JPH0620428A - デイスクカートリツジ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】シヤツタの付勢手段として圧縮コイルばねを使
用するデイスクカートリツジにおいて、当該圧縮ばねの
仕様に自由度をもたせ得ると共に、圧縮コイルばねがシ
ヤツタに対して不要に大きな荷重を与えないようにした
デイスクカートリツジを提案する。 【構成】圧縮コイルばねのガイド溝の一端に曲折部を形
成するようにしたことにより、曲折部の長さ分だけガイ
ド溝を長く形成することができ、かくして当該圧縮コイ
ルばねの装着長を長く取ることができる。従つて、ばね
の巻数及びコイル径等圧縮コイルばねの仕様の自由度を
大きくすることができる。またシヤツタが全開した状態
での圧縮コイルばねのばね長が従来に比べて長くなるた
め、ばねの圧縮時及び伸長時のばね力の変化を少なくす
ることができ、従つてシヤツタが圧縮コイルばねから不
要に大きな荷重を受けることを防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は円盤状の記録媒体を収納
したデイスクカートリツジに関し、記録媒体の露出口を
塞ぐシヤツタに対して特に圧縮ばねを用いて閉塞方向に
付勢力を加えるようになされたデイスクカートリツジに
適用して好適なものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、デイスクカートリツジにおいて
は、中空の溥板状に形成されたシエルの内部に円盤形状
の記録媒体が回転自在に収納されている。通常、シエル
の前縁中央部には大きくコ字状の切り欠きが形成されて
記録媒体が露出するようになされ、これにより記録及び
又は再生ヘツドが必要に応じて当該記録媒体の所定の記
録領域にアクセスできるようになされている。

【０００３】ここでシエルには、コ字状に折り曲げられ
た薄いシヤツタがデイスクカートリツジの上面側及び下
面側から挟み込んだ状態でシエルの前縁端面に沿つて自
在にスライドできるように取り付けられている。この場
合、シヤツタは切り欠きより僅かに幅が広く形成され、
これにより当該シヤツタのスライド移動に応じて切り欠
き部分が塞がれ又は露出するようになされている。

【０００４】さらにシヤツタにおいては、ねじりコイル
ばねが取り付けられて閉じた状態に付勢することによ
り、外部からの異物等が記録媒体上に付着したり当該記
録媒体にきずが付く等の記録媒体の性能の劣化を防止す
るようになされている。ところで、例えばミニデイスク
等のようにシヤツタの開閉方向（以下これを横方向と呼
ぶ）と直交する方向の長さが短いデイスクカートリツジ
の場合、スペース上の問題からシヤツタへの付勢手段と
してねじりコイルばねを用いることができず、この解決
方法として圧縮コイルばねを利用することが提案されて
いる。

【０００５】すなわち図１１はデイスクカートリツジ１
のシエルの片面半体及びシヤツタを取り除いた状態を表
し、シエル２の前縁内側に前縁端面２Ａと平行に直線状
のガイド溝２Ｂが形成されている。このガイド溝２Ａに
は棒状のスライダ３及び当該スライダ３の長手方向の一
端側に圧縮コイルばね４が滑動自在に嵌め込まれ、これ
によりスライダ３が圧縮コイルばね４の付勢を受けて当
該ガイド溝２Ｂに沿つてシエル２の前縁端面２Ａと平行
にスライド移動するようになされている。

【０００６】かくしてシヤツタを、当該シヤツタがシエ
ル２の表面側から挟み込むような状態でスライダ３に取
り付けることにより、シヤツタは圧縮コイルばね４の付
勢を受けて閉じた状態に保持されると共に、記録又は再
生時には当該シヤツタに外力を与えて開き、デイスク５
を露出させることができるようになされている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところが、この種デイ
スクカートリツジ１においては、ガイド溝２Ｂの長さが
シエル２の横方向の長さ以内に制限されるため、例えば
シヤツタの開閉動作のストロークが大きいデイスクカー
トリツジでは、シヤツタの開閉に伴いスライダ３の移動
距離も大きくなることにより圧縮時におけるばね４の長
さに制約が生じ、従つてばね４の巻数及びコイル径にも
制限が生じる問題がある。また、シヤツタの開閉動作の
ストロークが大きいデイスクカートリツジでは、シヤツ
タが全開した際のばね４の長さと、当該シヤツタが閉塞
した際のばね４の長さとの差が大きくなることによりシ
ヤツタを閉塞するためのばね４の付勢力を実用上十分な
範囲で得ようとすると、シヤツタを全開した際に当該シ
ヤツタに加わるばね４の付勢力が大きくなり、シヤツタ
に対してばね４が不要に大きな付勢力を与えてしまう問
題があつた。

【０００８】本発明は以上の点を考慮してなされたもの
で、シヤツタの付勢手段として圧縮コイルばねを使用す
るデイスクカートリツジにおいて、当該圧縮ばねの仕様
に自由度をもたせ得ると共に、圧縮コイルばねがシヤツ
タに対して不要に大きな荷重を与えないようにしたデイ
スクカートリツジを提案しようとするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
め本発明においては、シエル１１及び１２に形成された
記録媒体５の露出口１１Ｃ及び１２Ｃを塞ぐシヤツタ１
３に対して圧縮コイルばね４を用いて上記シヤツタ１３
を露出口１１Ｃ及び１２Ｃの閉塞方向に付勢するデイス
クカートリツジ２０において、シエル１１及び１２に形
成された圧縮コイルばね４をガイドするガイド溝１２Ｅ
の一端に曲折部１２ＥＡを形成した。また本発明におい
ては、ガイド溝１２Ｅをシヤツタ１３の閉塞方向に形成
すると共に、曲折部１２ＥＡを閉塞方向に対して直角方
向に形成した。

【００１０】

【作用】圧縮コイルばね４をガイドするガイド溝１２Ｅ
の一端に曲折部１２ＥＡを形成するようにしたことによ
り、当該曲折部１２ＥＡの長さ分だけガイド溝１２Ｅを
長く形成することができ、かくして圧縮コイルばね４の
装着長を長く取ることができる。

【００１１】従つて、ばね４の巻数及びコイル径等圧縮
コイルばね４の仕様の自由度を大きくすることができ
る。またシヤツタ１３が全開した状態での圧縮コイルば
ね４のばね長を従来に比べて長くし得、かくしてシヤツ
タが全開したとき及びシヤツタが閉塞したときにおける
ばね４の長さの差を小さくすることができることによ
り、シヤツタ１３は全開状態において圧縮コイルばね４
から不要に大きな荷重を受けることを防止することがで
きる。

【００１２】

【実施例】以下図面について、本発明の一実施例を詳述
する。

【００１３】図１１と対応部分に同一符号を付して示す
図１において、１０は全体として光デイスクカートリツ
ジを示し、第１及び第２のシエル半体１１及び１２間の
所定の位置に光デイスク５、スライダ３及び圧縮コイル
ばね４をそれぞれ配置した後当該第１及び第２のシエル
半体１１及び１２を一体に嵌め合わせ、この後スライダ
３にシヤツタ１３をねじ止め等によつて固定することに
より組み立てられるようになされている。この場合第１
のシエル半体１１には、表面側にシヤツタ１３の開閉動
作で干渉しないための凹部１１Ａびラベル張付用凹部１
１Ｂが形成されている。

【００１４】また第２のシエル半体１２には、中心部に
光デイスクをクランプするための円形の開口１２Ａが貫
設されかつ、当該開口１２Ａの周囲を取り囲むように凸
部１２Ｂが形成され、これにより光デイスク５の記録エ
リアと第１及び第２のシエル半体１１及び１２の内側と
が干渉しないようになされている。さらに第１及び第２
のシエル半体１１及び１２の前縁内側には、スライダ３
及び圧縮コイルばね４のスライド時における案内用のガ
イドとして、シエル１１及び１２の前縁中央部に形成さ
れた光デイスク５の露出用の切り欠き１１Ｃ及び１２Ｃ
を挟んで第１のガイド溝１２Ｄ及び第２のガイド溝１２
Ｅがそれぞれ形成されている。

【００１５】第１のガイド溝１２Ｄはスライダ３専用の
スライドガイドであり、シエル１１及び１２の前縁端面
と平行に直線状に形成されている。これに対して、第２
のガイド溝１２Ｅはスライダ３及び圧縮コイルばね４共
通のスライドガイドであり、第１のガイド溝１２Ｄに対
して同一直線上に形成されると共に、切り欠き１１Ｃ及
び１２Ｃと反対側の先端にガイド溝１２Ｅが曲げられて
なる曲折部１２ＥＡが形成されている。この実施例の場
合、第２のガイド溝１２Ｅにおいて曲折部１２ＥＡは、
切り欠き１１Ｃ及び１２Ｃからシエル１１及び１２の側
縁まで形成された直線部１２ＥＢの先端から当該側縁の
端面と平行に僅かの長さに形成され、圧縮コイルばね４
が当該曲折部１２ＥＡの先端から直線部１２ＥＢにかけ
てガイド溝１２Ｅに沿つて装着されるようになされてい
る。

【００１６】この場合圧縮コイルばね４は、シヤツタ１
３のストロークに応じた圧縮長でガイド溝１２Ｅ内にお
いてほぼ均一にたわみ、その結果ガイド溝１２Ｅを直線
状に形成した場合とほぼ同様の弾性を得ることができ
る。実際上、図２に示すような直線のガイド溝２０Ａ、
６０度の曲げを有するガイド溝２０Ｂ、９０度の曲げを
有するガイド溝２０Ｃ及び二重の９０度の曲げを有する
ガイド溝２０Ｄをそれぞれ形成した治具２０を用いて、
等間隔に引かれた目盛り２０Ｅごとにばね４を押し込み
又は戻すときに必要な又は得られる荷重を測定した結
果、図３に示すようにいずれのガイド溝２０Ａ、２０
Ｂ、２０Ｃ及び２０Ｄにおいても荷重変化にそれほどの
大差がないことがわかつた。

【００１７】ここで、図３において、第１〜第４のグラ
フｆ１〜ｆ４はそれぞれガイド溝２０Ａ〜２０Ｄによる
実験結果を示し、ヒステリシスカーブのうち上のカーブ
はばね４を押し込んだとき得られ、下のカーブはばね４
を戻したときに得られた。以上の構成において、圧縮コ
イルばね４は、第１のシエル半体１１を取り除いた状態
を表す図４〜９に示すように、第２のガイド溝１２Ｅに
沿つて伸縮する。

【００１８】すなわち図４及び図５に示すように、圧縮
コイルばね４は外部から力を与えられていない初期状態
では、第２のガイド溝１２Ｅに沿つて位置してスライダ
３に付勢することによりシヤツタ１３を閉じた状態に保
持する。この後図６及び図７に示すように、圧縮コイル
ばね４は外力が与えられてシヤツタ１３及びスライダ３
が当該シヤツタ１３の開く方向に移動すると、第２のガ
イド溝１２Ｅに沿つてほぼ一様な割合で縮み、この後図
８及び図９に示すようにシヤツタ１３が全開したときに
ばね４の大半が曲折部１２ＥＡに納まつて最も短い状態
になる。

【００１９】さらに圧縮コイルばね４は、シヤツタ１３
又はスライダ３に対する外力が取り除かれるとスライダ
１３に付勢しながらガイド溝１２Ｅに沿つて伸びて行き
（図６及び７）、スライダ３を対向するガイド溝１２Ｅ
の端に押しつけるようにしてシヤツタ１３を閉じた状態
に保持する（図４及び５）。

【００２０】以上の構成によれば、第２のガイド溝１２
Ｅの直線部１２ＥＢのうち、切り欠き１１Ｃ及び１２Ｃ
と接しない側の先端部をシエル１１及び１２の側縁部の
端面と平行になるように折り曲げて曲折部１２ＥＡを形
成し、当該曲折部１２ＥＡから直線部１２ＥＢにかけて
圧縮コイルばね４を装着するようにしたことにより、図
１０及び図１１から明らかなように、従来に比して曲折
部１２ＥＡの長さ分だけ圧縮コイルばね４の装着長を長
く取ることができ、かくして巻数及びコイル径等圧縮コ
イルばね４の仕様の自由度を大きくすることができる。
またシヤツタ１３が全開した状態での圧縮コイルばね４
のばね長が従来に比べて長くなるため、この状態での圧
縮コイルばね４の圧縮時に伸長時のばね力の変化を小さ
くすることができ、従つてシヤツタ１３が圧縮コイルば
ね４から不要に大きな荷重を受けることを防止すること
ができる。

【００２１】また第２のガイド溝１２Ｅのうち切り欠き
１１Ｃ及び１２Ｃと接しない側の先端部をシエル１１及
び１２の側縁部に当該側縁部の端面と平行になるように
折り曲げて曲折部１２ＥＡ形成するようにしたことによ
り、曲折部１２ＥＡの長さ分だけガイド溝１２Ｅの長さ
を長く形成することができ、かくしてスライダ３及び圧
縮コイルばね４の移動範囲を大きく取ることができる。
従つて、スライダ３の滑動範囲の拡大に伴い、シヤツタ
１３の開閉ストロークを長くすることができる。

【００２２】因に、第２のガイド溝１２Ｅのうち切り欠
き１１Ｃ及び１２Ｃと接しない側の先端部をシエル１１
及び１２の側縁部に当該側縁部の端面と平行になるよう
に折り曲げて曲折部１２ＥＡを形成し、当該曲折部１２
ＥＡに圧縮コイルばね４を装着するようにしたことによ
り、圧縮コイルばね４がガイド溝１２Ｅに沿つて曲折部
１２ＥＡ内に収縮する分ガイド溝１２Ｅの直線部１２Ｅ
Ｂの長さを短く取ることができ、かくして必要に応じて
シエル１１及び１２におけるシヤツタ１３の開閉方向の
長さを短くすることができる。

【００２３】なお上述の実施例においては、第２のガイ
ド溝１２Ｅの曲折部１２ＥＡをシエル１１及び１２の側
縁端面と平行に当該側縁に形成するようにした場合につ
いて述べたが、本発明はこれに限らず、要は第２のガイ
ド溝１２Ｅのうちスライダ３の滑動範囲部分が直線形状
に形成してあるならば、曲折部としてはこの他種々の形
状を適用できる。また上述の実施例においては、本発明
を光デイスクカートリツジ１に適用する場合について述
べたが、本発明はこれに限らず、種々のデイスクカート
リツジに広く適用できる。

【００２４】

【発明の効果】上述のように本発明によれば、シエルに
形成された記録媒体の露出口を塞ぐシヤツタに対して圧
縮コイルばねを用いて付勢するデイスクカートリツジに
おいて、圧縮コイルばねのガイド溝の一端に曲折部を形
成するようにしたことにより、曲折部の長さ分だけガイ
ド溝を長く形成することができ、かくして当該圧縮コイ
ルばねの装着長を長く取ることができる。従つて、ばね
の巻数及びコイル径等圧縮コイルばねの仕様の自由度を
大きくすることができる。またシヤツタが全開した状態
での圧縮コイルばねのばね長が従来に比べて長くなるた
め、ばねの圧縮時及び伸長時のばね力の変化を少なくす
ることができ、従つてシヤツタが圧縮コイルばねから不
要に大きな荷重を受けることを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるデイスクカートリツジの一実施例
を示す分解斜視図である。

【図２】実験に用いた治具を示す斜視図である。

【図３】実験結果を示すグラフである。

【図４】シヤツタの開閉動作の初期状態及び終了状態を
示す平面図である。

【図５】シヤツタの開閉動作の初期状態及び終了状態を
示す斜視図である。

【図６】シヤツタの開閉動作時における途中の状態を示
す平面図である。

【図７】シヤツタの開閉動作時における途中の状態を示
す斜視図である。

【図８】シヤツタが全開した状態を示す平面図である。

【図９】シヤツタが全開した状態を示す斜視図である。

【図１０】シヤツタの全開時における圧縮コイルばねの
伸縮状態を示す平面図である。

【図１１】従来のデイスクカートリツジでのシヤツタの
全開時における圧縮コイルばねの伸縮状態を示す平面図
である。

【符号の説明】

１、１０……デイスクカートリツジ、３……スライダ、
4 ……圧縮コイルばね、５……光デイスク、１１、１２
……シエル半体、１１Ｃ、１２Ｃ……切り欠き、１２
Ｄ、１２Ｅ……ガイド溝、１２ＥＡ……曲折部、１３…
…シヤツタ。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シエルに形成された記録媒体の露出口を塞
   ぐシヤツタに対して圧縮コイルばねを用いて上記シヤツ
   タを上記露出口の閉塞方向に付勢するデイスクカートリ
   ツジにおいて、 上記シエルに形成された上記圧縮コイルばねをガイドす
   るガイド溝の一端に曲折部を形成したことを特徴とする
   デイスクカートリツジ。
2. 【請求項２】上記ガイド溝を上記シヤツタの閉塞方向に
   形成すると共に、上記曲折部を上記閉塞方向に対して直
   角方向に形成したことを特徴とする請求項１に記載のデ
   イスクカートリツジ。