JPH06193781A - 被膜密着性に優れた電食防止用絶縁管材 - Google Patents

被膜密着性に優れた電食防止用絶縁管材

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JPH06193781A
JPH06193781A JP4347194A JP34719492A JPH06193781A JP H06193781 A JPH06193781 A JP H06193781A JP 4347194 A JP4347194 A JP 4347194A JP 34719492 A JP34719492 A JP 34719492A JP H06193781 A JPH06193781 A JP H06193781A
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JP
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corrosion
metal
coating
layer
metal layer
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JP4347194A
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English (en)
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Toshiro Anraku
敏朗 安楽
Masakatsu Ueda
昌克 植田
Nobuhiko Hiraide
信彦 平出
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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  • Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)
  • Non-Disconnectible Joints And Screw-Threaded Joints (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】油井等において異種金属管材を継ぐ場合に生じ
る電食および隙間腐食を防止するとともに、絶縁防止被
膜の密着性を高める。 【構成】低耐食性管材1と高耐食性管材2は、直接また
はカップリング3をもって螺合連結されている。低耐食
性管材1および高耐食性管材2の管材の内外面の管端か
ら60mm以上の範囲L、およびカップリング3の内外
面の両管端から60mm以上の範囲L、さらに連結した
時の隙間部分A,Bに、厚さ0.4μm以上でかつ比抵
抗が108 Ωcm以上の絶縁性セラミックス被膜を被覆
率90%以上100%未満で形成し、さらに、この下層
に前記絶縁性セラミックス被膜の構成金属原子の金属層
を形成し、この金属層の金属イオンが管材母材中に拡散
していると共に、絶縁性セラミックス被の非金属イオン
が金属層中に拡散している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般の管、特に油井管
の配管にあたり、異種金属の管材を継ぐ場合に生ずる電
食および隙間腐食を防止すると共に、被覆される絶縁性
セラミックス被膜の管材母材に対する密着性を高めた電
食防止用絶縁管材に関する。
【0002】
【従来の技術】油井における金属管には様々なものがあ
る。原油や天然ガスを地下の産出層から地上に運搬する
ためのチュービング、掘られた井戸の保護のために前記
チュービングの周囲に設けられるケーシング、油層の圧
力上昇を図るために配管されるスチームインジェクショ
ンパイプおよび石油二次回収用のCO2 配管等である。
【0003】油井においては、これらの油井用金属管材
が原油や天然ガスの採取、生産のために地盤の表面に垂
直、あるいは垂直に近い角度で地下数千メートルに及ん
で配管される。なお、本明細書では、これらの管すべて
を油井管と称する。
【0004】一般に、油井においては、深い場所では温
度が高いために腐食性が大きく、逆に浅い場所では温度
が低いために腐食性が小さい。よって、経済性を考慮し
て井戸の深い部分には、たとえば各種ステンレス鋼、N
i基合金、Ti、Ti合金等の高耐食性金属管材を使用
し、浅い部分には、たとえば炭素鋼、低合金金属等の低
耐食性金属管材を使用することが多い。
【0005】したがって、当然低耐食性金属管材と高耐
食性金属管材との連結部が生じるが、前記耐食性金属管
材と高耐食性金属管材とを単純連結した場合、異種金属
材料の接触により電位差が生じ、いわゆるガルバニック
腐食(電食)が発生する。このガルバニック腐食によっ
て、低耐食金属管材側では、たとえば通常の炭素鋼管材
単独の腐食に比べて、2〜10倍の速度で腐食が進行す
るものであった。一方、高耐食性金属管材側では、水素
が発生し、この水素が内部に進入して、水素脆性を生じ
るものであった。さらに、継手部の隙間では、隙間腐食
が生じ、電食によって腐食が促進されるものであった。
【0006】これらの問題に対して、現状においては、
低耐食性金属管材と高耐食性金属管材とを直接連結せ
ず、耐食性が前記低耐食性金属管材と高耐食性金属管材
との中間にある2相ステンレス鋼等の金属管材を介在さ
せて腐食防止を図っている。しかしながら、たとえ中間
金属管材を介在させた場合でも、部材相互間の電食およ
び隙間腐食を完全に防止することは不可能であり、腐食
速度を若干緩和させるに過ぎないものであった。
【0007】他方、管材同士をネジ継手構造により連結
する際に、完全に密封してシールすることは、事実上不
可能なことであり、不可避的に一方腐食環境に開いた隙
間が存在することとなる。ネジ継手構造部分に上記隙間
が存在すると、この隙間部では液体の流動がほとんどな
いため、鉄等の金属が腐食されて生じた水素イオン等が
高濃度で溜まりやすく、pHが非常に低下し、母材より
も激しい腐食が生じる。すなわち、隙間腐食は母材部の
腐食環境より弱い環境下でも発生することとなる。この
隙間腐食が生じると、応力腐食割れに発展する危険があ
ると共に、シール面を侵食することにより継手として重
要機能であるシール性を損なう結果となるものであっ
た。
【0008】上記問題を解決するため、たとえば特開平
1−199088号公報においては、重量%でCrを
7.5%以上含有する同一材質の油井管のネジ継手部分
に1〜100μmの非金属層を被覆することにより、腐
食環境から遮断し、隙間腐食を防止すること開示してい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記公報におけ
る技術に従って非金属層を被覆すると、次のような不都
合が生じる。つまり、被覆する非金属層を、導体と絶縁
物とに分けて考えると、導体により被覆したとしても、
全く貫通孔の存在しない無欠陥の被膜形成は事実上不可
能で、通常かなり多量の貫通孔が生成されるので、その
被膜欠陥部の腐食が促進されることを阻止できない。一
方、絶縁物で被覆した場合でも、その被覆の被覆率次第
ではやはり隙間腐食が生じ、いずれにしても上記公報技
術では隙間腐食を十分に防止できないものであった。
【0010】かかる被膜欠陥部を減少させるには被膜の
厚みを大きくして貫通孔数を減少させればよいとも考え
られるが、被膜厚みの増大は母材への密着性の低下を招
き、継手締結時に、母材と被膜とのヤング率の相違に起
因する剪断応力等により被膜が剥離するおそれがあるも
のである。
【0011】したがって、本発明の課題は、油井等にお
いて異種金属管材を継ぐ場合に生じる電食および隙間腐
食を防止するとともに、前記金属管材に対する絶縁性セ
ラミックス被膜の密着性を優れたものとすることにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題は、管端部に連
結用の螺合ネジ部が形成された金属管材において:前記
管材が連結されたとき露出する内面および外面の少なく
とも一方面における前記螺合ネジ部を除く内面端または
外面端から60mm以上の範囲にわたる領域と、連結し
たとき隙間が生じる前記螺合ネジ部領域との少なくとも
一方に;厚さ0.4μm以上でかつ比抵抗が108 Ωc
m以上の絶縁性セラミックス被膜を被覆率90%以上1
00%未満で形成し、さらに、この下層に前記絶縁性セ
ラミックス被膜の構成金属原子の金属層を有し、この金
属層の金属イオンが管材母材中に拡散していることで解
決できる。
【0013】なお、本発明において、管としては油井管
にのみ限定されることはなく、例えば海水および土壌運
搬用パイプライン、プラント用パイプライン等におい
て、異種金属を継ぐ場合にも適用しうる。
【0014】
【作用】次いで、本発明が包含する具体的内容ととも
に、本発明の作用について詳述する。
【0015】異種金属が接触した場合に生じるガルバニ
ック腐食は、腐食しにくい金属がカソード(陰極)とな
り、腐食し易い金属をアノード(陽極)として、アノー
ド側の反応が促進されることに起因する。すなわち、異
種金属間の電位差によりボルタ電池が組み立てられるた
めである。したがって、電食を防止するためには、異種
金属間に絶縁性セラミックス被膜を被覆して、その相互
の距離を離して液間抵抗を大きくすることにより、腐食
電流が流れないようにしてやればよいことを本発明者等
は知見し、かつこの態様が実際に有効であることを確認
した。一方、隙間腐食は、腐食により生じた金属イオン
及び水素イオン,塩素イオン等が隙間部に溜まり、pH
が非常に低下し、著しい腐食が起きる現象である。通
常、油井管はネジ継手を用いて連結されるが、図1およ
び図2におけるネジ部20の内面と外面の連結境界A,
B部分に示すように隙間が存在し、ここに隙間腐食が生
じる。さらに、この隙間腐食は電食により促進される。
【0016】そこで本発明者等は、この隙間部にも絶縁
性セラミックス被膜を被覆することにより、隙間腐食を
防止できることを知見し、かつこの態様が実際に有効で
あることを確認した。また、上記手段により電食および
隙間腐食を防止すると、高耐食性管材側の水素の進入が
抑えられ、水素脆性の防止にも有効である。
【0017】ここで、絶縁性セラミックス被膜の被覆率
の大きさにより,電食防止効果の発現の有無が決定され
るが、この点は後述の実施例により明らかにする。
【0018】さらに、以上の電食および隙間腐食防止法
において用いられる絶縁性セラミックス被膜の下層に、
このセラミックス被膜の構成金属原子に対応する金属に
よる中間金属層を形成させ、この下層に前記金属層の金
属イオンが管材母材中に拡散している拡散層を形成させ
ることにより、特に応力下にある油井環境において絶縁
性セラミックス被膜の密着性および耐剥離性が著しく向
上することを知見した。
【0019】図11に、本発明に従って管材母材30に
施される絶縁性セラミックス被膜32と金属層31の断
面図を示す。絶縁性セラミックス被膜32と金属層31
との境界面には拡散層33を有する。この拡散層33
は、絶縁性セラミックス被膜32の非金属イオンが金属
層31中に拡散し形成される層であり、、実質的には数
原子層程度の厚みであるため、光学顕微鏡での判別は困
難である。
【0020】金属層31と管材母材30との間にも拡散
層34を有する。金属層31の金属イオンが管材母材
(地金)30中に拡散してできる層で、0.1μm 以上
の厚みがあれば密着性向上に十分な効果を示す。
【0021】ここで、前記絶縁性セラミックス被膜とし
ては、比抵抗が108 Ωcm以上のAl2O3 ,Si3N4 ,Ta
2O5 ,SiO2,AlN ,BN、ZrO2を挙げることができ、使用
する膜種の選定においては使用される環境に応じて決定
される。本発明における金属層は、前記絶縁性セラミッ
クス被膜の構成金属原子からなる層であるために、結果
としてAl,Si,Ta,B , Zrからなる層とされる。
【0022】一般に完全な絶縁性が得られるのは、比抵
抗が108 Ωcm以上の場合であり、比抵抗が108 Ω
cm未満の場合には半導電性となり、この半導電性被膜
では導電性被膜の場合と同様に、低耐食性管材との間で
電食が生じる危険性が極めて大きい。したがって、本発
明における管材母材を被覆する絶縁性セラミックス被膜
の比抵抗は108 Ωcm以上とした。
【0023】一方、前記被覆率は、電気化学的方法によ
り決定される。すなわち、母材のみが溶解しうるような
液中において、定電位分極によりその電流をモニター
し、 被覆率(%)=〔(被覆のない母材の電流密度)−(被
覆のある母材の電流密度)〕/(被覆のない電流密度)
×100 により定義される値とされる。
【0024】上記の絶縁性セラミックス被膜を形成する
手法としては、管材母材に、イオンプレーティング, ス
パッタリング, プラズマCVD,MO(Metal-Organi
c)−CVD,溶射,拡散処理などにより被膜を形成す
る方法を挙げることができ、下層の金属層被膜も、同様
の方法もしくはメッキ法により形成することができる。
【0025】拡散層を形成する場合には、金属層および
絶縁性セラミックス被膜を形成した後、真空中、不活性
ガス雰囲気中あるいは大気中で中間金属層構成金属の融
点以下の温度で加熱保持することにより、母材と金属層
との間と、金属層と絶縁性セラミックス被膜との間、双
方に拡散が生じ、良好な密着力を有する絶縁性被膜を得
ることができる。
【0026】この拡散処理温度としては、金属被膜の融
点以下の温度ならばよいが、ネジ部の熱による変形、管
材母材の強度劣化の観点より550℃以下とするのがよ
く、また金属イオン拡散を十分に生じさせる範囲で経済
性を考慮すると、300℃以上の温度とするのが望まし
い。
【0027】前記金属層の厚みは、望ましくは0.05
μm以上、2μm以下である。この厚みが0.05μm
未満では、ネジ部に均一な金属層を得ることが困難とな
り、十分な密着力を得ることができない。一方、2μm
を超えると、被膜形成中に金属層自身に大きな応力が発
生し、密着性が充分でなく、金属層内部での剥離が生じ
る可能性が高くなるからである。
【0028】また、前記金属層と絶縁性セラミックス被
膜との合計膜厚は、100μm以内とするのが望まし
い。合計膜厚が100μmを超えると、ネジ部形成部お
よびシール部の寸法精度に悪影響を及ぼすおそれがある
とともに、膜の内部応力等による剥離が懸念されるため
である。ここに金属層の存在は、金属管材と絶縁性セラ
ミックスとの間の応力緩和による密着性向上をもたら
す。
【0029】また、本発明に用いる管材母材としては、
耐食性等を考慮して、フェライト系高クロム鋼,オース
テナイト系ステンレス鋼,Ni 量が20wt%以下でCr
量が13wt%以上のNi 基合金,チタン,チタン合金等
が好適である。
【0030】さらに、この場合において、好ましくは前
記絶縁性セラミックス被膜の表面に、この絶縁性セラミ
ックス被膜保護用の合成樹脂被膜が積層される。
【0031】
【実施例】以下、本発明を主に油井管に適用した場合の
具体例について詳説する。図1および図2は本発明に係
わる絶縁性被膜、より具体的に絶縁性セラミックス被膜
を施した油井管の連結部を示す図である。図1はカップ
リングを使用した連結型の場合について示し、図2は直
接連結型の場合について示す。
【0032】図1において、前記低耐食性管体1と高耐
食性管体2は、カップリング3をもって螺合連結されて
いる。なお、前記カップリング3は、通常高耐食性管材
2と同材質か、実質的同材質のもので作製される。
【0033】本具体例においては、前記低耐食性管材1
の管材の内外面においてネジ部20を除く管端から60
mm以上の範囲に(符号Lで示す範囲、以下同じ)に渡
って、ならびにネジ部20の連結境界A,B部(図7に
A部分、図8にB部分をそれぞれ模式拡大して示す)に
対して、本発明に係わる、上層が絶縁性セラミックス被
膜、中間層が上層の絶縁性セラミックス被膜の構成金属
原子からなる金属層であり、この2層間および金属層と
管母材の間並びに金属層と絶縁性セラミックス被膜の間
にイオン拡散して形成した拡散層からなる被膜層(以
下、この多層膜を密着性絶縁被膜と言う)が4,5,2
1,22部に形成されている。カップリング3において
は、管材内外面のネジ部20のA,B部分を含む全域に
渡って、密着性絶縁被膜が符号6,7,23,24部に
形成されている。
【0034】一方、前記高耐食性管材2においても前記
低耐食性管材1と同様に管材の内外面においてネジ部2
0を除く管端部から60mm以上の範囲に渡って、ネジ
部20の連結境界A,B部に対して、本発明に係わる密
着性絶縁被膜が符号8,9,21,22部に形成されて
いる。
【0035】なお、前記具体例の場合には、低耐食性管
材1、高耐食性管材2およびカップリング3の全てに対
して、密着性絶縁被膜を4〜9および21〜26部に形
成させたが、電食防止の観点から見る場合には、低耐食
性管材1、高耐食性管材2及びカップリング3のいずれ
か1つまたは2つに前記密着性絶縁被膜を形成させても
よく、カップリング3の6,7部に形成させるのが望ま
しい。要するに、前記密着性絶縁被膜の適用箇所及びそ
の組合せは、用途や予想される腐食の程度により適宜選
定できる。
【0036】一方、図2の場合には、低耐食性管材1と
高耐食性管材2とがカップリングを用いることなく直接
螺合連結されている。図2具体例の場合も図1具体例と
同様に、低耐食性管材1の管材の内外面においてネジ部
20を除く管端から60mmの範囲に渡って、ならびに
ネジ部20の連結境界A,B部分(図9にA部分、図1
0にB部分を模式拡大して示す)に対して、本発明に係
わる密着性絶縁被膜が4,5,21,22部に形成され
ている。また、高耐食性管材2においても、前記低耐食
性管材1と同様に管材の内外面において前記ネジ部20
を除く管端部から60mm以上の範囲に渡って、ならび
にネジ部20の連結境界A,B部分に対して、前記密着
性絶縁被膜が符号8,9,25,26部に形成されてい
る。
【0037】図2の具体例の場合も図1と同様に低耐食
性管材1及び高耐食性管材2の両方に対して、すなわち
密着性絶縁被膜を符号4,5,8,9,21,22,2
5,26部に形成させたが、電食防止の観点からは、高
耐食性管材2側の8,9部のみとすることもできる。な
お、図1及び図2において、4部にも前記密着性絶縁被
膜を形成する場合には、応力緩和層が導電性膜である場
合にはこの膜と、低耐食性管材1との間で電食が危惧さ
れる。その場合には、上層の絶縁性膜の被覆領域を下層
より長くすればよい。
【0038】また、密着性絶縁被膜を施す面は、前記2
つの具体例の場合には管材1,2の内外面の両方とした
が、必ずしも内外面の両方に施す必要はなく、最低限油
井において腐食環境に曝される面のみでよい。具体的に
は、チュービングの場合には内外面の両方、ケーシング
の場合には内面のみとすることができる。
【0039】ところで、ワイヤーロープを用いて吊り下
げ搬送操作により管材1,2の表面に傷がつけられるお
それのある場合には、絶縁性セラミックス被膜の表面に
その剥離や破壊防止のためために、フッ素系樹脂あるい
はポリプロピレン系等の有機被膜を施すのが好ましい。
【0040】一方、上記各例では、連結要素端を基準と
して密着性絶縁被膜の形成範囲Lを60mm以上として
規定しているが、連結要素の連結境界を挟んで上記膜層
を形成する場合、例えば一方の連結要素に対して30m
m以上の長さに渡って、他方の連結要素に対しても30
mm以上の長さに渡って形成し、合計として60mm以
上の長さ範囲になってもよい。本発明はこの例も含むも
のである。
【0041】ただし、上記各例において、連結したとき
に隙間が生じる箇所においては、電食と隙間腐食が重畳
することを考慮すると、最低限腐食環境に曝される図7
〜10中の隙間部21〜26には、前記密着性絶縁被膜
を形成することが必要となる。また、密着性絶縁被膜を
4〜9部に形成するにあたり、連結境界を挟んで前記密
着性絶縁被膜を形成する場合、両膜層が可能な限り連続
するようにすることが望ましいことは、言うまでもな
い。したがって、図1または図2に示すように、金属管
材1,2とカップリング3間に段差がある場合、その段
の壁面にも上記密着性絶縁被膜を形成するのが現実的に
必須となることが多い。
【0042】以下実施例を示しながら、本発明の数値限
定理由と、本発明の効果を明らかにする。 (実施例1)電食試験においては、図1例の連結構造を
想定して、図3に示されるように上面が裸の低耐食性材
料10と上面が裸の高耐食性材料11との間に、密着性
絶縁被膜13を施した継ぎ材12を直列的に連結させる
とともに、各部材相互間をボルト14をもって連結させ
たものを供試体としてその電食状況について調べた。
【0043】なお、L1,3 共100mmとし、各部材
の側面及び裏面はフッ素被膜を形成した。
【0044】一方、隙間腐食試験においては、図4に示
されるように、30mm×30mmで厚さ3mmの板状
の低耐食性材料10と高耐食性材料11とに密着性絶縁
被膜13を施したものを作製し、両者の密着性絶縁被膜
13同士を向かい合わせて積層しボルト14により締結
し試験に供した。
【0045】以上の試験に用いられる低耐食性材料10
としては、API-L80 級用の中炭素鋼を用いた。一方、高
耐食性材料11としては、UNSNO.N08825(22Cr-42Ni-3M
o) を用いた。他方、前記継ぎ材12としてはAPI-N80
級用の中炭素鋼、UNSNO.N08825の2種類を用い、その表
面に本発明に係る密着性絶縁被膜を施したものを用い
た。
【0046】また、耐剥離性試験においては、継ぎ材1
2と同材質により、図5に示す形状の引張試験片を作製
した。前記試験片は、全長L4:120mm、中間の小径
部長L5:50mm、両端の太径部がφ1;20mmで、中
間の小径部がφ2:10±0.05mmである。そして、
この試験片全体に前記密着性絶縁被膜を形成し、3%の
引張歪を付加して、腐食試験に供し剥離の有無について
調べた。
【0047】密着性絶縁被膜としては、下地の金属層被
膜はイオンプレーティング、また上層の絶縁性セラミッ
クス被膜はイオンプレーティングおよびプラズマCVD
法を用いて、Al2O3,Si3N4,Ta2O5,SiO2,AlN,BN ZrO2を被
覆した。さらに、前記絶縁性セラミックス被膜層の保護
を目的とするため、その上層にフッ素系樹脂を積層させ
たものについても同様の試験を行った。拡散処理は、上
層コーティングを施したチャンバー内で連続的に実施し
た。
【0048】前記電食または隙間腐食試験における腐食
環境としては、炭酸ガス環境:1気圧CO2 と硫化水素
ガス環境:1気圧H2 Sが複合した環境下とし、他の腐
食環境条件としては温度:60℃、溶液は5%NaCl、腐
食時間は720hrとした。そして、密着性絶縁被膜13
を施した継ぎ材12の長さL2 を50mmまたは60mmに
かえて被覆率を測定し、その腐食速度および隙間腐食の
有無から必要前記被膜厚さ,長さ,被覆率を求めた。
【0049】さらに密着性絶縁被膜13のエロージョン
・コロージョン性を調べるため、腐食試験後に5%NaCl
沸騰溶液中で半径5mmの半球体を10kg/mm2の力で5回
/min の速度で24h連続して擦りつけて、剥離の有無
について調べた。この際に、前記フッ素系樹脂の積層効
果についても調べた。
【0050】以上の試験結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】表1からわかるように、17通りの試験ケ
ースのうち、比較例である試験No8〜13においては、
剥離が見られ、試験No14〜16においては、隙間腐食
が生じた。これ対して本発明例である試験No1〜7およ
び試験No17においては腐食速度が低く電食および隙間
腐食を防止して、かつ耐剥離性良好であることが判っ
た。
【0053】(実施例2)次に、水素脆性について試験
を行った結果について示す。低耐食性材料10としては
API-L80 級用の中炭素鋼を用い、一方、高耐食性材料1
1としてはUNSNO.S31803(2相ステンレス)を用いた。
【0054】供試体の寸法および形状は、図6に示され
るように低耐食性材料10は板状帯で幅10mm,長さ1
00mmのものとし、一方、高耐食性材料11は幅10m
m,長さ100のものを水素侵食が効果的に行われるよ
うにするためU字状に折り曲げたものを使用した。継ぎ
材12としては、幅10mmとし、長さについては、30
mm,60mm,80mmの3種類のものを用意した。連結に
当たっては低耐食性材料10と継ぎ材12とをボルト1
4で固定し、一方、継ぎ材12と高耐食性材料11とは
長尺ボルト15で直列的に固定するとともに、この長尺
ボルト15を高耐食性材料11の他方端に形成された通
孔に貫通させ、ナット16により締めつけことによりU
字先端部位の離間距離を5mmだけ絞り込み、拘束力を与
えるようにした。
【0055】被覆率は、いずれの長さの継ぎ材12にお
いても90%であった。カソード側(高耐食性材料側)
で発生する水素による脆性は、常温において最も吸収が
行われ感受性が高いため、試験は下記に示す工程1〜工
程2の2工程で行った。
【0056】<工程1>炭酸ガス環境(1気圧CO2
において温度:150℃、溶液は5%−NaCl、腐食環境
時間は720hとする。
【0057】<工程2>炭酸ガス環境(1気圧CO2
において温度:25℃、溶液は5%−NaCl、腐食時間は
720hとする。
【0058】以上の工程1と工程2を経た供試材につい
て、Uベンド部におけるワレの発生の有無について調べ
た。その結果を表2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】表2から明らかなように、継ぎ材12の長
さ(絶縁被膜長)が60mm以上である60mm,80
mm(ケースNo.2,3)の場合には、ワレが発生せ
ず高耐食性材料11側での水素発生を抑制することが判
明された。
【0061】
【発明の効果】以上の説明から明らかな如く、本発明に
よれば、油井等において、異種金属間材を継ぐ場合に生
じる電食および隙間腐食を確実に防止し得るとともに、
応力下でも密着性および耐剥離性良好な金属管材を得る
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電食防止を施した油井管およびカ
ップリングの連結部を示す図である。
【図2】本発明に係わる電食防止を施した油井管の連結
部を示す図である。
【図3】実施例1における耐食性試験の供試体を示す図
である。
【図4】実施例1における隙間腐食試験の供試体を示す
図である。
【図5】実施例1における耐剥離性試験の供試体を示す
図である。
【図6】実施例2における水素脆性試験の供試体を示す
図である。
【図7】図1のA部分の拡大図である。
【図8】図1のB部分の拡大図である。
【図9】図2のA部分の拡大図である。
【図10】図2のB部分の拡大図である。
【図11】本発明による被膜層の断面図である。
【符号の説明】
1…低耐食性管材、2…高耐食性管材、3…カップリン
グ、4〜9…絶縁性被膜、10…低耐食性材料、11…
高耐食性材料、12…継ぎ材。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】管端部に連結用の螺合ネジ部が形成された
    金属管材において:前記管材が連結されたとき露出する
    内面および外面の少なくとも一方面における前記螺合ネ
    ジ部を除く内面端または外面端から60mm以上の範囲
    にわたる領域に;厚さ0.4μm以上でかつ比抵抗が1
    8 Ωcm以上の絶縁性セラミックス被膜を被覆率90
    %以上100%未満で形成し、さらに、この下層に前記
    絶縁性セラミックス被膜の構成金属の金属層を有し、こ
    の金属層の金属イオンが管材母材中に拡散して第1の拡
    散層と、前記セラミックス層中の非金属イオンが前記金
    属層中に拡散している第2の拡散層を有することを特徴
    とする被膜密着性に優れた電食防止用絶縁管材。
  2. 【請求項2】連結時に隙間が生じる螺合ネジ部領域に
    も、前記絶縁性セラミックス被膜、第1の拡散層、およ
    び第2の拡散層を有する請求項1の被膜密着性に優れた
    電食防止用絶縁管材。
JP4347194A 1992-01-06 1992-12-25 被膜密着性に優れた電食防止用絶縁管材 Pending JPH06193781A (ja)

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