JPH06172388A - 甘味誘導物質ミラクリンの製造方法 - Google Patents

甘味誘導物質ミラクリンの製造方法

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JPH06172388A
JPH06172388A JP4349953A JP34995392A JPH06172388A JP H06172388 A JPH06172388 A JP H06172388A JP 4349953 A JP4349953 A JP 4349953A JP 34995392 A JP34995392 A JP 34995392A JP H06172388 A JPH06172388 A JP H06172388A
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miraculin
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sweetness
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JP4349953A
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Naohisa Kamimura
村 直 久 上
Tomoyuki Makino
野 知 之 牧
Akiko Hirano
野 明 子 平
Yoshie Kurihara
原 良 枝 栗
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Mitsubishi Oil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ミラクリン含有原料から酸性緩衝塩水溶液に
よって、ミラクリンを抽出する。 【効果】 甘味誘導活性が安定し、着色不純物のない精
製されたミラクリンを効率的に工業生産することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ミラクリンを含有する
原料から甘味誘導物質、ミラクリン(miraculi
n)を効率的かつ安定的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】西アフリカ原産の植物(Richade
lla dulcifica)、通称ミラクルフルーツ
には、これを食した直後に酸味のものを味わうと甘く感
じるという独特の性質を持っている。そして、この作用
は甘味誘導物質ミラクリンによることが知られている。
【0003】その甘味誘導作用の詳細な機構は現在の所
明らかではないが、ミラクリンそのものとしては精製さ
れ、既に、純品が得られており、分子量40000前後
の糖タンパク質としてアミノ酸配列も明らかになってい
る(特開平3−218400号公報)。
【0004】この甘味誘導物質ミラクリンの製造方法と
して、これまで次のような方法が提案されている。
【0005】1.K.Kurihara,L.M.Be
idler;Sience,161,1241(196
8)によれば、凍結乾燥したミラクルフルーツの果肉を
pH10.5の炭酸塩緩衝液中でホモジナイズし活性部
分を抽出する。更に、Y.Kurihara.S.Te
rasaki;Biochem Biophys Ac
ta,719,444(1982)によれば、同様の抽
出処理で得られた抽出液に硫酸アンモニュウムを加えて
塩析して、沈澱物をリン酸緩衝液に溶解し、透析により
硫酸アンモニュウムを除去する。さらに得られた溶液を
等電点電気泳動等で精製した後ミラクリンを得る。
【0006】2.又、特開昭62−242700号公報
によれば、ミラクルフルーツの果肉から抽出溶媒とし
て、pH6〜9付近の中性塩溶液を用いてミラクリンを
抽出する。
【0007】3.そして、特開昭63−185349号
公報によれば、ミラクルフルーツの果肉を粉砕し、水を
添加後ホモジナイズし洗浄液が着色しなくなるまで水洗
いする。洗浄後の果肉に中性の塩化ナトリウム水溶液を
加えミラクリンを抽出する。次に、この抽出液を硫酸ア
ンモニュウムで塩析し、ミラクリン画分の沈澱物を得
る。この沈澱物を中性のリン酸緩衝液に溶解し、CMセ
ファロースイオン交換クロマトグラフィーにかけ、さら
にアフィニティークロマトグラフィーにかけて精製す
る、方法である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(1)及び(2)から得られる抽出液は不純物を有する
ため濃い着色を示し、色相的に好ましくなく、しかも、
この着色物質の除去は硫安沈澱、イオン交換クロマトグ
ラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、電気泳
動等の生化学的な様々の分離方法を利用しても困難であ
った。
【0009】又、さらに着色原因となる不純物がミラク
リンに強く結合していると考えられるため、その活性の
一部が失われ、高純度のミラクリンが得られないばかり
か、甘味誘導活性の低下が認められるという重大な問題
があった。
【0010】そこで、(3)の製造方法においては、着
色物質を除去する手段として、ミラクルフルーツの果肉
を洗液が着色しなくなるまで水洗している。しかし、こ
の方法で甘味誘導活性の高いミラクリンの抽出を行なう
ためには、抽出前処理として水洗浄を洗液が着色しなく
なるまで繰り返し行わねばならず、洗浄、分離のために
相当の時間と労力が必要になり、しかもミラクルフルー
ツ果肉中に含まれるミラクリンの安定性が低いため、長
時間の抽出前処理を行うことは何等かの悪影響を及ぼす
恐れも考えられる。更にミラクリン含有液は、pH2以
下もしくはpH11以上になるとミラクリン成分の活性
が失活し易い性質があり、過度の酸性やアルカリ性での
抽出は好ましくはない。又、(3)の方法における水洗
浄前処理をせずに抽出を行なうと、不純物質中の種々酸
性物質により抽出液のpHが過度に低下し、ミラクリン
成分の活性をも失活させる問題もある。そしてこれら不
純物質は水に可溶性のものと考えられるため、近年の抽
出法ではあらかじめ除去する目的で、水洗浄前処理を行
なった後、ミラクリンをNaCl中性溶液により抽出し
ている。
【0011】以上のように、これまでのミラクリン抽出
方法では不純物がミラクリンに強く結合した複合体によ
る着色及び活性の低下や、過度にpHを低下させる種々
酸性物質による活性の低下、そしてこれらを防ぐために
はミラクリンとの複合体を形成する不純物質の除去をす
るのに、水洗浄前処理を行なわねならず多大な時間を要
するという問題があり、より効率的に、活性を低下させ
ることなく着色のない安定性に優れたミラクリンの製造
方法が求められていた。また、飲食品や医薬品への利用
上の面から、そしてまた長期保存や移動運送の面から
も、高純度の活性粉末可能なミラクリンを工業的に大量
生産し得る方法の開発も当業界において強く求められて
いた。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点に鑑み、水洗浄等の前処理を必要とせずに、清浄で活
性の安定化したミラクリンの製造をより効率的に行うこ
とを目的とし、抽出過程におけるミラクルフルーツ中の
ミラクリンと強固な複合体を形成し易い不純物質に着目
し、種々検討を重ねた結果、pH3.5〜5.5の範囲
にある緩衝水溶液にNaClを添加した、酸性緩衝塩水
溶液を用いて抽出処理を行なうことで、ミラクルフルー
ツ中に含まれる不純物を除去するための、水洗浄等の前
処理を一切必要とせずに、また、果肉中の種々酸性物質
による過度なpH低下を防止できるので、ミラクリン活
性の失活も無く、着色の極めて少ないミラクリンの抽出
を行なうことができ、しかも清浄で安定性に優れたミラ
クリンが得られることを見出し本発明をするに至った。
【0013】さらに詳しくは、ミラクルフルーツの新鮮
果肉を液体N2等で凍結し、10〜100mmHgの減
圧下で乾燥させる。この凍結乾燥果肉を粉砕し、0〜5
℃の温度範囲の条件下で、pH3.5〜5.5の範囲に
ある濃度0.5M以下の緩衝水溶液に、0.4〜0.5
MになるようにNaClを添加した酸性緩衝塩水溶液
を、ミラクルフルーツ凍結乾燥果肉1gに対し5〜50
mlの範囲で加え、超音波等でホモジナイズする。これ
を遠心分離した後、上澄み液を採取し抽出液とする。こ
の抽出処理は2回又は2回以上繰り返すことが好まし
い。抽出処理に用いる酸性緩衝塩水溶液としては、pH
3.5〜5.5の範囲を維持しえる濃度0.1〜0.2
Mの緩衝水溶液に、0.4〜0.5MになるようにNa
Clを添加したものが好ましく、濃度0.1Mの緩衝水
溶液に、0.5MになるようにNaClを添加したもの
がより好ましい。当該条件を満たすものであれば特に制
限はしないが、例えば、クエン酸1ナトリウム−クエン
酸2ナトリウム溶液(0.1M)、酢酸−酢酸ナトリウ
ム溶液(0.1M)、フタル酸1カリウム溶液(0.1
M)を用いpHを調整した後に、NaClを0.5Mに
なるように添加して用いる。
【0014】抽出対象としてのミラクリン含有物はミラ
クルフルーツの凍結乾燥果肉が好適に用いられるが、新
鮮果肉であっても良い。
【0015】上記方法によって得られた抽出液にはNa
Clを含んでいるため、透析、限外ろ過(逆浸透法、イ
オン交換膜電気透析法等を含む)、ゲルろ過等により脱
塩した後、これを凍結乾燥等することにより着色の極め
て少ない白色のミラクリン粗製粉末が得られる。このミ
ラクリン粗製粉末は吸湿を防ぐためシリカゲル等の吸湿
剤で密封処理、又は窒素ガス封入等を施す事で3ケ月以
上甘味誘導活性を安定的に維持し、充分実用に供するこ
とができる。さらに脱塩後のミラクリン抽出液は種々の
沈殿分離法、すなわち硫酸アンモニュウム、硫酸ナトリ
ウム、リン酸カリウム等の塩析、等電点沈殿法、水溶性
ポリマーであるポリエチレングリコール、デキストラン
等による共沈等によって純度を上げることもでき、ある
いは、各種クロマトグラフィー、例えばイオン交換クロ
マトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、
ゲルろ過クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィ
ー、水素結合クロマトグラフィー、クロマトフォーカシ
ングクロマトグラフィー等の利用や、さらには電気泳
動、分子量分画に基づいた膜分離、アフィニティー担体
やイオン交換担体を結合させたメンブレンリアクター等
によっても精製をすることが可能である。本発明の方法
によって得られるミラクリン抽出液は着色が極めて少な
く、上記種々の精製法を利用すれば容易に純度99%以
上のミラクリンを獲得することができる。
【0016】
【作用】ミラクリン抽出液もしくは、これより得られる
ミラクリン粉末の着色要因としては、ミラクルフルーツ
果肉中のミラクリンと強固な複合体を形成し易い不純物
質によること、さらにこれらは、複合体を形成した後は
薄茶乃至は褐色の着色不純物質となり、ミラクリンの甘
味誘導活性の低下をも招く。そして一度形成されたミラ
クリンとの複合体から不純物質を除去することは著しく
困難である。又ミラクリンとの複合体を形成し易い不純
物質としては、フラボノイド色素や酸性物質もしくはこ
れらの複合体とも考えられているが、未だ、その物質に
ついて解明はされていない。又さらに、過度にpHを低
下させる種々の酸性物質もミラクリンの甘味誘導活性の
低下を招く。
【0017】しかし、これらミラクリンと複合体を形成
し易い不純物質の影響や種々の酸性物質の影響は、水洗
浄前処理することなく、本発明による酸性緩衝塩水溶液
を用いた抽出を行なうことで容易に解決することができ
た。
【0018】即ち、着色要因となるミラクリンと複合体
を形成し易い不純物質は、酸性緩衝塩水溶液を用いた酸
性条件下では、反応基が解離しないか、解離しにくくな
ることによって、その反応性が著しく低下もしくは不活
化してミラクリンとの結合が抑制され、その結果、透明
度の高いミラクリン抽出液が得られる。一方、ミラクリ
ン活性に悪影響を及ぼす抽出液のpH低下の問題は、緩
衝水溶液の作用により、果肉中の種々酸性物質による抽
出液の過度なpH低下がなくなるため、抽出液中におけ
るミラクリン成分の活性低下も防げる。本発明は、ミラ
クリンとの複合体を形成し易い不純物質の影響を抑え、
かつ好適な抽出pHを維持しうることができるため、水
洗浄をせずとも着色の極めて少ない、甘味誘導活性の安
定な優れたミラクリン粉末の採取を容易に行ない得るも
のである。
【0019】
【実施例】次に実施例を示し、本発明を具体的に説明す
るが要旨を越えない限りこれに限定されるものではな
い。また比較のため本発明のpH範囲外のものについて
も同時に評価を行なった。
【0020】
【実施例1】ミラクルフルーツ(Richadella
dulcifica)の果肉の凍結乾燥物1gに対
し、約0℃(氷水中)の温度条件で表1に示す各種pH
に調製した緩衝塩水溶液(溶液中0.5MのNaClを
含む)15mlを加え、超音波(20kHz)で30秒
間、4回繰り返しホモジナイズした後、10000rp
mで45分間遠心分離する抽出処理を行なった。遠心分
離後、上澄み液を採取しこれを抽出液とした。さらに残
渣に対し同様の抽出処理を繰り返し、2回目の上澄み液
を採取した。各種pHの緩衝塩水溶液ごとによる抽出処
理で得た2回分の抽出液を合わせ、ミラクリン抽出液と
した。
【0021】
【表1】
【0022】ここで各種pHの緩衝塩水溶液(溶液中
0.5MのNaClを含む)の調製法を下記に示す。な
お、下記に使用する試薬は、和光純薬社製ですべて特級
を使用した。
【0023】(1)pH3.1緩衝塩水溶液の調製 0.1Mクエン酸水溶液と0.1Mクエン酸1ナトリウ
ム水溶液をpHメーターによりpHを確認しながらpH
が3.1になるまで両液を混合する。pHが3.1にな
ったら、この溶液中のNaCl濃度が0.5Mになるよ
うにNaClを加え調製する。
【0024】(2)pH3.5緩衝塩水溶液の調製 0.1Mフタル酸1カリウムにpHメーターによりpH
を確認しながらpHが3.5になるまで1N HCl水
溶液を加える。pHが3.5になったら、この溶液中の
NaCl濃度が0.5MになるようにNaClを加え調
製する。
【0025】(3)pH4.5緩衝塩水溶液の調製 0.1M酢酸水溶液と0.1M酢酸ナトリウム水溶液を
pHメーターによりpHを確認しながらpHが4.5に
なるまで両液を混合する。pHが4.5になったら、こ
の溶液中のNaCl濃度が0.5MになるようにNaC
lを加え調製する。
【0026】(4)pH5.1緩衝塩水溶液の調製 0.1M酢酸水溶液と0.1M酢酸ナトリウム水溶液を
pHメーターによりpHを確認しながらpHが5.1に
なるまでに両液を混合する。pHが5.1になったら、
この溶液中のNaCl濃度が0.5MになるようにNa
Clを加え調製する。
【0027】(5)pH5.5緩衝塩水溶液の調製 0.1Mクエン酸1ナトリウム水溶液と0.1Mクエン
酸2ナトリウム水溶液をpHメーターによりpHを確認
しながらpHが5.5になるまでに両液を混合する。p
Hが5.5になったら、この溶液中のNaCl濃度が
0.5MになるようにNaClを加え調製する。
【0028】(6)pH6.5緩衝塩水溶液の調製 0.1M炭酸水素ナトリウム水溶液にpHメーターによ
りpHを確認しながらpHが6.5になるまで1N H
Cl水溶液を加える。pHが6.5になったら、この溶
液中のNaCl濃度が0.5MになるようにNaClを
加え調製する。
【0029】(7)pH7.5緩衝塩水溶液の調製 0.1Mリン酸1ナトリウム水溶液と0.1Mリン酸2
ナトリウム水溶液をpHメーターによりpHを確認しな
がらpHが7.5になるまで両液を混合する。pHが
7.5になったら、この溶液中のNaCl濃度が0.5
MになるようにNaClを加え調製する。
【0030】(8)pH8.3緩衝塩水溶液の調製 0.1Mグリシルグリシン水溶液(13.2gを純水1
000mlで調製)にpHメーターによりpHを確認し
ながらpHが8.3になるまで1N NaOH水溶液を
加える。pHが8.3になったら、この溶液中のNaC
l濃度が0.5MになるようにNaClを加え調製す
る。
【0031】(9)pH9.2緩衝塩水溶液の調製 0.1Mホウ酸水溶液と0.1Mホウ酸ナトリウム水溶
液をpHメーターによりpHを確認しながらpHが9.
2になるまで両液を混合する。pHが9.2になった
ら、この溶液中のNaCl濃度が0.5Mになるように
NaClを加え調製する。
【0032】(10)pH10.1緩衝塩水溶液の調製 0.1M炭酸1ナトリウム水溶液と0.1M炭酸2ナト
リウム水溶液をpHメーターによりpHを確認しながら
pHが10.1になるまで両液を混合する。pHが1
0.1になったら、この溶液中のNaCl濃度が0.5
MになるようにNaClを加え調製する。
【0033】得られた各種pHの緩衝塩水溶液によるミ
ラクリン抽出液5mlを、純水で平衡化してある脱塩用
ゲルろ過クロマトグラフィー(ファルマシア社製)によ
り脱塩し、7mlの脱塩液を得、これをミラクリン抽出
脱塩液とした。各種pHのミラクリン抽出脱塩液につい
てJIS Z8721に規定する色度票を用い、着色度
を、さらには甘味誘導活性の官能試験を下記の手順に従
って評価し、得られた結果を表2に示した。尚、表中の
着色度に記載される「−」は無色透明であったことを示
す。
【0034】
【表2】
【0035】表2から、各種pHの緩衝塩水溶液の内、
本願の酸性緩衝塩水溶液によるものが着色度もなく甘味
誘導活性も高いことが判る。
【0036】着色度試験手順 直射日光をさけた自然光下で、内径19mm、外径21
mmの試験管にミラクリン抽出脱塩液3.5mlを入
れ、垂直に立てた。横からみた抽出脱塩液について、色
相、明度、彩度を表示するJIS Z8721色度票と
隣接させて比較して着色度を測定した。
【0037】甘味誘導活性評価手順 、0.1Mクエン酸溶液を2〜3ml、口に含み、酸
味を感ずる事を確認する。 、吐き出して水で口をすすぐ。 、ミラクリン抽出脱塩液2.5mlを口に含む。 、1分間、舌の上でころがすようにして舌に十分吸着
させる。 、吐き出して水で口をすすぐ。 、0.1Mクエン酸溶液を2〜3ml、口に含む。こ
の時の甘さを記憶しておく。 、標準甘味溶液(0.1,0.2,0.3,0.4,
0.5Mショ糖溶液)2〜3mlを口に含み0.1Mク
エン酸を味わったときとの甘味を比較し同等の甘味をも
つショ糖溶液の濃度を決定し、その濃度を甘味誘導活性
とする。
【0038】次に、各種pHのミラクリン抽出脱塩液を
3.5mlを5mlのバイアルビンに移し、これらを凍
結乾燥してミラクリン粗製粉末を得、これらの着色度を
同様にJIS Z8721色度票とミラクリン粗製粉末
の入ったバイアルビンを隣接し比較して着色度を測定し
た。その結果を表3に示した。本発明の酸性緩衝塩水溶
液によるものからは、着色のない白色のミラクリン粗製
粉末が得られた。
【0039】
【表3】
【0040】各種pHによるミラクリン抽出液それぞれ
について、抗ミラクリンIgG(抗体:イムノグロブリ
ン)に酵素(POD:パーオキシダーゼ)を結合し標識
化した。サンドイッチ法(P.K.NaKane,an
d A.Kawaoi,(1974)Peroxida
se−Labeled antibody:a new
method of conjugation.J.
Histochem.Cytochem.,22,10
84−1091)によりミラクリンの定量を行ない、比
較評価し、その結果を表4に示した。本発明の酸性緩衝
塩水溶液からのものは、他の酸性緩衝塩水溶液と比べミ
ラクリン含量が高い。このことから本願の酸性緩衝塩水
溶液を用いれば、不純物質が少なくミラクリンを安定化
して抽出できることは明らかである。
【0041】
【表4】
【0042】ここで、ミラクリンの定量は次のようにし
て行なった。ミラクリン定量操作 96穴のマイクロプレートのウエル(穴)各々に、10
0μlの抗ミラクリンIgGを入れ、4℃で一晩放置
し、抗ミラクリンIgGをウエル内壁に結合させる。放
置後ウエル内壁に結合させた抗ミラクリンIgGを0.
18%のリン酸カリウム水溶液(pH7.5)で洗浄す
る。ウエル内の残液を除去した後、0.18%のリン酸
カリウム水溶液(pH7.5)に溶解した1%BSA
(牛血清アルブミン:CALBIOCEM社製)溶液1
50μ1を、各ウエルに加え2時間室温で放置する。ウ
エル内の1%BSA溶液を除去した後、既知濃度のミラ
クリン溶液及び得られた各種pHによるミラクリン抽出
液を10000倍に希釈したもの100μlを、ウェル
内壁に結合している抗ミラクリンIgGに加え、2時間
室温で放置する。再度0.18%のリン酸カリウム水溶
液(pH7.5)で洗浄し、ウエル内の残液を除去した
後、標識化IgG 100μl加え、2時間室温で放置
する。次に0.18%のリン酸カリウム水溶液(pH
7.5)で洗浄し、ウエル内の残液を除去した後、各ウ
エルにパーオキシダーゼ用発色キット(住友ベークライ
ト社製)の発色液を加えて発色させた。3分後、同キッ
トの停止液を加えて反応を止めた後、イムノリーダーで
吸光度(405nm)を測定し、上記既知濃度のミラク
リン溶液0.5,1.0,2.0,5.0,10,2
0,50,100,200,250,500,ng(ナ
ノグラム)/mlの測定値から作成した検量線を基に抽
出液中のミラクリン含量を測定した。又、上記で使用し
た抗ミラクリンIgG及び標識化IgGの作成法を下記
に示す。
【0043】抗ミラクリンIgGの作成 純度99.9%以上の精製ミラクリン250μgを同量
の完全フロイントアジュバントで乳化した後、うさぎ
(体重:3〜3.5Kg)に注射し10日後、20日後
にさらに250μgの不完全フロイントアジュバント
を、うさぎに注射した。最後の注射から1週間後採血
し、抗ミラクリン血清を得た。
【0044】この血清7mlを0.05Mトリス塩酸塩
(pH8.5,0.15MNaCl)で平衝化したプロ
テインA(生化学工業社製)5mlに添加し低温室(4
℃〜10℃)で2〜3時間スターラーでゆっくり攪拌し
て抗ミラクリンIgGを吸着させた。上述の平衡化した
プロテインAに抗ミラクリンIgGを吸着させたものを
カラムに充填した後、0.05M酢酸ナトリウム(pH
4.0,0.15MNaCl)でIgGを溶出する事に
より精製抗ミラクリンIgG、約25mgを得た。
【0045】標識化IgGの作成 4mgのPOD(パーオキシダーゼ:ベーリンガー社
製)を1mlの純水に溶解した後、0.1M過ヨウ素酸
ナトリウム0.2mlを加え室温で20分間放置し、透
析チューブに入れ、1mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH
4.4)で一晩透析した。
【0046】抗ミラクリンIgGにPODを結合させる
ため、透析終了後のPODに0.2M炭酸ナトリウム緩
衝液(pH9.5)を加えpH9前後に調整した。この
PODに8mgの抗ミラクリンIgGを含む1mlの
0.01M炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.5)を加え
室温で2時間振盪した。さらに、PODが結合した抗ミ
ラクリンIgGを分離するため、1mlの純水に溶解し
た4mgの水素化ホウ素ナトリウムを0.1ml加え、
4℃で2時間放置したのち、ゲルろ過クロマトグラフィ
ー(Sephacryl s−200カラム,10mM
リン酸ナトリウム緩衝液 pH6.8で平衝化)にかけ
2mlずつフラクションを採りだし、フラクションごと
の280nm(タンパクの吸収を表わす)、403nm
(PODの吸収、正確にはPODの中の鉄の吸収であ
る)及び405nm(POD活性の吸収を表わす)にお
ける吸収を測定した。これら3つの吸収ピークをもつフ
ラクションは、抗ミラクリンIgGと活性を持つPOD
とが結合しているフラクションであり、標識化されたI
gGを含んだものである。3つの吸収ピークを持つフラ
クションを集め、そしてさらに、標識化されたIgGを
安定化するため、このフラクション中のBSA(粉末牛
血清アルブミン;和光純薬社製、免疫測定用)濃度が1
mg/mlとなるようにBSAを加える。これを標識化
IgGとした。
【0047】
【発明の効果】本発明は酸性緩衝塩水溶液を用いた抽出
を行なうことにより、着色や甘味誘導活性低下の要因と
なるミラクリンと複合体を形成し易い不純物質の、反応
性の抑制を図れる効果を有すると共に、ミラクルフルー
ツ中の種々の酸性物質による過度なpHの低下もないの
で、ミラクリン成分の活性低下をも防げる。さらに抽出
前処理としての不純物質の除去処理をする必要もなくな
り、これまでの方法に比べ効率的に甘味誘導活性の安定
した、着色の極めて少ないミラクリンを得ることがで
き、効率的な工業生産に寄与するものである。
【0048】本発明によれば、着色の極めて少ない甘味
誘導活性の安定したミラクリンを得ることができるた
め、純度の高い精製ミラクリンも容易に工業生産でき、
飲食品や医薬品の製造上きわめて有利な貢献をなすもの
である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ミラクリン含有原料から酸性緩衝塩水溶
    液によって、抽出することを特徴とするミラクリンの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の酸性緩衝塩水溶液がpH
    3.5〜5.5の範囲であることを特徴とするミラクリ
    ンの製造方法。
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CN109430511A (zh) * 2018-09-06 2019-03-08 南充好土优土农业开发有限公司 一种神秘果的甜味蛋白萃取方法及甜味蛋白饮品

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