JPH0618587B2 - 網膜前方膜及び網膜後方膜を除去するために行う眼への粘性液体注入装置 - Google Patents

網膜前方膜及び網膜後方膜を除去するために行う眼への粘性液体注入装置

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JPH0618587B2
JPH0618587B2 JP1160596A JP16059689A JPH0618587B2 JP H0618587 B2 JPH0618587 B2 JP H0618587B2 JP 1160596 A JP1160596 A JP 1160596A JP 16059689 A JP16059689 A JP 16059689A JP H0618587 B2 JPH0618587 B2 JP H0618587B2
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    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61FFILTERS IMPLANTABLE INTO BLOOD VESSELS; PROSTHESES; DEVICES PROVIDING PATENCY TO, OR PREVENTING COLLAPSING OF, TUBULAR STRUCTURES OF THE BODY, e.g. STENTS; ORTHOPAEDIC, NURSING OR CONTRACEPTIVE DEVICES; FOMENTATION; TREATMENT OR PROTECTION OF EYES OR EARS; BANDAGES, DRESSINGS OR ABSORBENT PADS; FIRST-AID KITS
    • A61F9/00Methods or devices for treatment of the eyes; Devices for putting-in contact lenses; Devices to correct squinting; Apparatus to guide the blind; Protective devices for the eyes, carried on the body or in the hand
    • A61F9/007Methods or devices for eye surgery
    • A61F9/00736Instruments for removal of intra-ocular material or intra-ocular injection, e.g. cataract instruments

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は眼内手術の分野に関し,特に網膜前方膜(pr
e−retinal membrane)又は網膜後方
膜(post−retinal membrane)を
除去する外科的処置に関する。
(従来の技術とその課題) 眼の後方部の外科的処置に引き続いてしばしば起こる手
術後併発症に,にかわ細胞膜(gliocell me
mbrane)が形成され網膜にはり付くというものが
ある。脈絡膜が,切断,レーザバーニング,プロービィ
ング損傷,低温・高温損傷又はその他の形態の刺激によ
って刺激されると,繊維細胞(fibro cell)
とにかわ細胞が脈絡膜から押し出されてくる。にかわ細
胞はにかわ状(glve−like)であり,刺激によ
って形成された障害を取り囲むことによって損傷を回復
するのに役立つ。このにかわ細胞の排泄作用は,しばし
ばはがれた網膜を脈絡膜にくっつけるのに使われる。残
念ながら,人体の繊維細胞及びにかわ細胞の分泌を制御
するメカニズムは,精度良く調整されていないために,
機能を果たすのに充分な数の細胞が排泄された適切な時
期に,これらの細胞の分泌を停止することができない。
過剰の該細胞の排泄によってしばしば眼のレンズと網膜
との間,網膜上に細胞の膜(membrane)が形成
される。この膜は,網膜への光路障害となる。網膜が剥
離した場合,この膜は網膜と脈絡膜の間に形成されるこ
とがある。
これらの膜の形成は増殖性の病気(prolifera
tive disease)と呼ばれる。この病気はし
ばしば剥離した網膜を再びはりつけるための外科的処置
の手術後の併発症として起こる。この現象から生じるネ
ガティブな効果の1つは,にかわ細胞が最初,網膜と脈
絡膜の間にあって網膜を覆ように1つの単細胞層膜(s
ingle−cell−layer membran
e)を形成することである。この膜は,“ネイルズ(n
ails)”と時々呼ばれるものによって,網膜のさま
ざまの箇所にはり付けられる。
網膜は通常VELCRO(商標)のブランドhook−
and−loop−fabricに類似した構造によっ
て脈絡膜にはり付いている。
増殖性の病気が進行した場合,この網膜の自発剥離の問
題がある。このことは以下の理由で起こりうる。すなわ
ち,この膜が最初は単一の細胞の層として形成される。
後に,この細胞は,さらに成長することなく多細胞層
(a multiple cell layer)に整
列する。
“ネイルズ”の位置における網膜への付着は非常に強力
である。以前に単層の細胞膜であった複数の細胞が細胞
が積層した厚さを有する一層の膜となるために,その膜
は収縮する傾向にある。この収縮は“ネイルズ”の位置
の網膜に応力を及ぼし,網膜に穴を開けるか又は網膜の
脈絡膜からの自発剥離を招く。
膜(membrane)形成の他の問題は,このような
膜を除くための従来技術に於いて,使用される器具によ
って又は“ネイルズ”の結合点を通じて網膜に力が加え
られ,網膜の構造に損傷が与えられるということであ
る。典型的には,これは,ある“ネイル(nail)”
の位置において網膜中の穴を引っ張ることによって又は
使用器具の操作を誤って網膜に穴を開けることによって
起こってしまう。
また,網膜後方膜,すなわち,網膜と脈絡膜の間にある
膜を取り除く過程が網膜の杆状体(rods)と錐状体
(cones)への血液循環の停止を招く。これらの問
題を理解するために以下の考案を行う。
従来技術に於いて外科医はこれらの膜を幾つかの技術を
用いて網膜から取り除いてきた。そのような技術のひと
つは,刃が閉じた状態で垂直眼内ハサミを持ち,そのハ
サミの先を膜と網膜の間に挿入するというものである。
これは,非常にデリケートなプロセスであり,膜と網膜
の間の隙間が大きくないので手の優れた器用さが必要と
なる。
ハサミが挿入された後,その刃は非常におだやかに開け
られ,膜が網膜から分離される。このプロセスはネイル
の位置に遭遇するまで続けられる。次に水平眼内ハサミ
が膜と網膜の隙間に挿入され,「ネイル」を切断する。
このプロセスは「ネイルズ」が発見され,切断され又は
引き離されるまで繰り返される。こうして,膜が網膜か
ら分離された後,膜は通常,硝子耐切除プローブを用い
て取り除かれる。
他の従来技術はフック付きの光ファイバープローブを有
する器械を用いる技術である。このフックは非常に小さ
く,ライトパイプの先に形成されている。フックは,そ
の先を膜と網膜との間に挿入し,また,膜をゆっくり引
っ張ることによって網膜から膜を分離することに用いら
れる。
これらの従来技術に於ける困難は,網膜への損傷が容易
に発生してしまうことである。損傷のひとつの型は,膜
に加えられ「ネイル」の位置で網膜に伝達される機械的
な力が大きすぎる場合に起こるものである。これによっ
て,網膜の穴が「ネイルズ」の位置で引っぱられる。
さらに,ネイルズを介して網膜に加えられる力が,網膜
を脈絡膜にとどまらせている力を越えた場合に網膜の剥
離も起こる。
別のタイプの損傷は,網膜がフックに押えられている間
に,器械の不注意の動きが過剰の力を網膜に加えてしま
うことによって発生する。非常に熟練した技術をもって
道具が操されない場合,網膜に穴があけられてしまうこ
とがある。これらの穴は,相対的に集中した力が器械の
先端によって網膜に作用することによって形成される。
少くとも1人の外科医は網膜前方膜を網膜から取り除く
こと(lifting)のために網膜前方膜と網膜の隙
間に粘性液体を注入する手動操作の注射器使用について
報告している。
報告によれば,この操作の結果はおおむね上述のフック
と垂直ハサミを用いる技術によって得られるのと同様の
質であった。手動の注射器を用いることの困難は,非常
に狭い針のチャネルを介して粘性液体を押し出すことが
プランジャに加える非常に大きな力を必要とすることで
ある。この力によって外科医の手が揺り動かされ,網膜
と網膜前方膜のわずか1mm以下の隙間の中で注射器の先
が不意に制御できない状態で動いてしまうことがしばし
ば起こる。この予想できない動きは,ネイルズを引き離
すことによる破裂を引き起こし,網膜の傷に穴をあけ
る。
従って,網膜の自発剥離を引き起こさず,網膜の穴を引
き又はパンチング(punching)することなく膜
を網膜から優しく分離し,それによって網膜を傷つける
ことのない,しかも外科医が注射器のプランジャに手で
物理的な力を加える必要なく「ネイルズ」を切断するた
めに使用できる方式に対する必要性が生じてきた。
(課題を解決するための手段) 本発明の粘性材料注入装置は,身体に粘性材料を注入す
る装置であって,出力部に於いてあらかじめ決められた
特性を有する空気圧を発生させるための空気圧出力部を
有する手段と,該空気圧出力部に結合された空気圧ホー
スと,該空気圧ホース内を流れるガスを濾過する殺菌フ
ィルタと,先の鋭った中空針を有する注射器とを備え,
該注射器が濾過されたガス流を受けとるように該殺菌フ
ィルタと結合されており,該注射器のピストンと該中空
針によって形成される通路内において注入すべき材料を
有している。
また前記注射器が,第1及び第2の端と該第1及び第2
の端の間のある位置から突き出した少くとも2つのフラ
ンジを備えた中空体を有しており,前記中空針が該第2
の単に取り付けられ該中空体の内部キャビティとの間で
液体が伝達される状態であり,該フィルタと該注射器が
結合器によって結合されており,該結合器が第1,第
2,及び第3のセクションを有し,かつ,該第2のセク
ションが該少くとも2つのフランジと該第1の端の間で
該注射器の突き出た部分を収容するための中空通路を有
し,かつ,該第2のセクションが該注射器体の突き出た
部分と該第2のセクションの間で空気圧シールを形成す
るためのシーリング手段を有し,かつ,該第2のセクシ
ョンが該少くとも2つの突き出たフランジを密着させ,
該注射器体への機械的な接続を形成する手段を有し,か
つ,第3のセクションが該フィルタからの前記濾過され
たガス流を受ける空気圧カップリングを形成する手段を
有していても良い。
また前記注射器の前記通路内であって,前記ピストンと
前記中空針の間にHEALON材料を有していても良
い。
また前記フィルタが前記空気圧ホース内に置かれたイン
ラインフィルタであっても良い。
また空気圧を発生させる前記手段がEFD of Ea
st Providence,Rhode Islan
dが製造するモデル1000XLにかわ注入装置であっ
ても良い。
また空気圧を発生させる前記手段に結合された足操作コ
ントロールを備え,空気圧を発生させる該手段が,選択
できる空気圧レベルを前記注射器の前記ピストンに加え
る手段を有し,該空気圧レベルが該足操作コントロール
のフルスケールの踏み込みに対する割合の1次関数とな
っても良い。
また前記にかわ注入装置がフットスイッチコントロール
と空気パルス時間を設定する手段を備えており,さら
に,該フットスイッチコントロールが動作させられてい
る間に選択されたプログラム可能な空気圧レベルが前記
注射器に加えられる第1のモードを実行し,かつ選択さ
れたプログラム可能な空気圧ピークと持続時間設定手段
によって設定されたパルス持続時間を持つ空気パルス
が,該フットスイッチの最初に踏まれた時点で該注射器
に加えられ,選択された時間間隔が経過した時点で該空
気圧が止む第2のモードを実行する手段を備えていても
良い。
また前記にかわ注入装置が,選択されたレベルの真空を
発生させ,かつ何れのモードに於いても空気圧の印加終
了後,該選択された真空レベルを加える手段を備えてい
ても良い。
また身体に粘性材料を注入する装置であって,制御トラ
ンスデューサと空気圧ピークコントロールと時間間隔コ
ントロールを有し,かつ,コントロールスイッチが動作
された時,該空気圧ピークコントロールの操作によって
設定されたプログラム可能空気圧レベルの出力部への印
加が開始し,該コントロールスイッチの動作を停止した
時,該印加が停止する第1のモード,及び該空気圧コン
トロールの操作によって選択された空気圧ピークと持続
時間コントロールの操作によって設定されたパルス持続
時間とを有する空気圧パルスが,該コントロールスイッ
チの動作時に該出力部に印加され,時間間隔コントロー
ルによって設定された時間間隔経過時に該印加が停止す
る第2のモード,を包含する複数モードのいずれに於い
ても該出力部に空気圧を発生させる空気圧手段と,該出
力部に結合された空気圧チューブと,該出力部に該空気
圧チューブを介して空気圧で結合され,フィルタ出力部
を有する殺菌フィルタと,該フィルタ出力部に空気圧で
結合された殺菌注射器とを備え,該注射器が殺菌ピスト
ンによって該注射器内に形成された通路を有し,該通路
が該ピストンによって少くとも第1及び第2に分離され
た通路に分けられており,また該注射器は,該第1の通
路と液体によって連結された殺菌中空針を有し,該フィ
ルタ出力部が該第2の通路と液体によって連結され,該
注射器が該第1の通路内に粘性材料をたくわえていても
良い。
また前記粘性材料がHEALON ヒアルロン酸ナトリ
ウム(sodium hyaluronate)であっても良い。
また前記空気圧手段がさらにプログラム可能なレベルの
真空を発生させ,空気圧の前記注射器への印加終了時に
自動的に該注射器の前記第2の通路へ該真空を印加する
真空手段を備えていても良い。
また身体に粘性材料を注入する装置であって,コントロ
ールトランスデューサを有し,かつ該コントロールトラ
ンスデューサが出力部に於いて該コントロールトランス
デューサの位置の1次関数となる空気圧を発生する空気
圧手段と,該出力部に結合された空気圧チューブと,該
空気圧チューブを介して該出力部に空気圧で結合され,
フィルタ出力部を有する殺菌フィルタと,該フィルタ出
力部に空気圧で結合された殺菌注射器とを備え,該注射
器が殺菌ピストンによって該注射器内に形成された通路
を有し,該通路は該ピストンによっられており,また該
注射器は,該第1の通路と液体によって連結された殺菌
中空針を有し,該フィルタ出力部が該第2の通路と液体
によって連結され,該注射器が第1の通路内に粘性材料
をたくわえていても良い。
また最大圧力コントロールを有する空気圧手段を備え,
該空気圧手段が,最大圧力コントロールの位置を読み,
かつ該位置によって設定された最大圧力を内挿計算に於
ける上限として使用する手段を備え,前記コントロール
トランスデューサのフルスケールの踏み込みを該最大圧
力コントロールによって設定された圧力へと換算し,ま
た該コントロールトランスデューサのフルスケールの踏
み込み以下では大気圧と該最大圧力との間の圧力へ実質
的に比例するように換算するコントロールトランスデュ
ーサの位置の1次関数となる空気圧を発生させても良
い。
本発明の粘性材料注入方法は,空気圧出力部での最大空
気圧を設定するための圧力コントロールを有するにかわ
注入ユニットを使用して粘性材料を身体に注入する方法
であって,中空針と鋭い先端を有し注入される粘性材料
をたくわえている注射器を,該空気圧出力部に空気圧に
よって結合する工程と,空気圧を該注射器に加え,該中
空針から出る該粘性材料の流出レートを試験する工程
と,該流出レートが適当なものとなるまで該空気圧を調
整する工程と,身体の粘性材料が注入されるべき位置に
該針の先がさし込まれる工程と,充分な量の該粘性材料
が注入されるまで選択された空気圧を加える工程とを包
含している。
また可変圧力コントロールと,可変時間コントロール
と,連続モードとワンショットモードの間で選択を行う
ためのモード選択スイッチと,圧力コントロールスイッ
チと,鋭い先端を持つ針を有する注射器に結合された空
気圧出力部とを備え,注入される材料を該注射器がたく
わえている空気圧ユニットを使用する,身体への粘性材
料注入方法であって,該圧力コントロールスイッチを動
作させ出力部に空気圧を加えることによって身体の外部
に於いてサンプル注入を行う間に注射器の先からの該材
料の流出レートを観察し,所望の流出レートが得られる
まで該可変圧力コントロールを操作することによって圧
力を設定する工程と,該モード選択スイッチの操作によ
ってワンショットモードを選択し,該ワンショットモー
ドの間に発生させられた空気圧パルスの時間間隔を設定
し,該出力部に於いて多数の該空気圧パルスを発生させ
る回数だけ該圧力コントロールスイッチを動作すること
によって身体の外部でサンプル注入を行い,適切なパル
ス時間が得られるまで該パルス時間を調整するために該
可変時間コントロールを操作する工程と,該モード選択
スイッチの操作によって所望のモードを選択する工程
と,該連続モードが選択された場合,該材料の流入がな
される場所に該注射器の針が置かれ所望の量の該材料が
注入されるまで該圧力コントロールスイッチが動作させ
られ,その後該圧力コントロールスイッチの動作を終え
る工程と,身体中の他の必要と思われる位置において前
記工程を繰り返す工程と,該ワンショットモードが選択
された場合,身体の注入がなされる位置に該針先が置か
れ該圧力コントロールスイッチが動作させられる工程
と,必要に応じて他の位置で前記工程を繰り返す工程を
包含していても良い。
また前記圧力発生装置が空気圧の印加に続いて選択され
た真空度を前記注射器に加える真空発生装置,及び可変
真空コントロールを備えており,身体の外部に於いてサ
ンプル注入を実施する工程が,該注入に続いて該針先か
ら最後の1滴の材料がこぼれるのを防ぐのに充分なレベ
ルの真空が加えられるまで該可変真空コントロールを操
作する副工程を含んでいても良い。
また前記材料が注入される位置が眼の膜と網膜の間であ
って,該膜を該網膜から分離し,該膜と該網膜の間のす
べての付着点を分離し,破壊するために必要な充分な箇
所に於いて注入を行い,続いて該粘性材料を通して破壊
されていない各々の付着点へ水平方向に向いた眼内ハサ
ミを作用させ該付着を切断し,続いて該膜及び残留する
該粘性材料を眼から吸引する工程を包含していても良
い。
また可変圧力コントロールと,足操作圧力コントロール
スイッチと,鋭い先を持つ針を有する注射器に結合され
た空気圧出力部とを備え,注入される材料を該注射器が
たくわえている,身体への粘性材料注入方法であって,
該出力部に空気圧を加えるために該圧力コントロールス
イッチを動作させ,身体の外部でのサンプル注入の間,
該注射器からの流出レートを観察し,かつ該針先から所
望の流出レートが得られるまで該可変圧力コントロール
を操作することによって所望の最大空気圧の出力圧力を
設定する工程と,身体の注入がなされる位置に該針先を
置いて,フルスケール踏み込みの選択された割合まで足
操作圧力コントロールトランスデューサを動作させ粘性
液体の注入及び注入結果を観察する工程と,該注入位置
に於いて所望の結果が得られるまで該足操作圧力コント
ロールトランスデューサを操作し,充分な粘性液体を得
る工程と,必要に応じて他の位置に於いて前記工程を繰
り返す工程を包含していても良い。
また前記材料が注入される位置が眼の膜と網膜の間であ
って,該膜を該網膜から分離し,該膜と該網膜の間のす
べての付着点を分離し,破壊するために必要な充分な箇
所に於いて注入を行い,続いて該粘性材料を通して破壊
されていない各々の付着点へ水平方向を向いた眼内ハサ
ミを作用させ該付着を切断し,続いて該膜及び残留する
該粘性材料を眼から吸引する工程を包含していても良
い。
本発明の教示によると,膜と網膜との隙間に粘性液体を
注入するための装置と方法が示される。この粘性液体は
膜と網膜の隙間で「ネイル」付着を覆うようにポケット
(pockets)を形成する。これらの粘性液体のポ
ケットは膜と網膜に対して広がった圧力(diffus
e pressrue)を加え,これらの構造を分離さ
せると粘性液体中を通して水平方向を向いた眼内ハサミ
を膜と網膜の隙間に挿入させることができる。これらの
ハサミは「ネイルズ」の位置まで挿入され,「ネイル
ズ」を切断することができ,それによって膜を網膜から
分離させる。粘性液体を注入するだけでもネイルズを引
きほどくことがある。このプロセスは,網膜に加えられ
る圧力が非常に広がった性質のものであり,1つの小さ
な領域に局在せず,他の方法によれば網膜の強度を越え
てしまうような応力を減少させるので,網膜に障害を与
えることなくなされる。好ましい態様では,自己付着性
(self−adhering propertie
s)を有する粘性液体が注入液として用いられる。幾つ
かのブランドの液体が本発明の実施に適していることが
わかっている。そのような液体のひとつはPharma
ciaが販売しているHEALON(商標)ヒアルロン
酸ナトリウムである。本発明の実施のために使用できる
他の液体は,Johnson andJhonsonが
販売しているAMVISC(商標)ヒアルロン酸ナトリ
ウムである。これらの液体は,商品化されているにかわ
注入装置(glue i jectin devic
e)を改良したものを用いて注入される。好ましい実施
例では,ロードアイランド(RhodeIsland)
のEFD of East Providenceが製
造しているmodel 1000 XL にかわ注入装
置が使用される。
このにかわ注入装置は圧力空気源に結合されており,圧
力レギュレータを備えている。この装置はベンチュリと
圧力空気を使って真空を発生させる。にかわ注入装置は
フットスイッチと粘性液体の入った注射器に接続された
圧力空気出力部を備えている。圧力空気出力部の空気圧
力は,内部圧力レギュレータのコントロールを操作する
ことによって制御される。圧力は1平方インチあたりゼ
ロから40ポンドまでの間にセットされる。
本装置は2つのモードを有している。第1のモードは連
続モードであり,第2のモードは「ワンショット」モー
ドである。第1のモードでは,フットスイッチが踏まれ
たとき,圧力レギュレータによってセットされた圧力ま
で圧力が上昇し,しかもフットスイッチが踏まれている
間,その圧力が維持される。フットスイッチがリリース
されると出力部空気圧チューブは大気に放圧(ven
t)されるか又は真空圧が加えられ,空気圧出力部と接
続された注射針から液がもれ出ることを防ぐ。
この段階で加えられる真空のレベルはユニットの正面パ
ネルの他のコントロールによって制御される。第2のモ
ードでは,変更可能な持続時間(duration)を
有する圧力パルスが出力チューブに加えられる。このパ
ルスはフットスイッチが踏まれると開始し,あらかじめ
決められた時間間隔(interval)の経過後,停
止する。パルスの持続時間(duration)は,ユ
ニットの正面パネルから手で操作できるタイマコントロ
ールによってセットされる。本システムの標準にかわ注
入装置は,圧力調整ユニットから空気圧出力チューブが
接続されている殺菌されたHEALON(商標)ヒアル
ロン酸ナトリウム又は他の粘性液体注入注射器によって
代替される。該注射器と該空気圧出力チューブを機械的
に結合し圧力シールを形成するためにオーリングを有す
る螺刻されたアダプタ(threaded adapt
or)と対になった螺刻されたベゼルリング(thre
aded bezel ring)を備えた特別のシー
リングアダプタ(sealingadaptor)が使
用される。ベゼルリングは,注射器の周囲に適合し,そ
のフランジをふさいでいる。
注入注射器内部のプランジャ又はピストンは上述した特
別のアダプタと空気圧ホースを通じて該圧力調整ユニッ
トから圧力伝達されている。こうして空気圧力がピスト
ンに結合された圧力調整ユニットによって加えられ,ピ
ストンは注射器内を押し下げられるように動く。この力
は,注射器のシリンダに取り付けられた中空針(hol
lowneedle)の先から注射器の粘性液体を押し
出す。
圧力調整ユニットと注射器の間の空気圧ライン(pne
umatic line)の中にはフィルタが設けられ
ている。このフィルタは注射器へ流れる圧力空気から特
別のサイズ以上の大きさを有する外部物体(forei
gn bodies)を濾過する。
Alcon Surgical Division o
f Alcon Laboratories, In
c. of Fort Worth,Texas an
d San Leandro, California
から出されているMVS(商標)眼内手術コンソールの
機能を用いることによって線型連続モードと呼ばれる第
3のモードが実現される。このモードでは,注入される
粘性液体を含んだ注射器がMVS コンソールの圧力出
力ポートに結合され,コンソールは比例切断ハサミモー
ドに置かれる。このモードでは,MVS コンソールの
空気圧出力部に現われる圧力は足で操作されるコントロ
ールの位置のほぼ1次関数となる。
フットペダルを踏み込んだときの最大の圧力は正面パネ
ルのコントロールを用いて使用者がセットする。MVS
コンソールに備えられたマイクロプロセッサが足で操
作されるコントロールのフルスケール踏み込みに対する
割合に基づいて,正面パネルコントロールによってセッ
トされた最大圧力とゼロ圧力の間の圧力値を内挿する。
網膜前方膜又は網膜後方膜を取り除く外科的処置を行う
ための上述の装置を使用する方法は次のとおりである。
まず,圧力調整ユニットに注射器が取り付けられる。圧
力調整ユニットは殺菌されたフィールドの外側に位置し
ており,殺菌された注射器が空気圧チューブに取り付け
られるのは,該注射器が殺菌されたフィールド内に置か
れた後である。正面パネルの適切なコントロールを操作
することによって所望の圧力がセットされる。これは,
連続モード又はワンショットモードの何れが選択される
かにかかわらず実行される。
次に圧力調整ユニットの正面パネルの適当なスイッチを
操作することによって,ワンショットモード又は連続モ
ードが選択される。ワンショットモードでは,正面パネ
ルの適切なコントロールを操作することによって所望の
パルス持続時間がセットされる。圧力調整ユニットの正
面パネルの適切なコントロールを操作することによっ
て,圧力パルス後に圧力出力チューブに加えられる真空
のレベルがセットされる。
連続モードでは,圧力及び真空レベルの両方が,同様に
してセットされる。何れのモードに於いても,圧力及び
真空レベルは,温度及び網膜の健康状態すなわち強度な
どその時の条件に対して必要な注入レートが得られるよ
うに,殺菌されたフィールド内で眼の外部に於いて行う
実験注入によってセットされる。外科医はそのときすで
にその前の手術から網膜の強度を評価している。
次に,針先が網膜と網膜前方膜又は網膜後方膜の隙間に
挿入される。その後HEALON ヒアルロン酸ナトリ
ウムを網膜前方膜又は後方膜と網膜の隙間に注入するた
めにフットスイッチが踏まれる。これは,上述の3つの
モードのいずれかのモードで行われる。こうして,網膜
前方膜又は網膜後方膜を粘性液体の注入によって網膜か
ら押し離すように持ち上げる。外科医は,ネイル付着を
介して強すぎる応力が網膜に加えられそうだと思われた
時点で,注入を停止する判断を下す。この注入プロセス
は網膜前方膜又は網膜後方膜と網膜それ自体の間にある
「ネイルズ」又は接続ポイントを全部破壊し,又は分離
するために,多数の箇所に於いて繰り返される。注入プ
ロセス自体によって破壊されなかった「ネイルズ」は,
その後水平眼内ハサミを使用して切断される。
全ての接続ポイントが切断された時,膜は通常硝子体切
除プローブ又は他の吸引装置を使用して除去される。次
に,眼の中に残っているHEALON ヒアルロン酸ナ
トリウム又は他の粘性材料は,硝子体切除プローブ又は
他の吸引装置で除去される。
(実施例) 第1図は目の解剖断面図である。本発明に特に関係のあ
る部分は10で示される網膜および12で示される脈絡膜で
ある。さまざまな理由により網膜は脈絡膜から剥離する
ことがある。これが起こると網膜を脈絡膜に再付着させ
る治療が行われる。通常これは,可能ないくつかの方法
のいずれかを用いて脈絡膜に傷をつけることにより行わ
れる。傷をつけるのにしばしばレーザエネルギが強膜14
および脈絡膜12を通して照射される。傷をつけるのには
カッティング,加熱又は他の機械的刺激も使用できる。
脈絡膜の傷がにかわ細胞を芽生えさせる。これらのにか
わ細胞は脈絡膜の傷から成長し,そのにかわに似た特性
故に,網膜を脈絡膜に再付着させる傾向にある。しか
し,身体はこれらにかわ細胞の成長に対する十分なコン
トロールを有しないので,にかわ細胞は網膜と水晶体16
との間に膜状の単一細胞層をしばしば形成する。このよ
うな網膜前方膜の一部が18で示される。これらの網膜前
方膜は任意の間隔をおいて自ら網膜に付着する傾向があ
る。このような付着点即ち「ネイル」は20及び22で記号
を用いて示される。
網膜前方膜が手術後合併症として生じる問題点がいくつ
かある。まず,この膜は硝子体を通過して網膜へ至る光
路をさえぎり,従って視覚が妨害される。次に,網膜前
方膜は単一細胞層膜から二層の細胞層膜へと自らを再構
成する傾向がある。このような再構成された膜の一部が
24で示される。この後者の現象は,その再構成のプロセ
スにおいて網膜前方膜が萎縮するので問題となり,ネイ
ル結合を通して網膜に応力を加える。この応力により網
膜はしわが寄ったり破れたり剥離したりするのではなは
だ好ましくない。この問題の解決策は網膜前方膜を取り
除く事である。
従来の技術の説明において述べたように,手術後の膜は
必ずしも網膜前方にあるとは限らない。時には,網膜と
脈絡膜との間に形成されることもある。しかし,網膜後
方膜も又任意の間隔を置いたネイル結合点に於いて自ら
網膜に付着し,かつ単一細胞層から複数層の細胞層へと
自らを再構成し上記の問題を生じるので同様の見解があ
てはまる。
膜を除去する良い方法は,膜と網膜との間にHEALONゲル
のような粘着性のある自己接着型液体を注入することで
あると本出願人らによりわかった。これは,膜と網膜と
の間隙に針を挿入し,粘着性ゲルをその間隙に注ぎ込む
ことにより行われる。第1図は,液体の注入開始位置に
あるこのような針26を示す。
第2図は,膜と網膜10との間隙への粘着性ゲルの注入結
果を示す。注入プロセスにより,28及び30で示される,
注入ゲルの気泡が形成される。この気泡は,広範囲に渡
り広がった圧力を網膜及び膜の両方に加えることより,
膜24を網膜10から持ち上げて離す。この「広範囲」と
は,従来技術で用いられるツールにより網膜に生じる応
力に比べて広いということである。膜を取り除く従来の
方法に於いては,膜を引っかけて網膜から持ち上げて離
すのに機械的フックを使用していた。フックが適切に操
作されない場合は,フックの先端は網膜のわずかな部分
に衝撃を与える。これにより局部的力がもたらされ,そ
の結果,網膜の応力レベルがこの繊細な構造が容易に耐
え得るレベル以上になる。本発明の教示による注入ゲル
により加えられた圧力の広がる性質は,網膜10と膜24の
表面の広範囲に渡り応力を分散する傾向にある。注入ゲ
ルにより加えられた力は広範囲に渡り広がるので,網膜
のある特定地点に於ける応力レベルは,従来の方法によ
り網膜に加えられる応力レベルより低いものとなる。従
来技術の方法で用いられるツールを不適当に操作する
と,網膜が破れたり,穴があいたりすることがよくあっ
た。本発明の教示を用いることにより網膜を堅い器具と
接触させる必要がなくなるので,網膜に対する損傷の可
能性が実質的に減少される。
ゲルの注入が完了し,膜に被われる領域全体の構造が第
2図に示される通りであるとき膜ははずれる。ネイル付
着は脈絡膜から網膜を剥離するか又は付着地点の網膜に
穴をあける傾向にあるので,単にフック器具を用いて膜
を網膜から引き離すことはできない。従って,水平方向
に向けられた眼内はさみを用いてこのネイル付着をカッ
トする必要がある。これは,眼内はさみの先端を注入ゲ
ルを経てネイルの位置まで動かしネイルをカットするこ
とにより行われる。この一連の行為は第2図には示され
ていないが,当業者はこれがどのように行われるかを理
解できるであろう。
第3図は,網膜から膜を持ちあげて離すゲル28を注入す
るのに用いられるシステムを示す。このシステムには,
空気圧及び真空のコントロールユニット32が備わってお
り,以後これをコントロールユニットと称す。システム
ユニット32は,ロードアイランドイーストプロビンス(R
hode Island East Province)のEFDにより製造される市
販のにかわ注入コントローラである(モデル番号は1000
XL)。コントロールユニット32は,ユニットの裏面にあ
るコネクタ(図示されない)により空気圧ソースにカプ
ルされる。ある実施態様に於いては,コントロールユニ
ットは,ユニット裏面の真空インプット(図示しない)
により真空ソースにカプルされる。コントロールユニッ
ト32の目的は,空気圧アウトプット34に加えられる空気
圧の量を制御することである。この空気圧アウトプット
は,空気圧ホース34aにより空気フィルタ36を介し注射
器38にカプルされる。この注射器は,空気圧により注射
針26の方へ駆動されるピストンを有し,これにより注射
器の空洞42内に入っている如何なる液体も注射針26の先
端から押し出されることになる。この目的のためには2
種類の注射器が通常使用される。この2つは,注射器本
体に取り付けられるフランジの種類により異なる。その
内の一つ,即ち第4図に示されているような注射器は,
注射器円筒部(barrel)をはさんでその両側にそれぞれ延
伸している2つの耳状の部分を有する。もう一つの種類
の注射器は,円筒部の廻りを囲む多角形,環状又は略々
環状に近いフランジを有する。この2種類の注射器は空
気圧ホースに連結する際にそれぞれ異なる種類のアダプ
タを必要とする。
空気フィルタ36は,空気圧チューブ36内の空気の流れか
ら微細粒子をすべて濾過する働きをする。この空気フィ
ルタは滅菌されていて使い捨てできるものか,又はオー
トクレーブにかけられるものでなければならない。注射
器38,針26,及びピストン40も又オートクレーブにかけ
られるものあるいは滅菌された使い捨てできるものでな
ければならない。
コントロールユニットは,注射器38に加えられつつある
空気圧のレベルを監視する空気圧ゲージ44を有する。加
圧量は,フロントパネルつまみ46によりコントロールさ
れる,コントロールユニットの空気圧レギュレータによ
りコントロールされる。コントロールユニット32は,電
源オン/オフスイッチ48及びモードコントロールスイッ
チ50を有する。このモードコントロールスイッチは,コ
ントロールユニットの定常モードとワンショットモード
との切り換えを行う。定常モードでは,空気圧レギュレ
ータコントロールつまみ46の操作により設定された空気
圧レベルが,フットペダルコントロール52が押された時
からフットペダルコントロール52が離される時まで空気
圧アウトプット34に加えられる。「ワンショット」モー
ドでは,空気圧パルスが空気圧アウトプット34に加えら
れる。このパルスの空気圧量は空気圧レギュレータコン
トロールつまみ46の操作により設定される。この空気パ
ルスの持続時間はタイムコントロールつまみ54の操作に
よりコントロールされる。空気圧パルスは,フットペダ
ル52が押されたときコントロールユニットにより発生さ
れる。空気圧パルスは,フットペダル52がいつ離される
かとは無関係に,タイムコントロールつまみ54により設
定された時間間隔の最後で自動的に終結する。
低粘着度の液体に対しては,空気圧サイクルが終わると
きに空気圧アウトプット34に真空を加えるのが有利であ
る。この真空はピストン40を針26から引き離し,従って
液体は針26へと吸い戻される。これにより,針26の先端
にくっついている液体の最後の一滴が,適切でない時に
又は意図しない位置で針の先端から落ちるのが防止され
る。空気圧アウトプット34に加えられる真空のレベルは
コントロールユニットのフロントパネルにある真空コン
トロール操作つまみ56によりコントロールされる。真空
のレベルは真空圧ゲージ58を目安に調節される。真空コ
ントロールつまみ56により設定された真空のレベルは,
空気パルス毎の終わりに又は空気圧の加圧後にアウトプ
ット34に自動的に加えられる。真空の吸引が必要でない
場合は,ゼロ真空圧が真空圧ゲージ58で示されるように
真空コントロールつまみ56が操作される。真空は,漏れ
出る空気の空気圧を準大気圧に変化させるベンチュリを
用いてコントロールユニット32に発生される。
アウトプットライン34の空気圧は1〜100psiの所望の値
に設定することができる。典型的な操作圧力は温度及び
粘度により30〜40psiオーダである。
操作に際しては,コントロールユニット32は滅菌領域の
外側に置かれる。次に滅菌された空気圧ホース34のパッ
ケージがこの滅菌領域であけられ,その一方の端が空気
圧アウトプットに連結される。次に滅菌された空気フィ
ルタ36が滅菌領域内で空気圧ホース34の他方の端に取り
付けられる。注入されるべきゲルの入った,予めパッケ
ージされた滅菌注射器が,次に,空気フィルタ36のアウ
トプットに連結された滅菌空気圧ホースのセグメントに
カプルされる。好ましい実施態様に於いては,注射器38
の空洞42内にはHEALONゲルが入っている。注射器38と注
射器を空気圧ホースのセグメント60にカプルするための
アダプタの更に詳しい構造は後程説明する。
注射器の空気圧ホースのセグメント60への取り付けが済
むと,以下の手順を用いて外科的処置が行われる。ま
ず,空気圧レギュレータコントロールつまみ46を用いて
所望の空気圧ピークが設定される。網膜及び膜に突然過
度の量の圧力が加えられるのと防ぐために,ゲル注入の
流量は非常に少ないことが望ましい。従って,最大圧力
は30〜40psi以下に設定されなければならない。圧力
は,システムを連続モード又はワンショットモードに置
き,フットペダルを押し,注射針26の先端から出てくる
ゲルの流量を観察することにより現時点に於ける粘度及
び動作室温条件に合わせて実験的に調節される。更に多
い流量が必要な場合は,空気圧レギュレータコントロー
ルつまみ46を操作して圧力が増加される。更に少ない流
量が望ましいときには,空気圧レギュレータコントロー
ルつまみ46を用いて更に低い空気圧が設定される。所望
の真空レベルも,真空が必要な時には現時点の粘度及び
温度条件に合わせて設定される。
次に,適切なモードが設定される。ワンショットモード
を選択した場合は,空気パルスの持続時間がタイムコン
トロールつまみ54を用いて設定される。前述の所望の注
射量の設定ステップは,現時点の温度及び粘度条件に基
づくだけでなく,網膜の健康度又は強さにもよる。この
後者の情報は,以前行われた外科手術に基づき通常得ら
れる。この手術により脈絡膜が刺激され膜が生じた。
次に,針26の先端が網膜と膜との間隙に置かれる。そし
て外科医が膜の膨張を観察しながら空洞42からの液体が
注射される。大きすぎる応力がネイル結合を通し網膜に
加えられていると思われる場合は注射は中止される。こ
の注射プロセスは,膜と網膜との間のすべてのネイル結
合を完全に断ち切り及び/又は分離できるよう,十分な
数の箇所で行われる。ネイルを通し網膜に過度の力を加
えることにより,網膜に穴をあけたり脈絡膜から網膜が
剥離したりしないよう注意が払われる。断ち切れないネ
イルは,次に,水平方向に向けられた眼内はさみを用い
てカットされる。最後に,膜は硝子体切削プローブ又は
他の吸引器具を用いて取り除かれる。及び注入されたゲ
ルが硝子体切除プローブ又は他の吸引器具を用いて取り
除かれる。
第4図は,注射器の分解図である。注射器はフランジ62
と注射器ホルダ64を有する本体38を備えている。注射器
ホルダ64はフランジ62を係合するロックイン機構を有す
る。第4図に示される実施態様に於いては,フランジ62
はその概略が68で示されている通り,差し込むようにし
てロックイン機構66に係合される。注射器本体38は,第
4図にあるものとして示されるピストン40を有する。こ
のピストンにより注射器本体39の内壁に空気及び液体を
漏らさないシールが形成される。注射器本体38は,カバ
ー/ハンドル70で保護されている注射針26(図示されて
いない)のところで終結している。このカバー/ハンド
ルは先端に突起72を有しており,ピストン40に螺合させ
てピストンを手動操作することもできる。
第4図に示されている注射器は,注射器ホルダ64を除い
てはHEALONゲルの製造会社により市販されているHEALON
収容注射器である。注射器ホルダ64は,ピストン40をイ
ンプットライン60の空気圧及び真空により操作できるよ
うに構成された特殊なアダプタである。従って,カバー
70の目的は,単に注射針26(図示されない)を保護しそ
の滅菌性を保つことである。
注射器ホルダ64は注射器本体38を係合し,注射器本体38
と空気圧ホース60との間に機械的結合並びに空気圧シー
ルが形成される。そのために注射器ホルダ64には内部通
路74があり,これは空気圧チューブ60との液体の連絡通
路である。注射器ホルダ64が注射器本体を係合する際に
は,フランジ62の注射器ホルダ側の注射器本体の延伸部
76は,フランジ62がロックイン機構66に係合されるとき
通路74内に摺動される。通路74内のOリングシール(図
示しない)が注射器本体の部分76の側壁に密着し,空気
圧シールが形成される。
注射器ホルダの構造の詳細は第5図に示される。注射器
ホルダは,ロックイン機構66が形成された本体64を備え
ており,典型的には鋳造又は射出成型により形成され
る。本体は内部通路74を有し,この通路は空気圧チュー
ブ係合用突起78内の第2の通路77との液体連絡通路であ
る。この突起78は,機械的に問題のない結合及び空気圧
シールを形成できるように可撓性のある空気圧チューブ
を係合するためのリブ80を有する。内部空洞74には溝82
が形成されており,この溝にOリングが置かれる。この
Oリングはシリコン又は他の可撓性がありオートクレー
ブ可能な材料でできていなければならない。
第5図の実施態様に於いては,ロックイン機構66の外側
のヘリが螺刻されている。これらのねじやまが第6A図
及び第6B図に示されるベゼルリング84の内側の同様の
ねじ山に係合される。第6A図及び第6B図は,第4図
に示される差し込みロックイン機構に代わる機構として
第4図のフランジ62を係合するベゼルリングを示す。第
6A図は,このベゼルリングの平面図であり,第6B図
は,第6A図の6B−6B′線に沿うリングの断面図で
ある。ベゼルリングは,螺刻された部分86とアパチャー
88を有する本体84を備えている。アパチャー88は,フラ
ンジ62が第6B図に示される表面90にもたれ掛かるまで
第4図の注射器の本体38を経て摺動される。注射器本体
の部分76は,第6B図の−X方向にアパチャー88を貫通
する。第6B図にAで示す,螺刻された部分86の内径
は,注射器ホルダ64のロックイン部分66の外径にぴった
りと合う。ロックイン部分66は,次に,第6B図のベゼ
ルリングの螺刻された部分86に螺合され,注射器ホルダ
64と注射器本体38との間の機械的結合が形成される。次
に,溝82のOリングが注射器本体の部分76の壁に密着す
ることにより,空気圧シールが形成される。このOリン
グは,第5図に92で示される。
第7A図及び第7B図は,差し込みタイプのロックイン
機構66を有する注射器ホルダ64の好ましい実施態様を示
す。第7A図は,中心線を見下ろすような注射器の端面
図を示し,第7B図は,第7A図の7B−7B′線に沿
う注射器の断面図である。第5図に示す注射器ホルダと
同様に,注射器ホルダは,内部通路92を有しており,こ
の通路には,可撓性がありオートクレーブ可能なOリン
グが置かれる溝94が形成されている。このOリングは,
第4図の注射器円筒部の部分76の側壁に密着し,空気圧
シールが形成される。第7A図及び第7B図に示された
注射器ホルダと第5図,第6A図及び第6B図に示され
た注射器ホルダとの違いは,本質的にはそのロックイン
機構のみである。このロックイン機構66は,一対のL字
型溝96と98が形成された環状の突起部66を備えており,
これは第4図に於いて最もよく示されている。これらの
溝はフランジ62の2つの突起先端を係合する。ロックイ
ン機構を操作するには,注射器円筒部の部分76が通路92
に挿入されOリングを密着し,空気圧シールが形成され
る。このプロセスにより,フランジ62の突起部分がL字
型溝に押し込まれる。フランジ62が第7B図の壁100と
密着すると,注射器38は右に約1/8回転され,それによ
り,フランジ62はロックイン66内でひねられ注射器円筒
部を第4図の68で示される注射器ホルダロックイン機構
の所定位置にロックする。
第8A図及び第8B図は,他の種類のアダプタを示す。
これは,多角形,環状又は略々環状のフランジを有する
注射器が用いられる場合の注射器本体を空気圧ホース60
に連結するためのものである。このアダプタは,注射器
本体106に取り付けられた環状又は多角形のフランジ104
を係合する螺刻されたベゼルリング102を備えている。
螺刻されたショールダ110及び突起部材112を有するプラ
グ108が注射器の空洞部に挿入される。このプラグ108は
空気圧通路114を有しており,この通路は,空気圧ホー
ス60(図示しない)との気密シールを形成するショール
ダを有する空気圧コネクタ116に注射器の空洞部をカプ
ルする。プラグの突起部分112は,可撓性がありオート
クレーブにかけられる材料から成るOリングが置かれる
溝を有する。上記の材料によりプラグと注射器本体106
の内壁との間に気密シールが形成される。
第8A図及び第8B図に,本発明の連続の線型圧力注入
モードを行なうための,比例切断ハサミモードに用いら
れるMVS眼科手術具のブロックダイアグラムを示す。CPU
130はMVSシステムの中央制御装置として機能し,データ
バス132,アドレスバス134,及びコントロールバス136
によって結合されている種々のユニットを制御する。好
ましい実施態様ではCPU130はインテル8031マイクロプロ
セッサである。マイクロプロセッサと本発明のプロセス
を実行するために結合されたすべてのユニットの操作を
制御するプログラムは,米国特許4,768,506号に含ま
れ,それはここに併合されている。比例切断ハサミ駆動
モードを有するMVSシステムの変形又は原型は,本発明
を実行するという目的には十分である。MVSシステムを
駆動するソフトウェアはPROM(programmable readonly m
emory)138に格納され,PROM138は,マイクロプロセッサ
130が本発明のプロセスを実行するための命令をアクセ
スするためのものである。
一般に,マイクロプロセッサ130は,フット作動制御部
(コントロール),並びに様々なフロントパネルスイッ
チ及び制御部とインターフェイスし,真空発生システ
ム,空気圧システム,並びに,ソレノイド作動バルブ,
リレイ,ディスプレイ,及びインディケータに接続さ
れ,この機械が作動する様々なモードで行なわれるプロ
セスを実行する。ユーザとのインターフェイスはフロン
トパネルコントロールスイッチ,ポテンシオメータ,フ
ットスイッチ,及びディスプレイを通じて行なわれる。
マイクロプロセッサ130は2つのD/A(digital-to-analo
g)コンバータ140及び142に接続され,空気圧及び真空シ
ステムをそれぞれ制御する。これらのシステムの動作の
詳細は以下に記載されるであろう。
A/D(analog-to-digital)コンバータ144は,機械が制御
している状態を示す種々のセンサ及び制御装置からのア
ナログデータを,マイクロプロセッサが読み取ることが
できるデジタルデータに変換する。真空及び空気圧シス
テムを制御するために,ユーザによってある情報がマイ
クロプロセッサ130に供給されなければならない。
例えば,灌注及び吸引モード,硝子体切除モード,並び
に切断モードでは,組織と灌注流体と体液とを手術され
ている領域から吸い出すために,このシステムによって
真空が,外科医に使用されているハンドツールに供給さ
れる。この真空発生プロセスを制御するために,2つの
ユーザ入力部がある。一つは,外科医が機械に望む最高
の真空度であり,もう一つは,ある特定の時点で望む真
空度である。最高真空度は外科医によって,フロントパ
ネル上のポテンシオメータ又は他の制御部146によって
セットされる。実際の真空度又は特定の時点で外科に望
まれている真空度は,フットスイッチ148から読み込ま
れ,外科医は,彼の望むさらに高い又は低い真空度をこ
のフットスイッチ148を上げ下げして伝える。フットス
イッチ位置センサは,また,マルチ切断ハサミ駆動モー
ドにおいて,刃囲い(blade closure)の周波数,即ち切
断速度を制御する。フットスイッチがどのようにして読
み取られるかの詳細は,真空制御システムの記述におい
て以下に示されるであろう。
硝子体切除モードでは,この技術分野でよく知られた構
造のカッティングプローブが,圧縮空気のパルスによっ
て空気力学的に駆動される。これらのパルスの周波数は
切断速度調節制御部150によって制御される。マイクロ
プロセッサによってA/Dコンバータ144に供給されるアド
レスは,A/Dコンバータの多重チャネル入力に接続され
たこれらのアナログ入力のうち,どれか選択され,デジ
タル数に変換されたかを教える。
ディスプレイ152は,好ましい実施態様ではLED(light e
mitting diodes)を有しているが,どんなタイプのディ
スプレイでもよく,これはマイクロプロセッサ130によ
って,硝子体切除モードにおける切断速度を棒グラフで
表示するために用いられる。
フロントパネル制御部,及びセンサインターフェイス15
4は,バス156によっていくつかのスイッチと文字数字式
ディスプレイ158に結合される。文字数字式ディスプレ
イ158は,マイクロプロセッサ130によって,この機械が
現在作動しているモード,実際の真空度,望まれる最高
真空度,及び他のメッセージのような情報の様々な項目
を表示するために用いられる。フロントパネル上のいく
つかのモードセレクトスイッチ160は,外科医によって
この機械が作動すべきいくつかのモードの何れかを選択
するために用いられる。
3つのサブモードを有する灌注及び吸引モードととも
に,この機械が作動する5つのメインモードがある。モ
ード選択は,好ましい実施態様のように3つのトグルス
イッチによって,ロータリースイッチによって,又は各
モードごとに分離したスイッチによって行なわれる。こ
のモード選択がどのように行なわれるかについての詳細
は,当業者にとっては明らかであろう。
カセット取出しスイッチ162は,カセット(図示してい
ない)がいっぱいになって取り出されなければならない
ときに,外科医によって用いられる。このスイッチが押
されると,マイクロプロセッサ130は,ソレノイド作動
バルブに,フロントパネルのチャンバからカセットをは
ずして取り出させる。カセット近傍のマイクロスイッチ
形式のセンサ164は,新しいカセットがチャンバ内に押
し込まれたときに,そのスイッチの状態を変えるように
カセットチャンバ内に取付けられる。
他の図の議論に関連して見られるように,カセットは吸
引した物質を蓄えるための2つのボトルを有している。
物質は小さいボトルがいっぱいになるまで吸引される。
小さいボトルがいっぱいになったことが小ボトル液面セ
ンサ166を通してマイクロプロセッサ130によって検知さ
れる。このセンサは,好ましい実施態様では小ボトルの
上から突出した一対のワイヤである。液がこのボトルの
上部に近づくと,これらのワイヤの間に電流が流れる。
この電流がマイクロプロセッサによって検知されると,
マイクロプロセッサは,小ボトルがいっぱいになったこ
とを知り,大ボトルへの移送を開始する。
真空ライン水分センサ168もまた,上記の流体移送メカ
ニズムが故障した場合に,この機械を保護するために設
けられる。
入力空気圧スイッチ170は,もし入力空気圧が,機械作
動のために受け入れられるある最小空気圧以下に落ちる
とシステムに警告を発するために,システムに入力され
る圧縮空気をモニタする。
バッファユニット及びリレイ172は公知の切断用ハンド
ピース(fragmenter handpiece)にオンオフ制御を提供す
る。切断用ハンドピースと,このシステムをこのデバイ
スに結合しているケーブルの存在は,マイクロプロセッ
サ130がシリアルトランスデータポートの外の切断用ハ
ンドピースにバッファ131を通して信号を送出すること
によって検地される。もし切断用ハンドピースが存在す
れば,この信号はこのケーブル上を,バッファ133を通
ってマイクロプロセッサ130のレシーブデータポートに
戻る。リレイユニット172は切断用ハンドピースに電力
を供給する。このユニット172は基本的にラッチとリレ
イドライバから成り,これはRAMとI/Oポートユニット17
4を介してアドレスされる。
また,このユニット174はI/Oポートを有し,これはマイ
クロプロセッサが特定のペリフェラルにデータを書込
み,又は読み出したいときに,マイクロプロセッサによ
ってアドレスされる。これらのI/Oポートの1つはバッ
ファと切断制御リレーユニット172に結合される。切断
動作を制御するフットスイッチのマイクロスイッチ174
は,バッファ178を介してマイクロプロセッサのピンチ
4及び5に結合される。マイクロプロセッサがこのマイ
クロスイッチを投じ,切断が望まれていることを決定し
たときには,バッファと切断制御リレーユニット172に
結合された特定のI/Oポートにアドレスし,データをこ
のユニット172のラッチ及びバッファに書き込み,切断
が望まれていることを示す。それからこのデータは,バ
ス180に結合されたリレイを活性化させるユニット174内
のリレイドライバ回路を制御する。このバスは切断が望
まれている切断トランスデューサハンドピースに信号を
供給する。電力はバス180上に供給されないが,ある実
施態様では供給され得る。
マイクロプロセッサ130は,種々のペリフェラルユニッ
トを,アドレスバス134とデコーダ182を用いてアドレス
する。特定のユニットが読み出し,又は書き込みのため
にアドレスされると,そのユニットのアドレスがアドレ
スバス134上に置かれ,デコーダ182はそのアドレスをデ
コードする。デコーダ182はそれから,特定のペリフェ
ラルのチップイネーブル入力に接続されたチップセレク
トラインを活性化する。そのユニットはそれから,その
データポート及びコントロールポートをトライステート
から活性化し,これにより,マイクロプロセッサ130か
らのデータをデータバス132上で読み又はマイクロプロ
セッサ130へのデータをデータバス132上に書き,そし
て,コントロールバス136上の種々のコントロール信号
の状態を読み取ることができる。
また,RAM内のI/Oポート,及びI/Oユニット174は,バス
184及びソレノイドドライバ186によってソレノイド作動
される空気圧制御バルブ183に,個々に接続される。こ
れらのソレノイド作動バルブ183は,入力空気圧ライン1
88上の圧縮空気を多くの空気圧ピストン189,190,191,19
2,及び193の1つに対してゲート操作する。これらの空
気圧ピストンは,様々の流体のバルブ及びラッチ機能を
果たす。これらの機能は,以下の空気圧制御システムの
議論に関連してより十分に説明されるであろう。それぞ
れのソレノイド作動バルブは,RAM及びI/Oポートユニッ
ト174,バス184及びドライバ186を介してマイクロプロ
セッサ130によって,個々に作動され得る。圧力レギュ
レータ195は,ライン188上の入力空気圧をライン192上
の空気圧が揺動しても安定するように保証する。
真空制御システム MVSシステムは外科用の吸引のための真空モードを有し
ている。これらのモードのいくつかは,ハンドツールへ
伝えるための真空の発生を必要とし,外科医が作業して
いる領域から切断された組織及び灌注液の吸引を行な
う。第8B図に示すように,外科医は望まれる真空レベ
ルを,フットスイッチ位置センサ148の手段により制御
する。これはマイクロプロセッサ130によって読み取ら
れる。マイクロプロセッサ130はA/Dコンバータ144をア
ドレスし,そのデシタル出力のワードを読み取る。この
ワードはフットスイッチ位置センサの,その終止部に対
する相対的変位のデシタル表現である。すなわち,フッ
トペダルのフルスケールの押し下げに対するパーセンテ
ージである。マイクロプロセッサ130はA/Dコンバータ14
4をアドレスし,最高真空コントロールを選択すること
によって,最高真空コントロール146のセッティングを
読み取り,望まれるアナログ入力をデジタル値に変換す
る。第8A図から解るように,A/Dコンバータはいくつ
かのアナログ入力に接続される。これらの入力は,ライ
ン151上の真空センサ149,ライン153上のフットスイッ
チ位置センサ148,ライン155上の最高真空制御部146,
及びライン157上の切断速度調節制御部150から来てい
る。選択された特定の入力部は,アドレスバスの3ビッ
トの状態に依存する。
最高真空制御部146及びフットスイッチピストンセンサ1
48が読み取られたら,望まれる実際の真空度が導かれ
る。これはマイクロプロセッサが最高真空のセッティン
グ値に,フットスイッチの可能な全変位に対する分数又
はパーセンテージを掛けることにより行なわれる。結果
として得られるデジタル値は,デコーダ182を用いてア
ドレスし,そして,D/Aコンバータ142の入力ラッチにデ
ータを書き込むことにより,D/Aコンバータ142に送られ
る。フットスイッチ位置センサ148と最高真空制御部146
は,マイクロプロセッサ内のタイマがタイムアウトした
ときはいつでも行なわれるインターラプトサービスルー
チンによって,周期的に調べられる。このようにD/Aコ
ンバータ142に送られた望まれる真空のデジタルワード
は,その間にフットスイッチポジションが変わったら,
少なくとも真空コントロールインターラプトが現れるご
とくに変えられる。好ましい実施態様では,このインタ
ーラプトは毎秒100回現れる。
計算された望ましい真空度デジタル値は,次にアナログ
信号に変えられ,この信号は差動アンプ161の非反転入
力部にライン159を介して移送される。この差動アンプ
は,真空センサ149からのライン151上の実際の真空度帰
還信号に結合された反転入力部を有している。このセン
サは,真空ライン163によってベンチュリ165ののど部に
空気作用的に結合されている。ベンチュリは圧縮下に流
れる空気を大気圧近くまで変換するように作用する。加
圧空気の入力部又はベンチュリ165の主エアーチャンネ
ルは,空気圧ライン167によって電気的に作動する線型
バルブ169に結合される。このようなバルブは当該技術
分野では公知であり,Precision Dynamic Inc.によって
モデルNO.A2011-S51として製造されている。また,線型
の電気的に作動するバルブは線型圧力駆動制御バルブシ
ステム249にもある。このシステムは以下により詳細に
議論される。
空気圧制御システム 再び第8A図と第8B図,及び第9図を参照すると,空
気圧制御システムのブロックダイヤグラムが示されてい
る。このシステムはいくつかのモードを有し,そのモー
ドでは大気圧より大きい圧力がこのシステムによって供
給され制御され,ハサミや注射器のように外科医によっ
て使用される手に持ったツールに送られる。例えばハサ
ミ比例切断モードでは,足で操作された制御部の位置に
比例した空気圧が,空気作用的に駆動されるハサミ,又
は本発明の場合に於けるように粘性のある流体を注入す
るための注射器に加えられる。
空気圧制御システムは,オペレータに要求されるモード
であり,フット作動制御部が読み込まれるという点に関
しては,スイッチ160が調べられる真空制御システムに
幾分似ている。必要なデータが集められた後に切断速度
又は望まれる圧力の計算が行われ,マイクロプロセッサ
は第8A図のD/Aコンバータ140にデジタルワードを書き
込む。このデジタル数値は差動アンプ225の非反転入力
部に結合されたライン223上にアナログ信号に変えられ
る。差動アンプ225の反転入力部は,ライン227上の実際
の圧力信号に結合されている。この信号は圧力センサ22
9によって発生され,この圧力センサ229は空気圧ライン
231に結合された空気圧入力部を有し,このライン231は
空気圧駆動される手に持ったハサミ,又は,本発明の場
合には,注入されるべき粘性流体を包む注射器に結合さ
れる。差動アンプ225は,ライン223上の望まれる圧力信
号からライン227上の実際の圧力信号を引き,ライン233
上に誤差信号を発生する。
第9図に示されるように,この誤差信号は他の差動アン
プ135の非反転入力部に加えられ,このアンプ135は機能
においてアンプ75と似ている。このアンプの出力部は,
エミッタ帰還抵抗器128を有するトランジスタ237のベー
スに結合されている。エミッタノードはライン241によ
って差動アンプ135の反転入力部に結合され,アンプ13
5,トランジスタ237,及び抵抗器128の結合は,真空制
御システムに於けると同様の方法で,ライン233上の誤
差電圧を電気的に作動する線型バルブ244のコイル239に
流れる電流に変換する。この電流は誤差電圧の機能を果
たし,磁束を生ずる。この磁束は,ライン233上の誤差
信号のレベルに一致して,電気的に作動されるバルブ24
4を通って空気ライン231につながる空気ライン288から
の圧縮空気の流れを,バルブ244に調節させる。
空気ライン288は圧縮空気を圧力調整器(図示していな
い)によって設定された40〜45psi(ポンド/(イン
2))の調整圧で運ぶ。この圧力調整器は70〜80psiの
圧力で圧力調整器187から送られる圧縮空気を運ぶ空気
ライン243に結合されている。空気ライン231上の調整さ
れた空気の流れは,宝石を入れた(jeweled)オリフィス2
47によって,大気につながる消費ライン245に結合され
る。オリフィス247は基本的に制御されたリーク速度を
有する空洞である。宝石を入れたオリフィスは,大気圧
に対し一定の直径のポートを通して圧縮空気を制御して
リークさせることにより,調整された流れを,対応する
調整圧に変換する。リーク速度を制御できる空洞であれ
ば,宝石を入れたオリフィスに変えて用いられ得る。流
速と,それに対応する圧力との間の関係は,実質的に線
型である。
ここで述べた誤差信号発生回路及びフィードバックシス
テムは直接的に作動する。第9図の破線の箱249内のエ
レメントは,第8B図の線型圧力制御調節バルブシステ
ム249を構成する。
MVSコンソールは,いくつかの作動モードを有する。こ
れらのモードの1つは,ハサミの作動のための比例切断
モードである。粘性のある液体を注入するのに用いられ
るのはこのモードであり,この注入は,第3図の34で示
すものと同じタイプのアダプタコンジットを,第9図の
空気圧出力ライン131に結合することにより,行われ
る。この後,いくつかの実施態様では,ユーザは,第8
B図に示されるフロントパネル制御部46によって,現在
の粘度条件に対する最高流速をセットするために,所望
の注入最高圧力をセットする(この制御部は2つの役目
を果たし,ここでは関係ないが,吸引動作のための最高
所望真空レベルをセットするのにも用いられる。)その
とき,ユーザはフロントパネル上のモード選択スイッチ
160によって,比例切断モードをセットする。
比例切断モードを実行するソフトウェアは,第10図にフ
ローチャートの形式で示され,米国特許第4,768,506号
では16進形式でリストされた2進数で与えられる。この
特許は,早期に参照によってここに組み入れられてい
る。モード選択ソフトウェアルーチン(図示していな
い)があり,このルーチンは作動が望まれているモード
を決定し,そして選択されたモードの作業を実行するた
めに,適切なモジュール,又はサブルーチンに分岐す
る。もしハサミ比例切断モードへの分岐であれば,処理
は第10図のステップ326へ誘導される。このモードでは
空気圧は,空気作用的に駆動される注射器に加えられ,
注射器のプランジャに加えられる圧力値は,フット操作
制御部の完全な押し下げに対するパーセンテージの,実
質的な線型関数である。
好ましい実施態様では適用され得る最高圧力は20psiで
ある。他の実施態様では,ユーザはフロントパネル制御
部によって望む最高圧力をセットし得る。第1ステップ
328は,インターラプトデータを初期化し,フロントパ
ネルディスプレイ上にモードネームをプリントする。好
ましい実施態様で用いられるただ1つのインターラプト
は,インターラプト1である。このインターラプトは,
どれだけしばしばディスプレイがアップデートされるか
を制御するソフトウェアタイマを,アップデートする。
次に,ステップ330でモードを変えるために,フロント
パネルスイッチがチェックされる。そして,カセットが
取り出されるべきかどうか,そしてそのような動作をし
ても安全かどうかを決定するために,フロントパネルカ
セット取り出しスイッチがチェックされる。また,この
ステップは,近接スイッチ64を読み取ることにより,カ
セットが近くにあるかを決定するためにチェックを行
い,そしてもしカセットが近くにあれば中のカセットを
引き出す適切なコマンドを出す。
ステップ332では,十分な空気圧があることを保証する
ために,入力空気圧センサ(図示せず)を読み取ること
により,入力空気圧力がチェックされる。
このモードでのメインステップはステップ334であり,
これは第9図のライン231上に発生される空気圧の望ま
れる値,及びシリンジに加えられる値を決定するために
フット作動制御位置センサを読み取る。前述のようにA/
Dコンバータ144を通して位置センサが読み取られる。
次にステップ336では,マイクロプロセッサは,フルス
ケールに対するフットスイッチ位置センサのトータル変
位に20psiをかけて定数倍することにより,望まれる空
気圧を計算する。この結果はD/Aコンバータ140に送ら
れ,そこでそれはライン223上のアナログの“所望圧
力”信号に変えられる。この信号は前述の回路を介して
線型電気作動バルブ244を制御し,出力されるべき所望
の空気圧を生ずる。
ここで開示された好ましい実施態様及びこれに代わる実
施態様に基づいて本発明は記述されたが,当業者は本発
明の精神及び範囲から逸脱することなくなされるかもし
れない多くの改良を理解するであろう。このような改良
のすべては,ここに添付の特許請求の範囲の範囲内に含
まれると意図される。
【図面の簡単な説明】
第1図は網膜と脈絡膜の関係及び網膜前方膜と網膜の間
に液体を注入する方法を示すための眼の解剖図,第2図
はネイル付着ポイントを取り囲む粘性液体の注入後の眼
と網膜前方膜の構造を示す図,第3図は本発明装置の斜
視図,第4図は注入注射器と該注射器を空気圧ホースと
接続する接続装置の分解図,第5図は注射器を空気圧ホ
ースに取り付けるために螺刻されたベゼルリングと用い
る螺刻されたアダプタの断面図,第6A図及び第6B図
はそれぞれ第5図の螺刻されたアダプタと用いる螺刻さ
れたベゼルリングの端面図及び断面図,第7A図及び第
7B図は注射器を空気圧ホースに接続するためのバヨネ
ット型コネクタの端面図及び断面図,第8A図及び第8
B図は連続,線型モード注入を行うために使用されるM
VS コンソールのブロック線図,第9図はMVS コ
ンソールの圧力アナログ回路のブロック線図,第10図
は粘性液体注入操作の連続,線型モードで使用される圧
力を発生させるために用いるMVS コンソールの比例
切断モードを実行するソフトウエアのフローチャートで
ある。 10……網膜,12……脈絡膜,14……強膜,16…
…水晶体,18……網膜前方膜,20,22……ネイ
ル,24……膜,26……針,28,30……気泡,3
2……(空気圧/真空)コントロールユニット,34…
…空気圧アウトプット,36……空気フィルタ,38…
…注射器,40……ピストン,42……空洞部,44…
…空気圧ゲージ,46……空気圧レギュレータコントロ
ール,48……電源オン/オフスイッチ,50……モー
ドコントロールスイッチ,52……フットペダルコント
ロール,54……タイムコントロール,56……真空コ
ントロール,58……真空圧ゲージ,60……空気圧ホ
ース,62……フランジ,64……注射器ホルダ,66
……ロックイン機構,70……カバー/ハンドル,72
……突起,74……内部通路,76……注射器本体延伸
部,77……第2の通路,78……空気圧チューブ係合
用突起,80……リブ,82,94……溝,84……ベ
ゼルリング,86……螺刻部分,88……アパチャー,
90……表面,92……内部通路,96,98……L字
型溝,100……壁。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】身体に粘性材料を注入する装置であって、
    出力部に於いてあらかじめ決められた特性を有する空気
    圧を発生させるための空気圧出力部を有する手段と、 該空気圧出力部に結合された空気圧ホースと、 該空気圧ホース内を流れるガスを濾過する殺菌フィルタ
    と、 先の鋭った中空針を有する注射器とを備え、 該注射器が濾過されたガス流を受けとるように該殺菌フ
    ィルタと結合されており、 該注射器のピストンと該中空針によって形成される通路
    内において注入すべき材料を有している、 粘性材料注入装置。
  2. 【請求項2】前記注射器が、第1及び第2の端と該第1
    及び第2の端の間のある位置から突き出した少くとも2
    つのフランジを備えた中空体を有しており、 前記中空針が該第2の単に取り付けられ該中空体の内部
    キャビティとの間で液体が伝達される状態であり、 該フィルタと該注射器が結合器によって結合されてお
    り、 該結合器が第1、第2、及び第3のセクションを有し、
    かつ、該第2のセクションが該少くとも2つのフランジ
    と該第1の端の間で該注射器の突き出た部分を収容する
    ための中空通路を有し、かつ、該第2のセクションが該
    注射器体の突き出た部分と該第2のセクションの間で空
    気圧シールを形成するためのシーリング手段を有し、か
    つ、該第2のセクションが該少くとも2つの突き出たフ
    ランジを密着させ、該注射器体への機械的な接続を形成
    する手段を有し、かつ、第3のセクションが該フィルタ
    からの前記濾過されたガス流を受ける空気圧カップリン
    グを形成する手段を有している、請求項1に記載の装
    置。
  3. 【請求項3】前記注射器の前記通路内であって前記ピス
    トンと前記中空針の間にHEALON材料を有している
    請求項2に記載の装置。
  4. 【請求項4】前記フィルタが前記空気圧ホース内に置か
    れたインラインフィルタである請求項3に記載の装置。
  5. 【請求項5】空気圧を発生させる前記手段がEFD o
    f East Providence,Rhode I
    slandが製造するモデル1000XLにかわ注入装
    置である請求項2に記載の装置。
  6. 【請求項6】空気圧を発生させる前記手段に結合された
    足操作コントロールを備え、空気圧を発生させる該手段
    が、選択できる空気圧レベルを前記注射器の前記ピスト
    ンに加える手段を有し、該空気圧レベルが該足操作コン
    トロールのフルスケールの踏み込みに対する割合の1次
    関数となる請求項1に記載の装置。
  7. 【請求項7】前記にかわ注入装置がフットスイッチコン
    トロールと空気パルス時間を設定する手段を備えてお
    り、さらに、該フットスイッチコントロールが動作させ
    られている間に選択されたプログラム可能な空気圧レベ
    ルが前記注射器に加えられる第1のモードを実行し、か
    つ選択されたプログラム可能な空気圧ピークと持続時間
    設定手段によって設定されたパルス持続時間を持つ空気
    パルスが、該フットスイッチの最初に踏まれた時点で該
    注射器に加えられ、選択された時間間隔が経過した時点
    で該空気圧が止む第2のモードを実行する手段を備えて
    いる、 請求項5に記載の装置。
  8. 【請求項8】前記にかわ注入装置が、選択されたレベル
    の真空を発生させ、かつ何れのモードに於いても空気圧
    の印加終了後、該選択された真空レベルを加える手段を
    備えた請求項7に記載の装置。
  9. 【請求項9】身体に粘性材料を注入する装置であって、
    制御トランスデューサと空気圧ピークコントロールと時
    間間隔コントロールを有し、かつ、コントロールスイッ
    チが動作された時点に該空気圧ピークコントロールの操
    作によって設定されたプログラム可能空気圧レベルの出
    力部への印加が開始し、該コントロールスイッチの動作
    を停止した時、該印加が停止する第1のモード、及び該
    空気圧コントロールの操作によって選択された空気圧ピ
    ークと持続時間コントロールの操作によって設定された
    パルス持続時間とを有する空気圧パルスが、該コントロ
    ールスイッチの動作時に該出力部に印加され、時間間隔
    コントロールによって設定された時間間隔経過時に該印
    加が停止する第2のモード、を包含する複数モードのい
    ずれに於いても該出力部に空気圧を発生させる空気圧手
    段と、 該出力部に結合された空気圧チューブと、 該出力部に該空気圧チューブを介して空気圧で結合さ
    れ、フィルタ出力部を有する殺菌フィルタと、 該フィルタ出力部に空気圧で結合された殺菌注射器とを
    備え、 該注射器が殺菌ピストンによって該注射器内に形成され
    た通路を有し、該通路が該ピストンによって少くとも第
    1及び第2に分離された通路に分けられており、また該
    注射器は、該第1の通路と液体によって連結された殺菌
    中空針を有し、該フィルタ出力部が該第2の通路と液体
    によって連結され、該注射器が該第1の通路内に粘性材
    料をたくわえている粘性材料注入装置。
  10. 【請求項10】前記粘性材料がHEALON ヒアルロ
    ン酸ナトリウムである請求項9に記載の装置。
  11. 【請求項11】前記空気圧手段がさらにプログラム可能
    なレベルの真空を発生させ、空気圧の前記注射器への印
    加終了時に自動的に該注射器の前記第2の通路へ該真空
    を印加する真空手段を備えた請求項9に記載の装置。
  12. 【請求項12】身体に粘性材料を注入する装置であっ
    て、コントロールトランスデューサを有し、かつ該コン
    トロールトランスデューサが出力部に於いて該コントロ
    ールトランスデューサの位置の1次関数となる空気圧を
    発生する空気圧手段と、 該出力部に結合された空気圧チューブと、 該空気圧チューブを介して該出力部に空気圧で結合さ
    れ、フィルタ出力部を有する殺菌フィルタと、 該フィルタ出力部に空気圧で結合された殺菌注射器とを
    備え、 該注射器が殺菌ピストンによって該注射器内に形成され
    た通路を有し、該通路は該ピストンによって少くとも第
    1及び第2の分離された通路に分けられており、また該
    注射器は、該第1の通路と液体によって連結された殺菌
    中空針を有し、該フィルタ出力部が該第2の通路と液体
    によって連結され、該注射器が第1の通路内に粘性材料
    をたくわえている粘性材料注入装置。
  13. 【請求項13】最大圧力コントロールを有する空気圧手
    段を備え、該空気圧手段が、最大圧力コントロールの位
    置を読み、かつ該位置によって設定された最大圧力を内
    挿計算に於ける上限として使用する手段を備え、 前記コントロールトランスデューサのフルスケールの踏
    み込みを該最大圧力コントロールによって設定された圧
    力へと換算し、また該コントロールトランスデューサの
    フルスケールの踏み込み以下では大気圧と該最大圧力と
    の間の圧力へ実質的に比例するように換算するコントロ
    ールトランスデューサの位置の1次関数となる空気圧を
    発生させる請求項12に記載の装置。
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