JPH06218867A - 微生物崩壊性熱可塑性樹脂フィルム融着体 - Google Patents

微生物崩壊性熱可塑性樹脂フィルム融着体

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JPH06218867A
JPH06218867A JP8644392A JP8644392A JPH06218867A JP H06218867 A JPH06218867 A JP H06218867A JP 8644392 A JP8644392 A JP 8644392A JP 8644392 A JP8644392 A JP 8644392A JP H06218867 A JPH06218867 A JP H06218867A
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義昭 百瀬
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徹 木野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 微生物崩壊性熱可塑性樹脂フィルム融着体に
見られるヒートシール強度の低さと引張物性の悪さの問
題を同時に解決して、微生物崩壊性にすぐれるととも
に、ヒートシール強度、引張物性にすぐれ、またわずか
な摩擦等によって表面が一部剥離するようなこともな
く、さらに引張った時に白化することのない、実用性に
すぐれた微生物崩壊性熱可塑性樹脂フィルム融着体を提
供する。 【構成】 微生物分解性熱可塑性樹脂50重量%〜90
重量%をマトリックス樹脂とし、そのマトリックス樹脂
中に、変性ポリオレフィン系樹脂50重量%〜10重量
%を混合分散してなるフィルムを相互に重ね合わせ、そ
の一部を熱融着して融着部と非融着部とを形成してなる
ことを特徴とする微生物崩壊性熱可塑性樹脂フィルム融
着体。前記フィルム融着体としては、袋体、手袋、空気
封入緩衝材等が挙げられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微生物崩壊性熱可塑性
樹脂フィルム融着体に関するものである。
【0002】
【従来技術及びその問題点】微生物崩壊性熱可塑性樹脂
であるポリカプロラクトンとポリエチレンとを混合した
微生物崩壊性熱可塑性樹脂フィルムは既に提案されてい
る(特願平2−281317号)。このフィルムは、確
かに微生物崩壊性においてすぐれているものの、ポリエ
チレンの配合量が増加するにつれてフィルムのヒートシ
ール強度(融着強度)が著しく低下するという問題が生
じる。一方、ポリエチレンの配合量が低下するにつれ
て、フィルムの引張破断強度や引張伸び率等の引張物性
が著しく低下するとともに、わずかな摩擦により表面が
一部剥離したり、フィルムを引張った時に白化したりす
る等の問題を生じる。従って、このような微生物崩壊性
熱可塑性樹脂フィルムを熱融着して得られる袋体や手
袋、空気封入緩衝材等のフィルム融着体は、実用性の点
では未だ満足すべきものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、微生物崩壊
性熱可塑性樹脂フィルム融着体に見られるヒートシール
強度の低さと引張物性の悪さの問題を同時に解決して、
微生物崩壊性にすぐれるとともに、ヒートシール強度、
引張物性にすぐれ、またわずかな摩擦等によって表面が
一部剥離するようなこともなく、さらに引張った時に白
化することのない、実用性にすぐれた微生物崩壊性熱可
塑性樹脂フィルム融着体を提供することをその課題とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明によれば、微生物分解性熱可塑
性樹脂50重量%〜90重量%をマトリックス樹脂と
し、そのマトリックス樹脂中に、変性ポリオレフィン系
樹脂50重量%〜10重量%を混合分散してなるフィル
ムを相互に重ね合わせ、その一部を熱融着して融着部と
非融着部とを形成してなることを特徴とする微生物崩壊
性熱可塑性樹脂フィルム融着体が提供される。
【0005】本発明のフィルム素材である微生物分解性
熱可塑樹脂(以下、単に微生物分解性樹脂ともいう)とし
ては、従来公知のものが示され、例えば、脂肪族ポリエ
ステル樹脂や、脂肪族ポリエステルに低分子量のポリア
ミドをブロック的に共重合させたもの、ポリビニルアル
コール等が挙げられる。脂肪族ポリエステル樹脂には、
脂肪族系の2価カルボン酸を含む多価カルボン酸と、脂
肪族系ジオールを含む多価アルコールとの重縮合物、ヒ
ドロキシ脂肪族カルボン酸の重縮合物、ラクトンの開環
重合物が包含され、その具体例としては、例えば、エチ
レンジアジペート、プロピオラクトン、カプロラクト
ン、β-ヒドロキシ酪酸等から誘導される単独重合体や
共重合体が例示される。これらの重合体は、2種以上を
混合して用いることができる。また、これらの重合体は
いずれもリパーゼ等の作用によって加水分解されるもの
である。
【0006】本発明における変性ポリオレフィン系樹脂
としては、カルボニル基含有エチレン系不飽和単量体を
グラフト共重合、ブロック共重合、ランダム共重合ある
いは末端処理等の手段でポリオレフィン樹脂の主鎖又は
側鎖に導入したものである。カルボニル基含有エチレン
系不飽和単量体としては、例えば、カルボン酸、カルボ
ン酸塩、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル、カル
ボン酸アミド、カルボン酸イミド、アルデヒド、ケトン
等を単独で、あるいはシアノ基、ヒドロキシ基、エーテ
ル基、オキシラン環等との組合せで含むものが例示され
る。これらの具体例を示すと、次の通りである。
【0007】アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、
フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、5
−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸等のエチレン系
不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水シトラコン
酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、
テトラヒドロ無水フタル酸等のエチレン系不飽和無水カ
ルボン酸;アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイ
ミド等のエチレン系不飽和アミド又はイミド;アクロレ
ン、メタクロレイン、ビニルメチルケトン、ビニルブチ
ルケトン等のエチレン系不飽和アルデヒド又はケトン;
アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸2
−エチルヘキシル、マレイン酸モノ又はジ−エチル、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル、γ−ヒドロキシメタク
リル酸プロピル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、グ
リシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、β
−N−エチルアミノエチルアクリレート、ジエチレング
リコールジメタクリレート等のエチレン系不飽和エステ
ル等。本発明において好ましく用いられる変性ポリオレ
フィン系樹脂は、酢酸ビニル、アクリレート、メタクリ
レート等のエステル結合を有するビニルモノマーとエチ
レンやプロピレン等のオレフィンとの共重合体である。
【0008】本発明で用いる変性ポリオレフィン系樹脂
におけるカルボニル基含有エチレン系不飽和単量体の含
有量は、0.01〜45重量%、好ましくは0.5〜4
0重量%である。また、このカルボニル基含有エチレン
系不飽和単量体は、全樹脂中、0.01〜25重量%、
好ましくは0.5〜20重量%の範囲に規定するのがよ
い。尚、上記変性ポリオレフィン系樹脂中には、変性さ
れていないポリオレフィン系樹脂を含むことができる。
この場合には、混合比率は混合物中の上記単量体の含有
量を上記と同様に、0.5〜20重量%に規定するのが
よい。未変性のポリオレフィン系樹脂としては、例え
ば、分岐低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレ
ン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテ
ン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテ
ン共重合体等が挙げられる。
【0009】本発明のフィルム融着体を構成する樹脂フ
ィルムは、微生物分解性樹脂がマトリックス樹脂とな
り、その中に(1)変性ポリオレフィン系樹脂又は
(2)変性ポリオレフィン系樹脂とポリオレフィン系樹
脂(以下、これらの樹脂(1)及び(2)を単にポリオ
レフィン系樹脂とも言う)を混合分散したものである。
すなわち、ポリオレフィン系樹脂が微生物分解性樹脂に
よって覆われた構造を有する。従って、このような樹脂
フィルムは、表面部が微生物分解性樹脂からなり、ま
た、表面部が微生物分解した後に露出する新表面も同様
に微生物分解性樹脂であるので、微生物分解性のないあ
るいは劣ったポリオレフィン系樹脂を含むにもかかわら
ず、全体としてすぐれた微生物崩壊性を示すものであ
る。
【0010】前記の如き微生物分解性樹脂をマトリック
スとするフィルムは、微生物分解性樹脂とポリオレフィ
ン系樹脂との溶融混練物を、フィルム形状に成形するこ
とによって得ることができる。本発明において、前記溶
融混練物をフィルム成形する場合、その成形は、押出成
形法を採用するのが好ましい。この押出成形法として
は、インフレーション法やTダイ法が例示される。上記
樹脂フィルムを得る場合、溶融混練物は、下記式(1)
及び式(2)を満足する条件で押出機先端のダイスから
低圧帯域へ押出すことが好ましい。これによって微生物
分解性樹脂がマトリックスとなったフィルムを容易に得
ることができる。 10>η(B)/η(A)≧1 (1) (好ましくは5>η(B)/η(A)≧1) η(A)≧500 (2) 前記式中、η(A)は押出温度での微生物分解性樹脂の粘
度(ポイズ)を示し、η(B)は押出温度でのポリオレフ
ィン系樹脂の粘度(ポイズ)を示す。前記式(1)及び
(2)で表わされる押出条件は、微生物分解性樹脂やポ
リオレフィン系樹脂の分子量を含む具体的種類を選ぶこ
とによって得ることができる他、複数の微生物分解性樹
脂混合物の成分組成や、複数のポリオレフィン系樹脂混
合物の成分組成を適当に選定することによって得ること
ができる。このようにして得られるフィルムは、通常、
3〜1000μm、好ましくは5〜500μm程度の厚
さを有する。
【0011】上記樹脂フィルム中の微生物分解性樹脂の
割合は50〜90重量%、好ましくは60〜85重量
%、ポリオレフィン系樹脂の割合は50〜10重量%、
好ましくは40〜15重量%である。一般に、樹脂フィ
ルムの崩壊は微生物分解性樹脂が微生物によって分解さ
れることによって起こるために、その配合量は多い方が
より崩壊されやすい。しかし、その割合が前記範囲を超
えると、フィルムの機械物性が悪化し、フィルム融着体
として実用に耐えなくなる。特に、微生物分解性樹脂の
含有量が90重量%を超えるようになると、得られるフ
ィルムの引張弾性が高くなりすぎ、フィルムにしなやか
さが失なわれ、フィルムとしての価値が著しく低下す
る。一方、その微生物分解性樹脂の割合が前記範囲より
少ない場合は、得られるフィルムのヒートシール強度が
低下する。
【0012】上記樹脂フィルムは、他の補助成分を含む
ことができる。例えば、機械的強度を高めるための無機
充填剤や、微生物分解性樹脂とポリオレフィン系樹脂と
の相溶性を高めるための相溶化剤を用いることができ
る。相溶化剤としては、微生物分解性樹脂とポリオレフ
ィン系樹脂の共重合体がある。このような高分子相溶化
剤は、ポリオレフィン系樹脂と同等に取扱われ、その押
出温度での粘度η(C)も、10>η(C)/η(A)≧1の条件を
満たすことが望ましい。また、その配合割合は、ポリオ
レフィン系樹脂の割合に算入される。
【0013】上記樹脂フィルムは、発泡フィルムであっ
てもかまわない。発泡フィルムを得る場合、溶融混練物
には発泡剤を含有させ、押出機先端のダイスから低圧帯
域へ押出するのが好ましい。この場合、発泡剤注入直前
における溶融混練を下記の式(3)及び式(4)を満足
する条件で行うことが望ましく、これにより独立気泡率
が高くかつ表面に凹凸のない高品質の発泡フィルムを容
易に得ることができる。 0.6≦η(B)/η(A)≦5 (3) η(A)≦500 (4) 式中、η(A)は発泡剤注入直前の溶融混練物温度での微
生物分解性樹脂の溶融粘度(ポイズ)を示し、η(B)は
発泡剤注入直前の溶融混練温度でのポリオレフィン系樹
脂の溶融粘度(ポイズ)を示す。尚、上記式(1)及び
(3)におけるη(B)/η(A)の値は、一般的に微生物分
解性樹脂の混合割合が多くなるほど上記範囲で小さくす
ることが望ましい。従って、各々の配合割合における好
ましい値を予備実験により求めておく必要がある。
【0014】前記発泡剤としては、主として中又は高発
泡を目的とする場合には脂肪族炭化水素やハロゲン化炭
化水素あるいは分子中に水素原子を1個以上有するフロ
ンガスを単独又は混合して用いることが望ましい。脂肪
族炭化水素の具体例として、例えば、プロパン、ノルマ
ルブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン等が挙
げられ、ハロゲン化炭化水素としては、それら脂肪族炭
化水素の塩素又は臭素置換体が挙げられる。また、分子
中に水素原子を1個以上有するフロンガスとしては、ク
ロロジフロロメタン、トリフロロメタン、1,2,2,2-テト
ラフロロエタン、1-クロロ-1,1-ジフロロエタン、1,1,-
ジフロロエタン、1-クロロ-1,2,2,2-テトラフロロエタ
ン等が挙げられる。上記の如き発泡剤を使用するに際し
ては、沸点(1気圧下)が80℃以下のものを選択する
必要がある。上記沸点が80℃を越えるものでは、発泡
効率が劣り不経済である。特に発泡剤としては、上記沸
点範囲が−20〜20℃のものを主成分として選択する
ことが望ましい。また、特に低発泡を目的とする場合に
は、押出機内の温度で分解してガスを発生する化学発泡
剤、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、ア
ジド化合物、アゾビスイソブチルニトリル、ジアゾアミ
ノベンゼン、ベンゼンスルホニルヒドラジド、P−トル
エンスルホニルヒドラジドまたは該温度で反応して炭酸
ガスを発生する酸−アルカリの組合わせ、たとえば、ク
エン酸のモノアルカリ金属塩−炭酸のアルカリ金属塩、
クエン酸のモノアルカリ金属塩−重炭酸のアルカリ金属
塩等の使用が望ましい。
【0015】発泡フィルムを得る場合、発泡剤の使用割
合は、微生物分解性樹脂とポリオレフィン系樹脂の合計
量100重量部に対し、0.1〜60重量部、好ましく
は0.2〜50重量部であり、所望する発泡フィルムの
密度に応じて適当に定める。発泡成形法としては、発泡
剤と樹脂と必要に応じて添加剤とを押出機内で溶融混練
し、次いで押出機先端に位置するダイスを通して低圧下
にフィルム状に押出す方法を採用することができる。こ
のようにして得られるフィルムの厚さは10〜300μ
m程度とすることが望ましい。本発明において、微生物
崩壊性の良好な発泡フィルムを得るには、発泡フィルム
には、十分な発泡構造を保持させることが必要である。
発泡フィルムの見掛け密度を、一般的には、0.75g
/cm3以下、好ましくは0.5〜0.01g/cm3
び発泡フィルムを構成する平均気泡膜厚を1〜100μ
mに規定することによって、微生物崩壊性の良好な発泡
フィルムを得ることができる。発泡フィルム中の独立気
泡率は80%以上、好ましくは90〜100%の範囲で
ある。
【0016】発泡フィルムの密度及び気泡膜厚は、上記
した如く発泡剤の使用量及びいわゆる気泡核剤の使用量
により容易に調整することができる。この気泡核生成剤
としては、たとえば、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マ
グネシウム、クレー、天然ケイ酸、カーボンブラック、
ホワイトカーボン、シラス、石膏の如き無機物質、ある
いは押出機内の温度で分解してガスを発生する化学発泡
剤、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、ア
ジド化合物、アゾビスイソブチルニトリル、ジアゾアミ
ノベンゼン、ベンゼンスルホニルヒドラジド、P−トル
エンスルホニルヒドラジドまたは該温度で反応して炭酸
ガスを発生する酸−アルカリの組合わせ、たとえば、ク
エン酸のモノアルカリ金属塩−炭酸のアルカリ金属塩、
クエン酸のモノアルカリ金属塩−重炭酸のアルカリ金属
塩等が挙げられる。上記無機物質を気泡核剤として使用
する場合には、樹脂100重量部に対して0.01重量
部以上5重量部未満である。また、上記化学発泡剤を気
泡核剤として使用する場合には、同様に0.05〜5重
量部である。
【0017】さらに、本発明においては、樹脂に対し
て、必要に応じ、発泡に際しての発泡剤の樹脂からの急
速な逃散を防いで発泡フィルムの収縮を抑制するため
に、収縮防止剤を添加することもできる。このようなも
のとしては、例えば、ポリオキシエチレンモノミリステ
ート、ポリオキシプロピレンモノミリステート、ポリオ
キシエチレンモノパルミテート、ポリオキシプロピレン
モノパルミテート、ポリオキシエチレンモノステアレー
ト、ポリオキシプロピレンモノステアレート、ポリオキ
シエチレンジステアレート、モノラウリン酸グリセライ
ド、モノミノスチン酸グリセライド、モノパルミチン酸
グリセライド、モノステアリン酸グリセライド、モノア
ラキン酸グリセライド、ジラウリン酸グリセライド、ジ
パルミチン酸グリセライド、ジステアリン酸グリセライ
ド、1-パルミト-2-ステアリン酸グリセライド、1-ステ
アロ-2-ミリスチン酸グリセライド、トリステアリン酸
グリセライド等の各種脂肪族エステルが挙げられる。
【0018】本発明によるフィルム融着体は、前記した
樹脂フィルムの複数を重ね、所要部分をヒートシールす
ることにより得られるものである。このようなものに
は、手袋や袋体の他、気泡封入緩衝材等が包含される。
【0019】
【発明の効果】本発明による樹脂フィルム融着体は、良
好な微生物崩壊性を有するものである。このような微生
物崩壊性は、微生物分解性樹脂の混入と、フィルムの特
定内部構造によって発現されるものである。本発明の樹
脂フィルム融着体は、廃棄後は微生物の存在する環境に
おいて容易に崩壊し、その嵩を減少させることができる
ため、廃棄物処理問題の解決に有効な手段を与えるもの
である。また、このフィルム融着体は、廃棄後回収もれ
により自然環境中に放置されても、微生物により崩壊さ
れるため、自然界の動植物の生命を危険にさらすことは
ない。本発明のフィルム融着体は、ヒートシール強度が
高いためにヒートシール部分から容易に剥離するような
ことはない。しかも、引張物性においてすぐれているた
め、引張ったときに容易に破断するようなこともない。
さらに、その表面を摩擦しても表面の一部が剥離するこ
ともなく、また、引張ったときに白化を生じるようなこ
ともない。しかもフィルムとしてのしなやかさを併せ持
つものである。このように、本発明のフィルム融着体は
その実用性において著しく向上したものである。
【0020】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。 実施例1 ポリカプロラクトン(PCL)と、低密度ポリエチレン
(LDPE)又は変性ポリオレフィンを表1の割合で配
合し、この配合物を、押出機内で溶融混練し、この溶融
混練物を直径100mmのダイスを持つインフレーショ
ン装置にて厚さ約50μmのフィルムに成形した(押出
温度約160℃)。ただし、比較例3のみ、Tダイ法
(ダイス幅300mm)により厚さ約50μmのキャス
トフィルムを得た(押出温度約230℃)。
【0021】次に、得られたフィルムについて、ヒート
シール強度、引張物性及び微生物崩壊性の測定を以下の
ようにして行った。またフィルムの摩耗性を以下のよう
にして測定した。その結果を表2に示す。 (1)ヒートシール強度 試料をJIS K6767ダンベル状(平行部の幅10
mm、長さ40mm)とし、長さ方向に2つ折りにし
て、平行部分をインパルスシーラー(加熱1.5秒、冷
却3秒)にて行った(シール5×10mm)。ヒートシ
ール強度の測定は、引張強度試験機を用いて、チャック
間距離50mm、引張速度50mm/minで行った。 (2)引張物性(破断強度、破断伸び、弾性率) 試料をJIS K6767ダンベル状(平行部分の幅1
0mm、長さ40mm)とし、引張強度試験機を用い
て、チャック間距離90mm、引張速度500mm/m
inで行った。破断伸びでは、破断までのチャック間の
伸びを測定し、試料の平行部分40mmに対しての割合
(%)で算出した。また、破断強度及び弾性率の算出方
法は、JIS K7113に従った。尚、弾性率で採用
したひずみ(伸び)は、試料の平行部分40mmに対す
るチャック間の伸びで示した。 (3)摩耗性 試料を50×50mmとし、摩耗試験機を用いて、同一
フィルムに対して、ストローク20mm、往復速度60
回分、荷重3000gの条件で行った。試験結果を次の
基準で評価した。 ○:10分間にわたって外観変化なし ×:1分以内にフィルム表面が削れ、白濁が生じた
【0022】(4)微生物崩壊性試験 オリーブ油から1分間に130μmoleの脂肪酸を生
成することができる力価をもつリパーゼ溶液0.3m
l、リン酸緩衝液(pH7)を2ml、界面活性剤(第
一工業製薬(株)製の商品名「プライサーフA210G」
1ml、水16.7ml及び各試料100mgを100
ml三角フラスコに入れて、30℃で最終的に16時間
反応させ、反応後生成した有機物量を全有機炭素濃度計
で測定した。測定に際し、対照実験として同じ方法でリ
パーゼ溶液を使用しないものも実施し、測定値を補正し
た。
【0023】尚、変性ポリオレフィンにおいて、EEA
はエチレン/アクリル酸エチル共重合樹脂(アクリル酸
エチル含有率10wt%)を示し、EVAはエチレン/
酢酸ビニル共重合樹脂(酢酸ビニル含有率15wt%)
を示す。LDPEは低密度ポリエチレンを示す。また、
表1において示したカルボニル含有モノマー含有率は、
樹脂全体に対するカルボニル含有モノマー(エチルアク
リレート又は酢酸ビニル)の割合(wt%)を示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】表2に示した結果からわかるように、本発
明のフィルム融着体は、高いヒートシール強度を示すと
ともに、すぐれた引張物性と微生物崩壊性を有してい
る。また、耐摩耗性にすぐれ、摩耗試験においてフィル
ムの表面削れを生じることもない。これに対し、変性ポ
リオレフィンを含まないフィルム融着体(比較例1)
は、ヒートシール強度において未だ不十分である上、引
張物性及び耐摩耗性に劣る。また、脂肪族ポリエステル
成分が少なすぎる場合(比較例2)ではヒートシール強
度が極端に低下する。一方、脂肪族ポリエステル成分が
多すぎる場合(比較例3)ではフィルムの引張弾性率が
大きくなりすぎ、しなやかさに欠けるものとなった。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年5月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 微生物崩壊性熱可塑性樹脂フィルム融
着体
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微生物崩壊性熱可塑性
樹脂フィルム融着体に関するものである。
【0002】
【従来技術及びその問題点】微生物崩壊性熱可塑性樹脂
であるポリカプロラクトンとポリエチレンとを混合した
微生物崩壊性熱可塑性樹脂フィルムは既に提案されてい
る(特願平2−281317号)。このフィルムは、確
かに微生物崩壊性においてすぐれているものの、ポリエ
チレンの配合量が増加するにつれてフィルムのヒートシ
ール強度(融着強度)が著しく低下するという問題が生
じる。一方、ポリエチレンの配合量が低下するにつれ
て、フィルムの引張破断強度や引張伸び率等の引張物性
が著しく低下するとともに、わずかな摩擦により表面が
一部剥離したり、フィルムを引張った時に白化したりす
る等の問題を生じる。従って、このような微生物崩壊性
熱可塑性樹脂フィルムを熱融着して得られる袋体や手
袋、空気封入緩衝材等のフィルム融着体は、実用性の点
では未だ満足すべきものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、微生物崩壊
性熱可塑性樹脂フィルム融着体に見られるヒートシール
強度の低さと引張物性の悪さの問題を同時に解決して、
微生物崩壊性にすぐれるとともに、ヒートシール強度、
引張物性にすぐれ、またわずかな摩擦等によって表面が
一部剥離するようなこともなく、さらに引張った時に白
化することのない、実用性にすぐれた微生物崩壊性熱可
塑性樹脂フィルム融着体を提供することをその課題とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明によれば、微生物分解性熱可塑
性樹脂50重量%〜90重量%をマトリックス樹脂と
し、そのマトリックス樹脂中に、変性ポリオレフィン系
樹脂50重量%〜10重量%を混合分散してなるフィル
ムを相互に重ね合わせ、その一部を熱融着して融着部と
非融着部とを形成してなることを特徴とする微生物崩壊
性熱可塑性樹脂フィルム融着体が提供される。
【0005】本発明のフィルム素材である微生物分解性
熱可塑樹脂(以下、単に微生物分解性樹脂ともいう)とし
ては、従来公知のものが示され、例えば、脂肪族ポリエ
ステル樹脂や、脂肪族ポリエステルに低分子量のポリア
ミドをブロック的に共重合させたもの、ポリビニルアル
コール等が挙げられる。脂肪族ポリエステル樹脂には、
脂肪族系の2価カルボン酸を含む多価カルボン酸と、脂
肪族系ジオールを含む多価アルコールとの重縮合物、ヒ
ドロキシ脂肪族カルボン酸の重縮合物、ラクトンの開環
重合物が包含され、その具体例としては、例えば、エチ
レンジアジペート、プロピオラクトン、カプロラクト
ン、β-ヒドロキシ酪酸等から誘導される単独重合体や
共重合体が例示される。これらの重合体は、2種以上を
混合して用いることができる。また、これらの重合体は
いずれもリパーゼ等の作用によって加水分解されるもの
である。
【0006】本発明における変性ポリオレフィン系樹脂
としては、カルボニル基含有エチレン系不飽和単量体を
グラフト共重合、ブロック共重合、ランダム共重合ある
いは末端処理等の手段でポリオレフィン樹脂の主鎖又は
側鎖に導入したものである。カルボニル基含有エチレン
系不飽和単量体としては、例えば、カルボン酸、カルボ
ン酸塩、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル、カル
ボン酸アミド、カルボン酸イミド、アルデヒド、ケトン
等を単独で、あるいはシアノ基、ヒドロキシ基、エーテ
ル基、オキシラン環等との組合せで含むものが例示され
る。これらの具体例を示すと、次の通りである。
【0007】アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、
フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、5
−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸等のエチレン系
不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水シトラコン
酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、
テトラヒドロ無水フタル酸等のエチレン系不飽和無水カ
ルボン酸;アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイ
ミド等のエチレン系不飽和アミド又はイミド;アクロレ
ン、メタクロレイン、ビニルメチルケトン、ビニルブチ
ルケトン等のエチレン系不飽和アルデヒド又はケトン;
アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸2
−エチルヘキシル、マレイン酸モノ又はジ−エチル、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル、γ−ヒドロキシメタク
リル酸プロピル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、グ
リシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、β
−N−エチルアミノエチルアクリレート、ジエチレング
リコールジメタクリレート等のエチレン系不飽和エステ
ル等。本発明において好ましく用いられる変性ポリオレ
フィン系樹脂は、酢酸ビニル、アクリレート、メタクリ
レート等のエステル結合を有するビニルモノマーとエチ
レンやプロピレン等のオレフィンとの共重合体である。
【0008】本発明で用いる変性ポリオレフィン系樹脂
におけるカルボニル基含有エチレン系不飽和単量体の含
有量は、0.01〜45重量%、好ましくは0.5〜4
0重量%である。また、このカルボニル基含有エチレン
系不飽和単量体は、全樹脂中、0.01〜25重量%、
好ましくは0.5〜20重量%の範囲に規定するのがよ
い。尚、上記変性ポリオレフィン系樹脂中には、変性さ
れていないポリオレフィン系樹脂を含むことができる。
この場合には、混合比率は混合物中の上記単量体の含有
量を上記と同様に、0.5〜20重量%に規定するのが
よい。未変性のポリオレフィン系樹脂としては、例え
ば、分岐低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレ
ン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテ
ン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテ
ン共重合体等が挙げられる。
【0009】本発明のフィルム融着体を構成する樹脂フ
ィルムは、微生物分解性樹脂がマトリックス樹脂とな
り、その中に(1)変性ポリオレフィン系樹脂又は
(2)変性ポリオレフィン系樹脂とポリオレフィン系樹
脂(以下、これらの樹脂(1)及び(2)を単にポリオ
レフィン系樹脂とも言う)を混合分散したものである。
すなわち、ポリオレフィン系樹脂が微生物分解性樹脂に
よって覆われた構造を有する。従って、このような樹脂
フィルムは、表面部が微生物分解性樹脂からなり、ま
た、表面部が微生物分解した後に露出する新表面も同様
に微生物分解性樹脂であるので、微生物分解性のないあ
るいは劣ったポリオレフィン系樹脂を含むにもかかわら
ず、全体としてすぐれた微生物崩壊性を示すものであ
る。
【0010】前記の如き微生物分解性樹脂をマトリック
スとするフィルムは、微生物分解性樹脂とポリオレフィ
ン系樹脂との溶融混練物を、フィルム形状に成形するこ
とによって得ることができる。本発明において、前記溶
融混練物をフィルム成形する場合、その成形は、押出成
形法を採用するのが好ましい。この押出成形法として
は、インフレーション法やTダイ法が例示される。上記
樹脂フィルムを得る場合、溶融混練物は、下記式(1)
及び式(2)を満足する条件で押出機先端のダイスから
低圧帯域へ押出すことが好ましい。これによって微生物
分解性樹脂がマトリックスとなったフィルムを容易に得
ることができる。 10>η(B)/η(A)≧1 (1) (好ましくは5>η(B)/η(A)≧1) η(A)≧500 (2) 前記式中、η(A)は押出温度での微生物分解性樹脂の粘
度(ポイズ)を示し、η(B)は押出温度でのポリオレフ
ィン系樹脂の粘度(ポイズ)を示す。前記式(1)及び
(2)で表わされる押出条件は、微生物分解性樹脂やポ
リオレフィン系樹脂の分子量を含む具体的種類を選ぶこ
とによって得ることができる他、複数の微生物分解性樹
脂混合物の成分組成や、複数のポリオレフィン系樹脂混
合物の成分組成を適当に選定することによって得ること
ができる。このようにして得られるフィルムは、通常、
3〜1000μm、好ましくは5〜500μm程度の厚
さを有する。
【0011】上記樹脂フィルム中の微生物分解性樹脂の
割合は50〜90重量%、好ましくは60〜85重量
%、ポリオレフィン系樹脂の割合は50〜10重量%、
好ましくは40〜15重量%である。一般に、樹脂フィ
ルムの崩壊は微生物分解性樹脂が微生物によって分解さ
れることによって起こるために、その配合量は多い方が
より崩壊されやすい。しかし、その割合が前記範囲を超
えると、フィルムの機械物性が悪化し、フィルム融着体
として実用に耐えなくなる。特に、微生物分解性樹脂の
含有量が90重量%を超えるようになると、得られるフ
ィルムの引張弾性が高くなりすぎ、フィルムにしなやか
さが失なわれ、フィルムとしての価値が著しく低下す
る。一方、その微生物分解性樹脂の割合が前記範囲より
少ない場合は、得られるフィルムのヒートシール強度が
低下する。
【0012】上記樹脂フィルムは、他の補助成分を含む
ことができる。例えば、機械的強度を高めるための無機
充填剤や、微生物分解性樹脂とポリオレフィン系樹脂と
の相溶性を高めるための相溶化剤を用いることができ
る。相溶化剤としては、微生物分解性樹脂とポリオレフ
ィン系樹脂の共重合体がある。このような高分子相溶化
剤は、ポリオレフィン系樹脂と同等に取扱われ、その押
出温度での粘度η(C)も、10>η(C)/η(A)≧1の条件を
満たすことが望ましい。また、その配合割合は、ポリオ
レフィン系樹脂の割合に算入される。
【0013】本発明によるフィルム融着体は、前記した
樹脂フィルムの複数を重ね、所要部分をヒートシールす
ることにより得られるものである。このようなものに
は、手袋や袋体の他、気泡封入緩衝材等が包含される。
【0014】
【発明の効果】本発明による樹脂フィルム融着体は、良
好な微生物崩壊性を有するものである。このような微生
物崩壊性は、微生物分解性樹脂の混入と、フィルムの特
定内部構造によって発現されるものである。本発明の樹
脂フィルム融着体は、廃棄後は微生物の存在する環境に
おいて容易に崩壊し、その嵩を減少させることができる
ため、廃棄物処理問題の解決に有効な手段を与えるもの
である。また、このフィルム融着体は、廃棄後回収もれ
により自然環境中に放置されても、微生物により崩壊さ
れるため、自然界の動植物の生命を危険にさらすことは
ない。本発明のフィルム融着体は、ヒートシール強度が
高いためにヒートシール部分から容易に剥離するような
ことはない。しかも、引張物性においてすぐれているた
め、引張ったときに容易に破断するようなこともない。
さらに、その表面を摩擦しても表面の一部が剥離するこ
ともなく、また、引張ったときに白化を生じるようなこ
ともない。しかもフィルムとしてのしなやかさを併せ持
つものである。このように、本発明のフィルム融着体は
その実用性において著しく向上したものである。
【0015】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。 実施例1 ポリカプロラクトン(PCL)と、低密度ポリエチレン
(LDPE)又は変性ポリオレフィンを表1の割合で配
合し、この配合物を、押出機内で溶融混練し、この溶融
混練物を直径100mmのダイスを持つインフレーショ
ン装置にて厚さ約50μmのフィルムに成形した(押出
温度約160℃)。ただし、比較例3のみ、Tダイ法
(ダイス幅300mm)により厚さ約50μmのキャス
トフィルムを得た(押出温度約230℃)。
【0016】次に、得られたフィルムについて、ヒート
シール強度、引張物性及び微生物崩壊性の測定を以下の
ようにして行った。またフィルムの摩耗性を以下のよう
にして測定した。その結果を表2に示す。 (1)ヒートシール強度 試料をJIS K6767ダンベル状(平行部の幅10
mm、長さ40mm)とし、長さ方向に2つ折りにし
て、平行部分をインパルスシーラー(加熱1.5秒、冷
却3秒)にて行った(シール5×10mm)。ヒートシ
ール強度の測定は、引張強度試験機を用いて、チャック
間距離50mm、引張速度50mm/minで行った。 (2)引張物性(破断強度、破断伸び、弾性率) 試料をJIS K6767ダンベル状(平行部分の幅1
0mm、長さ40mm)とし、引張強度試験機を用い
て、チャック間距離90mm、引張速度500mm/m
inで行った。破断伸びでは、破断までのチャック間の
伸びを測定し、試料の平行部分40mmに対しての割合
(%)で算出した。また、破断強度及び弾性率の算出方
法は、JIS K7113に従った。尚、弾性率で採用
したひずみ(伸び)は、試料の平行部分40mmに対す
るチャック間の伸びで示した。 (3)摩耗性 試料を50×50mmとし、摩耗試験機を用いて、同一
フィルムに対して、ストローク20mm、往復速度60
回分、荷重3000gの条件で行った。試験結果を次の
基準で評価した。 ○:10分間にわたって外観変化なし ×:1分以内にフィルム表面が削れ、白濁が生じた
【0017】(4)微生物崩壊性試験 オリーブ油から1分間に130μmoleの脂肪酸を生
成することができる力価をもつリパーゼ溶液0.3m
l、リン酸緩衝液(pH7)を2ml、界面活性剤(第
一工業製薬(株)製の商品名「プライサーフA210G」
1ml、水16.7ml及び各試料100mgを100
ml三角フラスコに入れて、30℃で最終的に16時間
反応させ、反応後生成した有機物量を全有機炭素濃度計
で測定した。測定に際し、対照実験として同じ方法でリ
パーゼ溶液を使用しないものも実施し、測定値を補正し
た。
【0018】尚、変性ポリオレフィンにおいて、EEA
はエチレン/アクリル酸エチル共重合樹脂(アクリル酸
エチル含有率10wt%)を示し、EVAはエチレン/
酢酸ビニル共重合樹脂(酢酸ビニル含有率15wt%)
を示す。LDPEは低密度ポリエチレンを示す。また、
表1において示したカルボニル含有モノマー含有率は、
樹脂全体に対するカルボニル含有モノマー(エチルアク
リレート又は酢酸ビニル)の割合(wt%)を示す。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】表2に示した結果からわかるように、本発
明のフィルム融着体は、高いヒートシール強度を示すと
ともに、すぐれた引張物性と微生物崩壊性を有してい
る。また、耐摩耗性にすぐれ、摩耗試験においてフィル
ムの表面削れを生じることもない。これに対し、変性ポ
リオレフィンを含まないフィルム融着体(比較例1)
は、ヒートシール強度において未だ不十分である上、引
張物性及び耐摩耗性に劣る。また、脂肪族ポリエステル
成分が少なすぎる場合(比較例2)ではヒートシール強
度が極端に低下する。一方、脂肪族ポリエステル成分が
多すぎる場合(比較例3)ではフィルムの引張弾性率が
大きくなりすぎ、しなやかさに欠けるものとなった。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 77/12 LQS 9286−4J C09J 7/00 JHM 6904−4J JHN 6904−4J // C08L 33/00 LJB 7921−4J 101/00 LSY 7242−4J (72)発明者 常盤 豊 茨城県つくば市東1丁目1番3号 工業技 術院微生物工業技術研究所内 (72)発明者 百瀬 義昭 栃木県宇都宮市鶴田町3282−5 (72)発明者 木野 徹 栃木県宇都宮市上戸祭町362 (72)発明者 岩本 晃 茨城県つくば市東2丁目1番16号 大野ハ イツ101号 (72)発明者 藤井 清利 兵庫県姫路市北八代2丁目2番6号

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微生物分解性熱可塑性樹脂50重量%〜
    90重量%をマトリックス樹脂とし、そのマトリックス
    樹脂中に、変性ポリオレフィン系樹脂50重量%〜10
    重量%を混合分散してなるフィルムを相互に重ね合わ
    せ、その一部を熱融着して融着部と非融着部とを形成し
    てなることを特徴とする微生物崩壊性熱可塑性樹脂フィ
    ルム融着体。
JP8644392A 1992-03-10 1992-03-10 微生物崩壊性熱可塑性樹脂フィルム融着体 Expired - Lifetime JPH0829574B2 (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005248159A (ja) * 2004-02-06 2005-09-15 Osaka Gas Co Ltd 加水分解性が制御されたポリエステル材料及びその成形体
JP2006316172A (ja) * 2005-05-12 2006-11-24 Toyota Motor Corp 樹脂組成物
JP2008174670A (ja) * 2007-01-19 2008-07-31 Du Pont Mitsui Polychem Co Ltd 乳酸系樹脂組成物

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04299131A (ja) * 1991-03-28 1992-10-22 Dainippon Printing Co Ltd 食品用容器

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