JPH062155B2 - 人工血管の製造方法 - Google Patents

人工血管の製造方法

Info

Publication number
JPH062155B2
JPH062155B2 JP1229230A JP22923089A JPH062155B2 JP H062155 B2 JPH062155 B2 JP H062155B2 JP 1229230 A JP1229230 A JP 1229230A JP 22923089 A JP22923089 A JP 22923089A JP H062155 B2 JPH062155 B2 JP H062155B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
endothelial cells
blood vessel
artificial blood
tube
culture
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP1229230A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0392169A (ja
Inventor
宣雄 大島
正明 佐藤
正幸 斧原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Bakelite Co Ltd filed Critical Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority to JP1229230A priority Critical patent/JPH062155B2/ja
Publication of JPH0392169A publication Critical patent/JPH0392169A/ja
Publication of JPH062155B2 publication Critical patent/JPH062155B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Prostheses (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、医療技術分野、特に人工血管の分野に属す
るもので、より詳しくは、優れた生体適合性を有し、生
体に移植後も血漿成分や血球成分を活性化せず、血管と
しての正常な機能を有する、人工血管の製造方法に関す
るものである。
〔従来の技術〕
人工血管はその設計思想から大きく3つに分類すること
ができる。第一は、血液成分の付着や血栓形成を極力阻
止しようとするもの、第二は、血液成分の付着を積極的
に促進し、偽内膜(新生内膜)を形成させて血液との親
和性を付与しようとするもの、第三には、培養した血管
内皮細胞を利用するものである。
現在、臨床的に用いられている人工血管は、主として第
二の“偽内膜形成型”であり、比較的太い血管の場合
は、この方法がきわめて有効である。
しかしながら、直径が5mm以下の、特に静脈系の細い血
管では、前記の方法では血栓形成による閉塞が大きな問
題になっている。
比較的最近になって、細胞培養技術の進歩にともなっ
て、培養した血管内皮細胞自体を利用する方法が盛んに
研究されるようになってきた。しかし、血管内皮細胞と
血液成分との相互作用に関する研究は、最近になってよ
うやく基本的な事項が明らかになりつつある段階であっ
て、まだまだ未解明な点が多い。事実、動物実験に関す
る研究報告がなされていても、実際に臨床的に使用でき
るレベルにはまだ到達していないのが現状である。もち
ろん、動物やヒトの種差による問題や免疫学習な障壁も
大きいが、さらに基本的には、内皮細胞と血液成分との
相互作用に関して不明な点があまりにも多いことが、こ
れらの新しい技術の実用化を妨げる要因であるように思
われる。
〔発明が解決しようとする課題〕
内皮細胞を用いた人工血管の場合でも、動物実験レベル
ですら、長期にわたる生体内への埋め込みは完全な成功
を納めていないというのが実状である。その原因の一つ
には、流れの条件下で内皮細胞が培養基材から剥離する
ことによる血栓形成の問題があり、もう一つはそれ以外
の原因不明の血栓形成である。
本発明の目的は、流れの条件下でこのような血栓形成が
全く起こらず、安定した開存性示す人工血管を提供する
ことにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、内皮細胞と血液成分との相互作用に関す
る研究を進めるなかで、静置培養した内皮細胞にPRP
(多血小板血漿)を接触させ、せん断を負荷すると、流
れの中で血小板が凝集するとともに、内皮細胞表面にフ
ィブリンと思われる繊維状物が析出し、そこに血小板が
粘着する現象を見出した。しかしながら、培養液を用い
て内皮細胞にせん断を負荷した後、PRPを用いて、せ
ん断を負荷してもこのような現象が起こらないことを見
いだし、さらに鋭意研究を進めて本発明を完成させるに
至ったものである。
本発明は、基材表面に内皮細胞を結合させる生体適合性
材料の製造方法の改良に関するもので、チューブ状の基
材の内面に血管内皮細胞を播種し単層培養した後、該チ
ューブの内側に、せん断速度が50l/sから1000l/sになる
ように液体を1分〜60分間還流した後、該液体を除去
し、新しい該液体で内皮細胞表面を洗浄いすることを特
徴とする、血管内皮細胞を用いる人工血管の製造方法で
ある。
本発明にいおいて用いられるチューブ状の基材は、特に
限定されるものではなく、合成高分子から成型された無
孔性のチューブ、不織布あるいは網目構造やミクロ多孔
質の材料からチューブ状に加工されたものなどを指す。
しかし、ポリエステルやフッ素系樹脂からなる市販の編
組人工血管や延伸加工したミクロ多孔質構造の人工血管
などを用いることが好ましい。これらのチューブ状の基
材は、滅菌後そのままその内表面に内皮細胞を播種する
ことも可能であるが、低温プラズマ処理やクロム酸など
による化学処理をした上で内皮細胞を播種し培養する方
が細胞の接着力が向上するので好ましい。また、基材に
コラーゲンやファイブロネクチンなどの生体由来物質を
コーティングしておくことも細胞の接着性を向上させる
うえで好ましい。
内皮細胞にせん断応力を負荷する場合、使用する液体の
粘度は0.8〜1.8mPa・sが好ましく、せん断速度は50〜1
000l/sが好ましい。In vivoでの血管壁上のせん断速度
は大動脈で120〜190l/s、大静脈で60l/s、太い静脈
(0.5〜1.0cm)で200l/s、毛細血管で800l/sといわれて
おり、本発明におけるせん断速度もほぼその範囲に属し
ていることが好ましい。
せん断応力を負荷するための液体としては、血液から血
球成分及びフィブリノーゲンを除去した血清、あるいは
細胞培養用の培養液が好ましい。培養液としては特に限
定はせず、MEM(Minimum Essential Medium)、M-199(199
-倍地)など、内皮細胞の培養に汎用される培養液を用
いることができる。
液体によって内皮細胞の表面にせん断応力を負荷した後
に、新しい該液体で内皮細胞表面を洗浄することが好ま
しい。その理由は、せん断応力によって内皮細胞から、
血液成分である血小板や血漿蛋白を活性化する物質が放
出されている可能性が高いためである。それらの物質に
ついては現段階においては特定されてはいないが、ごく
微量で血液成分を活性化する可能性が高いため、せん断
応力の負荷後には、内皮細胞表面からこれらの物質を十
分に除去しておく必要があると考えられる。
本発明における人工血管内面の内皮細胞表面にせん断応
力を負荷するための液体の還流装置は、特に限定される
ものではなく、血液ポンプを用いてチューブ内に液体を
還流するなどの方法を用いることができる。このとき血
流計などによって測定した流速とチューブの内径とから
常法に従ってせん断速度を求めることが可能である。
以下、実施例によって本発明の有効性を詳細に説明す
る。
実施例1及び比較例1 軟質塩化ビニル樹脂(住友ベークライト(株)製、スミ
コン、VM1170G-55)から成型した内径3mm、外径4mm、
長さ5cmのチューブの内面に、雑種成犬(雄性、7kg)
大動脈から物理的剥離法によって採取した血管内皮細胞
を、単層に培養した。
培養液としてはダルベッコMEM(Minimum Essential Medi
um)に10%の牛血清を添加したものを用いた。また、
チューブはアルゴンプラズマによる低温プラズマ処理を
3分間行った後にEOG(エチレンオキサイドガス)で滅
菌して使用した。1×105cells/mlの濃度に調製した
内皮細胞を直径60mmのプラスチック製シャーレに前記
のチューブと共に入れ、インキュベータ内で培養しなが
ら、火炎滅菌したピンセットを用いて10分毎に、90
度ずつ回転させ合計二回転後にシャーレより取り出し、
チューブの外側に接着した内皮細胞をポリスマン(細胞
剥離用具)でかき取り、別の培養シャーレに静かに移し
た。そのまま7日間培養後に、チューブ内面にほぼ内皮
細胞がコンフルエント(confluent)になったことを顕
微鏡下に確認した。
次いで、別途に成型した内径4mm、外径5mm、長さ約5
0cmの前記と同じ塩化ビニル樹脂製のチューブを、内皮
細胞を培養したチューブの両端に接続した。この一連の
チューブに、培養液を100ml入れたガラス製のリザー
バとペリスタポンプ(血液ポンプ)を直列に接続し、内
皮細胞表面の平均せん断速度が約500l/sになるよう
にしてポンプを30分間回転させた。
その後、クリーンベンチ内で内皮細胞を培養したチュー
ブを取り外し、15mlの培養液を入れた遠沈管内でピン
セットを用いて、チューブを静かに洗浄した。
このようにして内皮細胞を培養し還流、せん断処理した
人工血管と、比較対象としてせん断応力を負荷せず内皮
細胞を静置培養しただけのチューブとを、ハロセン麻酔
下に一頭の雑種成犬(雄性、10kg)の左右の頚静脈に
それぞれ一本ずつ埋入した。せん断応力を負荷したチュ
ーブはその応力の方向に血流が流れるようにして注意し
て埋入した。
一ケ月経過後に各チューブを取り出し、生理的食塩水で
静かにチューブを洗浄後、観察した。せん断応力を負荷
しなかったチューブ内腔は特に流入部が血栓でほとんど
閉塞しており、下流部では大半の内皮細胞の表面にフィ
ブリン層が形成されていた。しかしながら、せん断応力
を負荷したチューブは、血液流入部にごく僅かの血餅の
付着が認められたに過ぎず、その他の部分には全く血液
成分の付着は認められなかった。また、せん断応力を負
荷した法のチューブを2%グルタールアルデヒドを含む
燐酸緩衝液にて24時間固定し臨界点乾燥した後、金蒸
着して電子顕微鏡にてその表面を観察した。チューブ両
端の一部には、内皮細胞が剥離した形跡があり血小板と
赤血球及びフィブリン状のものの付着がみられたが、そ
れ以外の大半の内皮細胞は血流の方向にわずかに配向し
たような形態を有し、その表面には何等付着物を認めな
かった。本発明の製造方法にて作成した人工血管は、ま
だ両端面に若干の問題点があるものの、単に内皮細胞を
培養しただけのものに比較して格段に優れた人工血管で
あることが明白である。
実施例2及び比較例2 市販の人工血管(Gore社製、Gore-texR、内径約3mm、
流さ10cmに切断)に0.01%のコラーゲン((株)高
研、タイプIV)をコーティング後、クリーンベンチ内
で紫外線照射しながら12時間風乾することを3回繰り
返した。
滅菌した小さなクリップ該人工血管の片端を挟み、実施
例1と同様にいしてビーグル犬の大動脈から得た血管内
皮細胞を5×104/mlの濃度で人工血管の内側に注入
し、人工血管内腔に空気が入らないように注意して他端
もクリップで挟んだ。これを人工血管がたるまずまっす
ぐになるようにして50mlの遠沈管に入れ、インキュベ
ータ内で10分間培養後、180度回転して再び10分
間培養した。その後、遠沈管から人工血管を取り出し、
両端のクリップを外して、クリップをはさんでいた両端
部分各々約1cm程度をクリーンベンチ内で切断して取り
除いた。残りの人工血管を直ちに直径60mmのシャーレ
内に入れ4日間培養した。培養液は実施例1と同様のも
のを用いた。
培養後、実施例1と基本的には同様にして、該人工血管
の内面に1000l/s程度のせん断速度になるように培
養液を15分間還流した後、新しい培養液で内腔面を軽
く洗浄した。このようにして得た。本発明における人工
血管を、同サイズの市販の人工血管(Gore社製 Gorete
xR)そのものと性能を比較した。各々の人工血管を、ハ
ロセン麻酔下に一頭のビーグル犬(雄製、9kg)の頚動
脈から頚静脈に左右交差してバイパスさせるようにして
移植し、約三ケ月後に摘出した。
その結果、市販の人工血管は下流部の内腔表面には電顕
レベルでの新生した内皮細胞様の細胞が認められたもの
の、流入部付近から中央部にかけてはかなり肥厚した層
状の擬内膜の形成が認められ、内腔がかなり細くなって
閉塞寸前の状態であった。しかしながら、本発明の製造
方法で作成した人工血管は、流入部に若干の偽内膜の形
成が認められたものの、全体としてはほぼ元の内腔の径
を保持したまま完全に開存しており、本発明はがきわめ
て有効であることが認められた。
〔発明の効果〕
このようにして作成した人工血管は、生体内に移植して
血液の流れに曝されても、正常な機能を有しながら、か
つ血液成分をほとんど活性化させることなく、長期に安
定した血管の開存性を有するという、従来にないきわめ
て優れたものである。
本発明は、静置培養した血管内皮細胞にせん断応力を負
荷することによって血液成分を活性化する物質が放出さ
れる可能性を見出したことに基づいているが、重要なこ
とは前記物質の放出が一過性であることを見出した点に
ある。従って、前記物質をせん断応力の負荷及び洗浄に
よって除去するという製法は、従来に全くなかった新規
な優れた人工血管の製造方法である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材表面に内皮細胞層を設ける生体適合性
    材料の製造方法であって、チューブ状の基材の内面に血
    管内皮細胞を播種し単層培養した後、該チューブ内に液
    体(血清もしくは細胞培養用培養液)を還流させて、培
    養により増殖した内皮細胞表面にせん断応力を負荷し、
    さらに、新しい培養液を用いて内皮細胞表面を洗浄する
    ことを特徴とする人工血管の製造方法。
JP1229230A 1989-09-06 1989-09-06 人工血管の製造方法 Expired - Fee Related JPH062155B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1229230A JPH062155B2 (ja) 1989-09-06 1989-09-06 人工血管の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1229230A JPH062155B2 (ja) 1989-09-06 1989-09-06 人工血管の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0392169A JPH0392169A (ja) 1991-04-17
JPH062155B2 true JPH062155B2 (ja) 1994-01-12

Family

ID=16888873

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1229230A Expired - Fee Related JPH062155B2 (ja) 1989-09-06 1989-09-06 人工血管の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH062155B2 (ja)

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
IL78950A (en) * 1985-06-06 1991-12-15 Univ Jefferson Coating for prosthetic devices

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0392169A (ja) 1991-04-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2686930B2 (ja) 人工移植物体
JP4921353B2 (ja) 培養細胞シート、製造方法及びその利用方法
Saxena et al. Vascularized three‐dimensional skeletal muscle tissue‐engineering
JP5782029B2 (ja) 細胞でコーティングされた移植可能デバイス
JPH09512462A (ja) In vitroで合成された細胞外基質を利用した改善された血液接触表面
Cornelissen et al. Fibronectin coating of oxygenator membranes enhances endothelial cell attachment
JPH01501362A (ja) 人工マトリックスを用いる制御された細胞移植による器官のキメラ新生形態形成
US9090863B2 (en) System for seeding cells onto three dimensional scaffolds
Sipehia et al. Enhanced attachment and growth of human endothelial cells derived from umbilical veins on ammonia plasma modified surfaces of PTFE and ePTFE synthetic vascular graft biomaterials
WO2004018615A1 (ja) フィブリン含有組成物
Hsu et al. Improved retention of endothelial cells seeded on polyurethane small‐diameter vascular grafts modified by a recombinant RGD‐containing protein
US20040062809A1 (en) Biocompatible polymer with a three-dimensional structure with communicating cells, a process for its preparation, and application in medicine and in surgery
CA2799244C (en) System for seeding cells onto three dimensional scaffolds
JP2023014146A (ja) 工学的操作された血管組織の作製において気泡を除去するための信頼性が高く再現可能な工業化プロセス
AU2010353739A1 (en) System for seeding cells onto three dimensional scaffolds
Bourke et al. Endothelial cell harvest for seeding vascular prostheses: the influence of technique on cell function, viability, and number
Kobayashi et al. An artificial blood vessel with an endothelial-cell monolayer
Nguyen et al. Double-layered blood vessels over 3 mm in diameter extruded by the inverse-gravity technique
JPH062155B2 (ja) 人工血管の製造方法
JP3687995B2 (ja) 人工血管及びその製造方法
KR101655333B1 (ko) 표면개질된 생체적합성 실크피브로인 필름과 그 제조방법
JPH0576588A (ja) 複合化人工血管
JP2007307300A (ja) 人工血管用材料
JPWO2019189353A1 (ja) 貫通構造を有するシート状細胞培養物
JPH02181628A (ja) 生物活性部分の基質への固定方法、生きた細胞の基質への固定方法および細胞培養方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees