JPH06218047A - 透析治療に於ける循環血液量の相対的変動測定装置及びその測定方法 - Google Patents

透析治療に於ける循環血液量の相対的変動測定装置及びその測定方法

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JPH06218047A
JPH06218047A JP5027329A JP2732993A JPH06218047A JP H06218047 A JPH06218047 A JP H06218047A JP 5027329 A JP5027329 A JP 5027329A JP 2732993 A JP2732993 A JP 2732993A JP H06218047 A JPH06218047 A JP H06218047A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 安価な測定装置で、しかも患者から採血する
血液のロスがないので、循環血液量の相対的変動を小刻
みに測定して知ることが簡単に尚且つ短時間に行え、適
正な体液除去速度で透析治療が出来る。 【構成】 透析治療中に患者の血液の一部が、測定用と
して血液回路1から容器本体4内部の導管5に取入れ、
圧トランスデュ−サ−6で血液圧と濾液圧を検出させ
る。前記圧トランスデュ−サ−6の入力デ−タ−により
膠質浸透圧検出部8で膠質浸透圧Pを求める。その値は
演算処理部9に入力され、応用式に代入されて血漿総蛋
白質濃度Cを求めると共に循環血液量の相対的変動率も
求められる。前記演算処理部9の値は表示部10で表示さ
れる一方、測定された血液は血液回路1に戻されて上記
測定を小刻みに測定する構造及び測定方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は急性及び慢性腎不全,心
不全等の溢水状態の患者に対する透析及び限外濾過に於
ける循環血液量の相対的変動をリアルタイムで測定し、
除水速度を調節するための測定装置及びその測定方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に溢水状態の患者に対して透析治療
を行う場合、先ず血液回路(1)の採血部(1a)及び返
血部(1b)を患者の血管(A),(B)に刺し込む。す
ると採血部(1a)側の血液回路(1)から患者の血液が
ダイアライザ−(3)内部に入り、循環する透析液へ血
液中の水分等が半透膜を介して除去される。この透析時
の除水速度は、必要総除水量を透析時間で割って機械的
に決定しているのが現状である。この結果、透析治療の
前半では過少の除水速度となり、後半では過多の除水速
度となり、特に後半に於いては血液量が減少するので、
患者の循環系に大きな影響を及ぼし、血圧降下やショッ
クが起き易かった。このため透析治療に於ける循環血液
量の変化を推測するために、相対的変動として蛋白質濃
度Tp(%),赤血球濃度Ht(%),膠質浸透圧等を測定し、そ
れらがパラメ−タとして用いられている。この測定方法
としては一定時間毎に採血しそれを専用測定機で結果を
出し、その値が表示されるものであった。尚、前記測定
方法以外に、患者の体内に色素や放射性同位元素を投与
し、その変化を専用測定機で測定して、循環血液量の変
化を直接的に測定する方法もあるが、この測定方法では
前記投与物が患者の体内に残存され、患者に悪影響を及
ぼすため、最近では殆ど行われていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記蛋白質濃度Tp
(%),赤血球濃度Ht(%),膠質浸透圧等をそれらの専用測
定機で測定する場合、測定する毎に患者から採血を行う
ので、多くの血液が消費され、ロスとなる。従って採血
間隔を短縮し、測定回数を増加させることは困難である
ため、連続した測定が出来ない。しかも測定するための
装置が高価であり、且つ、その検査に要する時間が多く
掛かると共にその費用も多く掛かっていた。更に測定す
る場合には、一旦採血したものを専用測定機に掛けて、
循環血液量の変動デ−タ−を得なければならず、その結
果が出る迄の間だけ遅く古いデ−タ−となるので、リア
ルタイムに循環血液量の変動が推測出来なくなり、測定
精度を高くすることは極めて難しい等の問題点があっ
た。
【0004】本発明は透析者の適正除水量を管理するた
めの指標を得る透析治療に於ける循環血液量の相対的変
動測定装置及びその測定方法を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに本発明は成されたものであり、つまり、血液回路の
中間位置にポンプとダイアライザ−を配置させた透析装
置に於いて、前記血液回路にバイパスを設けて患者の血
液が取入れられる取入口及びそれが血液回路に戻される
排出口を有した容器本体と、該容器本体内部を貫通する
と共にその両端が前記取入口と前記排出口とそれぞれ接
続する多数本から成る半透膜の導管と、前記容器本体の
端部及びその内部に設けた圧トランスデュ−サ−と、該
圧トランスデュ−サ−のデ−タ−から算出する膠質浸透
圧検出部と、該膠質浸透圧検出部のデ−タ−を基に血漿
総蛋白濃度Cを算出し、その値を基に相対的変動率を算
出する演算処理部と、その演算処理部の値を表示する表
示部とから少なくとも構成させる。又、前記容器本体に
隔壁を設けて導管の一部が区画され、前記ダイアライザ
−の役目も前記容器本体内部で行う構造とさせても良
い。
【0006】また前記測定装置を用いて連続測定するに
は、患者の透析治療中に下記の過程が繰返されて測定を
行う。つまり、イ)血液回路から患者の血液を容器本体内
部に流し込み、該容器本体内部に設けた導管へ血液が通
過し、前記容器本体の中空部に濾液が充満されるまで血
液を取入れる取入過程。ロ)血液の血液圧と濾液圧を圧ト
ランスデュ−サ−で検出する検出過程。ハ)圧トランスデ
ュ−サ−のデ−タ−により膠質浸透圧Pを求める膠質浸
透圧検出過程。ニ)膠質浸透圧Pが応用式に代入されて血
漿総蛋白質濃度Cを求め、その値を基に循環血液量の相
対的変動率も前記演算処理部で行われる演算処理過程。
ホ)演算処理部の値を表示部に表示する表示過程。ヘ)測定
された血液を血液回路に戻す返血過程。
【0007】
【作用】次に本発明の作用について説明する。予め容器
本体(4)の取入口(4a)と排出口(4b)をダイアライ
ザ−(3)よりも採血部(1a)側に接続させておく。
尚、前記排出口(4b)はダイアライザ−(3)よりも後
方に接続しても良い。先ず、血液回路(1)の採血部
(1a)及び返血部(1b)を患者の血管(A),(B)にそ
れぞれ刺し込み、患者に透析治療を行う。次にこの透析
中、本発明装置によって循環血液量の相対的変動を連続
測定するのである。この連続測定方法について詳細な説
明をする。先ず始めに、イ)取入過程について説明すれ
ば、患者の血液が取入口(4a)を通過して導管(5)内
部に流れ込む。そして前記導管(5)内部に流れ込んだ
血液が充満されると共に、容器本体(4)内部に充満し
た血液は半透膜の導管(5)によって血液中の蛋白質及
び血球以外の成分を含んだ水分等が、図3に示す矢印の
如く導管(5)から排出されて前記容器本体(4)の中
空部に溜り、濾液は充満する。その後、血液圧と濾液圧
が検出されるロ)検出過程を行う。この検出過程にはバイ
パス(11)を一時的に閉じて測定する方法と、バイパス
(11)を利用しないで連続測定する方法とがあり、どち
らの方法を用いても良い。
【0008】以下、バイパス(11)を用い、一時的に閉
じて行う測定方法について詳細な説明をする。先ず容器
本体(4)の中空部に濾液が充満した後、バイパス用ポ
ンプ(2')を停止させると共に弁(7)を閉じると、血
液の流れは停止される。尚、この時、前記ポンプ(2')
を停止させると、バイパス(11)には血液が殆ど流れな
くなり、弁の役目も果している。次に、予め設けた容器
本体(4)の端部付近の血液用圧トランスデュ−サ−
(6)と、前記容器本体(4)中空部の濾液用圧トラン
スデュ−サ−(6)からのデ−タ−で圧力を検出する。
このデ−タ−は膠質浸透圧検出部(8)へ送られる。前
記デ−タ−を膠質浸透圧検出部(8)に入力してハ)膠質
浸透圧検出過程が行われる。尚、この時、それぞれの検
出位置の高さ、血液又は濾液別によって生じる誤差を補
正しておく。その後、血漿総蛋白質濃度Cを求めるため
のニ)演算処理過程が行われる。この過程について説明す
れば、前記過程で求めた膠質浸透圧P(mmHg)の値を応
用式に代入することにより、血漿総蛋白濃度Cは演算処
理部(9)で即座に算出されるのである。次に、この血
漿総蛋白濃度Cの値を基に循環血液量の相対的変動率も
演算処理部(9)で即座に算出するのである。前記演算
処理部(9)で求められた循環血液量の相対的変動率を
表示部(10)で表示してホ)表示過程が行われる。その
後、前記ポンプ(2')を作動させると共に弁(7)を開
け、測定した血液は排出口(4b)から排出されて血液回
路(1)に戻され、ヘ)返血過程が完了する。従って血液
は消耗することなく血液測定が連続して行われるのであ
る。
【0009】次の測定を行う時には、先ず前記ポンプ
(2')を停止させると共に弁(7)を閉じ、各圧トラン
スデュ−サ−(6)のデ−タ−により、血液圧と濾液圧
を検出するロ)検出過程が直ちに行われる。尚、この時、
前記容器本体(4)の中空部に充満させた濾液は始めの
測定開始時期に溜められた状態で測定され、以降の測定
時には血液中の水分状態によって濾液圧の変動となって
現れる。次に、検出されたデ−タ−によって膠質浸透圧
検出部(8)でハ)膠質浸透圧検出過程が行われ、膠質浸
透圧P(mmHg)を求める。該膠質浸透圧P(mmHg)を応
用式に代入して、血漿総蛋白質濃度Cが求められると共
に前記血漿総蛋白濃度Cの値を基に循環血液量の相対的
変動率も演算処理部(9)で算出し、ニ)演算処理過程を
終了する。そして、即座に算出された値を前記同様にリ
アルタイムで循環血液量の相対的変動率として表示部
(10)に表示されてホ)表示過程が行われるのである。
尚、バイパス(11)を用いずに、透析と測定が同一容器
本体(4)内部で行われる場合、連続測定する際の血液
圧,濾液圧は、所定時間の平均値で判断する。この時、
前記ポンプ(2')と弁(7)は不要である(図2参
照)。
【0010】
【実施例1】次に本発明の実施例を図1に基づいて説明
する。(A),(B)は患者の血管である。(1)は患
者の血管(A)に刺し込み採血する採血部(1a)及び患
者の血管(B)に返血する返血部(1b)を両端に有した
ビニ−ルチュ−ブ製の血液回路であり、該血液回路
(1)の中間部にはバイパス(11)が設けられている。
(2)は血液回路(1)の中間位置に配置させたポンプ
であり、(2')はバイパス(11)に配置するバイパス用
ポンプである。(3)は血液回路(1)の中間位置に配
置させたダイアライザ−であり、該ダイアライザ−
(3)には透析液入口(3a)と透析液出口(3b)を有し
ている。尚、前記血液回路(1),ポンプ(2),ダイア
ライザ−(3)は透析治療に於いて用いられており、公
知なものであるのでこれ以上の説明を省略する。
【0011】(4)は取入口(4a)と排出口(4b)を有
した容器本体であり、該容器本体(4)は非水溶性材
料、例えば高分子樹脂を用い、その形状は密閉可能な円
筒状に形成する。尚、前記容器本体(4)の形状は円筒
状に限定されるものではなく、任意の形状,大きさの堅
牢で且つ密閉可能であれば良い。(5)は容器本体
(4)内部を貫通させると共に両端が取入口(4a)と排
出口(4b)にそれぞれ接続する多数本から成る半透膜の
導管であり、該導管(5)としてはアルブミン以上の高
分子を通過させない程度の半透膜を用いる。尚、前記容
器本体(4),導管(5)の構造は市販されている血液
透析用ダイアライザ−(3)と殆ど同じ構造のものであ
るので、それを用いても良く、この場合には前記ダイア
ライザ−(3)の透析液入口(3a)と透析液出口(3b)
を密閉して用いる。(6)は複数の圧トランスデュ−サ
−であり、該圧トランスデュ−サ−(6)は容器本体
(4)の取入口(4a)付近と排出口(4b)付近に設けた
血液圧用のものと、前記容器本体(4)の内壁と導管
(5)の外壁とで形成する中空部に設けた濾液圧用のも
のとがある。(7)は血液用圧トランスデュ−サ−
(6)よりも更に外側に配置させた開閉自在な弁やコッ
ク等の開閉手段である。(8)は各圧トランスデュ−サ
−(6)のデ−タ−により膠質浸透圧Pを求める膠質浸
透圧検出部であり、(9)は膠質浸透圧検出部(8)の
デ−タ−を基に血漿総蛋白濃度Cを算出し、その値を基
に相対的変動率を算出する演算処理部であり、(10)は
演算処理部(9)の値を表示する表示部である。尚、前
記膠質浸透圧検出部(8),演算処理部(9),表示部
(10)はマイクロコンピュ−タ−を用いて代用させても
良い。又、この時には予め計算式を記憶させておき、圧
トランスデュ−サ−(6)の値を入力することにより、
その計算が即座にディスプレ−に表示するようにプログ
ラムしておけば良い。
【0012】次に本発明の測定方法について説明する。
予め図1に示すように本発明装置を配置させておく。
尚、容器本体(4)の取入口(4a)と排出口(4b)をダ
イアライザ−(3)よりも採血部(1a)側に、且つバイ
パス(11)を用いて接続させておく。先ず血液回路
(1)の採血部(1a)及び返血部(1b)を患者の血管
(A),(B)に刺し込み、透析治療を始める。次にポ
ンプ(2')を作動させ、更に弁(7)を開く。すると、
患者の血液の一部が取入口(4a)から容器本体(4)内
部に流れ込むと共に導管(5)内部が血液で充満する。
そして導管(5)外壁と容器本体(4)の内壁から形成
される中空部に濾液が充満後、前記ポンプ(2')を停止
し、弁(7)を閉じて血液の流れが停止される。この時
の各圧トランスデュ−サ−(6)から検出されるデ−タ
−を膠質浸透圧検出部(8)へ送る。尚、この時の測定
デ−タ−値の単位は(mmH2O)であるので、血漿総蛋白
質濃度Cを求めるために必要な膠質浸透圧Pの単位が
(mmHg)であるため、(mmH2O)を(mmHg)に変換する
単位変換を膠質浸透圧検出部(8)で行い、このデ−タ
−によって膠質浸透圧Pが求められるのである。その値
は更に演算処理部(9)に入って、血漿総蛋白質濃度C
を算出するための基本式P(mmHg)=2.1C+0.16C2
0.009C3 を基にして予め作られたCの逆算式に、膠質
浸透圧P(mmHg)の値が代入され血漿総蛋白質濃度Cを
求める。更にこの血漿総蛋白濃度Cの値を基に循環血液
量の相対的変動率も演算処理部(9)で算出するのであ
る。尚、前記基本式は上記以外にも数種類あるので、そ
ちらの基本式を用いても良く、この基本式に限定される
ものではない。また前記相対的変動率は循環血液量の減
少変動として求められる。次に、求められた前記値は表
示部(10)に表示することにより、循環血液量の相対的
変動率の減少の仕方を目で見ながら除水速度の調節デ−
タ−とすることが出来るのである。測定が完了後、ポン
プ(2')を作動させると共に弁(7)を開け、容器本体
(4)内部の血液は、排出口(4b)から排出されて血液
回路(1)に戻されるのである。そして、所定時間経過
した後、上記と同様にして次の測定を行えば良い。尚、
この所定時間を1分間隔毎に連続して測定し即座に変動
率が算出されることも可能であるので、従来不可能であ
ったリアルタイムの測定が出来る。その結果、透析治療
に於ける除水速度の適正調節が可能となる。
【0013】
【実施例2】次に本発明の別実施例を図2に基づいて説
明する。これは実施例1に対して先ず血液回路(1)に
バイパス(11)を設けず、且つ、従来のダイアライザ−
(3)と開閉手段(7)である弁は使用しない。次に容
器本体(4)に於いて、その内部に多数本から成る半透
膜の導管(5)を貫通させると共に該導管(5)の両端
が取入口(4a)と排出口(4b)にそれぞれ接続されてい
る。更に前記容器本体(4)内部は、隔壁(41)によっ
て透析用と測定用とに区画された点が大きな違いであ
る。この構造について説明すると、容器本体(4)は透
析に必要な大きさよりも大きめに形成し、その内部は隔
壁(41)によって透析用と測定用に密閉状態で区画され
ている(図4参照)。また該容器本体(4)の透析用中
空部には透析用入口(42)と透析用出口(43)が設けら
れている。尚、実施例2の本発明装置を配置させて測定
する場合には、前記測定方法と殆ど同一であるが、前記
ポンプ(2')と弁(7)の操作は不要となり、順次測定
デ−タ−が送られて実施例1の場合よりも細かな間隔で
測定することが可能となる。
【0014】次に実施例1の装置を配置させて本発明の
測定方法によって血漿総蛋白質濃度Cを10分間隔毎に算
出した値と、従来の専用測定機によって20分間隔毎に実
測したTp(%)とHt(%)の値を図5に示す。又、前記値の
増加率の傾向を図6に示す。この時の条件としては透析
速度を1000ml/hに設定した。尚、本発明の測定時、前記
取入口(4a)側の平均圧は100〜200cm/H2Oで、且つ1秒
間に1〜2回の割合で15%の変動が起き、前記排出口
(4b)側の平均圧は50〜100cm/H2Oで、且つ1秒間に1
〜2回の割合で15%の変動が起きた。この時の位相は前
記取入口(4a)側と前記排出口(4b)側では、ずれを生
じる。また測定は190分とし、前記専用測定機による測
定間隔を10分毎にすると採血量が多くなり、患者の負担
も大きいため20分毎とした。
【0015】図6に示すように本発明装置を用いた測定
方法の値は、高価な前記専用測定機によって求められた
値と殆ど同じ傾向を示すので、透析治療や限外濾過に於
ける循環血液量の相対的変動を連続測定出来ることが実
証されるに至ったのである。尚、一般に同じ患者に於い
て、蛋白質濃度Tp(%),赤血球濃度Ht(%),膠質浸透圧等
の測定すると、測定誤差は必ず10%以上あり、しかも専
用測定機や測定施設等によって更にその測定誤差は大き
くなる。従って透析治療や限外濾過に於ける循環血液量
の変動率を測定する際には、20%以上の測定誤差は常時
生じているのが現状である。
【0016】
【発明の効果】本発明は急性及び慢性腎不全,心不全等
の溢水状態の患者に対する透析治療に於ける循環血液量
の相対的変動をリアルタイムで知ることが出来るため、
測定精度を向上させることが可能となり、且つ、透析中
に最も重要な合併症であった低血圧の発症を防止するこ
とも可能となる。又、本発明装置は従来のダイアライザ
−(3)をベ−スとしたものを用いることが出来るの
で、極めて安価に装備することが出来る。しかも本発明
の測定方法は採血した血液を元に戻し血液のロスがない
ので、小刻みに測定することが出来る。更に種々の原因
による溢れ状態の患者に対する透析治療や限外濾過に於
いて循環血液量の相対的変動を知ることが簡単に尚且つ
短時間に測定することが出来るので、適正な体液除去速
度で治療ができ、治療上極めて有用なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1を示す配置図である。
【図2】本発明の実施例2を示す配置図である。
【図3】本発明の測定方法に於ける血液圧と濾液圧を測
定する際の循環血液の流れを示す説明図である。
【図4】本発明の容器本体内部に隔壁を設けた状態を示
す説明図である。
【図5】本発明方法による血漿総蛋白質濃度Cの値と、
実測のTpとHtの値を示す表である。
【図6】血漿総蛋白質濃度Cの値と、実測のTpとHtの値
との増加率の傾向をグラフ化した説明図である。
【符号の説明】
A,B 血管 1 血液回路 1a 採血部 1b 返血部 11 バイパス 2 ポンプ 3 ダイアライザ− 4 容器本体 4a 取入口 4b 排出口 41 隔壁 42 透析用入口 43 透析用出口 5 導管 6 圧トランスデュ−サ− 8 膠質浸透圧検出部 9 演算処理部 10 表示部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 採血部(1a)と返血部(1b)を両端に有
    したビニ−ルチュ−ブ等の血液回路(1)と、該血液回
    路(1)の中間位置に配置させたポンプ(2)及びダイ
    アライザ−(3)とから成る透析装置に於いて、前記ダ
    イアライザ−(3)よりも採血部(1a)側に接続させる
    取入口(4a)及び採血部(1a)位置よりも後方の適宜位
    置に接続させる排出口(4b)を有した容器本体(4)
    と、該容器本体(4)内部を貫通すると共にその両端が
    前記取入口(4a)と前記排出口(4b)とにそれぞれ接続
    する多数本から成る半透膜の導管(5)と、前記容器本
    体(4)端部の血液圧と内部の濾液圧を測定する圧トラ
    ンスデュ−サ−(6)と、該圧トランスデュ−サ−
    (6)のデ−タ−から膠質浸透圧Pを求める膠質浸透圧
    検出部(8)と、該膠質浸透圧検出部(8)のデ−タ−
    を基に血漿総蛋白質濃度Cを算出し、その値を基に循環
    血液量の相対的変動率を算出する演算処理部(9)と、
    その演算処理部(9)の値を表示する表示部(10)とか
    ら少なくとも構成させたことを特徴とする透析治療に於
    ける循環血液量の相対的変動測定装置。
  2. 【請求項2】 採血部(1a)と返血部(1b)を両端に有
    したビニ−ルチュ−ブ等の血液回路(1)と、該血液回
    路(1)の中間位置に配置させたポンプ(2)と、前記
    血液回路(1)と接続する取入口(4a)及び排出口(4
    b)を有した容器本体(4)と、前記容器本体(4)内
    部を貫通すると共にその両端が前記容器本体(4)の取
    入口(4a)と前記排出口(4b)とにそれぞれ接続する多
    数本から成る半透膜の導管(5)と、該容器本体(4)
    の内部に設けて前記導管(5)の一部を区画すると共に
    密閉した中空部を形成させるための隔壁(41)と、前記
    容器本体(4)の端部及び前記区画された中空部に取付
    けた圧トランスデュ−サ−(6)と、前記圧トランスデ
    ュ−サ−(6)を取付けた反対側の中空部には透析液が
    出入するために配置した透析用入口(42)及び透析用出
    口(43)と、前記圧トランスデュ−サ−(6)のデ−タ
    −から膠質浸透圧Pを求める膠質浸透圧検出部(8)
    と、該膠質浸透圧検出部(8)のデ−タ−を基に血漿総
    蛋白質濃度Cを算出し、その値を基に循環血液量の相対
    的変動率を算出する演算処理部(9)と、その演算処理
    部(9)の値を表示する表示部(10)とから構成させた
    ことを特徴とする透析治療に於ける循環血液量の相対的
    変動測定装置。
  3. 【請求項3】 前記膠質浸透圧検出部(8),演算処理
    部(9),表示部(10)がマイクロコンピュ−タ−で代
    用させて成る請求項1又は2記載の透析治療に於ける循
    環血液量の相対的変動測定装置。
  4. 【請求項4】 血液回路(1)の採血部(1a)及び返血
    部(1b)を患者の血管(A),(B)に刺し込み、前記
    透析装置を用いて行う透析治療又は限外濾過に於いて、
    前記血液回路(1)にバイパス(11)を設け、該バイパ
    ス(11)に血液を取入れて透析中に循環血液量の相対的
    変動を連続させて測定することが可能と成す測定方法で
    あり、下記の過程が繰返して行われることを特徴とする
    透析治療に於ける循環血液量の相対的変動測定方法。イ )血液回路(1)から患者の血液を容器本体(4)内部
    に流し込み、該容器本体(4)内部に設けた導管(5)
    へ血液が通過し、前記容器本体(4)の中空部に濾液が
    充満するまで血液を取入れる取入過程。ロ )血液の血液圧と濾液圧を圧トランスデュ−サ−(6)
    で検出する検出過程。ハ )前記圧トランスデュ−サ−(6)からのデ−タ−によ
    り膠質浸透圧Pを求める膠質浸透圧検出過程。ニ )膠質浸透圧Pが応用式に代入されて血漿総蛋白質濃度
    Cを求め、その値を基に循環血液量の相対的変動率も算
    出する演算処理過程。ホ )演算処理部(9)の値を表示部(10)に表示する表示
    過程。ヘ )測定が完了した血液を前記血液回路(1)に戻す返血
    過程。
  5. 【請求項5】 血液回路(1)の採血部(1a)及び返血
    部(1b)を患者の血管(A),(B)に刺し込み、血液
    を容器本体(4)内部に取入れて透析と循環血液量の相
    対的変動を連続させて測定することが可能と成す測定方
    法であり、下記の過程が繰返して行われることを特徴と
    する透析治療に於ける循環血液量の相対的変動測定方
    法。イ )血液回路(1)から容器本体(4)内部の一部が区画
    された導管(5)内部に血液を流し込み、前記容器本体
    (4)の区画された中空部に濾液が充満するまで血液を
    取入れる取入過程。ロ )血液の血液圧と濾液圧を圧トランスデュ−サ−(6)
    で検出する検出過程。ハ )圧トランスデュ−サ−(6)からのデ−タ−により膠
    質浸透圧Pを求める膠質浸透圧検出過程。ニ )膠質浸透圧Pが応用式に代入されて血漿総蛋白質濃度
    Cを求め、その値を基に循環血液量の相対的変動率も算
    出する演算処理過程。ホ )演算処理部(9)の値を表示部(10)に表示する表示
    過程。ヘ )測定が完了した血液を血液回路(1)に戻す返血過
    程。
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