているので、環状溝(3
51、352)幅のクリアランスを過大にとる必要がな
く、ピストンリング(361、362)とピストン31
との間への異物咬み込みも起こりにくく、さらに、一方
に異物が咬み込まれても、全体での漏れ流量はほとんど
変化なく、良好な作動を維持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はパイロット式電磁弁に関
し、さらに詳細にはパイロット圧の増減に応じて移動す
るピストンを備え、そのピストンの外周にピストンリン
グが設けられたパイロット式電磁弁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、小電力にて大容量流の開閉を行う
ための電磁弁として、主弁体と別に副弁体としてパイロ
ット弁体を設け、通電励磁によりパイロット弁の開閉を
行うことで主弁体にかかる圧力を変化させ、かかる圧力
変化により主弁体を移動させて主弁の開閉を行う、いわ
ゆるパイロット式電磁弁が使用されている。かかるパイ
ロット式電磁弁においては、主弁体たるピストンの摺動
抵抗および外周部からの漏れ流量が大きいと、電磁弁と
して重要な機能である動作の安定性、弁開閉時間の安定
性が著しく損なわれる。そして、ピストン摺動抵抗およ
びピストン外周面からの漏れ流量は、ウェアリングある
いはピストンリングの形状により、大きく左右されるの
である。
【0003】そのため、従来のこの種の電磁弁として
は、図6に部分的に示されるように、弁本体内に形成さ
れたシリンダ71内に移動可能に設けられた主弁組立体
のピストン72の外周にピストン72の傾きを抑制する
とともにピストン72の外周とシリンダ71の内壁(い
ずれも金属)とが摺り合ってかじりを起こさないため
に、ウェアリング73を設けるとともに、ピストン72
の外周面からの漏れ流量を少なくするためにピストン7
2の外周の別の位置にピストンリング74を設けてその
内側に内張リング75を挿入したものがある。あるい
は、ピストンリングとして図7に示されるように逆V字
形断面の樹脂製リップパッキン76を用いたもの等があ
る。また、実公昭59−10458号公報に別の例が提
案されている。すなわち、図8(a)に示されるよう
に、ピストン61の軸方向長さを短くしてウェアリング
を不要とするとともに、1のピストンリング65溝内に
複数のC字形断面のピストンリング(661および66
2)と1の内張リング67を設けたもの等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来のパイロット式電磁弁では、ゴミ等異物のピスト
ンリングへの咬み込みが起こりやすい。そして、異物を
咬み込むと正常時と比べて、ピストン外周面からの漏れ
流量が大きくなること、ピストンの摺動抵抗が大きくな
ること等の弊害があり、結果として前述したように動作
の安定性、弁開閉時間の安定性が著しく損なわれるので
ある。特に、高温蒸気を扱う場合は必然的に配管等に錆
が発生しやすく、発生した錆の粒子を異物として咬み込
むことによる作動不良が起こりやすい。
【0005】まず、ピストンリングへの異物の咬み込み
について説明する。例えば図8(a)に示すものでは、
ピストンリング(661および662)とシリンダ内壁
との接触箇所を複数にすることで、ピストン61の傾き
を防止することおよび多段シールによる漏れ流量低減を
主なねらいとしている。しかし、ピストンリング(66
1および662)とシリンダ内壁との間に異物が咬み込
まれる(図8(b))と、前述したようにピストン61
外周面からの漏れ流量およびピストン61の摺動抵抗の
増大が起こる。その結果として一次圧が主弁上室へ吹抜
けたり、摺動がロックされてピストン61が動かなくな
ったりする。そして一旦咬み込まれた異物は吹き飛びに
くい。
【0006】またこの例では単一の溝65に複数のピス
トンリング(661および662)を配設しているた
め、工作精度上の問題からピストンリング幅の合計に対
する溝幅のクリアランス(図8中c)を大きくとらざる
を得ないので、ピストンリング(661および662)
とピストン61との隙間にも異物が侵入しうる(図8
(c))。これも一次圧吹抜けにつながる漏れ流量増大
を引き起こすのである。このように、従来のパイロット
式電磁弁では異物咬み込みの発生機会が多い。これらの
ことから、従来のパイロット式電磁弁は異物咬み込みの
発生機会が多く、しかも異物咬み込みが発生すると作動
不良となってしまうことがわかる。
【0007】本発明は前記従来技術の問題点を解決する
ためになされたものであり、一次圧の吹抜けや摺動抵抗
の増加につながる異物咬み込みが起こりにくく、かつ、
仮に異物咬み込みが起こっても正常時と比較しての一次
圧の吹抜けや摺動抵抗の増加が少なく使用可能な状態を
維持する、信頼性の高いパイロット式電磁弁を提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した問題点を解決す
るための本発明者らによる実験の結果、上記錆による異
物は0.05mm〜1mm程度の大きさのものが大半で
あるが判明した。また、この種の異物は咬み込んでも吹
飛んでしまえばほとんど弊害は残らないことが判明し
た。そして、ピストンリングのシリンダ内壁と接触する
部分の軸方向長さを、異物の大きさと同程度またはそれ
以下にすれば咬み込まれた異物が吹飛びやすくなること
が判明した。また、複数のピストンリングを配設する場
合、ピストンリング毎に溝を形成し1の溝に1のピスト
ンリングを配設することとすれば、個々の溝幅クリアラ
ンスを大きくとる必要がなく、したがってピストンリン
グと主弁との隙間への異物侵入が起こりにくくなること
が実験により確認された。
【0009】したがって本発明のパイロット式電磁弁
は、弁本体内に形成されたシリンダ内に移動可能に設け
られた主弁体たるピストンと、ピストンの上室と出口ポ
ートとをコイルに通電励磁されることにより連通させる
副弁体とを有し、コイルを励磁することによりピストン
を移動させ入口ポートと出口ポートとの連通遮断を制御
するパイロット式電磁弁であって、ピストンの外周に形
成された環状溝と、環状溝に配設されたピストンリング
と、ピストンリングの内周側に嵌合された内張リングと
を有し、ピストンリングのシリンダ内壁と接触する部分
の軸方向長さが0.05mm以上1mm以下として構成
される。
【0010】また、上記パイロット式弁において、ピス
トンの外周に形成された2以上の環状溝と、各環状溝に
配設されたピストンリングと、各ピストンリングの内周
側に嵌合された内張リングとを有し、ピストンリングの
少なくとも1つのシリンダ内壁と接触する部分の軸方向
長さが0.05mm以上1mm以下であることを特徴と
して構成される。
【0011】
【作用】上記構成を有する本発明のパイロット式電磁弁
では、コイルに通電されていないとき、バネにより可動
鉄心が主弁組立体に押圧され、シール部材が弁座体と係
合してパイロットポートを閉じる。このため入口ポート
からパイロットパスを介してパイロット室内の圧力は入
口ポートの圧力と同圧になりピストンを下方に押圧し、
弁体が弁座と係合して主弁を閉じる。したがって入口ポ
ートと出口ポートとは連通していない。
【0012】コイルに通電すると電磁力により可動鉄心
は固定鉄心に吸引され、シール部材が弁座体から離れて
パイロットポートが開く。よってパイロット室内の圧力
はパイロットポートを介して出口ポートへ逃げ、パイロ
ット室内の圧力が低下する。このため主弁組立体は下側
から作用する入口ポートの圧力により押上られ弁体が弁
座から離れ、主弁を開く。これにより入口ポートと出口
ポートとが連通する。コイルの通電を切ると可動鉄心は
バネにより主弁組立体側に押圧され、前述のように主弁
を閉じ、入口ポートと出口ポートとの連通が遮断され
る。ここにおいて主弁のピストンリングのシリンダ内壁
と接触する部分の軸方向長さを0.05mm以上1mm
以下としたことにより、異物咬み込みによる弊害が起こ
りにくい。そして該ピストンリング溝とピストンリング
の組合せを複数組設けてあるので、異物咬み込みが起こ
ってもその影響が小さく、使用可能状態を維持する。
【0013】
【実施例】以下、本発明を具体化したパイロット式電磁
弁の実施例を図面を参照して説明する。図1は本実施例
のパイロット式電磁弁の断面図である。図1に示すパイ
ロット式電磁弁1は、上部分21と下部分22とからな
る弁本体2、主弁組立体3、ソレノイド装置4からな
り、主弁組立体3は弁本体2の上部分21に設けられた
シリンダ26内に、軸方向(図中上下方向)に移動可能
に挿入されている。かかるパイロット式電磁弁1におい
て、本発明の主要部分をなすのは主弁組立体3のピスト
ン31のシール機構であるが、説明の便宜上、パイロッ
ト式電磁弁1全体の構成およびその動作について説明
し、しかるのちに本発明の主要部分たるピストン31の
シール機構について説明することとする。
【0014】したがってまず、パイロット式電磁弁1全
体の構成について説明する。弁本体2の下部分22に
は、弁座25、図示しない流体源につながる入口ポート
23、および図示しない負荷につながる出口ポート24
が形成されている。弁本体2の上部分21には、パイロ
ット室27、パイロット室27と入口ポート23とを連
通するブリードポート28が形成されている。主弁組立
体3は、シリンダ26内で摺動するピストン31と、ピ
ストン31の下面に取り付けられていて弁座25と係合
可能な弁体32とを有している。ピストン31は、図8
に示すもの同様軸方向長さを短くしてウェアリングを不
要としている。ピストン31の中心には、パイロット室
27と出口ポート24とを連通可能なパイロットポート
33が形成された弁座体34が取り付けられている。ピ
ストン31の外周には環状溝351および環状溝352
が形成されており、環状溝351および環状溝352内
には、それぞれピストンリング361およびピストンリ
ング362が挿入されている。ピストンリング361お
よびピストンリング362については後述する。
【0015】ソレノイド装置4は、コイルボビン45、
コイルボビン45に巻回されたコイル41、コイルボビ
ン45に固定して設置された固定鉄心42、コイルボビ
ン45の中空部に嵌入されたパイプ40、パイプ40内
に摺動可能に摺動可能に嵌合された可動鉄心43を有し
ており、可動鉄心43はバネ44により主弁組立体3に
向かって押圧されている。可動鉄心43の先端には、弁
座体34に当接してパイロットポート33を閉じるシー
ル部材46が取り付けられている。
【0016】次に、上記構成を有するパイロット式電磁
弁1全体の動作について説明する。まず、コイル41に
通電されていないとき、可動鉄心43はバネ44により
主弁組立体3側に押圧されてシール部材46が弁座体3
4と係合してパイロットポート33を閉じる。このため
入口ポート23からブリードポート28を介してパイロ
ット室27内の圧力は入口ポート23の圧力と同圧にな
りピストン31を下方に押圧し、弁体32が弁座25と
係合して主弁を閉じる。したがってこの状態では、入口
ポート23と出口ポート24とは連通していない。図1
はこの状態を示している。
【0017】そしてコイル41に通電すると電磁力によ
り可動鉄心43は、バネ44の押圧力に逆らって固定鉄
心42に吸引される。このためシール部材46が弁座体
34から離れてパイロットポート33が開くので、パイ
ロット室27内の圧力はパイロットポート33を介して
出口ポート24へ逃げ、パイロット室27内の圧力が低
下する。このため主弁組立体3は下側から作用する入口
ポート23の圧力により押上られ弁体32が弁座25か
ら離れ、主弁を開く。これにより入口ポート23と出口
ポート24とが連通する。この状態を図2に示す。コイ
ル41の通電を切ると可動鉄心43はバネ44により主
弁組立体3側に押圧され、前述のように主弁を閉じ、入
口ポート23と出口ポート24との連通が遮断される。
【0018】続いて本発明の主要部分たるピストンリン
グ36について図3および図4を参照して説明する。図
3および図4は、それぞれ本実施例のパイロット式電磁
弁における2種類のピストンリング、内張リング、環状
溝、およびその周辺の断面図であり、図1および図2の
全体断面図は、図4のものを採用したものである。図3
および図4について、以下順次説明する。
【0019】最初に図3に示す断面図について説明す
る。図3では、内張リング37を内周側に嵌合したピス
トンリング36がピストン31の環状溝35に配設され
ている。この内張リング37はピストンリング36を内
側から半径方向外方に押圧するようになっている。ここ
において、ピストンリング36および内張リング37
は、その図示しないスリットが互いに重ならないように
嵌合されるべきであることは周知のとおりである。さら
にピストン31においては、従来技術によるパイロット
式電磁弁の例である図6に示すもののような、ピストン
72の傾き防止のためのウェアリング73を不要とする
ために、ピストン31の軸方向長さが短くされている。
図3に示す以外の部分については、むろん図1および図
2に示すものと同様である。
【0020】そしてこの例では、ピストンリング36の
シリンダ内壁と接触する部分の軸方向長さ(図3中a)
が0.05mm以上1mm以下とされている。その理由
は、この種の電磁弁を高温蒸気等の断続に用いる場合、
異物の大半は配管等で発生した錆の粒子であって、該錆
粒子の大きさは概ね0.05mm〜1mm程度であり、
aがこれと同程度かそれ以下であれば、咬み込んだ異物
が吹飛びやすく、異物咬みによる不良発生が起こりにく
いことを利用するためである。図3中bの場所に空間が
あり、ここを流体が流れ得ることも、咬み込んだ異物の
吹飛びやすさに貢献している。
【0021】すなわち、aが1mm以上あると一旦咬み
込んだ異物が吹飛びにくいので、使用している間に多数
の異物が咬み込んだ状態になりやすいのである。もちろ
んそのような状態ではピストンリング36からの圧力漏
れが大きく、電磁弁としての動作は不良である。ここで
aを0.05mm以上とした理由は、aを過度に小さく
するとピストンリング36の正常時のシール能力が落
ち、結局圧力漏れが発生してしまうからである。
【0022】続いて図4に示す断面図について説明す
る。本例ではピストン31の外周に環状溝351と環状
溝352とが形成されており、環状溝351には内張リ
ング371を内周側に嵌合したピストンリング361
が、環状溝352には内張リング372を内周側に嵌合
したピストンリング362が、それぞれ設けられてい
る。そして、ピストンリング361とピストンリング3
62とは、ともに図3に示すピストンリング36と同様
の断面形状を有している。
【0023】本例では、ピストンリング361およびピ
ストンリング362のシリンダ内壁と接触する部分の軸
方向長さが0.05mm以上1mm以下であるため、ピ
ストンリング361またはピストンリング362に異物
が咬み込まれても、咬み込んだ異物は吹き飛びやすく、
不良発生には至りにくい。そしてピストンリング、内張
リング、環状溝の組合せが2組設けられているので、仮
に一方のピストンリングでシール能力低下が起こって
も、他のピストンリングがシール能力を維持し、また、
ピストンリングの軸方向長さに対する溝幅クリアランス
が小さいので、ピストンリング(361または362)
とピストン31との隙間への異物の侵入(図8(c)参
照)が起こりにくく、全体として漏れ流量が大幅に増加
することはない。すなわち、図3に示す例の効果を有
し、さらにピストンリング、内張リング、環状溝の組合
せを2組有することにより、シール能力低下を防ぐ効果
をも有している。
【0024】本例において、1のピストンリングにのみ
図3に示す断面形状のものを採用し、他のピストンリン
グは通常の断面形状のものを使うことも考えられる。ま
た、ピストンリング、内張リング、環状溝の組合せは2
組に限る必要はなく、3組以上としてもよい。ただし過
度に組数を増やすと、ピストン31の軸方向長さをその
分大きくしなければならないので、ウェアリングを不要
とするためにピストン31の軸方向長さを短くした意義
を没却するとともに、電磁弁全体のサイズが大きくなる
こと、およびコストの増大は避けられない。
【0025】ここで、この種のパイロット式電磁弁にお
ける作動良好性が、主として主弁開動作が適正に起こる
かどうかによることについて、本実施例と従来技術の例
とを引用しながら説明する。この種のパイロット式電磁
弁における主弁開動作は、出口ポート側に開放され低下
した主弁上室圧力Pp によるピストン72押下力に、一
次圧P1 によるピストン72押上力が打ち勝つことによ
り行われる(図6参照)が、単純に主弁上室圧力Pp が
一次圧P1 より低下するだけではピストン72は上昇し
ない。その理由として、ピストン72押下力は主弁上室
圧力Pp によるものだけでなく、バネ70による押し付
け力w、ピストン72の自重力Wがあること、さらに、
主弁上室圧力Pp はピストン72の面積全体に作用する
のに対し、一次圧P1 はピストン72のうち弁座76の
外側部分の面積のみに作用することが挙げられる。した
がって主弁上室圧力Pp は一次圧P1 と比べて相当程度
低下しなければ開動作が起こらず、作動良好であるとは
いえないのである。
【0026】ここで開動作が起こるために求められる主
弁上室圧力(出口ポート側に開放され低下した状態での
圧力をいう、以下同じ)Pp と一次圧P1 との関係を図
5のグラフを参照して説明する。図5では横軸が一次圧
P1 を、縦軸が主弁上室圧力Pp を示している。実際の
パイロット式電磁弁は、5〜7kgf/cm2 程度の一
次圧P1 にて使用されるのが普通である。このグラフで
は原点を通る直線f〜iが、実際のパイロット式電磁弁
における一次圧と主弁上室圧力との関係であり、直線f
のように傾きが低いものはピストンリング74のシール
能力がよく、一次圧P1 と比べて主弁上室圧力Pp は充
分低下していることを意味する。逆に直線iのように傾
きが高いものは、ピストンリング74のシール能力が悪
く、一次圧P1 と比べて主弁上室圧力Pp が充分低下し
ないことを示す。
【0027】次に、図5中の直線eが作動良好と作動不
良との臨界であることについて説明する。前述したよう
にピストン72にかかる下向きの力として主弁上室圧力
Pp、バネ70による押し付け力w、ピストン72の自
重力Wがあり、主弁上室圧力Pp はピストン72の面積
全体に作用するので、下向きの力の合計Fd は、 Fd =(π/4)D2 Pp +W+w となる。ここにDはピストン72の直径である。一方、
一次圧P1 はピストン72のうち弁座76より外側のみ
に作用するので上向きの力Fu は、 Fu =(π/4)(D2 −d2 )P1 となる。ここにdは弁座76の径を示す。
【0028】したがって開動作、すなわちピストン72
の上向きの動きが起こるためには、下向きの力Fd が上
向きの力Fu より小さくならなければならないので、 (π/4)(D2 −d2 )P1 >(π/4)D2 Pp +
W+w なる不等式が成り立たなければならず、これを圧力Pp
について解けば Pp <{1−(d/D)2 }P1 −(4/πD2 )(W
+w) となり、これを図5中に表したのが直線eである。すな
わち直線eより上の領域では、主弁上室の圧力Pp が充
分低下していないので一次圧P1 による押上げ力ではピ
ストン72が上昇しないのである。
【0029】図5中の直線hは、図8に示すピストンお
よびピストンリングを有するパイロット式電磁弁、すな
わち従来技術に基づくパイロット式電磁弁の正常時にお
ける一次圧P1 と主弁上室圧力Pp との関係であり、直
線eの作動限界より傾きが低く、したがって作動は良好
である。しかしこのパイロット式電磁弁は、異物を咬み
込むと直線iの関係を示すようになる。直線iの場合傾
きが高く、一次圧P1が約1.5kgf/cm2 で直線
eと交差している。したがって約1.5kgf/cm2
以下の一次圧でしか使用できず、前記した普通に使用さ
れる一次圧範囲である5〜7kgf/cm2 では使用で
きないので作動不良である。
【0030】本実施例にかかるパイロット式電磁弁1
の、一次圧(入口ポート23の圧力)P1 と主弁上室圧
力Pp との関係を図5のグラフの直線fおよび直線gに
示す。直線fは正常時におけるもので傾きが低く作動が
非常に良好であることを示している。異物咬み込み時は
直線gの関係となり、直線fよりは傾きが高くなるが直
線eの作動限界にはまだ余裕がある。このことから本実
施例のパイロット式電磁弁は異物を咬み込んでもなお、
良好な作動を維持することがわかる。
【0031】以上詳細に説明したとおり本実施例にかか
るパイロット式電磁弁1では、ピストンリング361お
よびピストンリング362のシリンダ内壁と接触する部
分の軸方向長さを0.05mm以上1mm以下とし、そ
れぞれを別々の環状溝(351および352)に配設す
ることとしたので、ピストンリング(361または36
2)に異物が咬み込まれることによる作動不良が起こり
にくい。これにより、ピストンリングとシリンダ内壁と
の間からの、一次圧(入口ポート23の圧力)の主弁上
室への吹抜けが極めて起こりにくい、信頼性の高いパイ
ロット式電磁弁を提供できる。
【0032】なお、前記実施例は本発明を限定するもの
ではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種
々の変形、改良が可能であることはもちろんである。例
えば変形の例として、前記実施例ではシール部材46が
係合する弁座体34は主弁組立体3の一部として組込ま
れており、弁座体34の中心にパイロットポート33が
形成されている構造をとっている(図1参照)が、弁座
体34およびパイロットポート33を弁本体2の上部分
21に固定して形成する構造のものにも適用できる。さ
らには、以上述べたものはいずれもコイル41に通電さ
れているときに主弁が開となる通電時開形のものである
が、固定鉄心42と可動鉄心43との位置と形状を変更
してコイル41に通電されているときに主弁が閉となる
通電時閉形としたものにも適用できる。
【0033】
【発明の効果】以上説明したことから明かなように本発
明のパイロット式電磁弁では、一次圧の吹抜けや摺動抵
抗の増加につながる異物咬み込みが起こりにくく、そし
て複数のピストンリングを有しているので、仮に一方の
ピストンリングに異物咬み込みが起こっても、正常時と
比較しての一次圧の吹抜けや摺動抵抗の増加が少なく使
用可能な状態を維持する、信頼性の高いパイロット式電
磁弁を提供でき、その奏する効果は大である。特に、錆
による異物発生が多い、高温蒸気を扱うパイロット式電
磁弁において有益度が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるパイロット式電磁弁全体の閉状
態における断面図である。
【図2】本発明にかかるパイロット式電磁弁全体の開状
態における断面図である。
【図3】本発明の第1の実施例にかかるパイロット式電
磁弁の主弁部分のピストンリングおよびその周囲の断面
図である。
【図4】本発明の第2の実施例にかかるパイロット式電
磁弁の主弁部分のピストンリングおよびその周囲の断面
図である。
【図5】パイロット式電磁弁における、一次圧と主弁上
室圧との関係を示すグラフである。
【図6】従来技術にかかる第1のパイロット式電磁弁の
主弁部分およびその周囲の断面図である。
【図7】従来技術にかかる第2のパイロット式電磁弁の
主弁部分のピストンリングの断面図である。
【図8】従来技術にかかる第3のパイロット式電磁弁の
主弁部分のピストンリングおよびその周囲の断面図であ
る。
【符号の説明】
1 パイロット式電磁弁 2 弁本体 23 入口ポート 24 出口ポート 26 シリンダ 3 主弁組立体 31 ピストン 33 パイロットポート 35、351、352 環状溝 36、361、362 ピストンリング 37、371、372 内張リング

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弁本体内に形成されたシリンダ内に移動
    可能に設けられた主弁体たるピストンと、ピストンの上
    室と出口ポートとをコイルに通電励磁されることにより
    連通させる副弁体とを有し、コイルを励磁することによ
    りピストンを移動させ入口ポートと出口ポートとの連通
    遮断を制御するパイロット式電磁弁において、 前記ピストンの外周に形成された環状溝と、 前記環状溝に配設されたピストンリングと、 前記ピストンリングの内周側に嵌合された内張リングと
    を有し、 前記ピストンリングの前記シリンダ内壁と接触する部分
    の軸方向長さが0.05mm以上1mm以下であること
    を特徴とするパイロット式電磁弁。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載するパイロット式電磁弁
    において、 前記ピストンの外周に形成された2以上の環状溝と、 前記各環状溝に配設されたピストンリングと、 前記各ピストンリングの内周側に嵌合された内張リング
    とを有し、 前記ピストンリングのうちの少なくとも1つが前記シリ
    ンダ内壁と接触する部分の軸方向長さが0.05mm以
    上1mm以下であることを特徴とするパイロット式電磁
    弁。
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