JPH06205856A - ゴルフクラブヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来のゴルフクラブヘッドに比べて飛距離、
方向安定性、耐久性や意匠性等の面でより優れたゴルフ
クラブヘッドを提供する。 【構成】 Al又はAl合金、カーボン系材料、チタン又は
チタン合金等よりなるクラブヘッド基材の表面の少なく
とも打球面に電気Ni−Ｐ系めっき層を有するゴルフクラ
ブヘッドであって、前記Ni−Ｐ系めっき層中のＰ含有量
が0.1 〜20wt% であることを特徴とするもの。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ゴルフクラブヘッドに
関し、詳細には、飛距離、方向安定性、耐久性や意匠性
に優れたゴルフクラブヘッドに関する。

【０００２】

【従来の技術】ゴルフクラブヘッドの性能としては、よ
り大きな飛距離が出ること及び方向安定性に優れること
が望まれており、更には耐久性や意匠性にも優れること
が望まれている。従来、クラブヘッドの構成材料を高強
度化することにより飛距離を拡大するが、その反面、方
向安定性に欠けてくるといわれている。一方、より軟ら
かい材料によりクラブヘッドを構成すれば、飛距離が出
なく、又、傷が付き易いという欠点がある。そのため、
シャフトやクラブヘッドの構成材料として、鉄、アルミ
(Al)、カーボン、チタン等が提案され、実施されている
が、ゴルファーの要求は厳しく、飛距離、方向安定性、
耐久性や意匠性等の面でより優れたゴルフクラブヘッド
が求められている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記の如く、各種性能
面から鉄、Al、カーボン、チタン製のクラブヘッドが提
案実施されているが、さらに飛距離、方向安定性、耐久
性や意匠性等に優れたゴルフクラブヘッドの出現が要望
されている。

【０００４】本発明は、このような事情に着目してなさ
れたものであって、その目的は前記従来のゴルフクラブ
ヘッドに比べて飛距離、方向安定性、耐久性や意匠性等
の面でより優れたゴルフクラブヘッドを提供しようとす
るものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係るゴルフクラブヘッドは次のような構成
としている。即ち、請求項１記載のゴルフクラブヘッド
は、クラブヘッド基材の表面の少なくとも打球面に電気
Ni−Ｐ系めっき層を有するゴルフクラブヘッドであっ
て、前記Ni−Ｐ系めっき層中のＰ含有量が0.1 〜20wt%
であることを特徴とするゴルフクラブヘッドである。

【０００６】請求項２記載のゴルフクラブヘッドは、前
記クラブヘッド基材がAl又はAl合金よりなる請求項１記
載のゴルフクラブヘッドである。請求項３記載のゴルフ
クラブヘッドは、前記クラブヘッド基材がカーボン系材
料よりなる請求項１記載のゴルフクラブヘッドである。
請求項４記載のゴルフクラブヘッドは、前記クラブヘッ
ド基材がチタン又はチタン合金よりなる請求項１記載の
ゴルフクラブヘッドである。

【０００７】

【作用】本発明に係るゴルフクラブヘッドは、前記の如
く、クラブヘッド基材の表面の少なくとも打球面にＰ含
有量：0.1 〜20wt% の電気Ni−Ｐ系めっき層を有するの
で、そのNi−Ｐ系めっき層に起因して、従来のゴルフク
ラブヘッドに比べて優れた飛距離、方向安定性、耐久性
や意匠性を有し得る。即ち、電気Ni−Ｐ系めっき層は耐
食性に優れ、又、硬くて耐摩耗性を向上させる作用があ
り、これらの効果を発揮できるだけの素地との密着性も
よいので、Ni−Ｐ系めっき層によりクラブヘッドの耐久
性が向上する。又、Ni−Ｐ系めっき層は元来優れた表面
品質を有し、シャンペンゴールド色を呈するなど光沢が
あって美観があるので、クラブヘッドの意匠性が向上す
る。更に、種々実験した結果、Ni−Ｐ系めっき層によ
り、飛距離、方向安定性が向上することが判った。この
ように飛距離が向上するのは、硬度が高く且つ固有物性
（振動特性など）に由来する反発特性に優れているため
であり、又、方向安定性が向上するのは、高剛性特性に
優れているためである。

【０００８】ここで、Ni−Ｐ系めっき層中のＰ含有量を
0.1 〜20wt% としたのは、0.1wt%未満ではめっき層の硬
度が低くて耐摩耗性が低下すると共に光沢も劣り、飛距
離、方向安定性の向上効果が小さく、それら性能が不充
分となり、20wt% 超ではめっき層の靱性等の材質が劣下
して耐久性が不充分となるからである。尚、Ｐ含有量:
0.1〜20wt% の範囲内において、Ｐ含有量を調整するこ
とにより、めっき層の硬度を制御でき、それにより個々
のクラブヘッドに応じた最適のめっき品質を与え得る。

【０００９】Ni−Ｐ系めっき層は無電解めっきによって
も得られるが、本発明に係るNi−Ｐ系めっき層は電気Ni
−Ｐ系めっき層としている。これは、電気めっきでは安
価且つ容易に膜厚やめっき成分を制御し得るからであ
る。又、クラブヘッド基材表面の少なくとも打球面にNi
−Ｐ系めっき層を有するようにしているのは、飛距離、
方向安定性等のクラブヘッド性能に対して打球面が最も
直接的に影響し、又、耐久性に対しては打球面が最も直
接的に影響を受けるため、少なくとも打球面はNi−Ｐ系
めっき層で被覆されている必要があるからである。かか
る点から、Ni−Ｐ系めっき層はクラブヘッド基材表面の
打球面のみ被覆されていてもよいし、それより大きな面
積であって打球面を含む表面部に被覆、或いは基材表面
全面に被覆されていてもよいが、基材表面全面に被覆さ
れているほうがよい。

【００１０】尚、本発明に係るNi−Ｐ系めっき層は、成
分としてNi及びＰ(0.1〜20wt%)を含むことを必須とする
ものであり、その一例としてNi−Ｐめっき層(0.1〜20wt
%)があるが、これに限定されるものではなく、FeやCo、
Ｗ等の如き他の成分を必要に応じて添加することができ
る。又、めっき層の厚みも限定されるものではなく、必
要に応じて適宜な厚みに調整することができる。

【００１１】一方、本発明に係る前記クラブヘッド基材
としては、Al又はAl合金、カーボン系材料、チタン又は
チタン合金を用いることが望ましい。その理由を特徴と
共に以下基材種類毎に説明する。

【００１２】Al又はAl合金は軽量であるため、これをク
ラブヘッド基材として用いると、ヘッドの大型化が可能
であり、打球面を大きくすること（スイートスポットを
大きくすること）ができるため、ミスショット防止に有
利となるからである。尚、Al又はAl合金製のもの（Ni−
Ｐめっき層なし）でも、かかる特徴を有しているが、耐
食性や耐摩耗性が劣るため耐久性が充分でないという問
題点があった。しかし、この問題点は本発明に係るNi−
Ｐ系めっき層被覆により解決される。即ち、本発明の効
果の一つは、この問題点を解決し得ることにあるといえ
る。

【００１３】カーボン系材料はカーボンを主原料とする
ものであり、その一例としてカーボンがある。かかるカ
ーボン系材料は非常に軽量であるためにスイートスポッ
トを大きくし得、又、飛距離が出るようになるからであ
る。尚、カーボン系材料よりなるもの（Ni−Ｐめっき層
なし）は、耐食性は優れているものの、耐摩耗性に劣り
耐久性が不充分であり、又、意匠性や方向安定性等の面
で必ずしも充分でなかったが、本発明に係るNi−Ｐ系め
っき層被覆により、カーボンの有する長所を活かしつ
つ、特に耐久性や方向安定性を向上し得、又、メタリッ
ク系の光沢付与もできるなどのユニークな特性がだせる
ようになる。

【００１４】チタン又はチタン合金は、Alやカーボン等
と同様、軽量であるためにスイートスポットを大きくし
得るという特長を活かせる他、特に、本発明に係るNi−
Ｐ系めっき層との組み合わせにより、飛距離と方向安定
性の両面で極めて優れた性能が発揮されるようになり、
更には、チタン又はチタン合金の耐久性が改善され、
又、メタリック系の意匠性も任意に付与でき、従ってチ
タン又はチタン合金での欠点を解消し、その特長を活か
せ、各種性能に優れて従来にない素晴らしいゴルフクラ
ブヘッドが実現できるようになるからである。

【００１５】

【実施例】本発明の実施例を以下説明するが、本発明は
この実施例に制限されるものではない。表１に本発明の
実施例に係るゴルフクラブヘッド及び比較例に係るゴル
フクラブヘッドの材質を試験結果とともに示す。この表
１に示す如く、実施例のゴルフクラブヘッドの評価基準
とするため、比較例のゴルフクラブヘッドとして、市販
の SUS製、Al合金製、カーボンヘッド製、及びチタン合
金製の４種類の材質の１番ウッド（ドライバー）を準備
した（No.1, 6, 8, 10）。又、これらとは別に、上記市
販の SUS製製クラブヘッドと同様のクラブヘッドをクラ
ブヘッド基材として用い、その打球面に下記実施例と同
様の方法により厚み:30 μm の電気Ni−Ｐ系めっき層
（但しＰ含有量25wt%)を被覆したもの(No.3)、及び、厚
み:30 μm の電気Niめっき層を被覆したもの(No.2)も比
較例に係るゴルフクラブヘッドとして製作した。

【００１６】一方、上記比較例と同様の市販ゴルフクラ
ブヘッド４種類をゴルフクラブヘッド基材として用い、
それら基材の打球面に電気Ni−Ｐ系めっきを行い、厚
み:30μm の電気Ni−Ｐ系めっき層を被覆し、本発明の
実施例に係るゴルフクラブヘッド（No.4, 5, 7, 9, 11)
を製作した。ここで、電気Ni−Ｐ系めっきは、燐酸及び
亜燐酸を適宜添加した硫酸ニッケル及び塩化ニッケル系
浴をベース浴として用い、電流密度：５〜40Ａ／dm²Aの
条件で行った。尚、No.5のものはFe、No.7のものはCo、
No.9のものはＷも、Ni−Ｐ系めっき層中に含有させてい
る。

【００１７】上記実施例及び比較例に係るゴルフクラブ
ヘッドについて、ツーピースボールを用い、打撃マシン
により打撃試験を行い、飛距離、方向安定性、耐久性を
調査した。表１から判る如く、本発明の実施例に係るゴ
ルフクラブヘッドは比較例のものに対し、飛距離、方向
安定性、耐久性に優れている。

【００１８】

【表１】

【００１９】

【発明の効果】本発明に係るゴルフクラブヘッドは前述
の如き構成を有し作用をなすものであるので、従来のゴ
ルフクラブヘッドに比べて飛距離、方向安定性、耐久性
や意匠性の向上を図ることができるようになるという効
果を奏する。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井戸 秀和 兵庫県神戸市西区高塚台１丁目５番５号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 西本 英敏 兵庫県神戸市中央区脇浜町１丁目３番18号 株式会社神戸製鋼所神戸本社内 (72)発明者 寺田 好則 大阪府大阪市中央区備後町４丁目１−３ 株式会社神戸製鋼所大阪支社内 (72)発明者 鐙屋 匡 東京都千代田区丸の内１丁目８−２ 株式 会社神戸製鋼所東京本社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 クラブヘッド基材の表面の少なくとも打
   球面に電気Ni−Ｐ系めっき層を有するゴルフクラブヘッ
   ドであって、前記Ni−Ｐ系めっき層中のＰ含有量が0.1
   〜20wt% であることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
2. 【請求項２】 前記クラブヘッド基材がAl又はAl合金よ
   りなる請求項１記載のゴルフクラブヘッド。
3. 【請求項３】 前記クラブヘッド基材がカーボン系材料
   よりなる請求項１記載のゴルフクラブヘッド。
4. 【請求項４】 前記クラブヘッド基材がチタン又はチタ
   ン合金よりなる請求項１記載のゴルフクラブヘッド。