JPH06193846A - ゴミ焼却装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 燃焼式過熱器の排ガスの熱エネルギーを有効
に活用して、焼却炉のゴミ質の劣化時に蒸気発生量の低
下を回避するための即効性のある対策を有するゴミ焼却
装置を提供することを目的とする。 【構成】 ストーカ式の焼却炉１で発生する排ガスから
廃熱回収して蒸気を発生する廃熱ボイラ６と、その発生
蒸気によりタービン１４を駆動して発電する発電装置３
と、前記廃熱ボイラ６から前記発電装置３への蒸気供給
路１６に路内蒸気を過熱する燃焼式過熱器１７を備えた
ゴミ焼却装置であって、前記燃焼式過熱器１７からの排
ガスを熱源とする熱交換器３１を設けて、その熱交換器
３１により過熱された空気を、一次燃焼用空気として前
記乾燥帯Ｓ１又は前記燃焼帯Ｓ２に供給する燃焼用空気
供給路３２を設けるとともに、前記乾燥帯Ｓ１又は前記
燃焼帯Ｓ２に供給される前記加熱空気の供給量を、前記
焼却炉１での燃焼状態に応じて調節する調節手段Ｃを設
けて構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】近年、ゴミ焼却炉での発生熱エネ
ルギーを有効利用するために、焼却炉で発生した排ガス
に含まれる熱を廃熱ボイラを用いて熱交換し蒸気発電す
る発電機を備えた都市ゴミ焼却装置が注目されている。
本発明は、ストーカ式の搬送手段によりゴミを搬送しな
がら乾燥する乾燥帯と、乾燥されたゴミを搬送しながら
燃焼する燃焼帯とを備えた焼却炉と、前記焼却炉で発生
する排ガスから廃熱回収して蒸気を発生する廃熱ボイラ
と、その発生蒸気によりタービンを駆動して発電する発
電装置と、前記廃熱ボイラから前記発電装置への蒸気供
給路に路内蒸気を過熱する燃焼式過熱器を備えたゴミ焼
却装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】前記燃焼式過熱器は、廃熱ボイラでの発
生蒸気を過熱して発電効率を向上するためのものである
が、上述したゴミ焼却装置では、被焼却物たるゴミが家
庭からの生ゴミ等を含むためにその質の変動が激しく、
燃焼室での燃焼状態が変動して発生蒸気量が変動するの
が常であり、廃熱ボイラでの発生蒸気量の減少時には、
前記燃焼式過熱器において水噴霧により不足蒸気量を補
うとともに、発生蒸気量の増加時にはタービンへの入力
蒸気を制限することで発電量の安定化を図り、併せて燃
焼式過熱器から排出される残存酸素濃度の高い高温の排
ガスを前記焼却炉への二次燃焼用ガスとして供給するこ
とにより完全燃焼を促進することが考えられていた。ま
た、水分を多く含みゴミ質が悪いときには、点火時に用
いる補助バーナを用いて前記燃焼帯での燃焼を促進した
り、廃熱ボイラで発生した蒸気と熱交換した高温外気を
一次燃焼用空気として供給していた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した補助
バーナを用いる場合には、そのための燃料がさらに必要
となり経済性に欠けることとなり、廃熱ボイラを通過し
た排ガスと熱交換する場合には、排ガス温度がそれだけ
低下するので蒸気タービンから出力され、冷却された水
に対する給水予熱が困難になるという欠点があった。本
発明の目的は、上述した従来欠点を解消し、燃焼式過熱
器の排ガスの熱エネルギーを有効に活用して、焼却炉の
ゴミ質の劣化時に蒸気発生量の低下を回避するための即
効性のある対策を有するゴミ焼却装置を提供することに
ある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明によるゴミ焼却装置の特徴構成は、前記燃焼式過
熱器からの排ガスを熱源とする熱交換器を設けて、その
熱交換器により過熱された空気を、一次燃焼用空気とし
て前記乾燥帯又は前記燃焼帯に供給する燃焼用空気供給
路を設けるとともに、前記乾燥帯又は前記燃焼帯に供給
される前記加熱空気の供給量を、前記焼却炉での燃焼状
態に応じて調節する調節手段を設けてある点にある。

【０００５】

【作用】燃焼式過熱器の排ガスの熱エネルギーを利用す
る熱交換器を用いて、加熱された空気を燃焼用空気供給
路を介して、前記焼却炉の一次燃焼用空気として供給す
ることで焼却炉内での燃焼温度の低下を防止する。この
とき、ゴミ質が極端に劣化して蒸気発生量が大幅に低減
する場合には、調節手段を作動させて加熱された空気を
前記燃焼帯に供給することで、炉内の燃焼状態の急激な
悪化を防ぎ、そうでない場合には、調節手段を作動させ
て加熱空気を前記乾燥帯に供給することで、燃焼帯での
異常な高温燃焼を回避し安定した燃焼状態を得るように
乾燥帯でのゴミの乾燥を促進するのである。

【０００６】

【発明の効果】本発明によれば、燃焼式過熱器の排ガス
の熱エネルギーを有効に活用して、焼却炉のゴミ質の劣
化時に蒸気発生量の低下を回避するための即効性のある
対策を有するゴミ焼却装置を提供することができるよう
になった。

【０００７】

【実施例】以下に実施例を説明する。ゴミ焼却装置は、
図１に示すように、都市ゴミを焼却処理するストーカ式
の焼却炉１と、焼却炉１から発生する排ガスを浄化処理
する排ガス処理装置２と、排ガスの熱を利用して発電す
る発電装置３等で構成してある。

【０００８】前記焼却炉１は、被焼却物を受け入れるホ
ッパ４と、ホッパ４内の被焼却物である都市ゴミを下端
部から炉内に投入するプッシャＰｕと、プッシャＰｕに
より投入された被焼却物を攪拌搬送しながら、乾燥させ
る乾燥帯Ｓ１、燃焼させる燃焼帯Ｓ２、灰化処理する後
燃焼帯Ｓ３とからなるストーカＳを設けるとともに、未
燃焼ガスの燃焼を完結させるために、ストーカＳの上部
空間に二次燃焼空間７を形成して、該空間７に二次燃焼
用空気を供給する二次燃焼空気供給部９を該空間７に臨
ませて設けるとともに、該空間７の下流側の空間８に、
燃焼排ガスの熱エネルギーを回収する廃熱ボイラ６を設
けて構成してある。

【０００９】前記排ガス処理装置２は、前記空間８の下
流に設けた排ガス路１０から煙突１１に至る流路途中に
設けたバグフィルタ１２、洗煙装置１３等で構成してあ
る。

【００１０】前記発電装置３は、蒸気タービン１４とそ
の出力軸に連結された発電機１５とから構成してあり、
前記廃熱ボイラ６から発生する約１００ｋｇｆ／ｃ
ｍ²、３１０℃の高圧の蒸気を主蒸気路である蒸気供給
路１６を介して燃焼式過熱器１７に導き、その燃焼式過
熱器１７で約５００℃に過熱した後に前記蒸気タービン
１４に供給する。前記蒸気タービン１４に供給され全エ
ネルギーを発電に供した蒸気は排気路１４ｃを通して冷
却器１８で冷却された後に回収され、前記廃熱ボイラ６
に循環させる復水路２５を通して還流される。また、前
記蒸気タービン１４に供給された蒸気の一部はエネルギ
ーの一部を発電に供した後に抽気路１４ａ，１４ｂから
取り出されて、前記復水路２５に設けた給水予熱器１９
に導かれる。

【００１１】前記蒸気供給路１６に分岐路２０を設け
て、その分岐路２０に、前記廃熱ボイラ６での発生蒸気
の一部を４０ｋｇｆ／ｃｍ²に減圧する減圧バルブでな
る減圧機構２０ａと、減圧蒸気を蓄積するアキュムレー
タＡを設けてあり、前記アキュムレータＡからの蒸気を
通気する通気路２１と前記タービン１４の抽気路１４ａ
とを接続してある。

【００１２】前記廃熱ボイラ６では、数秒の周期で数パ
ーセントの蒸気量変動が頻繁に発生するばかりでなく、
前記焼却炉１での焼却状態が良好（燃えやすいゴミが安
定して供給されている）である場合には前記廃熱ボイラ
６で発生する蒸気量は全体的に増し、焼却状態が悪化
（水分の多い燃えにくいゴミが供給されている）する場
合には前記廃熱ボイラ６で発生する蒸気量は全体的に減
少するといった数十分の周期による数十パーセントの蒸
気量変動が生じる。そこで、数十分の周期による数十パ
ーセントの蒸気量変動に対応して、余剰蒸気が発生した
場合には、前記蒸気供給路１６に設けた流量調整バルブ
２２を調節して余剰蒸気を前記アキュムレータＡに蓄積
する一方、前記廃熱ボイラ６で発生蒸気が不足した場合
には、前記アキュムレータＡへの蒸気の蓄積を中止し
て、前記タービン１４の抽気路１４ａに設けた抽気量調
整バルブ２３を絞って前記タービン１４への供給熱量を
有効に発電に利用するとともに、前記通気路２１に設け
た通気量調整バルブ２４を開放して、前記アキュムレー
タＡに蓄積された蒸気（２４ｋｇｆ／ｃｍ²）を前記抽
気路１４ａに供給する。

【００１３】前記燃焼式過熱器１７は、ガスバーナ１７
ａから供給される燃料ガスの燃焼熱により蒸気流路１７
ｄを通過する前記廃熱ボイラ６からの蒸気を過熱するも
ので、蒸気流量を調整する水噴霧機構１７ｆを設ける一
方、熱交換部の側壁を保護するために冷却用ガスとして
自らの排ガスの一部を流量調節ダンパ１７ｅを設けた冷
却用循環路１７ｃを介して循環供給し、残りの排ガスを
燃焼用空気供給路３０を介して前記焼却炉１の二次燃焼
用空気として供給する。前記燃焼用空気供給路３０を分
岐して排ガスの一部を熱交換器３１に導き、常温の空気
を約２５０℃に加熱して前記燃焼式過熱器１７への燃焼
用空気として供給することで前記燃焼式過熱器１７での
燃焼効率を高めるとともに、その熱交換器３１による加
熱空気の一部を前記焼却炉１の一次燃焼用空気として供
給する燃焼用空気供給路３２を設けてある。

【００１４】前記燃焼用空気供給路３２には、流量調整
用のダンパ３３を設けてあり、前記燃焼式過熱器１７へ
の蒸気の入口部に設けた蒸気量センサ１７ｂの値に基づ
いてそのダンパ３３の開度を調節することにより、前記
燃焼帯Ｓ２での燃焼状態の悪化を迅速に回避し燃焼状態
が安定するように制御する制御手段３４を設けてある。
つまり、蒸気量センサ１７ｂにより発生蒸気量の減少が
検出されると、ゴミ質低下、或いは、ゴミ量の減少によ
る燃焼状態の悪化と判断し、流量調整用のダンパ３３の
開度を大に調節するとともに、搬送制御手段（図示せ
ず）によりゴミ供給量を増すとともに、前記燃焼式過熱
器１７において前記ガスバーナ１７ａへ供給燃料を増加
し、さらに水噴霧により変動蒸気量を補正して安定さ
せ、蒸気量センサ１７ｂにより発生蒸気量の増大が検出
されると、燃焼状態が良好であると判断し、流量調整用
のダンパ３３の開度を維持、或いは小に調節するととも
に、前記ガスバーナ１７ａへの高温の燃焼用空気の供給
による供給燃料の減少を通じて低燃費燃焼を目指す。

【００１５】さらに、前記燃焼用空気供給路３２には、
前記乾燥帯Ｓ１、或いは前記燃焼帯Ｓ２への一次燃焼用
空気の供給量を調節するダンパ３５を設けてあり、前記
制御手段３４は、前記蒸気量センサ１７ｂの値に基づい
て、蒸気流量が設定量より少なくなったと判断すると、
前記ダンパ３３と同期してそのダンパ３５を作動させて
前記燃焼帯Ｓ２に主に供給して、前記燃焼帯Ｓ２での燃
焼状態の悪化を迅速に回避し、それ以外の場合には前記
乾燥帯Ｓ１に主に供給して、ゴミ質の安定化により燃焼
状態が安定するように制御する。つまり、前記制御手段
３４と、前記ダンパ３５と、前記蒸気量センサ１７ｂと
で、調節手段を構成してある。

【００１６】尚、前記熱交換器３１による加熱空気の一
部を焼却炉１の一次燃焼用空気として用いる場合を説明
しているが、この場合、上述の一次燃焼用空気以外に、
常温の一次燃焼用空気を前記乾燥帯Ｓ１、燃焼帯Ｓ２、
後燃焼帯Ｓ３にそれぞれ供給する供給路３５を設けてあ
る。

【００１７】以下に別実施例を説明する。前記ダンパ３
５を作動させて前記乾燥帯Ｓ１か前記燃焼帯Ｓ２のいず
れか一方のみに切り替えるものであっても、前記乾燥帯
Ｓ１と前記燃焼帯Ｓ２に供給される加熱空気の供給量
を、前記蒸気量センサ１７ｂの値に基づいて調節するも
のであってもよい。また、前記焼却炉１の燃焼状態の検
出を廃熱ボイラ６での発生蒸気量を検出する流量検出セ
ンサを設けて、その値に基づいて判断するものを説明し
たが、これに限定するものではなく、他に炉内温度を検
出する温度センサを設けて、その値に基づいて判断する
ように構成してもよい。

【００１８】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にする為に符号を記すが、該記入により本発明は添
付図面の構成に限定するものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】ゴミ焼却装置の概略構成図

【符号の説明】

１ 焼却炉 ３ 発電装置 ６ 廃熱ボイラ １４ タービン １６ 蒸気供給路 １７ 燃焼式過熱器 ３１ 熱交換器 ３２ 燃焼用空気供給路 Ｃ 調節手段 Ｓ１ 乾燥帯 Ｓ２ 燃焼帯

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ストーカ式の搬送手段によりゴミを搬送
   しながら乾燥する乾燥帯（Ｓ１）と、乾燥されたゴミを
   搬送しながら燃焼する燃焼帯（Ｓ２）とを備えた焼却炉
   （１）と、前記焼却炉（１）で発生する排ガスから廃熱
   回収して蒸気を発生する廃熱ボイラ（６）と、その発生
   蒸気によりタービン（１４）を駆動して発電する発電装
   置（３）と、前記廃熱ボイラ（６）から前記発電装置
   （３）への蒸気供給路（１６）に路内蒸気を過熱する燃
   焼式過熱器（１７）を備えたゴミ焼却装置であって、 前記燃焼式過熱器（１７）からの排ガスを熱源とする熱
   交換器（３１）を設けて、その熱交換器（３１）により
   過熱された空気を、一次燃焼用空気として前記乾燥帯
   （Ｓ１）又は前記燃焼帯（Ｓ２）に供給する燃焼用空気
   供給路（３２）を設けるとともに、前記乾燥帯（Ｓ１）
   又は前記燃焼帯（Ｓ２）に供給される前記加熱空気の供
   給量を、前記焼却炉（１）での燃焼状態に応じて調節す
   る調節手段（Ｃ）を設けてあるゴミ焼却装置。