JPH06191A - 高周波カテーテルアブレーション用同軸双極カテーテル及び、中継同軸ケーブル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は、難治性頻拍性不整脈の病変部
を、内科的に経血管的に焼灼治療する際に使用する特殊
カテーテルに関するもので、高周波発生装置より出力さ
れた高周波エネルギーを、心臓内の病巣へ伝達させる役
割を担うものである。 【構成】 カテーテル装置全体が同軸構造から成ってお
り、先端電極（１）に内部導体（１０）が、近位電極
（２）に外部導体（１２）（アース）が接続されてい
る。またカテーテルの接続部（４）（９）には同軸コネ
クターを使用し、中継同軸ケーブルを経て高周波発生装
置に接続する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、従来開胸手術によっ
て切除されていた難治性頻拍性不整脈の病変部を、内科
的に経血管的に焼灼（高周波カテーテルアブレーショ
ン、以下本術）治療する際に使用する、特殊カテーテル
に関するもので、高周波発生装置より出力された高周波
エネルギーを、心臓内の病巣へ伝達させる役割を担うも
のである。

【０００２】

【従来の技術】近年本術は頻拍性不整脈に対する最新の
内科的治療法として、多くの循環器科医に注目されてい
る。しかしその装置、特にカテーテルに関しては未だ十
分開発研究されていない。現在本術に用いられているカ
テーテルは、従来の心内電位記録用のカテーテルと内部
構造がほぼ同一（図８、９、１０）で、カテーテル給電
部と先端電極部とを単純に電気的に接続させたものであ
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この構造を有するカテ
ーテルの場合、心内電位記録時や、直流エネルギーを用
いた通電時の、伝達効率や電力損失はあまり問題となら
ない。しかし本術においては、高周波エネルギーを導電
させる必要があり、カテーテル給電部と電極部とを、単
純に電気的に接続させるのみでは、その伝達効率は極め
て悪く、電力損失も無視出来なくなる。また電気的にシ
ールドされていないため、電極以外からの漏れ電流は大
きく、病変以外の部位への高周波漏れに起因する、生体
への他の悪影響が発生する可能性もある。そこでエネル
ギー伝達効率を向上させ、カテーテル先端以外での放射
を減らし、カテーテル自体を容易にインピーダンスマッ
チングさせることが可能となるように本発明を開発し
た。

【０００４】

【課題を解決するための手段】いまその構成を説明する
と、 イ） 図１に示すカテーテル装置全体が同軸フィーダー
様に造られていることである。 ロ） このカテーテル装置は、図２〜４のカテーテル本
体（（３）のカテーテル長：１０００〜１２００ｍｍ、
直径：２〜３ｍｍ）と図５〜７の中継同軸ケーブル
（（６）のケーブル長：約５００ｍｍ、直径：約５ｍ
ｍ）より構成されている。 ハ） カテーテルの給電部（４）は同軸構造に対応させ
るため、同軸コネクター（４）（９）を使用する。 ニ） 図１〜図７に示す通り、高周波エネルギーは中継
同軸ケーブルの内部導体（１４）より、同軸双極カテー
テルの内部導体（１０）を経て電極長約２ｍｍのカテー
テル先端（１）に、導電するように設置されている。 ホ） 高周波発生装置のアースは、中継同軸ケーブルの
外部導体（１６）より同軸双極カテーテルの外部導体
（１２）へ接続され、先端電極（１）から約２〜３ｍｍ
近位側の近位電極（２）（電極長約３〜４ｍｍ）に導電
される。 以上のように装置する。

【０００５】

【作用】次に本発明の作用を、実験結果を元に述べる。
高周波発生装置（約１５ＭＨｚ）を用いて、同軸双極カ
テーテルから、シールドルーム内で金属トレイ内の生理
的食塩水に浸した肉片に通電した。対照として従来のカ
テーテル（図８〜１０）も同様に用い、焼灼効率を比較
した。（表１） 表に示すとおり、同軸双極カテーテルでは従来のカテー
テルに比し、より広範囲が安定して焼灼された。また焼
灼部位は先端電極部から近位電極部の遠位端までの一ケ
所であった。一方従来のカテーテルでは通電毎のばらつ
きが大きく不安定で、さらに焼灼時にインピーダンスマ
ッチングは必須であった。焼灼範囲は電極の接触部のみ
に限られ、先端及び近位電極部の２ケ所が別々に焼灼さ
れた。次に中継同軸ケーブルの作用について述べる。従
来のカテーテル（図８、９、１０）は、通常のピンジャ
ックコネクター（２２）から、中継ケーブルを介して高
周波発生装置及び記録器に接続されている。そのためカ
テーテル操作時、回転力を加えるためにはその都度中継
ケーブルを取外さなければならなかった。しかし本発明
は、図５、６、７に示す中継同軸ケーブルを経て高周波
発生装置に接続される。接続部（４）（５）（９）は双
極電極を同軸上に配置しているため、容易に回転可能な
構造にし得る。これによりカテーテルを操作中も、その
電極から同時に心内電位を記録することが可能となる。

【０００６】

【実施例】先端及び近位電極の間隔を変えることによっ
て、焼灼範囲を調節することが可能となる。また近位電
極を先端電極とほぼ同様の大きさにしても、焼灼範囲は
変らず、安定して先端電極部から電極間までが焼灼され
る。

【０００７】

【発明の効果】本術では、決められた一つの領域が、よ
り選択的に安定して焼灼されることが重要である。その
観点から実験結果に示す通り、同軸双極カテーテル及び
中継同軸ケーブルは極めて有用な装置と考える。また本
発明を用いることにより焼灼効率は改善し、その分通電
エネルギーを減少させることも可能である。過度のエネ
ルギーによる不測の合併症をも抑えることが可能とな
る。また操作性も向上し、検査及び焼灼術に要する時間
も短縮させ得るため、患者の受ける恩恵は極めて大きい
ものと思われる。以上に述べたごとく、本発明は従来の
装置に比し、極めて有用な装置と考える。

【図面の簡単な説明】

【図１】同軸双極カテーテル及び、中継同軸ケーブルの
全体像の斜視図

【図２】同軸双極カテーテルの斜視図

【図３】同軸双極カテーテルの縦断面図

【図４】同軸双極カテーテルの横断面図

【図５】中継同軸ケーブルの斜視図

【図６】中継同軸ケーブルの縦断面図

【図７】中継同軸ケーブルの横断面図

【図８】従来の本術用カテーテルの斜視図

【図９】従来の本術用カテーテルの縦断面図

【図１０】従来の本術用カテーテルの横断面図

【符号の説明】 １ 先端電極 ２ 近位電極 ３ 同軸双極カテーテル（外皮） ４ 同軸双極カテーテル給電コネクター ５ 中継同軸ケーブル接続コネクター（カテーテル側） ６ 中継同軸ケーブル（外皮） ７ 中継同軸ケーブル接続コネクター（高周波発生装置
側） ８ 中継同軸ケーブル接続コネクター（中心線） ９ 同軸双極カテーテル給電コネクター（中心線） １０ 内部導体（中心線）：同軸双極カテーテル内 １１ 絶縁体：同軸双極カテーテル内 １２ 外部導体（編組線）：同軸双極カテーテル内 １３ 外部絶縁体（外皮）：同軸双極カテーテル内 １４ 内部導体（中心線）：中継同軸ケーブル内 １５ 絶縁体：中継同軸ケーブル内 １６ 外部導体（編組線）：中継同軸ケーブル内 １７ 外部絶縁体（外皮）：中継同軸ケーブル内 １８ 先端電極（従来のカテーテル） １９ 近位電極（従来のカテーテル） ２０ 外部絶縁体（外皮）：（従来のカテーテル） ２１ 給電線（従来のカテーテル） ２２ 給電ピンジャック ２３ カテーテル内部は中空（従来のカテーテル） ２４ カテーテル内の導電線

【表１】

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】イ） カテーテル本体の導電体は同軸構造
   を有し、中心線（内部導体）は編組線（外部導体：アー
   ス）により電気的にシールドされている。 ロ） 高周波発生装置の出力は、カテーテル給電部の中
   心線に接続され、同軸カテーテルの内部導体を導電し、
   先端電極に至る。 ハ） 高周波発生装置のアースは、カテーテル給電部の
   外側部に接続され、同軸カテーテルの外部導体を導電
   し、近位電極に至る。 以上より構成される、高周波カテーテルアブレーション
   用同軸双極カテーテル装置。
2. 【請求項２】中継同軸ケーブルを経て高周波発生装置及
   び記録器に接続される、請求項１の高周波カテーテルア
   ブレーション用同軸双極カテーテル装置。