JPH0618091Y2 - ソレノイド式ピンチバルブ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、ソレノイドの励磁時におけるコアの磁気吸引
力と励磁解除時における復帰用ばねの弾力とによつてプ
ランジヤに固着した弁体を支持筒内で往復移動させ、支
持筒にその軸線と略直角に支持した固定ピンと、弁体に
固定ピンを挟んで互いに対応するように形成した一対の
押圧面との間で２本の弾性チユーブを交互に押し潰し
て、その中空内の流体通路を開閉することができるよう
にしたソレノイド式ピンチバルブに関し、特に、弾性チ
ユーブを固定ピンと押圧面との間に装着する作業を容易
に行うことを可能にしたソレノイド式ピンチバルブに関
する。

従来の技術及び考案が解決しようとする問題点 ソレノイド式ピンチバルブの１つとして、ソレノイドの
励磁時におけるコアの磁気吸引力と励磁解除時における
復帰用ばねの弾力とによつてプランジヤに固着した弁体
を支持筒内で往復移動させ、支持筒にその軸線と略直角
に支持した固定ピンと、弁体に固定ピンを挟んで互いに
対応するように形成した一対の押圧面との間で２本の弾
性チユーブを交互に押し潰して、その中空内の流体通路
を開閉することができるようにしたものがあるが、従来
のソレノイド式ピンチバルブは、支持筒に、弾性チユー
ブを固定ピンと押圧面との間で挟まれる位置に保持する
ための保持孔が形成されていて、弾性チユーブの一端を
一方の保持孔から挿入して固定ピンと押圧面との間を通
した後に他方の保持孔から突き出させる方法によつて弾
性チユーブを固定ピンと押圧面との間に装着するように
なつており、このような方法では、弾性チユーブの挿入
端が固定ピンや支持筒の内周に突き当たつて座屈し易い
ことから、作業性が悪くて装着に時間と手間がかかると
いう欠点があり、また、非励磁状態において間隔の狭ま
つている側の固定ピンと押圧面の間に装着する際には、
励磁または手動により弁体を移動させて固定ピンと押圧
面の間隔を広げた状態で作業を行わなければならないと
いう欠点があつた。

問題点を解決するための手段 本考案は、上記問題点を解決するための手段として、ソ
レノイドの励磁時におけるコアの磁気吸引力と励磁解除
時における復帰用ばねの弾力とによつて往復移動するプ
ランジヤに固着された弁体を往復移動自由に内嵌してな
る支持筒に、その支持筒の軸線と略直角方向の固定ピン
を弁体に相対的移動可能に貫通させた状態で支持すると
ともに、弁体に固定ピンの一端側に開口させて形成した
略コ字形の凹部内に、固定ピンを挟んで互いに対応する
往復移動方向と略直角な一対の押圧面を形成し、支持筒
に、凹部の開口側から固定ピンに対して斜め方向に切り
込むことにより、中空内が流体通路となる弾性チユーブ
を固定ピンと略直角に向けて平行移動させつつ支持筒の
外周から固定ピンと押圧面との間に挟まれる保持位置に
導く一対の導入溝を形成し、弁体の凹部内に、押圧面が
固定ピンに接近した状態においてその弁体の導入溝を塞
ぐ部分を切除することにより、その導入溝に略沿う方向
の誘導面を押圧面に連続させて形成した構成とした。

考案の作用及び効果 本考案は上記構成になり、ソレノイドの励磁とその解除
によつて両押圧面の固定ピンとの間隔が交互に狭まるこ
とにより、固定ピンと両押圧面との間に挟まれた２本の
弾性チユーブが交互に押し潰されてそれらの流体通路が
交互に開閉され、または、固定ピンといずれか一方の押
圧面との間に挟まれた１本の弾性チユーブの流体通路が
開閉されるのであり、また、導入溝は、固定ピンと平行
にではなく斜め方向に形成されることにより、支持筒の
固定ピンの一端を支持する部分と干渉しないようになつ
ているため、この支持部分が導入溝のために切除される
ことによつて固定ピンを強固に保持できなくなるのが回
避されているのであつて、弾性チユーブを装着する際に
は、弾性チユーブを固定ピンと略直角な向きに緊張させ
た状態で導入溝に沿わせつつ弁体の凹部内を平行移動さ
せることにより、固定ピンと押圧面の間に挟まれる所定
の保持位置に装着することができ、このときに、押圧面
が固定ピンに接近してその間隔が狭められていても、導
入溝が弁体の外周によつて塞がれることがなく、弾性チ
ユーブを誘導面に沿わせることによつて押圧面と固定ピ
ンの間の狭い間隙内に装着することができるのであつ
て、弾性チユーブをその長さ方向と略直角方向に平行移
動させることによつて行うようにしたから、弾性チユー
ブをその一端側から挿入するようにした従来のように装
着中に弾性チユーブの座屈を生じることがなく、装着作
業を容易かつ迅速に行うことができ、また、弁体の凹部
に誘導面を形成したから、弾性チユーブを間隔が狭めら
れている側の押圧面と固定ピンとの間に装着する場合で
も、ソレノイドの励磁や手動によつて弁体を移動させる
ことなく装着作業を簡単に行うことができる効果があ
る。

実施例 以下、本考案の一実施例を添付図面に基づいて説明す
る。

ケース１内には、ボビン３に巻回したコイル４、そのコ
イル４の下端部位置に固定されたコア５、及び、ボビン
３の内周に上下方向の摺動自由に嵌装されたプランジヤ
６からなるソレノイド２が収容され、ケース１の上面に
プランジヤ６と同心に突成された円形をなす支持筒７内
には、下端部をプランジヤ６の上端部に嵌着してなる弁
体８が、プランジヤ６と一体的に上下方向に摺動し得る
ように嵌装され、また、支持筒７には、その軸線を通る
水平方向の２本の固定ピン１２ａ、１２ｂが、その左右
両端を支持筒７の支持孔１３ａ、１３ｂに嵌合すること
により上下に並んで弁体８を貫通した状態に支持されて
おり、一方、弁体８には、その固定ピン１２が貫通する
部分を切除することにより、固定ピン１２の図における
左端側を露出させて弁体８の外周左面に開口するコ字形
の凹部１４が形成されているとともに、この凹部１４の
内周に、上側の固定ピン１２ａに上方から対応する水平
な押圧面１５ａと下側の固定ピン１２ｂに下方から対応
する水平な押圧面１５ｂとが形成されていて、中空内が
流体通路１８ａ、１８ｂとなつているシリコーン製の２
本の弾性チユーブ１７ａ、１７ｂが、固定ピン１２と直
角な水平方向に凹部１４を貫いて支持筒７の保持孔１９
ａ、１９ｂに略緊密に嵌通することにより、上側の固定
ピン１２ａと押圧面１５ａとの間及び下側の固定ピン１
２ｂと押圧面１５ｂとの間に挟まれた状態に保持される
ようになつている。

そして、ソレノイド２を励磁しない状態においては、弁
体８が、プランジヤ６の下面の装着孔９とコア５の上面
との間に装着した復帰用圧縮コイルばね１０の弾拡力に
よりプランジヤ６とともに上動して、弁体８に形成した
長孔２０の下端を下側の固定ピン１２ｂに当接させた位
置に保持されて、間隔の広がつた上側の固定ピン１２ａ
と押圧面１５ａとの間に挟まれた弾性チユーブ１７ａ
が、第１図に実線で示すように極く僅かに弾性変形する
状態になつてその流体通路１８ａが開放されるととも
に、間隔の狭まつた下側の固定ピン１２ｂと押圧面１５
ｂとの間に挟まれた弾性チユーブ１７ｂが、同図に鎖線
で示すように偏平に押し潰されてその流体通路１８ｂが
閉塞されるようになつており、また、ソレノイド２を励
磁した状態においては、コア５の磁気吸引力によりプラ
ンジヤ６とともに弁体８が下動して長孔２０の上端が上
側の固定ピン１２ａに当接した位置に保持されることに
より、第２図に示すように、上側の弾性チユーブ１７ａ
が押し潰されてその流体通路１８ａが閉塞されるととも
に下側の弾性チユーブ１７ｂが復元弾力により略円形に
復帰してその流体通路１８ｂが開放されるようになつて
いる。

支持筒７には、その上側の固定ピン１２ａの左端部を支
持する支持孔１３ａよりも上方位置に開口する導入部２
３ａから上側の両保持孔１９ａ、１９ａを結ぶ水平な軸
線に至る右下がりの傾斜面に沿つて切り込むことによ
り、保持孔１９ａの内径寸法よりも少し幅の狭い導入孔
２２ａが、両端を両保持孔１９ａ、１９ａに連通させて
形成されているとともに、下側の固定ピン１２ｂの左端
部を支持する支持孔１３ｂよりも下方に開口する導入部
２３ｂから右上がりの傾斜方向に切り込むことにより、
上記上側の導入溝２２ａに対して上下対称な導入溝２２
ｂが形成されている。

また、弁体８には、その凹部１４の開口部の上縁部を切
除することにより、左上がりの誘導面２４ａが上側の押
圧面１５ａに連続して形成されているとともに、同じく
凹部１４の開口部の下縁部を切除することにより、左下
がりの誘導面２４ｂが下側の押圧面１５ｂに連続して形
成されており、固定ピン１２に接近した押圧面１５の位
置が保持孔１９の略中心を通る高さになつて弁体８の外
周が保持孔１９及び導入溝２２を内周側から部分的に覆
う状態においては、導入溝２２の左端の導入部２３から
保持孔１９に至る部分の全長にわたつて弾性チユーブ１
７の長さ方向に凹部１４を貫いて見通すことができるよ
うになつているとともに、導入溝２２の導入部２３にお
いて誘導面２４の左端縁が導入溝２２内に突き出すこと
がないようになつている。

本実施例は上記構成になり、ソレノイド２の励磁を解除
した状態において弾性チユーブ１７を固定ピン１２と押
圧面１５との間に装着する手順について説明すると、上
側の固定ピン１２ａと押圧面１５ａとの間に装着する際
には、弾性チユーブ１７ａを固定ピン１２ａと直角な水
平方向に緊張させて導入溝２２ａ内に押し込み、その姿
勢のままで導入溝２２ａに沿わせて図の右下方へ平行移
動させると、弾性チユーブ１７ａが、保持孔１９ａに嵌
まると同時に、大きく間隔を空けた固定ピン１２ａと押
圧面１５ａとの間に装着され、このときに誘導面２３ａ
は導入溝２２ａの上方に退避した位置にあるから、弾性
チユーブ１７ａを導入溝２２ａ内において僅かに弾力変
形させるだけで円滑に移動させることができる。

また、下側の固定ピン１２ｂと押圧面１５ｂとの間に装
着する際には、弾性チユーブ１７ｂを、上記と同様に固
定ピン１２ｂと直角な水平方向に向けた状態で導入溝２
２ｂ内に押し込むと、弾性チユーブ１７ｂは誘導面２３
ｂの左端縁に引っ掛かることなく奥に向かつて右上方へ
平行移動し、ここで、誘導面２３ｂと押圧面１５ｂが導
入溝２２ｂの下縁よりも上方に突出していて誘導面２３
ｂと導入溝２２ｂの上縁との間隔が奥に向かうほど狭ま
つていることから、弾性チユーブ１７ｂは、次第に押し
潰されながら奥へ移動して保持孔１９ｂに嵌まると同時
に、固定ピン１２ｂと押圧面１５ｂの間の狭い間隙に装
着されるのであつて、弾性チユーブ１７ｂが導入溝２２
ｂを通るときに引つ掛かりを生じることがないから、ソ
レノイド２を励磁し、または、指で弁体８の上面を押す
ことによつて弁体８を下動させなくても弾性チユーブ１
７ｂの装着を行うことができる。

なお、本実施例においては、２本の弾性チユーブ１７
ａ、１７ｂを固定ピン１２ａ、１２ｂの上下両側に装着
したが、１本の弾性チユーブ１７ａを固定ピン１２ａの
上側のみに装着するようにしてもよく、また、１本の弾
性チユーブ１７ｂを固定ピン１２ｂの下側のみに装着す
るようにしてもよい。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本考案の一実施例を示し、第１図は非励磁状
態の断面図、第２図は励磁状態の一部切欠正面図であ
る。 ２：ソレノイド、５：コア、６：プランジヤ、７：支持
筒、８：弁体、１０：復帰用圧縮コイルばね、１２ａ、
１２ｂ：固定ピン、１４：凹部、１５ａ、１５ｂ：押圧
面、１７ａ、１７ｂ：弾性チユーブ、１８ａ、１８ｂ：
流体通路、２２ａ、２２ｂ：導入溝、２４ａ、２４ｂ：
誘導面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ソレノイドの励磁時におけるコアの磁気吸
   引力と励磁解除時における復帰用ばねの弾力とによつて
   往復移動するプランジヤに固着された弁体を往復移動自
   由に内嵌してなる支持筒に、該支持筒の軸線と略直角方
   向の固定ピンを前記弁体に相対的移動可能に貫通させた
   状態で支持するとともに、前記弁体に前記固定ピンの一
   端側に開口させて形成した略コ字形の凹部内に、前記固
   定ピンを挟んで互いに対応する往復移動方向と略直角な
   一対の押圧面を形成し、前記支持筒に、前記凹部の開口
   側から前記固定ピンに対して斜め方向に切り込むことに
   より、中空内が流体通路となる弾性チユーブを前記固定
   ピンと略直角に向けて平行移動させつつ前記支持筒の外
   周から前記固定ピンと前記押圧面との間に挟まれる保持
   位置に導く一対の導入溝を形成し、前記弁体の前記凹部
   内に、前記押圧面が前記固定ピンに接近した状態におい
   て該弁体の前記導入溝を塞ぐ部分を切除することによ
   り、該導入溝に略沿う方向の誘導面を前記押圧面に連続
   させて形成したことを特徴とするソレノイド式ピンチバ
   ルブ