JPH06195658A - 磁気ヘッド用ベース板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の黄銅製のベース板にかえ、加工性に優
れ軽量でもあるプラスチックを用いながらも、黄銅でベ
ース板を製造した場合と同程度の機能を有する磁気ヘッ
ド用ベース板の提供。 【構成】 プラスチックで形成されヘッドチップ１６が
固定されるチップ側ベース板部１２と、プラスチックで
形成されシリンダに取り付けられるシリンダ側ベース板
部１３と、塑性変形し得る材質で形成されチップ側ベー
ス板部１２とシリンダ側ベース板部１３を連結する連結
部１４を具備して構成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ＶＴＲ（ビデオテープ
レコーダ）等の磁気記録再生装置に使用される磁気ヘッ
ド用のベース板に関する。

【０００２】

【従来の技術】ＶＴＲに用いられている従来の磁気ヘッ
ドは、図７に示す如く、磁性体からなるヘッドチップ１
を黄銅で形成されたベース板２の先端部２ａに貼付け、
ヘッドチップ１に巻線を行うことにより構成されてい
る。そして、図８及び図９に示す如く、ベース板２はシ
リンダ３にビス５にて取り付けられ、さらに図１０に示
す如く、シリンダ３側に設けられたビス７を回動してベ
ース板２の先端部２ａを押圧しヘッドチップ１の高さ調
整を行っていた。

【０００３】尚、ヘッドチップ１の巻線（図示せず）の
終端は、ベース板２のシリンダ取付面２ｂとは反対側の
面に設けられた端子板８に半田付けされる。また、ヘッ
ドチップ１は、ベース板２及びビス７を介してアース接
続されており、ヘッドチップ１が帯電することはない。

【０００４】この従来のベース板２では、黄銅板をプレ
ス加工し、ヘッドチップ１及びシリンダ３が取り付けら
れる面２ｂをラップ工程で高精度に仕上げる必要がある
ので、製造工数が非常に多くなっていた。また、シリン
ダの多ヘッド化、あるいはＶＴＲ自体の小形化のため、
ベース板２の軽量化が要求されるようになり、黄銅製の
ベース板２では、重量が大きすぎるという問題があっ
た。

【０００５】一方、ベース板の材料として、セラミック
やプラスチックが検討されたが、セラミック材料は加工
性が悪いという欠点があった。

【０００６】これに対し、プラスチックは軽量であり、
かつ射出成形を行える点で加工性にも優れているが、ヘ
ッドチップ１の高さ調整のためにビス７で先端部２ａ側
を押圧した場合に、先端部２ａが曲がるだけでなく、シ
リンダ３に取り付けられたベース板２の部分にまで歪み
が生じるという問題があった。また、ベース板２を介し
てヘッドチップ１をアースに接続できなくなるという問
題もあった。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上述の如く、従来のベ
ース板は黄銅製であったので、加工性が悪く、しかも重
量が大きくなるという欠点があったが、加工性が良く軽
量でもあるという利点を有するプラスチックを用いよう
としても、黄銅製のベース板と同じ機能をもたせること
が困難であった。

【０００８】本発明はこのような従来の欠点を解決する
べくなされたものであり、加工性が良く軽量であるとい
う利点を有するプラスチックを材料として用い、しか
も、ベース板を黄銅で製造した場合と同程度の機能を有
する磁気ヘッド用ベース板を提供することを目的とす
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の磁気ヘッド用ベ
ース板は、プラスチックで形成されヘッドチップが固定
されるチップ側ベース板部と、プラスチックで形成され
シリンダに取り付けられるシリンダ側ベース板部と、塑
性変形し得る材質で形成され前記チップ側ベース板部と
シリンダ側ベース板部を連結する連結部とを具備した構
成となっている。

【００１０】

【作用】本発明では、ベース板がシリンダに取り付けら
れた状態でヘッドチップの高さ調整を行うべくチップ側
ベース板部を押圧すると、連結部が塑成変形するので、
シリンダ側ベース板部に影響を及ぼさない。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の実施例を図１乃至図６を参照
して詳述する。

【００１２】図１乃至図４は第１の実施例を示す図であ
り、図１は本発明に係るベース板が用いられた磁気ヘッ
ドの斜視図、図２は上記磁気ヘッドが取り付けられたシ
リンダの斜視図、図３は図２の部分拡大図、図４は図３
のＡ−Ａ線断面図である。

【００１３】本発明に係るベース板１１は、図１に示す
如く、チップ側ベース板部１２、シリンダ側ベース板部
１３及び連結部１４にて構成されている。

【００１４】チップ側ベース板部１２は導電性を有する
プラスチックの射出成形により形成されており、このベ
ース板部１２には磁性体からなるヘッドチップ１６が固
着される。シリンダ側ベース板部１３は、プラスチック
の射出成形により形成されており、略中央部位にはシリ
ンダ取付用のビス１８の挿入穴１３ａが形成されてい
る。また、このベース板部１３には、図２乃至図３に示
す如く、シリンダ２０に取り付けられる面１３ｂとは反
対側の面に、端子板２１が接着されている。連結部１４
は、一端側がベース板部１２に一体成形により連結さ
れ、他端側がベース板部１３に一体成形により連結され
ている。この連結部１４としては、ベース板部１３がシ
リンダ２０に固定された状態でベース板部１２を押圧し
た場合に、ベース板部１２，１３を変形させないで塑性
変形し得る材料、例えば金属や塑性変形し易いプラスチ
ックが用いられる。

【００１５】上記の如き構成とされたベース板１１に
は、チップ側ベース板部１２にヘッドチップ１６が貼付
けられ、ヘッドチップ１６に巻線（図示せず）が施さ
れ、また、巻線の終端が端子板２１に半田付けされて磁
気ヘッドが完成する。そして、この磁気ヘッドは図２及
び図３に示す如く、シリンダ側ベース板部１３がビス１
８にてシリンダ２０に取り付けられ、さらに、図４に示
す如く、シリンダ２０側に設けられた調整用のビス２２
を回動してチップ側ベース板部１２を押圧し、ヘッドチ
ップ１６の高さ調整を行う。

【００１６】この場合に、両ベース板部１２，１３の間
には連結部１４が設けられており、ビス２２でチップ側
ベース板部１２を押圧すると連結部１４が塑性変形する
ので、ヘッドチップ１６を所望の高さに容易に位置付け
ることができ、しかも、シリンダ２０に密着させられて
いるシリンダ側ベース板部１３が変形することもない。
また、チップ側ベース板部１２は導電性を有するプラス
チックにて形成されているので、ヘッドチップ１６は、
チップ側ベース板部１２及びビス２２を介してアース接
続することができ、従って、ヘッドチップ１６が帯電す
ることもない。

【００１７】このように本例のベース板１１は、従来の
ベース板と同等の機能を有しながらも、主要部であるベ
ース板部１２，１３をプラスチックの射出成形により形
成することができる。従って黄銅板をプレス加工し、基
準となる面をラップ工程で高精度に仕上げるという従来
のベース板に比べ格段と少い工数で製造が可能である。
また、プラスチックの射出成形の場合は、黄銅の加工で
は困難な複雑な形状とすることができるという利点もあ
る。

【００１８】図５は本発明の第２の実施例を説明する図
である。本例のベース板１１Ａは、ダブルアジマスヘッ
ド用としてのものである。そのため、チップ側ベース板
部１２Ａと連結部１４Ａとは、夫々一対設けられてお
り、各々のチップ側ベース板部１２Ａにヘッドチップ１
６Ａが設けられている。その他の構成は第１の実施例と
同様である。

【００１９】図６は本発明の第３の実施例を説明する図
である。本例のベース板１１Ｂでは、シリンダ側ベース
板部１３Ｂが高耐熱の絶縁性プラスチックで形成されて
いる。そして、第１の実施例で示した端子板２１を設け
るかわりに、この端子板２１に相当する端子パターン２
１Ｂを、印刷、メッキ、塗布等の手段により、直接ベー
ス板部１３Ｂに形成する構成がとられている。このよう
にするならば、ベース板に対する端子板の接着工程を省
略できる。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように本発明では、ベース
板の主要部であるチップ側ベース板部及びシリンダ側ベ
ース板部を加工性に優れ、軽量でもあるという利点を有
するプラスチックを用いながらも、両ベース板部を塑性
変形し得る材質の連結部で連結したのでチップ側ベース
板部を調整用のビスで押圧し連結部を塑性変形させるこ
とにより黄銅製のベース板と同様にヘッドチップの高さ
調整を行える。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例に係るベース板が用いら
れた磁気ヘッドの斜視図。

【図２】上記磁気ヘッドが取り付けられたシリンダの斜
視図。

【図３】図２の部分拡大図。

【図４】図３のＡ−Ａ線断面図。

【図５】本発明の第２の実施例に係るベース板が用いら
れた磁気ヘッドの斜視図。

【図６】本発明の第３の実施例に係るベース板が用いら
れた磁気ヘッドの斜視図。

【図７】従来のベース板が用いられた磁気ヘッドの斜視
図。

【図８】上記磁気ヘッドが取り付けられたシリンダの斜
視図。

【図９】図８の部分拡大図。

【図１０】図９のＢ−Ｂ線断面図。

【符号の説明】

１１ ベース板 １２ チップ側ベース板
部 １３ シリンダ側ベース板部 １４ 連結部 １６ ヘッドチップ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ヘッドチップが固定されるプラスチック
   で形成されたチップ側ベース板部と、シリンダに取り付
   けられるプラスチックで形成されたシリンダ側ベース板
   部と、塑性変形し得る材質で形成され前記チップ側ベー
   ス板部とシリンダ側ベース板部とを連結する連結部とを
   具備したことを特徴とする磁気ヘッド用ベース板。
2. 【請求項２】 チップ側ベース板部は導電性を有するプ
   ラスチックで形成されていることを特徴とする請求項１
   記載の磁気ヘッド用ベース板。
3. 【請求項３】 シリンダ側ベース板部は絶縁性を有する
   プラスチックで形成され、ヘッドチップの巻線の終端を
   接続処理するためのパターンがシリンダへの取り付け面
   とは反対側の面に設けられたことを特徴とする請求項１
   又は２記載の磁気ヘッド用ベース板。