JPH06167610A - 偏光フィルムの製造方法 - Google Patents

偏光フィルムの製造方法

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JPH06167610A
JPH06167610A JP32174992A JP32174992A JPH06167610A JP H06167610 A JPH06167610 A JP H06167610A JP 32174992 A JP32174992 A JP 32174992A JP 32174992 A JP32174992 A JP 32174992A JP H06167610 A JPH06167610 A JP H06167610A
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film
uniaxially stretched
dyeability
stretched film
polarizing
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Application number
JP32174992A
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English (en)
Inventor
Atsushi Okabayashi
淳 岡林
Kazuyuki Haraguchi
和行 原口
Koichi Hotta
幸一 堀田
Takeo Ohira
猛雄 大平
Akira Yoshikawa
晶 吉川
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Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】二色性色素による一軸延伸フィルムの染色速度
を向上して効率的に偏光フィルムを製造する方法を提供
すること。 【構成】一軸延伸フィルム1の少なくとも一部に、ブタ
ジエン−イソプレンゴム等の染色性改善剤2を塗布した
後、二色性色素に接触させて上記塗布部位を選択的に染
色する。染色性改善剤の塗布により染色速度が向上する
ため、高濃度に効率的に染色でき、優れた偏光能を有す
る偏光フィルムを製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は偏光フィルムの効率的な
製造方法に関し、特にその一部に高い偏光能を有する部
分偏光フィルムを効率的に製造することのできる方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】二色性色素は入射する光線の偏波面によ
ってその吸収率が異なり、このため、この二色性色素を
一定の向きに配列させ、こうして配列された二色性色素
にランダムな偏波面を有する光線(ランダム偏光、例え
ば、自然光)を入射させると、ある方向に偏波面を有す
る偏光が二色性色素に選択的に吸収され、この吸収され
る偏光の偏波面に直交する偏波面を有する偏光が選択的
に透過する。従って、このように一定の向きに配列され
た二色性色素に光線を入射させると、一定方向に偏波面
を有する直線偏光が選択的に出射される。
【0003】偏光フィルムは一軸延伸フィルムをこのよ
うな二色性色素によって染色することにより上記二色性
色素を延伸軸方向に配列させたもので、このような偏光
フィルムを二枚重ねると、両フィルムの延伸軸のなす角
度に応じて透過光線の強度が変化する。すなわち、二枚
の偏光フィルムをその延伸軸が一致する方向に重ね合わ
せると光線入射側の偏光フィルムを透過した直線偏光は
そのまま二枚目の偏光フィルムを透過する。これに対
し、両偏光フィルムをその延伸軸が直交する方向に重ね
合わせると入射側の偏光フィルムを透過した直線偏光は
二枚目の偏光フィルムに吸収され、光線は透過しない。
そして、この間の任意の角度θで二枚の偏光フィルムを
重ねると、この角度θの余弦 COSθに応じた強度の光線
が透過する。
【0004】このような偏光フィルムの性質を利用し
て、互いに重ね合わされた二枚の偏光フィルムを相対的
に回転させ、透過光強度を連続的に変化させて明暗を表
示したディスプレィは周知であり、数多く実用化されて
いる。また、部位によって透過光の偏波面方向の異なる
偏光フィルムを二枚重ね、この二枚の偏光フィルムを相
対的に回転させると透過光線の強度はフィルムの部位と
回転角度によって異なるため、一層アイキャッチ効果に
優れたディスプレィが構築できることも知られている。
【0005】ところで、上記一軸延伸フィルムを二色性
色素で染色する方法としては予め一軸延伸されたプラス
チックフィルムを二色性色素に接触する方法が知られて
おり、一般には二色性色素の溶液に浸漬して染色する方
法が用いられている。しかしながらこの方法によれば浸
漬した後溶液の拭き取りや乾燥という後工程が必要とな
り、煩雑である。このような後工程を省略するため、上
記一軸延伸されたプラスチックフィルムを二色性色素の
蒸気に接触させて染色させる方法も提案されている(特
開昭61−95303号公報、特開昭57−15550
9号公報、特開平3−28801号公報参照)。しかし
ながら、この方法の染色速度は極めて遅く、このため、
実用性ある偏光能を有する偏光フィルムを製造すること
が困難であった。また、全面均一に延伸された一軸延伸
フィルムを使用し、しかもこの一軸延伸フィルム全面に
二色性色素の蒸気を接触させて染色しているため、部位
によって透過光の偏波面が異なる偏光フィルムを製造す
ることが困難であった。
【0006】また、上述のように一部に偏光能を有する
部分偏光フィルムの製造方法としては、上記一軸延伸フ
ィルムの一部にアクリル樹脂等のレジスト皮膜を形成し
た後、このフィルムを二色性色素の溶液に浸漬して、上
記レジスト皮膜のない露出部位を染色し、次に上記レジ
スト皮膜を除去する方法が知られている。また、二色性
色素の溶液として極薄い溶液を使用し、レジスト皮膜形
成と染色を繰り返すことにより、そのレジスト皮膜を形
成した回数に応じて薄く(従って露出したまま上記溶液
に浸漬された回数に応じて濃く)染色することができ、
擬似的に連続した偏光能を有する偏光フィルムを製造で
きることも知られている。また、上記レジストを網目状
に印刷した後二色性色素溶液に浸漬してその露出部位を
染色することにより、その露出面積に応じてみかけの染
色濃度を変化させる方法も知られている。しかしなが
ら、これらの方法によれば、レジスト皮膜形成と染色を
繰り返し、また染色終了の度に上記溶液の拭き取りと乾
燥を繰り返す必要があり、極めて煩雑なものとならざる
を得ない上、二色性色素の浸透性をレジスト皮膜の材質
と厚さによって厳密に制御する必要があり、複雑で精細
なデザインを形成することができなかった。
【0007】また、未延伸のプラスチックフィルムに上
記レジスト皮膜を形成した後二色性色素溶液に浸漬し、
この溶液中で延伸処理する方法も知られているが、延伸
に伴うレジストの伸びやひび割れ、剥離等の現象によっ
て再現性のある結果が得られず、トラブルが絶えなかっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような事
情に着目してなされたもので、二色性色素による一軸延
伸フィルムの染色速度を向上して効率的に偏光フィルム
を製造する方法を提供することを第1の目的とし、部分
的に、特に複雑で精細な模様状に、透過光線の偏波面の
異なる部分偏光領域を有する偏光フィルムを効率的に製
造する方法を提供することを第2の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1に係
る発明は、一軸延伸フィルムの少なくとも一部に、この
一軸延伸フィルムの染色性を改善する染色性改善剤を塗
布し、次いでこの一軸延伸フィルムを二色性色素に接触
させて、上記塗布部位を二色性色素で染色することを特
徴とするものである。
【0010】このような技術的手段において、染色性改
善剤は一軸延伸フィルムの全面に塗布してもよく、また
その一部に塗布してもよい。全面に塗布した場合には、
上記一軸延伸フィルムの全面の染色性が改善されるた
め、二色性色素の接触する全面が高濃度に染色され、フ
ィルムの延伸軸に沿って二色性色素が配列して高い偏光
能を有するに至る。これに対し、一軸延伸フィルムの一
部に染色性改善剤を塗布した場合には、この塗布部位の
染色速度と非塗布部位の染色速度が著しく異なるため塗
布部位が高濃度に、非塗布部位が低濃度に染色される。
そして、高濃度に染色された部位は高い偏光能を有し、
低濃度に染色された部位は実質的に偏光能を有せず、こ
うして、部分的に偏光能を備える部分偏光フィルムを容
易に得ることができる。
【0011】また、二枚の一軸延伸フィルムを重ね、そ
の両面に染色性改善剤を全面に塗布した後二色性色素に
接触させると、この二枚の一軸延伸フィルムの全面をを
同時に染色することができる。また、この際、互いに重
ね合わされた二枚の一軸延伸フィルムの表裏に部分的に
染色性改善剤を塗布して染色すると、上記二枚のフィル
ムの塗布部位のみに偏光能を有する部分偏光フィルムを
得ることができる。そして、また、二枚の一軸延伸フィ
ルムをその延伸軸が互いに交叉する方向に重ね、且つ、
互いに異なる部位に染色性改善剤を塗布して染色する
と、表面の一軸延伸フィルムの偏光能を有する染色部位
と裏面のフィルムの偏光能を有する染色部位が異なり、
しかもその透過光線の偏波面が異なるため、重ね合わさ
れた二枚のフィルム全体として部位によって透過光線の
偏波面の異なる偏光フィルムを得ることができる。
【0012】請求項2に係る発明はこのような技術的背
景に基づいてなされたもので、すなわち、請求項2に係
る発明は、二枚の一軸延伸フィルムをその延伸軸が互い
に交叉する方向に重ね合わせ、且つ、その露出した片面
の一部に上記一軸延伸フィルムの染色性を改善する染色
性改善剤を塗布すると共に、他の片面であって上記塗布
部位と異なる部位に上記染色性改善剤を塗布し、次い
で、こうして重ね合わされた二枚の一軸延伸フィルムの
両面に二色性色素を接触させて、上記両面の塗布部位を
選択的に染色することを特徴とするものである。
【0013】このような技術的手段において、互いに重
ね合わされた二枚の一軸延伸フィルムの相対位置を固定
してこれら両フィルムの染色部位の相対位置を維持する
ため、両フィルムを接着剤等で接着することが望まし
い。
【0014】尚、一軸延伸フィルムの染色濃度は染色性
改善剤の塗布量によって異なり、従ってその偏光能は染
色性改善剤の塗布量によって異なるため、一軸延伸フィ
ルムの部位に応じて異なる量の染色性改善剤を塗布した
場合にはこの部位に応じて異なる強度の偏光能を有する
偏光フィルムを得ることができる。例えば、染色性改善
剤の量を連続的に変化する形状に塗布した場合には、得
られる偏光フィルムの偏光能強度も連続的に変化したも
のとなり、フィルムのある点から別の点までの間で透過
光線の強度が連続的に変化する(従ってその明暗が連続
的に変化する)フィルムが得られる。
【0015】請求項3に係る発明はこのような技術的背
景に基づいてなされたもので、すなわち、請求項3に係
る発明は、請求項1又は2記載の発明を前提とし、上記
一軸延伸フィルムの部位に応じて異なる量の染色性改善
剤を塗布することを特徴とするものである。
【0016】尚、一軸延伸フィルムの全面又は部分的に
染色性改善剤を塗布する方法としてはグラビア印刷法、
スクリーン印刷法等の各種印刷法が利用でき、これら印
刷法に特有の微細な画像表現や連続的な階調表現が可能
となる。例えば、部位によって版深の異なるグラビア版
を使用してグラビア印刷したり、部分的に二回又はそれ
以上重ね刷りすることにより、その塗布量を部位によっ
て変えることが可能である。フィルム全面に塗布する場
合には、上記印刷法の外、ロールコート法等が利用でき
る。一軸延伸フィルムを染色性改善剤の溶液に浸漬する
ことによってその表裏全面に塗布することも可能であ
る。塗布量としては、厚さ0.5〜50μmの皮膜を形
成する量であればよい。100μmを越える量を塗布し
ても塗布しない場合に比べて染色性は向上するが、その
効果は50μmの厚さに塗布した場合よりも低い。
【0017】また、染色性改善剤としてはゴム系共役二
重結合を有する化合物が好適に使用できる。同じゴム系
の化合物であっても、二重結合を持たないブチルゴム、
クロロプレンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム等の
化合物は一軸延伸フィルムの染色性を改善する能力がな
く、これを塗布した一軸延伸フィルムに二色性色素を接
触させても実用性に乏しい極く低濃度の染色ができるに
過ぎない。
【0018】請求項4に係る発明はこのような技術的背
景に基づいてなされたもので、すなわち、請求項4に係
る発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明を前提
とし、上記染色性改善剤が不飽和二重結合を有する化合
物であることを特徴とする。
【0019】このような不飽和二重結合を有する化合物
としては、ゴム系共役二重結合を有する化合物が使用で
き、このような化合物としては、例えば、天然ゴム、ポ
リイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン
ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム等が使用でき
る。そして、染色性改善剤としてこれらゴム系化合物を
使用した場合には、染色工程の後もこのゴム系化合物本
来の接着力は低下しないことから、これを剥離除去する
ことなくそのまま他の物質に接着する接着剤として利用
することもできる。
【0020】また、これらゴム状物質の外、染色性改善
剤として不飽和脂肪酸を使用することもできるが、この
場合には樹脂等のバインダーに上記不飽和脂肪酸を混合
することにより皮膜形成能力を付与した後に塗布する必
要がある。
【0021】尚、二色性色素を一軸延伸フィルムに接触
する方法は任意の方法でよいが、上記一軸延伸フィルム
に均一にしかも容易に二色性色素を接触させるため、上
記二色性色素を蒸気化させ、この二色性色素の蒸気に上
記一軸延伸フィルムを接触させて染色する方法が好適で
ある。
【0022】請求項5に係る発明はこのような技術的背
景に基づいてなされたもので、すなわち、請求項5に係
る発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明を前提
とし、上記一軸延伸フィルムを二色性色素の蒸気に接触
させて染色することを特徴とするものである。
【0023】二色性色素としてヨウ素を使用する場合に
は、このヨウ素が常温で昇華することから、特開平3−
28801号公報に記載のように、このヨウ素をデシケ
ーター等の密閉容器中に入れ、上記一軸延伸フィルムを
吊るして密閉容器を密閉することにより、ヨウ素を昇華
させ、その蒸気にフィルムを接触させて染色することが
できる。このように一軸延伸フィルムを二色性色素の蒸
気に接触させて染色させる場合には、そのヨウ素蒸気と
共に水蒸気を接触させることが好ましく、水蒸気の存在
により染色速度が向上する。水蒸気を接触させるために
は、ヨウ素の水溶液を密閉容器中にいれればよい。この
密閉容器中のヨウ素水溶液は、常温で放置してもヨウ素
蒸気と水蒸気を発生して、上記一軸延伸フィルムを染色
するが、加熱することによりヨウ素の昇華と水の蒸発を
促進させることも可能である。また、更に、特開昭57
−155509号公報に記載のように、紙等の担体にヨ
ウ素を吸着させ、この紙等と上記フィルムを密着させ
て、この紙から生じたヨウ素の蒸気と一軸延伸フィルム
を接触させて染色することも可能である。
【0024】また、請求項1〜5に係る発明において、
一軸延伸フィルムは二色性色素で染色できるものであれ
ばよく、ポリビニルアルコール系フィルム、ポリ塩化ビ
ニル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリアミド
系フィルム等の直鎖状結晶性高分子から構成されるプラ
スチックフィルムが使用できる。染色性の点から好適に
はポリビニルアルコール系フィルムが使用でき、例えば
ケン化度99%、延伸率300%、厚さ30〜500μ
mの一軸延伸ポリビニルアルコール系フィルムが使用で
きる。また、このようなポリビニルアルコール系フィル
ムに適する二色性色素としてはヨウ素が使用できる。
【0025】尚、こうして得られる偏光フィルムはディ
スプレィに利用できる他、液晶ディスプレィの偏光フィ
ルム等の各種表示用材料、照明器具等の照明コントロー
ル用材料、立体テレビ観賞用のメガネフィルター等に広
く利用できる。
【0026】
【作用】請求項1、4及び5に係る発明によれば、一軸
延伸フィルムの少なくとも一部に、この一軸延伸フィル
ムの染色性を改善する染色性改善剤を塗布し、次いでこ
の一軸延伸フィルムを二色性色素に接触させて、上記塗
布部位を二色性色素で染色するため、塗布しない場合に
比べて塗布部位の染色速度が飛躍的に向上する。
【0027】また、請求項2、4及び5に係る発明によ
れば、二枚の一軸延伸フィルムをその延伸軸が互いに交
叉する方向に重ね合わせ、且つ、その露出した片面の一
部に上記一軸延伸フィルムの染色性を改善する染色性改
善剤を塗布すると共に、他の片面であって上記塗布部位
と異なる部位に上記染色性改善剤を塗布し、次いで、こ
うして重ね合わされた二枚の一軸延伸フィルムの両面に
二色性色素を接触させて、上記両面の塗布部位を選択的
に染色するため、表面の一軸延伸フィルムの偏光能を有
する染色部位と裏面のフィルムの偏光能を有する染色部
位が異なり、しかもその透過光線の偏波面が異なるた
め、重ね合わされた二枚のフィルム全体として部位によ
って透過光線の偏波面の異なる偏光フィルムを得ること
が可能となる。
【0028】更に、請求項3、4及び5に係る発明によ
れば、上記一軸延伸フィルムの部位に応じて異なる量の
染色性改善剤を塗布するため、部位によって異なる強度
の偏光能を有する偏光フィルムを得ることができる。
【0029】
【実施例】
(実施例1)図1Aに示すように、ケン化度99%、延
伸率300%、厚さ35μmのポリビニルアルコール系
一軸延伸フィルム1の片面に、ブタジエン−アクリロニ
トリル共重合体ゴムの10%トルエン溶液を階調ある画
像状にグラビア印刷し、部分的に、しかもそれぞれの部
分が厚さの異なる皮膜2を構成するように、上記ブタジ
エン−アクリロニトリル共重合体ゴムの皮膜を形成し
た。印刷により形成されたブタジエン−アクリロニトリ
ル共重合体ゴム皮膜2の厚さは0.5〜100μmであ
る。
【0030】次に、水500重量部、ヨウ素6重量部、
ヨウ化カリウム15重量部から成る原液100ccに更
に水30ccを加えて希釈し、この希釈溶液をガラス容
器中に収容した。そして、上記ポリビニルアルコール系
一軸延伸フィルムをこのガラス容器の蓋に吊るした状態
でこの蓋を上記ガラス容器に被せ、密閉した。この密閉
状態のまま室温で一昼夜放置した後取り出して、得られ
た一軸延伸フィルム(図1B参照)を肉眼で観察したと
ころ、上記ブタジエン−アクリロニトリル共重合体ゴム
塗布部位は極めて高濃度に染色されており、他方非塗布
部位は極わずかに染色されていることが確認できた。
【0031】そして、この一軸延伸フィルムの一部を切
取り、切り取った一部をトルエンで洗浄したところ、上
記ブタジエン−アクリロニトリル共重合体ゴムは完全に
除去されたが、肉眼観察においてはこの部位の染色濃度
の変化は観察できなかった。この結果から、上記ブタジ
エン−アクリロニトリル共重合体ゴムが染色されている
のではなく、一軸延伸フィルムが高濃度に染色されてい
ることが確認できた。
【0032】そして、こうしてブタジエン−アクリロニ
トリル共重合体ゴムが除去された部分偏光フィルムを切
断して2枚に分割し、この2枚の部分偏光フィルムを重
ねて相対的に回転させたところ、その明暗が回転に伴っ
て変化し、これらフィルムがランダム偏光を直線偏光に
変更させる優れた偏光能を備えることが確認できた。
【0033】また、切り取られた残りの一軸延伸フィル
ムを他のフィルムに押圧したところ、これらフィルムは
上記ブタジエン−アクリロニトリル共重合体ゴムを介し
て良好に接着し、このブタジエン−アクリロニトリル共
重合体ゴムが本来の接着力を維持していることが確認で
きた。
【0034】(実施例2)ブタジエン−アクリロニトリ
ル共重合体ゴムの代わりに天然ゴムを使用した他は実施
例1と同様に密閉ガラス容器中に保存した後取り出した
ところ、塗布部位が高濃度に、非塗布部位は極低濃度に
染色されていた。
【0035】その一部を切り取って皮膜を除去したとこ
ろ、皮膜形成部位の濃度変化はなくまた2枚を重ね合わ
せて回転させたところ優れた偏光能を備えることが確認
できた。また更に、天然ゴムの接着力も維持されている
ことが確認できた。
【0036】(実施例3)ブタジエン−アクリロニトリ
ル共重合体ゴムの代わりにポリイソプレンゴムを使用し
た他は実施例1と同様に密閉ガラス容器中に保存した後
取り出したところ、塗布部位が高濃度に、非塗布部位は
極低濃度に染色されていた。
【0037】その一部を切り取って皮膜を除去したとこ
ろ、皮膜形成部位の濃度変化はなくまた2枚を重ね合わ
せて回転させたところ優れた偏光能を備えることが確認
できた。また更に、ポリイソプレンゴムの接着力も維持
されていることが確認できた。
【0038】(実施例4)ブタジエン−アクリロニトリ
ル共重合体ゴムの代わりにスチレン−ブタジエンゴムを
使用した他は実施例1と同様に密閉ガラス容器中に保存
した後取り出したところ、塗布部位が高濃度に、非塗布
部位は極低濃度に染色されていた。
【0039】その一部を切り取って皮膜を除去したとこ
ろ、皮膜形成部位の濃度変化はなくまた2枚を重ね合わ
せて回転させたところ優れた偏光能を備えることが確認
できた。また更に、スチレン−ブタジエンゴムの接着力
も維持されていることが確認できた。
【0040】(比較例)ブタジエン−アクリロニトリル
共重合体ゴムの代わりにアクリルゴムを使用した他は実
施例1と同様に密閉ガラス容器中に保存した後取り出し
たところ、塗布部位と非塗布部位の染色濃度に区別は見
当たらず、いずれの部位も極低濃度に染色されていた。
【0041】(実施例5)図2に示すように、ケン化度
99%、延伸率300%、厚さ35μmのポリビニルア
ルコール系一軸延伸フィルム11、12を2枚使用し、
その延伸軸21a及び22aが直交する方向に重ね合わ
せ、接着剤で接着した。
【0042】次に、この両面に、ブタジエン−アクリロ
ニトリル共重合体ゴムの10%トルエン溶液を画像状に
グラビア印刷し、部分的に上記ブタジエン−アクリロニ
トリル共重合体ゴムの皮膜21、22を形成した。皮膜
21、22の形状は、図3Aの平面図及び図3Bの断面
図に示すように、両皮膜21及び22が同一に部位に存
在せず、しかも全面にいずれか一方の皮膜21又は22
が存在するように、チェック模様に構成した。尚、印刷
により形成されたブタジエン−アクリロニトリル共重合
体ゴム皮膜21及び22の厚さは約50μmである。
【0043】こうして得られた2枚重ねの一軸延伸フィ
ルムを、実施例1と同様に密閉ガラス中に保存した後取
り出したところ、全面均一に高濃度に染色されていた。
【0044】そして、こうして得られた部分偏光フィル
ムを切断して2枚に分割し、この2枚の部分偏光フィル
ムを重ねて相対的に回転させたところ、その明暗が回転
に伴ってしかもチェック模様単位で変化した。
【0045】
【発明の効果】請求項1、4及び5に係る発明によれ
ば、塗布しない場合に比べて塗布部位の染色速度が飛躍
的に向上するため、優れた偏光能を有する偏光フィルム
やこの優れた偏光能を備える部分偏光領域を有する部分
偏光フィルムを効率的に製造することが可能となるとい
う効果を奏する。
【0046】また、請求項2、4及び5に係る発明によ
れば、重ね合わされた二枚のフィルム全体として部位に
よって透過光線の偏波面の異なる偏光フィルムを得るこ
とができ、他方、請求項3、4及び5に係る発明によれ
ば、互いに異なる強度の偏光能を有する部分偏光領域を
備える偏光フィルムを得ることができるため、これら複
雑で精細な部分偏光領域を備える偏光フィルムを一工程
で効率的に製造することが可能となるという効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施例を示し、図1Aは染色性
改善剤塗布工程を示す断面図、図1Bは染色後の断面
図。
【図2】図2は本発明の実施例を示し、2枚の一軸延伸
フィルムの延伸軸方向を示す説明図。
【図3】図3は本発明の他の実施例を示し、図3Aは染
色性改善剤の塗布形状を示す平面図、図3Bはその断面
図。
【符号の説明】
1 一軸延伸フィルム。 11 一軸延伸フィルム。 12 一軸延伸フィルム。 2 染色性改善剤。 21 染色性改善剤。 22 染色性改善剤。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大平 猛雄 東京都台東区台東一丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内 (72)発明者 吉川 晶 東京都台東区台東一丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一軸延伸フィルムの少なくとも一部に、こ
    の一軸延伸フィルムの染色性を改善する染色性改善剤を
    塗布し、 次いでこの一軸延伸フィルムを二色性色素に接触させ
    て、上記塗布部位を二色性色素で染色することを特徴と
    する偏光フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】二枚の一軸延伸フィルムをその延伸軸が互
    いに交叉する方向に重ね合わせ、且つ、その露出した片
    面の一部に上記一軸延伸フィルムの染色性を改善する染
    色性改善剤を塗布すると共に、他の片面であって上記塗
    布部位と異なる部位に上記染色性改善剤を塗布し、 次いで、こうして重ね合わされた二枚の一軸延伸フィル
    ムの両面に二色性色素を接触させて、上記両面の塗布部
    位を選択的に染色することを特徴とする偏光フィルムの
    製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2記載の偏光フィルムの製造
    方法において、 上記一軸延伸フィルムの部位に応じて異なる量の染色性
    改善剤を塗布することを特徴とする偏光フィルムの製造
    方法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の偏光フィ
    ルムの製造方法において、 上記染色性改善剤が不飽和二重結合を有する化合物であ
    ることを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の偏光フィ
    ルムの製造方法において、 上記一軸延伸フィルムを二色性色素の蒸気に接触させて
    染色することを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014211548A (ja) * 2013-04-19 2014-11-13 住友化学株式会社 偏光能を示さない領域を有する偏光性積層フィルムの製造方法及び偏光板
US10215901B2 (en) * 2015-11-04 2019-02-26 Nitto Denko Corporation Polarizer, polarizing plate, and method of producing polarizer

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