JPH061851U - 軸連結機構 - Google Patents

軸連結機構

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JPH061851U
JPH061851U JP4286792U JP4286792U JPH061851U JP H061851 U JPH061851 U JP H061851U JP 4286792 U JP4286792 U JP 4286792U JP 4286792 U JP4286792 U JP 4286792U JP H061851 U JPH061851 U JP H061851U
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、軸力と回転力との双方を伝達する
ための2つの軸間の連結に用いる軸連結機構に関し、整
備性を確保しながら軸力と回転力との双方を十分に負担
できるようにし且つ容易に加工できるようにすることを
目的とする。 【構成】 第1および第2の軸7B,7Aの各端部に形
成されて相互の嵌合により回転方向の係止を行なう第1
および第2の回転力係止突起27A,28Aと、第1お
よび第2の軸7B,7Aの軸に外装されこれらの軸方向
の係止を行なう円筒状の連結部材29とをそなえ、第1
の回転力係止突起27Aの外周に軸方向係止溝27Bを
形成し、連結部材29の先端内周に第1の軸7Bに対す
る相対回転により軸方向係止溝27Bに整合する連結部
材内突起29Aを突設し、連結部材29を第1の軸7B
に対して回転規制して連結部材内突起29Aを軸方向係
止溝27Bへ整合維持する軸方向係止用回転規制手段R
を設けるように構成する。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、軸力と回転力との双方を伝達すべき2軸間の連結に用いて好適の、 軸連結機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば自動車において、その駆動力を伝達する軸等の連結部分に、回転 駆動力を伝達できるようにした、軸連結機構が介設されている。 かかる軸連結機構は、一般にスプライン結合をするとともに、サークリップに より抜け止めを行なうように構成されている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような軸連結機構にあっては、軸に回転力と軸力(引張 力)との双方が作用する場合がある。 すなわち、大きなトルクロスやエネルギロスを招来することなく、自由自在な トルク配分を行なおうとする駆動力配分装置などでは、回転力と軸力との双方を 十分に伝達できる軸の連結機構が必要とされる。
【0004】 例えば図17はこのような観点から案出された車両用左右駆動力配分装置の原 理を模式的に示す構成図である。この図17に示すように、回転駆動力(以下、 駆動力又はトルクともいう)を入力される入力軸1と、入力軸1から入力された 駆動力を出力する第1及び第2の出力軸2,3とが設けられており、第1の出力 軸2と第2の出力軸3と入力軸1との間に車両用左右駆動力配分装置が介装され ている。
【0005】 そして、この車両用左右駆動力配分装置は、次のような構成により、第1の出 力軸2と第2の出力軸3との差動を許容しながら、入力軸1から、第1の出力軸 2と第2の出力軸3とに伝達される駆動力を所要の比率に配分できるようになっ ている。 すなわち、第1の出力軸2と入力軸1との間及び第2の出力軸3と入力軸1と の間に、それぞれ変速機構Aと多板クラッチ機構Bとが介装されており、第1の 出力軸2又は第2の出力軸3の回転速度が、変速機構Aにより増速されて駆動力 伝達補助部材としての鞘軸7に伝えられる。
【0006】 そして、多板クラッチ機構Bは、この鞘軸7と入力軸1側のデファレンシャル ケース(以下、デフケースと略す)13との間に介装されており、この多板クラ ッチ機構Bを係合させることで、高速側の鞘軸7から低速側のデフケース13へ 駆動力が返送されるようになっている。これは、対向して配設されたクラッチ板 における一般的な特性として、トルクの伝達が、速度の速い方から遅い方へ行な われるためである。
【0007】 したがって、例えば、第2の出力軸3と入力軸1との間の多板クラッチ機構B が係合されると、第2の出力軸3へ配分される駆動力の一部は入力軸1側へ返送 されて、第2の出力軸3へ配分される駆動力が減少して、この分だけ、第1の出 力軸2へ配分される駆動力が増加する。 上述の変速機構Aは、2つのプラネタリギヤ機構を直列的に結合してなるいわ ゆるダブルプラネタリギヤ機構で構成されており、第2の出力軸3に設けられた 変速機構Aを例に説明すると次のようになる。
【0008】 すなわち、第2の出力軸3には第1のサンギヤ4Aが固着されており、この第 1のサンギヤ4Aは、その外周において第1のプラネタリピニオン5Aに螺合し ている。また、第1のプラネタリピニオン5Aは、第2のプラネタリピニオン5 Bと一体に固着され、共にピニオンシャフト6Aを通じて、ケーシング(固定部 )に固着されたキャリア6に枢支されている。これにより、第1のプラネタリピ ニオン5Aと第2のプラネタリピニオン5Bとが、ピニオンシャフト6Aを中心 として同一の回転を行なうようになっている。
【0009】 さらに、第2のプラネタリピニオン5Bは、第2の出力軸3に枢支された第2 のサンギヤ4Bに螺合しており、第2のサンギヤ4Bは、鞘軸7を介して多板ク ラッチ機構Bのクラッチ板8Aに連結されている。また、多板クラッチ機構Bの 他方のクラッチ板8Bは、入力軸1により駆動されるデフケース13に連結され ている。
【0010】 そして、図17の構造では、第1のサンギヤ4Aが第2のサンギヤ4Bより大 きい径で形成されているので、第2のサンギヤ4Bの回転速度は第1のサンギヤ 4Aより大きくなり、この変速機構Aは増速機構としてはたらくようになってい る。したがって、クラッチ板8Aの回転速度がクラッチ板8Bより大きく、多板 クラッチ機構Bを係合させた場合には、この係合状態に応じた量のトルクが、第 2の出力軸3側から入力軸1側へ返送されるようになっている。
【0011】 一方、第1の出力軸2にそなえられる変速機構A及び多板クラッチ機構Bも、 同様に構成されており、入力軸1からの駆動トルクを第1の出力軸2により多く 配分したい場合には、その配分したい程度(配分比)に応じて第2の出力軸3側 の多板クラッチ機構Bを適当に係合し、第2の出力軸3により多く配分したい場 合には、その配分比に応じて第1の出力軸2側の多板クラッチ機構Bを適当に係 合する。
【0012】 また、多板クラッチ機構Bを油圧駆動式のものにすると、油圧の大きさを調整 することで多板クラッチ機構Bの係合状態を制御でき、第1の出力軸2又は第2 の出力軸3から入力軸1への駆動力の返送量(つまりは駆動力の左右配分比)を 調整することができる。 このような装置によれば、ブレーキ等のエネルギーロスを用いてトルク配分を 調整するのでなく、一方のトルクの所要量を他方に転送することによりトルク配 分が調整されるため、ほとんどトルクロスやエネルギロスを招来することなく、 所望のトルク配分を得ることができる。
【0013】 したがって、上述のような装置を、例えば図18に示すような従来のディファ レンシャル装置9′におけるデフキャリア12やデフケース13′等の部品を利 用しながら実現することが望ましい。 なお、図18に示すディファレンシャル装置は後輪用のもので、入力軸1と左 右輪への出力軸2,3との間に介装され、入力軸1の端部に設けられたドライブ ピニオン9Bと、このドライブピニオン9Bに噛合するリングギヤ9Aと、リン グギヤ9Aを設置されたデフケース13′と、このデフケース13′に枢着され たピニオン9a′と、出力軸2,3の端部にそれぞれ設けられてピニオン9aと 噛合するピニオン9b′,9c′とをそなえて構成されている。そして、センタ ーディファレンシャル及びプロペラシャフト(共に図示省略)を介して入力軸1 からエンジン出力を入力されると、このエンジン出力(駆動力)を、ドライブピ ニオン9B,リングギヤ9A,ピニオン9a′,9b′,9c′を通じて左右輪 へ差動を許容しながら伝達するようになっている。
【0014】 ところで、このような装置では、多板クラッチ機構Bを従来のデフキャリア内 に設け、変速機構Aをデフキャリア外に設けることが考えられるが、このような 場合、多板クラッチ機構Bと変速機構Aとを連結する鞘軸7は、分割する必要が あり、組み立て時に連結することとなる。 したがって、鞘軸7の連結部には、第2の出力軸3から入力軸1へ返送される トルクが作用するとともに、多板クラッチ機構Bにおけるクラッチ板のストロー クに対応した軸力が作用する。
【0015】 しかしながら、このような軸力と回転力との双方が作用する軸連結部に、従来 のスプラインとサークリップによる機構を採用した場合には、回転力の伝達は十 分可能であるものの、引っ張り力(軸力)は、小さな値しか負担することができ ないという課題がある。 すなわち、負担できる引っ張り力を大きくするためには、サークリップの抜け 荷重を大きくする必要があるが、このようにすると、分解時にそれ以上の力を加 える必要があり、整備性が悪化して、上述のような駆動力配分装置におけるよう に、整備が不可欠な機構には採用できないという課題がある。
【0016】 本考案は、このような課題に鑑み創案されたもので、整備性を確保しながら、 軸力と回転力との双方を十分に負担できるようにするとともに、容易に加工も行 なえるようにした、軸連結機構を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
このため、本考案の軸連結機構は、相互に駆動力を伝達すべき第1および第2 の軸の各端部を連結する軸連結機構において、上記の第1および第2の軸の各端 部に軸方向に延在して形成されて相互の嵌合により回転方向の係止を行なう第1 および第2の回転力係止突起と、上記の第1および第2の軸の軸方向の係止を行 なうべくこれらの軸の双方に外装される円筒状の連結部材とをそなえ、上記第1 の回転力係止突起の外周に周方向へ延在するように形成された軸方向係止溝と、 上記連結部材の先端側内周に突設され該連結部材の上記第1の軸に対する相対回 転により上記軸方向係止溝に整合する連結部材内突起とが設けられるとともに、 上記連結部材内突起が上記軸方向係止溝へ整合した状態を維持するように上記連 結部材を上記第1の軸に対して回転規制する軸方向係止用回転規制手段が設けら れていることを特徴としている。
【0018】
【作用】
上述の本考案の軸連結機構では、相互に駆動力を伝達すべき第1の軸と第2の 軸とが、それぞれの端部に形成された第1および第2の回転力係止突起相互の嵌 合により回転方向において連結され、第1および第2の軸の双方に外装される円 筒状の連結部材により、第1および第2の軸が軸方向において連結される。この 際に、第1の軸の端部における連結部材との軸方向連結は、連結部材の第1の軸 に対する相対回転により連結部材内突起を軸方向係止溝に整合させ、軸方向係止 用回転規制手段により、この連結部材内突起が上記軸方向係止溝へ整合した状態 が維持される。
【0019】
【実施例】
以下、図面により、本考案の一実施例としての軸連結機構について説明すると 、図1はその縦断面図、図2はその第1の軸を示す縦断面図、図3はその第1の 軸を示す左側面図、図4はその連結部材を示す縦断面図、図5はその連結部材を 示す左側面図、図6はその連結部材を示す右側面図、図7はその第2の軸を示す 縦断面図、図8はその第2の軸を示す左側面図、図9はその第2の軸を示す右側 面図、図10はその第2の軸の右端部を示す縦断面図、図11はその要部構成を 示す断面図(図1のE−E矢視断面図)、図12はその要部構成を示す断面図( 図1のF−F矢視断面図)、図13はその軸連結機構をそなえた車両用左右駆動 力配分装置の要部構成について下半部を回転断面で示す横断面図、図14はその 要部構成を示す断面図(図13のA−A矢視断面図)、図15はその要部構成を 示す断面図(図13のB−B矢視断面図)、図16はその要部構成を示す断面図 (図13のC−C矢視断面図)である。
【0020】 この実施例の軸連結機構は、車両用左右駆動力配分装置にそなえられている。 かかる車両用左右駆動力配分装置は、自動車における後輪の左右駆動力を行なう もので、ここでは特に四輪駆動車の後輪側にそなえられ、センターディファレン シャル(図示省略)を通じて後輪側へ出力された駆動力をプロペラシャフト(図 示省略)を介して入力軸1に受けて、この駆動力を左右に配分できるようになっ ている。
【0021】 この車両用左右駆動力配分装置は、図13〜16に示すように構成されるが、 この装置の原理自体は既に説明したもの(図17参照)と同様に構成されている 。つまり、自動車のエンジン出力のうち後輪側へ配分された回転駆動力を入力さ れる入力軸1と、入力軸1から入力された駆動力を出力する第1及び第2の出力 軸2,3とを連結するように設けられおり、第1の出力軸2はその左端を左輪の 駆動系に連結され、第2の出力軸3はその右端を右輪の駆動系に連結されている 。
【0022】 なお、この車両用左右駆動力配分装置は左右対称であり、図13中では、装置 の軸連結機構にかかる部分は主として左側の部材のみに符号を付し、その他の部 分は主として右側の部材のみに符号を付している。 第1の出力軸2の基端と第2の出力軸3の基端と入力軸1の後端との間には、 差動機構S1と駆動力伝達制御機構Sとが介装されており、これらの機構により 、第1の出力軸2と第2の出力軸3との差動を許容しながら第1の出力軸2と第 2の出力軸3とに伝達される駆動力を所要の比率に配分できるようになっている 。
【0023】 特に、駆動力伝達制御機構Sは、変速機構Aと多板クラッチ機構Bとをそなえ て構成されている。これらの変速機構A及び多板クラッチ機構Bは、第1の出力 軸2と入力軸1との間及び第2の出力軸3と入力軸1との間に介装されており、 第1の出力軸2又は第2の出力軸3の回転速度が、変速機構Aにより増速されて 駆動力伝達補助部材としての鞘軸7に伝えられるようになっている。
【0024】 そして、多板クラッチ機構Bは、この鞘軸7と入力軸1側のデファレンシャル ケース(以下、デフケースと略す)13との間に介装されており、この多板クラ ッチ機構Bを係合させることで、高速側の鞘軸7から低速側のデフケース13へ 駆動力が返送されるようになっている。これは、対向して配設されたクラッチ板 における一般的な特性として、トルクの伝達が、速度の速い方から遅い方へ行な われるためである。
【0025】 したがって、例えば、第2の出力軸3と入力軸1との間の多板クラッチ機構B が係合されると、第2の出力軸3へ配分される駆動力の一部は入力軸1側へ返送 されて、第2の出力軸3へ配分される駆動力が減少して、この分だけ、第1の出 力軸2へ配分される駆動力が増加するようになっている。逆に、第1の出力軸2 と入力軸1との間の多板クラッチ機構Bが係合されると、第1の出力軸2へ配分 される駆動力の一部は入力軸1側へ返送されて、第1の出力軸2へ配分される駆 動力が減少して、この分だけ、第2の出力軸3へ配分される駆動力が増加するよ うになっている。
【0026】 上述の変速機構Aは、2つのプラネタリギヤ機構を直列的に結合してなるいわ ゆるダブルプラネタリギヤ機構で構成されており、第2の出力軸3に設けられた 変速機構Aを例に説明すると次のようになる。 すなわち、第2の出力軸3に第1のサンギヤ4Aが、スプライン及びサークリ ップ10により固着されており、第1のサンギヤ4Aは、その外周において第1 のプラネタリギヤ5Aに螺合している。また、第1のプラネタリギヤ5Aは、第 2のプラネタリギヤ5Bと一体に形成されており、本実施例では、同一の歯数で 一体の部品(つまり、1つのプラネタリギヤ)5として形成されている。
【0027】 これらの、第1のプラネタリギヤ5Aと第2のプラネタリギヤ5Bとは、変速 機構Aのケーシング11に固着されたキャリア6にピニオンシャフト6Aを介し 枢支されており、第1のプラネタリギヤ5Aと第2のプラネタリギヤ5Bとが、 ピニオンシャフト6Aを中心として同一の回転を行なうようになっている。 さらに、第2のプラネタリギヤ5Bは、第2のサンギヤ4Bに螺合しており、 第2のサンギヤ4Bは、第2の出力軸3に枢支された円筒状の鞘軸7に取り付け られており、この鞘軸7を介して多板クラッチ機構Bのクラッチ板8Aに連結さ れている。
【0028】 ここで、多板クラッチ機構Bは、対向するクラッチ板8Aとクラッチ板8Bと をデフキャリア12内のデフケース13に格納するようにして装備されており、 クラッチ板8Bは、デフケース13内周の突起13aに回転方向を係止されるよ うになっている。デフケース13はディファレンシャル9を構成するベベルギヤ (リングギヤ)9Aを固着されているため、多板クラッチ機構Bにおける他方の クラッチ板8Bは、デフケース13及びベベルギヤ9Aを介して、入力軸1の後 端を構成するベベルギヤ(ドライブピニオン)9Bに連結されている。
【0029】 すなわち、入力軸1は、ベベルギヤ9A,ベベルギヤ9B及びデフケース13 を介しクラッチ板8Bに連結されており、入力軸1からベベルギヤ9A,ベベル ギヤ9B,デフケース13,差動機構S1を介して第1の出力軸2及び第2の出 力軸3に伝達される通常の駆動力伝達ルートの他に、第1の出力軸2又は第2の 出力軸3から変速機構A,鞘軸7,多板クラッチ機構B,デフケース13,ベベ ルギヤ9A,ベベルギヤ9Bを介して入力軸1側に通じる駆動力伝達ルートが設 けられることになる。
【0030】 なお、図13の構造では、第1のサンギヤ4Aと第2のサンギヤ4Bとは同一 の歯で形成されているが、歯数は転移歯車により第1のサンギヤ4Aの方が第2 のサンギヤ4Bよりも多くなっている。したがって、第2のサンギヤ4Bの回転 速度は第1のサンギヤ4Aよりも大きく、変速機構Aは増速機構として構成され ている。このため、クラッチ板8Aの回転速度はクラッチ板8Bよりも大きくな り、多板クラッチ機構Bを所要の結合状態にした場合には、所要量のトルクが、 第2の出力軸3側から入力軸1側へ返送されるようになっている。
【0031】 第1の出力軸2における変速機構A及び多板クラッチ機構Bも、上記同様に装 備されており、第1の出力軸2から入力軸1側へのトルク伝達が制御されるよう になっている。 ところで、第1の出力軸2と第2の出力軸3との差回転を許容する差動機構S 1は、遊星歯車機構で構成されており、これにより一対の多板クラッチ装置Bと 差動機構S1とが同一のデフキャリア12内に設けられている。
【0032】 つまり、差動機構S1としての遊星歯車機構は、リングギヤ14とプラネタリ ギヤ15とサンンギヤ16とをそなえ、リングギヤ14がデフケース13の内周 に形成され、サンギヤ16が第2の出力軸3に取り付けられ、プラネタリギヤ1 5を軸支するキャリア17が第1の出力軸2に取り付けられている。 これにより、デフケース13に入力された駆動力は、リングギヤ14からプラ ネタリギヤ15に入力されてキャリア17から第1の出力軸2に伝達される一方 で、リングギヤ14からプラネタリギヤ15を介してサンギヤ16に入力されて 第1の出力軸2に伝達されるようになっている。
【0033】 なお、この遊星歯車機構において、プラネタリギヤ15はインナピニオンとア ウタピニオンとの2つのピニオンが噛合して一体化されたダブル形式で構成され ている。これらのインナピニオン及びアウタピニオンは何れもキャリア17に枢 支され、アウタピニオンがリングギヤ14に螺合し、インナピニオンがサンンギ ヤ16に螺合しており、サンンギヤ16側とリングギヤ14側との相対的な回転 方向が一致するように設定されている。
【0034】 また、この差動機構S1は、デフケース13内において、一対の多板クラッチ 機構B,Bの間に装備されているが、差動機構S1を遊星歯車機構で構成してい るため軸方向にコンパクトであり、差動機構S1及び多板クラッチ機構Bを従来 用いられているデフケース13内に共に格納している。これにより、デフケース 13を格納するデフキャリア12も従来の部品で構成されている。
【0035】 なお、中空円筒状のデフケース13は、その両端の小径部を、ベアリング18 を介しデフキャリア12の両端における開口部に枢支されている。 そして、多板クラッチ機構Bは、前述のように、クラッチ板8Aとクラッチ板 8Bとをそなえて構成されるそのクラッチ部B1をデフケース13内に配設され るとともに、クラッチ部B1を駆動するピストン部B2をデフケース13外に配 設されている。
【0036】 すなわち、デフキャリア12の両端開口部には、中空円筒状に形成された変速 機構Aのケーシング11が、外方から嵌挿され、その基端小径部11Aがボルト 19により締めつけ固定されており、この基端小径部11A内にはその内壁に沿 い延在する摺動部20Aをそなえたピストン20が設けられている。 ピストン20は、ケーシング11の基端小径部11Aから大径部11Bに至る 内壁に沿うように延在して、小径の摺動部20Aと大径の摺動部20Bとをそな えた段付きの中空円筒状に形成されている。
【0037】 そして、小径の摺動部20Aと大径の摺動部20Bとの間における環状鉛直面 20Cが加圧面として構成され、この加圧面20Cと、ケーシング11の基端小 径部11Aから大径部11Bに至る内壁面11Cとの間に、加圧作動室(加圧室 )20Dが形成されている。 加圧作動室20Dには、図示しない作動油供給路が接続されており、コントロ ーラ等の制御信号に基づき油圧源から所要の作動油圧が加圧作動室20Dに供給 され、ピストン20が所要量変位するようになっている。
【0038】 このようにして、多板クラッチ機構Bのピストン部B2がデフケース13外の ケーシング11内に形成されているのである。 ところで、ピストン部B2における大径の摺動部20Bの内周には、ベアリン グ21が嵌挿されており、さらにベアリング21の内周には、鞘軸7が嵌挿され 、鞘軸7はベアリング21の内輪に固着されている。
【0039】 すなわち、ピストン部B2がデフケース13外において回転部(鞘軸7)に対 しベアリング21を介し装備されており、ピストン20が変位すると、ベアリン グ21を介して鞘軸7が軸方向へ所要量駆動されるようになっている。 そして、鞘軸7は多板クラッチ機構Bにおけるクラッチ板8Aに接続されてお り、上記のように鞘軸7が駆動されると、クラッチ板8Aが変位し、多板クラッ チ機構Bをクラッチ板8A,8Bが互いに離隔した結合解除状態から、クラッチ 板8A,8Bが滑りを伴いながら適当に係合した半結合状態、更には、クラッチ 板8A,8Bが完全に結合した完全結合状態まで適宜制御できるようになってい る。
【0040】 ところで、鞘軸7は、その先端がスプライン機構を介し、第2のサンギヤ4B に連結されており、常時、変速機構Aで変速された速度の回転を行なうが、ピス トン20は、鞘軸7との間にベアリング21が介装されているため、回転を行な わない非回転式で構成されている。 これは、ピストン20とケーシング11内壁との間に設けられたシール機構2 2を良好に保つためであって、ピストン20は全く回転しないことが望ましい。 しかしながら、ベアリング21のみでは、ピストン20は摩擦により連れ回りし てしまうため、ピストン部B2においてピストン20とピストンリテーナとして のケーシング11との相対回転を規制する規制機構Cが設けられている。
【0041】 規制機構Cは、ケーシング11における鉛直な内壁面11Cに、ピストン20 側へ向け軸方向に延在するように立設されたピン23と、このピン23を遊挿さ れたピストン20の案内孔20Eとで構成されており、ピストン20の変位に際 し、ピストン20はピン23が案内孔20Eに案内されることにより、その回転 を規制されるようになっている。
【0042】 そして、ピストン20とケーシング11との間に設けられたシール機構22は 、次のように構成されている。 すなわち、潤滑油(第2の液体)を内蔵された潤滑作動室(作動室)24がデ フキャリア12とケーシング11と包囲されて形成されており、ケーシング11 側の潤滑作動室24内に、ピストン20が摺動部20A,20Bをそなえて設け られている。特に、摺動部20Aはケーシング11の基端小径部11A内に、摺 動部20Bはケーシング11の大径部11B内に位置している。そして、摺動部 20Aと摺動部20Bとの間のピストン20の外壁面の段部と、基端小径部11 Aと大径部11Bとの間のケーシング11の内壁面11Cの段部との間に、潤滑 作動室24から仕切られ加圧作動油を供給された加圧室20Dを形成されている 。
【0043】 潤滑作動室24に内蔵される潤滑油と加圧室20Dに内蔵される作動油とは油 の性質が異なるので、加圧室20D内の作動油に潤滑油が混入することや潤滑作 動室24内の潤滑油に作動油が混入することを防止する必要がある。そこで、潤 滑作動室24と加圧室20Dとの間の液密性を確保すべく、作動室24(つまり 、ケーシング11)の内壁とピストンの摺動部20A,20Bとの間にそれぞれ シール機構22が介装されている。
【0044】 このシール機構22は、潤滑作動室側(デフケース13側,変速機構A側)に 設けられた潤滑作動室用シール(第2の液体用シール)22A,22Dと、加圧 室20D側に設けられた加圧室用シール(加圧作動油用シール)22B,22C とをそなえて構成され、潤滑作動室用シール22A,22Dと加圧室用シール2 2B,22Cとがその摺動範囲を相互に干渉しないように離隔して配設されてい る。
【0045】 すなわち、潤滑作動室用シール22A,22Dと加圧室用シール22B,22 Cとの距離は、ピストン20のストロークの2倍以上に設定されており、それぞ れのシール22A,22B,22C,22Dがケーシング11内壁上を摺動して も、内壁から掻き採った油が異なる側の作動室内に浸入することのないように構 成されている。
【0046】 なお、ここでは、各シール22A,22B,22C,22Dは、ピストン20 側に形成された環状溝に摺動時に変形しにくいDリングを嵌合させて、Dリング の曲面側をケーシング11の内壁面11Cに摺接させたものであり、ピストン2 0のストロークに伴うシ−ルの自転等を防止できるようになっている。 そして、潤滑作動室用シール22A,22Dと加圧室用シール22B,22C との間に位置に対応する潤滑作動室(ケーシング11)の内壁において、全周に 亘る溝25が形成されるとともに、潤滑作動室(ケーシング11)の内壁下部に おいて溝25からケーシング11の外部に至るように外気連通路26が設けられ ている。なお、溝25は、潤滑作動室用シール22Aの摺動範囲と加圧室用シー ル22Bの摺動範囲との間、及び、潤滑作動室用シール22Dの摺動範囲と加圧 室用シール22Cの摺動範囲との間で、各摺動範囲に干渉しない位置に配設され ている。
【0047】 これは、各シール22A,22B,22C,22Dが掻き採ったオイルを溝2 5に滞留させて、潤滑作動室24と加圧室20Dとのオイル干渉を防止するとと もに、いずれかのシールが破損したとき、溝25に滞留させた後、外気連通路2 6を通じて漏出したオイルを外部に排出させ、シールの破損を検知できるように するとともに、混合した油が潤滑作動室24や加圧室20D側へ逆流しないよう にすることを期待して装備されている。
【0048】 ところで、多板クラッチ機構Bのクラッチ部B1は、デフケース13内に設け られているが、デフケース13における左右の端部13A,13Bは、クラッチ 部B1の加圧に際しての支持部材として構成されている。 すなわち、鞘軸7に連結された多板クラッチ機構Bのクラッチハブ8Cは、ク ラッチ部B1がデフケース13内に設けられているため、クラッチ部B1より中 央側に配設され、クラッチハブ8Cとデフケース13の端部13A,13Bとの 間にクラッチ部B1が挟まれるようにして装備されている。
【0049】 クラッチ部B1の加圧に際しては、ピストン20により加圧されるクラッチハ ブ8Cと、この加圧力を支持する支持部材が必要であるが、加圧力を鞘軸7のピ ストン20による引っ張り力とすることにより、デフケース13の端部13A, 13Bが支持部材としての機能を持つようになっている。 これにより、支持部材を装備するためのスペースが不要になり、装置の小型化 がもたらされるようになっている。
【0050】 上述のように、多板クラッチ機構Bは鞘軸7の引っ張り作動により、その結合 が行なわれるが、鞘軸7は、組み立て上の要請から、デフケース13外において 、第2の軸としてのピストン部側部材7Aと第1の軸としてのクラッチ部側部材 7Bとに分割可能に構成されている。そして、ピストン部側部材7Aとクラッチ 部側部材7Bとは、連結機構Dにより組み立て時に連結されるようになっている 。
【0051】 連結機構Dは、図1〜13に示すように、ピストン部側部材7Aとクラッチ部 側部材7Bと連結部材29とから構成されており、ピストン部側部材7Aとクラ ッチ部側部材7Bとの連結すべき端部に、軸方向に延在して形成された第1の回 転力係止突起27Aおよび第2の回転力係止突起28Aが対向するようにそれぞ れ複数(ここでは、6個)、等間隔で設けられている(図2,3及び図7,9, 10参照)。
【0052】 第1の回転力係止突起27Aと第2の回転力係止突起28Aとは、図11に示 すように、相互の嵌合により回転方向に係止され、回転力の伝達が行なわれるよ うになっている。つまり、第1の回転力係止突起27Aはそれぞれ第2の回転力 係止突起28A間に形成された凹部内に嵌合して、第2の回転力係止突起28A はそれぞれ第1の回転力係止突起27A間に形成された凹部内に嵌合することで 、ピストン部側部材7Aとクラッチ部側部材7Bとが一体に回転するようになっ ている。
【0053】 そして、ピストン部側部材7Aとクラッチ部側部材7Bとの軸方向係止を行な うべく、円筒状の連結部材29が、ピストン部側部材7Aおよびクラッチ部側部 材7Bの連結端部双方に外装されている。 すなわち、ピストン部側部材7Aと連結部材29とが軸方向に係止されるとと もに、クラッチ部側部材7Bと連結部材29とが軸方向に係止されるようになっ ており、連結部材29を介して、ピストン部側部材7Aとクラッチ部側部材7B とが軸方向に連結されている。
【0054】 ここで、クラッチ部側部材7Bと連結部材29との連結は、次のようにして行 なわれるようになっている。 すなわち、図2に示すように、第1の回転力係止突起27Aの各外周において 周方向へ延在するように軸方向係止溝27Bが形成されている。 また、図4,5に示すように、連結部材29の先端側内周に連結部材内突起2 9Aが突設されており、連結部材内突起29Aをクラッチ部側部材7Bにおける 第1の回転力係止突起27Aに当接させないようにしながら(第1の回転力係止 突起27Aの相互間を通じて)、連結部材29をクラッチ部側部材7Bに挿入嵌 装して、この後、連結部材29をクラッチ部側部材7Bに対し相対回転すること により、軸方向係止溝27Bに連結部材内突起29Aが整合するようになってい る。
【0055】 そして、図1に示すように、この整合によりクラッチ部側部材7Bと連結部材 29とが軸方向において係止されるようになっている。 ところで、軸方向係止溝27Bと連結部材内突起29Aとは、次のように軸方 向係止用回転規制手段Rによって、ピストン部側部材7Aと連結部材29との相 対回転の規制に連係しながら互いの整合状態を保持されるようになっている。
【0056】 すなわち、連結部材29とピストン部側部材7Aとを回転方向に係止すべく、 連結部材29の基端側とピストン部側部材7Aの中間部とを回転規制する軸方向 係止用回転規制手段Rが設けられている。 軸方向係止用回転規制手段Rは、連結部材29の基端側において軸方向に延在 して周方向等間隔に設けられた6個の回転規制突起29B(図4,5参照)と、 ピストン部側部材7Aの中間部において半径方向に突設された6個の回転規制突 起28B(図7,9参照)とが嵌合するように構成されており、これらの嵌合に より、連結部材29とピストン部側部材7Aとが相互の回転を規制されてるよう になっている。
【0057】 回転規制突起28Bと回転規制突起28Bとは、クラッチ部側部材7Bの第1 の回転力係止突起27Aとピストン部側部材7Aの第2の回転力係止突起28A とが嵌合する位置関係にあるとき、同時に嵌合するようにその周方向位置を調整 して形成されている。 したがって、図1に示すように、連結部材29の連結部材内突起29Aと、ク ラッチ部側部材7Bにおける軸方向係止溝27Bとが整合した状態で、上記の軸 方向係止用回転規制手段Rにより連結部材29とピストン部側部材7Aとが回転 方向に係止されることにより、回転方向において連結部材内突起29Aと軸方向 係止溝27Bとは固定関係となり、整合状態が保持されるようになっている。
【0058】 そして、軸方向係止用回転規制手段Rを構成する回転規制突起28B,29B には、その外周にスナップリング装着用の溝28C,29Cが形成されており、 連結部材29とピストン部側部材7Aとの軸方向における係止が、溝28C,2 9Cを整合させてスナップリング36を嵌着することにより行なわれるようにな っている。
【0059】 このような構成により、鞘軸7におけるピストン部側部材7Aとクラッチ部側 部材7Bとの連結はつぎのようにして行なわれる。 まず、クラッチ部側部材7Bの外側端に連結部材29の先端側を挿入し、連結 部材内突起29Aを第1の回転力係止突起27Aに衝突しないように調整しなが ら連結部材29の先端がクラッチ部側部材7Bの段部に当接するまで押し込む。
【0060】 このあと、連結部材29を回転させ、連結部材29の連結部材内突起29Aを クラッチ部側部材7Bの軸方向係止溝27Bに整合させる。 そして、ピストン部側部材7Aの先端部を連結部材29内に挿入し、ピストン 部側部材7A先端の第2の回転力係止突起28Aと、クラッチ部側部材7Bの第 1の回転力係止突起27Aとを嵌合させるようにする。
【0061】 このとき、連結部材29の回転規制突起29Bとピストン部側部材7Aの回転 規制突起28Bとは、上記の嵌合と同時に整合し嵌合される。 これにより、クラッチ部側部材7Bと連結部材29とは、連結部材29とピス トン部側部材7Aとが軸方向係止用回転規制手段Rにより連係されることにより 、回転方向において係止されるようになり、これにより連結部材内突起29Aと 軸方向係止溝27Bとの整合状態が保持されるようになって、クラッチ部側部材 7Bと連結部材29との軸方向における係止状態が形成される。
【0062】 ついで、溝28C,29Cにスナップリング36を嵌着することにより、連結 部材29とピストン部側部材7Aとが軸方向に係止されるようになり、連結部材 29を介してクラッチ部側部材7Bとピストン部側部材7Aとが軸方向に係止さ れるようになる。 すなわち、デフキャリア12内に位置する部分でのピストン部側部材7Aとク ラッチ部側部材7Bとの軸方向係止関係を、デフキャリア12外の連結部材29 基端部における操作により実現できるようになり、デフキャリア12を分解する ことなく、クラッチ部側部材7Bとピストン部側部材7Aとの切り離しおよび連 結を行なえるようになって、装置の組立性および整備性が良好に保たれる。
【0063】 なお、クラッチ部側部材7Bとピストン部側部材7Aとの回転方向係止関係は 、デフキャリア12内に位置する部分における、第2の回転力係止突起28Aの 第1の回転力係止突起27Aへの軸方向挿入により容易に実現され、従来行なわ れているところであるが、上述の軸方向係止は困難な構造であり、特別の機構が 必要となる。
【0064】 このようにして、ピストン部側部材7Aとクラッチ部側部材7Bとの連結が完 了し、相互の回転力の伝達は、第1の回転力係止突起27Aと第2の回転力係止 突起28Aとの嵌合部を通じて行なわれる。 また、相互の軸方向の駆動力伝達は、ピストン部側部材7Aの回転規制突起2 8B,溝28C,スナップリング36,連結部材29の溝29C,回転規制突起 28B,連結部材29,連結部材内突起29A,クラッチ部側部材7Bの軸方向 係止溝27Bをこの順序にそれぞれ経由して行なわれる。
【0065】 このように、本連結機構Dは、回転力と軸力とを共に伝達できるようになって いる。 また、本連結機構Dは、クラッチ部側部材7Bに対し連結部材29、ピストン 部側部材7Aの順に組み立て、また逆の順に分解することができるので、メンテ ナンス時等において、中央のクラッチ部を分解する必要がなく、製造およびメン テナンスを行ないやすいという利点がある。
【0066】 そして、このようにして組み立てられた連結機構Dが、デフケース13の軸受 け部分に内設されるが、ここでは、図13に示すように、駆動力伝達補助部材及 びピストン駆動力伝達部材としての鞘軸7の連結機構Dの部分は、ブッシュ35 を介して、デフケース13の軸受け部分に摺接されており、連結機構Dの外周面 が軸受け部分に直接摺接しないようになっている。
【0067】 ところで、変速機構Aについては、その概略を前述したが、以下に、その遊星 歯車機構について詳述する。 すなわち、この遊星歯車機構では、一体に形成された第1のプラネタリギヤ5 A及び第2のプラネタリギヤ5Bに、第1のサンギヤ4A及び第2のサンギヤ4 Bが螺合しており、第2のサンギヤ4Bには鞘軸7を介しピストン20による変 位力が軸方向に作用する。
【0068】 したがって、第1のプラネタリギヤ5A、第2のプラネタリギヤ5B、第1の サンギヤ4A及び第2のサンギヤ4Bは、その軸方向両側から支承してやる必要 があり、このため、これらは、2分割式のプラネタリキャリア6(61,62) によりベアリング30を介し挟持され、軸力をキャリア6が支承するようになっ ている。
【0069】 2分割式のプラネタリキャリア6(61,62)は、ボルト31により相互に 固着されている。また、プラネタリキャリア6(61,62)には、ピニオンシ ャフト6Aの両端部を嵌挿すべく、ピニオンシャフト取り付け穴61A,62A が形成されている。 さらに、ピニオンシャフト6Aとプラネタリキャリア6(61,62)とを固 定すべく、プラネタリキャリア62の外側面に接する所要の厚みのストッパリン グ32が設けられている。このストッパリング32は、図15に示すような平面 形状をそなえている。
【0070】 そして、ピニオンシャフト6Aの先端部において所要の位置に嵌合溝33が設 けられており、ピニオンシャフト取り付け穴61A,62Aを介しプラネタリキ ャリア61から外側へピニオンシャフト6Aの先端部が突出した状態において、 ストッパリング32の所要部を嵌挿させうるようになっている。 ストッパリング32には、ピニオンシャフト6Aの軸方向移動を許容するピニ オンシャフト進入可能部32Aと、ピニオンシャフト32の軸方向移動を嵌合溝 33との嵌合により係止するピニオンシャフト係止部32Bとが設けられている 。すなわち、ストッパリング32におけるピニオンシャフト進入可能部32Aは 、ストッパリング32の内周を切り欠いた凹みで構成され、ピニオンシャフト進 入可能部32A以外の部分は、ピニオンシャフト6Aの挿通を許容しないように なっている。
【0071】 一方、ピニオンシャフト6Aにおける嵌合溝33は、ピニオンシャフト6Aの 先端部の半径方向外側へ開口し、ピニオンシャフト6Aにおける直径の1/3程 度の深さで形成されている。 そして、ストッパリング32におけるピニオンシャフト係止部32Bは、スト ッパリング32の内周の径をピニオンシャフト6Aにおける嵌合溝33の底より 少し大きい状態にすることにより、ストッパリング32の内周部が嵌合溝33と 嵌合してピニオンシャフト6Aを軸方向に係止するように構成されている。
【0072】 さらに、ストッパリング32と嵌合溝33との嵌合状態においてボルト31の プラネタリキャリア6Aへの装着を許容するボルト取り付け部としてボルト取り 付け穴32Cが設けられている。 これは、ストッパリング32を嵌合溝33と嵌合させる状態で回転させていく と、ボルト取り付け穴32Cを通じてプラネタリキャリア6(61,62)に形 成されたボルト取り付け穴62Bが覗けるようになり、この状態で、ボルト31 の取り付けが行なわれるようになっている。
【0073】 このような構成により、ピニオンシャフト6Aの固定作業は次のように行なわ れる。 まず、ピニオンシャフト取り付け穴61A,62Aを通じ、ピニオンシャフト 6Aを出力軸2,3の軸端側から嵌挿する。このとき、プラネタリキャリア62 の外側面にストッパリング32を当接させ、ピニオンシャフト進入可能部32A をピニオンシャフト取り付け穴61A,62Aに整合させる。
【0074】 ピニオンシャフト6Aは、ピニオンシャフト取り付け穴61A,62A及びピ ニオンシャフト進入可能部32Aを通じて挿通され、その先端がプラネタリキャ リア62外側面から突出する状態となり、この状態で、ピニオンシャフト6Aの 嵌合溝33を半径方向における外方へ向かわせるようにピニオンシャフト6Aを 回転調整する。
【0075】 この後、ストッパリング32を回転させ、ボルト取り付け穴32Cからプラネ タリキャリア62のボルト取り付け穴62Bが覗けるように調整する。 これにより、ストッパリング32の内周部で構成されるピニオンシャフト係止 部32Bが自動的にピニオンシャフト6Aの嵌合溝33に嵌合し、ピニオンシャ フト6Aはその軸方向移動を係止されるようになる。
【0076】 そして、ボルト取り付け穴62Bを通じボルト31を締めつけることにより、 プラネタリキャリア6(61,62)が締めつけ固定され、ピニオンシャフト6 Aの固定が完了する。 なお、ボルト31はその取り付け時において、頭部上端がストッパリング32 の外表面から突出するように形成されており、ストッパリング32が回転しよう としても、ボルト31の頭部がストッパリング32のボルト取り付け穴32C周 縁を係止することにより、その回転が禁止される。
【0077】 このようにして、2分割式のプラネタリキャリア6(61,62)の結合に際 しての整合と、ピニオンシャフト6A取り付けのための整合とが、同時に容易に 行なわれ、ピニオンシャフト6Aごとに固定作業を行なうことなく、ストッパリ ング32取り付けのみの少ない工数で作業が完了する。 ところで、ピニオンシャフト6Aと第1のプラネタリギヤ5A及び第2のプラ ネタリギヤ5Bとの潤滑機構は次のように構成されている。
【0078】 すなわち、図15に示すように、プラネタリキャリア62において、車載した 場合の上端部にあたる部分に、オイル溜まり41が設けられるとともに、このオ イル溜まり41から各ピニオンシャフト取り付け穴62Aへ連通するオイル供給 孔42が設けられている。 そして、ピニオンシャフト6Aには、その軸心部において軸方向に延在するピ ニオンシャフト側オイル供給孔6Bが形成されるとともに、ピニオンシャフト側 オイル供給孔6Bからピニオンシャフト6Aの外周へ連通するオイル導出路6C が設けられている。
【0079】 ピニオンシャフト側オイル供給孔6Bは、ピニオンシャフト6Aの端部におい て外周へ連通しており、この連通口及びプラネタリキャリア62における取り付 け穴62A内周のオイル供給孔42の開口が整合されて、ピニオンシャフト側オ イル供給孔6Bとオイル供給孔42とが、ピニオンシャフト6Aの端部及び取り 付け穴62Aを介し連通している。
【0080】 このような構造により、装置の運転が行なわれると、第1のプラネタリギヤ5 A及び第2のプラネタリギヤ5Bが出力軸2,3を中心とする回転を行ない、ケ ーシング11内の潤滑油が掻き上げられる。 これにより、掻き上げられた潤滑油は、プラネタリキャリア62上端のオイル 溜まり41に滴下し、滞留する。こうして、オイル溜まり41内に滞留した潤滑 油は、重力の作用によりオイル供給孔42を通じて各ピニオンシャフト6Aの取 り付け穴62Aに供給される。
【0081】 供給された潤滑油は、ピニオンシャフト6A軸心部のピニオンシャフト側オイ ル供給孔6Bに進入し、オイル導出路6Cを通じてピニオンシャフト6A外周に おけるプラネタリギヤ5A,5Bの枢支部に導出される。 これにより、新たな加圧機構を装備することなく、効率のよい潤滑が行なわれ 、プラネタリキャリア6(61,62)を固定式に装備するという特徴を利用し て重力による潤滑油供給が実現する。
【0082】 ところで、変速機構Aにおける第1のプラネタリギヤ5A及び第2のプラネタ リギヤ5Bは、前述のように同一歯数で一体のピニオン5として形成されている が、これらの第1及び第2のプラネタリギヤ5A,5Bは、一般的には、17図 を参照して既に説明したような、異なる歯数で形成する。 しかしながら、このように異なる歯数で形成する場合は、第1のプラネタリギ ヤ5Aと第2のプラネタリギヤ5Bとの間に歯切りのための製作用遊びを必要と する。
【0083】 したがって、変速機構Aがその幅方向に大型化し、限られた小さなスペース内 に装備すべき本装置に対する条件を満足できなくなり、本装置の実車への装備を 行なえなくなる。 そこで、本実施例では、第1のプラネタリギヤ5Aと第2のプラネタリギヤ5 Bとを同一の歯数で一体に形成し、これに螺合する第1のサンギヤ4Aと第2の サンギヤ4Bとの歯数を転位により異なるもので構成している。
【0084】 これにより、第1のプラネタリギヤ5Aと第2のプラネタリギヤ5Bとの間の 製作用遊びを必要としなくなり、幅を小さくできるようになって、変速機構Aを 幅方向に小型化し、実車への装備を可能にしている。 なお、図14,16において、符号11aはレベルプラグ、11bはマグネッ トプラグ、11cはエアブリーダ、11dは油圧供給口である。
【0085】 本考案の一実施例としての軸連結機構及びこの軸連結機構をそなえた車両用左 右駆動力配分装置は、上述のように構成されるため、以下のように作動する。 まず、入力軸1の駆動トルクを、第1の出力軸2により多く伝達したい場合に は、その配分の割合に応じて、第2の出力軸3側の多板クラッチ機構Bに所要の 流体圧を供給する。
【0086】 これにより、第2の出力軸3側の多板クラッチ機構Bが所要の結合状態となり 、変速機構Aにより増速されたクラッチ板8Aから通常の回転速度であるクラッ チ板8Bへトルク伝達が行なわれて、第2の出力軸3へ入力された駆動トルクの うちの所要量が入力軸1へ返送され、これに応じて、第1の出力軸2へ転送され る。
【0087】 したがって、第1の出力軸2へ伝達される駆動トルクが第2の出力軸3へ伝達 される駆動トルクより所要量多くなり、目標とするトルク配分が実現される。 一方、第2の出力軸3へのトルク配分を第1の出力軸2へ伝達される駆動トル クより大きくする場合は、上述とは逆に、第1の出力軸2側の多板クラッチ機構 Bへ所要の流体圧を供給する。
【0088】 これにより、上記同様にして、第2の出力軸3への配分比が多い状態でのトル ク配分が実現される。 また、配分比の大小は、多板クラッチ機構Bへ供給される流体圧の大小で調整 され、ピストン20の変位量の制御により多板クラッチ機構Bの結合度を調整す ることにより、返送されるトルク量を調整して行なわれる。
【0089】 このような機構によれば、ブレーキ等のエネルギーロスを用いてトルク配分を 調整するのでなく、一方のトルクの所要量を他方に転送することによりトルク配 分が調整されるため、ほとんどトルクロスやエネルギロスを招来することなく、 所望のトルク配分を得ることができる。 ところで、多板クラッチ機構Bにおけるクラッチ部B1の作動は、デフケース 13外に配設されたピストン部B2を駆動することにより、デフケース13内に 配設されたクラッチ部B1を加圧することで行なわれるが、このように、クラッ チ部B1がデフケース13内に設けられることで、車両用左右駆動力配分装置が 幅方向に小型化される。
【0090】 また、ピストン部B2をデフケース13外に設けることにより、ピストン20 の外径をデフケース13の外径に制限されることなく設定できるようになり、ピ ストン20の有効加圧面積を大きく確保できるようになる。 これにより、クラッチ部B1において必要な結合力を、ピストン20の小さな ストロークにより得られるようになり、車両用左右駆動力配分装置の幅方向の小 型化が実現する。
【0091】 また、クラッチ部B1の加圧に際しては、クラッチハブ8Cが鞘軸7を介しピ ストン20により引っ張られ、クラッチ板8Aとクラッチ板8Bとが押圧される ことにより行なわれる。このとき、押圧はクラッチ板8Bがデフケース13の端 部13A,13Bにより支持されることにより行なわれ、デフケース13が支持 部材となって、多板クラッチ機構Bの結合が行なわれる。
【0092】 すなわち、通常多板クラッチ機構Bでは、押圧力を支持する反力部材(支持部 材)を必要とするが、鞘軸7が多板クラッチ機構Bの結合時に引張部材として構 成されていることにより、デフケース13を支持部材とすることができるように なる。 したがって、デフケース13を支持部材として利用できるため、あらためて支 持部材を設ける必要がなくなり、車両用左右駆動力配分装置が幅方向に小型化さ れる。
【0093】 ところで、上述の多板クラッチ機構B結合を行なうため、ピストン20の駆動 が行なわれるが、ピストン20は、規制機構Cを付設されており、そのストロー クに際しピン23を案内孔20Eにより案内されるとともに、ピストン20の回 転を規制される。 すなわち、ピストン20は、鞘軸7にベアリング21を介し装備されているた め、鞘軸7の回転駆動に際し、ベアリング21における摩擦により、ピストン2 0は回転力を受け、ピン23及び案内孔20Eによる回転規制がない場合には、 ピストン20が回転を行なって、ピストン20のシール機構22等が短期間のう ちに消耗し易くなり、本実施例の機構を実現し難い。しかし、規制機構Cにより ピストン20の回転を規制されるので、シール機構22の性能が長期にわたり安 定して確保される。
【0094】 また、多板クラッチ機構Bのクラッチ部B1とピストン部B2とは、鞘軸7に より連結され、これにより、クラッチ部B1をデフケース13内に装備し、ピス トン部B2をデフケース13外に装備することが可能になっている。 そして、クラッチ部B1の装備は、予めデフケース13内に組み込んだ状態で デフキャリア12に取り付けることにより行なわれ、ピストン部B2の装備も、 予め変速機構Aのケーシング11内に組み込んだ状態で行なわれる。
【0095】 したがって、クラッチ部B1とピストン部B2とを連結する鞘軸7は、デフケ ース13側と変速機構A側とで分割可能に構成される必要があり、本実施例では 、ピストン部側部材7Aとクラッチ部側部材7Bとに分割され、連結機構Dによ り連結される。 これにより、クラッチ部B1をデフケース13内に装備しながら、ピストン部 B2を変速機構A側に装備することができ、本実施例の機構が組み立て可能にな る。
【0096】 そして、連結機構Dによる鞘軸7のピストン部側部材7Aとクラッチ部側部材 7Bとの連結は、連結機構Dの構成の説明とともに前述したとおり、容易に行な われ、変速機構Aからの回転力の伝達と、多板クラッチ機構Bにおけるピストン 部B2の軸方向への駆動力伝達とが、連結機構Dの特性により確実に行なわれる 。
【0097】 また、変速機構Aにおけるプラネタリキャリア6(61,62)は、第2のサ ンギヤ4Bに軸方向の駆動力が作用するため、2分割式に構成する必要があり、 本実施例では、プラネタリキャリア61とプラネタリキャリア62とは、前述し た通りの手順で、ストッパリング32を用いて容易に行なわれ、作業性良く、変 速機構Aの組み立てが行なわれる。
【0098】 さらに、変速機構Aにおける第1のプラネタリギヤ5A及び第2のプラネタリ ギヤ5Bとピニオンシャフト6Aとの潤滑は、前述したとおり、オイル溜まり4 1、オイル供給孔42、ピニオンシャフト側オイル供給孔6B及びオイル導出路 6Cを通じて支障なく行なわれる。 また、これらの潤滑機構により、新たな加圧機構の装備を必要としなくなり、 本実施例の機構の小型化を実現できる。
【0099】 ところで、ピストン部B2におけるシール機構22は、次のような作動を行な う。 すなわち、潤滑作動室用シール22A,22Dと加圧室用シール22B,22 Cとがその摺動範囲を相互に干渉しないように離隔して配設されているため、潤 滑油を所要量内蔵された潤滑作動室24としてのデフキャリア12内及びケーシ ング11内と、ピストン20により仕切られ加圧作動油を供給された加圧室20 Dとが確実に液密性を確保される。
【0100】 したがって、ピストン20はその摺動により、内壁に油膜を生成し、この油膜 を掻きとることにより、潤滑油と加圧作動油とが相互に混入してしまう可能性が あるが、シール間の距離により、加圧室用シール22B,22Cが潤滑作動室2 4内壁の油膜を掻き入れることはなく、また、潤滑作動室用シールが22A,2 2Dが加圧室20D内の加圧作動油を掻き入れることはないため、各作動室内の 動作が良好に行なわれる。
【0101】 すなわち、潤滑作動室24内には、厚い油膜を生成すべく、比較的粘度の高い 油(ハイポイドギヤオイル等)が潤滑油として内蔵され、加圧室20Dにはピス トン20の作動応答性を良くするため、比較的粘度の低いATF(オートマチッ クトランスミッションフルード)やパワステ油等が用いられる。したがって、こ れらの油相互の混入が発生した場合には、潤滑作動室24で焼きつきが発生する 可能性があるとともに、加圧室20Dでピストン20の作動応答性が悪化する可 能性があるが、上述の作動により、これらの不具合が回避され、本実施例の機構 が長期にわたり安定して運転される。
【0102】 そして、シール機構22において、潤滑作動室用シール22A,22Dと加圧 室用シール22B,22Cとの間に位置に対応する潤滑作動室24の内壁には、 全周に亘る溝25が形成されるとともに、潤滑作動室24の内壁下部に形成され た溝25に至る外気連通路26が設けらているため、潤滑作動室24と加圧室2 0Dから漏洩した潤滑油もしくは加圧作動油は、内壁において全周に亘る溝25 に滞留し、潤滑作動室24及び加圧室20Dには浸入しないため、各作動室内の 動作が良好に行なわれる。
【0103】 また、シール機構22が破損した場合には、破損した側のオイルが外気連通路 26を通じて漏出し、その状況がすぐに発見される。 なお、本軸連結機構は、かかる車両用駆動力配分装置のみならず、軸力と回転 力との双方を伝達すべき2軸間の連結に適用できるものである。
【0104】
【考案の効果】
以上詳述したように、本考案の軸連結機構によれば、相互に駆動力を伝達すべ き第1および第2の軸の各端部を連結する軸連結機構において、上記の第1およ び第2の軸の各端部に軸方向に延在して形成されて相互の嵌合により回転方向の 係止を行なう第1および第2の回転力係止突起と、上記の第1および第2の軸の 軸方向の係止を行なうべくこれらの軸の双方に外装される円筒状の連結部材とを そなえ、上記第1の回転力係止突起の外周に周方向へ延在するように形成された 軸方向係止溝と、上記連結部材の先端側内周に突設され該連結部材の上記第1の 軸に対する相対回転により上記軸方向係止溝に整合する連結部材内突起とが設け られるとともに、上記連結部材内突起が上記軸方向係止溝へ整合した状態を維持 するように上記連結部材を上記第1の軸に対して回転規制する軸方向係止用回転 規制手段が設けられるという構成で、次のような効果ないし利点が得られる。 整備性を確保しながら、軸力と回転力との双方を十分に負担できるようにした 、軸連結機構が得られる。 軸力と回転力との双方を十分に負担できるようにした軸連結機構を、簡略な構 造で、高精度で、信頼性高く、低コストで実現できるようになる。 大きなトルクロスやエネルギロスを招来することなく、自由自在なトルク配分 を行なおうとする機構において、多板クラッチ機構を従来のデフキャリア内に設 け、変速機構Aをデフキャリア外に設ける場合、多板クラッチ機構と変速機構と を連結する鞘軸は、分割する必要があり、組み立て時に連結することとなるが、 本考案の連結機構により、このような部分の連結が可能になる。 したがって、多板クラッチ機構を従来のデフキャリア内に設け、変速機構をデ フキャリア外に設ける配置が可能になり、実施例の構造が実現可能になるととも に、この配置を実現することにより、通常用いられているキャリア等の部品共用 化が可能となって、自由自在の駆動力配分を行なえる機構を、製造コストの上昇 を招かないで装備できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例としての軸連結機構を示す縦
断面図である。
【図2】本考案の一実施例としての軸連結機構の第1の
軸を示す縦断面図である。
【図3】本考案の一実施例としての軸連結機構の第1の
軸を示す左側面図である。
【図4】本考案の一実施例としての軸連結機構の連結部
材を示す縦断面図である。
【図5】本考案の一実施例としての軸連結機構の連結部
材を示す左側面図である。
【図6】本考案の一実施例としての軸連結機構の連結部
材を示す右側面図である。
【図7】本考案の一実施例としての軸連結機構の第2の
軸を示す縦断面図である。
【図8】本考案の一実施例としての軸連結機構図の第2
の軸を示す左側面図である。
【図9】本考案の一実施例としての軸連結機構の第2の
軸を示す右側面図である。
【図10】本考案の一実施例としての軸連結機構の第2
の軸の右端部を示す縦断面図である。
【図11】本考案の一実施例としての軸連結機構の要部
構成を示す断面図(図1のE−E矢視断面図)である。
【図12】本考案の一実施例としての軸連結機構の要部
構成を示す断面図(図1のF−F矢視断面図)である。
【図13】本考案の一実施例としての軸連結機構をそな
えた車両用左右駆動力配分装置の要部構成について下半
部を回転断面で示す横断面図である。
【図14】本考案の一実施例としての軸連結機構をそな
えた車両用左右駆動力配分装置の要部構成を示す断面図
(図13のA−A矢視断面図)である。
【図15】本考案の一実施例としての軸連結機構をそな
えた車両用左右駆動力配分装置の要部構成を示す断面図
(図13のB−B矢視断面図)である。
【図16】本考案の一実施例としての軸連結機構をそな
えた車両用左右駆動力配分装置の要部構成を示す断面図
(図13のC−C矢視断面図)である。
【図17】本考案の案出過程で提案された車両用左右駆
動力配分装置の原理を示す摸式図である。
【図18】従来のデファレンシャル装置の概略構成を示
す摸式的断面図である。
【符号の説明】
1 入力軸 2 第1の出力軸 3 第2の出力軸 4A 第1のサンギヤ 4B 第2のサンギヤ 5 一体のピニオン 5A 第1のプラネタリギヤ 5B 第2のプラネタリギヤ 6 プラネタリキャリア 6A ピニオンシャフト 6B ピニオンシャフト側オイル供給孔 6C オイル導出路 7 駆動力伝達補助部材及びピストン駆動力伝達部材と
しての鞘軸 7A 第2の軸としてのピストン部側部材 7B 第1の軸としてのクラッチ部側部材 8A クラッチ板 8B クラッチ板 8C クラッチハブ 9 ディファレンシャル 9A ベベルギヤ(リングギヤ) 9B ベベルギヤ(ドライブピニオン) 10 サークリップ 11 ケーシング 11A 基端小径部 11B 大径部 11C 内壁面 12 デフキャリア 12A クラッチプレ−ト側部材 12B 軸側部材 13 デフケース 13a 突起 13A 端部 13B 端部 14 リングギヤ 15 プラネタリギヤ 16 サンンギヤ 17 キャリア 18 ベアリング 19 ボルト 20 ピストン 20A 摺動部 20B 摺動部 20C 環状鉛直面 20D 加圧作動室(加圧室) 20E 案内孔 21 ベアリング 22 シール機構 22A,22D 潤滑作動室用シール(第2の液体用シ
ール) 22B,22C 加圧室用シール(加圧作動油用シー
ル) 23 ピン 24 潤滑作動室(作動室) 25 溝 26 外気連通路 27A 第1の回転力係止突起 27B 軸方向係止溝 28A 第2の回転力係止突起 28B 回転規制突起 28C スナップリング装着用溝 29 連結部材 29A 連結部材内突起 29B 回転規制突起 29C スナップリング装着用溝 30 ベアリング 31 ボルト 32 ストッパリング 32A ピニオンシャフト進入可能部 32B ピニオンシャフト係止部 32C ボルト取り付け穴 33 嵌合溝 35 ブッシュ 36 スナップリング 41 オイル溜まり 42 オイル供給孔 61 プラネタリキャリア 61A ピニオンシャフト取り付け穴 62 プラネタリキャリア 62A ピニオンシャフト取り付け穴 62B ボルト取り付け穴 A 変速機構 B 多板クラッチ機構 B1 クラッチ部 B2 ピストン部 C 規制機構 D 連結機構 R 軸方向係止用回転規制手段 S 駆動力伝達制御機構 S1 差動機構

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相互に駆動力を伝達すべき第1および第
    2の軸の各端部を連結する軸連結機構において、上記の
    第1および第2の軸の各端部に軸方向に延在して形成さ
    れて相互の嵌合により回転方向の係止を行なう第1およ
    び第2の回転力係止突起と、上記の第1および第2の軸
    の軸方向の係止を行なうべくこれらの軸の双方に外装さ
    れる円筒状の連結部材とをそなえ、上記第1の回転力係
    止突起の外周に周方向へ延在するように形成された軸方
    向係止溝と、上記連結部材の先端側内周に突設され該連
    結部材の上記第1の軸に対する相対回転により上記軸方
    向係止溝に整合する連結部材内突起とが設けられるとと
    もに、上記連結部材内突起が上記軸方向係止溝へ整合し
    た状態を維持するように上記連結部材を上記第1の軸に
    対して回転規制する軸方向係止用回転規制手段が設けら
    れていることを特徴とする、軸連結機構。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114483809A (zh) * 2022-02-09 2022-05-13 宁波市利鼎电子有限公司 离合器自锁棘轮及其加工装置

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