JPH0619877U - 多段分級機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 粒度分布の広い原料粉体を大量にしかも精度
良く多段に分級することができる多段分級機を提供する
。 【構成】 原料供給口１の下方に設けられて原料粉粒体
２を外側方向へ分散させる、上に凸の円錐形の分散板５
と、該分散板の周囲に設けられて粉粒体の落下方向を斜
め内側に調整するガイド筒７と、落下する粉粒体に対し
て内側から水平に空気を当てかつ前記落下口より上向流
で空気を吹き上げる空気供給部８と、この空気流に抗し
て落下する粗粉１０を回収する粗粉回収部１１と、空気
流によって下流側へ流された中粉１２を回収する中粉回
収部１３と、空気流に乗って落下しなかった粉粒体を上
昇流に変える上昇口６と、前記分散板の上方に配され、
外周には回転する分級羽根１７を有して微粉１９のみを
内部に選択導入する回転式分級機１８と、この回転式分
級機に接続され微粉を回収する微粉回収部２０とを具備
する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、セメントクリンカ、セメント原料などの粉粒体を多段階に精度良く 分級することができる多段分級機に関する。

【０００２】

【従来の技術】

粒度分布範囲の広い原料粉粒体を所要の粒度毎に分級する際、従来一般に、機 械式多段篩（モーゲンセン多段篩）を用いた機械的分級法、あるいは回転式分級 機を用いた空気的分級法が採用されている。

【０００３】 前記機械式多段篩（モーゲンセン多段篩）にあっては、金属製コイルを使用し た篩目を振動させ、該篩目上に原料粉粒体を供給して、該篩目より粒度の小さい もののみを通過させることにより分級を行うようにしている。したがって、原料 粉粒体を多段階に分級する場合には、分級したい粒度に応じたメッシュの篩目を 複数種類備えるようにしている。

【０００４】 また、前記回転式分級機は、回転する分級羽根を外周に備えており、該分級羽 根の外から原料粉粒体を含む混合気流を導入することで、分級羽根を通り抜ける 微粉と、分級羽根を通ることなく落下する中粉とに分級するようにしている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、前記機械式多段篩においては、篩目の摩耗が激しくメンテナンスが 大変である、篩目が目詰まりを起こし易いために大容量の分級に適しない、篩目 の大きさに機械的な制約があるために分級最小粒径に限度がある、などの問題を 有していた。

【０００６】 また、前記回転式分級機においては、粒度を３段階以上に分級するようなこと が困難である、比較的粒度の小さい粉粒体の分級には適しているが、粗粉を含む ような粒度分布の広い粉粒体の分級を行う際には、粒子の流入速度を上げる必要 があり分級精度を低下させてしまう、などの問題があった。

【０００７】 本考案は、前記事情に鑑みてなされたもので、粒度分布の広い原料粉粒体を大 量にしかも精度良く多段に分級することができる多段分級機を提供することを目 的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

かかる目的を達成するために、原料粉粒体を供給する原料供給口の下方に設け られて原料粉粒体を外側方向へ分散させる、上に凸の円錐形の分散板と、該分散 板の周囲に設けられて粉粒体を落下させる落下口と、この落下口に配されて粉粒 体の落下方向を斜め内側に調整するガイド筒と、該ガイド筒に導かれて落下する 粉粒体に対して内側から水平に空気を当てかつ前記落下口より上向流で空気を吹 き上げる空気供給部と、前記ガイド筒の下方でかつ空気流の上流側に設けられて 、空気流に抗して落下する粗粉を回収する粗粉回収部と、この粗粉回収部より空 気流の下流側に設けられて、空気流によって下流側へ流された中粉を回収する中 粉回収部と、前記分散板の上方に配され、外周には回転する分級羽根を有して微 粉のみを内部に選択導入する回転式分級機と、この回転式分級機に接続して設け られて微粉を回収する微粉回収部とを具備する構成を採用している。

【０００９】

【作用】

本考案の多段分級機によれば、原料供給口から供給された原料粉粒体は、円錐 形の分散板上を滑り落ちながら外側方向に略均一に分散される。原料粉粒体が落 下口に達すると、この落下口より上向流で吹き上げられる空気流に乗って上方へ 舞上げられる粉粒体（微粉と比較的重量の小さい中粉とを含む。）と、この空気 流に乗らずに落下する粉粒体（粗粉と比較的重量の大きい中粉とを含む。）とに 分けられる。 落下する粉粒体は斜め内側へ投げ出される角度は同じであるが、水平方向より 供給された空気流の影響により、比較的重量の大きい粒は、そのままほぼ真下に 落下し、粗粉回収部に回収されるが、中粉・微粉は下流側へ流され、中粉のみ中 粉回収部に回収される。一部の中粉と微粉は空気流に舞い上げられ、上方に設置 する回転式分級機の外側に導入されて、分級羽根により微粉のみが分級羽根を通 り抜けて、微粉回収部で回収される。 分級羽根を通らなかった比較的重量の小さい中粉は、落下して前記中粉回収部 で回収される。

【００１０】

【実施例】

以下、図面を参照して、本考案に係る多段分級機について説明する。 図１は、多段分級機の一実施例を示すもので、例えば、セメントクリンカ、セ メント原料等のように、粒度分布が１μｍ〜４０ｍｍの広範囲の原料粉粒体を、 １μｍ〜１００μｍの微粉と、１００μｍ〜１ｍｍの中粉と、１ｍｍ〜４０ｍｍ の粗粉とに分級する際に適用されるものである。分級された微粉は製品として供 されるもので、また中粉はボールミル（二次粉砕機）等により再び粉砕がなされ るもの、粗粉は再度最初から粉砕をやり直すべきものである。

【００１１】 図中符号１は、粗粉、中粉および微粉が混在する原料粉粒体２を供給する原料 供給管（原料供給口）である。原料供給管１は断面円形の管状のもので、その長 手方向を上下に向けて配されている。 原料供給管１の下方には、分級室３が接続して設けられている。分級室３は、 周囲を略円筒状のケーシング４で囲われ、その内部は、前記原料供給管１に接続 される上部分級室３ａと下部分級室３ｂとに分けられている。

【００１２】 上部分級室３ａと下部分級室３ｂとの間には、中央が上に凸の円錐形の分散板 ５が、その中央部を前記原料供給管１の直下に位置して配されており、原料供給 管１から供給された原料粉粒体２がこの分散板５上を滑り落ちながら外側方向へ 略均一に分散される構成である。

【００１３】 分散板５の周囲でかつケーシング４内壁面との間には、上部分級室３ａと下部 分級室３ｂとを連通し粉粒体を下部分級室３ｂから上昇させる円環状の上昇口６ が設けられている。

【００１４】 上昇口６には、分散板５上をすべり落ちてくる粉粒体を受け止めて、この粉粒 体の落下方向を斜め内側に調整するためのガイド筒７が設けられている。ガイド 筒７は、下端が内側へ向けて所定角度曲げられた筒状のもので、この曲げ角度α に応じて粉粒体の落下方向が決定される。

【００１５】 下部分級室３ｂの下部中央には、この下部分級室３ｂ内に空気を供給する空気 供給管（空気供給部）８が接続されている。下部分級室３ｂ内でこの空気供給管 ８の上方に当たる位置には、中央が下方へ凸の円錐形に形成された整流板９が配 されており、前記空気供給管８から下部分級室３ｂ内に送り込まれた空気流（図 １中黒矢印にて示されている。）は、この整流板９によって流路を水平方向に変 えられ、さらに前記上昇口６付近において上向きに変えられるように構成されて いる。

【００１６】 また、下部分級室３ｂの下部で、前記ガイド筒７より空気流の上流側には、該 ガイド筒７に導かれて落下してくる粉粒体のうち空気流に抗して自重落下する粗 粉１０を回収する粗粉回収ホッパ（粗粉回収部）１１が設けられている。さらに 、該粗粉回収ホッパ１１の外側に隣接して、前記粉粒体のうち空気流によって下 流側へ流された後落下する中粉１２を回収する中粉回収ホッパ（中粉回収部）１ ３が設けられている。 粗粉回収ホッパ１１上端と中粉回収ホッパ１３上端との間には、回動可能な調 節ベーン１４が設けられており、この調節ベーン１４の回動角度βを調節するこ とで、２つのホッパ１１、１３に分離回収される粒度を変えることができるよう に構成されている。

【００１７】 上部分級室３ａ内の原料供給管１の周囲には、駆動モータ１５により駆動軸１ ６を介して回転する分級羽根１７を外周に備え、下方が縮径された略円筒形状の 回転式分級機１８が配されている。分級羽根１７は、前記空気流に乗って飛んで くる粉粒体のうち微粉１９のみを通過させて内部へ導入するものである。

【００１８】 回転式分級機１８の上部には、微粉１９を回収する微粉回収管（微粉回収部） ２０が設けられている。微粉回収管２０には、微粉１９を吸引する吸引ファン（ 図示略）と、回収した微粉１９を捕集する捕集器（図示略）が接続されている。

【００１９】 次に、本実施例の多段分級機を用いて、粗粉１０、中粉１２および微粉１９の 混在した原料粉粒体２を分級する方法について説明する。

【００２０】 原料供給管１から原料粉粒体２が供給されると、原料粉粒体２は、円錐形の分 散板５上を滑り落ちながら外側方向に略均一に分散される。

【００２１】 落下する粉粒体は、ガイド筒７に導かれて所定角度αで斜め内側へ投げ出され る。この後、水平空気流の影響を受けて、大重量の粗粉１０はより内側に、比較 的重量の軽い中粉１２ｂはそれより外側にと、それぞれ落下する位置が異なるこ とにより粗粉、中粉に分けられ、それぞれ粗粉回収部１１、中粉回収部１３に回 収される。

【００２２】 また、下部分級室３ｂにて落下せずに前記上昇口６を通って上方へ舞上げられ た粉粒体が回転式分級機１８の外部に達すると、そのうちの微粉１９のみが、回 転する分級羽根１７を通り抜けて回転式分級機１８内に選択導入され、微粉回収 管２０を経て吸引され捕集器により回収される。

【００２３】 分級羽根１７を通らない比較的重量の小さい中粉１２ａは、ケーシング４内壁 面を伝って下部分級室３ｂ内に落下し、中粉回収ホッパ１３で回収される。

【００２４】 このように、本実施例の多段分級機によれば、上部および下部分級室３ａ、３ ｂの内部に整流された空気流が形成されているので、重量の差によってこの空気 流に流されるものとそうでないものとに精度良く分級することができ、さらに回 転式分級機１８により、粒度の差を利用して最終的に欲しい微粉１９を分離回収 することができる。したがって、粒度分布の広い大容量の原料粉粒体２に対して も、粒度に応じた多段階の分級を精度良く実施することが可能である。

【００２５】 しかも、原料供給管１より供給された原料粉粒体２は、分散板５上を滑り落ち ながら、外側方向にほぼ均一に分散されるので、分級効果が増す。

【００２６】 さらに、分散板５の外側に配されたガイド筒７により、落下する各粉粒体の重 量に応じてそれぞれの落下方向が変えられるので、空気流による分級との相乗効 果により、分級精度がより一層高められる。

【００２７】 なお、本考案は前記実施例に限定されるものではなく、例えば、原料供給管１ や回転式分級機１８の設置位置、空気流を整流させる整流板９の形状や、ガイド 筒７の曲げ角度α、調節ベーン１４の回動角度β等は適宜変更可能であることな ど、本考案の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることはもちろ んである。

【００２８】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案に係る多段分級機によれば、粒度分布の広い大容 量の原料粉粒体に対しても、粒度に応じた多段階の分級を精度良く実施すること が可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る多段分級機の一実施例を示す縦断
面図である。

【符号の説明】

１ 原料供給管（原料供給口） ２ 原料粉粒体 ５ 分散板 ６ 上昇口 ７ ガイド筒 ８ 空気供給管（空気供給部） １０ 粗粉 １１ 粗粉回収ホッパ（粗粉回収部） １２ 中粉 １３ 中粉回収ホッパ（中粉回収部） １７ 分級羽根 １８ 回転式分級機 １９ 微粉 ２０ 微粉回収管（微粉回収部）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 八田 暢哉 東京都江東区豊洲三丁目２番16号 石川島 播磨重工業株式会社豊洲総合事務所内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 原料粉粒体を供給する原料供給口の下方
   に設けられて原料粉粒体を外側方向へ分散させる、上に
   凸の円錐形の分散板と、該分散板の周囲に設けられて粉
   粒体の落下方向を斜め内側に調整するガイド筒と、該ガ
   イド筒に導かれて落下する粉粒体に対して内側から水平
   に空気を当てかつ前記落下口より上向流で空気を吹き上
   げる空気供給部と、前記ガイド筒の下方でかつ空気流の
   上流側に設けられて、空気流に抗して落下する粗粉を回
   収する粗粉回収部と、この粗粉回収部より空気流の下流
   側に設けられて、空気流によって下流側へ流された中粉
   を回収する中粉回収部と、空気流に乗って落下しなかっ
   た粉粒体を上昇流に変える上昇口と、前記分散板の上方
   に配され、外周には回転する分級羽根を有して微粉のみ
   を内部に選択導入する回転式分級機と、この回転式分級
   機に接続して設けられて微粉を回収する微粉回収部とを
   具備することを特徴とする多段分級機。