JPH0619834Y2 - ローラーポンプのチューブ装着機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はチューブに送通した血液や薬液を輸液するため
のローラーポンプの改良に係り、殊に輸液チューブの着
脱が容易であり且つ操作が確実なローラーポンプのチュ
ーブ装着機構に関するものである。

［従来の技術］ 従来より血液を含む薬液を液剤に直接触れることなく衛
生的に送液する方法として輸液チューブの外側からロー
ラーにより圧閉し、該圧閉位置を送液方向に移動させて
定量の輸液を行い、また血液を所定圧にして滲透膜に作
用させる等の装置としてローラー式ポンプが利用されて
いる。

この種のポンプは、モータ等の駆動伝達軸を中心として
数個のローラーを外周に配設したロータを回転させ、該
ローラー面と対向する固定壁との間に装着された円筒状
の輸液チューブを圧迫止液し、この位置をロータの旋回
で輸液方向に移動することによって輸液するものであ
る。

［考案が解決しようとする課題］ このため、この種のポンプでは輸液速度または液圧を高
精度に管理しようとすると、輸液チューブの押圧部の内
壁全体が確実に密着するように押し潰さなければならな
い。このため、上記固定壁は駆動軸芯を中心にした同心
円の内壁を構成し、チューブを常時均等に圧閉するよう
に配置されると共に、ローラーによる圧迫力は強い作用
での押し付けを必要としている。このような完全遮断状
態は輸液の粘度や表面張力に抗して行われ、また医療用
輸液チューブの材質は印加圧力利用のため、ポリウレタ
ンやポリ塩化ビニル等が用いられている。

従って、この種のポンプに輸液チューブを装着または除
去するに際しては強大な圧力に抗してローラーの押し付
けからチューブを操作しなければならないため多大な労
力を要していた。

例えば透析に用いる血液回路は、患者動脈針より採血さ
れ不純物質の除去処理後、静脈針より体内に返血するま
で、略３ｍ程の回路チューブが用いられており、その途
中に単数または複数の血液ポンプが設けられる。該ポン
プに対する輸液チューブの装着の手技は従来の構成では
上述した理由から狭小した内壁とローラーの間隙にチュ
ーブを巻込み装着するもので、衛生的に配慮しながらポ
ンプの一端より輸液チューブを押し込み、ガイドローラ
ーに引掛けてロータを手指で回し、該輸液チューブを順
次に押し込んで巻込むと同時に、一端の入口から他端の
出口間に輸液チューブの捩じれが生じないようにローラ
ーが一定の位置に装着できたか否かを配慮する必要から
作業上の負担を感じるものであった。また、このような
ローラー面に圧迫した輸液チューブを治療処置後取り外
す手技においても、装着と逆の行程で該輸液チューブを
引っ張りながらロータを用手で回動させ一端より順次に
取り外すようになり操作が煩雑であり、操作の簡略化が
要望されていた。

又この種のポンプでは、ポンプ回動中の危険を防止する
目的で透明のカバーでポンプ面を覆っており、蝶番を備
えて外方へ開くように構成してある。このため複雑化す
る操作面において、ポンプ面保護カバーの外方開閉によ
って他の機能部分を覆ったり、また長い輸液チューブが
装着時に大変に邪魔になったりする不都合を有するもの
である。

本考案は、上記問題に鑑みてなされたものであり、自動
的にローラーの中央幅の定位置に輸液チューブを装着す
ると共に、治療終了後、容易に該輸液チューブを取り外
すことのできるローラーポンプの輸液チューブ装着機構
を提供することを目的とするものである。

［課題を解決するための手段］ 本考案に係るローラーポンプのチューブ装着機構は、回
転駆動源と軸着するロータ軸と、該ロータ軸の外周に該
軸と同芯円筒状に構成した内壁と、前記ロータ軸に対し
て回動自在に外挿したロータ組板に基端を揺動自在に枢
設すると共にその端部に前記内壁に対向するローラーを
軸設してなる複数のローラーアームと、前記ロータ軸に
軸設しローラーアームの内側に摺接すると共に該ローラ
ーアームをロータ軸とロータ組板との回動変位によって
外径方向に押圧するカムローラーと、前記ロータ軸に対
して軸方向摺動自在に軸設しコイルスプリングにより上
記内壁開口面を閉蓋する方向に弾性付勢し且つ後退開蓋
位置で前記ロータ軸の駆動方向に有角度限定回動を可能
にすると共に該有角度範囲内で前記ロータ組板と回動方
向に当突係合するようにした円盤状のロータカバーと、
該ロータカバーの顎下に略放射方向の回転軸を有し前記
内壁に近接して回動自在に枢設配置した複数のガイドロ
ーラーとから構成してなり、前記ロータカバーと内壁開
口面間に挿入された輸液チューブをロータ軸の駆動回転
によりコイルスプリングの張力で押し付け自動的に内壁
とローラー間に装着することを要旨とするものである。

また上記ローラーの開口面側肩部と円筒状内壁の内側肩
部は、開口面側が開いたテーパ面を構成していることが
好ましい。

更に本考案は、ローラーポンプのチューブ装着機構にお
けるチューブ把持機構を、長孔の一端にその孔幅より大
径の円孔を穿設してなるダルマ形軸孔を一側に構成して
なるチューブ押え盤を内壁に連通するチューブ挿通溝の
一側に設けた上記ダルマ形軸孔の長孔部に内挿する扁平
軸に外挿し、チューブ挿通溝を横断して転動突出可能に
枢設すると共に、ダルマ孔の長孔に扁平軸が嵌入する方
向に該チューブ押え盤を弾性付勢して構成したことを要
旨とするものである。

［作用］ 従って、ロータカバーを手前に引きながら回転方向に回
すとその位置に支えることができると共に、ロータ組板
が回動して内側へ摺動するため、輸液チューブの装着が
容易な間隙を固定内壁の間に形成する。その状態で輸液
チューブをロータ内部の周囲に巻き付け挿入し、該輸液
チューブの両端をそれぞれ入口側溝と出口側溝から送出
してチューブ把持機構に固定する。

ここでロータ軸をモータによって回動駆動すると、始め
の回動でロータカバーが内部コイルスプリングの弾性に
より押し下がり、ガイドローラーが輸液チューブを押し
ながら定位置に移動させる。更に回動するとロータ軸の
カムローラーがローラーアームを押し、ローラーが輸液
チューブを内壁に押圧しながら摺動回転するため送液が
開始される。この状態で回転が継続され、輸液チューブ
の安定した定位置が保持されながら送液が続けられる。
送液を終了してロータ軸の回転を停止すると共に、ロー
タカバーを手前に引きながら回転方向に回すと、ロータ
組板が回動してローラーが内径方向に後退するため、輸
液チューブの押圧力が除去され容易に除去することがで
きる。

［実施例］ 以下、本考案に係るローラーポンプのチューブ装着機構
の一実施例を図面に従って説明する。

本実施例は人工透析装置の血液ポンプであり、器筐１の
底板中心に回動自在に軸設したロータ軸２の外側端に軸
孔２ａを穿設し、該軸孔２ａにモータ３の駆動軸３ａを
内装軸着し、制御された速度で矢印Ａ方向に回転駆動し
てなる。

上記ロータ軸２は筒状壁面を構成する器筐１の内壁４と
同芯状に位置すると共に、該ロータ軸２の基部に二個の
カムローラー５，５を１８０°位置離間配置し、ピン軸
８ａを介して回動自在に枢設してなる。また該ロータ軸
２の基部にはロータ組板６が回動自在に外挿してあり、
該ロータ組板６には上記両カムローラー５，５の外側に
位置するように、それぞれピン軸７を介して基端を揺動
自在にローラーアーム８，８を枢設し、該両ローラーア
ーム８の揺動端にピン軸９を介してローラー１０を回動
自在に軸設すると共に、該ローラーアーム８を基端のピ
ン軸７に外挿したコイルスプリング１１によってローラ
ー１０が前記内壁４から離間する方向（矢印Ｂ）に常時
弾性付勢してなる。

また該各ローラーアーム８の内側部にはそれぞれ規制突
起１２が突設されており、前記カムローラー５がロータ
軸２とロータ組板６の角度変位によりローラーアーム８
をコイルスプリング１１の弾性に抗して外径方向に押し
出しながらローラーアーム８の内側を摺動移動し、内壁
４とローラー１０が所定の間隙になったとき当突する構
造になると共に、これによってロータ組板６がロータ軸
２と一緒に回転する構造になる。

上記内壁４とローラー１０の間隙は輸液チューブａの内
径が確実に潰れるように設計してあり、内壁４とローラ
ー１０の肩部にはそれぞれ輸液チューブａを噛み込むた
めのテーパ面４ａ及び１０ａを構成してなる。

上記ロータ軸２の頂部には前面にハンドル部１４を構成
したロータカバー１３を枢設してなるもので、ロータ軸
２に形成したスラスト溝１６に対して軸孔１５に突設し
た係止突起１５ａを嵌入し回動を阻止して軸方向摺動自
在に外挿してなり、該ロータ軸２の頂部に固着したバネ
押え１７に外挿したコイルスプリング１８によって該ロ
ータカバー１３を常時器筐１方向（矢印Ｃ）に押圧弾性
付勢すると共に、該ロータカバー１３の引き上げ位置
（第６図参照）において上記係止突起１５ａが周方向に
形成した係止溝１６ａと係合する構成になる。

該ロータカバー１３は通常位置では円盤状蓋縁１３ａが
器筐１の内壁４の端部に近接し、ポンプ機構による障害
の危険から保護し、輸液チューブａの装着位置をつくる
カバー部分を構成するもので、前記ロータ組板６に立設
した連動ピン２８と引き上げ位置における矢印Ａ方向の
回動変位によって係合し、該ロータ組板６を同方向に回
動させる構造になると共に、該顎下部に二個のガイドロ
ーラー１９，１９を１８０°位置離間して回動自在に配
設してなる。

本実施例ではロータ組板６から直立した連動ピン２８
は、ロータカバー１３を上方に持ち上げた状態で矢印Ａ
方向に回動することによりロータ組板６を３６０°回転
させ、ローラーアーム８よりカムローラー５を後退させ
る構造になる。

また前記ロータ組板６の外周には前記ローラー１０，１
０と略９０°変位した位置に軸突起２０を突設し、該軸
突起２０，２０にガイドローラー２１，２１をそれぞれ
回動自在に軸設してなる。

また符号２２ａ，２２ｂは前記器筐１の内壁４に連通す
るチューブ挿入用入口側溝と出口側溝であり、両溝２２
ａ，２２ｂの前面には輸液チューブａを係止するチュー
ブ把持機構２３，２３を構成してなる。

該各チューブ把持機構２３，２３は一端にチューブ係合
切欠２４ａを構成したチューブ押え盤２４に穿設したダ
ルマ形軸孔２５をチューブ挿通溝の一側に設けた扁平軸
２６に枢設し、チューブ挿通溝を横断して転動突出可能
になるもので、該ダルマ形軸孔２５は長孔２５ａの一端
にその孔幅より大径の円孔２５ｂを穿設した構造にな
り、一方扁平軸２６は長孔２５ａに嵌入し且つ円孔２５
ｂ位置で回動すると共に、板バネ２７によって扁平軸２
６がダルマ形軸孔２５の長孔２５ａに嵌入する方向に常
時弾性付勢してなり、矢印ＤまたはＥ方向に変位して該
チューブ押え盤２４をチューブ挿通溝２２ａ，２２ｂに
対して転動突出または後退させる。

上記構成のポンプは、ロータカバー１３を手前に引きな
がら３０°回転方向に回すとその位置に支えることがで
きる。その状態で輸液チューブａをロータ内部の周囲に
巻き付け挿入し、該輸液チューブａの両端をそれぞれ入
口側溝２１と出口側溝２２から送出し、チューブ把持機
構２３ａ，２３ｂによって固定する。

更にロータカバー１３をまた３０°回転させると、ロー
タ組板６が回動してローラーアーム８に対するカムロー
ラー５の押圧力が除去されるため、ローラー１０，１０
が内側へ摺動し、輸液チューブａの装着が容易な間隙を
固定内壁４の間に形成するようになり装置の準備を完了
する。

ロータ軸２をモータ３によって回転駆動すると、始めの
３０°の回動でロータカバー１３がロータ軸２と回動変
位して係止突起１５ａが係止溝１６ａから外れると共
に、コイルスプリング１８より押し下げられ、該ロータ
カバー１３に枢設したガイドローラー１９が輸液チュー
ブａを内壁４とローラー１０間に押し込み移動させる。

モータ３の駆動によって更にロータ軸２が３０°回動す
ると、該ロータ軸２に枢設したカムローラー５がローラ
ーアーム８を外径方向に押し、ローラー１０が内壁４と
の間で輸液チューブａを圧閉するようになるため送液が
開始される。この状態で回転を継続すると、輸液チュー
ブａが定位置に安定保持されると共に送液が続けられ
る。

またモータ３を停止してポンプから輸液チューブａを取
り外す場合は、装着時と同時にロータカバー１３を手前
に引きながら３０°回転方向（矢印Ａ）に回して引き上
げ位置に与えると共に、更にロータカバー１３を３０°
回転させると、連動ピン２８を介してロータ組板６を回
動するようになり、ローラーアーム８に対するカムロー
ラー５の押圧力除去によってローラー１０，１０を内径
方向に後退させる。これによって輸液チューブａに対す
る圧迫力は解消され、装置から容易に除去することがで
きる。

［考案の効果］ 以上述べたように本考案に係るローラーポンプのチュー
ブ装着機構は、上記構成したことによって自動的にロー
ラーの定位置に輸液チューブを装着すると共に、使用
後、容易に該輸液チューブを取り外すことができる特徴
を有するものであり、輸液回路の正確な装着と機能的安
全性又多数の装置による治療の場合の省力化が図れるの
であって、本考案実施後の実用的効果は極めて大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るローラーポンプのチューブ装着機
構を示す人工透析装置の血液ポンプの一実施例を示す正
面図、第２図は同一部切欠した底面図、第３図は輸液状
態を示す要部縦断面図、第４図は第３図におけるIV−IV
線断面図、第５図は第３図におけるＶ−Ｖ線断面図、第
６図は輸液チューブ着脱位置を示す要部縦断面図、第７
図は第６図におけるVII−VII線断面図、第８図はローラ
ーアーム取付部の構造を示す要部断面図である。 １…器筐、２…ロータ軸、３…モータ、４…内壁、５…
カムローラー、６…ロータ組板、８…ローラーアーム、
１０…ローラー、１１，１８…コイルスプリング、１２
…規制突起、１３…ロータカバー、１６…スラスト溝、
１９，２１…ガイドローラー、２２ａ，２２ｂ…チュー
ブ挿入用溝、２３…チューブ把持機構、２８…連動ピ
ン。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】回転駆動源と軸着したロータ軸と、 該ロータ軸の外周に該軸と同芯円筒状に構成した内壁
   と、 前記ロータ軸に対して回動自在に外挿したロータ組板に
   対してそれぞれ基端を揺動自在に枢設すると共にその端
   部に前記内壁に対向するローラーを軸設してなる複数の
   ローラーアームと、 前記ロータ軸に軸設し前記各ローラーアームの内側に摺
   接すると共に該ローラーアームをロータ軸とロータ組板
   との相対的回動変位によって外径方向に押圧するカムロ
   ーラと、 前記ロータ軸に対して軸方向摺動自在に軸設しコイルス
   プリングにより前記内壁の開口面を閉蓋する前進方向に
   弾性付勢し且つ後退開蓋位置で前記ロータ軸の駆動方向
   に有角度限定回動を可能にすると共に該有角度範囲内で
   前記ロータ組板と回動方向に当突係合するようにした円
   盤状のロータカバーと、 該ロータカバーの顎下に位置して該ロータカバーに軸設
   した略放射方向の回転軸を有し前記内壁に近接して回動
   自在に枢設配置した複数のガイドローラとから構成して
   なり、 前記ロータカバー外周と内壁との開口面間に挿入された
   輸液チューブをロータ軸の駆動回転により前記コイルス
   プリングの弾性によって押し付け自動的に内壁とローラ
   ー間に装着することを特徴とするローラーポンプのチュ
   ーブ装着機構。
2. 【請求項２】前記ローラーの開口面側肩部と円筒状内壁
   の内側肩部のうち少なくとも一方の肩部が、開口面側が
   開いたテーパー面を構成してなる請求項１記載のローラ
   ポンプのチューブ装着機構。
3. 【請求項３】長孔の一端にその孔幅より大径の円孔を穿
   設してなるダルマ形軸孔を一側に構成してなるチューブ
   押え盤を、前記内壁の内側と連通するチューブ挿通溝の
   一側に設けた偏平軸に対して上記ダルマ形軸孔の長孔部
   に外挿枢設し、チューブ挿通溝を横断して転動突出可能
   に該チューブ押え盤を枢設してなり、前記ダルマ形軸孔
   の長孔部に偏平軸が嵌入する方向に該チューブ押え盤を
   弾性付勢してなるチューブ把持機構を設けたことを特徴
   とする請求項１または２記載のローラーポンプのチュー
   ブ装着機構。