JPH06207629A - 固定キャリパーディスクブレーキ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 固定キャリパーディスクブレーキにおいて、
制動によるブレーキパッドの摩擦ライナーの摩耗を均一
化し、制動の信頼性を確保する。 【構成】 摩擦ライナーを持設しブレーキディスクに跨
設されたキャリパーと、ディスクの接線方向に所定長を
有し、所定位置に重心を有する摩擦面からなり、ディス
クに対向するブレーキパッド対と、パッドと協働してラ
イナーをディスクに当接させ、ライナー面の重心からず
れた中心を有するシングルピストンから構成され、制動
時の摩擦ライナーの摩耗を均一化する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は固定キャリパーディスク
ブレーキに関するものであり、特にブレーキパッドの摩
擦ライナーの均一な摩耗を可能とする固定キャリパーデ
ィスクブレーキに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、ブレーキディスクに跨設さ
れ、車体に添装されているキャリパーと、前記キャリパ
ーに持設されると共に前記ディスクの接線方向に所定の
長さを有し、所定位置に重心を有する摩擦面が前記ディ
スクと対峙するように配置された摩擦ライナーを備えた
ブレーキパッド対と、各ブレーキパッド対と協働して前
記摩擦ライナーを前記ディスクに当接させる圧力手段と
から構成される固定キャリパーディスクブレーキとから
構成される固定キャリパーディスクブレーキが周知であ
る。

【０００３】また、パッド切削工程で斜めに削ることに
より、摩耗が少ない側がより突き出た形状となったパッ
ドを当接するように配設された作用面を有するピストン
状の圧力手段も提案されている。一方、摩耗の多い側に
配置されたピストンの半径が摩耗の少ない側に配置され
たピストンより大きくなっており、長手方向に突き出る
二つのピストンで各ブレーキパッドを当接させる圧力手
段も提案されている。

【０００４】これに対し、上述の異なった径を有する二
つのピストンを包括したような断面、いわゆる、西洋梨
形断面を備えた単一のピストンを用いた装置も提案され
ている。

【０００５】しかしながら、前記第１従来技術の構造を
有したディスクブレーキは摩擦ライナーの全面が不均一
に摩耗されてしまうという欠点があった。すなわち、摩
擦ライナーは長手方向、つまりディスクの接線方向に不
均一に摩耗されてた。特に、ディスクがキャリパーに入
っていく側での摩擦ライナーの摩耗が顕著であり、これ
に対し、ディスクがキャリパーから出てくる側での摩耗
はそれほどではない。従って、重心から摩擦ライナーの
下り部分にかけては、上り部分に比べてあまり摩耗はひ
どくない。このため、摩擦ライナーは片側を斜めに削り
落としたような形、つまり、楕円形になってしまうとい
う問題があった。

【０００６】また、従来のディスクブレーキではライナ
ー材を十分に活用することができず、不満足なブレーキ
操作となってしまう問題があった。第２の従来技術にお
いても、ピストンの誤動作が生じという問題があった。
すなわち、ピストンがずれ、その結果、切削された面の
向きを反転させてしまっていた。

【０００７】また、上記第３の従来技術では摩耗を均等
化することは可能であるが、ブレーキ自体が高価とな
り、生産が複雑化し、厳密な操作が必要となっていた。
またさらに、上記第４の従来技術は均等摩耗には有効で
はあるが、製造費が大変高価となっていた。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明は前記従来技術
の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的は
ブレーキパッドのライナーの均一な摩耗を可能とするデ
ィスクブレーキを提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明はブレーキディスクに跨設され車体に添装さ
れているキャリパーと、前記ブレーキディスクを挟持す
るように前記キャリパーに持設され、前記ディスクの接
線方向に所定の長さを有し、所定位置重心を有する摩擦
面を備える摩擦ライナーからなるブレーキパッド対と、
各ブレーキパッド対と協働して前記摩擦ライナーを前記
ディスクに当接させる圧力手段とから構成される固定キ
ャリパーディスクブレーキにおいて、前記各ブレーキパ
ッドに設けられている前記圧力手段が、前記重心から所
定距離ずれた位置にその中心を有し、円形断面を有する
シングルピストン手段を備えることを特徴とする。

【００１０】

【作用】本発明の固定キャリパーディスクブレーキは上
記のような構成を有しており、制動を加えた場合、中心
から合力としてブレーキパッドに伝達されるピストン作
用は重心より下流側の摩擦ライナー面では大きな圧力を
発生し、上流側の摩擦ライナー面には低圧力を発生す
る。このため、ライナーの長手方向全体に摩耗の均一な
分散が行われ、ブレーキ動作の信頼性が極めて高くな
る。

【００１１】

【実施例】以下、図面を用いながら本発明にかかる固定
キャリパーディスクブレーキの好適な実施例を説明す
る。図１には本実施例の断面図が示されている。図にお
いて、ブレーキ１はブレーキディスク３に跨設されたキ
ャリパー２を有する。

【００１２】ディスク３は軸ｘ−ｘを中心に回転し、ブ
レーキパッド４を備えている。車両の通常の前進方向へ
の運動に伴って、ディスク３は軸ｘ−ｘを中心に矢印Ｆ
の方向に回転し、その結果、ディスクバンド４はキャリ
パー２を通過し、矢印Ｇ方向に進む。線ｔ−ｔはディス
クの接線方向を示しており、ディスクバンド４の上半分
の高さにある。一方、線ｒ−ｒはディスクの径方向を示
しており、線ｔ−ｔと直交している。キャリパー２は前
記接線および径方向とが交差する位置に配置されてい
る。前記キャリパー２は二つの穿孔５、６から構成さ
れ、高耐久性ボルト金具などで車体に固定されている。

【００１３】上記のような構成において、本発明のディ
スクブレーキ１は高い制動力に耐えることが可能であ
り、特に高性能自動車に適している。ブレーキパッド対
７、８はキャリパー２に持設されており、各々ブレーキ
ディスク３のバンド４に対向配置されている。ブレーキ
パッド７、８はそれぞれ摩擦ライナー９、１０を有して
おり、これらのライナーはその表面１１、１２がフレー
キディスク３のバンド４に対向するように配置されてい
る。ライナー面１１、１２はほぼ矩形を有しており、径
方向の短辺はバンドの高さＨにほぼ等しく、また経線方
向の長辺は所定の長さＬとなっている。

【００１４】ブレーキパッド７および８は、摩擦ライナ
ー面１１、１２の重心が各々線ｔ−ｔ，ｒ−ｒの交差す
る点に位置するように配設されている。制動を印可しブ
レーキパッド７、８をディスク３に駆動するため、圧力
手段１３、１４は対応する各ブレーキパッドと協働す
る。オイルの加圧作用を受け、パッドとこれに対向して
いるピストン端１５ａ，１６ａとを係合させ、パッドを
前記ディスク上のブレーキバンドに当接させるシングル
液圧ピストン１５、１６を各圧力手段は有している。

【００１５】本実施例において特徴的なことは、ピスト
ン１５、１６が円形断面を有しており、その断面の中心
Ｃが重心Ｂからずれている点にある。つまり、中心Ｃは
重心Ｂから隔たっており、キャリパー内を矢印Ｇ方向に
バンド４が回転を行う方向で重心Ｂの下流に位置してい
る。このような偏心、すなわち重心Ｂから中心Ｃまでの
距離が符号ｅで示されており、長さＬの５％から１５％
に設定されている。このｅの値が長さＬのおよそ１０％
の時最も良い結果が得られた。

【００１６】実際に制動を印加した場合、中心Ｃを経て
合力としてブレーキパッドに伝達されるピストン作用は
重心Ｂの下流の摩擦ライナー９、１０の表面で大きな圧
力を発生し、上流面では小さな圧力を発生する。この結
果、長手方向においてライナーの均一な摩耗が行われ
る。

【００１７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかる固
定キャリパーディスクドライブによれば制動の信頼性が
高まる。また、極めて簡素な構造であるため標準施設で
の製造も容易であり、このため低価格のディスクブレー
キを提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の線Ｉ−Ｉについての部分側
面図である。

【図２】同実施例の線ＩＩ−ＩＩについての部分横断面
図である。

【符号の説明】

１ 固定キャリパーディスク ２ キャリパー ３ ブレーキディスク ４ ブレーキディスクバンド ７、８ ブレーキパッド ９、１０ 摩擦ライナー １３、１４ 圧力手段 １５、１６ 液圧ピストン １５ａ，１６ａ ピストン端

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ブレーキディスク（３）に跨設され、車
   体に添装されているキャリパー（２）と、前記ブレーキ
   ディスク（３）を挟持するように前記キャリパー（２）
   に持設され、前記ディスク（３）の接線方向（ｔ−ｔ）
   に所定の長さを有し、重心（Ｂ）を所定位置に有する摩
   擦面（１１、１２）からなる摩擦ライナー（９、１０）
   を備えたブレーキパッド対（７、８）と、各ブレーキパ
   ッド（７、８）と協働して前記摩擦ライナー（９、１
   ０）を前記ディスク（３）に当接させる圧力手段（１
   ３、１４）とから構成される固定キャリパーディスクブ
   レーキ（１）において、 前記各ブレーキパッド（７、８）に設けられている前記
   圧力手段（１３、１４）が、円形断面を有し前記重心
   （Ｂ）から所定距離ずれた位置にその中心（Ｃ）が位置
   するシングルピストン手段（１５、１６）から構成され
   ること特徴とする。
2. 【請求項２】 前記中心（Ｃ）位置ずれの値（ｅ）は前
   記摩擦ライナー（９、１０）の長さ（Ｌ）の５％から１
   ５％の範囲とすることを特徴とする請求項１記載のディ
   スクブレーキ。
3. 【請求項３】 前記中心（Ｃ）位置ずれの値（ｅ）は前
   記摩擦ライナー（９、１０）の長さ（Ｌ）の約１０％と
   することを特徴とする請求項２記載のディスクブレー
   キ。