JPH06201680A - 材料の検査方法及びその装置 - Google Patents

材料の検査方法及びその装置

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JPH06201680A
JPH06201680A JP5000630A JP63093A JPH06201680A JP H06201680 A JPH06201680 A JP H06201680A JP 5000630 A JP5000630 A JP 5000630A JP 63093 A JP63093 A JP 63093A JP H06201680 A JPH06201680 A JP H06201680A
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corrosion rate
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JP5000630A
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English (en)
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Naoto Shigenaka
尚登 茂中
Haruo Fujimori
治男 藤森
Shigeki Ono
茂樹 大野
Motomasa Fuse
元正 布施
Shunsuke Uchida
俊介 内田
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Investigating And Analyzing Materials By Characteristic Methods (AREA)
  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 材料中における亀裂進展の検査時点における
進展速度を検出し、余寿命を高精度に予測する。 【構成】 経年変化を受けた検査対象の材料から試験片
をサンプリングし、経年変化を受ける前の検査対象の材
料と同一組成の比較試料片を用意し、同一条件下で試料
片及び比較試料片にイオン注入等で析出物を析出させ、
試料片の析出物の形状と比較試料片の析出物の形状との
比較結果に基づいて検査対象の材料における腐食速度を
求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は材料の検査方法及びその
装置に係り、特に、金属材料を用いた構造物の余寿命を
診断するのに好適な検査方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば原子炉を構成する金属材料の劣化
には、放射線の直接アタックによるもの(格子欠陥の生
成による材料脆化)と炉水の放射線分解によって生成し
たラジカルのアタックによるもの(材料腐食)とがあ
る。とりわけ重要な現象は、格子欠陥の生成とラジカル
の生成が重畳して発生する材料割れ(以後、炉材料割れ
と呼ぶ)である。この材料割れは、結晶粒界に沿って腐
食が進行し、腐食による粒界部の溶出が亀裂の進展とな
って割れを引き起こす現象である。亀裂進展速度は、粒
界腐食速度に対応すると考えられることから、材料割れ
の発生を予測または予防するためには、粒界腐食挙動の
解明が必要である。
【0003】しかし、粒界腐食速度は、照射に伴って発
生する様々な現象の影響を受けて変化する。たとえば、
材料側では照射による格子欠陥の発生、炉水側では放射
線分解に伴う水質の変化などが影響因子に挙げられる。
そのため、正確な粒界腐食速度を測定する必要があり、
従来から多くの材料検査方法が適用され、その測定結果
に基づいた材料健全性の予測が行われてきた。
【0004】例えば特開平4−194741号(特願平
2−326330号)公報記載の技術では、粒界亀裂長
さの測定値と粒界亀裂進展に要した時間とから平均の粒
界腐食速度を求めるようにしている。
【0005】また、別の従来技術として、例えば特開昭
62−245155号公報記載のものがある。この従来
技術では、金属材料の結晶粒界に析出した炭化物の球状
化率(=粒界炭化物の径の最小値/粒界炭化物の径の最
大値)を求め、この球状化率に基づいてその材料の寿命
消費率を求めている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述した特開平4−1
94741号公報記載の従来技術は、粒界腐食速度の平
均速度を求めるものであり、この平均速度の値に依存し
た性質を解析するには好適である。しかし、材料の余寿
命は、平均速度よりも、検査時点での粒界腐食速度を用
いた方が高精度になると期待される。しかるに従来は、
検査時点での粒界腐食速度を測定することができなかっ
た。一般に、粒界腐食速度は一定でないばかりか、材料
強度特性の劣化に伴い時間と共に増加する傾向があり、
検査時点までの平均腐食速度による亀裂進展予測は亀裂
長さを過小評価する虞が強い。このため、従来は、安全
側評価として早目の補修・交換を実施しており、特に、
万一亀裂が発見された場合には直ちに補修または交換を
実施している。
【0007】原子炉材料で発生する亀裂進展速度、即ち
粒界腐食速度は、運転前の照射を受けていない炉材料
(以後バージン試料と呼ぶ)が放射線分解を受けていな
い炉水によって粒界腐食される速度(V0と表示する)
に対して、放射線分解を受けた炉水による腐食加速要因
(環境因子)と、炉材料の材質変化に伴う腐食加速要因
(材料因子)とが考えられる。このふたつの要因のなか
で、炉水に関してはその評価が実験的にも比較的容易で
あることから、明らかにされつつある。一方、材質の変
化に関しては、現象が複雑でかつ測定が極めて困難であ
ることから、ほとんど明確にされていない。従って、材
料の余寿命を定量する信頼できる手段がなく、前記のよ
うに、万一亀裂が発見された場合にはその大きさに依ら
ず直ちに補修または交換するのは勿論のこと、亀裂が発
見されなくても、経過年数に応じて早目の補修・交換を
実施しており、原子力発電プラントの運転コストや設備
利用率が必ずしも最適化されているとは言えなかった。
【0008】上述した特開昭62−245155号公報
記載の従来技術も同様であり、この従来技術が測定した
炭化物の球状化率は、その材料の検査時点までの寿命消
費を表すにすぎず、検査時点での劣化速度がどのくらい
の値であり今後の劣化の進展具合まで予測することはで
きない。
【0009】本発明の目的は、検査時点における材料の
腐食速度を精度良く検出し、材料の余寿命を高精度に予
測することのできる材料の検査方法及びその装置を提供
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的は、粒界腐食速
度が結晶粒界エネルギと強い相関を持つ点に着目し、健
全性評価対象部材よりサンプリングした材料(試料A)
の他に、該部材と同一組成のバージン試料(試料B)を
用意し、試料Aと試料Bに同一条件下で例えばイオン注
入を行って該イオンに基づく析出物を析出させ、試料A
の析出物と試料Bの析出物の形状を比較することで、達
成される。
【0011】
【作用】結晶粒界に形成させた析出物は凸レンズ形状を
しており、その長径と短径の比から結晶粒界エネルギの
相対値を求めることができる。また、結晶粒界エネルギ
は粒界腐食速度に比例する。このことから、結晶粒界に
形成させた析出物の形状を測定することによって、粒界
腐食速度の相対値の評価が可能になる。またバージン試
料の粒界腐食速度を予め測定しておけば、粒界腐食速度
の変化量を定量的に評価することができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。原子炉の運転時間の増加に伴って炉材料は材質
変化を生じ、その結果多くの問題が顕在化する。本発明
の実施例では、これら問題点の中で最も重要な現象であ
る材料割れに対する健全性を正確に評価する。
【0013】図1は、本発明の一実施例に係る材料検査
方法の処理手順を示すフローチャートである。まず、健
全性の評価対象部材より試料をサンプリングする。健全
性評価に必要な試料の大きさに制限はないが、より容易
な評価試験とするためには数mm四方の板で厚さが 0.1mm
以上であることが望ましい。
【0014】次に、この試料に適当な処理を施すことに
よって、試料中の結晶粒界に析出物を形成させる。析出
物を形成させる方法は多くあるが、たとえばイオン注入
法を用いると比較的容易に析出物を形成させることがで
きる。
【0015】このサンプリングした試料(以後サンプリ
ング試料と呼ぶ)とは別に、サンプリング試料と同一組
成で同一熱処理を施した非照射試料(バ−ジン試料)を
準備し、サンプリング試料と全く同様の方法及び条件の
下で、結晶粒界に析出物を形成させる。析出物を形成さ
せたサンプリング試料及びバージン試料は夫々薄膜化
し、透過型電子顕微鏡を使用して析出物を観察する。
【0016】結晶粒界に形成された析出物の形状は、図
2に示すように、通常、凸レンズ形状をしている。そこ
で、サンプリング試料とバ−ジン試料の双方について、
その形状の特徴を表す長径(aと表す)と短径(bと表
す)を測定する。この測定値は、結晶粒界エネルギ(γ
と表す)と次の数9に示す関係を有する。
【0017】
【数9】
【0018】つまり、結晶粒界エネルギが大きい場合に
は析出物はより扁平になり、小さい場合には球に近くな
る。従って、析出物の長径aと短径bを測定することに
よって、結晶粒界エネルギの変化量がわかる。
【0019】結晶粒界エネルギは結晶粒界の状態を表す
パラメ−タと理解できる。エネルギの高い状態は活性状
態であって、結晶粒界に関わるさまざまな反応が進行し
易い状態である。図3は、結晶粒界エネルギと粒界腐食
速度との関係を実験より測定した結果であるが、エネル
ギの増加にほぼ比例して粒界腐食速度(粒界腐食深さ)
が増加していることがわかる。粒界腐食速度をVで示す
【0020】
【数10】
【0021】となる。従って粒界腐食速度と析出物形状
との関係は
【0022】
【数11】
【0023】のように表すことができ、この結果析出物
の形状の違いから粒界腐食速度を評価できることがわか
る。
【0024】この方法により、粒界腐食速度つまり原子
炉材料の亀裂進展速度の変化を評価することができる。
さらに粒界腐食速度と析出物形状との関係を測定した結
果が一例でもあれば、それを基準値としてサンプリング
した試料の亀裂進展速度を定量化することができるの
で、照射を受ける前のバージン材を用いて(照射により
材料特性が変化することを考えればバージン材が適当で
ある。)予め基準値を求めておくことが必要である。
【0025】バージン材の粒界腐食速度は、試料を炉内
に設置、または炉水模擬溶液中に浸析させることによっ
て粒界を腐食させて求める。炉内に設置する場合、設置
時間が長くなれば粒界腐食速度が変化する可能性があ
り、一方、短いと粒界腐食深さの測定が困難である。そ
のため複数のバージン試料を炉内に設置して、時間をず
らせながら試料を取りだして(例えば定期検査毎に)粒
界腐食量を測定し、粒界腐食量が設置時間に対して比例
関係にあることを確認した上で、その勾配から粒界腐食
速度を求めるのがよい。
【0026】このようにして予め測定しておいたバージ
ン試料の粒界腐食速度をV0、バージン試料中に生成さ
せた結晶粒界上の析出物の長径と短径をa0,b0、サン
プリング試料の粒界腐食速度をVs、粒界上の析出物の
長径と短径をa,bで表すと前記数11から次の数12
の関係が得られる。
【0027】
【数12】
【0028】従って、サンプリング時の粒界腐食速度V
sは
【0029】
【数13】
【0030】で求めることができる。この数13の導入
過程では、材料因子(材質変化)のみ考慮しており、炉
水中でのラジカル生成等の環境因子は一定(V0は定
数)としているが、実際にはV0は使用環境条件に依存
する量である。従って、Vsの絶対値を求めるために
は、ラジカル,イオン等の種類及び濃度や応力,振動等
の環境因子のオンラインモニタ等による実測値または過
去の実測値あるいは理論予測値またはモデル予測値を利
用する。
【0031】原子力発電プラントの定期検査時等にプラ
ントの圧力容器内機器などから微小試料をサンプリング
して図1に示した手順に従って検査すれば、析出物の形
状から、検査時の亀裂進展速度(Vs)及び各機器材料
の亀裂長さ(Lsで表す)とが求められる。この場合、V
s及びLsは必ずしも同一試料のデ−タである必要はな
く、例えば、亀裂が発見された箇所の周辺の健全部から
サンプリングし、Lsについては前記亀裂箇所の値を、V
sについてはサンプリング試料から求めた値を用いても
よい。これら両者のデ−タから、将来(例えば次の定期
点検までの運転時間をtとすれば)の亀裂長さ(Ltで表
す)の予測値を求めることができる。
【0032】
【数14】
【0033】この数14から、従来よりも高精度で将来
の亀裂長さが判る。また、前回検査時のVsやLs等、検
査時までの亀裂進展挙動も利用してVsの関数形Vs
(τ)を次の数15で決定し外挿することにより、予測
精度をさらに向上できる。
【0034】
【数15】
【0035】数14や数15から求めた予測亀裂長さと
対象部材毎の使用限界亀裂長さ(対象部材の安全な使用
を保証できる最大亀裂長さ)との比較から、対象部材の
余寿命(検査時点からLtが使用限界亀裂長さに到達する
までの時間)を高精度で評価できる(図4)。使用限界
亀裂長さは、材料強度特性、使用条件及びこれらの経時
変化、並びにプラントにおける対象部材の役割(重要
度)を考慮して設定する。特に、プラントにおける重要
度には、対象部材が破損した場合のプラントへの影響の
大きさ、対象部材の補修・交換履歴を含むプラント履歴
やプラント内の他の部位の余寿命または不具合箇所とそ
の程度、あるいは他のプラントでの事例も考慮し、随時
その記録・情報を更新することにより、予測した余寿命
の信頼度を向上できる。
【0036】対象部材の余寿命を評価できると、その結
果に基づき以下の対応を指示する。まず、(1)次次回
の定期検査時以降も余寿命がある場合は通常運転し、
(2)次回以降でかつ次次回定期検査時までに余寿命が
尽きる場合には、次回定期検査時までに補修または交換
する準備をする。また、(3)万一、次回の定期検査時
まで余寿命がもたない場合には、余寿命の程度によっ
て、直ちに補修または交換するか、あるいは予測した余
寿命が延びるようにプラント運転条件を調整する。運転
条件の調整には、出力上昇速度等のプロセス量の過渡変
化速度を通常時((1)に対応する場合)より緩和した
りする等の応力・振動をより抑制する対応や、水素注入
によりH22濃度を低減したりする等の炉水側腐食環境
を緩和する対応の他に、警報設定レベルを通常時より安
全側に下げる等の監視診断をより慎重に行う対応も含
む。
【0037】なお、これらのプラント運転条件の調整
は、(1)及び(2)の場合にも、予測した余寿命をさ
らに延ばす方向の安全側の施策として活用できる。ま
た、検査に関しては、上記(2)や(3)の場合、特に
(3)の場合には、検査時点での亀裂長さLsを本実施例
以外の一種類以上の検査手段を用いて再確認したり、材
料強度特性を再確認したり、あるいは試料数を増す等の
対応により上記指示の信頼度を向上できる。補修方法の
選定または交換する部位に関しては、検査で求めた亀裂
進展速度Vs及び亀裂長さLsを指標として、対象部材毎
にその手法及び範囲を決定する。
【0038】従って、本実施例によれば、検査時点での
粒界腐食の亀裂進展速度を粒界の析出物形状から求める
ことにより、検査時点での亀裂検出の有無に係らず原子
炉材料の余寿命を高精度で評価できるので、定期検査時
期と余寿命との比較から、計画外のプラント停止を生じ
せしめることなく補修・交換を実施できる。従って、従
来以上にプラントの信頼性・安全性を確保しながら、不
必要な補修または交換作業を排除できると共に計画外停
止もなくなるので、プラントの設備利用率も向上し、高
信頼度かつ低運転コストの原子力発電プラントが実現で
きる。また、本実施例の検査を通して、粒界エネルギと
いう粒界腐食に係る材料因子側の微視的主要パラメ−タ
を実炉条件で定量することができ、粒界腐食機構の理論
解明のための重要なデ−タベ−スを構築することもでき
る。従って、Vs(τ)をLsとVsのみからフィッティン
グで求めるのではなく、粒界腐食機構に基づいた補正を
施すための知見を得ることができ、数15のVs(τ)
の評価精度を向上できる。
【0039】図5は、本発明の第2実施例に係る材料検
査方法の処理手順を示すフローチャートである。本実施
例では、将来健全性を評価するであろう部材と同一組成
の材料を準備し(粒界腐食速度V0は測定しておく)、
この材料の結晶粒界に予め析出物を生成させておく(こ
こでも予め析出物の長径a0と短径b0は測定してお
く)。この材料から複数の試験片(大きさは数mm 四方
の板で厚さが 0.1mm以上)を切りだし、これらの試験片
を原子炉内材料で将来健全性を評価したい部材の近傍に
設置しておく。但し試験片を設置した時点では炉材料の
健全性を評価することはできないので、原子炉の運転開
始時に設置しておくことが最も望ましい。
【0040】設置した試験片は健全性評価時に1個ずつ
取りだして、その時点での粒界亀裂長さ(Ls)と析出物
の形状(a,b)を測定する。測定結果を前記数13及
び数14に代入すれば、将来の亀裂長さを予測すること
ができる。本実施例では、健全性を評価したい部材と同
質の試験片を評価対象部材の近傍に設置したり、プラン
トの運転開始時に設置すること等の制約はあるが、サン
プリング時に評価対象部材を削り取ったり、バージン試
料を準備して析出物を生成させるなどの手間を省くこと
ができるので、極めて簡便な方法といえる。亀裂長さの
予測値を使っての材料余寿命評価、及びそれに基づく補
修等の対応処置については、第1実施例と同様である。
【0041】図7は、本発明の第3実施例に係る材料検
査方法の処理手順を示すフローチャートである。本実施
例では、第1実施例と同様の手順をふむが、第1実施例
では析出物の形状a,bを測定したのに対し、本実施例
では、図6に示す様に、結晶粒界に沿って発生する非析
出物層の幅4(図6で、2が結晶粒界、3が粒内析出
物、5が粒界析出物)を測定する。非析出物層の幅4の
測定結果を、サンプリング試料についてはds、バージ
ン試料についてはd0で表せば、サンプリング試料の粒
界腐食速度Vsは
【0042】
【数16】
【0043】となる。この結果を数14に代入すれば、
将来の亀裂進展量を予測することができ、この結果、原
子炉の健全性を評価することができる。
【0044】図8は、本発明の第4実施例に係る材料検
査方法の処理手順を示すフローチャートである。本実施
例は、第1実施例と同様の手順をふむが、第1実施例で
は析出物の形状を測定したのに対し、本実施例では、析
出物の密度(粒界線密度)を測定する。粒界線密度の測
定結果を、サンプリング試料についてはNs、バージン
試料についてはN0で表せば、サンプリング試料の粒界
腐食速度Vsは
【0045】
【数17】
【0046】となる。この結果を数14に代入すれば、
将来の亀裂進展量を予測することができ、この結果、原
子炉の健全性を評価することができる。
【0047】上記第1実施例〜第4実施例に係る材料検
査方法を、例えば原子力プラント構成機器の材料健全性
の検査項目として採用することで、事故発生率を低減で
き機器またはプラント全体の稼働時間を長期化でき、経
済的効率のすぐれた発電所を実現することができる。
【0048】尚、結晶粒界エネルギを測定して亀裂進展
速度を求める材料健全性評価手法を、橋梁等の材料疲労
と腐食が問題となる建築物を構成する材料の検査に適用
することも可能である。橋梁等の大型建造物はそれを保
護する施設を持たないため、それらを構成する材料は過
酷な環境に置かれている。特に橋梁については河川また
は海洋等の腐食環境に架設され、さらにそこを往来する
乗用車等による繰返し応力の付加により材料疲労も加わ
るため、材料劣化の検査は極めて重要である。
【0049】このような施設においては、結晶粒界の性
質が繰返し応力の付加によって大きく変化し、その結
果、材料の亀裂速度が加速される場合がある。そのため
上記第1実施例〜第4実施例で述べた材料検査方法を適
用し、材料検査時の亀裂進展速度と亀裂進展量を求める
ことによって、材料の健全性を正確に評価することがで
きる。
【0050】図9は、上述した実施例を行う装置構成図
である。本装置は析出物生成装置7と、析出物観察装置
8と、析出物画像処理装置9からなり、図中の矢印6に
沿う順序で処理を進める。最終的には、図示しない画像
処理装置から得られた析出物の長径及び短径より健全性
を評価する。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、従来不可能であった健
全性評価時の原子炉材料の亀裂進展速度を求めることが
できるようになる。例えば原子炉等の材料中に発生する
亀裂の進展挙動を高精度で予測できるので、材料の余寿
命を高精度で予測することができる。この結果、取替え
が必要な機器の選別を確実に実施でき、機器破損に基づ
く事故の防止により信頼性を向上できる。逆に、従来取
替えが必要と考えられていた機器についても、取替え不
要の根拠を明確にでき、それに必要な費用を軽減するこ
とができる。さらに、補修・交換を事前準備の下に計画
的に実施できるので、計画外のプラント停止を排除で
き、この結果、設備利用率が向上し、エネルギ供給体制
をより堅固なものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る検査方法の手順を示
すフローチャートである。
【図2】結晶粒界部に生成する析出物の形状を模式的に
表した図である。
【図3】腐食速度と結晶粒界エネルギの関係を表した図
である。
【図4】予測亀裂長さと予測余寿命の関係を示す図であ
る。
【図5】本発明の第2実施例に係る検査方法の手順を示
すフローチャートである。
【図6】結晶粒界に沿って発生する非析出物層を説明す
る図である。
【図7】本発明の第3実施例に係る検査方法の手順を示
すフローチャートである。
【図8】本発明の第4実施例に係る検査方法の手順を示
すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施例に係る材料健全性評価装置の
構成図である。
【符号の説明】
1…粒界析出物、2…結晶粒界、3…粒内析出物、4…
非析出物層の幅、5…粒界析出物、6…処理の流れ、7
…析出物生成装置、8…析出物観察装置、9…析出物画
像処理装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 布施 元正 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所エネルギー研究所内 (72)発明者 内田 俊介 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所エネルギー研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 経年変化を受けた検査対象の材料から試
    験片をサンプリングし、経年変化を受ける前の前記検査
    対象の材料と同一組成の比較試料片を用意し、同一条件
    下で前記試料片及び前記比較試料片に析出物を析出さ
    せ、前記試料片の析出物の形状と前記比較試料片の析出
    物の形状との比較結果に基づいて前記検査対象の材料に
    おける腐食速度を求めることを特徴とする材料の検査方
    法。
  2. 【請求項2】 経年変化を受けた検査対象の材料から試
    験片をサンプリングし、経年変化を受ける前の前記検査
    対象の材料と同一組成の比較試料片を用意し、同一条件
    下で前記試料片及び前記比較試料片に析出物を析出さ
    せ、前記試料片の析出物の形状と前記比較試料片の析出
    物の形状との比較結果に基づいて前記検査対象の材料に
    おける腐食速度を求め、該腐食速度から将来の亀裂進展
    程度を予測して該材料の余寿命を診断することを特徴と
    する材料の検査方法。
  3. 【請求項3】 経年変化を受けた検査対象の材料から試
    験片をサンプリングし、該試料片に発生している亀裂長
    さLsを測定し、経年変化を受ける前の前記検査対象の材
    料と同一組成の比較試料片を用意し、該比較試料片の結
    晶粒界腐食速度V0を測定し、同一条件下で前記試料片
    及び前記比較試料片に析出物を析出させ、前記試料片の
    析出物の長径aと短径bを測定し、前記比較試料片の析
    出物の長径a0と短径b0を測定し、次の数1に基づいて
    粒界腐食速度Vsを算出し、 【数1】 検査時点からt時間経過後の亀裂長さLtを次の数2によ
    り求め、 【数2】 この亀裂長さLtから前記材料の健全性を評価することを
    特徴とする材料の検査方法。
  4. 【請求項4】 経年変化を受けた検査対象の材料から試
    験片をサンプリングし、該試料片に発生している亀裂長
    さLsを測定し、経年変化を受ける前の前記検査対象の材
    料と同一組成の比較試料片を用意し、該比較試料片の結
    晶粒界腐食速度V0を測定し、同一条件下で前記試料片
    及び前記比較試料片に析出物を析出させ、前記試料片の
    結晶粒界に沿って発生する析出物の無い層の幅dsを測
    定し、前記比較試料片の結晶粒界に沿って発生する析出
    物の無い層の幅d0を測定し、次の数3に基づいて粒界
    腐食速度Vsを算出し、 【数3】 検査時点からt時間経過後の亀裂長さLtを次の数4によ
    り求め、 【数4】 この亀裂長さLtから前記材料の健全性を評価することを
    特徴とする材料の検査方法。
  5. 【請求項5】 経年変化を受けた検査対象の材料から試
    験片をサンプリングし、該試料片に発生している亀裂長
    さLsを測定し、経年変化を受ける前の前記検査対象の材
    料と同一組成の比較試料片を用意し、該比較試料片の結
    晶粒界腐食速度V0を測定し、同一条件下で前記試料片
    及び前記比較試料片に析出物を析出させ、前記試料片の
    析出物の粒界線密度Nsを測定し、前記比較試料片の析
    出物の粒界線密度N0を測定し、次の数5に基づいて粒
    界腐食速度Vsを算出し、 【数5】 検査時点からt時間経過後の亀裂長さLtを次の数6によ
    り求め、 【数6】 この亀裂長さLtから前記材料の健全性を評価することを
    特徴とする材料の検査方法。
  6. 【請求項6】 検査対象物と同一組成の試料片を複数用
    意し、該試料片の結晶粒界腐食速度V0を測定してお
    き、各試料片に同一条件下で析出物を析出させて該析出
    物の長径a0と短径b0とを測定し、該試料片を前記検査
    対象物近傍に設置しておき、所要時間経過後に1つの試
    料片を取り出し、該試料片中に発生した亀裂長さLsと析
    出物の長径a及び短径bを測定し、次の数7により 【数7】 粒界腐食速度Vsを算出し、試料片を取り出した時点よ
    りt時間経過後の亀裂長さLtを次の数8により求め、 【数8】 この亀裂長さLtから前記検査対象物の健全性を評価する
    ことを特徴とする材料の検査方法。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項6のいずれかにおい
    て、イオン注入により析出物を析出させることを特徴と
    する材料の検査方法。
  8. 【請求項8】 経年変化を受けた検査対象の材料から試
    験片をサンプリングする手段と、経年変化を受ける前の
    前記検査対象の材料と同一組成の比較試料片と前記試料
    片に同一条件下で析出物を析出させる手段と、前記試料
    片の析出物の形状と前記比較試料片の析出物の形状との
    比較結果に基づいて前記検査対象の材料における腐食速
    度を求める手段とを備えることを特徴とする材料の検査
    装置。
  9. 【請求項9】 経年変化を受けた検査対象の材料から試
    験片をサンプリングする手段と、経年変化を受ける前の
    前記検査対象の材料と同一組成の比較試料片と前記試料
    片とを同一条件下で析出物を析出させる手段と、前記試
    料片の析出物の形状と前記比較試料片の析出物の形状と
    の比較結果に基づいて前記検査対象の材料における腐食
    速度を求める手段と、該腐食速度から将来の亀裂進展程
    度を予測して該材料の余寿命を診断する手段とを備える
    ことを特徴とする材料の検査装置。
  10. 【請求項10】 経年変化を受けた検査対象の材料から
    サンプリングした試料片と経年変化を受ける前の前記検
    査対象の材料と同一組成の比較試料片に同一条件下で析
    出物を析出させる析出物生成手段と、前記試料片及び前
    記比較試料片の夫々に析出した析出物の画像を取り込む
    析出物観察手段と、前記試料片及び前記比較試料片の夫
    々の析出物の形状データを処理して前記検査対象の健全
    性を評価する画像処理手段とを備えることを特徴とする
    材料の検査装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008525765A (ja) * 2004-12-23 2008-07-17 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 試料と対照との物理的に測定可能な特性の差異の高感度の検出方法
KR101386698B1 (ko) * 2012-09-28 2014-04-18 한국수력원자력 주식회사 부식 산화막 생성 시스템, 및 이를 이용한 모사된 원자로 1차 계통의 부식시험방법
JPWO2021100125A1 (ja) * 2019-11-19 2021-05-27

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