JPH061762U - ディーゼルエンジンの排気ガス再循環装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本考案は、排気ガスを排気管から吸気管に導入
する配管やＥＧＲバルブの設置を不要とし、給気管圧力
が排気管圧力よりも高い過給エンジンにおいてもエンジ
ンの回転、負荷に応じて排気ガス再循環を可能にしたデ
ィーゼルエンジンの排気ガス再循環装置を提供する。 【構成】過給ディーゼルエンジンにおいて、吸気弁３を
開閉作動する油圧アクチュエータ４と、エンジンの回
転、負荷信号を入力して前記油圧アクチュエータ４を制
御するコンピュータ１１とを設け、排気弁開期間Ａの排
気行程でエンジンの回転、負荷に応じて下死点ＢＤＣ前
の一定期間だけ吸気弁を開口Ｂ１し、排気ガスを給気管
内に逆流させ、吸気弁開期間Ｂの吸入行程で給気と共に
シリンダ内に流入するようにしたことを特徴とする

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ディーゼルエンジンの排気ガス再循環装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

エンジンの排気ガス浄化のために排気ガス再循環装置（ＥＧＲ）知られている 。この排気ガス再循環装置（ＥＧＲ）は、排気管と吸気管とを管路で連絡し、こ の管路にＥＧＲバルブを設け、排気ガスの一部を適当な温度、時期、流量等を制 御して吸気系に再循環させる構成が一般的である。また、吸気カムに複数個のカ ム山を設け、排気行程の初期近傍の所定期間吸気弁を開かせるようにした排気浄 化装置が実開昭５６−２００５号で提供されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

前記従来の排気ガス再循環装置では、排気ガスを排気管から吸気管に導入する 配管やＥＧＲバルブの設置を必要とする。また、過給エンジンでは、給気管圧力 が排気管圧力よりも高いので、単に給排気管を管路で接続しても排気ガス再循環 ができなかった。また、実開昭５６−２００５号では、エンジンの回転、負荷に 応じて制御することができない。

【０００４】 本考案の目的は、エンジンの回転、負荷に応じて吸気弁の開時期を制御して上 記従来の問題を解消した過給ディーゼルエンジンの排気ガス再循環装置を提供す ることである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するための本考案の要旨とするところは、過給ディーゼルエ ンジンにおいて、吸気弁を開閉作動する油圧アクチュエータと、エンジンの回転 、負荷信号を入力して前記油圧アクチュエータを制御するコンピュータとを備え 、排気行程でエンジンの回転、負荷に応じて下死点前の一定期間だけ吸気弁を開 口し、排気ガスを給気管内に逆流させ、吸入行程で給気と共にシリンダ内に流入 するようにしたものである。

【０００６】

【作用】

上記の構成により、排気ガス再循環が必要な回転、負荷で、シリンダ内圧力が 給気管内圧力よりも高い時に、ある一定期間だけ吸気弁を開くことによって排気 ガスを給気管内に逆流し、その後、吸入行程で吸気弁が開くと逆流した排気ガス を再びシリンダ内にＥＧＲガスとして流入するものである。

【０００７】

【実施例】

以下本考案の実施例を図面に基づいて説明する。図１は排気ガス再循環（以下 ＥＧＲと略称する）が不要な回転、負荷における通常のバルブタイミングである 。すなわち、Ａは排気弁開期間であり、Ｂは吸気弁開期間である。図２はＥＧＲ が必要な回転、負荷において本考案装置の作動によるバルブタイミングである。 すなわち、前記通常のバルブタイミングの他に、排気行程で下死点前の一定期間 だけ吸気弁開期間Ｂ１を設定したバルブタイミングとしたものである。

【０００８】 上記の吸気弁開期間Ｂ１のバルブタイミングにより図３で示すように、排気行 程でシリンダ内圧が給気管内圧力Ｐ２より高いところで排気ガスは給気管内に逆 流し、吸気弁開期間Ｂで逆流した排気ガスを再びシリンダ内にＥＧＲガスとして 流入させる。

【０００９】 上記本考案のＥＧＲを実現する装置の１実施例を図４によって説明する。１は 過給ディーゼルエンジン、２は給気管、３は吸気弁、４は前記吸気弁３を開閉作 動する油圧シリンダである。

【００１０】 １２はオイルタンク、７は前記エンジン１で回転駆動され、オイルタンク１２ 内のオイルを汲み上げる油圧ポンプ、８は前記油圧ポンプ７で汲み上げた油圧を 蓄圧するアキュームレータである。このアキュームレータ８から油圧供給管９が 配管され、この油圧供給管９から前記オイルタンク１２に通じた油圧戻し管１０ が配管されている。

【００１１】 前記油圧シリンダ４は前記油圧供給管９に分岐管９ａを介して接続され、この 分岐管９ａの接続点より上流側の油圧供給管９に第１電磁弁５が、また下流側の 油圧供給管９に第２電磁弁６が設けられている。

【００１２】 １１はコンピュータ（制御装置）であり、エンジン１の回転信号と負荷信号を 入力して前記第１電磁弁５並びに第２電磁弁６を開閉制御するものである。

【００１３】 上記の構成において、第２電磁弁６を閉じ、第１電磁弁５を開くとアキューム レータ８の油圧が油圧シリンダ４内に供給され吸気弁３が開となる。次いで、第 １電磁弁５を閉じ、第２電磁弁６を開くと油圧シリンダ４内に供給された油圧は 低圧側の油圧戻し管１０を通ってオイルタンク１２に排出され吸気弁３は閉とな る。

【００１４】 そこで、ＥＧＲが不要な回転、負荷では前記コンピュータ１１により第１電磁 弁５と第２電磁弁６を交互に開閉作動して前記図１で示すような排気弁開期間Ａ と吸気弁開期間Ｂの通常のバルブタイミングに制御する。

【００１５】 ＥＧＲが必要な回転、負荷では、排気行程の排気弁開期間Ａ開始からピストン の下死点までの一定期間だけ第１電磁弁５と第２電磁弁６を開閉作動する。この 吸気弁開期間Ｂでは図３で示すように、シリンダ内圧が給気管２の内圧より高い ため、シリンダ内の排気ガスの一部は給気管内に逆流し、その後、吸入行程の吸 気弁開期間Ｂで吸気弁３が開くと給気管内に逆流した排気ガスは再びシリンダ内 にＥＧＲガスとして流入し、上記本考案の目的を達成するものである。

【００１６】 上記の構成は油圧制御による可変バルブタイミング機構の実施例であるが、カ ムによる可変バルブタイミング機構でも本考案の目的を達成することも可能であ る。

【００１７】

【考案の効果】

以上のように本考案は、過給ディーゼルエンジンにおいて、吸気弁を開閉作動 する油圧アクチュエータと、エンジンの回転、負荷信号を入力して前記油圧アク チュエータを制御するコンピュータとを備え、排気行程でエンジンの回転、負荷 に応じて下死点前の一定期間だけ吸気弁を開口し、排気ガスを給気管内に逆流さ せ、吸入行程で給気と共にシリンダ内に流入するようにした構成であるから、排 気ガスを排気管から吸気管に導入する配管やＥＧＲバルブの設置を不要とし、ま た、給気管圧力が排気管圧力よりも高い過給エンジンにおいてもエンジンの回転 、負荷に応じて排気ガス再循環の制御を可能とする。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案における通常のバルブタイミング図

【図２】本考案における排気ガス再循環時のバルブタイ
ミング図

【図３】過給ディーゼルエンジンのＰ−Ｖ線図

【図４】本考案装置の１実施例を示す構成図

【符号の説明】

Ａ 排気弁開期間 Ｂ 吸気弁開期間 Ｂ１ 排気行程で死点前の一定期間だけの吸気弁開期間 １ 過給ディーゼルエンジン ２ 給気管 ３ 吸気弁 ４ 油圧シリンダ ５ 第１電磁弁 ６ 第２電磁弁 ７ 油圧ポンプ ８ アキュームレータ １１ コンピュータ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 過給ディーゼルエンジンにおいて、吸気
   弁を開閉作動する油圧アクチュエータと、エンジンの回
   転、負荷信号を入力して前記油圧アクチュエータを制御
   するコンピュータとを備え、排気行程でエンジンの回
   転、負荷に応じて下死点前の一定期間だけ吸気弁を開口
   し、排気ガスを給気管内に逆流させ、吸入行程で給気と
   共にシリンダ内に流入するようにしたことを特徴とする
   ディーゼルエンジンの排気ガス再循環装置。