JPH0621903B2 - レ−ザ保護眼鏡レンズ - Google Patents

レ−ザ保護眼鏡レンズ

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JPH0621903B2
JPH0621903B2 JP61075046A JP7504686A JPH0621903B2 JP H0621903 B2 JPH0621903 B2 JP H0621903B2 JP 61075046 A JP61075046 A JP 61075046A JP 7504686 A JP7504686 A JP 7504686A JP H0621903 B2 JPH0621903 B2 JP H0621903B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、各種レーザ装置の取り扱い時に用いるレーザ
保護眼鏡レンズに関する。
[従来の技術] 1960年に初めてルビーレーザが発振して以来、すで
にレーザの歴史は25年を経過し、現在、ヘリウム ネ
オン(He−Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン
(Kr)、ヘリウム カドミニウム(He−Cd)、炭
酸ガス(CO)、エキシマなどのガスレーザ、ヤグ
(YAG)、ルビー、ガラスの固体レーザ、さらに半導
体レーザ等種々のレーザが幅広い応用分野を得て、その
普及度を高めている。
レーザの利用について見ると加工、医療用、計測、情
報、デスプレイ等その利用範囲は広い。
しかしながらレーザ光はレーザ加工機からわかる通り単
位面積、単位時間当りのエネルギーを容易に大きくする
ことができるので、レーザ光を照射された物質は、その
照射によつて破壊を受けることとなる。生体組織も例外
でなく、特に眼組織には重大な障害を引き起こすことか
ら目の保護が要求されるようになつて来た。
眼組織がレーザ光に対して抵抗力が少ない理由の一つ
は、角膜、水晶体により眼に入つて来た光が網膜上に集
光されることであり、そのエネルギー密度はその集光に
より網膜上では10倍に達する。よつて網膜に損傷を
与え、失明もしくは視力低下等重大な傷害をもたらすこ
ととなる。第11図および第12図は、眼球の光透過率
と網膜における光の吸収率をそれぞれ示したものであ
る。これは光の波長により障害の種類および、傷害しき
い値が異なつて来ることを意味している。つまり、可
視、近赤外光(400〜1400mμ)では、エネルギ
ーは角膜、水晶体、硝子体にほとんど吸収されないので
傷害は網膜組織に起こる。又、網膜の波長による吸収率
の差から、Arレーザ(514.5mμ)とYAG(1
060mμ)では、10〜10倍程度障害しきい値が
異なることとなる。また他の波長域、つまり、紫外光、
遠赤外光については、波長の吸収が違うためエネルギー
は、網膜まで達せず、眼の外部組織に吸収されるので障
害は角膜、水晶体に起こることとなる。
以上のように、レーザは眼組織においては危険なため、
眼の保護として、レーザをカツトし、レーザ光が眼に入
らないような保護眼鏡の装用が必要となつて来た。
従来のレーザ保護眼鏡は大別すると色ガラスと着色プラ
スチツクレンズの2種類からなるフイルターにより作ら
れ色ガラスは、通常、青板、白板ガラスの素材、Bk−
7等の光学レンズ素材に着色性を有する有色イオン(例
えば、クロム、コバルト)、非金属元素、金属元素(例
えば鉄)等を溶融前に含有させ選択吸収特性を持たせた
広域フイルタであり、例えば、特開昭54−27451
号公報では、色ガラスをフイルタとして用いたレーザ保
護眼鏡が示されている。
また、着色プラスチツクレンズは、透明性を有するプラ
スチツク樹脂例えばポリカーボネート、アクリル系樹脂
に、ピグメントオレンヂ系とかピグメントブルー系(有
機、あるいは無機顔料)等を成形前に前記樹脂ベースに
混入させ射出成形したものである。色ガラス及び着色プ
ラスチツクレーザ保護眼鏡共レーザ光のカツト方式は吸
収方式によるものであり、そのレーザ光の遮光性能は、
含有する着色剤の吸収率によつて決まるものである。
このように、従来のレーザ保護眼鏡レンズは吸収方式に
よるものであるため、レーザー波長域が可視域内にある
場合には、十分な可視光透過率を得ようとすると、対象
レーザ光に対して十分な光学濃度が得られず、他方対象
レーザ光に対して十分な光学濃度を得ようとすると、十
分な可視光透過率が得られなかつた。すなわちレーザ光
に対し十分な遮光をしようとすると、加工物までもが見
えなくなつてしまうという欠点が存していた。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明の目的は、以上の欠点を克服したレーザ保護眼鏡
レンズを提供しようとするものであり、具体的には、以
下の特性を備えたレーザ保護眼鏡レンズを実現すること
にある。すなわち、 対象レーザに対して十分安全な光学濃度を有するこ
と。
十分な可視光透過率を有すること。
対象レーザに対して、破壊強度を有すること。
着用が楽で、不快感をもたないもの。
耐摩耗性、耐薬品性で有り、経年により性能劣化の
ないもの。
色ガラスは、〜については、充分といえなく、即ち
〜については、含有する着色物質の種類、最大吸収
率が、限られている為、十分な光学濃度を達成する為に
は、厚みを増す方法しかなく、さらに着色物質の吸収率
が広い為に可視光域において透過率は極めて悪くなる。
破壊強度の耐レーザ性についても、前記色ガラスは吸収
方式による熱の発生で、ガラスにマイクロスクラツチ等
があると簡単に割れてしまう。さらに、比重が大きいた
め装用時に、重い等の不快感を覚えることとなる。
着色プラスチツクもやはり同様での重さの不快感はな
いが、色ガラスと同様に吸収方式であり着色物質の種
類、最大吸収率が限られている為十分な光学濃度、透過
率を得ることは難かしく、耐レーザ性についても、プラ
スチツクが熱に弱いことから簡単に貫通してしまう。さ
らに、ポリカーボネイトやアクリルは素地では耐摩耗
性、耐薬品性が素材的な物性面から弱く長年の使用に
は、耐ええないものである。
次に表3はレーザ製品の放射安全基準(JIS原案)
(昭和60年5月16日 光産業技術振興協会発行)に
ついて示されているものでレーザ放射が直接眼を露光す
る場合の角膜(眼球表面部)における最大許容露光量
(以下MPEという)が各波長と露光時間により分けら
れている。またMPEは、眼球の傷害発生率が50%の
レベルの10分の1のレーザ強度を意味するものであ
り、レーザの露光量を管理する指標として用いられてい
る。
次に、レーザ出力とMPEを関連づけるために、まず可
視レーザについて、安全と思われるレーザの強さを計算
して見る。眼に可視レーザ光を受けてまぶしさによつて
閉じるまでの時間が0.15〜0.2SEC 程度と言われ
ていることから、放射持続時間をその最大値0.2SEC
によると表3よりMPE=18×t0.75Jm-2の値が見
つけられる。よつてMPE=18×0.20.75×10-4
×103÷0.2=2.69mw/cmとなる。
同様にGa−As半導体レーザ(780mμ)およびY
AGレーザについては、可視光線でないためまぶしさを
感じないことから、放射時間の判断材料がなく、放射時
間の場合分けをせねばならないがここでは、便宜上放射
時間を5SEC として計算する。表3よりGa−As半導
体レーザ780mμでは、MPE=18×5
(780-700)/500×50.75×10-4×10÷5=1.55
7mw/cmであり、YAGレーザ1,060mμでは、
MPE=90×50.75×10-4×10÷5=6.01
mw/cmとなる。
ここで表3のMPEは、400〜1400mμについて
は、限界開口7mm(人間の眼と同じ値)での値であ
る。
レーザ光の測定に当つては、限界開口の径以下を持つた
レーザ光でも、この限界開口の面積で平均化して単位面
積当りの量として取り扱うことができることから、上記
のレーザの安全と思われるレーザの最大量は、MPEと
その面積の積を取れば求められる。
従つて、レーザの強さをP(mw)とすれば、可視光レー
ザ(He−Ne)は、2.69×(0.7/2)×π
=1.035mw、Ga−As半導体レーザ、YAGレー
ザについては各々、0.599mw、2.312mwとな
る。
よつて、以上のレーザ光に対しては、保護眼鏡装用によ
り眼へのレーザ強度が各々、1.035mw、0.599
mw、2.312mwに減衰すれば、MPEを満足すること
となる。
例えば、Arレーザで出力1.6Wのものに対しては、
レンズの光学濃度(O.D.)をO.D.=log10
0/透過率とすれば、 1600÷1.035=1545、約 1/1600に減衰す
るもの、つまり、O.D.=3.2以上あれば、MPE
を満足することになる。
同様にHe−Ne(1.035mw)、Ga−Asレーザ
(0.599mw)YAGレーザ(2.312mw)につい
て、MPEを満足するO.D.を計算すると、 He−Neレーザはレーザ出力50mwでO.D.約1.
68 Ga−Asレーザはレーザ出力7.5mwでO.D.約
1.10 YAGレーザはレーザ出力5WでO.D.約3.33 となり上記の条件によるO.D.指標値を求めることができ
る。
以上のことから、レーザ保護眼鏡の光学濃度は、使用す
るレーザの発振波長、出力により設計すべきことがわか
りまたレーザは高エネルギ量を有するものであるから、
受光部となる保護眼鏡レンズは、その熱作用により破壊
が生じては危険である。よつて、レーザ保護眼鏡は、材
質、表面等が耐レーザ性を有する必要がある。
[問題点を解決するための手段] 本発明は、レーザ発振波長λを吸収帯に有する吸収物質
を含有するプラスチツクレンズに高屈折率層(H層)と
低屈折率層(L層)の物質をその光学的厚さが(2m+
1)λ/4(m=0,1:λ=レーザ発振波長)となる
ように、交互(m=0又は1)に積層させること特徴と
するレーザ保護眼鏡レンズを提供するものであり、さら
に高屈折率層の物質として、酸化チタン(TiO)、
酸化ジルコニウム(ZrO)、5酸化タンタル(Ta
)、一酸化ケイ素(SiO)から選ばれた1種類
以上の高屈折率物質を使用し、低屈折率層の物質として
二酸化ケイ素(SiO)を使用することを特徴とする
レーザ保護眼鏡レンズを提供するものである。
[作用] 本発明のレーザ保護眼鏡レンズは、染色層を有し、さら
の光学的厚さの[HL]交互層を持つことから、λの波
長で高反射することとなり、λの波長のレーザ光はプラ
スチツク表面で減衰され、さらにプラスチツク中の吸収
物質により吸収されて、残りが眼に達する。またレーザ
発振波長(λ)以外の光線は、光の減衰は少ないため殆
ど眼に達する。
[実施例] 以下本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
実施例1 第1図は本発明の第1の実施例であるArレーザ用保護
眼鏡レンズ1の部分拡大断面図であり、前記保護眼鏡レ
ンズ1は、プラスチツクレンズ2に染色層3を有し、そ
の上に、ZrO層4とSiO層5とが交互に積層さ
れている。
レンズ素材としてジエチレングリコールビスアリルカー
ボネイト(商品名C−39)をデスパーズオレンジ13
の分散染料5gを1の水に分散させた80℃の液に、
60分間浸漬する。できたレンズはオレンヂ色を呈し、
その分光透過率は、図2であつた。これによるとArレ
ーザ発振波長514.5mμでの透過率は50%に減衰
されていた。このレンズを100℃で1時間乾燥した
後、真空蒸着法により、真空度5×10-3paの条件で、
基板温度が蒸着中において60〜80℃の範囲になるよ
う十分コントロールしながら、図1に示すようにH層と
してZrO、L層としてSiO交互蒸着を行ない凸面52層とした。ここで膜厚制御は
単色測光法を用い、モニターガラスを監視することによ
り行なわれ、その時使用した単色フイルタ波長は550
nmであつた。(本装置においてモニターガラスと基板の
膜厚分布は、1:0.91程度であり、基板では500
mμの不透過帯の中心が得られた。)ZrO、SiO
の蒸着は電子ビーム加熱法を用い、その蒸着速度は、
480±50Å/min 、2800±300Å/min でコ
ントロールされた。できたアルゴンレーザ用保護眼鏡レ
ンズは、クラツクおよび汚れ等がなく、分光透過率は図
3で、光学濃度は514.5nm波長で4.2、視感透過
率は、16%であつた。ここで分光透過率はダブルビー
ムの日立分光光度計340型を使用し、光学濃度は、N
Dフイルタ1%(日本真空光学製)を本測定器の対象光
側に入れ相対法により換算した(図4)。視感透過率は
図3から得られた分光透過率から標準C光源での5nm間
隔で2゜視野の条件で分光計算した値である。このO.
D.値は、Arレーザ(出力1.6W)に対しての指標
値O.D.3.2をクリアするものであつた。また視感
透過率16%はレーザ装置の設置した薄暗い部屋におい
ても、十分細部まで確認できる明るさを有していた。
さらにこのサンプルについて、耐レーザ性を調べる為レ
ーザ照射テストを行なつた。Arレーザ装置として、N
EC社製GLG3300(514.5mμ、cw、TEM
00、出力1W、ビーム径1.4φmm)を使用し、サン
プル面に直接20分間連続照射した。照射した後のサン
プルは目視および顕微鏡からも全く異常が認められなか
つた。
さらに、f=50mmの集光レンズをサンプル手前に置き
サンプル面に焦点を結ばせ、同じく20分照射したが、
やはり異常は認められなかつた。
ここでの集光したビーム径は、 より23.4φμmと計算された。以上の2通りの方法
におけるレンズ面でのパワー密度は、各々65W/c
m、225kw/cmであつた。
耐摩耗性は、#0000スチールウールにより荷重2kg
/cmで300回往復摩耗したが、キズが入らなく、そ
の耐レーザ性およびカツト性能に、低下は認められなか
つた。
耐薬品性 メタノール、アセトン、IPA(イソプロピルアルコー
ル)に10分浸漬したが全く異常がなく、さらに、10
%−NaOH水溶液30分浸漬、濃酢酸30分浸漬にお
いて膜ハゲ等認められず良好なものであつた。
実施例2 本実施例は、He−Neレーザ用保護眼鏡レンズに関す
る。
実施例1の条件でデスパーズブル91の分散染料で染色
したCR−39を、単色フイルター680mμでモニタ
ーリングしながら、 の光学膜厚で、HL層を交互蒸着をし、46層とした。
H層としてZrO、L層としてSiOを使用した。
できたレンズは、クラツク、汚れ等なく、その分光透過
率は、図5で、He−Neレーザ発振波長632.8m
μでの光学濃度は、3.7であり、視感透過率はやはり
16%であつた。O.D.3.7はHe−Neレーザ
(出力50mw)に対して、指標値(1.68)を十分ク
リアするものであつた。
又、耐レーザ性、耐摩耗性および耐薬品性等は、表2に
示した通り、良好なものであつた。
実施例3 本実施例もHe−Neレーザ用保護眼鏡レンズに関す
る。
基板としてサンブラスとして市販されているグリーン色
のポリカーボネイト(分光透過率は図6)を実施例2と
同様の条件で、46層蒸着した。さらに反対面に、Si
の1200mμ程度の無機強化コートを施こした。
できたサンプルの分光透過率は、図7であり、その光学
濃度は3.8、視感透過率は12%であつた。
又、耐レーザ性、対摩耗性および耐薬品性等は表2に示
した通り良好なものであつた。
実施例4〜5 実施例4および実施例5はそれぞれGa−As、YAG
レーザ用保護眼鏡レンズについてのものであり、表1の
条件で製作した。耐レーザ性、対摩耗性および耐薬品性
は、表2に示した通り良好であつた。実施例4の分光透
過率を第8図に、実施例5のそれを第9A図、第9B図
に示す。
実施例6 本実施例は、Arレーザ用保護レンズに関する。実施例
1の条件で光学膜厚を とし、42層とした。その分光透過率曲線は第10図に
示す通りである。
実施例7 本実施例はArレーザ用保護レンズに関する。H層とし
てZrOの代わりにTaを使用し、実施例1の
条件で40層とした。
Taは電子ビーム加熱法を用い蒸着速度は600
±50Å/min でコントロールされた。
実施例8 本実施例はArレーザ用保護レンズに関する。H層とし
てSiOを使用し、 の光学膜厚で56層とした(実施例1に準ずる)。Si
Oは抵抗加熱法を用い蒸着速度は500±50Å/min
でコントロールされた。
次に比較例を示す。
比較例1 市販されているYAGレーザ用保護眼鏡レンズ(プラス
チツク性で、着色されているレーザ光吸収方式レンズ)
の耐レーザ性テストを行つた。
レーザ光照射条件は、実施例5のYAGレーザ用保護眼
鏡レンズと同様の条件で行われ出力1W、受光ビーム径
1mmφ、面でのエネルギー密度0.6kw/cmである。
その結果4秒の照射時間でレンズ面が貫通した。次に耐
摩耗性テストではキズが発生し、さらに耐薬品性テスト
ではレンズ表面が変質し、いずれのテストにおいても不
適であつた。
尚、いずれの上記テストも実施例1と同一の条件で実施
されたものである。
比較例2 次に市販されているガラス製で、吸収方式のYAGレー
ザ用保護眼鏡レンズの耐レーザ性、耐摩耗性、耐薬品性
テストを実施例1と同様のテスト法にて行つたが、耐レ
ーザ性において、30秒照射で破損した。
以下表1に製作条件、表2に性能評価を示す。
本発明において、レーザ発振波長を吸収帯に有する吸収
物質は、レーザ発振波長により異なり、吸収物質として
は、無機、有機、顔料、カチオン染料、分散染料等特に
限定されない。例えばArレーザ用保護眼鏡レンズの場
合発振波長から約480nm〜約520nmの帯域に吸収帯
をもつものであればよく、例えば分散染料ではオレンジ
系分散染料を使用することができる。
He−Neレーザ用保護眼鏡レンズの場合は、その帯域
は約600nm〜約660nm、 Ga−Asレーザ用保護眼鏡レンズの場合は、その帯域
は約700nm〜約820nm、 YAGレーザ用保護眼鏡レンズの場合は、その帯域は約
1060nm前後 であるので、例えば本実施例に示した分散染料等で染色
加工できる。
また、前述の吸収物質のプラスチツクレンズ基板への含
有方法は、例えば、プラスチツクレンズ素材モノマーに
あらかじめ顔料、染料等を混入させ、重合硬化させた着
色プラスチツクを使用することも可能であるが、特に保
護眼鏡レンズでは、耐薬品性、耐熱性、耐衝撃性、耐加
工性、耐染色性等に秀れたジエチレングリコールビスア
リルカーボネート系樹脂に分散染料により染色加工した
ものが好ましく、その染色加工の染色条件は染色濃度、
染色温度及び浸漬時間の各要素技術で異なり、染色可能
な適用範囲は広いが、遮光能力、染色の再現性から、水
1に対する染料の染色濃度は0.01wt%〜5wt%、
浸漬時間は10分〜6時間(好ましくは20分〜3時
間)、染色温度は60℃〜100℃(好ましくは80℃
〜90℃)である。
さらに、蒸着物質の積層方法においては、特に真空蒸着
法が好ましいが、イオンスパツタリング法も可能であ
る。
その蒸着方法は、高屈折率物質(H層)と低屈折率物質
(L層)を交互に積層させ、該当レーザ発振波長を高反
射させるものであり、特にH層は、TiO、Zr
、Ta、SiOから選ばれた1種類以上の高
屈折率物質を使用するものが好ましく、L層は、特にS
iOが好ましい。
本発明でのH層とL層の光学膜厚は (m=0,1、λ=レーザ発振波長)に制御され、その
制御は、例えば市販の真空蒸着装置(日本真空器機社
製)を使用することによつて行うことができ、レーザー
光反射膜を形成させることができ、その反射のための光
学膜厚の設定の基本的理論は以下の通りである。
(m=0,1……∽)の光学膜厚では、高反射する不透
過帯の中心波長が (nは奇数の整数)に存在することが知られている。
そこで、周期的多層膜について説明すると一般的に基本
周期層を特性行列M、すなわち、 と表現するとき、そのq回くり返しの周期的多層膜
[M]は、 と表される。ここで、C(x)、S(x)はチエビ
シエフの多項式で、 と表される。パラメータx、およびθは次式により定義
される。
|x|>2の領域は不透過帯とよばれ、この領域で、周
期数qの周期的多層膜[M](以下、周期数qの多層
膜と記す)の特性行列を とすると、その反射率Rは、 …基板の屈折率 n…空気の屈折率 となる。不透過帯では周期数qの増加に対し|c11+c
22|→∽となるため、反射率Rは単調に増加して1に近
づく。
そこで、本発明の場合では、 基本周期層が2層で等膜厚の場合は、その2層膜の特性
行列をMとすると を得る。ここでu=ncos ψ(S偏光)、 またはu=nsec ψ(P偏光)、 g=2πncos ψ/λ(i=1,2)であり、
は屈折率、ψは、面での入射角、λは波長を意味
する。
よつて、Mはq回繰り返した場合その特性行列M′は M′=(M*M*M*……)=[M]となる。
ここで とすると |m11+m12|>2の領域が不透過帯となる。
特に膜厚が(2m+1)λ/4(m=0,1)のときg
=(2m+1)π/2となり となり、不透過帯の中心での反射率Rは となる。ここでnは基板の屈折率である。
Rは、uとuの差が大きい程、また周期回数qが大
きい程大きくなることを意味する。
そこで、本発明のレーザ保護眼鏡は前記式(2m+1)
λ/4(m=0,1)を満足する の光学膜厚を有する高屈折率物質と低屈折率物質の周期
積層物を設定、選択し、その波長は高反射する不透過帯
中心波長(2m+1)λが、レーザ発振波長と一致させ
るようにλを選択させる。即ち 低屈折率物質としてSiO(n=1.48〜1.48
5)、高屈折率物質としてTiO、ZrO、Ta
、SiO(n=1.7〜2.2)を使用し、周期数
を例えば19以上とすることにより、レーザ光は上記の
反射の式より例えば、プラスチツクレンズの基板の屈折
率1.499、 低屈折率物質としてSiO(n=1.485) 、高屈折
率物質ZrO(n=1.9)とし、周期数を20とす
ると上式よりR=99.9843%が求められ、従つて ほぼ100%レンズ面で反射されることになる。
(発明の効果) 以上、本発明のレーザ保護眼鏡によれば、十分な光学濃
度を持ちながら、視界も良好で、耐レーザ性、耐摩耗
性、耐薬品性の有る軽いレンズが製作できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例1の保護眼鏡レンズの部分拡大
断面図、 第2図はCR−39製プラスチツクレンズの染色品の透
過率曲線図、 第3図は実施例1の分光透過率曲線図、 第4図は、NDフイルター1%での実施例1の部分分光
透過率曲線図、 第5図は実施例2の分光透過率曲線図、 第6図は実施例3の染色ポリカーボネートレンズの分光
透過率曲線図、 第7図は実施例3の分光透過率曲線図、 第8図は実施例4の分光透過率曲線図、 第9A図、第9B図は実施例5の分光透過率曲線図、 第10図は実施例6の分光透過率曲線図、 第11図は眼球の光透過率曲線図、および 第12図は網膜における光の吸収率曲線図,である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】保護対象とするレーザの発振波長域を吸収
    帯に有する吸収物質を含有するプラスチックレンズの少
    なくとも一方の面に、光学的厚さがmλ/4となる高屈
    折率物質層と光学的厚さmλ/4となる低屈折率物質層
    を(但し、mは1または3、λは前記レーザの発振波長
    である)、当該レーザ光に対する必要光学濃度が得られ
    る層数になるまで、交互に積層させたことを特徴とする
    レーザ保護眼鏡レンズ。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項において、前記高屈
    折率の物質は、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(Z
    rO2)、五酸化タンタル(Ta2O5) 、または一酸化ケイ素(S
    iO) のいずれかから成り、前記低屈折率の物質は二酸化
    ケイ素(SiO2)から成るレーザ保護眼鏡レンズ。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第1項において、前記吸収
    物質は分散染料であるレーザ保護眼鏡レンズ。
JP61075046A 1986-04-01 1986-04-01 レ−ザ保護眼鏡レンズ Expired - Lifetime JPH0621903B2 (ja)

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