JPH06178807A - 不織布型血液浄化用吸着材 - Google Patents

不織布型血液浄化用吸着材

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JPH06178807A
JPH06178807A JP43A JP33192192A JPH06178807A JP H06178807 A JPH06178807 A JP H06178807A JP 43 A JP43 A JP 43A JP 33192192 A JP33192192 A JP 33192192A JP H06178807 A JPH06178807 A JP H06178807A
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blood
carrier
acid
adsorbent
paa
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JP43A
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Hideyuki Yokota
英之 横田
Masahiro Seko
政弘 世古
Kazunori Inamori
和紀 稲森
Masakazu Tanaka
昌和 田中
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 血液を直接潅流することによって血液の凝
固、血球成分の破壊、減少等の弊害を及ぼすことのない
血液適合性を有し、血中の特定成分を選択的、簡便、且
つ効果的に吸着することができる吸着能、吸着選択性を
備えた血液浄化吸着材を提供する。 【構成】 繊維径0.1μm〜100μmの繊維からな
る水不溶性不織布型担体に、分子量400〜40000
のポリカルボン酸をカルボキシル基含量が10〜104
μeq/gとなるよう導入し、これに炭素数2〜6の繰
り返し単位から成り、重合度5〜400のポリアルキレ
ンオキサイド骨格を有する親水性スペーサーを介して、
被吸着物質と親和性を有する有機化合物を固定化したこ
とを特徴とする不織布型血液浄化吸着材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自己免疫疾患(重症筋無
力症、慢性リウマチ、特発性血小板減少性紫班病な
ど)、免疫関連疾患(気管支喘息、糸球体腎炎など)、
癌(白血病など)、高脂血症などの治療、及び幹細胞、
B細胞、T細胞など血中細胞成分の分離を目的とし、血
液から血漿を分離することなく、直接血液を接触させる
ことによって血中の特定成分を分離する血液浄化用吸着
材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、免疫不全、腫瘍、高脂血症など治
療には血漿交換法が有効とされ、広く行われている。し
かしながら、この療法では血漿をすべて交換するため、
(1)不要成分のみならず、必要な成分までも除去され
てしまうこと、(2)除去した血漿に替えて体内に補充
される血漿、あるいは血漿製剤が不足しているため、大
量かつ持続的な入手が困難である、(3)血清肝炎やア
レルギー、さらにはAIDS(後天性免疫不全症候群)
感染の危険性があること、など血漿交換法が内含する問
題は多い。
【0003】こういった状況を背景として、近年、病因
関連物質の選択的除去による療法が盛んに行われるよう
になってきた。このような方法は例えば、メンブレンフ
ィルターを用いるカスケード(Siebelth,H.
G.,Plasma Exchange,P.29,
F.K.Schattauer Verlog,Stu
ttgart−New York,1980)、あるい
は二重ろ過法(阿岸鉄三ら,腎と透析,10(3),4
75,1981)、凍結ろ過法(L’Abatte
A.,etal.,Proc.Eur.Dial.Tr
ansplant.Assoc.,14,486,19
77)、塩析血漿処理法(大江宏明ら,人工臓器,14
(1),472−475(1985))が考案されて
いる。
【0004】他の治療方法としては、各種薬剤の使用が
行われているが、一般に副作用の危険性があり、使用
量、使用期間などに細心の注意を払う必要がある。
【0005】このような問題を解決できる治療法として
は、自己の血液を浄化した後に再輪注する方法、すなわ
ち、体外循環血液浄化法が望ましいとされる。この方法
を採るにあたり、副作用がなく、自己の血液から病因物
質を充分且つ選択的に除去することのできる浄化材及び
血液浄化療法が望まれていた。
【0006】従来、この目的に供し得る血液浄化材とし
ては、 (1)アフィニティー吸着材(例えば、特公平2−50
96、特公平2−26988、特開平1−158970
など) (2)多孔性樹脂(例えば特開昭56−147710、
特公昭62−2543、Rohm&Haas製の「アン
バーライトXAD−7」など) (3)イオン交換体(例えばカルボキシメチルセルロー
ス、ジエチルアミノエチルアガロースなど) (4)無機多孔体(例えば特公昭62−2543、多孔
質ガラス、セラミクスなど) がある。
【0007】しかし、多孔性樹脂やイオン交換体は吸着
能が小さい上に吸着特異性が低く、これを血液浄化材と
して用いると効果が充分でないばかりでなく、血中の必
須成分までも吸着してしまう可能性があり、安全性の面
でも問題がある。また、無機多孔体は吸着能、吸着特性
については比較的良好であるが、未だ実用に供するには
不十分であり、血液適合性に乏しいため、多量のヘパリ
ンの添加が必要となり、出血傾向等の副作用が生じる。
このような点から、将来的に最も可能性の大きいアフィ
ニティー吸着材による有用な血液浄化材の開発が望まれ
ている。
【0008】アフィニティー吸着材は、生物学アフィニ
ティー吸着材(抗原抗体結合、補体結合、Fc結合等の
生物学的相互作用で血液中の病因物質と結合し、これを
吸着するもの)と物理化学的アフィニティー吸着材(静
電結合、水素結合、ファンデルワールス力等物理的また
は化学的相互作用によって血液中の病因物質と結合し、
これを吸着するもの)とに大別でき、さらに従来知られ
ている物理化学的アフィニティー吸着材は以下の6つに
分類することができる。 (1)カルボキシル基またはスルホン酸基を表面に有す
る多孔体(例えば、特開昭56−147710、特開昭
57−56038、特開昭57−75141、特開昭5
7−170263、特開昭57−197294) (2)疎水性アミノ酸が結合されている親水性担体(例
えば、特開昭57−122875、特開昭58−159
24、特開昭58−165859、特開昭58−165
861、旭メディカル製イムソーバー) (3)その他疎水性低分子化合物が固定されている担体
(例えば特開平1−158970) (4)変性免疫グロブリン(IgG)が結合されている
親水性担体(例えば特開昭57−77624、特開昭5
7−77625、特開昭57−156035) (5)メチル化アルブミンが結合されている多孔体(例
えば特開昭55−120875、特開昭55−1258
72) (6)糖または改質した糖が結合されている担体(例え
ば特開昭57−134164、特開昭58−13325
7、鐘淵化学リポソーバー) (7)プリン塩基またはピリミジン塩基、或いは糖燐酸
が結合されている多孔体(例えば特開昭57−1925
60、特開昭58−61752、特開昭58−9814
2)
【0009】しかし、これら従来の物理化学的アフィニ
ティー吸着材も、体外循環血液浄化療法による自己免疫
疾患等の治療には充分とは言えず、血液適合性にも乏し
いことから、さらに高い効率及び特異性で病因物質を除
去することができ、また体液に対する悪影響の少ない浄
化材が望まれている。
【0010】このような概念に基づいて開発された血液
浄化材については、例えば、特開平1−158970と
いう特許が開示されている。この特許によって開示され
ている血液浄化材は、重合度1〜90のエチレンオキサ
イド骨格を有する親水性スペーサーを介し、被吸着物質
と親和性を有する物質(以下リガンドと略記する)とし
て低分子有機化合物を水不溶性多孔質固体表面に固定
し、これに直接血液を潅流して免疫グロブリンを吸着す
ることを特徴としている。
【0011】親水性スペーサーの持つ意義のひとつとし
て、血液中の血球成分や、被吸着物質でない蛋白の付着
を防止することが挙げられる。親水性スペーサーはその
周辺に水を吸着している。このため吸着材表面は水の層
に覆われ、この水の層が血球成分の付着を防いでいる
(排除体積効果)。また、水の層を形成するスペーサー
が運動することにより、さらに血球成分の付着は困難に
なり、付着した血球成分は脱離しやすくなる。また、凝
固因子や補体の活性化が抑制されるといった利点を有す
る。すなわち、親水性スペーサーの導入によって血液適
合性の向上を図ることができる。
【0012】しかしながら、血液適合性向上の方法とし
て親水性スペーサーの排除体積効果だけに頼る場合、ス
ペーサーの重合度が90以下では充分とは言えず、特開
平1−158970においては血液適合性向上のためア
クリル酸誘導体のコーティングを行っている。このよう
な操作は煩雑であるばかりでなく、毒性をもった物質の
溶出を招く可能性も存在する。
【0013】親水性スペーサーの持つ第二の意義とし
て、リガンドの運動性の上昇によって吸着能の向上が期
待できることが挙げられる。被吸着物質が巨大分子であ
る場合には、リガンドを直接固定しただけでは被吸着物
質とリガンドの接近が困難であり、また一部で結合した
としても結合サイトの数が充分ではなく、容易に脱着し
てしまう可能性が大きい。親水性スペーサーを介在させ
ることによって被吸着物質との接近が促進され、またリ
ガンドの動きに融通性があるため周囲のリガンドが被吸
着物質との結合に参与しやすく、このため結合サイトの
多い強固な結合を生成することができる。
【0014】親水性スペーサーのこのような効果につい
ても、特開平1−158970に記載されているよう
に、コーティングを行ってしまっては半減するのを否め
ない。
【0015】特公平4−29396では、負電荷を有す
る不溶性担体に被吸着物質と結合可能な官能部位を有す
る有機化合物が結合していることを特徴とする血液浄化
吸着材について開示されている。負電荷を有する表面が
血液凝固や補体活性化を抑制する働きを持っている事実
は1951年、Sawyerらによって発見され、その
後多くの研究者らによって検討が加えられてきた(例え
ばSawyer etal.,Amer.J.Sur
g.,114,42,1967、笠井ら.,人工臓器
,327,1983など)。特公平4−29396も
これらの研究と同じく、負電荷による血液適合性の向上
を意図している。
【0016】しかし、特公平4−29396に開示され
ているように負電荷を有する担体を使用してさえも、特
に繊維径の細い不織布を担体に選び、全血処理を行う場
合には、充分な血球粘着抑制を実現するのは困難であ
る。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の欠点を解決し、リガンドの効果を充分に引き出して、
良好な吸着能、吸着特性を有し、コーティング等の煩雑
な操作を省略してなお充分な血液適合性を持った血液浄
化用吸着材を提供することにより、副作用がなく、自己
の血液から病因物質を充分且つ選択的に除去し、あるい
は血中の特定成分を選択的に吸着補集することのできる
効果的な体外循環血液浄化療法を実現しようとしたもの
である。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の不織布型血液浄
化用吸着材は、担体としての分子量400〜40000
のポリカルボン酸を繊維径0.1〜100μmの繊維か
ら成る水不溶性不織布に、親水性スペーサーを介して、
被吸着物質と親和性を有する有機化合物を固定して成る
ことを特徴とする。本発明に使用される担体表面におけ
るポリカルボン酸由来のカルボキシル基含量は、10〜
104 μeq/gであることを特徴とする。本発明に使
用される親水性スペーサーは炭素数2〜6の繰り返し単
位からなり、重合度が5〜400ポリアルキレンオキサ
イド骨格を有すものであることを特徴とする。
【0019】本発明の不織布型血液浄化用吸着材に用い
られる水不溶性不織布は、ポリエステル、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸
およびその誘導体或いはこれらの共重合体などの合成有
機高分子化合物、セルロース、セファロース、デキスト
ラン、キチン、キトサン等の天然有機高分子化合物、ま
たはアシルセルロース、アシルセファロース等の改質天
然有機高分子化合物であることが好ましい。これらの高
分子化合物のうち、機械的強度、改質の容易さ等を考慮
すると、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレンお
よびその誘導体或いはこれらの共重合体、エチレン−ビ
ニルアルコール共重合体、あるいはセルロース、キトサ
ンが望ましく、さらに好ましくはポリエステル、ポリエ
チレン、セルロースが望ましい。
【0020】本発明は担体として水不溶性不織布を使用
することが特徴のひとつとなっている。本発明において
は血液から血漿を分離することなく直接全血を潅流して
血中の特定成分を分離することを目的としているため、
吸着材と血液が接触する際の流通抵抗をいかに低く抑え
るかが大きな問題となる。先願特許の多くは担体の形状
として、粒子状、繊維状、中空糸状、膜状などさまざま
なものを例示してはいるものの、実質的には粒子状担体
を使用することを前提としていることが多い。しかしな
がら、粒子状担体では有効表面積を獲得するのは比較的
容易だが、流通抵抗を低く抑えるには必ずしも適当であ
るとは言い難い。このように圧損と有効表面積の両立を
考えた場合、繊維状担体を使用することが好ましく、さ
らにその繊維状担体は不織布になっていることが好まし
いとの結論に至った。
【0021】不織布型担体を形成する繊維の径は0.1
〜100μmの範囲にあることが必要であるが、好まし
くは1〜50μm、さらに好ましくは3〜20μmであ
ることが好ましい。これよりも繊維径が小さくなると血
球の流通抵抗が大きくなり、繊維径が大きくなると有効
表面積の減少を招く。繊維の形状については、細胞に与
える損傷などから考えて、刺状の突起が存在することは
好ましくないが、有効表面積を増加させる目的で微小孔
が存在することは好ましい。その平均孔径は20Å〜3
000Å、好ましくは100Å〜2000Åである。こ
れより平均孔径が小さいと表面積の実測値は大きくなる
ものの、被吸着物質が微小孔内部に到達できないため有
効表面積の拡大にはならず、これより大きいと担体の強
度低下を招く恐れがある。また、繊維にクリンプが存在
することも、流通抵抗の低下や血液との接触効率の向上
につながるため好ましい。本発明の不織布は0.6g/
cm3 以下、好ましくは0.4g/cm3 以下のもので
あり、この下限は0.01g/cm3 のものが好まし
い。
【0022】本発明に用いられる分子量400〜400
00のポリカルボン酸としては、アクリル酸、ビニル安
息香酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸などのカ
ルボキシル基含有ビニル系化合物の重合体、あるいはカ
ルボキシル基含有ビニル系化合物を共重合成分とする共
重合体;ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸などの
酸性ポリアミノ酸、あるいはこれらを共重合成分とする
酸性共重合体;アルギン酸、ペクチン酸などの酸性多糖
類などが挙げられる。また、ポリメタクリル酸メチル、
ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリ無水
マレイン酸の加水分解物なども使用され得る。これらの
ポリカルボン酸のうち、導入の容易さや導入後の安定
性、親水性などから、アクリル酸、ビニル安息香酸、メ
タクリル酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル
基含有ビニル系化合物重合体が好ましく、さらに好まし
くはポリアクリル酸、ポリメタクリル酸が好ましい。
【0023】本発明においてポリカルボン酸を担体に導
入し、リガンドの固定化を行う意義は大きくわけて二つ
考えられる。第一は担体表面に負電荷を導入することで
血液凝固や補体活性化を抑制し、血液適合性を向上させ
ることである。血球は負に帯電しているため、負電荷を
有する表面とは静電反発によって吸着が阻害され、凝血
が起こりにくくなる。また、補体活性化のカスケードが
負電荷素材のトラップによって阻害を受けるため、補体
活性化抑制の効果も期待できる。
【0024】負電荷を付与するにはカルボキシル基のほ
かにスルホン酸基、リン酸基なども考えられるが、これ
ら種々の負電荷を有する置換基について血液適合性を検
討した結果、特に血球粘着についてはカルボキシル基を
導入するのが最も好ましい結果となった。
【0025】また、低分子量のカルボキシル基含有化合
物で担体表面に負電荷を導入した場合と比較して、分子
量が400〜40000の範囲のポリカルボン酸を水不
溶性担体に導入した場合には、より良好な血液適合性、
吸着性能を得ることができる。この理由として以下のよ
うなことが考えられる。すなわち、血液などの液体中で
は、このポリカルボン酸の分子鎖の一部が担体表面から
立ち上がって表面近傍に揺らぐように存在する可能性が
期待できる。この立ち上がったポリカルボン酸分子鎖は
負電荷を有し、親水性であるために排除体積効果が期待
でき、血液適合性の向上に寄与すると同時に、リガンド
の運動性を上昇させることで吸着能の向上をももたら
す。つまり、ポリカルボン酸の第二の効果として、親水
性スペーサーとしての働きを期待できる。
【0026】単にカルボキシル基含有低分子量化合物の
固定化や、負電荷を有する素材を担体に使用するだけで
は上記のような排除体積効果は期待できず、充分な血液
適合性を得るのは困難であり、リガンドの効果も充分に
引き出されない。すなわち、良好な血液適合性や吸着性
能を得るには、担体表面に負電荷を付与するのにあたり
分子量400〜40000のポリカルボン酸を用いるこ
とが不可欠である。このような観点から、より好ましい
ポリカルボン酸の分子量は500〜20000であり、
さらに好ましくは1000〜10000であることが好
ましい。これよりも分子量が小さいと充分な排除体積効
果、リガンドの運動性は得られず、これ以上の分子量だ
と導入効率が低下するため好ましくない。
【0027】しかしながら、ポリカルボン酸だけでは親
水性スペーサーとしての効果はいまだ充分であるとは言
い難く、より良好な吸着性能、血液適合性を得るために
は非イオン性の親水性スペーサーを介在させる必要があ
る。
【0028】本発明に使用される炭素数2〜6の繰り返
し単位から成り、重合度が5〜400のポリアルキレン
オキサイド骨格を有する親水性スペーサーとしては、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポ
リテトラメチレングリコールなどが例示される。また、
導入が容易であるということから、これらの化合物を基
本骨格とし、両末端にアミノ基を導入した化合物、両末
端にグリシジル基、その他両末端にカルボキシル基、ア
ルデヒド基、活性エステル基を導入した化合物などの誘
導体を使用することも本発明において制限されるもので
はない。本発明に使用される親水性スペーサーは、両末
端の活性置換基を除いて非イオン性であることが好まし
い。
【0029】ポリカルボン酸を導入した不織布型担体に
親水性スペーサーを介してリガンドを固定するのが本発
明の要旨であるが、担体にポリカルボン酸を導入した後
親水性スペーサーを導入し、さらにリガンドを固定する
方法;担体にポリカルボン酸を導入した後、あらかじめ
リガンドを固定した親水性スペーサーを導入する方法;
親水性スペーサーを固定したポリカルボン酸を担体に導
入した後リガンドを固定する方法;親水性スペーサーを
介してリガンドを固定したポリカルボン酸を担体に導入
する方法、いずれを採用してもよく、最終的に得られる
血液浄化用吸着材に存在するポリカルボン酸由来のカル
ボキシル基含量が10〜104μeq/gであり、親水
性スペーサーを介してリガンドが固定されている限りそ
の製造方法は制限を受けるものではない。
【0030】本発明に使用される不溶性不織布型担体へ
のポリカルボン酸、親水性スペーサーの導入方法は共有
結合、電子線照射によるグラフト化など、使用中に遊離
が認められない限り特に制限されるものではない。
【0031】本発明の吸着材が対象とする被吸着物質は
血液中の種々の特定物質であるが、より詳細には通常の
免疫グロブリン(A、D、E、G、M)、抗DNA抗
体、抗アセチルコリンレセプター抗体、抗血液型抗体、
抗血小板抗体などの自己抗体;抗原・抗体複合物;エン
ドトキシン;リウマチ因子;LDL、VLDLなどのリ
ポ蛋白;幹細胞、B細胞、T細胞、単球、マクロファー
ジ、TIL(癌組織浸潤T細胞)などの血中細胞成分な
どが挙げられる。
【0032】固定するリガンドは被吸着物質によって適
宜変える必要があるが、抗原抗体結合、補体結合、Fc
結合等の生物学的相互作用を利用する種々の生物学的リ
ガンド;または、疎水性アミノ酸、メチル化アルブミ
ン、変性免疫グロブリン(IgG)、糖または改質した
糖、プリン塩基、ピリミジン塩基、糖燐酸などの、静電
結合、水素結合、ファンデルワールス力等物理的または
化学的相互作用を利用した種々の物理化学的リガンドが
考えられる。
【0033】リガンドの固定方法は、共有結合、物理的
吸着、イオン結合、生化学的特異結合、包埋等特に制限
されないが、血液中での結合安定性を考慮すると、共有
結合が好ましい。
【0034】本発明の不織布型血液浄化用吸着材は、体
液の導出入口を備えた適当な容器に充填することによっ
て使用され得る。容器の材質はガラス、ステンレス、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ
スチレン、ポリメチルメタクリレート等、特に制限され
ないが、滅菌等の取扱いを考慮すると、ポリプロピレン
やポリカーボネートが好ましい。容器の形態についても
特に制限されないが、両端を血液流入部、血液流出部と
した円筒のカラム型、或いはシート状に成形した後、こ
れを挟み込むような形態にしたものが適当であろう。
【0035】本発明の不織布型血液浄化用吸着材は単独
で使用してもよく、活性炭や多孔質ガラス、シリカゲル
など他の吸着材と混合、積層してもよい。また、リガン
ドとして2種以上の有機化合物を固定すること、異なっ
たリガンドを固定化した吸着材を混合、積層して用いる
ことも制限を受けるものではない。
【0036】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を説明する。 〈実施例1〉 (1)担体の合成 繊維径3.5μm、目付け45g/m2のポリエチレン
テレフタレート(以下PETと略記する)製の不織布を
15cm×12cmの大きさに切断した(重量約810
mg)。このPET製不織布は改質に先立ち、アセトン
で充分洗浄しておいた。分子量4000のポリアクリル
酸(以下PAAと略記する)15g、メチレンビスアク
リルアミド(以下MBAAと略記する)5g、グリセリ
ン2gをエタノール2lに溶解し、この溶液にPET製
不織布を浸漬して、PAAの塗布を行った。これを充分
に乾燥させた後、片面につき5Mradの線量で電子線
(以下EBと略記する)を照射し、PET表面へのPA
Aのグラフト化を行った。水、メタノールで充分に洗浄
し、PAA導入PET不織布(PET−PAA)を得
た。得られたPET−PAAは120枚であった。この
PET−PAAの酸含量を平沼産業製COMTITE1
01によって酸塩基滴定で定量したところ、0.32m
eq/gであった。
【0037】(2)末端エポキシ基含有スペーサーの導
入 セパラブルフラスコに上記の操作で得たPET−PAA
40枚(約32.5g)を取り、温度計、冷却管を取り
付けた。両末端にエポキシ環を有するポリエチレングリ
コール(ポリエチレングリコールの分子量は400、以
下この化合物をPEOGと略記する)39g、ピリジン
13gを取り、イオン交換水650mlに溶解した。こ
の溶液をPET−PAAの入ったセパラブルフラスコに
注ぎ、PET−PAAが浸るようにした。セパラブルフ
ラスコをウォーターバスに漬け、冷却管に水道水を潅流
しながら70℃で約14時間放置した。PET−PAA
を取り出し、イオン交換水で充分に洗浄した後減圧乾燥
した。こうしてPEOGを固定化したPET−PAA
(PET−PAA−PEOG)を得た。酸塩基滴定によ
って残存しているカルボキシル基を定量したところ、
0.18meq/gであった。また、固定されたPEO
Gの片末端に由来するエポキシ基含量は0.11meq
/gであった。
【0038】なお、末端エポキシ基の定量は以下の方法
によって行った。すなわち、PET−PAA−PEOG
約200mgを正確に秤量し、1/10規定の塩酸ジオ
キサン溶液10ml、イオン交換水約50mlを加えて
60℃で1時間加熱を行った。この操作によってエポキ
シ基は塩酸と反応し、エポキシ環が開環すると同時に、
塩酸が消費される。エポキシ環と塩酸の反応は1:1の
モル比で進行するので、消費された塩酸の量はエポキシ
基の含量と等しい。加熱を行ったサンプルを1/10規
定水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、過剰の塩酸を定量
することにより、消費された塩酸の量が算出される。こ
の消費塩酸量がエポキシ基の含量と等しいので、サンプ
ル中のエポキシ基含量が算出される。
【0039】(3)リガンドの固定化 上記の操作で合成した担体に、特発性血小板減少性紫斑
病(以下ITPと略記する)の病因物質である、抗血小
板抗体との親和性を有するオリゴペプチドをリガンドと
して固定化した。このオリゴペプチドはGlu−Thr
−Arg−Asn−Val−Gly−Serの配列から
成るヘプタペプチド(以下Pepと略記する)で、抗血
小板抗体に対する免疫原性がエンザイムイムノアッセイ
(以下ELISA法と略記する)により確認された。
【0040】上記の操作で得たPET−PAA−PEO
G10枚(約8.4g)をガラス瓶に取り、pH10.
0の炭酸緩衝液150mlを加えた。上記のヘプタペプ
チドPepをあらかじめ少量のpH10.0炭酸緩衝液
に溶解しておき、この溶液をPET−PAA−PEOG
の入った容器に加え、40℃で約18時間振盪して反応
させた。生成物を取り出し、充分に洗浄して、目的物で
あるPep固定化PET製不織布PET−PAA−PE
OG−Pepを得た。反応残液中の窒素含量をマイクロ
ケルダール法で定量した値から算出したところ、Pep
の固定化率は69%であった。
【0041】(4)リガンド固定化吸着材の吸着性能評
価 上記PET−PAA−Pepを使用して評価用モジュー
ルを作製し、その抗血小板抗体吸着性能を、ITP患者
の血清を用いて評価した。図1に示したのが評価用モジ
ュールの形態であるが、体液導入口5を有する漏斗型成
型体3と、体液導出口6を有する漏斗型成型体3’との
間、4の部分に不織布型血液浄化材を挟み込み、互いに
ネジで嵌合できるキャップ1と円筒2で締め付ける構造
になっている。このモジュールを使用し、ITP患者の
血清50mlを37℃で30分間潅流した。潅流前後の
血清中の抗血小板抗体量をActa.Haemat.,
66,251,1981に記されたELISA法で定量
し、吸着率を算出した。結果は表1に示した通りであっ
た。また、アルブミンの非特異吸着についても潅流前後
のアルブミン量をアルブミンB−テストワコー(和光純
薬工業製)で定量し、その値から吸着率を算出した。
【0042】結果は表2に示した通りであった。さら
に、潅流によるサンプルへの血球成分の粘着について、
東亜医用電子製血球自動計数装置SysmexF−80
0を用いて測定した。血球粘着については、潅流前の血
液中の血球含量(白血球、血小板)に対する、潅流後の
血液中の血球含量の占める割合(血球残存率%)として
算出し、表3に示した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】〈実施例2〉 (1)末端アミノ基含有スペーサーの導入 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カ
ルボジイミド塩酸塩(以下EDCと略記する)2.7g
をセパラブルフラスコに取り、pH4.5のリン酸緩衝
液400mlを加えて溶解した。このガラス瓶にPET
−PAA40枚(約32.4g)を加えて20分振盪
し、カルボキシル基を活性化した。これとは別に、量末
端にアミノ基を有するポリエチレングリコール(ポリエ
チレングリコールの分子量は1000、以下この化合物
をPEOAと略記する)20gを取り、これに250m
lのpH4.5リン酸緩衝液に溶解しておいた。このP
EOA溶液をPET−PAAの入ったセパラブルフラス
コに注ぎ、約18時間振盪して反応させた。生成物をイ
オン交換水で充分洗浄し、減圧乾燥して、末端にアミノ
基を有する親水性スペーサーを導入した担体PET−P
AA−PEOAを得た。PET−PAA−PEOAの官
能基含量を平沼産業製COMTITE101によって酸
塩基滴定で定量したところ、新たに導入されたアミノ基
は0.21meq/gであった。また、PEOA導入後
残存しているカルボキシル基含量は0.10meq/g
であった。
【0047】(2)リガンドの導入 EDC8mgをガラス瓶に取り、pH4.5のリン酸緩
衝液150mlを加えて溶解した。このガラス瓶にPE
T−PAA−PEOA10枚(約8.2g)、および、
あらかじめ少量のpH4.5リン酸緩衝液に溶解してお
いたPepを加え、約18時間振盪して反応させた。生
成物を取り出し、充分に洗浄して、目的物であるPep
固定化PET製不織布PET−PAA−PEOA−Pe
pを得た。反応残液中の窒素含量をマイクロケルダール
法で定量した値から算出したところ、Pepの固定化率
は68%であった。
【0048】(3)リガンド固定化吸着材の吸着性能評
価 実施例1と同様の方法でPET−PAA−PEOA−P
epの抗血小板抗体吸着性能、アルブミン非特異吸着、
潅流後の血球残存率について評価した。結果はそれぞれ
表1、表2、表3に示した。
【0049】〈実施例3〉 (1)担体の合成 繊維径12μm、目付け80g/m2 のレーヨンの不織
布を15cm×12cmの大きさに切断した(重量約
1.44g)。このレーヨン製不織布は改質に先立ち、
アセトンで充分洗浄しておいた。過沃素酸ナトリウム4
0gをガラス瓶に取り、1規定−硫酸1.5lを加えて
溶解した。このガラス瓶にレーヨン製不織布120枚を
浸漬し、室温で約18時間振盪して反応させた。生成物
をイオン交換水で充分洗浄し、減圧乾燥して、アルデヒ
ド導入レーヨン不織布(CA)を得た。アルデヒド含量
をオキシム法で定量したところ0.43meq/gであ
った。
【0050】上記で得たCA60枚をガラス瓶に取り、
pH9.5の炭酸緩衝液1.2lを加えた。これにジエ
チレントリアミン15gを加え、室温で約18時間振盪
して反応させた。生成物を取り出してイオン交換水で充
分に洗浄した後、pH9.0の炭酸緩衝液1.2lの入
ったビーカーに入れ、これに水素化ホウ素ナトリウム5
0gを加えてシッフ塩基の水素添加を行った。こうして
アミノ基導入レーヨン不織布Cenを得た。酸塩基滴定
でCenのアミノ基含量を定量したところ、0.41m
eq/gであった。
【0051】EDC1.2gをガラス瓶に取り、pH
4.5のリン酸緩衝液400mlを加えて溶解させた。
このガラス瓶にPAA28.3gを加えて20分振盪
し、カルボキシル基を活性化した。これに、上記で得た
Cen10枚を浸漬し、約18時間振盪して反応させ
た。生成物を取り出し、充分に洗浄して、PAA固定化
レーヨン不織布C−PAAを得た。酸塩基滴定でC−P
AAの酸含量を定量したところ、0.50meq/gで
あった。
【0052】(2)末端エポキシ基含有スペーサーの導
入 セパラブルフラスコに上記の操作で得たC−PAA20
枚(約28.0g)を取り、温度計、冷却管を取り付け
た。両末端にエポキシ環を有するポリエチレングリコー
ル(ポリエチレングリコールの分子量は400、以下こ
の化合物をPEOGと略記する)39g、ピリジン13
gを取り、イオン交換水500mlに溶解した。この溶
液をC−PAAの入ったセパラブルフラスコに注ぎ、C
−PAAが浸るようにした。セパラブルフラスコをウォ
ーターバスに漬け、冷却管に水道水を潅流しながら70
℃で約14時間放置した。不織布を取り出し、イオン交
換水で充分に洗浄した後減圧乾燥した。こうしてPEO
Gを固定化したC−PAA(C−PAA−PEOG)を
得た。酸塩基滴定によって残存しているカルボキシル基
を定量したところ、0.28meq/gであった。ま
た、固定されたPEOGの片末端に由来するエポキシ基
含量は0.19meq/gであった。
【0053】(2)リガンドの固定化 上記で得たC−PAA−PEOGに実施例1でPET−
PAA−PEOGにPepを導入したのと同様の方法で
Pepを固定化してC−PAA−PEOG−Pepを得
た。反応残液中の窒素含量をマイクロケルダール法で定
量した値から算出したところ、Pepの固定化率は71
%であった。
【0054】(3)リガンド固定化吸着材の吸着性能評
価 実施例1と同様の方法でC−PAA−PEOG−Pep
の抗血小板抗体吸着性能、アルブミン非特異吸着、潅流
後の血球残存率について評価した。結果はそれぞれ表
1、表2、表3に示した。
【0055】〈比較例1〉 (1)担体の合成 実施例3で得た、アルデヒド含量0.43meq/gの
アルデヒド導入レーヨン不織布(CA)をそのまま担体
として用いた。
【0056】(2)リガンドの導入 CA10枚をガラス瓶に取り、pH9.5の炭酸緩衝液
200mlを加えた。実施例1で使用したのと同じヘプ
タペプチドPepをあらかじめ少量のpH9.5炭酸緩
衝液に溶解しておき、この溶液をCAの入った容器に加
え、室温で約18時間振盪して反応させた。生成物を取
り出してイオン交換水で充分に洗浄した後、pH9.0
の炭酸緩衝液200mlの入ったビーカーに入れ、これ
に水素化ホウ素ナトリウム10gを加えてシッフ塩基の
水素添加を行った。生成物を取り出し、充分に洗浄し
て、目的物であるPep固定化レーヨン不織布C−Pe
pを得た。反応残液中の窒素含量をマイクロケルダール
法で定量した値から算出したところ、Pepの固定化率
は80%であった。
【0057】(3)リガンド固定化吸着材の吸着性能評
価 実施例1と同様の方法でC−Pepの抗血小板抗体吸着
性能、アルブミン非特異吸着、潅流後の血球残存率につ
いて評価した。結果はそれぞれ表1、表2、表3に示し
た。
【0058】〈比較例2〉 (1)担体の合成 実施例3で得た、アルデヒド含量0.43meq/gの
アルデヒド導入レーヨン不織布CA60枚をガラス瓶に
取り、pH9.5の炭酸緩衝液1.2lを加えた。これ
にL−グルタミン酸20gを加え、室温で約18時間振
盪して反応させた。生成物を取り出してイオン交換水で
充分に洗浄した後、pH9.0の炭酸緩衝液1.2lの
入ったビーカーに入れ、これに水素化ホウ素ナトリウム
50gを加えてシッフ塩基の水素添加を行った。こうし
てカルボキシル基導入レーヨン不織布CGを得た。酸塩
基滴定でCGのカルボキシル基含量を定量したところ、
0.38meq/gであった。
【0059】(2)リガンドの導入 EDC15mgをガラス瓶に取り、pH4.5のリン酸
緩衝液200mlを加えて溶解した。このガラス瓶にC
G10枚(約15.1g)を加えて20分振盪し、カル
ボキシル基を活性化した。これに、あらかじめ少量のp
H4.5リン酸緩衝液に溶解しておいたPepを加え、
約18時間振盪して反応させた。生成物を取り出し、充
分に洗浄して、目的物であるPep固定化レーヨン不織
布CG−Pepを得た。反応残液中の窒素含量をマイク
ロケルダール法で定量した値から算出したところ、Pe
pの固定化率は79%であった。
【0060】(3)リガンド固定化吸着材の吸着性能評
価 実施例1と同様の方法でCG−Pepの抗血小板抗体吸
着性能、アルブミン非特異吸着、潅流後の血球残存率に
ついて評価した。結果はそれぞれ表1、表2、表3に示
した。
【0061】〈比較例3〉 (1)担体の合成 実施例1で得たカルボキシル基含量0.32meq/g
のPET−PAAをそのまま担体として用いた。
【0062】(2)リガンドの固定化 EDC8mgをガラス瓶に取り、pH4.5のリン酸緩
衝液150mlを加えて溶解した。このガラス瓶にPE
T−PAA10枚(約8.1g)を加えて20分振盪
し、カルボキシル基を活性化した。これに、あらかじめ
少量のpH4.5リン酸緩衝液に溶解しておいたPep
を加え、約18時間振盪して反応させた。生成物を取り
出し、充分に洗浄して、目的物であるPep固定化PE
T製不織布PET−PAA−Pepを得た。反応残液中
の窒素含量をマイクロケルダール法で定量した値から算
出したところ、Pepの固定化率は77%であった。
【0063】(3)リガンド固定化吸着材の吸着性能評
価 実施例1と同様の方法でPET−PAA−Pepの抗血
小板抗体吸着性能、アルブミン非特異吸着、潅流後の血
球残存率について評価した。結果はそれぞれ表1、表
2、表3に示した。
【0064】上記の例から明らかなように、本発明の不
織布型血液浄化吸着材は血中の特定成分(抗血小板抗
体)を選択的、かつ簡便に除去できた。担体上にポリカ
ルボン酸が存在しない場合(比較例1)では抗血小板抗
体の吸着能が大きく劣っている。また、素材が同一であ
る実施例3と比較した場合、アルブミンの非特異吸着や
処理後の血球残存率についても本発明の吸着材に劣って
いる。また、担体上に低分子のカルボキシル基含有化合
物(L−グルタミン酸)を導入した場合(比較例2)
は、アルブミン非特異吸着や処理後の血球残存率につい
ては本発明の不織布型血液浄化吸着材と比較しても大き
く劣ってはいないが、抗血小板抗体の吸着能はいまだ満
足できるレベルではない。担体上にポリカルボン酸が存
在し、親水性スペーサーを介さずにリガンドを固定した
場合(比較例3)、比較例1、2と比べると血液適合
性、吸着性能ともかなり改善されてはいるが、いまだ充
分とは言い難い。
【0065】比較例1〜3と比べ、分子量400〜40
000のポリカルボン酸を担体上に導入し、さらに親水
性スペーサーを介してリガンドを固定した実施例のデー
タは、優れた血液適合性と吸着性能が両立されている。
【0066】
【発明の効果】本発明の不織布型血液浄化吸着材は、分
子量400〜40000のポリカルボン酸が持つ負電荷
と、非イオン性親水性スペーサーの働きにより、良好な
吸着性能と血液適合性を両立することができる。また、
担体の形状が不織布型であるため全血を潅流した際の圧
損を低く抑えることが可能となり、あらかじめ血液から
血漿成分を分離して潅流するという煩雑な方法をとらず
直接血液を潅流することによって充分な効果を期待する
ことができる。このため、簡便な操作で、血液中の病因
物質の除去による種々の疾病の治療、或いはB細胞、T
細胞等特定成分の選択的な分離に広く利用され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で使用される評価用モジュールの形態に
ついての概略を図示したものである。
フロントページの続き (72)発明者 田中 昌和 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 担体としての分子量400〜40000
    のポリカルボン酸を導入した繊維径0.1〜100μm
    の繊維から成る水不溶性不織布に、親水性スペーサーを
    介して、被吸着物質と親和性を有する有機化合物を固定
    して成る不織布型血液浄化用吸着材。
  2. 【請求項2】 担体表面におけるポリカルボン酸由来の
    カルボキシル基量が10〜104 μeq/gであること
    を特徴とする特許請求の範囲第1項記載の不織布型血液
    浄化用吸着材。
  3. 【請求項3】 親水性スペーサーが、炭素数2〜6の繰
    り返し単位から成り、重合度が5〜400のポリアルキ
    レンオキサイド骨格を有することを特徴とする請求項第
    1項記載の不織布型血液浄化用吸着材。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018034213A1 (ja) * 2016-08-18 2018-02-22 旭化成メディカル株式会社 血液処理フィルター用フィルター要素、血液処理フィルター及び白血球除去方法
CN113123130A (zh) * 2019-12-31 2021-07-16 广州迈普再生医学科技股份有限公司 一种纤维材料及其制备方法和应用

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