JPH06181753A - 抗生物質を生産する新規な放線菌 - Google Patents

抗生物質を生産する新規な放線菌

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JPH06181753A
JPH06181753A JP15664493A JP15664493A JPH06181753A JP H06181753 A JPH06181753 A JP H06181753A JP 15664493 A JP15664493 A JP 15664493A JP 15664493 A JP15664493 A JP 15664493A JP H06181753 A JPH06181753 A JP H06181753A
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JP
Japan
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streptomyces
subsp
nov
nat
filipinenesis
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JP15664493A
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English (en)
Inventor
Eiji Higashide
栄治 東出
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NIPPON SEIYAKU KK
Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
NIPPON SEIYAKU KK
Takeda Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】抗生物質を生産する放線菌を海草から得る。 【構成】ストレプトマイセス(Streptomyces)属に属
し、細胞壁にLL型ジアミノピメリン酸を有し、気菌糸
の色調がグレイ・シリーズであり、胞子形成菌糸の形態
は螺旋状であり、胞子の形態がとげ状であり、メラニン
色素の生産を行わず、D−グルコース、D−キシロー
ス、ラムノース及びD−マンノースを資化することがで
き、かつ少なくとも4%以上のNaClを含む培地上で
発育する放線菌、およびこの放線菌を培養することから
なる抗生物質の製造方法。 【効果】抗生物質を生産する新規な放線菌であり、それ
より得られた抗生物質は医薬として、または医薬部外
品、畜産用薬、農薬として使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はストレプトマイセス属に
属する新規な放線菌およびこれら新菌株から抗生物質を
製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、抗生物質または酵素の生産菌とし
ての放線菌は土壌、植物片または河川、海水などに種々
の方法を施して分離されて来たが、海草を分離源として
放線菌を分離した報告はない。もちろん、海草を分離源
として放線菌を分離し、それを培養して、抗生物質や酵
素等の代謝産物等を取得した報告もない。
【0003】
【発明が解決すべき課題】しかしながら、海草は浅海か
ら深海および寒冷および温暖地域にわたる海域におい
て、種々の条件の下において生育するものであり、この
種々の条件下での生育には何らかの生体的防御作用があ
ることが考えられるため、これらの海草から抗生物質ま
たは酵素を生産する放線菌を分離することが期待され
る。したがって本発明の課題は抗生物質または酵素を生
産する放線菌を海草から得ることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は海草から抗生
物質や酵素を生産する放線菌を分離すべく鋭意研究を重
ねた結果、岡山県牛窓付近で採取した海草から、抗菌活
性を有する抗生物質を生産する放線菌を分離することに
成功し、本発明に到達したものである。即ち、本発明は
(1)ストレプトマイセス(Streptomyces)属に属し、
細胞壁にLL型ジアミノピメリン酸を有し、気菌糸の菌
叢がグレイ・シリーズであり、胞子形成菌糸の形態は螺
旋状であり、胞子の形態がとげ状であり、メラニン色素
の生産を行わず、D−グルコース、D−キシロース、ラ
ムノース及びD−マンノースを資化することができ、ラ
フィノースを利用せず、かつ少なくとも4%以上のNa
Clを含む培地上で発育する放線菌;(2)ストレプト
マイセス属菌がストレプトマイセス ヌールゼイ サブエ
スピー クロモフェレス(Streptomyces noursei subsp.
chromoferes subsp. nov.)である上記(1)記載の放線
菌;(3)ストレプトマイセス エスピー MA−39
(Streptomyces sp. MA-39)〔ストレプトマイセス ヌー
ルゼイ サブエスピー クロモフェレス MA−39(Stre
ptomyces noursei subsp. chromoferes subsp. nov. MA
-39) 〕(FERM BP−3893)であ上記(2)記
載の放線菌;(4)ストレプトマイセス属菌がストレプ
トマイセス フィリピネンシス サブエスピー アクロモ
ゲネス (Streptomycesfilipinenesis subsp. achromoge
nes subsp. nov.)である上記(1)記載の放線菌;
(5)ストレプトマイセス エスピー TA−13(Stre
ptomyces sp. TA-13) 〔ストレプトマイセス フィリピ
ネンシス サブエスピー アクロモゲネス TA−13(S
treptomyces filipinenesis subsp. achromogenes subs
p. nov. TA-13)〕(FERM BP−3892)である
上記(4)記載の放線菌;(6)ストレプトマイセス属
菌がストレプトマイセス フィリピネンシス サブエス
ピーデンソグリセオルス (Streptomyces filipinenesis
subsp. densogriseorus subsp. nov. )である上記
(1)記載の放線菌;(7)ストレプトマイセス エス
ピー NAT−4(Streptomyces sp. NAT-4) 〔ストレ
プトマイセス フィリピネンシス サブエスピー デン
ソグリセオルス NAT−4(Streptomyces filipinenes
is subsp. densogriseorus subsp. nov. NAT-4)〕(F
ERM BP−3891)である上記(6)記載の放線
菌;および(8)上記(1)〜(7)記載の放線菌を培
養することを特徴とする抗生物質MA39,NAT−4
および/またはTA−13の製造方法に関するものであ
る。
【0005】岡山畠邑久郡牛窓町の沖約1kmに位置す
る黒島の海岸において平成3年4月、6月、10月およ
び12月に採取した海草を試料とした。海草は3〜4種
類の寒天培地平板上に貼付して27℃において10日な
いし15日培養後、放線菌を単離した。それら菌株数は
4月:15、6月:1、10月:4、12月:3、とな
り、4月に採取した海草から最も多く放線菌が分離され
た、その総計は23株であった。それらの中から12株
を選び、常法に従って化学分類学的諸性質および形態、
分類培地上での培養上の諸性質を調べ既知菌株のそれら
と比較した。その結果、1株のマイクロモノスポラ(Mi
cromonospora)属菌株を除いて全てストレプトマイセス
(Streptomyces)属の菌株であった。Bennet 寒天培地
上におけるNaCl耐性ではマイクロモノスポラ(Micr
omonospora)属菌株およびストレプトマイセス(Strept
omyces)属菌株MA−35,TA−17およびTA−2
0はNaCl 4%以下において発育し、NaCl感受
性であった。他のストレプトマイセス(Streptomyces)
属菌株はすべてNaCl 7%以上で発育し、特にMA
−39,TA−14およびTA−13のNaCl耐性は
10%以上を示した。11株のストレプトマイセス(St
reptomyces)属菌株のうち7株の気菌糸の菌叢(aerial
mass color)がグレイ・シリーズ(Gray series)、形
態的には5株の胞子形成菌糸は螺旋状(spiral)および
胞子表面は spiny のグループに属し、1株は胞子形成
菌糸は螺旋状(spiral)および胞子表面は平滑(Smoot
h)のグループに属し、また他の1株は胞子形成菌糸が
Rectiflexibiles および胞子表面は平滑(Smooth)のグ
ループに属していた。また、前記7株以外の4株は気菌
糸の菌叢(aerial mass color)がホワイトからイエロ
ー・シリーズ(White〜 Yellow series)であり、形態
的には胞子形成菌糸が Rectiflexibiles および胞子表
面は平滑(Smooth)であった。色素原性(クロモゲニシ
ティ)陽性株はNa−1,TA−17およびTA−20
で、前者がNaCl耐性、後2者がNaCl感受性であ
った。
【0006】なお、これらの菌株のうち抗菌性を示す3
株MA−39,NAT−4およびTA−13は下記の菌
学的性質を有する。 1.菌株MA−39,NAT−4およびTA−13 1)形態的特徴 本菌株をイースト麦芽寒天培地、グリセリンアスパラギ
ン寒天培地、オートミール寒天培地、スターチ無機塩寒
天培地およびベンネット寒天培地上において28℃、2
1日間生育させ、光学顕微鏡及び電子顕微鏡下で形態の
観察を行った。 気菌糸形成 :いずれの培地でも良好で単純分枝状
を示し、胞子嚢は形成しない。 胞子形成糸の形態:胞子柄は気菌糸上に着生し、その胞
子鎖はらせん状を示し、1本の胞子鎖の胞子数は5個以
上。 胞子の形態の特徴:表面構造はとげ状で、その大きさは
0.5〜0.8×0.5〜1.4μm。運動性は認めら
れず、鞭毛胞子は認められない。 基生菌糸の分断 :認められない。 菌核の有無 :認められない。 2)細胞壁組成 ベッカー(Becker)らおよび山口の方法に従って
細胞壁組成の検討を行った。3株ともLL型ジアミノピ
メリン酸を有することが認められた。 3)分類用培地上の諸性質 シャーリング及びゴットリーブの方法[E.B.Schirling
and D.G.Gottlieb:インターナショナル・ジャーナル・
オブ・システマティック・バクテリオロジー(Int.J.Sy
st.Bacteriol.),16,313(1966)]に従っ
て28℃、21日間培養した結果を〔表1〕、〔表2〕
および〔表3〕に示した。
【0007】
【表1】
【0008】
【表2】
【0009】
【表3】
【0010】いずれの菌株も庶糖・硝酸塩無機塩寒天培
地、澱粉塩無機塩寒天培地、グリコース・アスパラギン
寒天培地、グリセリン・アスパラギン寒天培地などの合
成培地に於いて生育し、(基生菌糸)は無色から淡黄色
を呈し、胞子着生は良好で、気菌糸菌叢の色は白色から
灰色を呈した。可溶性色素はほとんど認められなかっ
た。一方、イースト麦芽寒天培地、オートミール寒天培
地、栄養寒天培地、ベンネット寒天培地などの複合培地
上ではいずれも豊富に発育し、基生菌糸は無色から淡黄
色を呈し、胞子着生は栄養寒天培地以外では良好で気菌
糸菌叢の色は白色から灰色を呈した。可溶性色素はイー
スト麦芽寒天培地、オートミール寒天培地などで黄色な
いし淡褐色を呈した。また、ペプトン・イースト鉄寒天
培地では黄色から黒色の可溶性色素が認められた。 4)生理学的特徴 発育可能温度範囲はイースト麦芽寒天培地上で14〜1
6ないし48〜51℃であり、至適温度はほぼ30℃付
近であった。澱粉の加水分解、ミルクのペプトン化活性
は陽性で、NaCl 7〜10%を含有する寒天培地上
で発育した。本発明の菌株の生理学的特徴を〔表4〕に
示した。
【0011】
【表4】
【0012】5)炭素源の利用性 プリドハムとゴットリーブの方法(Pridham Gottlieb)
の方法に従って行った。〔表5〕に示すように菌株によ
りその利用性はかなり異なるが、3株共グルコース、キ
シロース、ラムノースおよびマンノースを利用した。ラ
フィノースは利用しなかった。
【0013】
【表5】
【0014】以上の特徴をバージーズ・マニューアル・
オブ・システマテイック・バクテリオロヂー4巻(19
89)から比較的近縁と思われる菌種と比較検討した。
いずれの菌株も分類的諸性質を既知菌種のそれらと比
較、検討した結果ストレプトマイセス エスピー MA-39
(Streptomyces sp. MA-39)はストレプトマイセスヌール
ゼイ(Streptomyces noursei)およびストレプトマイセ
ス フィリピネンシス(Streptomyces filipinenesis)に
よく類似していることが明らかとなった。そこでストレ
プトマイセス エスピー MA-39(Streptomyces sp. MA-3
9)とそれぞれの標準菌JCM 4922およびIFO 12860の分類
学的諸性質を比較した。その結果、〔表6〕,〔表7〕
に示すようにストレプトマイセス ヌールゼイ(Strepto
myces noursei)に最もよく類似しているが、可溶性色
素生成に明らかな相違が認められたのでストレプトマイ
セス エスピー MA-39(Streptomyces sp.MA-39)をスト
レプトマイセス ヌールゼイ サブエスビー クロモフ
ェレス(Streptomycesnoursei subsp. chromoferes)と命
名した。
【0015】なお、表6中の抗生物質耐性についての記
号は以下のものを表わす。 KM:カナマイシン,OL:オレアンドマイシン,RF
P:リファンピシン,PCG:ペニシリンG,TC:テ
トラサイクリン。 炭素源の資化性についての記号は以下のものを表わす。 N.C.:対照,Glc:グルコース,Ara:アラビ
ノース,Cel:セルロース,Fru:フラクトース,
Ino:イノシトール,Mat:マルトース,Man:
マンノース,Raf:ラフィノース,Rha:ラムノー
ス,Suc:シュークロース,Xyl:キシロース。 またa〜dは以下の培地を表わす。 a:30%ゼラチン・ブイヨン寒天平板培地,b:0.
4%ゼラチン・ブイヨン寒天高層培地,c:10%スキ
ム・ミルク液体培地,d:10%スキム・ミルク・ブイ
ヨン液体培地。
【0016】表7および後出の培地における記号は以下
のものを表わす。 ISP−1:トリプトン酵母エキス液培地 ISP−2:酵母麦芽エキス寒天培地 ISP−3:オートミール寒天培地 ISP−4:でんぷん無機塩寒天培地 ISP−5:グリセロール・アスパラギン寒天培地 ISP−6:ペプトン・酵母エキス・鉄寒天培地 ISP−7:チロシン寒天培地 Glc−Asn:グルコース・アスパラギン寒天培地 Bennet:ベンネット寒天培地 Nutrient:栄養寒天培地 Suc−Nit:蔗糖硝酸塩寒天培地
【0017】
【表6】
【0018】
【表7】
【0019】ストレプトマイセス エスピー NAT-4(Str
eptomyces sp.NAT-4)はストレプトマイセス ヌールゼ
イ(Streptomyces noursei)、ストレプトマイセス フ
ィリピネンシス(Streptomyces filipinenesis)およびス
トレプトマイセス クスピドスポルス(Streptomyces cu
spidosporus)によく類似していることが明らかとなっ
た。そこでストレプトマイセス エスピー NAT-4(Strep
tomyces sp.NAT-4)とそれぞれの標準菌JCM 4922およびI
FO 12860およびIFO 12378 の分類学的諸性質を比較し
た。その結果、〔表8〕に示すようにストレプトマイセ
ス フィリピネンシス(Streptomyces filipinenesis)に
最もよく類似しているが、気菌糸の色調および生理的性
質に明らかな相違が認められたのでストレプトマイセス
フィリピネンシス サブエスピー デンソグリセオル
ス(Streptomyces filipinenesis subsp. densogriseoru
s)と命名した。
【0020】
【表8】
【0021】ストレプトマイセス エスピー TA-13(Str
eptomyces sp.TA-13)はストレプトマイセス ヌールゼ
イ(Streptomyces noursei)、ストレプトマイセス フ
ィリピネンシス(Streptomyces filipinenesis)およびス
トレプトマイセス カヌス(Streptomyces canus)によく
類似していることが明らかとなった。そこでストレプト
マイセス エスピー TA-13(Streptomyces sp.TA-13)と
それぞれの標準菌JCM 4922 IFO 12860およびIFO 12752
の分類学的諸性質を比較した。その結果、〔表9〕,
〔表10〕,〔表11〕に示すようにストレプトマイセ
ス フィリピネンシス(Streptomyces filipinenesis)に
最もよく類似しているが、メラノイド色素生成に於いて
ストレプトマイセス エスピー TA-13(Streptomyces s
p.TA-13)は疑陽性であることおよび若干の生理学的性質
の相違が認められるのでこれをストレプトマイセス フ
ィリピネンシス サブエスピー アクロモゲネス (Stre
ptomyces filipinenesis subsp. achromogenes)と命名
した。
【0022】
【表9】
【0023】
【表10】
【0024】
【表11】
【0025】この3株、ストレプトマイセス エスピー
MA−39、ストレプトマイセスエスピー TA−1
3、ストレプトマイセス エスピー NAT−4は平成
4年6月17日に通商産業省工業技術院微生物工業技術
研究所(FRI)にブダペスト条約に基く国際寄託とし
て、各々受託番号 FERM BP−3893、FER
M BP−3892およびFERM BP−3891とし
て寄託されている。なお、これら菌株は例えばX線、紫
外線等の照射処理、ニトロソグアニジン等の変異誘起剤
による処理、ファージ接触、形質転換、形質導入、接合
等の通常用いられる菌株変異処理法により抗生物質生産
能を高めることができる。
【0026】またこれら菌株MA−39,NAT−4お
よびTA−13で代表される新規放線菌は通常の培養方
法を適宜採用して抗生物質MA−39,NAT−4およ
びTA−13の生産に用いることができる。たとえば、
本発明放線菌の培養に用いられる培地は該菌が利用し得
る栄養源を含むものなら、液状でも固状でもよい。大量
処理を行うときは液体培地を用いるのがより適当であ
る。培地には、当該生産菌が同化し得る炭素源、窒素
源、無機物質、微量栄養源が適宜配合される。炭素源と
しては、グルコース、ラクトース、シュークロース、マ
ルトース、デキストリン、スターチ、グリセリン、マン
ニトール、ソルビトール、油脂類(例、大豆油、ラード
油、チキン油など)、n−パラフィン等が用いられる。
窒素源としては、肉エキス、酵母エキス、乾燥酵母、大
豆粉、コーン・スティプ・リカー、ペプトン、棉実粉、
廃糖蜜、尿素、アンモニウム塩類(例、硫酸アンモニウ
ム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモ
ニウムなど)等が用いられる。さらに、ナトリウム、カ
リウム、カルシウム、マグネシウムなどを含む塩類、
鉄、マンガン、亜鉛、コバルト、ニッケルなどの金属塩
類、リン酸、ホウ酸などの塩類や酢酸、プロピオン酸な
どの有機酸の塩類が適宜用いられる。その他、アミノ酸
(例、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン、リジ
ン、メチオニン、プロリンなど)、ペプチド(例、ジペ
プチド、トリペプチドなど)、ビタミン類(例、B1
2、ニコチン酸、B12、Cなど)、核酸類(例、プリ
ン、ピリミジン、その誘導体など)等を含有させてもよ
い。もちろん、培地のpHを調節する目的で無機または
有機の酸またはアルカリ類、緩衝剤等を加えてもよい。
あるいは消泡の目的で油脂類、界面活性剤等の適量を添
加しても差し支えない。液体培養に際しては、培地のp
Hは中性付近で行われる。培養温度は約24℃〜30
℃、培養時間は約48時間〜168時間程度である。培
養物から抗菌性抗生物質を採取する方法もそれ自体公知
の手法によって行うことができる。例えば、培養液や菌
体抽出液等を適宜前処理に付し、吸着性樹脂等を用いた
カラムクロマトグラフィー法などによって、該構成物質
を採取することが可能である。
【0027】
【発明の効果】本発明放線菌は初めて海草から分離され
た放線菌であり、抗菌性を有する抗生物質を生産する有
用な菌である。また、その抗生物質は、抗菌性の医薬、
医薬部外品、農薬、畜産用薬として、更にはその中間体
としても応用可能である。
【0028】
【実施例】以下実施例によりこの発明を説明する。 〔実施例1〕菌株の分離 分離用培地として次の〔表12〕に示す4種の培地を調
製した。
【0029】
【表12】
【0030】分離源として岡山畠邑久郡牛窓町黒島海岸
で採取した海草を用いた。その海草を前記の4種の分離
用培地に貼付して、28℃で10〜14日間培養した。
ここで発育した放線菌は、4回にわたり97の菌株を分
離された。
【0031】これらは更に純水分離を繰り返した後、菌
叢および光学顕微鏡による胞子形成菌糸の形態を比較し
て、次の〔表13〕のように23株の菌株を選別した。
【0032】
【表13】
【0033】上記のようにして得られた菌株のうち、後
述の抗菌性効果を有する菌株ストレプトマイセス エス
ピー MA−39、NAT−4およびTA−13の3種
を得た。MA−39は上記選別菌株のうち6月に海草採
取したものから得られ、NAT−4およびTA−13は
どちらも4月に海草採取したものから得られた。それぞ
れの株菌の特徴は前記した通りであった。
【0034】〔実施例2〕実施例1で得られたストレプ
トマイセス エスピー MA−39のL乾燥品に殺菌水
0.5mlを無菌的投入して、その菌懸濁液をベンネッ
ト寒天培地上に接種して、28℃に於いて14日間培養
する。この寒天培地上に殺菌水道水を投入して大量培養
用の胞子懸濁液を調製した。可溶性澱粉 30(g/
L、以下同じ)、グルコース 20、生大豆粉 10、
コーン・スチープリカー 10、ポリペプトン 5、N
aCl 3、CaCO3 5および水道水1,000m
l(滅菌前pH7.0)からなる培地(I)300ml
/2Lフラスコを分注して、オートクレープ滅菌した。
これに胞子懸濁液5ml/フラスコを接種して、30
℃、往復浸盪機上で40時間培養した。次に上記培地
(I)30Lを50L発酵槽中に投入して、加圧滅菌し
た。この培地に前記培養液3Lを接種して内圧1kg/
cm2G、通気:50%、撹拌:200rpmの条件
で、28℃、42時間種培養した。主培養培地(I)1
20Lを200L発酵槽に投入して加圧滅菌した。この
培地に前記種培養液12Lを接種して内圧1kg/cm
2G、通気:100%、撹拌:150rpmの条件で、
28℃、66時間主培養した。 〔実施例3〕実施例2で得られた培養液100Lをフィ
ルター・プレスにより濾過助剤と共に濾過して濾液10
0Lと湿菌体20kgを得た。濾液はpH7.5〜8.
5に調整して、30LのHP−20樹脂に通過させ、有
効物質を吸着させ、水洗後、50%アセトン100Lで
溶出し、減圧濃縮して濃縮液1Lを得た。この濃縮液20
mlをpH5.8に調製してアンバーライトXAD-2のカラム上に
展開し、活性画分を50%メタノールを用いて溶出した。
これを濃縮後、凍結乾燥して淡黄色の精製品10mgを得
た。本品は270nm付近に極大吸収を示し、活性分として
濃縮液に比し、12倍精製された(抗菌スペクトル:表1
7)。湿菌体20kgは50%アセトン200Lと共に
常温にて1時間撹拌、抽出した。抽出液は40℃以下で
減圧濃縮して、約1Lの濃縮液を得た。
【0035】〔実施例4〕実施例1で得られたストレプ
トマイセス エスピー NAT−4のL乾燥品に殺菌水
0.5mlを無菌的投入して、その菌懸濁液をベンネッ
ト寒天培地上に接種して、28℃に於いて14日間培養
する。この寒天培地上に殺菌水道水を投入して大量培養
用の胞子懸濁液を調製した。可溶性澱粉 15(g/
L)、グルコース 5、肉エキス 6、NaCl 6、
CaCO3 6および水道水1,000ml(滅菌前p
H7.0)からなる培地(II)300ml/2Lフラス
コを分注して、オートクレープ滅菌した。これに胞子懸
濁液5ml/フラスコを接種して、30℃、往復浸盪機
上で40時間培養した。次に上記培地(I)30Lを5
0L発酵槽中に投入して、加圧滅菌した。この培地に前
記培養液3Lを接種して内圧1kg/cm2G、通気:
50%、撹拌:200rpmの条件で、28℃、42時
間種培養した。主培養培地(III):デキストリン 5
0g/L、大豆粉30、ペプトン 1、CaCO3
および水道水1000ml、滅菌前pH7.0;120
Lを200L発酵槽に投入して加圧滅菌した。この培地
に前記種培養液12Lを接種して内圧1kg/cm
2G、通気:100%、撹拌:150rpmの条件で、
28℃、66時間主培養した。得られた培養液および湿
菌体共に実施例3と同じ方法により抽出し、それぞれ濃
縮液を得た。
【0036】〔実施例5〕実施例1で得られたストレプ
トマイセス エスピー TA−13の胞子懸濁液を実施例
3と同様の方法で調製して、同様の方法で培養した。実
施例4と同様の方法で得られた培養液100Lをフィル
ター・プレスにより濾過助剤と共に濾過して濾液100
Lと湿菌体20kgを得た。濾液はpH7.5〜8.5
に調整して、10LのHP−20樹脂に通過(SV:
2)させ、有効物質をイオン交換させ水洗後、50Lの
50%メタノールにて溶出(SV:0.2)し、その溶
出液を40℃以下で減圧濃縮して濃縮液約1Lを得た。
この濃縮液20mlをpH5.8に調製してアンバーライトXAD-2
のカラム上に展開し、活性画分を2を得た。本品は280n
m付近に極大吸収を示した(pH7.0水溶液中、E (1%.1cm)=
29.0)。活性成分として濃縮液に比し、12倍精製された
(抗菌スペクトル:表17)。得られた湿菌体20kg
は実施例3と同様な方法で抽出、濃縮して濃縮液約1L
を得た。 〔試験例〕抗菌性試験 実施例3〜5で得られた各濃縮液を用いて、〔表1
4〕、〔表15〕および〔表16〕に示す微生物の最小
発育阻止濃度(MIC)を常法に従って測定した。その
結果を〔表14〕〜〔表16〕に示す。
【0037】
【表14】
【0038】
【表15】
【0039】
【表16】
【0040】実施例3及び5で得られた各精製品を用い
て、微生物の最小発育阻止濃度(MIC)を常法に従っ
て測定し、その結果を〔表17〕に示す。
【0041】
【表17】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:57) (C12P 1/06 C12R 1:53) (C12P 1/06 C12R 1:465)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ストレプトマイセス(Streptomyces)属に
    属し、細胞壁にLL型ジアミノピメリン酸を有し、気菌
    糸の菌叢がグレイ・シリーズであり、胞子形成菌糸の形
    態は螺旋状であり、胞子の形態がとげ状であり、メラニ
    ン色素の生産を行わず、D−グルコース,D−キシロー
    ス,ラムノース及びD−マンノースを資化することがで
    き、ラフィノースを利用せず、かつ少なくとも4%以上
    のNaClを含む培地上で発育する放線菌。
  2. 【請求項2】ストレプトマイセス属菌がストレプトマイ
    セス ヌールゼイ サブエスピー クロモフェレス(Strept
    omyces noursei subsp. chromoferes subsp. nov.)であ
    る請求項1記載の放線菌。
  3. 【請求項3】ストレプトマイセス エスピー MA−3
    9(Streptomyces sp.MA-39)〔ストレプトマイセス ヌ
    ールゼイ サブエスピー クロモフェレス MA−39(St
    reptomyces noursei subsp. chromoferes subsp. nov.
    MA-39) 〕(FERM BP−3893)である請求項2
    記載の放線菌。
  4. 【請求項4】ストレプトマイセス属菌がストレプトマイ
    セス フィリピネンシス サブエスピー アクロモゲネス
    (Streptomyces filipinenesis subsp. achromogenes su
    bsp. nov.)である請求項1記載の放線菌。
  5. 【請求項5】ストレプトマイセス エスピー TA−13
    (Streptomyces sp. TA-13) 〔ストレプトマイセス フ
    ィリピネンシス サブエスピー アクロモゲネス TA−
    13(Streptomyces filipinenesis subsp. achromogene
    s subsp. nov.TA-13)〕(FERM BP−3892)で
    ある請求項4記載の放線菌。
  6. 【請求項6】ストレプトマイセス属菌がストレプトマイ
    セス フィリピネンシス サブエスピー デンソグリセ
    オルス (Streptomyces filipinenesis subsp. densogri
    seorus subsp. nov. )である請求項1記載の放線菌。
  7. 【請求項7】ストレプトマイセス エスピー NAT−4
    (Streptomyces sp. NAT-4) 〔ストレプトマイセス フ
    ィリピネンシス サブエスピー デンソグリセオルス N
    AT−4(Streptomyces filipinenesis subsp. densogr
    iseorus subsp. nov. NAT-4)〕(FERM BP−38
    91)である請求項6記載の放線菌。
  8. 【請求項8】請求項1、2、3、4、5、6または7記
    載の放線菌を培養することを特徴とする抗生物質MA3
    9,NAT−4および/またはTA−13の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114176096A (zh) * 2021-11-10 2022-03-15 河北兴柏农业科技有限公司 一种阿佛曼链霉菌活性孢子杀虫剂及其制备方法
CN117247872A (zh) * 2023-10-13 2023-12-19 中国农业科学院植物保护研究所 一株产谷氏菌素的诺尔斯链霉菌nk27及其在植物病害防治中的应用

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