JPH06192265A - 4,15−ジヒドロベルノダリン - Google Patents

4,15−ジヒドロベルノダリン

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JPH06192265A
JPH06192265A JP4357979A JP35797992A JPH06192265A JP H06192265 A JPH06192265 A JP H06192265A JP 4357979 A JP4357979 A JP 4357979A JP 35797992 A JP35797992 A JP 35797992A JP H06192265 A JPH06192265 A JP H06192265A
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JP
Japan
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present
cells
substance
cell
vernodaline
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JP4357979A
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English (en)
Inventor
Hiroaki Takaoka
博昭 高岡
Naohiro Washida
尚洋 鷲田
Noriko Yoshida
紀子 吉田
Koichi Koshimizu
弘一 小清水
Hajime Daito
肇 大東
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Snow Brand Milk Products Co Ltd
Original Assignee
Snow Brand Milk Products Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 次の構造式: 【化1】 で示される4,15−ジヒドロベルノダリン。 【効果】 本発明により新規4,15−ジヒドロベルノダ
リンが提供される。本発明物質は抗腫瘍剤、免疫抑制剤
として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ベルノニア・アミグダ
リナより分離されるベルノダリンの温和な還元によって
合成することが可能である新規な4,15−ジヒドロベル
ノダリン(4,15-Dihydrovernodalin)に関する。本物質
は抗腫瘍剤や免疫抑制剤として有用である。
【0002】
【従来の技術】近年、植物由来の抗癌剤の研究が進み、
新規な抗癌剤が提供されるようになり顕著な治療効果を
あげている。例えば、ニチニチソウ由来のビンクリスチ
ンやその誘導体であるビンブラスチンなどはその代表的
な例である。植物由来の抗腫瘍剤は、その熱帯地域の植
物から種々の物質が探索されているが、さらに新しい化
合物の探索が進められている。
【0003】本発明者らは熱帯アフリカの薬用植物に関
する研究を進める過程で、霊長類が本能的に疾病時に特
定の植物を選択していることを観察し、これらの植物か
ら生理活性成分を抽出し、その薬理活性を確認してき
た。これらの植物のうち、熱帯アフリカに広く自生する
キク科灌木ベルノニア・アミグダリナ (Vernonia amygd
alina)は、野生チンパンジーが疾病時に採食し、やがて
病状の回復につながったことが明確に観察されている。
この観察に着目し、本発明者らは、その生理活性成分の
研究を行った。これらの生理活性成分のうち次の構造式
(II) :
【0004】
【化2】
【0005】を有するセキステルペンの一種であるベル
ノダリンはクプチャン(Kupchan)らにより、KB細胞に
対するインビトロ抗腫瘍効果が確認されている (J. M.
Kupchan, et.al., The Journal of Organic Chemistry,
Vol. 34, 3908-3911(1969))。本発明者らは、すでにベ
ルノダリンがKB細胞の他に、P−388 細胞、L−1210
細胞などに強い抗腫瘍効果を示すことを確認している。
このキク科灌木ベルノニア・アミグダリナは、西アフリ
カにおいては、その独特の苦味が好まれ、伝統的な民族
料理の材料として用いられており、安全性も高いと考え
られる。
【0006】本発明者らはこのベルノダリンの生理活性
について研究を進めた結果、ベルノダリンの誘導体には
強い抗腫瘍活性が存在することを見い出した。特に本発
明により提供される新規化合物である4,15−ジヒドロ
ベルノダリンは、一連のベルノダリン誘導体と比較して
も強い抗腫瘍活性と免疫抑制活性を示すことを初めて見
い出した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
知見に基づいてなされたもので、新規な4,15−ジヒド
ロベルノダリンの提供を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、次の構造式
(I):
【0009】
【化3】
【0010】で示される4,15−ジヒドロベルノダリン
に関する。本発明で提供される4,15−ジヒドロベルノ
ダリンは、上記クプチャンらの文献に基づいて、ベルノ
ニア・アミグダリナから抽出したベルノダリンから得る
ことができる。これを詳述すると、ベルノニア・アミグ
ダリナ乾燥葉からクロロホルム抽出、n−ヘキサン・メ
タノール抽出、シリカゲルクロマトグラフィー、HPL
C等により精製し、ベルノダリンを得る。このようにし
て精製されたベルノダリンは、無色の油状物質として得
られ、メタノール、エタノール、アセトニトリル、酢酸
エチル、ジメチルスルフォキシドなどの有機溶媒に溶解
し、水に不溶性の、前記構造式(II)を有する物質であ
る。
【0011】本発明の4,15−ジヒドロベルノダリン
は、このベルノダリンを合成の出発物質として使用する
ことができる。ベルノダリンの4位、15位に選択的に水
素を導入することにより、本発明物質である4,15−ジ
ヒドロベルノダリンを合成することができる。水素化ホ
ウ素ナトリウム(NaBH4)を用いて温和な条件で反応させ
ることにより選択的に4位、15位の炭素間の二重結合部
位に水素が導入される。反応は、通常、メタノールなど
の有機溶媒に溶解させたベルノダリンに、還元剤NaBH4
を加え、室温〜0℃以下で緩やかに攪拌し反応させる。
反応終了後、酢酸などの酸を加え、反応溶液のpHを弱酸
性とした後、濾過後、逆相HPLCにより分離精製を行
い、本発明物質を回収することができる。また溶媒抽出
などの手段を用いることもできる。
【0012】本発明物質は下記の物理化学的特性を有す
る。 一般名;4, 15-Dihydrovernodalin 正式名;3aβ, 4, 5, 5a, 6, 9, 9aβ, 9bα-octahydro
-9-methyl-3-methylene-4β-(2-methylenehydracryloyl
oxy)5aβ-vinyl-2H-furo〔2, 3-f〕〔2〕benzopyran-2,
8(3H)-dione. 分子式:C19227 色; 無色 性状; 油状、強い苦味を呈する。 旋光度; 〔α〕25 D +189.8°(C=2.74mg/ml, CHCl3) UV吸収; λmax (MeOH) nm (ε) :210 (ε29000) 赤外吸収; νmax (KBr) cm-1: 3350, 1780-1720 br, 16
40 FAB-MS; m/z: 363 ( 〔M+H〕+, NBA, C19H22O7 +H)1 H-NMR;δ (400MHz, CDCl3) ppm : 1.44 (3H, d, J=6.
7, H3-15),1.75 (1H, dd, J=15.3, 5.8Hz, H-9), 1.86
(1H, br.s, OH), 2.13 (1H, dd, J=15.0, 5.8Hz, H-9),
2.20 (1H, dd, J=10.6, 7.2Hz, H-5), 2.68 (1H, quin
tet,J= 7.0Hz, H-4), 3.06 (1H, ddt, J=11.6, 10.1,
3.2, 3.2Hz, H-7),4.01 (1H, dd, J=11.3, 11.0Hz, H-
6), 4.12 (1H, d, J=11.6, H-14),4.22 (1H, d, J=12.4
Hz, H-14), 4.35 (2H, s, H2-4'), 5.26 (1H, dt, J=1
0.1,5.8, 5.8Hz, H-8), 5.30 (1H, d, J=17.7Hz, H-2),
5.34 (1H, d, J=11.0Hz,H-2), 5.66 (1H, d, J=3.1Hz,
H-13), 5.87 (1H, dd, J=17.6, 10.8Hz, H-1),5.96 (1
H, d, J=1.2Hz, H-3), 6.22 (1H, d, J=3.4Hz, H-13),
6.28 (1H, d,J=0.9Hz, H-3') 本発明物質は白血病細胞株であるP-388 やL-1210細胞に
対する抗腫瘍活性、バチルス・スブチリス(B.subtili
s)、ミクロコッカス・ルテア(M.lutea)に対する抗菌活
性を有している。また本発明物質は抗体産生応答などの
免疫反応を抑制する活性も有する。本発明物質の抗腫瘍
活性を既存のベルノダリン化合物と比較した結果を表1
に示す。尚、比較を行った各化合物の構造式を図1に示
した。
【0013】
【表1】 本発明物質を抗腫瘍剤、免疫抑制剤として使用するため
には製剤化して投与することができる。製剤化する場合
は、注射剤、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤などの形
態とすることができる。
【0014】
【実施例】以下に実施例、実験例を示し、さらに本発明
を詳細に説明する。 実施例1 4,15−ジヒドロベルノダリンの合成 上記クプチャンらの文献に基づいて、ベルノニア・アミ
グダリナから抽出したベルノダリン57.7mgをメタノール
2mlに溶解し、ついで、この溶液を0℃に冷却したの
ち、水素化ホウ素ナトリウム2mgを添加し、緩やかに攪
拌しながら8分間反応させた。反応終了後、酢酸を数滴
加え、pHを弱酸性にした後、反応液を濾過した。濾過液
を減圧濃縮し、ODS を充填したAQ-323カラム(YMC
製) を接続したHPLCに濃縮液を注入し、アセトニト
リル−水(30:70) を溶出液として、3ml/分の溶出スピ
ードで溶出を行った。本発明物質である4,15−ジヒド
ロベルノダリンは約24分後に溶出された。この溶出画分
を回収し、溶出液を減圧濃縮により除去し、油状の4,
15−ジヒドロベルノダリン 7.5mgを得た。
【0015】本物質の物理化学特性値を測定したとこ
ろ、上記の数値を示すことが確認できた。 実施例2 抗腫瘍効果の確認 本実施例は、実施例1で得た、4,15−ジヒドロベルダ
リンを用い、マウス白血病細胞に対する抗腫瘍効果を確
認した。 (方法)4,15−ジヒドロベルノダリンを、0.5mg/mlと
なるように10%メタノールに溶解し、マイレスクHAフィ
ルター(ミリポア社製) を用いて濾過滅菌した。これを
滅菌生理的食塩水にて100 倍に希釈し、原液とした。マ
ウス白血病細胞としてはP-388 、L-1210の2種類を使用
し、10%牛胎児血清を含んだRPMI-1640 培地に、1×10
4 個/0.9ml となるように細胞を懸濁し、24穴マルチプ
レート(住友ベークライト製) に0.9ml ずつ分注した。
これに段階希釈した試料を0.1ml ずつ添加し、37℃で5
%CO2 雰囲気下で培養した。培養開始から3日後に細胞
濃度を計測し、抗腫瘍効果を判定した。効果の判定は、
4,15−ジヒドロベルノダリン添加ウエルの細胞濃度
(T) と陰性対照の細胞濃度(C) から、増殖抑制率
〔 100−(T/C×100)〕を算出し、50%抑制濃度IC
50を求めた。 (結果)4,15−ジヒドロベルノダリンの添加により、
顕著な細胞増殖抑制が観察された。表1に示すように、
本発明物質の抗腫瘍効果は特に強く、マウス白血病細胞
P-388 株に対するIC50は0.07μg/ml、L-1210株に対す
るIC50は0.15μg/mlであった。
【0016】実施例3 免疫抑制効果の確認 本実施例は実施例1で得た4,15−ジヒドロベルノダリ
ンを用いて、マウス抗体産生応答に対する免疫抑制効果
を確認した。 (方法) (1)T細胞依存性抗原に対する in vitro 二次抗体産
生応答 DBA/2 マウス(♀、6週令)を、50%羊赤血球(SRBC)
とフロイント完全アジュバントとを等量混合して作製し
たエマルジョン 0.2mlで腹腔内免疫した。免疫3〜8週
間後にマウスの脾臓を摘出し、単細胞浮遊液を無菌的に
調製した。10%FCS添加 RPMI-1640培地で洗浄した細胞
液(2×106/ml) 0.5ml に羊赤血球5×106/mlを 0.5m
l、4,15−ジヒドロベルノダリンの10%メタノール溶
液を10μl加え、シリコンコートしたガラス試験管中で3
7℃、5%CO2 雰囲気下5日間培養した。培養終了後
FCS非添加 RPMI-1640培地 0.1mlに再浮遊し、抗体産生
細胞液とした。RPMI-1640-アガロース液 400μl 、25%
SRBC 液50μl 、抗体産生細胞液50μl 、モルモット補
体20μl を混合し、プラスチックシャーレに薄く層にし
て2時間のインキュベート後、プラーク(PFC) 数を測定
した。また、同時に培養上清を分離し、これに含まれる
IgM量をマウスモノクロナール IgM抗体を標準としたサ
ンドイッチ ELISA法を用いて測定した。さらに、培養終
了時の細胞懸濁液 0.2mlを96ウェルプレートに分取し、
これに〔3H〕−チミジン(TdR)1μCiずつ添加して24時
間パルスラベルし、脾細胞のDNA合成能を調べた。
【0017】 (2)リポ多糖刺激によるT細胞非依存性抗体産生応答 未処置のDBA/2 マウス(♀、8週令)より脾臓の単細胞
浮遊液を無菌的に調製した。溶血後10% FCS添加 RPMI-
1640培地で洗浄した細胞液(1×106 個) をリポ多糖
(LPS)20μg/ml存在下、試料を10μl 加え、3日間37
℃、5%CO2 雰囲気下培養した。(1)と同様に、脾
細胞を処理して PFC数を測定し、同時に培養上清中の I
gM抗体量を定量した。 (結果)T細胞依存性抗体産生応答に対する4,15−ジ
ヒドロベルノダリンの効果について調べた。その結果を
表2に示した。
【0018】
【表2】 4,15−ジヒドロベルノダリンの濃度に依存した抗原特
異的な抗体産生細胞数の低下が認められ、また産生され
る IgM抗体量の減少が認られた。特に、4,15−ジヒド
ロベルノダリンの濃度が10μg/ml以上で、非常に強い抑
制を示した。この時、脾細胞のDNA合成も抑制が認ら
れた。
【0019】LPS 刺激したマウス脾細胞のT細胞非依存
性抗体産生応答に対する4,15−ジヒドロベルノダリン
の効果について調べ、その結果を表3に示した。
【0020】
【表3】 T細胞非依存性の抗体産生応答に対して本物質は、1μ
g/ml以上の濃度で PFC数および産生 IgM量ともに完全な
抑制が認られた。
【0021】
【発明の効果】本発明により新規4,15−ジヒドロベル
ノダリンが提供される。本発明物質は抗腫瘍剤、免疫抑
制剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ベルノダリンの誘導体の構造式を示す線図であ
る。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年2月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ベルノニア・アミグダ
リナより分離されるベルノダリンの温和な還元によって
合成することが可能である新規な4,15−ジヒドロベル
ノダリン(4,15-Dihydrovernodalin)に関する。本物質
は抗腫瘍剤や免疫抑制剤として有用である。
【0002】
【従来の技術】近年、植物由来の抗癌剤の研究が進み、
新規な抗癌剤が提供されるようになり顕著な治療効果を
あげている。例えば、ニチニチソウ由来のビンクリスチ
ンやその誘導体であるビンブラスチンなどはその代表的
な例である。植物由来の抗腫瘍剤は、その熱帯地域の植
物から種々の物質が探索されているが、さらに新しい化
合物の探索が進められている。
【0003】本発明者らは熱帯アフリカの薬用植物に関
する研究を進める過程で、霊長類が本能的に疾病時に特
定の植物を選択していることを観察し、これらの植物か
ら生理活性成分を抽出し、その薬理活性を確認してき
た。これらの植物のうち、熱帯アフリカに広く自生する
キク科灌木ベルノニア・アミグダリナ (Vernonia amygd
alina)は、野生チンパンジーが疾病時に採食し、やがて
病状の回復につながったことが明確に観察されている。
この観察に着目し、本発明者らは、その生理活性成分の
研究を行った。これらの生理活性成分のうち次の構造式
(II) :
【0004】
【化2】
【0005】を有するセキステルペンの一種であるベル
ノダリンはクプチャン(Kupchan)らにより、KB細胞に
対するインビトロ抗腫瘍効果が確認されている (J. M.
Kupchan, et.al., The Journal of Organic Chemistry,
Vol. 34, 3908-3911(1969))。本発明者らは、すでにベ
ルノダリンがKB細胞の他に、P−388 細胞、L−1210
細胞などに強い抗腫瘍効果を示すことを確認している。
このキク科灌木ベルノニア・アミグダリナは、西アフリ
カにおいては、その独特の苦味が好まれ、伝統的な民族
料理の材料として用いられており、安全性も高いと考え
られる。
【0006】本発明者らはこのベルノダリンの生理活性
について研究を進めた結果、ベルノダリンの誘導体には
強い抗腫瘍活性が存在することを見い出した。特に本発
明により提供される新規化合物である4,15−ジヒドロ
ベルノダリンは、一連のベルノダリン誘導体と比較して
も強い抗腫瘍活性と免疫抑制活性を示すことを初めて見
い出した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
知見に基づいてなされたもので、新規な4,15−ジヒド
ロベルノダリンの提供を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、次の構造式
(I):
【0009】
【化3】
【0010】で示される4,15−ジヒドロベルノダリン
に関する。本発明で提供される4,15−ジヒドロベルノ
ダリンは、上記クプチャンらの文献に基づいて、ベルノ
ニア・アミグダリナから抽出したベルノダリンから得る
ことができる。これを詳述すると、ベルノニア・アミグ
ダリナ乾燥葉からクロロホルム抽出、n−ヘキサン・メ
タノール抽出、シリカゲルクロマトグラフィー、HPL
C等により精製し、ベルノダリンを得る。このようにし
て精製されたベルノダリンは、無色の油状物質として得
られ、メタノール、エタノール、アセトニトリル、酢酸
エチル、ジメチルスルフォキシドなどの有機溶媒に溶解
し、水に不溶性の、前記構造式(II)を有する物質であ
る。
【0011】本発明の4,15−ジヒドロベルノダリン
は、このベルノダリンを合成の出発物質として使用する
ことができる。ベルノダリンの4位、15位に選択的に水
素を導入することにより、本発明物質である4,15−ジ
ヒドロベルノダリンを合成することができる。水素化ホ
ウ素ナトリウム(NaBH4)を用いて温和な条件で反応させ
ることにより選択的に4位、15位の炭素間の二重結合部
位に水素が導入される。反応は、通常、メタノールなど
の有機溶媒に溶解させたベルノダリンに、還元剤NaBH4
を加え、室温〜0℃以下で緩やかに攪拌し反応させる。
反応終了後、酢酸などの酸を加え、反応溶液のpHを弱酸
性とした後、濾過後、逆相HPLCにより分離精製を行
い、本発明物質を回収することができる。また溶媒抽出
などの手段を用いることもできる。
【0012】 本発明物質は下記の物理化学的特性を有す
る。 一般名;4, 15-Dihydrovernodalin 正式名;3aβ, 4, 5, 5a, 6, 9, 9aβ, 9bα-octahydro
-9-methyl-3-methylene-4β-(2-methylenehydracryloyl
oxy)5aβ-vinyl-2H-furo〔2, 3-f〕〔2〕benzopyran-2,
8(3H)-dione. 分子式:C19227 色; 無色 性状; 油状、強い苦味を呈する。
【0013】 旋光度; 〔α〕25 D +189.8°(C=2.74mg/ml, CHCl3) UV吸収; λmax (MeOH) nm (ε) :210 (ε29000) 赤外吸収; νmax (KBr) cm-1: 3350, 1780-1720 br, 16
40 FAB-MS; m/z: 363 ( 〔M+H〕+, NBA, C19H22O7 +H)1 H-NMR;δ (400MHz, CDCl3) ppm : 1.44 (3H, d, J=6.
7, H3-15),1.75 (1H, dd, J=15.3, 5.8Hz, H-9), 1.86
(1H, br.s, OH), 2.13 (1H, dd, J=15.0, 5.8Hz, H-9),
2.20 (1H, dd, J=10.6, 7.2Hz, H-5), 2.68 (1H, quin
tet,J= 7.0Hz, H-4), 3.06 (1H, ddt, J=11.6, 10.1,
3.2, 3.2Hz, H-7),4.01 (1H, dd, J=11.3, 11.0Hz, H-
6), 4.12 (1H, d, J=11.6, H-14),4.22 (1H, d, J=12.4
Hz, H-14), 4.35 (2H, s, H2-4'), 5.26 (1H, dt, J=1
0.1,5.8, 5.8Hz, H-8), 5.30 (1H, d, J=17.7Hz, H-2),
5.34 (1H, d, J=11.0Hz,H-2), 5.66 (1H, d, J=3.1Hz,
H-13), 5.87 (1H, dd, J=17.6, 10.8Hz, H-1),5.96 (1
H, d, J=1.2Hz, H-3), 6.22 (1H, d, J=3.4Hz, H-13),
6.28 (1H, d,J=0.9Hz, H-3')
【0014】 4,15−ジヒドロベルノダリンの絶対配置
決定法については、NMR (250 MHz、測定溶媒、重クロロ
ホルム小量+重ピリジン)におけるNOEをNOESYPH法で測
定した。 新たに生じた15位メチル(1.43ppm)と5位のα−水素(2.
18ppm)、また4位水素(2.69ppm)と6位のβ−水素(4.04
ppm)間にクロスピークが認められた。この結果は、次の
構造式に示すように、15位メチルがα配置,4位水素が
β配置であることを明白に物語っているものである。
【0015】
【化4】
【0016】本発明物質は白血病細胞株であるP-388 や
L-1210細胞に対する抗腫瘍活性、バチルス・スブチリス
(B.subtilis)、ミクロコッカス・ルテア(M.lutea)に対
する抗菌活性を有している。また本発明物質は抗体産生
応答などの免疫反応を抑制する活性も有する。本発明物
質の抗腫瘍活性を既存のベルノダリン化合物と比較した
結果を表1に示す。尚、比較を行った各化合物の構造式
を図1に示した。
【0017】
【表1】 本発明物質を抗腫瘍剤、免疫抑制剤として使用するため
には製剤化して投与することができる。製剤化する場合
は、注射剤、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤などの形
態とすることができる。
【0018】
【実施例】以下に実施例、実験例を示し、さらに本発明
を詳細に説明する。 実施例1 4,15−ジヒドロベルノダリンの合成 上記クプチャンらの文献に基づいて、ベルノニア・アミ
グダリナから抽出したベルノダリン57.7mgをメタノール
2mlに溶解し、ついで、この溶液を0℃に冷却したの
ち、水素化ホウ素ナトリウム2mgを添加し、緩やかに攪
拌しながら8分間反応させた。反応終了後、酢酸を数滴
加え、pHを弱酸性にした後、反応液を濾過した。濾過液
を減圧濃縮し、ODS を充填したAQ-323カラム(YMC
製) を接続したHPLCに濃縮液を注入し、アセトニト
リル−水(30:70) を溶出液として、3ml/分の溶出スピ
ードで溶出を行った。本発明物質である4,15−ジヒド
ロベルノダリンは約24分後に溶出された。この溶出画分
を回収し、溶出液を減圧濃縮により除去し、油状の4,
15−ジヒドロベルノダリン 7.5mgを得た。
【0019】 本物質の物理化学特性値を測定したとこ
ろ、上記の数値を示すことが確認できた。 実施例2 抗腫瘍効果の確認 本実施例は、実施例1で得た、4,15−ジヒドロベルダ
リンを用い、マウス白血病細胞に対する抗腫瘍効果を確
認した。 (方法)4,15−ジヒドロベルノダリンを、0.5mg/mlと
なるように10%メタノールに溶解し、マイレスクHAフィ
ルター(ミリポア社製) を用いて濾過滅菌した。これを
滅菌生理的食塩水にて100 倍に希釈し、原液とした。マ
ウス白血病細胞としてはP-388 、L-1210の2種類を使用
し、10%牛胎児血清を含んだRPMI-1640 培地に、1×10
4 個/0.9ml となるように細胞を懸濁し、24穴マルチプ
レート(住友ベークライト製) に0.9ml ずつ分注した。
これに段階希釈した試料を0.1ml ずつ添加し、37℃で5
%CO2 雰囲気下で培養した。培養開始から3日後に細胞
濃度を計測し、抗腫瘍効果を判定した。効果の判定は、
4,15−ジヒドロベルノダリン添加ウエルの細胞濃度
(T) と陰性対照の細胞濃度(C) から、増殖抑制率
〔 100−(T/C×100)〕を算出し、50%抑制濃度IC
50を求めた。 (結果)4,15−ジヒドロベルノダリンの添加により、
顕著な細胞増殖抑制が観察された。表1に示すように、
本発明物質の抗腫瘍効果は特に強く、マウス白血病細胞
P-388 株に対するIC50は0.07μg/ml、L-1210株に対す
るIC50は0.15μg/mlであった。
【0020】 実施例3 免疫抑制効果の確認 本実施例は実施例1で得た4,15−ジヒドロベルノダリ
ンを用いて、マウス抗体産生応答に対する免疫抑制効果
を確認した。 (方法) (1)T細胞依存性抗原に対する in vitro 二次抗体産
生応答 DBA/2 マウス(♀、6週令)を、50%羊赤血球(SRBC)
とフロイント完全アジュバントとを等量混合して作製し
たエマルジョン 0.2mlで腹腔内免疫した。免疫3〜8週
間後にマウスの脾臓を摘出し、単細胞浮遊液を無菌的に
調製した。10%FCS添加 RPMI-1640培地で洗浄した細胞
液(2×106/ml) 0.5ml に羊赤血球5×106/mlを 0.5m
l、4,15−ジヒドロベルノダリンの10%メタノール溶
液を10μl加え、シリコンコートしたガラス試験管中で3
7℃、5%CO2 雰囲気下5日間培養した。培養終了後
FCS非添加 RPMI-1640培地 0.1mlに再浮遊し、抗体産生
細胞液とした。RPMI-1640-アガロース液 400μl 、25%
SRBC 液50μl 、抗体産生細胞液50μl 、モルモット補
体20μl を混合し、プラスチックシャーレに薄く層にし
て2時間のインキュベート後、プラーク(PFC) 数を測定
した。また、同時に培養上清を分離し、これに含まれる
IgM量をマウスモノクロナール IgM抗体を標準としたサ
ンドイッチ ELISA法を用いて測定した。さらに、培養終
了時の細胞懸濁液 0.2mlを96ウェルプレートに分取し、
これに〔3H〕−チミジン(TdR)1μCiずつ添加して24時
間パルスラベルし、脾細胞のDNA合成能を調べた。
【0021】 (2)リポ多糖刺激によるT細胞非依存性抗体産生応答 未処置のDBA/2 マウス(♀、8週令)より脾臓の単細胞
浮遊液を無菌的に調製した。溶血後10% FCS添加 RPMI-
1640培地で洗浄した細胞液(1×106 個) をリポ多糖
(LPS)20μg/ml存在下、試料を10μl 加え、3日間37
℃、5%CO2 雰囲気下培養した。(1)と同様に、脾
細胞を処理して PFC数を測定し、同時に培養上清中の I
gM抗体量を定量した。 (結果)T細胞依存性抗体産生応答に対する4,15−ジ
ヒドロベルノダリンの効果について調べた。その結果を
表2に示した。
【0022】
【表2】 4,15−ジヒドロベルノダリンの濃度に依存した抗原特
異的な抗体産生細胞数の低下が認められ、また産生され
る IgM抗体量の減少が認られた。特に、4,15−ジヒド
ロベルノダリンの濃度が10μg/ml以上で、非常に強い抑
制を示した。この時、脾細胞のDNA合成も抑制が認ら
れた。
【0023】 LPS 刺激したマウス脾細胞のT細胞非依存
性抗体産生応答に対する4,15−ジヒドロベルノダリン
の効果について調べ、その結果を表3に示した。
【0024】
【表3】 T細胞非依存性の抗体産生応答に対して本物質は、1μ
g/ml以上の濃度で PFC数および産生 IgM量ともに完全な
抑制が認られた。
【0025】
【発明の効果】本発明により新規4,15−ジヒドロベル
ノダリンが提供される。本発明物質は抗腫瘍剤、免疫抑
制剤として有用である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の構造式(I): 【化1】 で示される4,15−ジヒドロベルノダリン。
JP4357979A 1992-12-25 1992-12-25 4,15−ジヒドロベルノダリン Pending JPH06192265A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6713098B2 (en) * 2001-01-24 2004-03-30 Jackson State University Phytochemotherapy for cancer
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CN106841467A (zh) * 2017-03-03 2017-06-13 四川德成动物保健品有限公司 一种益母生化合剂中苦杏仁苷的高效液相色谱检测方法

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