JPH06192967A - 昇華染色性合成皮革 - Google Patents

昇華染色性合成皮革

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JPH06192967A
JPH06192967A JP35755092A JP35755092A JPH06192967A JP H06192967 A JPH06192967 A JP H06192967A JP 35755092 A JP35755092 A JP 35755092A JP 35755092 A JP35755092 A JP 35755092A JP H06192967 A JPH06192967 A JP H06192967A
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synthetic leather
polyurethane
sublimation
silicone
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JP35755092A
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Masaaki Sato
正明 佐藤
Masaru Iwasaki
勝 岩崎
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Achilles Corp
Original Assignee
Achilles Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 昇華性染料による多色染色が可能で染色後の
絵柄の保持性に優れた合成皮革を提供する。 【構成】 繊維基材2の表面に接着剤層3を介してシリ
コン変成ポリウレタンを主体とするポリウレタン樹脂か
らなる表皮層4を受容層7として形成して合成皮革1を
得た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は昇華性染料による染色性
が良好な合成皮革に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】バッ
グ、靴等のファッション性の高い用途に用いられる合成
皮革は、ポリウレタン樹脂からなる表面層(ポリウレタ
ン樹脂層)の表面に多色印刷を施して意匠性を高めるこ
とが要求されており、従来、合成皮革の多色印刷は多色
グラビア印刷や捺染印刷等により行われていた。
【0003】しかしながら、従来の多色グラビア印刷は
大型の設備が必要であり設備が非常に高価であり、少量
で多品種の合成皮革を印刷しようとする場合には、少量
の印刷は非常にコストが高くなり、通常大きなロットで
大量に合成皮革を処理する場合にしか用いられていなか
った。更に、多色グラビア印刷によりポリウレタン樹脂
層の表面に意匠を表現した合成皮革は、模様がポリウレ
タン樹脂層の表面上に形成されているものであり、擦過
等の物理的現象により剥離したり、模様が消失する等の
問題があるものであった。
【0004】また、捺染印刷の場合には少量の印刷は容
易であるが、ほとんど手作業で行うために加工費が高
く、更に高度な捺染技術が必要であり、色ズレが発生し
やすいといった欠点があった。更に、捺染印刷の場合も
通常のグラビア印刷に使用される印刷インクを使用した
場合は、ポリウレタン樹脂層の表面に印刷するものであ
り、多色グラビア印刷で得られた合成皮革と同様の欠点
を有するものである。また、捺染に染料を用いた場合に
は染色後の定着や乾燥といった余計な工程を必要とし、
やはりコスト高となるものであった。
【0005】グラビア印刷や捺染印刷で合成皮革のポリ
ウレタン樹脂層上に多色印刷を施し絵柄模様を形成した
場合には、絵柄模様層は合成皮革の表面層上に接着して
いるのみで、表面層の内部まで浸透してないので、長期
間にわたって鮮明な絵柄を保持できないという問題があ
った。
【0006】一方ポリエステル繊維製品等の多色化とし
ては、多色グラビア印刷や捺染等による印刷方法以外
に、所望の意匠に昇華性染料層を設けた昇華性染料印刷
紙を用い、該昇華性染料印刷紙を繊維製品の表面に加熱
加圧して昇華性染料層を昇華転移させて染色する方法が
用いられている。
【0007】この昇華性染料印刷紙を用いる染色方法
は、印刷紙上の昇華性染料層を昇華転移させるのに20
0℃以上の高温が必要であり、ポリエステル繊維等に比
較して耐熱性の低い従来の合成皮革のポリウレタン樹脂
層を形成するポリウレタン樹脂は、加熱時の熱により表
皮層が軟化もしくは溶融して、昇華性染料印刷紙と接着
してしまい、染色後印刷紙をきれいに剥離することがで
きず、昇華性染料印刷紙による合成皮革の染色は実用化
されていなかった。
【0008】本発明は上記従来技術の欠点を解決しよう
とするものであり、昇華性染料印刷紙を用いて染色を行
う際に、印刷紙がきれいに剥がれ、優れた染色模様を形
成可能であり、且つその染色模様が擦過等の物理的外力
によって容易に剥離したり損傷を受けたりすることがな
く、長期にわたり鮮明な染色模様を保持できる昇華染色
性合成皮革を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の昇華染色性合成
皮革は、繊維基材上に受容層を形成してなる昇華染色性
合成皮革であって、上記受容層は1層以上のポリウレタ
ン樹脂層を積層すると共に、該ポリウレタン樹脂層の最
上層にシリコン変成ポリウレタンを主体とするポリウレ
タン樹脂層を形成してなるものであることを特徴とす
る。また、上記昇華染色性合成皮革において、受容層の
最上層に耐熱性微粒子を含有せしめることが好ましく、
特に該耐熱性微粒子は昇華性染料によって染色可能なも
のであることが好ましい。
【0010】以下、図面を用いて本発明を詳細に説明す
る。図1は本発明の昇華染色性合成皮革の1例を示す縦
断面図である。図1に示すように本発明の昇華染色性合
成皮革1は、繊維基材2の上に昇華性染料を受容して染
着層として機能する受容層7を形成してなるものであ
り、上記受容層7は接着剤層3を介してシリコン変成ポ
リウレタンを主体とするポリウレタン樹脂層からなる表
皮層4として形成されている。
【0011】図2は本発明の昇華染色性合成皮革の他の
例を示す縦断面図である。本発明昇華染色性合成皮革に
おいて受容層7は1層以上のポリウレタン樹脂層が表皮
層として積層されているともに、最上層がシリコン変成
ポリウレタンを主体とするポリウレタン樹脂層であれば
よく、図1に示すように形成したシリコン変成ポリウレ
タンを主体とするポリウレタン樹脂層の表皮層4のみの
1層から受容層7を形成してもよいが、図2に示すよう
に受容層7を表皮層4と更に該表皮層4の表面側の最上
層に設けた表面処理層6とから形成することも可能であ
り、この場合、表面処理層6をシリコン変成ポリウレタ
ンを主体とするポリウレタン樹脂により形成する。ま
た、特に図示しないが、表皮層4を複数のポリウレタン
樹脂層により形成してもよい。
【0012】本発明の昇華染色性合成皮革は昇華性染料
を受容するための受容層7として、受容層の最上層(最
表面層)にシリコン変成ポリウレタンを主体とするポリ
ウレタン樹脂を用いることが重要であり、そのことによ
り昇華性染料印刷紙を用いた昇華染料による染色が可能
となった。
【0013】本発明の昇華染色性合成皮革に用いられる
繊維基材2としては、綿、麻等の天然繊維、レーヨン等
の再生人造繊維、アセテート等の半合成繊維、ポリエス
テル、ビニロン、ポリアミド、ポリアクリロニトリル等
の合成繊維等の単独又は各種混紡繊維からなる織布、編
布、不織布等が使用でき、これらの織布、編布、不織布
等は表面に起毛により毛羽を形成したものを使用するこ
ともできる。
【0014】シリコン変成ポリウレタンを主体とするポ
リウレタン樹脂層に使用されるシリコン変成ポリウレタ
ン樹脂は、シリコン変成ポリオールとジイソシアネート
との反応により得られるポリウレタンである。シリコン
変成ポリウレタンは、100%モジュラスが20〜20
0kg/cm2 のものが好ましく、またシリコン変成ポリウ
レタンを主体とするポリウレタン樹脂層の厚みは1〜1
50μmであり、特に10〜100μmが好ましい。
【0015】シリコン変成ポリウレタンに用いられるシ
リコン変成ポリオールとしては、ポリエチレングリコー
ル−ポリジメチルシロキサンブロック共重合体、ポリジ
メチルシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体、末
端ヒドロキシルアルキルポリジメチルシロキサン、ポリ
オールにジメチルシロキサンをブレンド(一部グラフト
重合)したもの等が挙げられる。
【0016】シリコン変成ポリウレタンを得るに際して
は、シリコン変成ポリオールとシリコン変性ポリオール
以外の他のポリオールとを混合した混合ポリオールに、
ジイソシアネートを反応させてもよい。シリコン変性ポ
リオールと混合して使用できる他のポリオールとして
は、ポリカーボネート系ポリオール、ポリテトラメチレ
ンエーテル系ポリオール、ポリエステルエーテル系ポリ
オール、ポリエステル系ポリオール、ポリカプロラクト
ンポリオール、ポリバレロラクトン系ポリオール等が挙
げられ、ポリオール成分中のシリコン変成ポリオールの
含有割合はポリオール全体の20重量%以上であり、好
ましくは40〜80重量%である。
【0017】シリコン変成ポリウレタンを得るためにシ
リコン変性ポリオールと反応させるジイソシアネートと
しては、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネ
ート、芳香族ジイソシアネートのいずれでも使用でき、
具体的にはテトラメチレンジイソシアネート、1,6−
ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、2,
2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシ
アネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、
1−メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネー
ト、3,3′−ジメチル−ジイソシアネートジシクロヘ
キシルメタン、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイ
ソシアネート(水添MDI)、トリレンジイソシアネー
ト(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(M
DI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等が挙
げられる。
【0018】また、シリコン変成ポリウレタンを得るに
際し、前記シリコン変成ポリオールとジイソシアネート
を反応させるときに鎖伸長剤を添加することができる。
鎖伸長剤としては例えば、エチレングリコール、1,4
ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール、ネオペンチ
ルグリコール等の低分子グリコール、ピペラジン、エチ
レンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレン−
1,4−ジアミノシクロヘキサノン、1−アミノ−3−
アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン
等の第1級又は第2級の脂肪族アミンが使用できる。
【0019】本発明において用いられるシリコン変成ポ
リウレタンを主体とするポリウレタンとは、シリコン変
成ポリウレタン単独、もしくはシリコン変成ポリウレタ
ンとポリカーボネート系ポリウレタン、ポリテトラメチ
レンエーテル系ポリウレタン、ポリエステルエーテル系
ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン、ポリカプ
ロラクトン系ポリウレタン、ポリバレロラクトン系ポリ
ウレタン等の他のポリウレタンとの混合物であって、シ
リコン変成ポリウレタンの混合割合が50重量%以上の
ものをいう。
【0020】また、繊維基材表面にポリウレタン樹脂層
を形成する際、ポリウレタンに架橋剤を添加するのが好
ましい。特に最上層のシリコン変成ポリウレタンを主体
とするポリウレタンに架橋剤を添加するのが好ましい。
架橋剤の添加によりポリウレタン樹脂層の耐熱性、染色
性及び昇華染料印刷紙との剥離性が更に向上する。この
ような架橋剤として例えば、トリメチロールプロパン
(TMP)とTDIのアダクト体、TMPとHMDIの
アダクト体、TMPとIPDIのアダクト体、HMDI
の3量体等が挙げられる。架橋剤の添加量はポリウレタ
ン100重量部に対して5〜10重量部が好ましい。
【0021】接着剤層3を構成する接着剤は、繊維基材
2とポリウレタン樹脂からなる表皮層4とを接着し得る
ものであればいかなる接着剤でもよいが、通常ポリウレ
タンに架橋剤が添加されたウレタン系接着剤を用いる。
ウレタン系接着剤としては100%モジュラスが10〜
100kg/cm2 のものが好ましく、このウレタン系接着
剤におけるポリウレタンとしてはポリカーボネート系ポ
リウレタン、ポリテトラメチレンエーテル系ポリウレタ
ン、ポリエステルエーテル系ポリウレタン、ポリエステ
ル系ポリウレタン等が挙げられる。ウレタン系接着剤に
用いられるポリウレタンの架橋剤としては、前述のポリ
ウレタン樹脂層に添加する架橋剤として例示したもの等
が使用できる。
【0022】図3は本発明の昇華染色性合成皮革のその
他の例を示す縦断面図である。本発明の昇華染色性合成
皮革は図3に示すように受容層7のシリコン変成ポリウ
レタンを主体とするポリウレタン樹脂からなる表皮層4
に耐熱性微粒子5を含有せしめることが好ましい。耐熱
性微粒子は無機質微粒子、耐熱性合成樹脂微粒子等が用
いられる。無機質微粒子としては、珪酸微粒子、石英微
粒子、コランダム、アランダム、カーボランダム等のセ
ラミックス微粒子が使用できる。また耐熱性合成樹脂微
粒子の材質としては、熱硬化性合成樹脂や架橋合成樹脂
が使用でき、具体的にはフェノール系樹脂、メラミン系
樹脂、尿素系樹脂、ベンゾクアナミン系樹脂、架橋塩化
ビニル系樹脂、架橋ポリプロヒレン樹脂、架橋アクリル
系樹脂等が挙げられる。
【0023】特に好ましい耐熱性微粒子として、尿素−
ホルムアルデヒド縮合物、メラミン−ホルムアルデヒド
縮合物、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物、
ベンゾグアミナン−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物
等であり、これらは昇華性染料による染色性に優れるも
のである。このような耐熱性微粒子をシリコン変性ポリ
ウレタンを主体とするポリウレタン樹脂層に含有させる
と、昇華性染料による染色が極めて鮮明となり、かつ昇
華性染料が耐熱性微粒子にしっかりと固着されるため、
染料のマイグレーションも防止されるものである。
【0024】耐熱性微粒子の粒径は、形成するシリコン
変成ポリウレタン樹脂層の厚みよりも小さい必要があ
り、通常の合成皮革においてはシリコン変成ポリウレタ
ン樹脂層の厚みが20〜30μmであることから、粒子
径は20μm以下が好ましく、特に1〜10μmが好ま
しい。シリコン変成ポリウレタンを主体とするポリウレ
タン樹脂層を図2に示すように表面処理層6として15
μm以下に極めて薄く(1〜12μm)形成した場合に
は、ポリウレタン樹脂層に耐熱性微粒子を添加するのが
特に効果的である。
【0025】繊維基材の表面に通常のポリウレタン樹脂
からなる表皮層を中間層として形成し、該中間層の表面
にシリコン変成ポリウレタンを主体とするポリウレタン
樹脂の表皮層を最上層として形成した場合には(特に図
示しない)、中間層および最上層の両者に耐熱性微粒子
を添加することもできる。
【0026】本発明の昇華染色性合成皮革を製造するに
は、図1に示す態様の場合、離型紙等の剥離性シートの
表面に合成皮革の最上層を形成するシリコン変成ポリウ
レタンを主体とするポリウレタンの組成物を塗工して乾
燥し表皮層4を形成した後、接着剤層3を塗工して繊維
基材2を積層し表皮層4と繊維基材2とを接着させ、離
型紙を剥離して昇華染色性合成皮革1を得る。また、図
3に示すようにポリウレタン樹脂層に耐熱性微粒子5を
添加する場合にはポリウレタン樹脂の組成物に耐熱性微
粒子を添加したものを用いて受容層を形成する。
【0027】また、図2に示すようにシリコン変成ポリ
ウレタン樹脂を主体とするポリウレタン樹脂層を表面処
理層として形成するには、シリコン変成ポリウレタン樹
脂を主体とするポリウレタン以外のポリウレタン(通常
のポリウレタン)の組成物を剥離性シートの表面に塗工
して乾燥した後、接着剤層を塗工して繊維基材2を積層
し表皮層4と繊維基材2とを接着させ、剥離性シートを
剥離し、次いでシリコン変成ポリウレタンを主体とする
ポリウレタンからなる表面処理剤を前記表皮層4の表面
に塗布し、これを乾燥させて繊維基材2上に通常のポリ
ウレタンからなる表皮層4とシリコン変成ポリウレタン
樹脂を主体とするポリウレタンからなる表面処理層6の
2層よりなるポリウレタン樹脂層が受容層7として積層
された昇華染色性合成皮革が得られる。
【0028】本発明の昇華染色性合成皮革に昇華性染料
で染色するには、離型紙等の剥離性シートの表面に昇華
性染料を用いた染色層が任意の色、絵柄に形成されてい
る昇華性染料印刷紙を用い、該昇華性染料印刷紙をその
印刷面が合成皮革の表面側に位置するように合成皮革の
表面に重ね加熱加圧した後、昇華性染料印刷紙の剥離性
シートを剥離することで、昇華性染料が合成皮革に昇華
転移して多色染色された合成皮革が得られる。昇華性染
料印刷紙上の昇華性染料を合成皮革に昇華転移させるた
めの加熱条件は、通常200℃〜240℃程度であり、
加圧条件は50〜100kg/cm2 程度である。
【0029】本発明の昇華染色性合成皮革は、上記のよ
うに昇華性染料印刷紙を用い種々の色、絵柄を有する多
色印刷を施して、バッグ、靴、衣料等のファッション性
が要求される分野の合成皮革として最適に用いることが
できる。
【0030】
【作用】本発明の昇華染色性合成皮革は、繊維基材の上
に受容層が設けられ該受容層の最上層がシリコン変成ポ
リウレタンを主体とするポリウレタンにより構成され、
この最上層は従来の合成皮革の最上層のポリウレタンと
比べ、耐熱性に優れ昇華性染料印刷紙との剥離性が良好
であり、昇華性染料印刷紙の昇華転移温度(200℃以
上)の処理条件にも耐えることができ良好な染色合成皮
革が得られる。また、耐熱性微粒子を添加した場合に
は、耐熱性微粒子がシリコン変成ポリウレタンを主体と
するポリウレタン樹脂層の耐熱性を向上させ、最上層の
耐熱性が更に良好になる。更には耐熱性微粒子として昇
華性染料によって染色が可能なものを使用した場合に
は、昇華性染色による染色絵柄が鮮明で、しかもマイグ
レーションのない優れた染色合成皮革が得られる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように本発明の昇華染色性
合成皮革は、繊維基材上に設けた受容層の最上層がシリ
コン変成ポリウレタンを主体とするポリウレタン樹脂層
より形成されているため、最上層の耐熱性が向上し、従
来不可能であった昇華性染料印刷紙を用いた染色で多色
染色が可能となった。その結果、従来の合成皮革表面に
多色印刷を施す場合のようにグラビア印刷のような大型
の装置が不要であり、また捺染のように人手のかかる作
業でもなく、ポリエステル繊維製品の染色に使用されて
いる昇華性染料印刷紙を利用して、合成皮革の表面に前
記昇華性染料印刷紙を重ねて加熱加圧するだけの簡単な
方法で、少ロットで多種の多色化を低コストで行うこと
ができる。
【0032】更に、本発明の昇華染色性合成皮革を昇華
染色する際に、昇華性染料印刷紙が合成皮革の表面に接
着して剥がれなくなる等の不具合がなく、鮮明な色、柄
の染色を施した染色合成皮革が得られる。
【0033】また受容層の最上層に耐熱性微粒子を添加
した場合には、更に最上層の耐熱性が向上するため、昇
華性染料印刷紙の剥離性シートの剥離性が良好となり、
特に昇華性染料により染色可能な耐熱性微粒子を添加す
ることにより、染色の色、絵柄が更に鮮明となり、染料
のマイグレーションを防止できるという効果をも奏する
ものである。
【0034】また、本発明の昇華染色性合成皮革に昇華
染色したものは、最上層の表面のみならず内部にまで昇
華性染料が染着しているため、従来の多色印刷により絵
柄を印刷した合成皮革のように擦過等の物理的外力によ
り絵柄が剥離したり損傷したりすることがなく、鮮明な
絵柄を長期にわたり保持できる染色合成皮革が得られ
る。
【0035】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示す。実施例1 離型紙(DE−3:大日本印刷製)の表面に下記に示す
シリコン変成ポリウレタンを主体とする表皮層組成物を
塗工し(塗工量:1230g/m2 )乾燥して表皮層を
形成した後、該表皮層に2液型ポリウレタン接着剤組成
物を塗工し(塗工量:200g/m2 )、テトロン/レ
ーヨン混紡起毛布を表皮層と貼り合わせ、接着剤を乾燥
熟成後離型紙を剥離して合成皮革を得た。この合成皮革
の表皮層に昇華性染料印刷紙を重ね200℃にて加熱加
圧して昇華性染料による染色を行ったところ、昇華性染
料印刷紙の剥離性シートが極めて容易にきれいに剥離
し、色も絵柄も極めて鮮明であり、染料のマイグレーシ
ョンのない良好な多色染色した合成皮革が得られた。
【0036】 〔表皮層配合組成〕 ・レザミンME3320LP ※1 100重量部 ・ジメチルホルムアミド 20重量部 ・メチルエチルケトン 20重量部 ・コロネートL ※2 2重量部 ・ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物粒子(粒径:1〜3μm) 10重量部 ※1:シリコン変成ポリオールを用いたポリウレタン
(大日精化工業製) ※2:架橋剤(日本ポリウレタン製)
【0037】実施例2 ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物粒子を添加
しない以外は実施例1と同様にして得られた合成皮革
に、実施例1と同様の昇華性染料印刷紙を用いて染色を
行ったところ、昇華性染料印刷紙の剥離性シートが極め
て容易にきれいに剥離し、色も絵柄も極めて鮮明な多色
染色した合成皮革が得られた。
【0038】実施例3 コロネートLを添加しない以外は実施例1と同様にして
得られた合成皮革に、実施例1と同様の昇華性染料印刷
紙を用いて染色を行ったところ、昇華性染料印刷紙の剥
離性シートがきれいに剥離し、色も絵柄も極めて鮮明で
あり、染料のマイグレーションのない良好な多色染色し
た合成皮革が得られた。
【0039】実施例4 ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物粒子とコロ
ネートLを添加しない以外は実施例1と同様にして得ら
れた合成皮革に、実施例1と同様の昇華性染料印刷紙を
用いて染色を行ったところ、昇華性染料印刷紙の剥離性
シートがきれいに剥離し、色も絵柄も極めて鮮明な多色
染色した合成皮革が得られた。
【0040】実施例5 離型紙(DE−3:大日本印刷製)の表面に下記に示す
ポリウレタン樹脂よりなる表皮層組成物を塗工し(塗工
量:1230g/m2 )を乾燥して表皮層を形成した
後、該表皮層に2液型ポリウレタン接着剤組成物を塗工
(塗工量:200g/m2 )、テトロン/レーヨン混紡
起毛布を表皮層と貼り合わせ、接着剤を乾燥熟成後離型
紙を剥離して積層シートを得た。 〔実施例5の表皮層配合組成〕 ・レザミンME3119LP 100重量部 ・ジメチルホルムアミド 20重量部 ・メチルエチルケトン 20重量部 ・コロネートL 2重量部
【0041】この積層シートの表面に下記に示すシリコ
ン変成ポリウレタンを主体とする表面処理層組成液をグ
ラビア印刷法によって乾燥時の厚みが3μmとなるよう
に塗布して表面処理層を形成して合成皮革を得た。 〔実施例5の表面処理層配合組成〕 ・レザミンME3320LP 30重量部 ・メチルエチルケトン 60重量部 ・テトラヒドロフラン 10重量部 得られた合成皮革の表面処理層上に昇華性染料染色紙を
重ね、200℃にて加熱加圧して昇華性染料による染色
を行ったところ、昇華性染料印刷紙の剥離性シートが極
めて容易にきれいに剥離し、色も絵柄も極めて鮮明で、
良好な多色染色した合成皮革が得られた。
【0042】比較例1 実施例1の表皮層に代えて、下記に示す組成のシリコン
変成ポリウレタンを含まない従来の合成皮革に用いられ
ていたエステル系ポリウレタン樹脂を主体とするものを
用いた以外は実施例1と同様にして合成皮革を得た。こ
の合成皮革の表皮層に昇華性染色印刷紙を重ね、190
℃にて加熱加圧して昇華性染料による染色を行ったとこ
ろ、昇華性染料印刷紙の剥離性シートが表皮層に密着し
て部分的に剥離せず、剥離性シートが剥離した部分の柄
は鮮明でなく良好な多色染色した合成皮革が得られない
ものであった。
【0043】 〔比較例1の表皮層配合組成〕 ・レザミンME3119LP 100重量部 ・ジメチルホルムアミド 20重量部 ・メチルエチルケトン 20重量部 ・白トナー 20重量部 下記の表1に実施例1〜5と比較例1の昇華染料印刷紙
による染色結果をまとめて示す。
【0044】
【表1】 ※3:シリコン変成ポリウレタンを主体とするポリウレ
タン樹脂よりなる表面処理層
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の昇華染色性合成皮革の1例を示す縦断
面図である。
【図2】本発明の昇華染色性合成皮革の他の例を示す縦
断面図である。
【図3】本発明の昇華染色性合成皮革のその他の例を示
す縦断面図である。
【符号の説明】
1 昇華染色性合成皮革 2 繊維基材 4 表皮層 5 耐熱性微粒子 6 表面処理層 7 受容層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維基材上に受容層を形成してなる昇華
    染色性合成皮革であって、上記受容層は1層以上のポリ
    ウレタン樹脂層を積層すると共に、該ポリウレタン樹脂
    層の最上層にシリコン変成ポリウレタンを主体とするポ
    リウレタン樹脂層を形成してなるものであることを特徴
    とする昇華染色性合成皮革。
  2. 【請求項2】 受容層の最上層に耐熱性微粒子を含有せ
    しめた請求項1記載の昇華染色性合成皮革。
  3. 【請求項3】 耐熱性微粒子が昇華性染料によって染色
    可能なものである請求項2記載の昇華染色性合成皮革。
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