JPH06211895A - 環状ペプチド - Google Patents

環状ペプチド

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JPH06211895A
JPH06211895A JP5004172A JP417293A JPH06211895A JP H06211895 A JPH06211895 A JP H06211895A JP 5004172 A JP5004172 A JP 5004172A JP 417293 A JP417293 A JP 417293A JP H06211895 A JPH06211895 A JP H06211895A
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cyclic
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樹一郎 岡
Shuhei Nakaji
修平 中路
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正治 高守
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 式:Trp−Asn−Pro−X−Asp−Tyr−Gly−Gl
y−Y−Lys(式中、XはAspまたはAlaを表し、YはVal
またはIleを表す。)で表されるアミノ酸配列を含有
し、10〜50個のアミノ酸残基からなる環状ペプチ
ド。 【効果】 本発明の環状ペプチドは、重症筋無力症患者
の体液中に存在する病因物質であるヒト抗アセチルコリ
ン受容体抗体と高い反応性を有しているので、重症筋無
力症の治療および診断において有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、重症筋無力症患者の体
液中に存在する病因物質であるヒト抗アセチルコリン受
容体抗体と結合する能力を有する環状ペプチドに関す
る。本発明の環状ペプチドは、ヒト抗アセチルコリン受
容体抗体と高い反応性を有しているので、重症筋無力症
の治療および診断において有用である。
【0002】
【従来の技術】重症筋無力症患者の体液中に存在するヒ
ト抗アセチルコリン受容体抗体には、アセチルコリン受
容体との反応部位が異なる自己抗体が複数存在している
ことが知られている。一般に、ヒト抗アセチルコリン受
容体抗体はアセチルコリン受容体のαブンガロトキシン
結合部位(アセチルコリン結合部位)と反応する阻害型
抗体と、該結合部位以外の部位と反応する結合型抗体に
分類される。
【0003】重症筋無力症患者の血清中に存在するヒト
抗アセチルコリン受容体抗体のうち、阻害型抗体と結合
する能力を有するペプチドとしては、トルペド・カリホ
ルニカ(Torpedo Californica)のアセチルコリン受容
体のαサブユニットの第183〜200位のアミノ酸配
列を一部に含有する合成ペプチドが知られている(特開
平1−139597号公報参照)。しかしながら、重症
筋無力症の治療および診断におけるペプチドの適用範囲
を広げるうえで、さらに結合型抗体と結合する能力を有
するペプチドを得ることも、非常に有用なことである。
【0004】アセチルコリン受容体のαサブユニットで
は、第170〜200位付近の部位が阻害型抗体との結
合位置に相当し、それ以外の部位が結合型抗体との結合
位置に相当することが知られている。αサブユニットの
第170〜200位以外の部分ペプチドとしては、例え
ば、プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカ
デミー・オブ・サイエンス・ユー・エス・エー(Proc.
Natl. Acad. Sci. USA)、第84巻、第3633〜36
37頁(1987年)に、トルペド・カリホルニカのア
セチルコリン受容体のαサブユニットの第67〜82位
のアミノ酸配列に対応する直鎖状合成ペプチドが、トル
ペド・カリホルニカのアセチルコリン受容体でマウスお
よびウサギを免疫することにより得られたマウス抗体お
よびウサギ抗体と結合することが報告されている。
【0005】また、インターナショナル・イムノロジー
(International Immunology)、第3巻、第983〜9
89頁(1991年)に、ヒトのアセチルコリン受容体
のαサブユニットの第65〜80位のアミノ酸配列に対
応する直鎖状合成ペプチドが、遺伝子組換え手法により
調製されたヒトのアセチルコリン受容体のαサブユニッ
ト第1〜210位のアミノ酸配列に対応するタンパク
で、マウス、ラット、ウサギを免疫することにより得ら
れたマウス抗体、ラット抗体、ウサギ抗体と結合するこ
とが報告されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】アミノ酸残基数が50
個程度以下のペプチドは、一般に合成が容易であり、ア
セチルコリン受容体のαサブユニット(437個のアミ
ノ酸残基)のような天然高分子に比較して、生体に対す
る抗原性が非常に小さく安全であり、滅菌時および保管
時における活性低下が極めて小さいという利点がある。
しかしながら、上記の第67〜82位および第65〜8
0位のアミノ酸配列に対応する直鎖状合成ペプチドはい
ずれも、マウスなどの動物をアセチルコリン受容体で免
疫することにより実験的に調製した動物由来の抗アセチ
ルコリン受容体抗体との反応性を有してはいるものの、
重症筋無力症患者の体液中のヒト抗アセチルコリン受容
体抗体との反応性は低く、重症筋無力症患者の治療およ
び診断に利用できるような臨床上有用なペプチドは得ら
れていなかった。
【0007】本発明の目的は、重症筋無力症患者の体液
中に存在する病因物質であるヒト抗アセチルコリン受容
体抗体と高い反応性を有し、重症筋無力症の治療および
診断において有用なアミノ酸残基数50個以下のペプチ
ドを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記の
目的は、式(1):Trp−Asn−Pro−X−Asp−Tyr−Gly
−Gly−Y−Lys(式中、XはAspまたはAlaを表し、Yは
ValまたはIleを表す。)で表されるアミノ酸配列を含有
し、10〜50個のアミノ酸残基からなる環状ペプチド
を提供することによって達成さる。
【0009】本明細書においては各種アミノ酸残基を次
の略号で記述する。 Ala: L−アラニン残基 Arg: L−アルギニン残基 Asp: L−アスパラギン酸残基 Asn: L−アスパラギン残基 Cys: L−システイン残基 Gly: グリシン残基 Ile: L−イソロイシン残基 Leu: L−ロイシン残基 Lys: L−リジン残基 Pro: L−プロリン残基 Trp: L−トリプトファン残基 Tyr: L−チロシン残基 Val: L−バリン残基
【0010】また本明細書においては、常法に従ってペ
プチドのアミノ酸配列を、そのN末端のアミノ酸残基が
左側に位置し、C末端のアミノ酸残基が右側に位置する
ように記述する。
【0011】本発明の環状ペプチドは、式(1)で表さ
れるアミノ酸配列を含有し、10〜50個のアミノ酸残
基からなる。実質的に式(1)で表されるアミノ酸配列
だけから成っていてもよいし、また、式(1)で表され
るアミノ酸配列のN末端および/またはC末端に任意の
アミノ酸残基またはアミノ酸配列を更に含有してもよ
い。本発明の環状ペプチドの形態は、直鎖状ペプチドの
N末端とC末端部分で環化したものでもよいし、また、
直鎖状ペプチドの末端以外の部分で環化したものでもよ
い。本発明の環状ペプチドにおいて、式(1)で表され
るアミノ酸配列は、環状部に含有されていても、また直
鎖状部に含有されていてもよい。
【0012】本発明の環状ペプチドは、式(1)で表さ
れるアミノ酸配列を少なくとも一部に含有することと、
環状構造を有することの両方の構造上の要件を満足する
ことに由来して、アミノ酸残基数が50個以下という比
較的簡単な構成であるにもかかわらず、ヒト抗アセチル
コリン受容体抗体と結合する能力を発現する。
【0013】本発明の環状ペプチドのうち、システイン
残基またはそれを含有するペプチド断片がそれぞれ式
(1)で表されるアミノ酸配列の両末端に結合し、該シ
ステイン残基間でジスルフィド結合を形成した形の環状
ペプチドには、後述するように、システイン残基間での
ジスルフィド結合の形成の容易さから、多種の環状ペプ
チドが包含される。
【0014】システイン残基間でジスルフィド結合を形
成した形の本発明の環状ペプチドとしては、次式(2)
〜(5)で表されるアミノ酸配列からなる環状ペプチド
が、またN末端のアミノ基とC末端のカルボキシル基で
ペプチド結合を形成した形の本発明の環状ペプチドとし
ては、次式(6)または(7)で表されるアミノ酸配列
からなる環状ペプチドが例示されるが、これらに限定さ
れるものではない。 式(2):Cys Lys Gly Gly Leu Arg Trp Asn Pro Asp
Asp Tyr Gly Gly Val Lys Lys Cys(配列番号:1) 式(3):Cys Lys Gly Gly Leu Arg Trp Asn Pro Ala
Asp Tyr Gly Gly Ile Lys Lys Cys(配列番号:2) 式(4):Cys Trp Asn Pro Asp Asp Tyr Gly Gly Val
Lys Cys(配列番号:3) 式(5):Cys Trp Asn Pro Ala Asp Tyr Gly Gly Ile
Lys Cys(配列番号:4) 式(6):Trp Asn Pro Asp Asp Tyr Gly Gly Val Lys
(配列番号:5) 式(7):Trp Asn Pro Ala Asp Tyr Gly Gly Ile Lys
(配列番号:6)
【0015】本発明の環状ペプチドは、例えば、式
(1)で表されるアミノ酸配列を含有する所望の直鎖状
ペプチドを合成した後、該ペプチドを環化することによ
り得られる。
【0016】直鎖状ペプチドはペプチド合成において通
常用いられる方法、例えば固相合成法、段階的伸長法、
フラグメント縮合法のような液相合成法により行われる
が、固相合成法により行うのが操作上簡便である〔例え
ば、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソ
サエティー(Journal of the American Chemical Socie
ty)、第85巻、第2149〜2154頁(1963
年);日本生化学会編「生化学実験講座1タンパク質の
化学IV 化学修飾とペプチド合成」(昭和52年11月
15日、(株)東京化学同人発行)、第207〜495
頁;日本生化学会編「続生化学実験講座2 タンパク質
の化学(下)」(昭和62年5月20日、(株)東京化
学同人発行)、第641〜694頁参照〕。
【0017】直鎖状ペプチドの固相合成法による製造
は、例えば、反応溶媒に不溶性であるスチレン−ジビニ
ルベンゼン共重合体などの重合体に、目的とするペプチ
ドのC末端側からN末端方向に向かって、対応するアミ
ノ酸を該アミノ酸が有するα−カルボキシル基以外のα
−アミノ基などの官能基を保護したうえで縮合させて結
合させる操作と、該結合したアミノ酸におけるα−アミ
ノ基などのペプチド結合を形成するアミノ基が有する保
護基を除去する操作を順次繰返すことによってペプチド
鎖を伸長させ、目的とする直鎖状ペプチドに対応するペ
プチド鎖を形成し、次いで該ペプチド鎖を重合体から脱
離させ、かつ保護されている官能基から保護基を除去す
ることにより目的とする直鎖状ペプチドを得ることがで
きる。必要に応じてこの直鎖状ペプチドをさらに精製す
ることにより、純度の高いものを得ることができる。直
鎖状ペプチドの精製は逆相高速液体クロマトグラフィー
で行うのが効果的である。
【0018】直鎖状ペプチドを環化する方法として、シ
ステイン残基のSH基(メルカプト基)どうしを反応さ
せてジスルフィド結合を形成させる方法、N末端のアミ
ノ基またはリジン残基などに含まれるアミノ基と、C末
端のカルボキシル基またはグルタミン酸残基、アスパラ
ギン酸残基などに含まれるカルボキシル基を反応させて
ペプチド結合を形成させる方法などが挙げられる。シス
テイン残基のSH基どうしを反応させてジスルフィド結
合を形成させる方法が、ペプチドの任意の部位で容易に
環化することが可能であるので好ましい。
【0019】ジスルフィド結合の形成による環化方法と
しては、例えば、空気酸化法またはフェリシアン化カリ
ウムによる酸化法が挙げられる。ペプチド結合形成によ
る環化方法としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボ
ジイミドなどによる脱水縮合法、対称酸無水物法または
活性エステル法が挙げられる。
【0020】環化反応の反応条件によっては、環状ペプ
チドの他に直鎖状ペプチドどうしが結合したオリゴマー
が形成される場合があるので、環化反応後のペプチドを
さらに逆相高速液体クロマトグラフィーなどで精製する
ことにより、オリゴマーを含まない高純度の環状ペプチ
ドが得られる。
【0021】本発明の環状ペプチドを担体上に固定化す
ることにより、該環状ペプチドのヒト抗アセチルコリン
受容体抗体との結合能力を利用して、重症筋無力症患者
の血液、血漿などの体液中に存在するヒト抗アセチルコ
リン受容体抗体を吸着除去する目的の治療用吸着剤とし
て有効に用いることができる。本発明の環状ペプチドを
固定化する際に使用する担体としては、親水性の表面を
有し、かつペプチドとの間で共有結合を形成させるため
に利用し得るアミノ基、カルボキシル基、水酸基などの
反応性の官能基を有するものが好ましい。また、上記の
担体は血液、血漿などの体液に不溶性であり、多孔性で
あるものが好ましい。担体は粒子状、繊維状、シート
状、中空糸状などの任意の形状であることができる。
【0022】本発明の環状ペプチドの担体上への固定化
は、一般にペプチドまたはタンパク質を担体上に固定化
する場合に採用される方法に従って行われる。その固定
化方法としては、例えば、担体が有するカルボキシル基
をN−ヒドロキシコハク酸イミドと反応させることによ
って、スクシンイミドオキシカルボニル基に変換し、こ
れに本発明の環状ペプチドをアミノ基の部分で反応させ
る方法(活性エステル法)、担体が有するアミノ基また
はカルボキシル基にジシクロヘキシルカルボジイミドな
どの縮合試薬の存在下で、本発明の環状ペプチドのカル
ボキシル基またはアミノ基を縮合反応させる方法(縮合
法)、担体と本発明の環状ペプチドとをグルタルアルデ
ヒドなどの2個以上の官能基を有する化合物を用いて架
橋する方法(担体架橋法)などが挙げられる。
【0023】さらに本発明の環状ペプチドはヒト抗アセ
チルコリン受容体抗体と高い反応性を有しているので、
ヒト抗アセチルコリン受容体抗体を検出するための診断
薬用の試薬としても有用である。本発明の環状ペプチド
を、酵素、放射性同位元素、蛍光色素などで標識するこ
とにより、酵素免疫測定法、放射免疫測定法、蛍光免疫
測定法などの測定法で使用できる。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明は実施例により限定されるものではない。
【0025】実施例1 前記の式(2)で表されるアミノ酸配列に対応する直鎖
状ペプチド(配列番号:7)を、ペプチド自動合成装置
〔米国アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosys
tems)社製モデル430A(Model 430A)〕を用いて固
相合成法により合成した。4−ヒドロキシメチルフェノ
キシメチル基を0.85ミリモル/g(樹脂)の割合で
有するスチレン−ジビニルベンゼン共重合体〔スチレン
とジビニルベンゼンの構成比(モル比):99対1〕か
らなる粒状樹脂〔米国アプライド・バイオシステムズ
(Applied Biosystems)社製HMPレジン〕を0.29
g用い、これに表1に示す一連の操作に従って、目的と
するペプチドのC末端側からN末端方向に向かって、対
応する順序でL−アルギニン、L−アスパラギン、L−
アスパラギン酸、L−システイン、グリシン、L−ロイ
シン、L−リジン、L−プロリン、L−チロシン、L−
バリンおよびL−トリプトファンを結合させた。縮合反
応において上記のアミノ酸は、それぞれ9−フルオレニ
ルメトキシカルボニル−N−4−メトキシ−2,3,6
−トリメチルベンゼンスルホニル−L−アルギニン、9
−フルオレニルメトキシカルボニル−L−アスパラギ
ン、9−フルオレニルメトキシカルボニル−L−アスパ
ラギン酸−β−t−ブチルエステル、9−フルオレニル
メトキシカルボニル−S−トリチル−L−システイン、
9−フルオレニルメトキシカルボニルグリシン、9−フ
ルオレニルメトキシカルボニル−L−ロイシン、N↑α
−9−フルオレニルメトキシカルボニル−N↑ε−t−
ブチルオキシカルボニル−L−リジン、9−フルオレニ
ルメトキシカルボニル−L−プロリン、9−フルオレニ
ルメトキシカルボニル−O−t−ブチル−L−チロシ
ン、9−フルオレニルメトキシカルボニル−L−バリン
および9−フルオレニルメトキシカルボニル−L−トリ
プトファンとして用い、それらの使用量は基質に対して
約2倍モル量とした。
【0026】
【表1】
【0027】全てのアミノ酸についての反応操作が終了
した後、得られた樹脂をグラスフィルター上でジクロロ
メタンおよびメタノールを用いて順次洗浄し、次いで真
空乾燥することによって850mgの乾燥樹脂を得た。バ
イアル瓶中で、乾燥樹脂850mgとトリフルオロ酢酸1
0ml、水0.5ml、チオアニソール0.5ml、エタンジ
チオール0.25mlおよびフェノール0.75gを混合
した。室温で20時間放置後、混合物をグラスフィルタ
ーで濾過し、濾液にジエチルエーテルを加え、遠心する
ことにより白い沈殿物を得た。得られた沈殿物を真空乾
燥した後、2規定の酢酸水溶液で抽出し、抽出液を凍結
乾燥することにより直鎖状ペプチドを得た。得られた直
鎖状ペプチドを分析用高速液体クロマトグラフィー〔カ
ラム:粒径5μmのオクタデシル化シリカゲル充填カラ
ム(内径:4.6mm、長さ:100mm、東ソー(株)製
TSKgel ODS-80TMCTR);移動相:トリフルオロ酢酸を
0.05容量%含有するアセトニトリルと水の混合溶媒
(アセトニトリルの濃度は30分間で5容量%から50
容量%になるように漸次変化させた。);流速:1ml/
分;検出法:波長210nmにおける吸光度〕に付したと
ころ、16.1分に単一の鋭いピークが示された。FA
B(高速原子衝撃)法マススペクトルにより求めた直鎖
状ペプチドの分子量は1997であった(理論値199
6.27)。
【0028】得られた直鎖状ペプチド100mgを0.1
mg/mlの濃度になるように精製水に溶解した後、溶液を
攪拌しながら1Mのアンモニア水を加え、pHを7.0
になるように調整した。このペプチド溶液に、2mg/ml
のフェリシアン化カリウム水溶液を、ペプチド溶液が淡
黄色に着色するまでゆっくりと滴下し、さらにその後1
時間攪拌することにより、ジスルフィド結合を形成さ
せ、直鎖状ペプチドを環化させた。このペプチド溶液を
分取用逆相高速液体クロマトグラフィー〔カラム:粒径
15μmのオクタデシル化シリカゲル充填カラム(内
径:47mm、長さ:300mm、日本ミリポアリミテッド
製 プレパックカートリッジデルタパック);移動相:
トリフルオロ酢酸を0.05容量%含有するアセトニト
リルと水の混合溶媒(アセトニトリルの濃度は20分間
で15容量%から30容量%になるように漸次変化させ
た。);流速:50ml/分;検出法:波長230nmにお
ける吸光度〕で精製した後、凍結乾燥することにより、
前記の式(2)で表されるアミノ酸配列からなる環状ペ
プチド(配列番号:1)の精製物を40mg得た。得られ
た環状ペプチドを前記と同様の条件で分析用高速液体ク
ロマトグラフィーに付したところ、15.5分に単一の
鋭いピークが示された。FAB法マススペクトルにより
求めた環状ペプチドの分子量は1995であった(理論
値1994.27)。4,4’−ジチオピリジンを用い
て環状ペプチドのSH基量を定量したところ〔生物化学
実験法10 SH基の定量法、学会出版センター、第8
8頁(1978年)参照〕、SH基は測定されなかっ
た。これらの結果より、得られた環状ペプチドがジスル
フィド結合により環化されているものであることが確認
された。
【0029】実施例2 実施例1と同様な方法でペプチドの固相合成を行うこと
により、前記の式(3)で表されるアミノ酸配列に対応
する直鎖状ペプチド(配列番号:8)を得た。ただし縮
合反応においてL−アラニンおよびL−イソロイシンは
それぞれ9−フルオレニルメトキシカルボニル−L−ア
ラニンおよび9−フルオレニルメトキシカルボニル−L
−イソロイシンとして用いた。得られた直鎖状ペプチド
を分析用逆相高速液体クロマトグラフィーに付したとこ
ろ、15.2分に単一の鋭いピークが示された。FAB
法マススペクトルにより求めた直鎖状ペプチドの分子量
は1966であった(理論値1966.29)。
【0030】さらに、得られた直鎖状ペプチドを実施例
1に記載の方法に従い、ジスルフィド結合を形成させる
ことにより環化させた後、分取用逆相高速液体クロマト
グラフィーに付して精製することにより、前記の式
(3)で表されるアミノ酸配列からなる環状ペプチド
(配列番号:2)を得た。得られた環状ペプチドを分析
用逆相高速液体クロマトグラフィーに付したところ、1
4.7分に単一の鋭いピークが示された。FAB法マス
スペクトルにより求めた環状ペプチドの分子量は196
4あった(理論値1964.29)。4,4’−ジチオ
ピリジンを用いて環状ペプチドのSH基量を定量したと
ころ、SH基は測定されなかった。これらの結果より、
得られた環状ペプチドがジスルフィド結合により環化さ
れているものであることが確認された。
【0031】試験例 実施例1、2で得られた環状ペプチドおよび直鎖状ペプ
チドと、重症筋無力症患者血清中のヒト抗アセチルコリ
ン受容体抗体との反応性を調べるため、該ペプチドを用
いて、ジャーナル・オブ・ザ・ニューロロジカル・サイ
エンシーズ(Journal of the Neurological Sciences)
第85巻、第121〜129頁(1988年)に記載さ
れている方法に従い、健常人10例および重症筋無力症
患者63例の血清についてヒト抗アセチルコリン受容体
抗体価の測定を行なった。すなわち、ボルトン−ハンタ
ー試薬(アマシャム社製)18.5MBqの入っている容
器に窒素ガスを通じて溶媒を除去した後、ジメチルホル
ムアミド5μlおよび実施例1、2で得られたペプチド
10μgを含む0.1Mホウ酸緩衝液(pH8.5)1
0μlを加え、氷冷下で15分間反応させた。0.1M
グリシン/0.1Mホウ酸緩衝液を100μl加え、さ
らに15分間反応後、反応液にジエチルエーテルを加
え、遠心洗浄後得られた沈殿物を放射標識ペプチドとし
た。放射標識ペプチド約400Bqを含む0.1Mトリス
−塩酸緩衝液/0.1%Tween(pH7.4)50μl
を各種血清50μlに加え、4℃で一夜放置後、抗ヒト
IgGウサギポリクロナル抗体(ダコ・ジャパン(株)
販売)を50μl添加し、さらに4℃で一夜放置後、
0.1Mのトリス−塩酸緩衝液/0.1%Tween(pH
7.4)で3回遠心洗浄操作を繰り返した後、得られた
沈殿物の放射活性をγシンチレーションカウンターを用
いて測定した。健常人血清の測定値の平均値+2SD値
をカットオフ値として、重症筋無力症患者血清における
陽性率を求めた結果を表2に示す。本発明の環状ペプチ
ドを使用して測定した場合は、重症筋無力症患者血清に
ついて高い陽性率が得られたが、環化していない直鎖状
ペプチドを使用して測定した場合は、重症筋無力症患者
血清の測定値は健常人血清の測定値とほぼ同等であっ
た。
【0032】この結果より本発明の環状ペプチドが、重
症筋無力症患者血清中のヒト抗アセチルコリン受容体抗
体と高い反応性を有することが明らかである。
【0033】
【表2】
【0034】
【発明の効果】本発明により提供される環状ペプチド
は、重症筋無力症患者の体液中に存在する病因物質であ
るヒト抗アセチルコリン受容体抗体と高い反応性を有し
ているので、重症筋無力症の治療および診断において有
用である。
【0035】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:18 配列の型:アミノ酸 トポロジー:環状 配列の種類:ペプチド 配列 Cys Lys Gly Gly Leu Arg Trp Asn Pro Asp Asp Tyr Gly Gly Val Lys 1 5 10 15 Lys Cys
【0036】配列番号:2 配列の長さ:18 配列の型:アミノ酸 トポロジー:環状 配列の種類:ペプチド 配列 Cys Lys Gly Gly Leu Arg Trp Asn Pro Ala Asp Tyr Gly Gly Ile Lys 1 5 10 15 Lys Cys
【0037】配列番号:3 配列の長さ:12 配列の型:アミノ酸 トポロジー:環状 配列の種類:ペプチド
【0038】配列番号:4 配列の長さ:12 配列の型:アミノ酸 トポロジー:環状 配列の種類:ペプチド
【0039】配列番号:5 配列の長さ:10 配列の型:アミノ酸 トポロジー:環状 配列の種類:ペプチド
【0040】配列番号:6 配列の長さ:10 配列の型:アミノ酸 トポロジー:環状 配列の種類:ペプチド
【0041】配列番号:7 配列の長さ:18 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Cys Lys Gly Gly Leu Arg Trp Asn Pro Asp Asp Tyr Gly Gly Val Lys 1 5 10 15 Lys Cys
【0042】配列番号:8 配列の長さ:18 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Cys Lys Gly Gly Leu Arg Trp Asn Pro
Ala Asp Tyr Gly Gly Ile Lys 1 5
10 15 Lys Cys
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/564 Z 9015−2J C07K 99:00

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式:Trp−Asn−Pro−X−Asp−Tyr−Gly
    −Gly−Y−Lys (式中、XはAspまたはAlaを表し、YはValまたはIleを
    表す。)で表されるアミノ酸配列を含有し、10〜50
    個のアミノ酸残基からなる環状ペプチド。
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JP2008039472A (ja) * 2006-08-02 2008-02-21 Kanazawa Univ 胸腺腫合併重症筋無力症の診断方法
JP2019531716A (ja) * 2016-09-08 2019-11-07 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア 重症筋無力症を診断および治療するためのペプチドおよびその使用

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