JPH06205625A - 撥水処理のなされた釣用品 - Google Patents

撥水処理のなされた釣用品

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JPH06205625A
JPH06205625A JP1930393A JP1930393A JPH06205625A JP H06205625 A JPH06205625 A JP H06205625A JP 1930393 A JP1930393 A JP 1930393A JP 1930393 A JP1930393 A JP 1930393A JP H06205625 A JPH06205625 A JP H06205625A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ほとんど水滴の付着しない釣用品の提供を目
的とする。 【構成】 部材15又は下地処理した部材の表面16
に、無電解メッキによる金属層17を形成し、金属母材
18A中にフッ素化合物の粒子や繊維18Bが分散され
て成る撥水性被膜層18を形成すると共に、該被膜層1
8の表面における全原子数中のフッ素原子数の割合を2
0%以上とするよう構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、部材の表面に高撥水性
被膜を形成した釣竿やリール等の釣用品に関する。
【0002】
【従来の技術】釣用品の内、従来から釣竿の竿管表面に
雨や波しぶきによる水滴が付着し、そこに釣糸が吸着し
て釣糸の送り出し操作が円滑に行われ得ないという問題
を解決するための工夫が、実開昭58−146462号
公報や実開平3−92967号公報に開示されている。
【0003】前者の公報では、竿管の表面に細い糸を荒
いピッチで巻回し、竿管の表面に螺旋状節目を形成する
ことが開示されている。また後者の公報には、竿管の表
面に粗面を形成することが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、前者では
巻回される糸のピッチが荒いため、みち糸がふけている
場合には竿管表面に直接接触することが有り、水滴が付
着していればやはりみち糸の吸着を生じる。かといっ
て、糸を密に巻回するとその糸の上に水滴が付着してこ
れにみち糸が吸着したり、更には、釣竿が重くなるとい
う問題を生じる。また、糸を竿管に巻回する作業は時間
がかかると共に釣竿の美観を損ねる。
【0005】後者では、前者の糸巻と同様に、単に粗面
にしただけでは水滴がその粗面上に付着するため、みち
糸が竿に吸着することを完全に防止することはできな
い。更には、一般に竿管は繊維強化プリプレグによって
形成されており、例えばエポキシ系樹脂のプリプレグで
作られた竿管のようにエポキシ樹脂に吸湿性があるため
に、竿管に水が付着した状態が持続すれば、徐々に水分
を吸収して竿管表面の模様塗装領域等との境界からその
塗装の剥がれを生じることもある。これを防止するため
の技術が特開平3−10631号公報にも開示されてい
る。以上は釣竿に関する場合であるが、リールやその他
の釣用品に水滴が付着すると釣り場での扱いが不便であ
ると共に、錆びや腐蝕につながる。また、水滴にゴミが
吸着されて、これが乾燥するとその釣用品の表面が汚れ
る。
【0006】依って、本発明はほとんど水滴の付着しな
い釣用品の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑みて本発明
は、部材又は下地処理した部材の表面に、無電解メッキ
による金属層を形成し、金属母材中にフッ素化合物の粒
子や繊維が分散されて成る撥水性被膜層を形成すると共
に、該被膜層の表面における全原子数中のフッ素原子数
の割合を20%以上としたことを特徴とする撥水処理の
なされた釣用品か又は、部材又は下地処理した部材の表
面に、ポリマーの母材中にフッ素化合物の粒子や繊維が
分散されて成る撥水性被膜層を形成すると共に該被膜層
の表面における全原子数中のフッ素原子数の割合を20
%以上としたことを特徴とする撥水処理のなされた釣用
品を提供する。
【0008】
【作用】層表面のフッ素原子数の割合が高い程高撥水性
を発揮するため、CF3基の多いフッ素化合物(オリゴ
マー状態の化合物等)を分散させるか、或いはCF3
の少ないフッ素化合物の場合には該フッ素化合物をフッ
素ガス中でフッ素化処理したフッ素化合物にして使用し
たり、フッ素化合物を混合した被膜層の表面をフッ素化
処理してフッ素原子数を多くすることによって被膜層表
面のフッ素原子数の割合を20%以上にし、これによっ
て高撥水性被膜層を釣用品の表面に形成して水滴の接触
角を従来のテフロン(商品名)コーティング以上にで
き、水滴はほとんど付着できず、重力によって容易に落
下する。
【0009】
【実施例】以下、本発明を添付図面に示す実施例に基づ
き更に詳細に説明する。図1は主として両軸受型や片軸
受型の所謂ドラムリールを取り付けた釣竿や、クローズ
ドフェイス型リールを取り付けた釣竿のように、釣糸ガ
イド12A等を上側向けて使用する場合の竿管要素一本
分の斜視図である。釣糸14は糸ふけ状態では実線14
aで示す様なたるみ状態や2点鎖線14bで示す様なた
るみ状態となる。
【0010】このうち前者のたるみ状態では、釣糸ガイ
ド12Aと12Bとの間、或いは釣糸ガイド12Bと1
2Cとの間において竿管要素10の側面の2箇所が釣糸
14と接触している。また後者のたるみ状態では、各釣
糸ガイド間において竿間要素10の上面と釣糸14とが
接触している。
【0011】これらの場合において、釣り場の波しぶき
や雨等によって竿管要素10の表面が濡れていれば糸1
4は竿管要素10に接触するのみならず、水の影響で吸
着される。従って、糸14の繰り出し等が円滑に行えな
いという問題が生じる。これを解決するために本発明
は、竿管要素10の表面に水滴を付着させないように構
成する。
【0012】この竿管要素10の断面を図2に示す。繊
維強化プリプレグを巻回して硬化処理して形成された竿
管本体15の表面は一般に粗面であるため、下地処理に
よって鏡面状に平滑研磨し、その後にエポキシ樹脂やウ
レタン樹脂を10〜40ミクロン程度の厚さt1に塗装
して下地層16を形成する。次に、この下地層16の表
面に所謂無電解メッキによってニッケルや銅を10〜2
0ミクロン程度の厚さt2にコーティングして金属層1
7を形成する。その上に分散メッキ法によって厚さt3
が5〜10ミクロン程度の高撥水性被膜層18を形成す
る。この被膜層18にはその母体となる母材18Aと、
該母材18Aの中に分散したフッ素化合物粒子や繊維1
8Bとが存在している。
【0013】上記例では高撥水性被膜層18の形成は分
散メッキ法による場合であり、母材18Aとしては、ニ
ッケル、ニッケル合金、銅、銅合金、錫、錫合金等の金
属の場合であるが、分散メッキ法によらない場合は、エ
ポキシ樹脂、アクリル樹脂等のプラスチックやゴムが使
用される。また、フッ素化合物粒子や繊維としてはポリ
マー状態やオリゴマー状態(分子量が8000〜100
00程度)のフッ化グラファイト粒子の他、ポリテトラ
フルオロエチレンオリゴマー粒子等が使用される。
【0014】上記のように下地層16、金属層17、高
撥水性被膜層18というように竿管の外側に近づく程段
々に層の厚さを薄く形成して断面の性質が急に変化する
ことを防止することによって釣竿が大きく撓んだ場合に
も被膜層18が割れ難く、かつ撓み性能も本来の竿管本
体15の素材の性能を保持できる。この被膜層18のフ
ッ化グラファイト粒子は、フッ素原子数の割合を向上さ
せるために、できるだけ微細な粒子とすることが好まし
い。例えば1ミクロン程度か或いはそれ以下である。
【0015】被膜層18の形成方法である分散メッキ法
について、例えばニッケルを用いた場合について説明す
る。フッ化グラファイトポリマー粒子をニッケルのメッ
キ液中に混合し、機械的攪拌や超音波振動で均一に分散
させる。この場合、分散を均一にさせるために界面活性
剤を添加しても良い。この液中で表面に金属層17を有
する竿管要素を電気メッキすると、該竿管要素の金属層
17の表面にフッ化グラファイトポリマー粒子とニッケ
ルが一定の割合で析出する。こうして高撥水性被膜層1
8が形成される。
【0016】撥水性を生む要因はフッ素であり、被膜層
18に含まれるフッ素原子の密度が大きくなればそれだ
け撥水性が高くなる。但し、フッ化グラファイトポリマ
ー粒子が被膜層18のより表面近くに来る程撥水性は高
くなる。この表面のフッ素原子数のその表面に存在する
総原子数に対する割合が20%以上であれば水滴の接触
角θが約120度以上となり、従来のテフロンコーティ
ング以上の高撥水性を発揮する。この場合、接触角θが
120度以上にならなければ、被膜層18の表面をフッ
素化処理し、表面のフッ素原子数の割合を多くさせるこ
とによって接触角θを大きくすることができる。
【0017】この被膜層18を形成したので竿管要素1
0に水滴20が飛散しても付着することはほとんどな
く、そのまま落下してしまう。このため釣糸14が竿管
の表面に吸着して繰り出し操作が困難になる等の問題が
生じない。また、竿管要素10の表面から内部に水分が
吸収されて竿管の耐久性を低下させることもない。ま
た、上記のニッケルメッキ液の他にニッケル合金メッキ
液、銅メッキ液、銅合金メッキ液等による分散メッキを
採用しても良い。
【0018】次に、図3と図4を参照しながら、分散メ
ッキ以外の方法でフッ化グラファイトポリマー又はオリ
ゴマーの粒子18Bを竿管要素10’,10’’の表面
に固定し、高撥水性被膜層18を形成する方法について
説明する。記述の如く通常、竿管本体15の表面は下地
研磨した後に下地層16を被覆しており、この下地塗装
材としてはエポキシ樹脂やウレタン樹脂が使用される。
例えば、エポキシ樹脂を使用して下地層16を形成して
いる場合は、その上の高撥水性被膜層18の母材18A
として下地層16と同じエポキシ樹脂を用いると高撥水
性被膜層18の密着性が相当に向上する。
【0019】また、竿管本体15を構成している樹脂が
エポキシ樹脂であれば、この同一のエポキシ樹脂を母材
18Aとしてフッ化グラファイト粒子18Bを混合し、
これを竿管本体15の表面に直接薄く塗装すれば(図4
の場合)高撥水性を有することは元より、竿管本体15
の樹脂と同一の樹脂を用いた被膜層18であるために竿
管本体15との密着性が相当に向上して、大きな撓み変
形をする釣竿として被膜層18の耐久性が向上する。こ
うして本来の下地塗装材料としても適しているエポキシ
樹脂を竿管本体15に直接に塗装することとなるため、
竿管本体15の耐久性も同時に向上する。勿論、竿管本
体15を形成している樹脂と異なる樹脂を使用した被膜
層18であってもよいが、密着性の良いことが条件であ
る。このように樹脂の中にフッ化グラファイト粒子等の
フッ素化合物粒子等を混合させたものを薄く塗装する方
法によれば、その溶剤が蒸発する過程において、これら
の粒子等が被膜層18の表面に浮上し易く、それだけ撥
水性が向上することになり効果的である。そのためにも
粒子等は小さいことが望ましい。
【0020】その他の被膜層形成方法として、接着剤に
フッ化グラファイト粒子18Bを混合し、この混合剤を
シール等に均一に付着させたものを予め準備しておく。
そして下地層16の形成された竿管に、準備してある混
合剤の付着したシールを用いて竿管の所望場所にシール
ごと付着させて、後で該シールを剥せば竿管表面に高撥
水性被膜層18が形成される。また、この高撥水性被膜
層18を付着形成した後で、フッ化グラファイト粒子1
8Bがその層18の表面に位置していない等の必要性に
応じて、付着形成された該高撥水性被膜層18の表面を
研磨等してもよい。
【0021】また、シールの上に先ずフッ化グラファイ
ト粒子18Bを分散配置しておき、この上から接着剤を
押し付けるようにすれば、フッ化グラファイト粒子18
Bは主にシールの面側に位置する。従って、これをシー
ルごと竿管の表面に付着させて後でシールを剥せば、フ
ッ化グラファイト粒子18Bの多くは竿管要素10’の
表面近くに位置することとなり、それだけ撥水性が高ま
る。従って水滴が竿管要素の表面に付着することが防止
され、釣糸14の吸着が防止できると共に、竿管要素1
0’の表面から内部に水分が吸収されて、竿管の耐久性
を低下させることもない。
【0022】また、竿管要素10,10’,10’’の
長手方向のどの位置に上記高撥水性被膜層18を施すか
は、図1に示すように釣糸14が垂れて竿管要素に接触
する領域に応じて決定する。そうすると、釣糸ガイド1
2A,12B,12Cの近くは不要であり、各釣糸ガイ
ド間の中央部から、釣糸ガイドの高さが低くなる竿管要
素の前方寄りの領域に施すと比較的効果が大きい。しか
し直径の小さな穂先やそれに接続される2番竿管要素の
前半分等は不要であるが、リールシートの前方の竿管全
体領域に上記高撥水性被膜層18を形成すると効果的で
あることは勿論である。
【0023】このように竿管要素の一部分に被膜層18
を形成するには、上述した分散メッキ法の場合では、メ
ッキ処理すべき特定領域を残してマスキングを施し、そ
の後メッキを行う。釣竿では重量軽減は至上命題であ
り、メッキは必要最小領域に施すべきである。従って、
釣糸の吸着防止のことのみを目的とするならば、釣糸ガ
イド間以外にはメッキする必要性は無く、また、継ぎ竿
においては各接続部分にはメッキを施さない。
【0024】また、メッキ領域の境界から剥離すること
等を防止するために、境界部分をメッキの後から合成樹
脂塗料等で被覆する等の工夫を行うことが望ましい。ま
た、竿管要素の円周方向の全周に被膜層18を施す他、
上述のようにできるだけ被覆領域を小さくするならば、
釣糸ガイドの存在する側の半円領域が効果的である。こ
れは図1から分るように、竿管要素のガイドの有る上面
領域か又は側面領域に釣糸14が接触するからである。
【0025】以上では、竿管について高撥水性被膜層1
8を施すことを説明したが、本発明はこれに限らず、リ
ールの表面やその他釣用品一般についても適用される。
これら釣用品について高撥水性被膜層が形成されれば、
錆びや腐蝕の防止に役立つと共に、ゴミの付着による美
観低下をも防止可能となる。この美観のことは竿管の場
合でも同様である。
【0026】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明に
よれば、表面に水滴が付着し難い釣用品を提供するの
で、竿管の場合では、釣糸の吸着が防止されて送り出し
操作が容易になると共に、竿管の水分吸収が防止されて
竿管の耐久性が向上する。またゴミの付着を防止でき、
美観が損なわれることを防止できる。他の釣用品では錆
びや腐蝕を防止でき、ゴミ付着防止による美観の維持に
ついて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る釣用品の代表例としての竿
管の部分斜視図である。
【図2】図2は図1の竿管の部分断面図である。
【図3】図3は図2に対応する他の竿管の部分断面図で
ある。
【図4】図4は図2に対応する他の竿管の部分断面図で
ある。
【符号の説明】
10,10’,10’’ 竿管要素 12A,12B,12C 釣糸ガイド 14 釣糸 15 竿管本体 16 下地層 18 高撥水性被膜層 18A 母材 18B フッ化グラファイト粒子 20 水滴

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 部材又は下地処理した部材の表面に、無
    電解メッキによる金属層を形成し、金属母材中にフッ素
    化合物の粒子や繊維が分散されて成る撥水性被膜層を形
    成すると共に、該被膜層の表面における全原子数中のフ
    ッ素原子数の割合を20%以上としたことを特徴とする
    撥水処理のなされた釣用品。
  2. 【請求項2】 部材又は下地処理した部材の表面に、ポ
    リマーの母材中にフッ素化合物の粒子や繊維が分散され
    て成る撥水性被膜層を形成すると共に、該被膜層の表面
    における全原子数中のフッ素原子数の割合を20%以上
    としたことを特徴とする撥水処理のなされた釣用品。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006217921A (ja) * 1997-11-28 2006-08-24 Daiwa Seiko Inc 管状体及びその製造方法
JP2010179131A (ja) * 2003-06-26 2010-08-19 Zuiko Corp 創傷被覆材および創傷被覆材キット

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