JPH06228763A - 耐食性・カチオン電着性に優れた有機複合鋼板 - Google Patents
耐食性・カチオン電着性に優れた有機複合鋼板Info
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- JPH06228763A JPH06228763A JP1312493A JP1312493A JPH06228763A JP H06228763 A JPH06228763 A JP H06228763A JP 1312493 A JP1312493 A JP 1312493A JP 1312493 A JP1312493 A JP 1312493A JP H06228763 A JPH06228763 A JP H06228763A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、亜鉛系めっきの表面に第1層とし
てクロメート皮膜を、さらにその上層にα−Al2 O3
/SiO2 を防錆顔料、メラミンシアヌレートを導電性
顔料として含有するウレタン変性エポキシ樹脂皮膜を有
する耐食性とカチオン電着性に優れた有機複合鋼板を提
供するものである。 【構成】 亜鉛系めっき鋼板の表面に第1層としてクロ
メート皮膜を5〜150mg/m2 有する鋼板に、第2
層として下記に示す塗料組成物を固形皮膜として0.2
〜3.0μm形成することを特徴とする。 (A)ウレタン変性エポキシ樹脂が塗料固形分中30重
量%以上 (B)オキサゾリン環含有アクリル化合物がエポキシ樹
脂に対して当量比で1/0.8〜1/1.2 (C)防錆顔料としてα−Al2 O3 /SiO2 (平均
粒径8mμ以下)が塗料固形分中10〜40重量% (D)メラミンシアヌレートが塗料固形分中0.5〜1
0重量%
てクロメート皮膜を、さらにその上層にα−Al2 O3
/SiO2 を防錆顔料、メラミンシアヌレートを導電性
顔料として含有するウレタン変性エポキシ樹脂皮膜を有
する耐食性とカチオン電着性に優れた有機複合鋼板を提
供するものである。 【構成】 亜鉛系めっき鋼板の表面に第1層としてクロ
メート皮膜を5〜150mg/m2 有する鋼板に、第2
層として下記に示す塗料組成物を固形皮膜として0.2
〜3.0μm形成することを特徴とする。 (A)ウレタン変性エポキシ樹脂が塗料固形分中30重
量%以上 (B)オキサゾリン環含有アクリル化合物がエポキシ樹
脂に対して当量比で1/0.8〜1/1.2 (C)防錆顔料としてα−Al2 O3 /SiO2 (平均
粒径8mμ以下)が塗料固形分中10〜40重量% (D)メラミンシアヌレートが塗料固形分中0.5〜1
0重量%
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は薄膜塗装を施した有機複
合鋼板に関わり、更に詳しくは、自動車用鋼板として耐
食性に優れた有機複合鋼板を提供するものである。
合鋼板に関わり、更に詳しくは、自動車用鋼板として耐
食性に優れた有機複合鋼板を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車や家電向けの亜鉛系めっき
鋼板に対して、製品の品質向上や高機能化、並びに低コ
スト化という市場ニーズがますます高まり、これに呼応
した新製品の開発研究が最近盛んに行なわれている。し
かし、亜鉛めっき鋼板は犠牲防食作用による耐食性に頼
っているため、さらなる耐食性向上となるとめっき付着
量の増加が避けられず、結果としてプレス成形性、スポ
ット溶接性の劣化をもたらすという問題がある。また、
低めっき付着量による耐食性鋼板として、亜鉛とNi,
Co,Cr,Fe,Mn等を合金化させためっき鋼板や
多層めっき鋼板が開発された。しかし、自動車車体中で
より苛酷な腐食条件下にさらされるヘム部や袋構造部に
対しては十分な耐食性を有するものではなかった。その
ような中で、表面に薄膜の有機樹脂を被覆することによ
って耐食性を向上させた有機複合鋼板が開発、実用化さ
れた。
鋼板に対して、製品の品質向上や高機能化、並びに低コ
スト化という市場ニーズがますます高まり、これに呼応
した新製品の開発研究が最近盛んに行なわれている。し
かし、亜鉛めっき鋼板は犠牲防食作用による耐食性に頼
っているため、さらなる耐食性向上となるとめっき付着
量の増加が避けられず、結果としてプレス成形性、スポ
ット溶接性の劣化をもたらすという問題がある。また、
低めっき付着量による耐食性鋼板として、亜鉛とNi,
Co,Cr,Fe,Mn等を合金化させためっき鋼板や
多層めっき鋼板が開発された。しかし、自動車車体中で
より苛酷な腐食条件下にさらされるヘム部や袋構造部に
対しては十分な耐食性を有するものではなかった。その
ような中で、表面に薄膜の有機樹脂を被覆することによ
って耐食性を向上させた有機複合鋼板が開発、実用化さ
れた。
【0003】例えば、特公昭64−11830号公報が
ある。この発明は亜鉛めっき、アルミニウムめっき、ま
たは亜鉛系複合合金めっきを施した鋼板の第1層とし
て、水可溶分が5%以下の難溶性クロメート皮膜を10
〜150mg/m2 形成し、更にその上層に第2層とし
て下記割り合いからなる塗料組成物を固形皮膜として
0.3〜5μm薄膜塗装してなることを特徴とするプレ
ス加工性、溶接性、電着塗装性、耐食性に優れた有機複
合鋼板、に関するものである。 (A)数平均分子量300〜100000のビスフェノ
ール型エポキシ樹脂を塗料固形分中30重量%以上、
(B)ポリイソシアネート化合物およびブロックポリイ
ソシアネート化合物からなる群より選ばれる少なくとも
1種の硬化剤をエポキシ樹脂固形分に対し重量比で1/
10〜20/10、(C)平均粒径0.1〜100mμ
のヒュームドシリカを塗料固形分中5〜50重量%、
(D)ケトン系有機溶剤を塗料重量の40重量%以上含
有し、塗料固形分が10〜50重量%でなる塗料組成
物。しかし、耐食性とカチオン電着性やプレス成形性、
スポット溶接性をバランスさせることが難しく、これら
性能を優先させると耐食性が低下する、逆に耐食性を優
先させると他性能が低下するという問題がある。
ある。この発明は亜鉛めっき、アルミニウムめっき、ま
たは亜鉛系複合合金めっきを施した鋼板の第1層とし
て、水可溶分が5%以下の難溶性クロメート皮膜を10
〜150mg/m2 形成し、更にその上層に第2層とし
て下記割り合いからなる塗料組成物を固形皮膜として
0.3〜5μm薄膜塗装してなることを特徴とするプレ
ス加工性、溶接性、電着塗装性、耐食性に優れた有機複
合鋼板、に関するものである。 (A)数平均分子量300〜100000のビスフェノ
ール型エポキシ樹脂を塗料固形分中30重量%以上、
(B)ポリイソシアネート化合物およびブロックポリイ
ソシアネート化合物からなる群より選ばれる少なくとも
1種の硬化剤をエポキシ樹脂固形分に対し重量比で1/
10〜20/10、(C)平均粒径0.1〜100mμ
のヒュームドシリカを塗料固形分中5〜50重量%、
(D)ケトン系有機溶剤を塗料重量の40重量%以上含
有し、塗料固形分が10〜50重量%でなる塗料組成
物。しかし、耐食性とカチオン電着性やプレス成形性、
スポット溶接性をバランスさせることが難しく、これら
性能を優先させると耐食性が低下する、逆に耐食性を優
先させると他性能が低下するという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、プレス成形
性、スポット溶接性といった性能を低下させることな
く、有機複合鋼板の耐食性とカチオン電着性向上を実現
するものである。
性、スポット溶接性といった性能を低下させることな
く、有機複合鋼板の耐食性とカチオン電着性向上を実現
するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題解決のため、本
発明は亜鉛系めっきの表面に第1層としてクロメート皮
膜を5〜150mg/m2 有する鋼板に、第2層として
下記に示す塗料組成物を固形皮膜として0.2〜3.0
μm形成してなることを特徴とする有機複合鋼板の発明
に至った。 (A)ウレタン変性エポキシ樹脂が塗料固形分中30重
量%以上 (B)オキサゾリン環含有アクリル化合物がエポキシ樹
脂に対して当量比で1/0.8〜1/1.2 (C)防錆顔料としてα−Al2 O3 /SiO2 (平均
粒径8mμ以下)が塗料固形分中10〜40重量% (D)メラミンシアヌレートが塗料固形分中0.5〜1
0重量% 図1にこの皮膜構成を示す。図1に示すように、鋼板1
の表面にZn系めっき皮膜2である、例えばZn,Zn
−12%Ni,Zn−12%Ni−1%Co,Zn−1
5%Fe,Zn−13%Cr,Zn−9%Cr−2%N
iを5〜100g/m2 をめっきし、その上にクロメー
ト皮膜3を5〜150mg/m2 形成させ、その上に有
機皮膜であるウレタン変性エポキシ樹脂4を0.2〜
3.0μm塗布する。
発明は亜鉛系めっきの表面に第1層としてクロメート皮
膜を5〜150mg/m2 有する鋼板に、第2層として
下記に示す塗料組成物を固形皮膜として0.2〜3.0
μm形成してなることを特徴とする有機複合鋼板の発明
に至った。 (A)ウレタン変性エポキシ樹脂が塗料固形分中30重
量%以上 (B)オキサゾリン環含有アクリル化合物がエポキシ樹
脂に対して当量比で1/0.8〜1/1.2 (C)防錆顔料としてα−Al2 O3 /SiO2 (平均
粒径8mμ以下)が塗料固形分中10〜40重量% (D)メラミンシアヌレートが塗料固形分中0.5〜1
0重量% 図1にこの皮膜構成を示す。図1に示すように、鋼板1
の表面にZn系めっき皮膜2である、例えばZn,Zn
−12%Ni,Zn−12%Ni−1%Co,Zn−1
5%Fe,Zn−13%Cr,Zn−9%Cr−2%N
iを5〜100g/m2 をめっきし、その上にクロメー
ト皮膜3を5〜150mg/m2 形成させ、その上に有
機皮膜であるウレタン変性エポキシ樹脂4を0.2〜
3.0μm塗布する。
【0006】
【作用および実施例】以下に、本発明の構成因子の作用
と作用範囲について実験結果から述べる。 (1)クロメート皮膜 本発明に用いるクロメート皮膜は、下地めっき層と有機
皮膜との間にあって、めっき皮膜と有機皮膜の密着性を
向上させ、結果として有機複合鋼板としての耐食性確保
の上で重要な役割りを果している。クロメートの種類は
すでに公知の電解クロメート、塗布型クロメートいずれ
でもよく、その処理方法に特に制限はない。クロメート
皮膜の付着量は、総クロム量として5mg/m2 未満で
は上層有機皮膜との密着性が不足すること、あるいは耐
食性向上に対する効果が得られない。一方、総クロム量
が150mg/m2 を超えては、プレス加工等によるク
ロメート皮膜の凝集破壊からめっき皮膜と有機皮膜の密
着性低下が著しく、また、連続スポット溶接時の連続打
点にも弊害を生じる。以上から、クロメート皮膜の付着
量は、5mg/m2 〜150mg/m2 の範囲でなけれ
ばならず、より好ましい範囲は総クロム量として、15
〜100mg/m2 である。
と作用範囲について実験結果から述べる。 (1)クロメート皮膜 本発明に用いるクロメート皮膜は、下地めっき層と有機
皮膜との間にあって、めっき皮膜と有機皮膜の密着性を
向上させ、結果として有機複合鋼板としての耐食性確保
の上で重要な役割りを果している。クロメートの種類は
すでに公知の電解クロメート、塗布型クロメートいずれ
でもよく、その処理方法に特に制限はない。クロメート
皮膜の付着量は、総クロム量として5mg/m2 未満で
は上層有機皮膜との密着性が不足すること、あるいは耐
食性向上に対する効果が得られない。一方、総クロム量
が150mg/m2 を超えては、プレス加工等によるク
ロメート皮膜の凝集破壊からめっき皮膜と有機皮膜の密
着性低下が著しく、また、連続スポット溶接時の連続打
点にも弊害を生じる。以上から、クロメート皮膜の付着
量は、5mg/m2 〜150mg/m2 の範囲でなけれ
ばならず、より好ましい範囲は総クロム量として、15
〜100mg/m2 である。
【0007】(2)有機皮膜 本発明の有機塗膜形成の上で用いられるベース樹脂は、
ウレタン変性エポキシ樹脂である。化1にその分子構造
を示す。カルボキシル基を有するビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂ベースのポリカーボネートをウレタン結合で
高分子化し、その両末端にアミン基を有する構造をとっ
ている。膜厚は0.2μm以下では耐食性が不十分であ
り、3.0μm以上ではスポット溶接性が低下するた
め、0.2〜3.0μmの範囲でなければならない。
ウレタン変性エポキシ樹脂である。化1にその分子構造
を示す。カルボキシル基を有するビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂ベースのポリカーボネートをウレタン結合で
高分子化し、その両末端にアミン基を有する構造をとっ
ている。膜厚は0.2μm以下では耐食性が不十分であ
り、3.0μm以上ではスポット溶接性が低下するた
め、0.2〜3.0μmの範囲でなければならない。
【0008】
【化1】
【0009】図2はベースエポキシ樹脂の変性が有機複
合鋼板の耐食性に及ぼす影響を示したものである。横軸
に樹脂の種類を、縦軸にサイクル腐食試験300サイク
ル後の赤錆発生面積をとっている。ウレタン変性エポキ
シ樹脂をベース樹脂としたものが最も優れた耐食性を示
している。このベースエポキシ樹脂のウレタンによる変
性量は図3より60〜90%と規定した。図3はベース
エポキシ樹脂のウレタン変性量が有機複合鋼板の耐食性
に及ぼす影響について示したものである。横軸にウレタ
ン変性量を、縦軸にサイクル腐食試験300サイクル後
の赤錆発生面積をとっている。60〜90%で良好な耐
食性を示しており、75%で最もよい耐食性を示した。
このベース樹脂の配合量は塗料固形分中30重量%以上
とする必要があり、30重量%以下の場合にはベース樹
脂の防錆顔料に対するバインダー作用が低下し、塗料化
が難しくなると同時に、塗膜が脆く加工密着性が不十分
となる。
合鋼板の耐食性に及ぼす影響を示したものである。横軸
に樹脂の種類を、縦軸にサイクル腐食試験300サイク
ル後の赤錆発生面積をとっている。ウレタン変性エポキ
シ樹脂をベース樹脂としたものが最も優れた耐食性を示
している。このベースエポキシ樹脂のウレタンによる変
性量は図3より60〜90%と規定した。図3はベース
エポキシ樹脂のウレタン変性量が有機複合鋼板の耐食性
に及ぼす影響について示したものである。横軸にウレタ
ン変性量を、縦軸にサイクル腐食試験300サイクル後
の赤錆発生面積をとっている。60〜90%で良好な耐
食性を示しており、75%で最もよい耐食性を示した。
このベース樹脂の配合量は塗料固形分中30重量%以上
とする必要があり、30重量%以下の場合にはベース樹
脂の防錆顔料に対するバインダー作用が低下し、塗料化
が難しくなると同時に、塗膜が脆く加工密着性が不十分
となる。
【0010】次に硬化剤はオキサゾリン環含有アクリル
化合物である。図4にその構造を示す。この化合物はベ
ース樹脂と単時間で反応するとともに、緻密な有機膜を
生成するので、図5に示すように下地のクロメート皮膜
からのCr6+の溶出を押さえる。図5は硬化剤種がベー
ス樹脂の硬化時間、成膜後のCr6+の溶出性(成膜性)
に及ぼす影響について示したものである。横軸に硬化剤
種を、縦軸左に硬化時間を、縦軸右にCr6+の溶出量を
とっている。オキサゾリン環含有アクリル化合物が硬化
時間、Cr6+の耐溶出性とも優れている。
化合物である。図4にその構造を示す。この化合物はベ
ース樹脂と単時間で反応するとともに、緻密な有機膜を
生成するので、図5に示すように下地のクロメート皮膜
からのCr6+の溶出を押さえる。図5は硬化剤種がベー
ス樹脂の硬化時間、成膜後のCr6+の溶出性(成膜性)
に及ぼす影響について示したものである。横軸に硬化剤
種を、縦軸左に硬化時間を、縦軸右にCr6+の溶出量を
とっている。オキサゾリン環含有アクリル化合物が硬化
時間、Cr6+の耐溶出性とも優れている。
【0011】また、この硬化剤は150℃以下の低温で
もベース樹脂と反応するため、プレス成形性を向上させ
たBH鋼板への適用にも問題がない。このオキサゾリン
環含有アクリル化合物の配合量は、図6に示すようにベ
ース樹脂のウレタン変性エポキシ樹脂に対して当量比1
/0.8〜1/1.2がよい。図6はベース樹脂と硬化
剤の混合比が有機被覆鋼板の耐食性に及ぼす影響につい
て示したものである。横軸にベース樹脂と硬化剤の混合
当量比を、縦軸にサイクル腐食試験300サイクル後の
赤錆発生面積をとっている。当量比1/0.8〜1/
1.2で良好な耐食性を示している。次に本発明におい
ては、脱脂・化成処理浴中に有害物質が溶出することな
く高耐食性を付与するために、防錆顔料として平均粒径
8mμのα−Al2 O3 /SiO2 が塗料固形分中10
〜40重量%添加されている。
もベース樹脂と反応するため、プレス成形性を向上させ
たBH鋼板への適用にも問題がない。このオキサゾリン
環含有アクリル化合物の配合量は、図6に示すようにベ
ース樹脂のウレタン変性エポキシ樹脂に対して当量比1
/0.8〜1/1.2がよい。図6はベース樹脂と硬化
剤の混合比が有機被覆鋼板の耐食性に及ぼす影響につい
て示したものである。横軸にベース樹脂と硬化剤の混合
当量比を、縦軸にサイクル腐食試験300サイクル後の
赤錆発生面積をとっている。当量比1/0.8〜1/
1.2で良好な耐食性を示している。次に本発明におい
ては、脱脂・化成処理浴中に有害物質が溶出することな
く高耐食性を付与するために、防錆顔料として平均粒径
8mμのα−Al2 O3 /SiO2 が塗料固形分中10
〜40重量%添加されている。
【0012】図8は防錆顔料の構造と添加量の違いが有
機複合鋼板の耐食性に及ぼす影響を示したものである。
横軸にAl2 O3 /SiO2 の添加量を、縦軸にサイク
ル腐食試験300サイクル後の赤錆発生面積をとってい
る。α−Al2 O3 /SiO2 (コロイダルシリカ)を
防錆顔料として添加した系では10%以上の添加量で赤
錆発生0となり、良好な耐食性を示している。ただし、
40%を超過すると成膜後の塗膜が脆くなる、あるいは
スポット溶接性が低下するので好ましくない。次にAl
2 O3 をα型からγ型へと変えたγ−Al2 O3 /Si
O2 (コロイダルシリカ)を防錆顔料として添加した系
であるが、25%まで添加しても赤錆発生が50%以上
あり、耐食性が不十分である。
機複合鋼板の耐食性に及ぼす影響を示したものである。
横軸にAl2 O3 /SiO2 の添加量を、縦軸にサイク
ル腐食試験300サイクル後の赤錆発生面積をとってい
る。α−Al2 O3 /SiO2 (コロイダルシリカ)を
防錆顔料として添加した系では10%以上の添加量で赤
錆発生0となり、良好な耐食性を示している。ただし、
40%を超過すると成膜後の塗膜が脆くなる、あるいは
スポット溶接性が低下するので好ましくない。次にAl
2 O3 をα型からγ型へと変えたγ−Al2 O3 /Si
O2 (コロイダルシリカ)を防錆顔料として添加した系
であるが、25%まで添加しても赤錆発生が50%以上
あり、耐食性が不十分である。
【0013】また、SiO2 をコロイダルシリカからヒ
ュームドシリカへと変えたα−Al 2 O3 /SiO
2 (ヒュームドシリカ)を防錆顔料として添加した系で
あるが、25%まで添加しても赤錆発生が75%以上あ
り、耐食性が不十分である。図8はα−Al2 O3 とS
iO2 の混合量が有機複合鋼板の耐食性に及ぼす影響を
示したものである。横軸にα−Al2 O3 とSiO2 の
モル混合比を、縦軸にサイクル腐食試験300サイクル
後の赤錆発生面積をとっている。α−Al2O3 とSi
O2 のモル比が3:2で最も良好な耐食性を示してい
る。
ュームドシリカへと変えたα−Al 2 O3 /SiO
2 (ヒュームドシリカ)を防錆顔料として添加した系で
あるが、25%まで添加しても赤錆発生が75%以上あ
り、耐食性が不十分である。図8はα−Al2 O3 とS
iO2 の混合量が有機複合鋼板の耐食性に及ぼす影響を
示したものである。横軸にα−Al2 O3 とSiO2 の
モル混合比を、縦軸にサイクル腐食試験300サイクル
後の赤錆発生面積をとっている。α−Al2O3 とSi
O2 のモル比が3:2で最も良好な耐食性を示してい
る。
【0014】図9はα−Al2 O3 /SiO2 の平均粒
径が有機複合鋼板の耐食性に及ぼす影響を示したもので
ある。横軸にα−Al2 O3 /SiO2 の平均粒径を、
縦軸にサイクル腐食試験300サイクル後の赤錆発生面
積をとっている。α−Al2O3 /SiO2 の平均粒径
が8mμでもっとも良好な耐食性を示している。さらに
本発明ではカチオン電着性を向上させるために導電性付
与剤としてメラミンシアヌレートが塗料固形分0.5〜
10重量%添加されている。メラミンシアヌレートは図
10に示すような構造をとっており、3次元的な電荷の
移動をすみやかに生じるため、カチオン電着初期におけ
る抵抗値が低下し、その結果として電着後の外観向上を
もたらすと考えられる。
径が有機複合鋼板の耐食性に及ぼす影響を示したもので
ある。横軸にα−Al2 O3 /SiO2 の平均粒径を、
縦軸にサイクル腐食試験300サイクル後の赤錆発生面
積をとっている。α−Al2O3 /SiO2 の平均粒径
が8mμでもっとも良好な耐食性を示している。さらに
本発明ではカチオン電着性を向上させるために導電性付
与剤としてメラミンシアヌレートが塗料固形分0.5〜
10重量%添加されている。メラミンシアヌレートは図
10に示すような構造をとっており、3次元的な電荷の
移動をすみやかに生じるため、カチオン電着初期におけ
る抵抗値が低下し、その結果として電着後の外観向上を
もたらすと考えられる。
【0015】図11は、メラミンシアヌレートがカチオ
ン電着における初期抵抗に及ぼす影響を示したものであ
る。横軸にメラミンシアヌレート添加量を、縦軸にカチ
オン電着時の初期抵抗値をとっている。メラミンシアヌ
レートの添加でカチオン電着初期抵抗値が低下してお
り、電着性が向上しているのがわかる。しかし、10%
以上の添加では塗膜が脆くなるため好ましくない。図1
2は、メラミンシアヌレートがカチオン電着外観に及ぼ
す影響を示したものである。横軸にメラミンシアヌレー
ト添加量を、縦軸にカチオン電着後の表面外観の評点を
とっている。メラミンシアヌレート0.5%以上の添加
でガスピン・ユズ肌が消失し電着外観が向上しているの
が確認される。
ン電着における初期抵抗に及ぼす影響を示したものであ
る。横軸にメラミンシアヌレート添加量を、縦軸にカチ
オン電着時の初期抵抗値をとっている。メラミンシアヌ
レートの添加でカチオン電着初期抵抗値が低下してお
り、電着性が向上しているのがわかる。しかし、10%
以上の添加では塗膜が脆くなるため好ましくない。図1
2は、メラミンシアヌレートがカチオン電着外観に及ぼ
す影響を示したものである。横軸にメラミンシアヌレー
ト添加量を、縦軸にカチオン電着後の表面外観の評点を
とっている。メラミンシアヌレート0.5%以上の添加
でガスピン・ユズ肌が消失し電着外観が向上しているの
が確認される。
【0016】防錆鋼板のプレス成形性の観点より、本発
明の塗料組成物にはポリエチレンコロイドが、塗料固形
分に対し0.1〜10重量%用いられてもよい。図13
はポリエチレンコロイド量が円筒プレス加工性に及ぼす
影響を示したものである。横軸にポリエチレンコロイド
添加量を、縦軸に円筒プレス加工時の重量減少をとって
いる。添加により加工時のパウダリング、カジリによる
重量減少が少なくなりプレス加工性が向上するのがわか
る。ただし、10%以上添加しても効果の向上はなく、
かえって耐食性等の他の性能の低下につながるのでポリ
エチレンコロイドの量は0.1〜10重量%の範囲が好
ましい。
明の塗料組成物にはポリエチレンコロイドが、塗料固形
分に対し0.1〜10重量%用いられてもよい。図13
はポリエチレンコロイド量が円筒プレス加工性に及ぼす
影響を示したものである。横軸にポリエチレンコロイド
添加量を、縦軸に円筒プレス加工時の重量減少をとって
いる。添加により加工時のパウダリング、カジリによる
重量減少が少なくなりプレス加工性が向上するのがわか
る。ただし、10%以上添加しても効果の向上はなく、
かえって耐食性等の他の性能の低下につながるのでポリ
エチレンコロイドの量は0.1〜10重量%の範囲が好
ましい。
【0017】
【発明の効果】以上のようにしてなる本発明の有機複合
鋼板は従来の有機複合鋼板で品質上問題のあった耐食
性、カチオン電着性をプレス成形性、連続スポット溶接
性等の性能の低下なく大幅に向上させた画期的な有機複
合鋼板であって、市場のニーズに十分応えるものであ
る。
鋼板は従来の有機複合鋼板で品質上問題のあった耐食
性、カチオン電着性をプレス成形性、連続スポット溶接
性等の性能の低下なく大幅に向上させた画期的な有機複
合鋼板であって、市場のニーズに十分応えるものであ
る。
【図1】本発明に係る皮膜構成を示す図、
【図2】ベースエポキシ樹脂の変性が有機複合鋼板の耐
食性に及ぼす影響を示した図、
食性に及ぼす影響を示した図、
【図3】ベースエポキシ樹脂のウレタン変性量が有機複
合鋼板の耐食性に及ぼす影響について示した図、
合鋼板の耐食性に及ぼす影響について示した図、
【図4】硬化剤であるオキサゾリン環含有アクリル化合
物の構造を示す図、
物の構造を示す図、
【図5】硬化剤種がベース樹脂の硬化時間、成膜後のC
r6+の溶出性に及ぼす影響について示した図、
r6+の溶出性に及ぼす影響について示した図、
【図6】ベース樹脂/硬化剤当量比と赤錆発生面積との
関係を示す図、
関係を示す図、
【図7】防錆顔料の構造と添加量の違いが有機複合鋼板
の耐食性に及ぼす影響を示した図、
の耐食性に及ぼす影響を示した図、
【図8】α−Al2 O3 とSiO2 の混合量が有機複合
鋼板の耐食性に及ぼす影響を示した図、
鋼板の耐食性に及ぼす影響を示した図、
【図9】α−Al2 O3 /SiO2 の平均粒径が有機複
合鋼板の耐食性に及ぼす影響を示した図、
合鋼板の耐食性に及ぼす影響を示した図、
【図10】メラミンシアヌレートの構造を示す図、
【図11】メラミンシアヌレートがカチオン電着におけ
る初期抵抗に及ぼす影響を示した図、
る初期抵抗に及ぼす影響を示した図、
【図12】メラミンシアヌレートがカチオン電着外観に
及ぼす影響を示した図、
及ぼす影響を示した図、
【図13】ポリエチレンコロイド量が円筒プレス加工性
に及ぼす影響を示した図である。
に及ぼす影響を示した図である。
1 鋼板 2 Zn系めっき皮膜 3 クロメート皮膜 4 有機皮膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新藤 芳雄 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内
Claims (2)
- 【請求項1】 亜鉛系めっきの表面に第1層としてクロ
メート皮膜を5〜150mg/m2 有する鋼板に、第2
層として下記に示す塗料組成物を固形皮膜として0.2
〜3.0μm形成してなることを特徴とする耐食性に優
れた有機複合鋼板。 (A)ウレタン変性エポキシ樹脂が塗料固形分中30重
量%以上 (B)オキサゾリン環含有アクリル化合物がエポキシ樹
脂に対して当量比で1/0.8〜1/1.2 (C)防錆顔料としてα−Al2 O3 /SiO2 (平均
粒径8mμ以下)が塗料固形分中10〜40重量% (D)メラミンシアヌレートが塗料固形分中0.5〜1
0重量% - 【請求項2】 塗料組成物中、塗料固形分に対し、ポリ
エチレンコロイドを0.1〜10重量%含有する請求項
1記載の有機複合鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1312493A JPH06228763A (ja) | 1993-01-29 | 1993-01-29 | 耐食性・カチオン電着性に優れた有機複合鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1312493A JPH06228763A (ja) | 1993-01-29 | 1993-01-29 | 耐食性・カチオン電着性に優れた有機複合鋼板 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06228763A true JPH06228763A (ja) | 1994-08-16 |
Family
ID=11824415
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1312493A Withdrawn JPH06228763A (ja) | 1993-01-29 | 1993-01-29 | 耐食性・カチオン電着性に優れた有機複合鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06228763A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014097871A1 (ja) | 2012-12-17 | 2014-06-26 | 株式会社ダイヤメット | 粉末冶金用原料粉末 |
-
1993
- 1993-01-29 JP JP1312493A patent/JPH06228763A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014097871A1 (ja) | 2012-12-17 | 2014-06-26 | 株式会社ダイヤメット | 粉末冶金用原料粉末 |
US9844811B2 (en) | 2012-12-17 | 2017-12-19 | Diamet Corporation | Raw material powder for powder metallurgy |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20000404 |