JPH06178934A - 酸素吸着剤及び酸素と窒素の分離方法 - Google Patents

酸素吸着剤及び酸素と窒素の分離方法

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JPH06178934A
JPH06178934A JP4332941A JP33294192A JPH06178934A JP H06178934 A JPH06178934 A JP H06178934A JP 4332941 A JP4332941 A JP 4332941A JP 33294192 A JP33294192 A JP 33294192A JP H06178934 A JPH06178934 A JP H06178934A
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oxygen
nitrogen
adsorption
adsorbent
pressure
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JP4332941A
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English (en)
Inventor
Toshinobu Kobayashi
繁鋪 小林
Jun Izumi
順 泉
Akinori Yasutake
昭典 安武
Kazuaki Oshima
一晃 大嶋
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Tokyo Electric Power Company Holdings Inc
Original Assignee
Tokyo Electric Power Co Inc
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低温・低圧吸着条件下で酸素吸着量が大き
く、酸素選択性の優れた酸素吸着剤、及び、該吸着剤を
用いて極めて少ない動力原単位で高純度の酸素を容易に
得ることができる酸素・窒素の分離方法を提供しようと
するものである。 【構成】 (1) 鉄をゼオライトの骨格中に0.1〜1w
t%含有するNa−A−Fe型ゼオライトの全Naの
0.5〜15%をKでイオン交換した後、常圧下で温度
600〜760℃で熱処理してなる酸素吸着剤、及び、
(2) 該酸素吸着剤を充填した2塔以上の吸着塔を室温以
下に保持し、酸素、窒素混合ガスを大気圧〜3ataの
圧力で吸着塔に供給して酸素を吸着させ、吸着塔から高
純度窒素又は窒素富化ガスを流出させ、再生工程の吸着
塔を0.08〜0.5ataの圧力に減圧して吸着剤を
再生し、酸素富化ガスを回収する酸素と窒素の分離方法
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸素と窒素を主成分と
する空気等の混合気体より低温で選択的に酸素を吸着す
る酸素吸着剤、及び、該吸着剤を用いて、酸素と窒素を
分離する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酸素吸着剤を利用して空気から酸素と窒
素を吸着分離する方法は、装置が小型簡易であり、無人
運転に近いほど保守を必要としない、という利点がある
ため、酸素製造量が10〜3000Nm3 −N2 /h程
度の中小型の窒素製造装置として近年使用例が増えてき
ており、深冷分離装置で作られる液体窒素を輸送して使
用するケースについての代替も進行している。そこで
は、酸素吸着剤として活性炭系のモレキュラーシーブス
カーボン4Aが最も多く使用されている。
【0003】上記の吸着分離方法は、空気圧縮機、2塔
以上の酸素吸着塔、場合によっては真空ポンプからなる
装置で実施される。一方の吸着塔に圧縮空気を送ると、
吸着塔に充填された酸素吸着剤により、空気中の酸素が
吸着分離され、残る高圧の窒素が吸着塔の後方より回収
される。そして、他方の吸着塔は、減圧したり、必要に
応じて製品の窒素の一部を向流で流したり、真空ポンプ
で強力に吸引することにより、酸素を脱着回収して吸着
剤を再生する。この操作を繰り返すことにより、連続的
に酸素と窒素を分離する方法てある。
【0004】上記の吸着分離方法に用いる酸素吸着剤の
代表的なものは、ベルグバウフォルシュング社により実
用化された窓径約4オングストロームを有すると推定さ
れるカーボンモレキュラーシーブスであり、酸素・窒素
2成分混合ガスから、吸着速度の差を利用して酸素を選
択的に吸着するものである。
【0005】上記の吸着分離方法は、中小型装置の領域
で有利であると述べたが、1Nm3の窒素を製造するの
に、99%窒素で0.45kwh、99.9%窒素で
0.65kwhの電力を必要とし、大容量深冷分離法の
0.28kwhに比して消費電力が大きい。また、酸素
について上記運転条件で、1Nm3 の窒素を製造する時
に25〜30%の酸素富化空気が脱着側から3.5〜4
Nm3 で回収される。しかしながら、本方法で酸素を具
体的に回収した例は少ない。これは、得られる酸素濃度
が上記のように低濃度に止まり、他方、高圧空気を使用
するところから、消費電力が0.8kwh/Nm3 −O
2 (純酸素換算)を上回るためと考えられる。また、窒
素製造においては、装置容量の増大に対するスケールメ
リットが少なく、1000Nm3 −N2 /h以上の領域
では深冷分離法に競合できないといわれており、酸素製
造においては状況はさらに難しい。
【0006】そこで、消費電力の低減についてみると、
送風圧力を低くして低圧で吸着操作を行うことが考えら
れるが、酸素吸着量が圧力にほぼ比例して低下するた
め、装置の容量を極めて膨大にする。また、酸素製造量
(酸素富化空気量)の増大を図るためにはサイクルタイ
ムの短縮が考えられるが、バルブ、吸着剤、回転機械な
どの消耗が大きく、おのずから限度がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上
記の欠点を解消し、低温・低圧吸着条件下で酸素吸着量
が大きく、酸素選択性の優れた酸素吸着剤を提供し、か
つ、該吸着剤を用いて極めて少ない動力原単位で高純度
の酸素を容易に得ることができる酸素・窒素の分離方法
を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1) 鉄をゼオ
ライトの骨格中に0.1〜1.0wt%含有するNa−
A−Fe型ゼオライトの全Naの0.5〜15%をKで
イオン交換した後、常圧下で温度600〜760℃で熱
処理してなる酸素吸着剤、及び、(2) 該酸素吸着剤を充
填した2塔以上の吸着塔を室温以下に保持し、酸素及び
窒素を主成分とする混合ガスを大気圧〜3ataの圧力
で吸着工程の吸着塔に供給して酸素を選択的に吸着さ
せ、該吸着塔から高純度窒素又は窒素富化ガスを流出さ
せ、再生工程の吸着塔を0.08〜0.5ataの圧力
に減圧して吸着剤を再生し、酸素富化ガスを回収し、上
記の吸着工程と再生工程を連続的に切り換えることを特
徴とする酸素と窒素の分離方法である。
【0009】
【作用】本発明者等は、低温低圧吸着条件下で酸素と窒
素を効率的に分離する方法について鋭意研究する中で、
鉄をゼオライトの骨格中に0.1〜1.0wt%含有す
るNa−A−Fe型ゼオライトの全Naの0.5〜15
%をKでイオン交換した後、常圧下で温度600〜76
0℃で熱処理して活性化した酸素吸着剤が、低温低圧吸
着条件下における酸素吸着量を増大させ、かつ、酸素選
択吸着性に優れていることを見いだし、室温領域での高
圧吸着、大気圧(真空減圧)再生に比べ、吸着塔の容量
を増大することもなく、消費電力を大幅に低減すること
を可能にする酸素と窒素の分離方法を完成するに至った
ものである。
【0010】本発明に係る酸素吸着剤の製造例を以下説
明する。鉄をゼオライトの骨格中に0.1〜1.0wt
%含有するNa−A−Fe型ゼオライトをスラリー溶液
とし、該スラリー溶液に0.1M濃度のKCl水溶液を
加えて、上記ゼオライトの有する全Naのうち、モル換
算で0.5〜15%をKとイオン交換させる。その後、
ろ過水洗を行い、次いで、カオリン及びシリカゾルをバ
インダーとして添加し、成形した後、600〜760℃
の高温で2時間焼成して酸素吸着剤を得る。この酸素吸
着剤を用いて図1に示す空気分離装置で空気から酸素と
窒素の分離を試みた。
【0011】以下、図1に基づいて空気分離操作を説明
する。空気は、入口ライン1を通じて圧縮機2に送ら
れ、1.05〜3ataに加圧され、流路3を介して脱
湿・脱二酸化炭素塔4に送られ、極めて清浄な加圧空気
となる。該加圧空気は、流路3’、バルブ5、流路6、
バルブ7を介して吸着工程にある吸着塔8に供給され、
塔内に充填されている酸素吸着剤9で酸素を吸着分離す
る。その際、塔の後方にゆくにつれて窒素濃度が上昇す
る。そして、窒素富化空気は、バルブ10、11を介し
て製品窒素タンク13に回収され、必要に応じて、バル
ブ12、製品窒素流路21を介して系外に取り出され
る。
【0012】一方、再生工程にある吸着塔8’は、真空
ポンプ18により、バルブ16’、流路17を介して減
圧し、酸素吸着剤9’に吸着されている酸素は容易に脱
離され、短時間で再生される。吸着塔8の酸素吸着剤9
が飽和し、吸着塔8’の酸素吸着剤9’が再生される
と、入口空気の流路6を6’に切り換えて吸着塔8を吸
着工程から再生工程に、吸着塔8’を再生工程から吸着
工程に移行させる。このように、上記工程を順次切り換
えることより、製品窒素と酸素富化空気を連続的に回収
することができる。
【0013】なお、入口の清浄な加圧空気を供給する流
路3’と、離脱酸素を主成分とするガスを排出する流路
17の間に熱交換器19を設け、また、製品窒素流路2
1と、上記の加圧空気流路3’との間にも熱交換器22
を設けて熱交換可能となっている。そして、上記の加圧
空気流路3’に圧縮式冷凍機20を設置することによ
り、極めて効率的に吸着塔を冷却し、所定の低温条件を
得ることができる。
【0014】また、吸着塔の切り換えにあたっては、単
純に流路を6と6’の間で切り換えるだけでなく、切り
換え直後の昇圧に伴う入口空気の吹き抜けを防ぎ、か
つ、吸着塔の後方に残存する窒素及び前方の加圧空気の
系外への放出を最小にするために、まず、バルブ10、
10’を全開にして、吸着直後の吸着塔8の後方の残存
窒素を再生直後の吸着塔8’に一部移す。この時、吸着
塔8の圧力をPO (ata)、吸着塔8’の圧力をP1
(ata)とすると、均圧後の圧力は約(PO +P1
/2となる。この後、約(PO +P1 )/2となった吸
着塔8’はバルブ10’、11’を開いて製品窒素タン
ク13と吸着塔を均圧化して、吸着塔8’をさらに高圧
の窒素で満たす。製品タンク13の均圧時の圧力P
2 (ata)は吸着塔8,8’の死容積をV1 (リット
ル)、製品窒素タンク13の容量をV2(リットル)と
すると、均圧前の製品窒素タンク13の圧力をPO にほ
ぼ等しいとすると、均圧化圧力P2 は概略次の通りにな
る。 P2 =〔(PO +P1 )/2・V1 +PO ・V2 〕/
(V1 +V2
【0015】このように、単に塔を切り換える時の、P
1 からPO への急速な昇圧に比べ、上記の操作は、
1 、(PO +P1 )/2、P2 、PO と緩やかに昇圧
されるため、昇圧等の空気の吹き抜けが防止され、脱着
工程における残存窒素、高圧空気の系外への放出を最小
にすることができる。なお、再生工程における酸素富化
空気の回収を主題とする運転では、上記操作は製品酸素
濃度を下げるので有効でない。
【0016】
【実施例】図1の装置を用い、上記の操作手順で空気分
離を行った。その際の操作諸元は次の通りである。 吸着塔 直径25mm,長さ2600m
m 吸着剤充填量 1.5kg/塔 塔数 2塔 塔切り換え時間 60秒 出口製品流量 2Nリットル/切換時間 吸着塔圧力 1〜5ata 再生塔圧力 0.01〜0.9ata 吸着塔温度 40〜−100℃ 吸着剤の種類 Na−K−A−Fe型ゼオライ
【0017】図2以下の図面は、鉄をゼオライトの骨格
中に0.1〜1.0wt%含有するNa−A−Fe型ゼ
オライトの全Naのうち、0〜15モル%をKとイオン
交換し、常圧下で600〜760℃で熱処理したNa−
K−A−Fe型ゼオライトを酸素吸着剤として用い、圧
力スィング式吸着分離法で空気から酸素と窒素を分離し
て以下の特性を調べたものである。
【0018】図2は、Kイオン交換率5モル%、及び、
0モル%のNa−K−A−Fe型ゼオライトにおいて、
Fe含有率(wt%)を0.1〜1.0wt%の範囲で
変化させたときの、脱着ガス中の酸素濃度(vol%)
の変化を調べた結果である。なお、吸着圧力(PO )は
1.2ata、再生圧力(P1 )は0.1ata、吸着
温度−30℃、出口窒素濃度97%に設定した。図2か
ら明らかなように、鉄含有率換率が0.5wt%付近で
酸素濃度は最高になる。Kを含有しない場合は、酸素濃
度の上昇は30vol%に止まるが、Naを5モル%K
とイオン交換した酸素吸着剤は、48vol%に上昇さ
せることができた。
【0019】図3は、図2と同じ吸着圧力、再生圧力、
吸着温度、出口窒素濃度の条件下で、鉄をゼオライトの
骨格中に0.5wt%含有するNa−K−A−Fe型ゼ
オライトにおいて、Kのイオン交換率を0〜15モル%
の範囲で変化させたときの、脱着ガス中の酸素濃度(v
ol%)の変化を調べた結果である。図3から明らかな
ように、イオン交換率が0.5〜15%の範囲で酸素富
化空気濃度が通常酸素製造の目安(膜分離等)の30v
ol%を上回っていることが分かる。なお、このときの
動力原単位は、酸素富化空気ベースで0.09kwh/
Nm3 −O2 となる。
【0020】この実施例では、空気から酸素を分離する
ため、製品窒素に対応する酸素が原料空気から持ち込ま
れたものとし、純粋に製造された酸素は製品中の酸素か
ら、この持ち込み酸素を差し引いた分とすることで動力
評価を行った。即ち、 持ち込み酸素Ci=20.6/78.5(1−CO ) 但し、CO :酸素富化空気中の酸素濃度 純酸素分Cp=CO −20.6/78.5(1−CO ) =1.26CO −0.26 酸素富化空気中の酸素濃度が最も高い48vol%では
Cp=0.34Nm3となるので、動力原単位は0.2
6kwh/Nm3 −O2 となる。
【0021】ところで、従来のNa−Aの分子篩効果の
説明によると、Na−Aでは窓径が4Åであり、図4に
示したように、小さな分子である酸素(2.8×3.8
Å)も大きな分子である窒素(3.2×4.2Å)も吸
着される。一方、K−Aでは窓径が3Åに縮小して酸素
も窒素も吸着しないとされていた。この説明によると、
Naの一部をKでイオン交換しても酸素も窒素も吸着し
ない窓が増加するのみで、それ以上の効果は出現しない
ことになる。しかし、本発明では、ゼオライトの骨格の
AlをFeに置換し、上記のようにKでイオン交換を施
した酸素吸着剤に対して次に説明する熱処理を行うこと
により、低温吸着操作における酸素の選択吸着性を付与
することに成功したのである。
【0022】図5は、Feの含有率を図2の最適値であ
る0.5wt%にし、かつ、K交換率を図3の最適条件
である5モル%にしたNa−K−A−Fe型ゼオライト
について、熱処理温度を変化させて、脱着時に回収され
る酸素富化空気中の酸素濃度(vol%)を調べた結果
を示したものである。なお、吸着圧力(PO )は1.2
ata、再生圧力(P1 )は0.1ata、吸着温度−
30℃、出口窒素濃度97%に設定した。図5から明ら
かなように、熱処理温度が600〜760℃の範囲では
酸素濃度は30vol%を越え、最適の熱処理温度は7
20℃の近傍であった。
【0023】即ち、Na−K−A−Fe型ゼオライトの
最適調製条件は、 i)Fe含有率:0.1〜1.0wt%の範囲、最大値
は0.5%の近傍 ii)Kイオン交換率:0.5〜15%の範囲、最大値は
5%の近傍 iii )熱処理温度:600〜760℃の範囲、最大値は
720℃の近傍。 そこで、Fe含有率0.5wt%、K交換率5モル%、
熱処理温度720℃で2時間処理したNa−K−A−F
e型酸素吸着剤を使用して、酸素と窒素の分離について
以下の特性を調べた。
【0024】図6は、吸着温度を−30℃、脱着圧力P
1 を0.1ata、出口窒素濃度99.9%に設定し、
吸着圧力P0 を1.05〜4.5ataの範囲で変化さ
せたときの、動力原単位(kwh/Nm3 −N2 )を調
べた結果である。図6から明らかなように、吸着圧力の
低下に伴い動力原単位が大幅に低減しており、吸着圧力
が5.5ata以下では、カーボン分子篩4Aの0.6
5kwh/Nm3 −N2 (99.9%N2 )に対し、よ
り小さな動力原単位で空気から窒素及び酸素富化空気を
分離できることが分かった。
【0025】図7は、図6の条件のうち吸着圧力PO
1.2ataとし、脱着圧力P1 のみを0.1〜1at
aの範囲で変化させたときの、動力原単位を調べた結果
である。図7から明らかなように、脱着圧力P1 =0.
1〜1.0ataの範囲が、カーボン分子篩4Aの0.
65kwh/Nm3 −N2 (99.9%N2 )より小さ
な動力原単位で空気から窒素及び酸素富化空気を分離で
きることが分かった。
【0026】図8は、図6の条件のうち吸着圧力PO
1.2ataとし、脱着圧力P1 を0.1ata、出口
窒素濃度99.9%に設定し、吸着温度を室温から−1
00℃の範囲で変化させたときの、動力原単位を調べた
結果である。これは、上記の低温条件に設定すると、吸
着量の上昇と酸素選択性の向上が一般的におこるので、
吸着時の破過帯が縮小し、装置の小型化と分離効率の向
上が期待できるためである。図8から明らかなように、
吸着温度の低下にともない、動力原単位は低下を続け
た。−60℃までは、上記の装置で動力原単位を調べた
が、空気分離に関して特に問題はなかった。さらに、小
規模の試験で−100℃まで調べたが、その有効性は失
われなかった。
【0027】次に、図9は、図8の条件と同様にし、空
筒速度U=0.4cm/secに設定し、吸着温度を4
0〜−100℃まで変化させたときの、吸着塔出口窒素
中の酸素濃度を調べた結果である。図9から明らかなよ
うに、吸着塔出口窒素中の酸素濃度は低温域で温度の低
下にともない大幅に減少した。
【0028】以上、主として動力費、酸素純度に関連し
て説明したが、次に初期設備費に関連して述べる。図1
0は、吸着圧力PO を1.2ataとし、脱着圧力P1
を0.1ata、出口製品窒素中の酸素濃度を0.1%
になるように製品窒素採取量を調整し、温度40℃から
−100℃まで変化させて、1Nm3 /hの窒素(酸素
濃度0.1%)を採取するために必要な吸着剤重量(k
g)を評価した結果である。従来のカーボン分子篩が、
室温、4〜6atmの吸着条件で毎時1Nm3 の窒素を
製造するのに必要な吸着剤重量が25kgであるのに対
し、図10から明らかなように、本吸着条件下では、大
気圧付近に低下しても−30℃の温度条件で25kgと
大差がなかった。
【0029】以上のことから分かるように、鉄をゼオラ
イトの骨格中に0.1〜1wt%含有するNa−A−F
e型ゼオライトの全Naの0.5〜15%をKでイオン
交換した後、常圧下で温度600〜760℃で熱処理し
てなるNa−K−A−Fe型ゼオライトを使用し、吸着
圧力を3ata以下、脱着圧力を0.08〜0.5at
a、吸着温度を室温以下に設定し、圧力スィング式吸着
分離法で酸素及び窒素混合ガスを分離すると、毎時1N
3 の窒素を製造するのに要する動力原単位が、従来の
深冷分離法で0.45〜0.65kwh、現行の吸着分
離法で0.65kwh以上を要していたものを、一挙に
0.25kwh近傍まで低減することができ、吸着剤の
使用量も現行の吸着分離法と同程度に維持できるもので
ある。
【0030】以上、主として窒素の製造について述べた
が、次に、酸素富化空気の製造について説明する。この
場合、大気圧近傍で空気の送風が可能であるため、酸素
吸着塔の後方から流出する窒素に酸素が随伴しても、動
力原単位は上昇しない。むしろ、出口窒素中の酸素濃度
が上昇して、酸素吸着塔の酸素分圧を上げ、回収酸素濃
度を上昇させるので望ましい。
【0031】具体的には、図1の装置を用い、入口空気
量を10Nリットル/切換時間、出口窒素中の酸素濃度
を5%まで上昇させ、吸着温度を−30℃、吸着圧力を
1.1ata、再生圧力を0.1ataに設定すると、
脱着側再生ラインから約50%の酸素濃度の酸素富化空
気を4Nリットルを採取できた。更に、回収酸素の一部
を吸着終了直後の塔に空気流れと同一方向に流して残留
窒素をパージすると、約80%まで酸素濃度を上昇させ
ることができた。この条件下での物質収支に基づいて動
力原単位で計算すると、100%−O2換算値で0.2
7kwh/Nm3 −O2 となり、極めて有効な酸素富化
空気の製造法となり得る。
【0032】
【発明の効果】本発明は、上記の構成を採用することに
より、脱着圧力がより低圧側で、吸着温度がより低温側
で操作するときに、酸素の選択的吸着性に優れ、大きな
酸素吸着量を備えた酸素吸着剤を提供することができ、
該吸着剤を使用した酸素と窒素の分離方法では、極めて
少ない動力原単位で高純度の窒素を容易に得ることがで
きるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸素・窒素分離方法を実施するための
装置の概念図である。
【図2】実施例において、Na−K−A−Fe型ゼオラ
イトのFe含有率(wt%)と脱着ガス中の酸素濃度と
の関係を示したグラフである。
【図3】実施例において、Na−K−A−Fe型ゼオラ
イトのKイオン交換率(モル%)と脱着ガス中の酸素濃
度との関係を示したグラフである。
【図4】Na−A,Na−K−A,K−A型ゼオライト
の吸着窓径、酸素・窒素の分子形状を対比し、本発明の
ゼオライトの分子篩効果を説明するための図である。
【図5】実施例において、Na−K−A−Feの熱処理
温度と脱着ガス中の酸素濃度との関係を示したグラフで
ある。
【図6】実施例において、吸着圧力と動力原単位(kw
h/Nm3 −N2 )との関係を示したグラフである。
【図7】実施例において、脱着圧力と動力原単位(kw
h/Nm3 −N2 )との関係を示したグラフである。
【図8】実施例において、吸着温度と動力原単位(kw
h/Nm3 −N2 )との関係を示したグラフである。
【図9】実施例において、吸着温度と吸着塔出口窒素中
の酸素濃度との関係を示したグラフである。
【図10】実施例において、吸着温度と、1Nm3 −N
2 /hの窒素を製造するのに必要な吸着剤重量との関係
を示したグラフである。
【符号の説明】
1 空気ライン、 2 圧縮機、 4 脱湿脱二酸化炭
素塔、 8 吸着塔、8’ 吸着塔、 13 製品窒素
タンク、 18 真空ポンプ、 19 熱交換器、 2
0 圧縮式冷凍機、 21 熱交換器、 22 熱交換
器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安武 昭典 長崎県長崎市深掘町5丁目717番1号 三 菱重工業株式会社長崎研究所内 (72)発明者 大嶋 一晃 長崎県長崎市飽の浦町1番1号 三菱重工 業株式会社長崎造船所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄をゼオライトの骨格中に0.1〜1w
    t%含有するNa−A−Fe型ゼオライトの全Naの
    0.5〜15%をKでイオン交換した後、常圧下で温度
    600〜760℃で熱処理してなる酸素吸着剤。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の酸素吸着剤を充填した2
    塔以上の吸着塔を室温以下に保持し、酸素及び窒素を主
    成分とする混合ガスを大気圧〜3ataの圧力で吸着工
    程の吸着塔に供給して酸素を選択的に吸着させ、該吸着
    塔から高純度窒素又は窒素富化ガスを流出させ、再生工
    程の吸着塔を0.08〜0.5ataの圧力に減圧して
    吸着剤を再生し、酸素富化ガスを回収し、上記の吸着工
    程と再生工程を連続的に切り換えることを特徴とする酸
    素と窒素の分離方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20000042032A (ko) * 1998-12-24 2000-07-15 이구택 제올라이트를 이용한 메탄가스 제거방법
JP2010042331A (ja) * 2008-08-11 2010-02-25 Kyuchaku Gijutsu Kogyo Kk 圧力スイング吸着法によるオゾン製造装置を搭載したバラスト水処理装置
CN102091500A (zh) * 2011-01-19 2011-06-15 上海穗杉实业有限公司 一种变压吸附的氧氮联合分离的方法与装置
JP2019147697A (ja) * 2018-02-26 2019-09-05 株式会社Ihi 酸素ガス製造装置

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