JPH06235189A - 製紙用サイズ剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 乳化が容易であり、優れた乳化安定性及びサ
イズ効果を与え得る製紙用サイズ剤の提供。 【構成】 一般式（Ｉ）で表わされるジカルボン酸無水
物及び一般式（II）で表わされる乳化剤を含有してなる
製紙用サイズ剤。 【化１】 【化２】

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、製紙用サイズ剤に関す
る。さらに詳しくはジカルボン酸無水物と特定の乳化剤
とを共存した状態で長期間保存した後もすぐれたサイズ
効果を有する製紙用サイズ剤に関する。

【０００２】

【従来技術】中性抄紙を製造する場合に製紙用サイズ剤
としてジカルボン酸無水物を用いることは知られている
（特公昭３９−２３０５号、同５３−２８５２６号、特
開昭５７−１５４４９５号、同５８−８７３９７号、同
５８−２２０８９７号、同５９−３０９９３号、同５９
−６２５８０号、ＵＳＰ３，１０２，０６４号、ＵＳＰ
３，１３９，３７３号、ＵＳＰ３，８２１，０６９
号）。

【０００３】一般に填料として炭酸カルシウムを使用す
る中性抄紙法で使用する内添サイズ剤として、セルロー
ス繊維のヒドロキシル基と共有結合する上記酸無水物は
通常、水性エマルジョンの形で紙料に添加される。この
水性エマルジョン化は水溶性ポリマー（カチオン化澱
粉、酸化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ポリビニ
ルアルコールなど）、界面活性剤（ポリオキシエチレン
ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビ
トールラウレート、ポリオキシエチレンアルキルアリー
ルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルな
ど）などの乳化剤を使用し、高速ミキサー、高圧ホモジ
ナイザー、アスピレーターなどの乳化装置を用い、水中
で強制的に乳化することによって行われている。

【０００４】しかしながら、特開昭５９−３０９９３号
公報に記載されるように、これら乳化剤と酸無水物とを
混合したままで数時間で沈殿物や濁りを発生するので短
時間内に使いきる必要がある（保存性が悪い）。また、
乳化性が不十分であったり、酸無水物のサイズ効果が低
減したりする。

【０００５】上記特開昭５９−３０９９３号公報に記載
の発明は、かかるジカルボン酸無水物に、特定の乳化
剤、例えば、ノニルフェノール・ポリ（オキシエチレ
ン）・アセチル化物、ノニルフェノール・ポリ（オキシ
エチレン）・メチルカルバモイル化合物、ノニルフェノ
ール・ポリ（オキシエチレン）付加物と無水マレイン酸
との１：１モル反応生成物を配合して製紙用サイズ剤の
長期保存（例えば６カ月）を可能ならしめている。

【０００６】しかしながら、上記乳化剤を用いたとき、
必ずしも乳化性が満足されず、サイズ効果を低下させる
ことがある。また、安定な乳化液を作るために高圧ホモ
ジナイザー等の非常に高価な乳化機が必要でもある。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特別
の乳化機を使用しなくても乳化が可能であり、優れた乳
化安定性及びサイズ効果を達成することのできる製紙用
サイズ剤を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決する製紙用サイズ剤について鋭意検討した結果、本
発明に到達した。すなわち、本発明は下記一般式（Ｉ）
で表されるジカルボン酸無水物及び下記一般式（ＩＩ）
で表される乳化剤を含有する製紙用サイズ剤を提供する
ものである。

【０００９】

【化３】

【００１０】

【化４】

【００１１】一般式（Ｉ）で表わされるジカルボン酸無
水物としては、一般式（Ｉ）中、Ｒ₁ が炭素数６〜３０
のアルキル基、アルケニル基が好ましく、特に炭素数１
２〜２４のアルケニル基が好ましい。一般式（Ｉ）で表
わされるジカルボン酸無水物としては、ドデシルコハク
酸無水物、ｎ−ヘキサデシルコハク酸無水物、ｎ−オク
タデセニル酸無水物、イソオクタデセニルコハク酸無水
物、１−メチル−２−ペンタデセニルコハク酸無水物、
１−プロピル−２−ぺンタデセニルコハク酸無水物等お
よびそれらの混合物が挙げられる。

【００１２】一般式（ＩＩ）で表される乳化剤はポリオ
キシアルキレン系非イオン界面活性剤のジカルボン酸ジ
エステルであり、Ｒ₂ のポリオキシアルキレン系非イオ
ン界面活性剤の残基とは該非イオン界面活性剤から水酸
基を除いた基を表し、Ａのジカルボン酸残基とは該ジカ
ルボン酸からカルボン酸基を除いた基を表す。本発明乳
化剤の残基Ｒ₂ を構成するポリオキシアルキレン系非イ
オン界面活性剤としては下記のものが挙げられる。

【００１３】（イ）炭素数が通常２〜１６のアルキル基
又はアルケニル基を少なくとも１個有するアルキル（又
はアルケニル）フェノール又はアルキル（又はアルケニ
ル）ナフトールのＡＯ付加物であるポリオキシアルキレ
ンアルキルアリールエーテル（ＡＯとは炭素数２〜８の
エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキ
シド、スチレンオキシド等であり、ＡＯ付加物とは上記
ＡＯが単独又は２種以上、又２種以上の場合はブロック
付加、ランダム付加のいずれかをいう。）

【００１４】（ロ）モノ〜トリスチレン化フェノール、
モノ〜トリベンジルフェノール、クミルフェノール等の
多環フェノールのＡＯ付加物であるポリオキシアルキレ
ンアラルキルアリールエーテル

【００１５】（ハ）炭素数が通常６〜２０の直鎖又は分
岐の天然又は合成アルコールのＡＯ付加物であるポリオ
キシアルキレンアルキルエーテル

【００１６】（ニ）炭素数が通常６〜２２の脂肪酸のＡ
Ｏ付加物であるポリオキシアルキレン脂肪酸エステル

【００１７】（ホ）炭素数が通常６〜２２のアルキルア
ミンのＡＯ付加物であるポリオキシアルキレンアルキル
アミン

【００１８】（ヘ）炭素数が通常８〜２０のアルキルメ
ルカプタンのＡＯ付加物であるポリオキシアルキレンア
ルキルメルカプタン

【００１９】（ト）脂肪酸とモノエタノールアミドとの
反応物であるモノエタノールアミド系非イオン界面活性
剤のＡＯ付加物であるポリオキシアルキレン脂肪酸モノ
エタノールアミド

【００２０】ＡＯの付加量は通常２〜１００モルである
が、好ましくは５〜３０モルであり、ＡＯの種類として
はエチレンオキシド、プロピレンオキシドが好ましい。

【００２１】ポリオキシアルキレン系非イオン界面活性
剤の中でも、ポリオキシエチレンアルキルアリールエー
テル、ポリオキシエチレンアラルキルフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのエチレンオ
キシド８〜２５モル付加物がより好ましい。

【００２２】本発明乳化剤のジカルボン酸残基Ａを構成
するジカルボン酸としては、シュウ酸、マレイン酸、ア
ジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、フタル酸、フマ
ル酸、コハク酸、イタコン酸又はこれらの無水物、ハロ
ゲン化物もしくは低級アルコールエステル化物等が挙げ
られる。

【００２３】一般式（ＩＩ）で表わされる乳化剤はポリ
オキシアルキレン系非イオン界面活性剤とジカルボン酸
又はそれらのハロゲン化物、無水物もしくはメチルエス
テル化物とを反応させることにより製造することができ
る。

【００２４】ジカルボン酸無水物に対する本発明の乳化
剤の使用割合はジカルボン酸無水物１００重量％当り該
乳化剤１〜２５重量％であり、好ましくは３〜２０重量
％である。

【００２５】上記割合は自由に変えることができるがジ
カルボン酸無水物１００重量％対し該乳化剤が１重量％
未満であると乳化性が悪く、また２５重量％を超えると
乳化性は良いがサイズ性能が著しく低下する。

【００２６】本発明における製紙用サイズ剤を水性エマ
ルジョン化する方法としてはジカルボン酸無水物と該乳
化剤を均一に混合しその混合物を水中に分散させ水性エ
マルジョン化するか、または該乳化剤を水中に分散させ
ておき、これにジカルボン酸無水物を添加して水性エマ
ルジョン化する方法などがあげられ、いずれの方法を使
用しても良いが、ジカルボン酸無水物と該乳化剤を均一
に混合しておき、その混合物を水中に分散させる方法が
簡便であり、両者を混合して長期間保存しても初期の乳
化性を持続しうる本発明のサイズ剤の特徴を充分に発揮
できる。さらに、水性エマルジョン化する際に乳化剤と
して他のアニオン又は非イオン界面活性剤と併用するこ
ともできる。又、水性エマルジョン化する際の混合機と
して、プロペラ型あるいはパドル型の撹拌機や、ライン
ミキサー等の簡単な撹拌装置を使用することもできる。

【００２７】本発明における製紙用サイズ剤は必要に応
じ他の内添サイズ剤たとえばロジン系サイズ剤、石油系
サイズ剤、ワックス系サイズ剤、アルキルケテンダイマ
ー等と併用してもよい。

【００２８】本発明のサイズ剤を歩留りよく使用するた
めに、定着剤の使用が有効である。定着剤としてはみょ
うばん、塩化アルミニウム、アルミン酸ナトリウムなど
の多価金属型の無機化合物やカチオン化澱粉やカチオン
性ポリマーがあり、カチオン性ポリマーにはポリアミン
ポリアミド−エピハロヒドリン系ポリマー、ポリビニル
ピリジン及びその四級化物、ジアリルハロゲン化物の環
化重合体、種々のカチオン化ポリアクリルアミド等があ
る。

【００２９】製紙を行なうに際して、本発明のサイズ剤
はパルプ１００重量％に対して固形分として０．０１〜
４重量％、好ましくは０．０５〜２重量％添加される。

【００３０】定着剤はサイズ剤と同時あるいは前、ある
いは後にパルプスラリー中に加えることができるが、サ
イズ剤の後に加えた方が好ましい。本サイズ剤を添加
し、抄紙した湿紙はその後８０〜１４０℃で乾燥し、製
品を得る。

【００３１】

【作用】本発明の乳化剤は他の必須成分であるジカルボ
ン酸無水物との反応性がなく、両者を混合して長期間保
存しても初期の乳化性を持続しうる。また従来のような
高価な乳化設備を必要とせず、簡単な撹拌装置で水性エ
マルジョンを得ることができる。

【００３２】

【実施例】次に、実施例により本発明を具体的に説明す
るが本発明はこれに限定されるものではない。

【００３３】実施例１〜５及び比較例１〜３ 炭素数１４〜１８の直鎖内部オレフィンから得られたア
ルケニル無水コハク酸に対し、表１に示す本発明乳化剤
および比較の乳化剤をそれぞれ４重量％均一に配合した
後、温度５０℃にて、１週間放置した。その後、おのお
のの配合物を水で０．５重量％になるように希釈し、プ
ロペラ型の撹拌羽根を用いて４００ｒ．ｐ．ｍで５分間
撹拌し、乳化した。

【００３４】この乳化物の粒子径、乳化物の安定性、お
よびこの乳化物を用いて抄紙した紙のステキヒト・サイ
ズ度の試験結果を表２に示す。各測定法と紙の抄紙条件
は下記の通りである。

【００３５】乳化物の粒子径：ダイナミック光散乱光度
計ＤＬＳ−７００（大塚電子株式会社）を用いて測定

【００３６】乳化物の安定性：調整５時間後の外観を目
視により次の評価基準で評価する。 ○ 安定で変化なし △ 上澄、沈殿あり × 分離

【００３７】紙の抄紙条件 パルプ ：ＬＢＫＰ フリーネス：４２０ｃｓｆ サイズ剤 ：固型分で０．２％／パルプ 定着剤 ：カチオン化澱粉 ０．５％／パルプ 抄紙機 ：タッピースタンダードマシン 成紙秤量 ：６０ｇ／ｍ² 乾燥 ：１１０℃ ２分

【００３８】ステキヒト・サイズ度 ＪＩＳ−Ｐ−８１２２による。

【００３９】実施例６〜７及び比較例４〜５ 炭素数１６〜２２の直鎖内部オレフィンから得られたア
ルケニル無水コハク酸に対し、表１に示す本発明乳化剤
Ｎｏ１及び比較乳化剤Ｎｏ６を各々８重量％、１８重量
％を均一に配合した後、実施例１〜５と同様の方法で試
験を行った。その結果を表２に合わせて示す。

【００４０】

【表１】

【００４１】

【表２】

【００４２】表２より従来の乳化剤を配合したサイズ剤
は、乳化しないか、又は乳化しても粒子径が大きいた
め、低いサイズ効果しか示さないが、本発明のサイズ剤
は乳化物の粒子径が非常に細かく、乳化安定性があり、
又紙に均一に分布することにより、良好なサイズ効果を
示した。

【００４３】

【発明の効果】本発明のサイズ剤を用いることにより、
特別の乳化機を用いなくとも容易に乳化が可能となり、
更に乳化エマルジョンは乳化安定性があり、優れたサイ
ズ効果が得られる。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 下記一般式（Ｉ）で表わされるジカルボ
   ン酸無水物及び下記一般式（ＩＩ）で表わされる乳化剤
   を含有する製紙用サイズ剤。 【化１】 【化２】