JPH06234545A - 光透過用合成石英ガラス - Google Patents

光透過用合成石英ガラス

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JPH06234545A
JPH06234545A JP2257693A JP2257693A JPH06234545A JP H06234545 A JPH06234545 A JP H06234545A JP 2257693 A JP2257693 A JP 2257693A JP 2257693 A JP2257693 A JP 2257693A JP H06234545 A JPH06234545 A JP H06234545A
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JP
Japan
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quartz glass
synthetic quartz
light
glass
concentration
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JP2257693A
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English (en)
Inventor
Shigetoshi Hayashi
茂利 林
Tadahisa Arahori
忠久 荒堀
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】均質で、光照射時の安定性が高い光透過用合成
石英ガラスの提供。 【構成】気相合成法により得られる合成石英ガラスであ
って、この石英ガラス中の塩素濃度が5ppm 以下、OH基
濃度が100ppm以下でかつその濃度の位置による変動幅が
30ppm 以下であり、しかも紫外領域において光吸収帯が
検出されないという特性を有する光透過用合成石英ガラ
ス。 【効果】特に紫外領域の光を扱う光学部品用の合成石英
ガラスとして好適で、リソグラフィー装置をはじめ、そ
の他の高集積回路製造装置や、紫外領域のレーザーを利
用した各種装置にも適用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紫外領域から赤外領域
にわたる広い波長領域の光を利用する際に使用されるレ
ンズやプリズム、窓材等の光学部品の素材として用いら
れる光透過用合成石英ガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】近年の光通信をはじめとする光産業の発
展にはめざましいものがある。現在、光通信に利用され
ているのは近赤外領域の光であるが、光応用技術全般に
目を向けると、紫外領域から赤外領域までの広い波長領
域の光の利用が試みられている。
【0003】光応用技術において、光の伝達手段として
は主に透過光学系と反射光学系とが利用されるが、透過
光学系に関してのみ考えても種々の硝子材が開発され、
利用されている。これらの硝子材のうち合成石英ガラス
はおよそ 150nm〜5μm という広い波長領域の光を透過
するので適用範囲が広いこと、熱膨張係数が小さいので
光軸のずれが小さく高精度な光学系を構成できること、
耐熱性が高いので広い温度範囲で使用できること、合成
石英ガラス自体が高純度の二酸化珪素(SiO2)であるた
め高エネルギー密度の光を照射しても損傷を受けにくい
こと、などの点で非常に優れた硝子材である。
【0004】合成石英ガラスのこのような特性を生かす
用途としては、例えばLSIなどの集積回路パターンを
露光描画するリソグラフィー装置に用いられる光学材料
への適用があげられる。
【0005】リソグラフィー技術においては、回路の集
積度を向上させるために露光用の光として波長の短い光
を用いるのが好ましく、露光光源としてHg輝線スペクト
ルのg線(435.8nm) やi線(365nm) が用いられてきた。
この波長領域の光に対しては、主に多成分系の光学ガラ
スが用いられている。しかし、露光波長をさらに短波長
化するためには光学部品に用いられる硝子材が耐光性に
優れ、屈折率分布が均一であることが要求され、合成石
英ガラスを用いることが不可欠となる。耐光性に関して
は、使用する光の波長領域で光吸収がなく、紫外領域の
波長の光を照射しても蛍光を発することがなく、長時間
の光照射を行った後にも光吸収帯が誘起されないことが
必要であり、屈折率に関しては、硝子材の位置による変
化(最大値と最小値の差)が5×10-6以下で、光学的に
均質であることが要求される。
【0006】一方、合成石英ガラスを製造するには種々
の方法があり、原料として天然の二酸化珪素(SiO2)を
用いていなければすべて合成石英ガラスという名称で呼
ばれているため、この合成石英ガラス中に含有される不
純物元素の濃度やその中に存在する欠陥の濃度等は合成
石英ガラスによって著しく異なり、すべての合成石英ガ
ラスが理想的な透過光学系用の硝子材となり得るわけで
はない。
【0007】合成石英ガラスの製造方法は気相合成法と
液相合成法とに大別され、気相合成法が主流である。こ
の気相合成法は、以下に述べるように、直接法、プラズ
マ法およびスート法に細分化される。
【0008】直接法は、合成石英ガラスの製造方法とし
ては最も古くから実用化されている方法である。一般的
には、蒸留精製した高純度の四塩化珪素(SiCl4) を酸素
−水素火炎中で加水分解して生成する石英ガラス(Si
O2)の微粒子を溶融石英ガラス等で作られた高温の出発
材の上に堆積させると同時に過剰の熱を加えて溶融し、
緻密化する。この方法では、石英ガラスの微粒子を溶融
し、緻密化する雰囲気中に多量の水分が含まれているの
で、通常、数100 〜1000ppm の水酸基(OH基)がガラス
中に残留する。また、加水分解時の生成物である塩素も
この雰囲気中に多量に存在するため、通常数10ppm の塩
素(Cl)がガラス中に残留する。さらに、合成時の酸素
および水素の供給条件に応じて水素分子(H2)や酸素分
子(O2)も溶存している。ガラス中に残留するOH基、塩
素、H2、O2などは合成石英ガラスの光吸収、蛍光、屈折
率等の光学特性に悪影響を及ぼし、高エネルギー密度の
光を照射した際の光学特性の安定性にも大きな影響を及
ぼす。
【0009】プラズマ法は、四塩化珪素などのガラス原
料を酸素プラズマ炎あるいは酸素を含むアルゴンプラズ
マ炎を用いて石英ガラス(SiO2)とする方法である。反
応環境中に水素が含まれていないので、近赤外領域の光
の伝送ロスの原因となるOH基を含まない合成石英ガラス
を製造することができ、光ファイバー用のコア材あるい
はクラッド材として注目されてきた。しかし、現在では
次に述べるスート法での脱OH基技術が進歩したことによ
り、プラズマ法による合成石英ガラスは特殊な用途にの
み用いられている。この製法による石英ガラス中には、
事実上OH基が含まれないが、プラズマガス中の酸素分圧
の変動等、製造条件によっては石英ガラス(SiO2)中に
酸素が過剰となった酸素過剰欠陥、あるいはそれが欠乏
した酸素欠乏欠陥が含まれることになる(以下、両者を
特に区別せずに酸素欠陥ということもある)。また、一
般に残留塩素の濃度は直接法により製造した合成石英ガ
ラスよりも高いと言われている。
【0010】スート法は直接法と同様に四塩化珪素など
のガラス原料を酸素−水素火炎中で加水分解して石英ガ
ラス(SiO2)を合成する方法であるが、酸素−水素火炎
の熱量を制御して、生成した石英ガラスの微粒子を緻密
化せずに一旦多孔体として堆積させ、この多孔体(スー
ト)を雰囲気制御した加熱炉中で焼結して緻密化するこ
とにより高品質の合成石英ガラスを製造する方法であ
る。焼結時の雰囲気制御により、OH基、塩素、その他の
不純物の濃度を広い範囲でコントロールすることができ
る。
【0011】従来、種々の光学部品の素材として用いら
れてきた合成石英ガラスの多くは上記の直接法により製
造されたものであり、 600〜1000ppm の高濃度のOH基を
含有する。このような合成石英ガラスにおいては、OH基
の濃度が高いことに起因する種々の光学特性の劣化が知
られており、例えば、OH基の濃度が増加するとともに、
石英ガラス中に吸蔵されるH2の量が増加し、耐光性が低
下する。また、OH基の濃度分布にばらつきがあると屈折
率の位置による不均一性が大きくなることも公知であ
る。
【0012】さらに、石英ガラスの遠紫外領域(波長 2
00nm以下)での光吸収に関しては、OH基の存在に起因す
る光吸収帯が 150nm近傍の波長域に存在し、しかもOH基
が多量に含まれる石英ガラスではその吸収ピークの裾が
広がるので、 180nm以下の波長の光に対する透過率が悪
くなる。
【0013】上記のようなOH基の濃度が高いことに起因
する合成石英ガラスの光学特性の劣化を避けるためにOH
基の濃度を100ppm以下に低下させると、今度は石英ガラ
ス中に酸素欠乏欠陥が生成し、紫外領域に光吸収帯が生
じたり、紫外領域の波長を有する光の照射により蛍光を
発したりする。また、エキシマレーザー等の高エネルギ
ー密度の光の照射により光損傷をうけ、その部分が構造
欠陥となり、光吸収帯を生成することも知られている。
【0014】このような光学特性の劣化のうち、石英ガ
ラス中に吸蔵されるH2の量の増加に起因する耐光性の低
下については、合成された石英ガラスに対し脱ガス(H2)
処理を行うことにより排除することができる(特開平2
− 69332号公報)。また、屈折率分布の不均一性につい
ては、合成石英ガラスを製造する際の熱処理時における
温度分布が屈折率分布に影響を及ぼすことを利用して温
度分布の屈折率に及ぼす影響を打ち消すように予めOH基
の濃度分布を制御しておくことにより、温度分布が屈折
率に及ぼす影響とOH基の濃度分布が屈折率に及ぼす影響
とが互いに相殺され、屈折率分布をほぼ一定にできるこ
とが明らかにされている(特開平2−102139号公報)。
しかしながら、合成石英ガラス中に含まれるOH基や塩
素、あるいは酸素欠陥などに起因する光学特性の劣化は
未だ完全には解決されていない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、合成石英ガ
ラスを光透過体として使用する上で重要なOH基や塩素の
残存、酸素欠陥等の存在によるSiO2の構造の不完全性を
解消し、光学的に均質で、光照射時の光学特性の安定性
が高い光透過用合成石英ガラスを提供することを課題と
してなされたものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこの発明を
なすにあたり、前記のようにOH基濃度を低下させた合成
石英ガラスにおける酸素欠陥に起因する光吸収帯の生
成、蛍光の発生あるいは光損傷の原因は、OH基濃度が低
いためではなく、下記 (1)式または (2)式により酸素欠
陥を修復して正常な結合(≡Si−O−Si≡)とするに充
分なOH基濃度が確保されないことが原因であることに着
目した。
【0017】 ≡Si−OH HO−Si≡ → ≡Si−O−Si≡ + H2O ・・・ (1) ≡Si−OH Cl−Si≡ → ≡Si−O−Si≡ + HCl ・・・ (2) つまり、後述するように、酸素欠乏欠陥の生成は石英ガ
ラス(SiO2)中に残存している塩素に起因するので、石
英ガラスの塩素濃度を出来るだけ低下させて酸素欠陥の
生成を防止すれば、石英ガラスが有している優れた光学
特性を利用するうえで必ずしも必要ではなく、光学的均
質性、すなわち屈折率分布の均一化を困難にするOH基の
濃度を低下させることができ、光吸収がなく、蛍光も検
出されず、光損傷をうけにくい合成石英ガラスを得るこ
とが可能であると考えられる。
【0018】本発明は上記の考え方のもとになされたも
ので、その要旨は、『気相合成法により得られる合成石
英ガラスであって、この合成石英ガラスの塩素濃度が5
ppm以下、OH基濃度が100ppm以下でかつOH基濃度の位置
による変動幅が30ppm 以下であり、しかも紫外領域にお
いて光吸収帯が検出されないことを特徴とする光透過用
合成石英ガラス』にある。
【0019】本発明の合成石英ガラスは、気相合成法に
よって得られ、上記の規定を満たすものであればよい
が、この規定を満たす合成石英ガラスを得るためには、
四塩化珪素などのガラス原料を酸素−水素火炎中で加水
分解して石英ガラスとする際に、二酸化珪素の微粒子を
直ちに溶融、緻密化せずに、一旦多孔体として堆積さ
せ、この多孔体を雰囲気制御した加熱炉中で焼結して緻
密化する方法を採るのが望ましい。前記のガラス原料を
酸素プラズマ炎あるいは酸素を含むアルゴンプラズマ炎
を用いて石英ガラスとしてもよい。
【0020】前記のOH基濃度の位置による変動幅が 30p
pm以下というのは、気相合成法によって得られた一つの
合成石英ガラスにおいて、測定する位置によってOH基濃
度にばらつきが生じ得るが、そのばらつきが、その合成
石英ガラスのどの位置における測定値を採っても最大値
と最小値の差が 30ppm以下である、ということである。
【0021】
【作用】以下、本発明の構成要件を上記のように定めた
理由について説明する。
【0022】本発明の合成石英ガラスに含まれる塩素の
濃度を5ppm 以下とするのは、石英ガラス中の酸素欠乏
欠陥の生成を抑制するためである。
【0023】酸素欠乏欠陥とは、≡Si−Si≡ 型の結合
を指す。主として下記の (3)式のように石英ガラス(Si
O2)中に残存している塩素、ふっ素等のハロゲン元素の
脱離によるものであることが知られており、焼結前の石
英ガラス(SiO2)の多孔体中にハロゲン元素が存在しな
いことが望ましい。
【0024】 ≡Si−Cl Cl−Si≡ → ≡Si−Si≡ + Cl2 ・・・ (3) また、焼結により緻密化された石英ガラス中に存在する
Si−X結合(Xは塩素、ふっ素などのハロゲン元素を
意味する)はエキシマレーザー等の強力な紫外光線によ
り切断されやすく、光吸収欠陥の生成原因となり得るの
で、緻密な石英ガラス中にもハロゲン元素が残存しない
ようにすることが望ましい。このような欠陥の生じない
塩素濃度の許容上限が5ppm である。
【0025】一方、酸素過剰欠陥とは石英ガラス中に溶
存した酸素分子(O2)、あるいは、≡Si−O−O−Si≡
型の結合を指すが、気相合成反応時には過剰の酸素分
圧とするのが一般的なので、反応により生成した石英ガ
ラス微粒子中に潜在的に存在しやすい欠陥である。この
酸素過剰欠陥を除去するには、得られた合成石英ガラス
の多孔体を例えば真空下で加熱する方法が有効である。
【0026】このように酸素欠乏欠陥や酸素過剰欠陥の
生成を防止することができれば、酸素欠乏欠陥による光
吸収帯(7.6、6.7 、5.0eV)、および酸素過剰欠陥による
光吸収帯(3.9eV) が検出されない合成石英ガラスとする
ことができ、光の照射により蛍光を発したり、高エネル
ギー密度の光により光損傷を生じたりすることがない。
【0027】また、合成石英ガラスに含まれる塩素濃度
を5ppm 以下とすることにより塩素の濃度分布の変動を
十分小さくし、塩素濃度の変動に起因する屈折率の変動
を抑えることができるので、均質性に悪影響を及ぼすこ
ともない。
【0028】石英ガラスのOH基濃度を100ppm以下とする
のは、OH基濃度の上昇とともに増加する水素分子(H2
の残存を抑制するとともにOH基濃度の変動を小さくする
ためである。OH基濃度が100ppmを超える場合は、次に述
べるようにOH基濃度の位置による変動幅を30ppm 以下に
減少させて屈折率分布の位置による変動幅を小さくし、
光学的に均質度の高い合成石英ガラスを得るのが困難に
なる。
【0029】OH基濃度の位置による変動幅を 30ppm以下
とするのは、屈折率分布の位置による変動が5×10-6
下の光学的に均質度の高い合成石英ガラスを得るため
で、OH基濃度の位置による変動が30ppm を超えると均質
性に優れた合成石英ガラスを得ることはできない。
【0030】本発明の合成石英ガラスは上記の条件を満
たしているほかに、紫外領域において光吸収帯が検出さ
れないものであることが必要である。合成石英ガラスの
OH基濃度が100ppm以下でかつその位置による変動幅を 3
0ppm以下とし、塩素濃度を5ppm 以下とすることにより
合成石英ガラスの光学的な均質性を高めることができ
る。また、塩素濃度を上記のように規定することは石英
ガラス(SiO2)における酸素欠乏欠陥の生成の防止に有
効で、蛍光の発生や光損傷が生じにくい。しかし、紫外
領域において光吸収帯が検出される場合は、光の照射に
より蛍光を発し、あるいは高エネルギー密度の光により
光損傷を生じ、光照射時の安定性が高い光透過用合成石
英ガラスを得ることができない。
【0031】本発明の光透過用合成石英ガラスは、前記
のように四塩化珪素などのガラス原料を酸素−水素火炎
中で加水分解して石英ガラスの多孔体として堆積させ、
この多孔体を雰囲気制御した加熱炉中で焼結して緻密化
する方法により製造することができる。この加熱炉内で
の処理は、例えば、酸化性雰囲気中および真空下で行
い、これによって塩素濃度、およびOH基濃度とその変動
幅が規定の範囲内に入るように調整する。紫外領域にお
いて光吸収帯が検出されないようにするためには酸素過
剰欠陥ならびに酸素欠乏欠陥を極力減少させることが必
要で、加熱炉内での処理条件を適宜コントロールする。
【0032】
【実施例】半導体用多結晶Siの原料であるトリクロルシ
ラン(SiHCl3)を製造する過程で得られる高純度の四塩
化珪素(SiCl4)を原料とし、気相反応により石英ガラス
の微粒子の集合体(スート)を合成した。このスートを
雰囲気加熱炉内の石英ガラスチャンバー内に容れ、酸化
性雰囲気あるいは露点の高い不活性ガス雰囲気中で約10
00℃で加熱処理し、さらに内部を真空に保持した加熱炉
に移しかえ、約1000℃に保持した後、約1500℃
で加熱して緻密な石英ガラス塊とした。
【0033】この合成石英ガラス塊を厚さ30mmの円板と
し、視野を 100mmφとして屈折率を測定し、その均質性
を調査した。
【0034】さらに、この円板の中心から半径方向に10
mm×10mmの寸法で試験片を切り出し(厚さ30mm)、円板
の厚さ方向に長方形をなす4面(各面とも10mm×30mm)
を鏡面研磨した試験片を5個作製し、赤外吸収法による
OH基の濃度ならびにOH基濃度の位置による変動(ΔOH
基)の測定、紫外領域における吸収帯の有無の測定およ
びレーザー照射試験を行った後、微量金属不純物および
塩素の濃度を測定した。
【0035】なお、ΔOH基とは鏡面研磨した1面(10mm
×30mm)におけるOH基濃度の最大値と最小値の差であ
る。また、レーザー照射試験は、 KrFエキシマレーザー
(248nm)を光源とし、1パルスあたりのエネルギー密度
を400mJ/cm2 として1×105 パルス照射の条件で行い、
照射時の蛍光の検出の有無と、照射前後の光吸収スペク
トル変化から透過率の変化を調査した。
【0036】試験結果を表1に示す。この表において、
均質性とは屈折率の前記の視野内における均一性で、屈
折率の最大値と最小値の差(Δn)が4×10-6未満であ
れば良好(○)、4×10-6以上であれば不良(×)とし
た。また、透過率は、レーザー照射後の 248nmにおける
透過率の低下が 0.5%以下の場合は「低下しない
(○)」、 0.5%を超え2%の場合は「やや低下した
(△)」、2%を超える場合は「低下した(×)」とし
た。
【0037】この結果から明らかなように、石英ガラス
中のOH基濃度が100ppmを超える No.1の試料では、OH基
濃度の位置による変動幅(ΔOH基)の制御性が悪く、△
OH基濃度が本発明で規定する値よりも大きくなり、均質
性が不良であった。また、蛍光も検出された。
【0038】OH基濃度およびその位置による変動幅が小
さくてもCl濃度が本発明で定める値(5ppm 以下)より
はるかに高い300ppmで、紫外領域における光吸収帯が認
められる No.5の試料では、蛍光、透過率、均質性の全
ての特性が不良であった。
【0039】OH基濃度およびCl濃度が規定値内にあって
も、紫外領域における光吸収が検出される No.2の試料
では、蛍光特性および透過率が悪かった。
【0040】これらの試料に対し、OH基濃度およびCl濃
度が規定値内にあり、紫外領域での光吸収もない No.3
および4の試料では、蛍光、透過率および均質性の全て
が良好で、エキシマレーザー用などの紫外域高出力光用
の硝子材として使用できるレベルであった。
【0041】なお、金属不純物はいずれの試料において
もICP(プラズマ発光分析法)の検出下限以下であっ
た。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明の合成石英ガラスは光学的に均質
で、蛍光を発しにくく、透過率も良好であるなど、光照
射時の光学特性の安定性が高い。特に紫外領域の光を扱
う光学部品用の合成石英ガラスとして好適で、リソグラ
フィー装置をはじめ、その他の高集積回路製造装置や、
紫外領域のレーザーを利用した各種装置にも適用するこ
とができる。
【0044】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】気相合成法により得られる合成石英ガラス
    であって、この合成石英ガラスの塩素濃度が5ppm 以
    下、OH基濃度が100ppm以下でかつOH基濃度の位置による
    変動幅が30ppm 以下であり、しかも紫外領域において光
    吸収帯が検出されないことを特徴とする光透過用合成石
    英ガラス。
JP2257693A 1993-02-10 1993-02-10 光透過用合成石英ガラス Pending JPH06234545A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7506521B2 (en) * 2004-12-29 2009-03-24 Corning Incorporated High transmission synthetic silica glass and method of making same
US7506522B2 (en) * 2004-12-29 2009-03-24 Corning Incorporated High refractive index homogeneity fused silica glass and method of making same
JP2009262561A (ja) * 2008-04-23 2009-11-12 Xerox Corp ウェブプリンタ用位置合わせシステム

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