JPH0619928Y2 - 蒸気ドラム - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は発電プラントに用いられる蒸気ドラムに関す
る。

〔従来の技術〕

第２図に示す従来の蒸気ドラムについて説明する。

蒸気ドラム本体１は円筒形で、その中心軸線が水平に配
置されている。蒸気ドラム本体１の側方には気水混合流
体の入口管２が、上部には開口部にドライヤ５が配置さ
れた蒸気出口管３が、下部には水出口管４がそれぞれ１
本以上接続されている。

蒸気ドラム本体１の内部には、入口管２と連通しバッフ
ル10で囲まれた気水入口室８が設けられ、バッフル10の
水平部分に気水分離器９が取りつけてあり、気水分離器
９は気水入口室８と連通している。又、気水分離器９は
蒸気ドラム本体１の長手方向に複数個設置されている。
気水分離器９には下部に円環状の下部排出口11が開口し
ており、また上部には上部排出口12が左右方向にのみ開
口している。なお、６は蒸気ドラム本体１内下部長手方
向に配設された給水管、７は給水管６の下方に延設され
た渦防止板である。

ボイラの蒸発管内を上昇する蒸気と水、すなわち気水混
合流体は、図示省略の集合ヘッダを経て、入口管２から
気水入口室８へ流入し、気水入口室８から気水分離器９
へ入る。

気水分離器９内に入った気水混合流体は、気水分離器９
の内部で旋回が与えられ、遠心力により蒸気と水に分離
されて、おもに水は下部排出口11から、蒸気は上部排出
口12から排出される。

気水分離器９から排出された水は、蒸気ドラム本体１内
で気水分離器９の下部排出口11より上方に水面13を形成
しつつ蒸気ドラム本体１内を流下し、水出口管４へ流出
する。

気水分離器９から排出された蒸気は、ドライヤ５を通っ
て蒸気出口管３へ流出する。

〔考案が解決しようとする問題点〕

従来の蒸気ドラムでは、ボイラの運転条件によっては気
水分離器９で蒸気と水に完全に分離できず、下部排出口
11からは水に混じって蒸気が、また上部排出口12からは
蒸気に混じって水が排出される。

下部排出口11から水に混じって排出された蒸気の一部は
水面13下の水中を上昇して、水面13の上方へ抜けてゆく
が、残りはそのまま水とともに水出口管４へ流出する。

また、上部排出口12から蒸気とともに排出された水は動
力の作用により水面13へ落下する。その際、周囲の蒸気
を水面13下に持ち込む。水面13下に持ち込まれた蒸気
は、前述の下部排出口11から排出された蒸気と同様に一
部は水面13上方へ抜けるが、残りは水とともに水出口管
４へ流出する。

水出口管４へキャリアンダされる蒸気量はゼロであるこ
とが理想であるが、従来の蒸気ドラムでは、十分な性能
は得られていない。

〔問題点を解決するための手段〕

そこで本考案は、水出口管からキャリアンダされる蒸気
の量を低減させるために、円筒形の横置の蒸気ドラム本
体に側部に気液混合流体の入口管を連結し、前記蒸気ド
ラム本体内部に前記入口管の開口部分を覆うバッフルを
取り付けて気水入口室を形成し、前記バッフルの水平部
分に前記気水入口室と連通し、上部に蒸気排出口、下方
に水流出口をもつ気水分離器を取り付け、前記蒸気ドラ
ム本体内に前記気水分離器で分離された水を一時的に貯
える蒸気ドラムにおいて、前記蒸気ドラム本体の中央部
分の前記分離された水の液面近くに多孔板を水平に設置
し、前記気水分離器より中央側の位置で上方に向って中
央側に傾斜した多孔板を前記バッフルに取り付けたこと
を特徴とする蒸気ドラムを提供している。

〔作用〕

気水分離器の蒸気排出口から流出する蒸気に混じった水
は、液面近くに設置された多孔板により受け止められて
勢いが弱められるので、水面下への貫通力は弱くなり、
水が水面に衝突する際に水中に巻き込まれる蒸気量は少
なくなりまた、傾斜した多孔板は、水流出口から流出す
る水に対しては抵抗となり、水は傾斜多孔板の孔を通過
するものと、傾斜多孔板に沿って上方へ流れるものとに
分かれ、流れが分散されるので流れの勢いが弱められ、
その水に含まれている蒸気の水中への貫通力が弱くなる
ので、上方へ抜け易くなる。

〔実施例〕

第１図により本考案の実施例を説明する。

第１図において、第２図に示した符号と同一の部材は同
一の作用効果を奏するので説明を省略する。

以下、第２図と異なる点について説明する。

水平多孔板20をほぼ水位面レベルの蒸気ドラム本体１内
の中央部に設置し、バッフル10の気水分離器９の下部排
出口11近傍の蒸気ドラム本体１の中央側位置に下部排出
口11からの流出水の流路を遮るごとく傾斜多孔板19を設
けた。

気水分離器９の上部排出口12から流出する蒸気に混じっ
た水は、水平多孔板20により受け止められ勢いが弱めら
れるので、水面13下への貫通力は弱くなり、水が水面13
に衝突する際に水中に巻き込まれる蒸気量は少なくな
る。

また、傾斜多孔板19は、下部流出口11から流出する水に
対しては抵抗となり、水は傾斜多孔板19の孔を通過する
ものと、傾斜多孔板19に沿って上方へ流れるものとに分
かれ、流れが分散されるので流れの勢いが弱められ、そ
の水に含まれている蒸気の水中への貫通力が弱くなるの
で、上方へ抜け易くなる。

このため、水中に混入する蒸気量が減少でき、水出口管
４からキャリアンダされる蒸気量が減少できる。

〔考案の効果〕

水面近くの多孔板で蒸気排出口から落下する水による水
中への蒸気巻込みが弱められ、又傾斜した多孔板により
水流出口から流出する水の速度が弱まることで混入した
蒸気を上昇しやすくし、蒸気のキャリアンダ量を減少さ
せることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例の断面図、第２図は従来の蒸気ド
ラムの断面図である。 １……蒸気ドラム本体、２……入口管、３……蒸気出口
管、４……水出口管、５……ドライヤ、６……給水管、
７……渦防止板、８……気水入口室、９……気水分離
器、11……下部排出口、12……上部排出口、13……水
面、19……傾斜多孔板、20……水平多孔板。

フロントページの続き (72)考案者 長谷川 孝司 東京都千代田区丸の内２丁目５番１号 三 菱重工業株式会社内 (72)考案者 中原 武 長崎県長崎市飽の浦町５番７号 菱興ビル 別館５階 長菱エンジニアリング株式会社 内 (56)参考文献 特開 昭54−121301（ＪＰ，Ａ) 実開 昭59−120307（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】円筒形の横置の蒸気ドラム本体に側部に気
   液混合流体の入口管を連結し、前記蒸気ドラム本体内部
   に前記入口管の開口部分を覆うバッフルを取り付けて気
   水入口室を形成し、前記バッフルの水平部分に前記気水
   入口室と連通し、上部に蒸気排出口、下方に水流出口を
   もつ気水分離器を取り付け、前記蒸気ドラム本体内に前
   記気水分離器で分離された水を一時的に貯える蒸気ドラ
   ムにおいて、前記蒸気ドラム本体の中央部分の前記分離
   された水の液面近くに多孔板を水平に設置し、前記気水
   分離器より中央側の位置で上方に向って中央側に傾斜し
   た多孔板を前記バッフルに取り付けたことを特徴とする
   蒸気ドラム。