JPH06177760A - 電子式移相回路及び電子式無効電力量計 - Google Patents

電子式移相回路及び電子式無効電力量計

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JPH06177760A
JPH06177760A JP32531492A JP32531492A JPH06177760A JP H06177760 A JPH06177760 A JP H06177760A JP 32531492 A JP32531492 A JP 32531492A JP 32531492 A JP32531492 A JP 32531492A JP H06177760 A JPH06177760 A JP H06177760A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 検出器3により入力信号のゼロ・クロス前後
のサンプル値に基づいてゼロ・クロス点を特定し、周期
計算器4で周期を求める。データ計算器6では周期と位
相角度との比に因り入力信号の任意サンプル点からシフ
ト角度ずれた位相を割出しその前後のサンプル値から当
該位相シフト点のレベルを求める。このような演算によ
りサンプル点以外のレベルも求められ、入力信号と非同
期で波形を満遍なくトレースするサンプリングが可能と
なる。この移相回路のシフト角度を90度にして無効電
力量計に採用する。この場合、例えば電圧信号の系統に
その移相回路を組込み、他方の電流信号はそのままA/
D変換した値を乗算器10の電力計算に使う。 【効果】 サンプル間隔の大小とは別に性能向上を図れ
る。また、無効電力量計はA/D変換以降の処理を全て
ソフトウエアで実現し特別な回路を付加せずに有効電力
量計と同じ回路で実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ディジタル演算手法に
より入力信号の位相シフトを行う電子式位相回路、さら
には、その電子式位相回路の応用により入力信号の無効
電力量を計測する電子式無効電力量計に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】無効電力量計では、通常、互いに90度
位相のずれた電圧、電流信号の積を取ることにより無効
電力量を求める形式を採る。従来、主に、この種の無効
電力量計において90度位相シフト用として使用されて
いる位相回路には、変圧器を使用したもの(以下、便宜
上、変圧器式位相回路という。)、演算増幅器の積分回
路を使用したもの(以下、便宜上、積分式位相回路とい
う。)、ディジタル演算手法を用いた電子式のもの(以
下、便宜上、電子式位相回路という。)等が知られてい
る。これらの原理は次の通りである。
【0003】まず、変圧器式位相回路は、特に三相3線
式の電力給電線で用いられているもので、当該電力給電
線の一相の電圧信号と、別の一相の電圧信号のスカラを
半分にした信号とのベクトル合成により90度位相シフ
トされた信号の生成を実現するものである。
【0004】また、積分式位相回路は、演算増幅器の帰
還回路として付けられた積分回路の時定数利用により電
圧信号を90度位相シフトさせるものである。
【0005】さらに、電子式位相回路は、フェーズ・ロ
ックド・ループ(PLL)回路を備え、このPLL回路
によりアナログ−ディジタル変換(以下、A/D変換と
いう。)器のサンプル周期を電力給電線の負荷電圧、負
荷電流に比例した電圧信号、電流信号に同期させ、サン
プルの間隔のある一組の位相差が90度になるようにサ
ンプル周期を設定し、その90度位相のずれた箇所のサ
ンプル値に基づいて入力信号よりも90度だけ位相のず
れたアナログ信号を再現する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した各種
の位相回路にはそれぞれ固有の問題点が認められ、どれ
も十分なものとは言い難いものとなっている。
【0007】すなわち、変圧器式位相回路は、電力給電
線の電圧信号の位相関係を利用しているため、電力給電
線の方式が三相3線式に限られる。
【0008】また、常に電圧の各相が平衡状態にある必
要がある。実際には、振幅、位相関係等は使用環境によ
り変化するものであり、これらが常に一定に保たれるほ
ど安定した給電設備は少ない。したがって、このような
観点からも変圧器式位相回路は汎用性に乏しいと言え
る。
【0009】さらに、この変圧器式位相回路は、変圧器
利用によるものであることから、電力給電線の周波数変
化による特性の変化が大きく、広帯域で使用することが
難しいという問題もある。
【0010】次に、積分式位相回路は、電力給電線の方
式にかかわらず使用できる点で前者より優ってはいるも
のの、入力電圧と出力電圧との比が周波数により変化す
る周波数特性を持っているため、なんらかの方法で周波
数特性を補償する必要があり、回路が複雑になるという
問題がある。
【0011】そして、電子式位相回路にあっては、サン
プル間隔を電力給電線の負荷電圧、負荷電流に周波数同
期させるようになっているため、入力信号をその1周期
単位で考えたとき、A/D変換器は常に入力信号の同じ
点を変換することになる。したがって、サンプル間隔を
入力信号の周期に比べて十分小さく取らないと十分な性
能を得ることができない。このことは、対象が高周波数
になるほど性能的に難を生ずることを意味している。
【0012】ここにおいて、変圧器式ないしは積分式の
位相回路における問題は電子式位相回路にあっては指摘
されることがなく、前述したサンプリングに関する問題
さえ解消されれば、近年のディジタル技術志向に合致し
た高性能の位相回路を実現することができる。
【0013】そこで、本発明は上記従来技術の有する問
題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところ
は、サンプル間隔の大小とは別に性能向上を図ることが
できる電子式位相回路及び同位相回路を応用した電子式
無効電力量計を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の電子式位相回路
は、アナログ入力信号をサンプリングし、複数のサンプ
ル値からなるディジタル信号に変換するアナログ−ディ
ジタル変換手段と、上記複数のサンプル値のうち上記入
力信号における許容誤差範囲で線形性を保持する領域内
のゼロ・クロス点前後のサンプル値に基づいてこのゼロ
・クロス点を特定し、その特定ゼロ・クロス点間の時間
間隔を求める時間間隔演算手段と、この特定ゼロ・クロ
ス点間時間間隔と位相シフト量との比に基づいて上記入
力信号における上記複数のサンプル点に含まれる所定数
のサンプル点各々から上記位相シフト量だけずれた時間
を割出しその前後のサンプル値から当該位相シフト点の
レベル値を求めるレベル演算手段とを備えている。
【0015】本発明の電子式無効電力量計は、アナログ
入力電圧信号及び同電流信号をサンプリングし、それぞ
れ複数のサンプル値からなるディジタル信号に変換する
アナログ−ディジタル変換手段と、上記入力電圧信号及
び同電流信号のうちいずれか一方の入力信号に関する上
記複数のサンプル値のうちこの一方の入力信号における
許容誤差範囲で線形性を保持する領域のゼロ・クロス点
前後のサンプル値に基づいてこのゼロ・クロス点を特定
し、その特定ゼロ・クロス点間の時間間隔を求める時間
間隔演算手段と、この特定ゼロ・クロス点間時間間隔と
位相シフト角度90度との比に基づいて上記一方の入力
信号における上記複数のサンプル点に含まれる所定数の
サンプル点各々から上記90度だけずれた時間を割出し
その前後のサンプル値から当該位相シフト点のレベル値
を求めるレベル演算手段と、他方の入力信号に関する上
記複数のサンプル値のうち上記所定数のサンプル点に対
応する点のサンプル値とこのレベル演算手段の出力値と
を掛合わせることにより電力値として変換する乗算手段
とを備えている。
【0016】
【作用】本発明によれば、ディジタル演算によってサン
プル点以外のレベルでも求めることができるから、アナ
ログ入力信号の1周期波形における常に同じ点をサンプ
ルする必要がなく、サンプル点をアナログ入力信号に同
期させずアナログ入力信号とは非同期にし、サンプル点
を周期毎にずらして波形を満遍なくトレースするサンプ
リングが可能となるため、そのフィルタ効果によりサン
プル間隔の大小とは別に性能向上を図ることができる。
よって、サンプル間隔を入力信号の周期に比べて十分小
さく取ることを必須とせず、対象が高周波数になっても
十分な性能が得られることとなる。
【0017】また、本発明無効電力量計ではA/D変換
以降の処理をすべてマイクロプロセッサなどによるソフ
トウエアで実現すると特別な回路を付加することなくデ
ィジタル演算式による有効電力量計と同じ回路で実現す
ることができる。
【0018】
【実施例】以下に本発明の実施例について図面を参照し
つつ説明する。
【0019】まず、図3〜図9を参照し本発明に係わる
原理について述べることとする。
【0020】図3は三相交流電圧信号の1相だけについ
てサンプリングの様子を示すものである。
【0021】この図において、は当該電圧信号であ
り、tはその時間軸、Tは周期である。時間軸tからそ
の波形上まで延びる破線はサンプル点を示しており、T
s はサンプル周期である。
【0022】また、Sm-1 ,Sm ,Sm+1 ,… …,S
n-1 ,Sn ,Sn+1 は電力給電線の負荷電圧の瞬時値に
比例した電圧信号をA/D変換したディジタル電圧信号
がであり、それらのうち、注目されるべきSm は電圧信
号の一つのゼロ・クロス点O1 の直後に位置するサン
プル点のサンプル値からなるディジタル電圧信号、Sn
も同じく複数のサンプル点の中の一つであって、電圧信
号の一つのゼロ・クロス点O3 の直前に位置するサン
プル点のサンプル値からなるディジタル電圧信号であ
る。
【0023】さらに、図4、図5を参照すると、電圧信
号の周期Tは、サンプリング周期Ts と、1周期の前
後のゼロ・クロス点O1 ,O3 とサンプリング点Sm ,
Snまでの時間をそれぞれTd1,Td2としたとき(Td1
については図4、Td2については図5を参照)、周期T
は、 T=Td1+(n−m)Ts +Td2 (1) と表すことができる。
【0024】ここで、サンプリング周期Ts が十分小さ
いとディジタル電圧信号Sm-1 とSm 及びSn とSn+1
の間の電圧信号の傾斜の変化は非常に小さく、直線と
見做すことができる。これにより、Td1,Td2は、三角
形の相似の条件から、 Td1=|Sm |・Ts /(|Sm-1 |+|Sm |) (2) Td2=|Sn |・Ts /(|Sn |+|Sn+1 |) (3) と表すことができる。したがって、電圧信号の周期T
は、 T=(|Sm |/(|Sm-1 |+|Sm |) +n−m +|Sn |/(|Sn |+|Sn+1 |))・Ts (4) となり、サンプリング周期Ts とゼロクロス点前後のサ
ンプリング値Sm-1 ,Sm ,Sn ,Sn+1 から求めるこ
とができる。ここで、|Sm-1 |、|Sm |、|Sn
|、|Sn+1 |は、Sm-1 、Sm 、Sn 、Sn+1 の絶対
値でである。
【0025】このようにして電圧信号の周期Tが求め
られることで、任意の位相シフト角度に相当する時間を
得ることができる。
【0026】ここで、位相シフト角度として無効電力量
計に重要な90度に相当する時間を考える。1周期は3
60度であることから、90度に相当する時間T90は、 T90=T/4=k・Ts +Tx (5) と表せる。ここで、kは、位相シフト角度(この場合9
0度)に相当する時間に含まれるサンプル周期の数、T
x はT90とkサンプル周期の差分である。
【0027】周期を求めた方法と同様に、サンプリング
周期Ts が十分小さいと90度に相当する時間の前後の
ディジタル電圧信号Sy-k とSy-k-1 およびSy+k とS
y+k+1 の間の電圧信号の傾斜の変化は非常に小さく、
直線と見做すことができる。これにより、Sx は、三角
形の相似の条件から、それぞれ、 Sx =Sy-k −(Tx /Ts )・(Sy-k −Sy-k-1 ) (6) Sx =Sy+k −(Tx /Ts )・(Sy+k −Sy+k+1 ) (7) となり、Sy と同時にサンプルされた電流信号と演算に
より求められた電圧信号Sx を乗算することにより、瞬
時無効電力を得ることができ、これらの処理を順次繰返
して得られた瞬時電力を積算することにより無効電力量
を得ることができることとなる。
【0028】なお、ここでは一例として90度の位相シ
フトを考えたが、これに限定されることはなく、上記原
理に従い各種任意角度の位相シフトを実現可能である。
【0029】そこで、式(5)を一般化すると、位相シ
フト角度がω[度(deg)]に相当する時間Tω
は、 Tω =T・(ω/360)=k・Ts +Tx (5)′ となる。
【0030】次に図1は本発明に係る位相シフト原理を
利用する電子式位相回路の構成を示すものである。
【0031】この図において、1はサンプル周期制御
器、2はA/D変換器であり、これらはアナログ入力信
号をサンプリングし、複数のサンプル値からなるディジ
タル信号に変換する手段を構成しているものである。サ
ンプル周期制御器1はサンプル周期Ts を決定するタイ
ミングクロックを出力する。A/D変換器2は、このタ
イミングクロックによりトリガされて、その時点のアナ
ログ入力電圧信号のレベルをサンプル値として保持す
る。
【0032】3はゼロ・クロス検出器、4は周期計算器
であり、これらは複数のサンプル値のうち入力電圧信号
における許容誤差範囲(つまり、上記相似関係を利用し
た計算について許容される誤差範囲)で線形性を保持す
る領域内のゼロ・クロス点前後のサンプル値に基づいて
このゼロ・クロス点を特定し、その特定ゼロ・クロス点
間の時間間隔を求める演算手段を構成する。すなわち、
ゼロ・クロス検出器3はA/D変換器2の出力値の符号
変化によってゼロ・クロス点の存在を捕捉し、さらに、
上記Td1,Td2に相当する時間を上記式(2)、(3)
の演算を行うことにより求め、周期計算器4に与える。
この周期計算器4は、それらTd1,Td2を受けると、並
行してサンプル周期制御器1から与えられるサンプル周
期データTs と当該ゼロ・クロス点間に含まれるサンプ
ル回数とに基づいて、上記式(1)として表される演算
を行うことにより周期Tを求める。
【0033】5はデータ記憶器、6は任意位相データ計
算器であり、これらは特定ゼロ・クロス点間時間間隔と
位相シフト量とを比較したときの比に基づいて入力電圧
信号における複数のサンプル点に含まれる所定数のサン
プル点各々から上記位相シフト量だけずれた点のレベル
値を求めるレベル演算手段を構成する。A/D変換器2
の出力データはデータ記憶器5に全て格納される。任意
位相データ計算器6は、まず、周期計算器4からの周期
Tのデータと予め与えられているωのデータとに基づい
て上記式(5)´をTx について解き、その後、式
(6)あるいは(7)に表される演算を行うことによ
り、Sx を求める。
【0034】この任意位相データ計算器6により求めら
れたSx は順次ディジタル−アナログ変換(以下、D/
A変換という。)器7に与えられる。このD/A変換器
7はサンプル周期制御器1から供給されるタイミングク
ロックに同期して、入力信号より所定の位相角度ωだけ
ずれた点のレベル(つまり、Sx )を持つアナログ信号
を再生する。これにより、このD/A変換器7からは入
力信号を角度ωだけ位相シフトさせたアナログ信号が得
られることとなる。
【0035】以上のようなサンプル値の利用方式を取る
ため、アナログ入力信号の1周期波形における常に同じ
点をサンプルする必要がないため、サンプル点をアナロ
グ入力信号に同期させる必要がなく、アナログ入力信号
とは非同期にしサンプル点を周期毎にずらして波形を満
遍なくトレースするサンプリングが可能となるため、そ
のフィルタ効果によりサンプル間隔の大小とは別に性能
向上を図ることができる。よって、サンプル間隔を入力
信号の周期に比べて十分小さく取ることを必須とせず、
対象が高周波数になっても十分な性能が得られることと
なる。
【0036】図2は図1に示す位相回路の一応用例とな
る本発明無効電力量計の一実施例を示すもので、図1に
示す位相回路の構成要素に対応する要素には同一符号を
付してある。
【0037】この図において、計器用変圧器8は電力給
電線の負荷電圧eをそれに比例した電圧信号に変換する
ものであり、変流器9は電力給電線の負荷電流iをそれ
に比例した電流信号に変換するものである。この電流信
号は電流モードのまま、または電圧モードに変換され
る。
【0038】2a,2bはA/D変換器である。A/D
変換器2aは変圧器8から出力される電圧信号をサンプ
ル周期制御器1からのクロックに同期してサンプリング
し、ディジタル化する。A/D変換器2bは変流器2b
から出力される電流信号をサンプル周期制御器1からの
クロックに同期してサンプリングし、ディジタル化す
る。
【0039】A/D変換器2aの出力は、ゼロ・クロス
検出器3とデータ記憶器5とに供給される。ゼロ・クロ
ス検出器3ではそのA/D変換器2aからのサンプル値
に基づいて上記と同様に、ゼロ・クロス点を捕捉し、さ
らにTd1,Td2に相当する時間を上記式(2)、(3)
の演算を行うことにより求め、周期計算器4に与える。
この周期計算器4においても同様に式(1)として表さ
れる演算を行うことで周期Tを求める。データ記憶器5
はA/D変換器2aの出力データを半周期ないしは1周
期分格納し、任意位相データ計算器6は、与えられてい
るデータT,ω(=90度)とに基づいて上記式(5)
をTx について解き、その後、式(6)あるいは(7)
に表される演算を行うことにより、Sx を求める。
【0040】乗算器10には、この任意位相データ計算
器6により求められたSx とA/D変換器2bの出力デ
ータとが与えられ、ここで両者が乗算され、その結果が
積分器11に送られる。積分器11は乗算器10の計算
結果を積算すると共に積算値が一定の値を越えるとパル
ス発生器12にパルス発生の信号を与えると共に発生し
たパルスに相当する値を積算値から減算する。このパル
ス発生器12は積分器11の出力に基づき負荷電力に比
例したパルスを出力するものである。表示器13はパル
ス発生器12の出力に基づき電力量を表示するものであ
る。
【0041】よって、本無効電力量計ではA/D変換器
2a,2b以降の処理をすべてマイクロプロセッサなど
によるソフトウエアで実現すると特別な回路を付加する
ことなくディジタル演算式による有効電力量計と同じ回
路で実現することができることとなる。
【0042】以上本発明の図示実施例につき説明した
が、これは本発明の限定解釈を与えるものではない。
【0043】例えば、上記実施例では電圧信号のサンプ
ル値の位相シフトデータを求めたが、これは電流信号の
方でも良い。
【0044】また、上記実施例ではゼロ・クロス点間の
時間間隔として1周期を求めているが、これは半周期、
あるいは1周期の整数倍などでも良い。例えば、半周期
を求めることとすれば、図3に示す電圧信号の場合、ゼ
ロ・クロスO1 から始まる半周期はゼロ・クロスO3 で
はなく、ゼロ・クロスO2 の前後のサンプル点を利用す
る。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ア
ナログ入力信号の1周期波形における常に同じ点をサン
プルする必要がないため、サンプル点をアナログ入力信
号に同期させる必要がなく、アナログ入力信号とは非同
期にしサンプル点を周期毎にずらして波形を満遍なくト
レースするサンプリングが可能となるため、そのフィル
タ効果によりサンプル間隔の大小とは別に性能向上を図
ることができる。よって、サンプル間隔を入力信号の周
期に比べて十分小さく取ることを必須とせず、対象が高
周波数になっても十分な性能が得られることとなる。
【0046】また、本発明無効電力量計ではA/D変換
以降の処理をすべてマイクロプロセッサなどによるソフ
トウエアで実現すると特別な回路を付加することなくデ
ィジタル演算式による有効電力量計と同じ回路で実現す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る電子式位相回路の構成
を示すブロック図。
【図2】本発明の一実施例に係る電子式無効電力量計の
構成を示すブロック図。
【図3】電圧または電流信号のサンプル間隔と周期の関
係とを示す波形図。
【図4】ゼロ・クロス点とその前後のサンプル値との関
係を示す波形図。
【図5】ゼロ・クロス点とその前後のサンプル値との関
係の他の例を示す波形図。
【図6】任意のサンプル信号と90度位相のずれた信号
との時間関係を示す波形図。
【図7】図6に示す90度位相のずれた信号を計算する
ための必要な時間関係を示す波形図。
【図8】任意のサンプル信号と90度位相のずれた信号
との時間関係の他の例を示す波形図。
【図9】図8に示す90度位相のずれた信号を計算する
ための必要な時間関係を示す波形図。
【符号の説明】
1 サンプル周期制御器 2,2a,2b アナログ−ディジタル変換器 3 ゼロ・クロス検出器 4 周期計算器 5 データ記憶器 6 位相データ計算器 7 ディジタル−アナログ計算器 8 変圧器 9 変流器 10 乗算器 11 積分器 12 パルス発生器 13 表示器
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年1月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 電子式移相回路及び電子式無効電力
量計
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ディジタル演算手法に
より入力信号の位相シフトを行う電子式移相回路、さら
には、その電子式移相回路の応用により入力信号の無効
電力量を計測する電子式無効電力量計に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】無効電力量計では、通常、互いに90度
位相のずれた電圧、電流信号の積を取ることにより無効
電力量を求める形式を採る。従来、主に、この種の無効
電力量計において90度位相シフト用として使用されて
いる移相回路には、変圧器を使用したもの(以下、便宜
上、変圧器式移相回路という。)、演算増幅器の積分回
路を使用したもの(以下、便宜上、積分式移相回路とい
う。)、ディジタル演算手法を用いた電子式のもの(以
下、便宜上、電子式移相回路という。)等が知られてい
る。これらの原理は次の通りである。
【0003】まず、変圧器式移相回路は、特に三相3線
式の電力給電線で用いられているもので、当該電力給電
線の一相の電圧信号と、別の一相の電圧信号のスカラを
半分にした信号とのベクトル合成により90度位相シフ
トされた信号の生成を実現するものである。
【0004】また、積分式移相回路は、演算増幅器の帰
還回路として付けられた積分回路の時定数利用により電
圧信号を90度位相シフトさせるものである。
【0005】さらに、電子式移相回路は、フェーズ・ロ
ックド・ループ(PLL)回路を備え、このPLL回路
によりアナログ−ディジタル変換(以下、A/D変換と
いう。)器のサンプル周期を電力給電線の負荷電圧、負
荷電流に比例した電圧信号、電流信号に同期させ、サン
プルの間隔のある一組の位相差が90度になるようにサ
ンプル周期を設定し、その90度位相のずれた箇所のサ
ンプル値に基づいて入力信号よりも90度だけ位相のず
れたアナログ信号を再現する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した各種
の移相回路にはそれぞれ固有の問題点が認められ、どれ
も十分なものとは言い難いものとなっている。
【0007】すなわち、変圧器式移相回路は、電力給電
線の電圧信号の位相関係を利用しているため、電力給電
線の方式が三相3線式に限られる。
【0008】また、常に電圧の各相が平衡状態にある必
要がある。実際には、振幅、位相関係等は使用環境によ
り変化するものであり、これらが常に一定に保たれるほ
ど安定した給電設備は少ない。したがって、このような
観点からも変圧器式移相回路は汎用性に乏しいと言え
る。
【0009】さらに、この変圧器式移相回路は、変圧器
利用によるものであることから、電力給電線の周波数変
化による特性の変化が大きく、広帯域で使用することが
難しいという問題もある。
【0010】次に、積分式移相回路は、電力給電線の方
式にかかわらず使用できる点で前者より優ってはいるも
のの、入力電圧と出力電圧との比が周波数により変化す
る周波数特性を持っているため、なんらかの方法で周波
数特性を補償する必要があり、回路が複雑になるという
問題がある。
【0011】そして、電子式移相回路にあっては、サン
プル間隔を電力給電線の負荷電圧、負荷電流に周波数同
期させるようになっているため、入力信号をその1周期
単位で考えたとき、A/D変換器は常に入力信号の同じ
点を変換することになる。したがって、サンプル間隔を
入力信号の周期に比べて十分小さく取らないと十分な性
能を得ることができない。このことは、対象が高周波数
になるほど性能的に難を生ずることを意味している。
【0012】ここにおいて、変圧器式ないしは積分式の
移相回路における問題は電子式移相回路にあっては指摘
されることがなく、前述したサンプリングに関する問題
さえ解消されれば、近年のディジタル技術志向に合致し
た高性能の移相回路を実現することができる。
【0013】そこで、本発明は上記従来技術の有する問
題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところ
は、サンプル間隔の大小とは別に性能向上を図ることが
できる電子式移相回路及び同移相回路を応用した電子式
無効電力量計を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の電子式移相回路
は、アナログ入力信号をサンプリングし、複数のサンプ
ル値からなるディジタル信号に変換するアナログ−ディ
ジタル変換手段と、上記複数のサンプル値のうち上記入
力信号における許容誤差範囲で線形性を保持する領域内
のゼロ・クロス点前後のサンプル値に基づいてこのゼロ
・クロス点を特定し、その特定ゼロ・クロス点間の時間
間隔を求める時間間隔演算手段と、この特定ゼロ・クロ
ス点間時間間隔と位相シフト量との比に基づいて上記入
力信号における上記複数のサンプル点に含まれる所定数
のサンプル点各々から上記位相シフト量だけずれた時間
を割出しその前後のサンプル値から当該位相シフト点の
レベル値を求めるレベル演算手段とを備えている。
【0015】本発明の電子式無効電力量計は、アナログ
入力電圧信号及び同電流信号をサンプリングし、それぞ
れ複数のサンプル値からなるディジタル信号に変換する
アナログ−ディジタル変換手段と、上記入力電圧信号及
び同電流信号のうちいずれか一方の入力信号に関する上
記複数のサンプル値のうちこの一方の入力信号における
許容誤差範囲で線形性を保持する領域のゼロ・クロス点
前後のサンプル値に基づいてこのゼロ・クロス点を特定
し、その特定ゼロ・クロス点間の時間間隔を求める時間
間隔演算手段と、この特定ゼロ・クロス点間時間間隔と
位相シフト角度90度との比に基づいて上記一方の入力
信号における上記複数のサンプル点に含まれる所定数の
サンプル点各々から上記90度だけずれた時間を割出し
その前後のサンプル値から当該位相シフト点のレベル値
を求めるレベル演算手段と、他方の入力信号に関する上
記複数のサンプル値のうち上記所定数のサンプル点に対
応する点のサンプル値とこのレベル演算手段の出力値と
を掛合わせることにより電力値として変換する乗算手段
とを備えている。
【0016】
【作用】本発明によれば、ディジタル演算によってサン
プル点以外のレベルでも求めることができるから、アナ
ログ入力信号の1周期波形における常に同じ点をサンプ
ルする必要がなく、サンプル点をアナログ入力信号に同
期させずアナログ入力信号とは非同期にし、サンプル点
を周期毎にずらして波形を満遍なくトレースするサンプ
リングが可能となるため、そのフィルタ効果によりサン
プル間隔の大小とは別に性能向上を図ることができる。
よって、サンプル間隔を入力信号の周期に比べて十分小
さく取ることを必須とせず、対象が高周波数になっても
十分な性能が得られることとなる。
【0017】また、本発明無効電力量計ではA/D変換
以降の処理をすべてマイクロプロセッサなどによるソフ
トウエアで実現すると、特別な回路を付加することなく
ディジタル演算式による有効電力量計と同じ回路で実現
することができる。
【0018】
【実施例】以下に本発明の実施例について図面を参照し
つつ説明する。
【0019】まず、図3〜図9を参照し本発明に係わる
原理について述べることとする。
【0020】図3は三相交流電圧信号の1相だけについ
てサンプリングの様子を示すものである。
【0021】この図において、は当該電圧信号であ
り、tはその時間軸、Tは周期である。時間軸tからそ
の波形上まで延びる破線はサンプル点を示しており、T
sはサンプル周期である。
【0022】また、Sm−1,Sm,Sm+1,…
…,Sn−1,Sn,Sn+1は電力給電線の負荷電圧
の瞬時値に比例した電圧信号をA/D変換したディジタ
ル電圧信号がであり、それらのうち、注目されるべきS
mは電圧信号の一つのゼロ・クロス点O1の直後に位
置するサンプル点のサンプル値からなるディジタル電圧
信号、Snも同じく複数のサンプル点の中の一つであっ
て、電圧信号の一つのゼロ・クロス点O3の直前に位
置するサンプル点のサンプル値からなるディジタル電圧
信号である。
【0023】さらに、図4、図5を参照すると、電圧信
号の周期Tは、サンプリング周期Tsと、1周期の前
後のゼロ・クロス点O1,O3とサンプリング点Sm,
Snまでの時間をそれぞれTd1,Td2としたとき
(Td1については図4、Td2については図5を参
照)、周期Tは、 T=Td1+(n−m)Ts+Td2 (1) と表すことができる。
【0024】ここで、サンプリング周期Tsが十分小さ
いとディジタル電圧信号Sm−1とSm及びSnとSn
+1の間の電圧信号の傾斜の変化は非常に小さく、直
線と見做すことができる。これにより、Td1,Td2
は、三角形の相似の条件から、 Td1=|Sm|・Ts/(|Sm−1|+|Sm|) (2) Td2=|Sn|・Ts/(|Sn|+|Sn+1|) (3) と表すことができる。したがって、電圧信号の周期T
は、 T=(|Sm|/(|Sm−1|+|Sm|) +n−m +|Sn|/(|Sn|+|Sn+1|))・Ts (4) となり、サンプリング周期Tsとゼロクロス点前後のサ
ンプリング値Sm−1,Sm,Sn,Sn+1から求め
ることができる。ここで、|Sm−1|、|Sm|、|
Sn|、|Sn+1|は、Sm−1、Sm、Sn、Sn
+1の絶対値でである。
【0025】このようにして電圧信号の周期Tが求め
られることで、任意の位相シフト角度に相当する時間を
得ることができる。
【0026】ここで、位相シフト角度として無効電力量
計に重要な90度に相当する時間を考える。1周期は3
60度であることから、90度に相当する時間T90
は、 T90=T/4=k・Ts+Tx (5) と表せる。ここで、kは、位相シフト角度(この場合9
0度)に相当する時間に含まれるサンプル周期の数、T
xはT90とkサンプル周期の差分である。
【0027】周期を求めた方法と同様に、サンプリング
周期Tsが十分小さいと90度に相当する時間の前後の
ディジタル電圧信号Sy−kとSy−k−1およびSy
+kとSy+k+1の間の電圧信号の傾斜の変化は非
常に小さく、直線と見做すことができる。これにより、
Sxは、三角形の相似の条件から、それぞれ、 Sx=Sy−k−(Tx/Ts)・(Sy−k −Sy−k−1) ( 6) Sx=Sy+k−(Tx/Ts)・(Sy+k −Sy+k+1) ( 7) となり、Syと同時にサンプルされた電流信号と演算に
より求められた電圧信号Sxを乗算することにより、瞬
時無効電力を得ることができ、これらの処理を順次繰返
して得られた瞬時電力を積算することにより無効電力量
を得ることができることとなる。
【0028】なお、ここでは一例として90度の位相シ
フトを考えたが、これに限定されることはなく、上記原
理に従い各種任意角度の位相シフトを実現可能である。
【0029】そこで、式(5)を一般化すると、位相シ
フト角度がω[度(deg)]に相当する時間Tωは、 Tω =T・(ω/360)=k・Ts+Tx (5)′ となる。
【0030】次に図1は本発明に係る位相シフト原理を
利用する電子式移相回路の構成を示すものである。
【0031】この図において、1はサンプル周期制御
器、2はA/D変換器であり、これらはアナログ入力信
号をサンプリングし、複数のサンプル値からなるディジ
タル信号に変換する手段を構成しているものである。サ
ンプル周期制御器1はサンプル周期Tsを決定するタイ
ミングクロックを出力する。A/D変換器2は、このタ
イミングクロックによりトリガされて、その時点のアナ
ログ入力電圧信号のレベルをサンプル値として保持す
る。
【0032】3はゼロ・クロス検出器、4は周期計算器
であり、これらは複数のサンプル値のうち入力電圧信号
における許容誤差範囲(つまり、上記相似関係を利用し
た計算について許容される誤差範囲)で線形性を保持す
る領域内のゼロ・クロス点前後のサンプル値に基づいて
このゼロ・クロス点を特定し、その特定ゼロ・クロス点
間の時間間隔を求める演算手段を構成する。すなわち、
ゼロ・クロス検出器3はA/D変換器2の出力値の符号
変化によってゼロ・クロス点の存在を捕捉し、さらに、
上記Td1,Td2に相当する時間を上記式(2)、
(3)の演算を行うことにより求め、周期計算器4に与
える。この周期計算器4は、それらTd1,Td2を受
けると、並行してサンプル周期制御器1から与えられる
サンプル周期データTsと当該ゼロ・クロス点間に含ま
れるサンプル回数とに基づいて、上記式(1)として表
される演算を行うことにより周期Tを求める。
【0033】5はデータ記憶器、6は任意位相データ計
算器であり、これらは特定ゼロ・クロス点間時間間隔と
位相シフト量とを比較したときの比に基づいて入力電圧
信号における複数のサンプル点に含まれる所定数のサン
プル点各々から上記位相シフト量だけずれた点のレベル
値を求めるレベル演算手段を構成する。A/D変換器2
の出力データはデータ記憶器5に全て格納される。任意
位相データ計算器6は、まず、周期計算器4からの周期
Tのデータと予め与えられているωのデータとに基づい
て上記式(5)′をTxについて解き、その後、式
(6)あるいは(7)に表される演算を行うことによ
り、Sxを求める。
【0034】この任意位相データ計算器6により求めら
れたSxは順次ディジタル−アナログ変換(以下、D/
A変換という。)器7に与えられる。このD/A変換器
7はサンプル周期制御器1から供給されるタイミングク
ロックに同期して、入力信号より所定の位相角度ωだけ
ずれた点のレベル(つまり、Sx)を持つアナログ信号
を再生する。これにより、このD/A変換器7からは入
力信号を角度ωだけ位相シフトさせたアナログ信号が得
られることとなる。
【0035】以上のようなサンプル値の利用方式を取る
ため、アナログ入力信号の1周期波形における常に同じ
点をサンプルする必要がないため、サンプル点をアナロ
グ入力信号に同期させる必要がなく、アナログ入力信号
とは非同期にしサンプル点を周期毎にずらして波形を満
遍なくトレースするサンプリングが可能となるため、そ
のフィルタ効果によりサンプル間隔の大小とは別に性能
向上を図ることができる。よって、サンプル間隔を入力
信号の周期に比べて十分小さく取ることを必須とせず、
対象が高周波数になっても十分な性能が得られることと
なる。
【0036】図2は図1に示す移相回路の一応用例とな
る本発明無効電力量計の一実施例を示すもので、図1に
示す移相回路の構成要素に対応する要素には同一符号を
付してある。
【0037】この図において、計器用変圧器8は電力給
電線の負荷電圧eをそれに比例した電圧信号に変換する
ものであり、変流器9は電力給電線の負荷電流iをそれ
に比例した電流信号に変換するものである。この電流信
号は電流モードのまま、または電圧モードに変換され
る。
【0038】2a,2bはA/D変換器である。A/D
変換器2aは変圧器8から出力される電圧信号をサンプ
ル周期制御器1からのクロックに同期してサンプリング
し、ディジタル化する。A/D変換器2bは変流器2b
から出力される電流信号をサンプル周期制御器1からの
クロックに同期してサンプリングし、ディジタル化す
る。
【0039】A/D変換器2aの出力は、ゼロ・クロス
検出器3とデータ記憶器5とに供給される。ゼロ・クロ
ス検出器3ではそのA/D変換器2aからのサンプル値
に基づいて上記と同様に、ゼロ・クロス点を捕捉し、さ
らにTd1,Td2に相当する時間を上記式(2)、
(3)の演算を行うことにより求め、周期計算器4に与
える。この周期計算器4においても同様に式(1)とし
て表される演算を行うことで周期Tを求める。データ記
憶器5はA/D変換器2aの出力データを半周期ないし
は1周期分格納し、任意位相データ計算器6は、与えら
れているデータT,ω(=90度)とに基づいて上記式
(5)をTxについて解き、その後、式(6)あるいは
(7)に表される演算を行うことにより、Sxを求め
る。
【0040】乗算器10には、この任意位相データ計算
器6により求められたSxとA/D変換器2bの出力デ
ータとが与えられ、ここで両者が乗算され、その結果が
積分器11に送られる。積分器11は乗算器10の計算
結果を積算すると共に積算値が一定の値を越えるとパル
ス発生器12にパルス発生の信号を与えると共に発生し
たパルスに相当する値を積算値から減算する。このパル
ス発生器12は積分器11の出力に基づき負荷電力に比
例したパルスを出力するものである。表示器13はパル
ス発生器12の出力に基づき電力量を表示するものであ
る。
【0041】よって、本無効電力量計ではA/D変換器
2a,2b以降の処理をすべてマイクロプロセッサなど
によるソフトウエアで実現すると特別な回路を付加する
ことなくディジタル演算式による有効電力量計と同じ回
路で実現することができることとなる。
【0042】以上本発明の図示実施例につき説明した
が、これは本発明の限定解釈を与えるものではない。
【0043】例えば、上記実施例では電圧信号のサンプ
ル値の位相シフトデータを求めたが、これは電流信号の
方でも良い。
【0044】また、上記実施例ではゼロ・クロス点間の
時間間隔として1周期を求めているが、これは半周期、
あるいは1周期の整数倍などでも良い。例えば、半周期
を求めることとすれば、図3に示す電圧信号の場合、ゼ
ロ・クロスO1から始まる半周期はゼロ・クロスO3で
はなく、ゼロ・クロスO2の前後のサンプル点を利用す
る。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ア
ナログ入力信号の1周期波形における常に同じ点をサン
プルする必要がないため、サンプル点をアナログ入力信
号に同期させる必要がなく、アナログ入力信号とは非同
期にしサンプル点を周期毎にずらして波形を満遍なくト
レースするサンプリングが可能となるため、そのフィル
タ効果によりサンプル間隔の大小とは別に性能向上を図
ることができる。よって、サンプル間隔を入力信号の周
期に比べて十分小さく取ることを必須とせず、対象が高
周波数になっても十分な性能が得られることとなる。
【0046】また、本発明無効電力量計ではA/D変換
以降の処理をすべてマイクロプロセッサなどによるソフ
トウエアで実現すると特別な回路を付加することなくデ
ィジタル演算式による有効電力量計と同じ回路で実現す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る電子式移相回路の構成
を示すブロック図。
【図2】本発明の一実施例に係る電子式無効電力量計の
構成を示すブロック図。
【図3】電圧または電流信号のサンプル間隔と周期の関
係とを示す波形図。
【図4】ゼロ・クロス点とその前後のサンプル値との関
係を示す波形図。
【図5】ゼロ・クロス点とその前後のサンプル値との関
係の他の例を示す波形図。
【図6】任意のサンプル信号と90度位相のずれた信号
との時間関係を示す波形図。
【図7】図6に示す90度位相のずれた信号を計算する
ための必要な時間関係を示す波形図。
【図8】任意のサンプル信号と90度位相のずれた信号
との時間関係の他の例を示す波形図。
【図9】図8に示す90度位相のずれた信号を計算する
ための必要な時間関係を示す波形図。
【符号の説明】 1 サンプル周期制御器 2,2a,2b アナログ−ディジタル変換器 3 ゼロ・クロス検出器 4 周期計算器 5 データ記憶器 6 位相データ計算器 7 ディジタル−アナログ計算器 8 変圧器 9 変流器 10 乗算器 11 積分器 12 パルス発生器 13 表示器

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アナログ入力信号をサンプリングし、複数
    のサンプル値からなるディジタル信号に変換するアナロ
    グ−ディジタル変換手段と、 前記複数のサンプル値のうち前記入力信号における許容
    誤差範囲で線形性を保持する領域のゼロ・クロス点前後
    のサンプル値に基づいて該ゼロ・クロス点を特定し、そ
    の特定ゼロ・クロス点間の時間間隔を求める時間間隔演
    算手段と、 該特定ゼロ・クロス点間時間間隔と位相シフト量との比
    に基づいて前記入力信号における前記複数のサンプル点
    に含まれる所定数のサンプル点各々から前記位相シフト
    量だけずれた時間を割出しその前後のサンプル値から当
    該位相シフト点のレベル値を求めるレベル演算手段とを
    備えている電子式位相回路。
  2. 【請求項2】アナログ入力電圧信号及び同電流信号をサ
    ンプリングし、それぞれ複数のサンプル値からなるディ
    ジタル信号に変換するアナログ−ディジタル変換手段
    と、 前記入力電圧信号及び同電流信号のうちいずれか一方の
    入力信号に関する前記複数のサンプル値のうち該一方の
    入力信号における許容誤差範囲で線形性を保持する領域
    のゼロ・クロス点前後のサンプル値に基づいて該ゼロ・
    クロス点を特定し、その特定ゼロ・クロス点間の時間間
    隔を求める時間間隔演算手段と、 該特定ゼロ・クロス点間時間間隔と位相シフト角度90
    度との比に基づいて前記一方の入力信号における前記複
    数のサンプル点に含まれる所定数のサンプル点各々から
    前記90度だけずれた時間を割出しその前後のサンプル
    値から当該位相シフト点のレベル値を求めるレベル演算
    手段と、 他方の入力信号に関する前記複数のサンプル値のうち前
    記所定数のサンプル点に対応する点のサンプル値と該レ
    ベル演算手段の出力値とを掛合わせることにより電力値
    として変換する乗算手段とを備えている電子式無効電力
    量計。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US4882048A (en) * 1986-06-07 1989-11-21 Merck Patent Gesellschaft Mit Beschrankter Haftung Optically active adsorbents
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