JPH0617865B2 - 化学分析用測光部 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （発明の分野） 本発明は、試料を収容してなる化学分析スライドの測定
面に照射光を照射し、該測定面から反射された反射光を
光センサで受光して該測定面の反射濃度の測定を行なう
化学分析用測光部に関し、特に詳細には、試料中の測定
される成分に応じた良好な測定を行なうことのできる化
学分析用測光部に関するものである。

（発明の技術的背景および先行技術） 近年、例えば血液や尿等の試料液の小滴を点着供給する
だけで該試料液中に含まれている特定の化学成分または
有形成分を定量分析することのできるドライタイプの化
学分析スライドが開発され（特公昭53-21677号，特開昭
55-164356号等）、実用化されている。

このような化学分析スライドを用いる試料液中の化学成
分等の分析は、試料液を化学分析スライドに点着供給し
た後、これをインキュベータ（恒温機）内で所定時間恒
温保持（インキュベーション）して呈色反応（色素生成
反応）させ、その呈色光学濃度を光学的に測定し、測
ち、試料液中の被測定成分と化学分析スライドの試薬層
に含まれる試薬との組み合わせにより予め選定された波
長を含む測定用照射光をこの化学分析スライドに照射し
てその反射光学濃度を測定し、これにより主として比色
法の原理により被測定物質の含有量を定量分析すること
により行なわれる。

インキュベーションが終了した後に行なわれる、上記反
射濃度測定は、化学分析用測光部により行なわれる。上
記測光部は、化学分析スライドの測定面に照射光を照射
する光源および測定面により反射された照射光の反射光
を受光する光センサを備えてなり、この光センサの出力
によって測定面の濃度を測定するようになっている。

上記測光部の光源は通常タングステンランプ等が用いら
れ、比較的広い波長領域に亘る光を発するものとなって
いる。これに対して測定に有効な波長は、試料中の測定
が行なわれる成分によって異なったものとなる。すなわ
ち、ある測定成分の濃度が変化した場合に測定面からの
反射光の光量が最も顕著に変化する波長の光は測定成分
毎に異なっている。例えばグルコースの測定に対しては
510ｎｍ前後の光が最も有効である。従って光センサが
測定項目に応じて上記特定波長の光のみを選択的に受光
すれば測定成分の濃度を最も効果的に測定することがで
きる。光センサに特定の波長の反射光のみを入射させる
ためには光センサの受光面上に、特定の波長の光のみを
選択的に入射させる干渉フィルタを形成すればよい。し
かしながら、測定を行なう項目は複数種類あり、濃度測
定を常に効果的に行なうためには測定項目が変化するた
びに、測定項目に応じた特性を有する干渉フィルタを光
センサの受光面上に配する必要がある。そこで予め複数
の干渉フィルタを用意し、これらの干渉フィルタを機械
的に移動させて所望の干渉フィルタを受光面上に配する
ことが考えられるが、上記のような干渉フィルタの機械
的な切り替えを行なうためには、干渉フィルタの移動機
構が必要になるので測定部の構造が複雑化，大型化して
しまうという不都合が生じる。

（発明の目的） 本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたものであ
り、測定項目によって、所望の特性を有する干渉フィル
タを備えた光センサにより測定を行なうことができ、か
つ使用されるフィルタの切り換えを、装置を大型化させ
ることなく、極めて容易に行なうことのできる化学分析
用測光部を提供することを目的とするものである。

（発明の構成） 本発明の化学分析用測光部は、試料を収容してなる化学
分析スライドの測定面に照射光を照射する光源、および
前記測定面により反射された照射光の反射光を受光する
光センサを備え、該光センサの出力により前記測定面の
濃度測定を行なう化学分析用測光部において、前記光源
が、前記測定面の配される位置に対向して設けられ、前
記光センサが、前記反射光を受光可能な位置に複数個設
けられ、前記光センサの受光面に、通過する光の波長が
互いに異なった干渉フィルタが設けられ、前記化学分析
スライドに付された測定項目識別情報を読み取る測定項
目識別情報読取手段と、該測定項目識別情報読取手段に
より読み取られた識別情報に基づき前記光センサの出力
を切り換える制御手段が設けられたことを特徴とするも
のである。

なお、上記測定項目識別情報とはそのスライドの測定項
目を識別し得る情報であればよく、例えばバーコード、
カラムコード等の光学的手法により識別し得る情報の
他、磁気的手法あるいは接触的手法等を用いた各種手段
により識別し得る情報が含まれる。

すなわち、上記測光部において、光源は測定面に対向し
て配され、照射光は測定面に略垂直に入射せしめられる
ので、照射光の反射光は光源の周囲の複数の位置で略同
じ条件で受光可能となる。従って上記のような複数の光
センサを設け、さらに各光センサの受光面上に互いに特
性の異なる干渉フィルタを設けることが可能になり、こ
のようにすれば、測定項目に応じて光センサの出力を切
り換え、測定項目に応じた特性の干渉フィルタを有する
光センサのみを用いて反射光を検出することができる。
また、化学分析スライドに付された、そのスライドの測
定項目を識別する情報を測定項目識別情報読取手段によ
り読み取り、この読み取られた識別情報に基づき上記光
センサの出力切換えを行なうようにしているので、測定
項目に応じて光センサの出力を切り換える操作が極めて
容易となる。従って本発明の測光部によれば、機械的な
フィルタ切換え手段を用いて測光部全体を大型化，複雑
化させることなく、電気的な光センサの切り換えによっ
て、複数の項目について高精な測定を行なうことができ
る。

（実施態様） 以下、図面を参照して本発明の実施態様について説明す
る。

第１Ａ図および第１Ｂ図は本発明の一実施態様による化
学分析用測光部の作用を説明するための概略側面図であ
る。

測光部１は単一のブロック２に光源３および複数の光セ
ンサ４が嵌め込まれてなり、支持部材６により、上面を
露出させて支持されている。上記測光部１により濃度測
定が行なわれる化学分析用スライド５は、第２図に示す
ように、枠部５Ａ内に、支持体，試薬層，展開層を積層
してなる乾式多層フィルム５Ｂが収容されてなり、裏面
（図中上面）に測定面5aが形成されている。このスライ
ド５は表面に設けられた円孔（図示せず）から前記フィ
ルム５Ｂ上に尿，血液等の試料（被測定物質）を所定量
滴下された後、所定時間恒温保持（インキュベーショ
ン）されて呈色反応せしめられる。またスライド５の裏
面にはバーコード5bが記憶されている。このスライド５
は裏面が前記支持部材６と接するように支持部材上に載
置される。

上記測光部１上には、第１Ａ図に示すようにスライド５
の測光に先立って、スライド５の反射濃度測定値の誤差
を修正するための基準白板７Ｗおよび基準黒板７Ｂがレ
バー８によって移動せしめられ、測光部１はこれらの基
準白板７Ｗおよび基準黒板７Ｂの反射濃度を測定する。
続いて測光部１上にはスライド５がレバー８に押されて
移動せしめられるが、このスライド５は反射濃度の測定
が行なわれる前に、支持部材６内に設けられたバーコー
ド読取手段９により、裏面に付されたバーコード5bの読
み取りが行なわれる。バーコード5bの読取りが終了する
と、第１Ｂ図に示すようにスライド５は、測光部１上に
移動せしめられて測定面5aの反射濃度測定が行なわれ
る。以下、第３図および第４図を参照して本実施態様の
測光部の構造について更に説明する。

第３図および第４図はそれぞれ測光部１のブロック２の
断面図および底面図である。ブロック２にはその下部の
中央に光源用嵌合孔２Ａが、その周囲に一例として４つ
の光センサ用嵌合孔２Ｂが形成されている。タングステ
ンランプ等の光源３および４つの光センサ４はそれぞれ
前記光源用嵌合孔２Ａおよび光センサ用嵌合孔２Ｂに嵌
め込まれてブロック２に取り付けられる。光源３はスラ
イド５の測定に適した照射光を発し、この照射光は、ブ
ロック２内の照射光通路２Ｃを通過してスライド５の測
定面5aに、該測定面に垂直に入射する。測定面5aにより
反射された照射光の反射光は、ブロック２内に形成され
た反射光通路２Ｄを通過して各光センサ４に向かう。

ところで、光源３は、比較的広い波長領域に亘る光を発
するものであるが、前述のように測定な有効な波長は、
スライド５内の試料中の、測定が行なわれる成分によっ
て異なったものとなる。そこで本実施態様の測光部にお
いては、測定する成分に応じて有効な波長の光のみを選
択的に光センサ４に入射させることができるように、４
つの光センサ４の各受光面上に、互いに選択的に透過す
る光の波長の異なる干渉フィルタ10がそれぞれ設けられ
ている。すなわち、測定項目に応じて所望の特性の干渉
フィルタ10を有する光センサ４を選択し、選択された光
センサ４のみを用いて検出を行なうように光センサ４の
出力を電気的に切り換えれば、測定成分の濃度によっ
て、受光される反射光の光量を確実に変化させることが
でき、測定項目に応じた高精度な測定を容易に行なうこ
とができる。

上記のように測定項目によって選択された、４つの光セ
ンサ４のうちの１つの光センサからの出力は、第１Ｂ図
に示すように増幅器13およびＡ／Ｄ変換器14へ送られた
後、ＣＰＵ（中央処理装置）15に送られて処理され、こ
のように測定された成分の濃度は、必要に応じて外部の
表示装置（図示せず）に表示されたりする。また４つの
光センサのうちのどの光センサを濃度測定に用いるか
は、前記バーコード読取手段９からの情報を前記ＣＰＵ
15に入力し、ＣＰＵ15の制御によて反射濃度が測定され
るスライド５毎に行なうことができる。なお光センサの
数、すなわち、必要なフィルタの種類は、測光部におい
て測定される項目の数によって任意に決めることができ
る。また各光センサの配置も、全ての光センサに良好な
状態で反射光が入射せしめられる範囲内で任意に設定す
ることができる。また、本実施態様の測光部においては
上記のように複数の光センサを配設するために、光源３
がスライド５に対向して配されているので、光源３によ
る熱がスライド５に影響することのないよう、スライド
５の測定面5aに対向する部分に断熱フィルタ11が設けら
れている。（第３図参照） 上述したような、複数の光センサ４を有する測光部１に
おいては、各光センサについて、照射光の反射光を良好
に受光しうる位置に正確に位置決めすることが必要であ
るので、本実施態様の測光部１のように光源３および光
センサ４がブロック２に嵌め込まれてユニット化されて
いれば各光センサについて精密な位置決めを行なう必要
がなく極めて便利である。すなわち前記ブロック２には
前記光源用嵌合孔２Ａおよび光センサ用嵌合孔２Ｂが形
成されているので、測光部１を組み立てる際には光源３
および光センサ４を各嵌合孔に沿ってブロック２に嵌合
させることによって容易に正確な位置に配置せしめるこ
とができる。なお、本発明において、測光部が上記のよ
うにユニット化されていることは必ずしも必要な要件で
はなく、光センサと光源が所定の位置に配されているも
のであれば測光部は任意の構造のものであってよい。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明の化学分析用測光部によれ
ば、複数の光センサを設け、各センサの受光面上に互い
に特性の異なる干渉フィルタを設け、スライドに付した
測定項目識別情報を読み取り、この読み取られた識別情
報に基づき測定を行なう項目によって光センサを電気的
に切り換えているので、測光部を大型化，複雑化させる
ことなく測定項目に応じた高精度な測定を極めて容易に
行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

第１Ａ図および第１Ｂ図は本発明の一実施態様による化
学分析用測光部の作用を説明する概略側面図、 第２図は化学分析スライドを示す斜視図、 第３図は上記実施態様による化学分析用測光部のブロッ
クの断面図、 第４図は上記ブロックの底面図である。 １……化学分析用測光部 ３……光源、４……光センサ ５……化学分析スライド、5a……測定面 10……干渉フィルタ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−40193（ＪＰ，Ａ) 特開 昭54−6387（ＪＰ，Ａ) 特開 昭55−55233（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】試料を収容してなる化学分析スライドの測
   定面に照射光を照射する光源、および前記測定面により
   反射された照射光の反射光を受光する光センサを備え、
   該光センサの出力により前記測定面の濃度測定を行なう
   化学分析用測光部において、前記光源が、前記測定面の
   配される位置に対向して設けられ、前記光センサが、前
   記反射光を受光可能な位置に複数個設けられ、前記光セ
   ンサの受光面に、透過する光の波長が互いに異なった干
   渉フィルタが設けられ、前記化学分析スライドに付され
   た測定項目識別情報を読み取る測定項目識別情報読取手
   段と、該測定項目識別情報読取手段により読み取られた
   識別情報に基づき前記光センサの出力を切り換える制御
   手段が設けられたことを特徴とする化学分析用測光部。