JPH06166540A - 結晶化ガラス装飾品及びその製造方法 - Google Patents

結晶化ガラス装飾品及びその製造方法

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JPH06166540A
JPH06166540A JP35965292A JP35965292A JPH06166540A JP H06166540 A JPH06166540 A JP H06166540A JP 35965292 A JP35965292 A JP 35965292A JP 35965292 A JP35965292 A JP 35965292A JP H06166540 A JPH06166540 A JP H06166540A
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JP
Japan
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glaze
crystallized glass
thermal expansion
colored
colored glaze
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Application number
JP35965292A
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English (en)
Inventor
Akira Inoue
明 井上
Shirohito Matsuyama
城仁 松山
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Narumi China Corp
Original Assignee
Narumi China Corp
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Publication date
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Publication of JPH06166540A publication Critical patent/JPH06166540A/ja
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/02Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with glass

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大きな厚みの彩飾釉層を有し,かつ耐熱衝撃
性に優れた結晶化ガラス装飾品及びその製造方法を提供
すること。 【構成】 SiO2 ─Al23 ─Li2 O系結晶化ガ
ラス装飾品の表面に彩飾釉層を有する。彩飾釉層は,リ
シア系結晶又はコーディエライトの一方又は双方を含む
釉原料を含有する低熱膨張着色釉よりなり,その厚みは
50〜500μmである。上記装飾品の製法としては,
核化剤を含有する上記結晶化ガラスの素材成形品に,低
熱膨張着色釉を塗布し,結晶化熱処理して,素材成形品
を結晶化すると共に彩飾釉層を形成する。尚,結晶化ガ
ラス成形品の表面に低熱膨張着色釉を塗布し,その後加
熱してもよい。上記低熱膨張着色釉は,硼酸又は酸化亜
鉛の一方又は双方を含む平滑剤を含有することが好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,大きな厚みの彩飾釉層
を有する結晶化ガラス装飾品及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来技術】SiO2 ─Al23 ─Li2 O系結晶化
ガラスは,非常に熱膨張係数が低い(0〜11×10-7
/℃)。そのため,700〜800℃の直火に晒して
も,また結晶化ガラスが赤熱した後水中に投入しても,
亀裂が発生することがなく,耐熱衝撃性に優れている。
このため,結晶化ガラスは,鍋,コーヒーメーカー用ポ
ット等の超耐熱台所用品,或いはグラタン皿,電磁調理
器用食器,電子レンジ用食器等の加熱用容器,電気又は
ガス調理器のトッププレート等の熱器具といったよう
に,一般家庭において様々な用途がある。
【0003】このように,結晶化ガラスを家庭日常用品
として用いる場合には,表面に装飾模様を施して見栄え
をよくすることが望まれる。そこで,従来より,結晶化
ガラスの表面に釉薬を塗布して,これを焼き付けること
が行われている。釉薬はガラス成分を含んでいるため,
焼き付けによりガラスが溶融し,調理用品の表面に光沢
のある彩飾釉層を形成することができる。
【0004】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記釉薬に含
まれるガラスは,熱膨張係数が8〜10×10-6/℃と
高いため,熱膨張係数の低い上記結晶化ガラスに釉薬を
塗布すると,その焼き付けの際に,クラックが発生する
ことがある。そのために,釉薬の熱膨張係数を低減させ
る方法が以下のように提案されている。
【0005】第1に,β─ユークリプタイトを主要結晶
相とするガラスエナメルを用いて,結晶化ガラスの表面
にエナメルコーティング層を形成する方法(特公昭45
─24475号)がある。しかし,この方法において
は,一旦原料をガラスエナメル化した後に,コーティン
グするという結晶化処理をするもので,コスト的に問題
がある。
【0006】第2に,10wt%以下のP25 等の核
形成成分を含むLi2 O含有ガラスガラス原料を用いた
フラックスを,着色料と混ぜて絵具を調製し,該絵具を
結晶化ガラスに塗布し,焼き付ける方法(特開昭61─
44735号)がある。しかし,この方法においても上
記フラックスを用いているので彩色釉層にクラックが発
生するおそれがある。
【0007】第3に,結晶化ガラス中に金コロイドを分
散させた釉薬を用いる方法(特公昭40─235号)が
ある。しかし,この方法では,クラック防止のためには
結晶化ガラスの表面に彩飾釉層を薄く形成しなければな
らない(厚み0.05〜0.1μm)。そのため,彩飾
釉層に色ムラができやすい。また,使用時には,彩飾釉
層が薄いため機械的衝撃により損傷を受け易く,剥離し
易い。
【0008】従って,上記いずれの方法においても,彩
飾釉層に問題があり,低熱膨張という結晶化ガラスの特
性を生かした結晶化ガラス装飾品を得ることが困難であ
った。本発明はかかる問題点に鑑み,大きな厚みの彩飾
釉層を有し,かつ耐熱衝撃性に優れた結晶化ガラス装飾
品及びその製造方法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題の解決手段】本発明は,SiO2 ─Al23
Li2 O系結晶化ガラスの表面に彩飾釉層を設け,該彩
飾釉層は,リシア系結晶又はコーディエライトの一方又
は双方を含む釉原料を含有する低熱膨張着色釉よりな
り,その厚みは50〜500μmであることを特徴とす
る結晶化ガラス装飾品にある。
【0010】本発明において最も注目すべきことは,低
熱膨張着色釉が,リシア系結晶(Li2 O)又はコーデ
ィエライト(Mg2 Al4 Si518)の一方又は双方
よりなる釉原料を主成分として含有していることであ
る。ここにリシア系結晶の熱膨張係数は,約0〜12×
10-7/℃であり,コーディエライトの熱膨張係数は,
10〜30×10-7/℃である。
【0011】リシア系結晶を主成分とする低熱膨張着色
釉は,リシア系結晶の他にシリカ(SiO2 ),アルミ
ナ(Al23 )などの副成分を含有している。また低
熱膨張着色釉中におけるリシア系結晶の含有率は,20
〜100wt%であることが好ましい。20wt%未満
では,クラック発生の問題がある。
【0012】また,コーディエライトを主成分とする低
熱膨張着色釉は,コーディエライトの他にシリカ(Si
2 ),アルミナ(Al23 )等の副成分を含有して
いる。また,低熱膨張着色釉中におけるコーディエライ
トの含有率は,20〜100wt%であることが好まし
い。20wt%未満では,クラック発生の問題がある。
【0013】また,本発明において,上記低熱膨張着色
釉は,リシア系結晶又はコーディエライトの一方又は双
方を含む釉原料と,硼酸又は酸化亜鉛の一方又は双方を
含む平滑剤とを含有していることが好ましい。該平滑剤
を含有する低熱膨張着色釉は,彩飾釉層の結晶構造を緻
密にし,その釉面を平滑なものにする。
【0014】上記硼酸(B2 3 )は,上記低熱膨張着
色釉中に0.1〜10wt%含有されていることが好ま
しい。0.1wt%未満では低熱膨張着色釉の結晶構造
は粗くなり,またその釉面も粗くなるおそれがある。1
0wt%を越える場合は,彩飾釉層にクラックが発生す
るおそれがある。
【0015】また,上記低熱膨張着色釉は,硼酸のかわ
りに酸化亜鉛を含有してもよい。酸化亜鉛(ZnO)
は,低熱膨張着色釉中に14〜20wt%含有されてい
ることが好ましい。14wt%未満では彩飾釉層の結晶
構造は粗くなり,またその釉面も粗くなるおそれがあ
る。20wt%を越える場合にはクラックが発生するお
それがある。
【0016】また,上記低熱膨張着色釉は,硼酸及び酸
化亜鉛の双方を含有してもよい。この場合,低熱膨張着
色釉中には,硼酸が0.1〜10wt%,酸化亜鉛が1
4〜20wt%含有していることが好ましい。硼酸が
0.1wt%未満,酸化亜鉛が14wt%未満では彩飾
釉層の結晶構造は粗くなり,またその釉面も粗くなるお
それがある。一方,硼酸が10wt%を越え,酸化亜鉛
が20wt%を越えた場合には,彩飾釉層にクラックが
発生するおそれがある。
【0017】上記彩飾釉層は,上記低熱膨張着色釉を結
晶化ガラスの表面に焼付けたもので,その厚みは50〜
500μmである。50μm未満では,彩色釉層に色ム
ラが生じるおそれがある。また彩色釉層の彩色効果が乏
しくなる。また,500μmを越える場合には,それに
伴う効果は少ない。
【0018】また,本発明は,前記のごとく,鍋,ポッ
ト,皿,電子レンジ用食器等の他,結晶化ガラスを用い
た板状物,棒状物,置物などのインテリア用品など,種
々の結晶化ガラス装飾品に適用することができる。
【0019】上記結晶化ガラス装飾品を製造する方法と
しては第1に,核化剤を含有するSiO2 ─Al23
─Li2 O系結晶化ガラスのガラス原料により成形され
た素材成形品に,低熱膨張着色釉を塗布し,次いでこれ
らを結晶化熱処理することにより,上記素材成形品を結
晶化すると共に上記低熱膨張着色釉を焼き付けて彩飾釉
層を形成する方法がある。この場合において,上記低熱
膨張着色釉は,リシア系結晶又はコーディエライトの一
方又は双方を含む釉原料を主成分とすることを特徴とす
る。
【0020】上記低熱膨張着色釉は,釉原料及び着色剤
を,水又はバインダーを加えて混合し,ペースト状又は
スラリー状にしたものである。上記釉原料は,上記リシ
ア系結晶又はコーディエライトの一方又は双方を含有し
ている。
【0021】例えばリシア系結晶を含有する釉原料とし
ては,ペタライト(Li2 Al2 Si820)又はスポ
ジューメンを主成分とし,これに,例えば,石灰石(C
aCO3 ),酸化亜鉛(ZnO),炭酸バリウム(Ba
CO3 ),炭酸マグネシウム(MgCO3 ),蛙目粘土
等を含有している。蛙目粘土は,石英,カオリナイト,
長石等を含有する粘土である。
【0022】また,上記釉原料は,上記リシア系結晶又
はコーディエライトの一方又は双方を含む釉原料の他
に,硼酸又は酸化亜鉛の一方又は双方を含む平滑剤を含
有していることが好ましい。これにより,上述したごと
く,結晶構造が緻密で釉面が平滑な彩飾釉層を有する結
晶化ガラス装飾品を製作することができる。
【0023】また,上記釉原料に,ジルコン(ZrSi
4 )等の乳濁剤,金属酸化物等の着色剤を混合するこ
とができる。上記乳濁剤は,それ自身は発色しないが,
つや消しの効果を奏するものである。
【0024】上記金属酸化物としては,Fe23 (酸
化鉄),CoO(酸化コバルト),MnO2 (二酸化マ
ンガン),CuO(酸化銅),NiO(酸化ニッケ
ル),Cr23 (酸化クロム),TiO2 (酸化チタ
ン),V25 (酸化バナジウム),Pr23 (プラ
セオジウム酸化物)等の遷移金属酸化物,或いはSb2
3 (酸化アンチモン),ZnO(酸化亜鉛)等の1種
又は2種以上を用いる。
【0025】上記釉原料には,着色剤0.1〜10重量
部,乳濁剤1〜10重量部,増粘剤0.1〜10重量部
を添加することが好ましい。上記ガラス原料に含まれて
いる核化剤としては,P25 ,TiO2 ,ZrO2
を用いる。上記素材成形品は,SiO2 ─Al23
Li2 O系結晶化ガラスのガラス原料を成形したもので
ある。素材成形品の表面には上記低熱膨張着色釉が施さ
れる。
【0026】上記素材成形品の表面に上記低熱膨張着色
釉を施すに当たっては,スプレー法,ディップ法,筆塗
り法等により行い,その後塗膜を乾燥する。上記結晶化
熱処理は,乾燥した塗膜を1000〜1200℃で加熱
することにより行う。1000℃未満の場合には,結晶
化が困難であり,かつ低熱膨張着色釉の焼き付けが不充
分であるおそれがある。1200℃を越える場合には,
素材成形品が変形するおそれがある。
【0027】また,本発明の結晶化ガラス装飾品を製造
する方法としては第2に,核化剤を含有するSiO2
Al23 ─Li2 O系結晶化ガラスのガラス原料によ
り成形された素材成形品を結晶化熱処理して結晶化ガラ
ス成形品となし,該結晶化ガラス成形品の表面に低熱膨
張着色釉を塗布し,その後加熱することにより低熱膨張
着色釉を素材成形品に焼き付けて彩飾釉層を形成する方
法がある。この場合において,上記低熱膨張着色釉は,
リシア系結晶又はコーディエライトの一方又は双方を含
む釉原料を含有することを特徴とする。この方法は,素
材成形品が結晶化ガラス成形品となった後に,低熱膨張
着色釉を塗布する方法であり,その他は,前記第1の結
晶化ガラス装飾品の製造方法と同様である。
【0028】
【作用及び効果】本発明の結晶化ガラス装飾品は,低熱
膨張着色釉を用いて彩飾釉層を結晶化ガラスの上に形成
している。低熱膨張着色釉には,主成分として低熱膨張
係数のリシア系結晶またはコーディエライトが含まれて
いる。そのため,彩飾釉層は,結晶化ガラスの表面に強
く焼き付けられており,また両者の熱膨張係数も近似し
ている。
【0029】更に,低熱膨張着色釉には上記釉原料を含
んでいるので,通常の低膨張セラミックス製品のよう
に,一日ガラス化した後に結晶化させるという処理を行
う必要はなく,本体の素材成形品の結晶化と同時に低熱
膨張着色釉をガラス化することができる。従って,本発
明によれば,従来よりも製造工程数を少なくすることが
できる。
【0030】それ故,本発明の結晶化ガラス装飾品は結
晶化ガラス本体は勿論のこと,彩飾釉層も耐熱衝撃性に
優れている。また,彩飾釉層は,その厚さが50〜50
0μmであり,従来に比べて厚いため,結晶化ガラスの
表面から剥離しにくく,また機械的損傷を受けにくい。
【0031】また,本発明の結晶化ガラス装飾品は,彩
飾釉層の厚みが大きいので,彩飾釉層に従来のごとく色
むらを生ずることがなく,所望の彩色,明度,色種をつ
けることができる。それ故,和調,洋調,或いは明色,
暗色等の各種の色あいをもたせることができる。従っ
て,従来の白色基調に部分彩色を施したもの,または重
厚性を有する新しい外観の結晶化ガラス装飾品が得られ
る。また,上記結晶化ガラス装飾品の製造方法によれ
ば,前記のごとき優れた結晶化ガラス装飾品を製造する
ことができる。
【0032】また,結晶化ガラス装飾品は,板状,棒
状,四角形状等のようにいかなる形状でも,その表面に
彩飾釉層を設けることができ,多くの用途がある。ま
た,結晶化ガラスの特性を保持しながら,今までとは全
く異なった様相の結晶化ガラス装飾品を作製することが
できる。
【0033】また,上記の結晶化ガラス装飾品及びその
製造方法において,前記の平滑剤を併用した場合には,
前記のごとく,結晶化ガラスの結晶構造が緻密で,釉面
が平滑な彩飾釉層を有する結晶化ガラス装飾品を得るこ
とができる。以上のごとく,本発明によれば,大きな厚
みの彩飾釉層を有し,かつ耐熱衝撃性に優れた結晶化ガ
ラス装飾品及びその製造方法を提供することができる。
【0034】
【実施例】
実施例1 本発明にかかる実施例について説明する。本例の結晶化
ガラス装飾品は,SiO2 ─Al23 ─Li2 O系結
晶化ガラスの表面に彩飾釉層を設けている。上記彩飾釉
層は,釉原料を含有する低熱膨張着色釉よりなり,かつ
その厚みは50〜500μmである。上記釉原料は,リ
シア系結晶であり,後述する実施例2に示したペタライ
トを用いたものである。本例の上記結晶化ガラス装飾品
は,土鍋風の結晶化ガラス鍋である。
【0035】上記彩飾釉層の熱膨張係数は12×10-7
/℃であり,SiO2 ─Al23─Li2 O系結晶化
ガラスの熱膨張係数(11×10-7/℃)と近似してい
る。また,上記彩飾釉層は,結晶化ガラス鍋に,その外
底面を除いて,全て施してある。彩飾釉層は,ベージュ
色であり,その釉面はザラザラである。そのため,一見
土鍋風を有し,柔らかな,温かみのある外観を呈してい
る。
【0036】次に,本例の作用効果について,説明す
る。本例の結晶化ガラス装飾品は,低熱膨張着色釉を用
いて彩飾釉層を結晶化ガラスの上に形成している。低熱
膨張着色釉には,主成分として低熱膨張係数のリシア系
結晶が含まれている。そのため,彩飾釉層は,結晶化ガ
ラスの表面に強く焼き付けられており,また両者の熱膨
張係数も近似している。それ故,結晶化ガラス装飾品は
耐熱衝撃性に優れている。
【0037】また,彩飾釉層は,その厚さが50〜50
0μmであり,従来に比べて厚いため,結晶化ガラスの
表面から剥離しにくく,また機械的損傷を受けにくい。
また,電磁調理器,電子レンジ,オーブンにより加熱し
ても,何の支障もなく使用することが可能である。
【0038】また,本例の結晶化ガラス鍋は,結晶化ガ
ラスをその本体に用いているので従来の土鍋と異なっ
て,吸水性がない。そのため,長期間使用しても彩飾釉
層が剥離することがない。また,本例の結晶化ガラス鍋
の曲げ強度は,1500kg/cm2 であり,従来の土
鍋の曲げ強度300kg/cm2 と比較して5倍近い強
度である。そのため,物理的耐久性に優れ,長期間使用
することができる。
【0039】さらに,鍋底に電磁調理器対応用の銀膜又
はアルミの薄膜を張った場合,餅を煮えたたせて,こげ
るまで煮つめると,通常の土鍋は吸水性があるため,水
の水蒸気化により割れてしまう。しかし,本例の結晶化
ガラス鍋はこのような場合も破損しない。このことから
も上記効果が充分理解される。
【0040】また,本例の結晶化ガラス装飾品は,彩飾
釉層の厚みが大きいので,彩飾釉層に従来のごとく色む
らを生ずることがなく,所望の彩色,明度,色種をつけ
ることができる。それ故,土鍋風に加工し,和調,洋
調,或いは明色,暗色等の各種の色あいをもたせること
ができる。
【0041】実施例2 上記実施例1の結晶化ガラス装飾品を作製する方法を説
明する。まず,核化剤としてのP25 ,ZrO2 ,T
iO2 を含有するSiO2 ─Al23 ─Li2 O系結
晶化ガラスのガラス原料により,従来と同様に素材成形
品を成形する。次いで,該素材成形品に低熱膨張着色釉
を塗布する。上記低熱膨張着色釉は,低熱膨張着色釉原
料に水を加えて混合し,スラリー状にしたものである。
【0042】上記低熱膨張着色釉には,釉原料100重
量部に対して,着色剤10重量部,乳濁剤10重量部,
増粘剤10重量部が含まれている。上記釉原料は,リシ
ア系結晶を含有するペタライト75wt%,石灰石2w
t%,酸化亜鉛12wt%,炭酸バリウム3wt%,炭
酸マグネシウム3wt%,蛙目粘土5wt%を用いる。
上記蛙目粘土は,石英,カオリナイト,長石等を含有す
る粘土である。
【0043】上記着色剤は,60wt%Fe23 ,4
0wt%Sb23 を用いる。上記乳濁剤は,ジルコン
を用いる。増粘剤は,メチルセルローズ,又は無機電解
質からなる亜硝酸ナトリウム,炭酸アンモニウム,炭酸
カリウム,塩化カリウム,塩化バリウム等を用いる。
【0044】低熱膨張着色釉原料は,等量の水を加え
て,これらをアルミナ玉石の入った磁製ポットミル中で
混合粉砕される。これにより得られた低熱膨張着色釉の
粘度は4poiseであり,♯165メッシュパスの粒
径である。
【0045】次に,上記素材成形品の外底面を除く表面
に,スプレーガン又はディッピングにより上記低熱膨張
着色釉を塗布する。次いで,これらに結晶化熱処理を行
うことにより,素材成形品を結晶化すると共に低熱膨張
着色釉を焼き付けて彩飾釉層を形成する。
【0046】上記結晶化熱処理は,塗膜を乾燥した後,
1100℃,40分間加熱することにより行った。これ
により,外底面を除く全表面に彩飾釉層が形成された実
施例1に示した優れた効果を有する結晶化ガラス鍋が得
られた。
【0047】また,比較例として,本例の低熱膨張着色
釉の代わりに,陶磁器装飾用の釉薬を用いて,種々の厚
み(5〜500μm)の彩色釉層を形成した結晶化ガラ
ス装飾品を作製した。上記彩飾釉層は,PbO,SiO
2 ,B23 ,Al23 を含有するものであった。そ
の結果,厚み10μm以上の彩飾釉層には,結晶化熱処
理後の冷却の際に,クラックが発生した。
【0048】実施例3 本例は,前記実施例1の結晶化ガラス装飾品の他の製造
方法について説明する。まず,核化剤を含有するSiO
2 ─Al23 ─Li2 O系結晶化ガラスのガラス原料
により素材成形品を成形する。次に,該素材成形品を結
晶化熱処理して結晶化ガラス成形品となす。
【0049】次に,該結晶化ガラス成形品の表面にコー
ディエライトを含有する低熱膨張着色釉を塗布し,その
後加熱することにより低熱膨張着色釉を素材成形品に焼
き付ける。これにより,結晶化ガラスの彩飾釉層を形成
する。
【0050】該結晶化熱処理の条件は,1100℃,4
0分間である。また,その後に行われる低熱膨張着色釉
の焼き付けの温度条件は,1100℃,40分間であ
る。その他は,上記実施例2と同様である。本発明にお
いても,実施例2と同様の効果を得ることができた。
【0051】実施例4 本例においては,着色剤としてMnO2 ,Fe23
用い,黒色系の彩飾釉層を有する結晶化ガラス装飾品を
作製した。その他は実施例1と同様である。また,本例
においても実施例1と同様の効果が得られた。
【0052】実施例5 本例においては,着色剤としてFe23 を用い,茶色
系の彩飾釉層を有する結晶化ガラス装飾品を作製した。
その他は実施例1と同様である。また,本例においても
実施例1と同様の効果が得られた。
【0053】実施例6 本例においては,前記実施例1,4,5の結晶化ガラス
装飾品における焼成後の彩飾釉層について,X線回折測
定を行った。その結果を表1に示す。同表より知られる
ごとく,上記いずれの彩飾釉層においても,ユークリプ
タイト,スポジュメン,α−クォーツの結晶が形成され
ていた。また,上記各実施例において加えた着色剤が,
種々の色に発色した。また乳濁剤由来のZnO2 は,そ
れ自身は発色しないが,彩飾釉層のつや消し効果に関与
していることが分かった。
【0054】
【表1】
【0055】実施例7 本例の結晶化ガラス装飾品においては,彩飾釉層は,リ
シア系結晶を含む釉原料と,硼酸を含む平滑剤とを含有
している低熱膨張着色釉よりなり,その厚みは50〜5
00μmである。上記結晶化ガラス装飾品は,外底面を
除く全表面に,上記低熱膨張着色釉からなる彩飾釉層が
形成された洋風の結晶化ガラス鍋である。
【0056】次に,上記結晶化ガラス装飾品の製造方法
について説明する。まず,実施例2と同様に素材成形品
を成形する。次いで,該素材成形品に本例に係る低熱膨
張着色釉を塗布する。
【0057】該低熱膨張着色釉は,釉原料100重量部
と着色剤10重量部と乳濁剤10重量部とからなる低熱
膨張着色釉原料に水を加えて混合し,スラリー状にした
ものである。上記釉原料は,リシア系結晶を含有するペ
タライト75wt%,石灰石12wt%,炭酸バリウム
3wt%,炭酸マグネシウム3wt%,蛙目粘土5wt
%,及び平滑剤としての硼酸2wt%を用いる。
【0058】上記低熱膨張着色釉を調製するにあたって
は,低熱膨張着色釉原料に水20〜200wt%加え,
磁製ポットを用いて,1〜24時間粉砕し,♯100メ
ッシュパスの粒径にする。次に,これに増粘剤としての
塩化カリウムを適量添加し,粘度1〜10poiseの
低熱膨張着色釉を得る。次に,上記素材成形品の外底面
を除く表面に,スプレー掛けにより上記低熱膨張着色釉
を塗布する。次いで,これらを実施例2と同様の条件で
焼き付けて彩飾釉層を形成する。これにより,釉面が滑
らかな洋風の結晶化ガラス鍋が得られた。
【0059】次に,得られた結晶化ガラス鍋の彩飾釉層
の釉面の平均粗さ(Ra)を測定したところ,1.4μ
mであった。また,上記彩飾釉層について電子顕微鏡観
察をしたところ,非常に緻密なスポデュメンの結晶が形
成されていた。また,比較のため,硼酸を含まない実施
例1に係る低熱膨張着色釉を用いて彩飾釉層を作成し
た。その釉面はザラザラであり,平均粗さ(Ra)は
7.0μmであった。
【0060】次に,本例の結晶化ガラス鍋の加熱実験を
行った。即ち,上記結晶化ガラス鍋を320℃程度に十
分に加熱して,これを20℃の水中に投入して急冷し
た。この加熱急冷を10回繰り返したが,破損はなかっ
た。
【0061】実施例8 本例の結晶化ガラス装飾品において,彩飾釉層は,リシ
ア系結晶を含む釉原料及び酸化亜鉛を含む平滑剤を含有
している低熱膨張着色釉よりなり,その厚みは100〜
150μmである。
【0062】上記結晶化ガラス装飾品は,リシア系結晶
を含有するペタライト75wt%,石灰石2wt%,炭
酸バリウム3wt%,炭酸マグネシウム3wt%,蛙目
粘土5wt%,及び平滑剤としての酸化亜鉛12wt%
よりなる釉原料を用いて,実施例7と同様に製造した。
その他は実施例7と同様である。本例においても実施例
7と同様の効果を得ることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SiO2 ─Al23 ─Li2 O系結晶
    化ガラスの表面に彩飾釉層を設け,該彩飾釉層は,リシ
    ア系結晶又はコーディエライトの一方又は双方を含む釉
    原料を含有する低熱膨張着色釉よりなり,その厚みは5
    0〜500μmであることを特徴とする結晶化ガラス装
    飾品。
  2. 【請求項2】 核化剤を含有するSiO2 ─Al23
    ─Li2 O系結晶化ガラスのガラス原料により成形され
    た素材成形品に,低熱膨張着色釉を塗布し,次いでこれ
    らを結晶化熱処理することにより,上記素材成形品を結
    晶化すると共に上記低熱膨張着色釉を焼き付けて彩飾釉
    層を形成する方法であって,上記低熱膨張着色釉は,リ
    シア系結晶又はコーディエライトの一方又は双方を含む
    釉原料を含有することを特徴とする結晶化ガラス装飾品
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 核化剤を含有するSiO2 ─Al23
    ─Li2 O系結晶化ガラスのガラス原料により成形され
    た素材成形品を結晶化熱処理して結晶化ガラス成形品と
    なし,該結晶化ガラス成形品の表面に低熱膨張着色釉を
    塗布し,その後加熱することにより低熱膨張着色釉を素
    材成形品に焼き付けて彩飾釉層を形成する方法であっ
    て,上記低熱膨張着色釉は,リシア系結晶又はコーディ
    エライトの一方又は双方を含む釉原料を含有することを
    特徴とする結晶化ガラス装飾品の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1において,上記低熱膨張着色釉
    は,リシア系結晶又はコーディエライトの一方又は双方
    を含む釉原料と,硼酸又は酸化亜鉛の一方又は双方を含
    む平滑剤とを含有することを特徴とする結晶化ガラス装
    飾品。
  5. 【請求項5】 請求項2又は3において,上記低熱膨張
    着色釉は,リシア系結晶又はコーディエライトの一方又
    は双方を含む釉原料と,硼酸又は酸化亜鉛の一方又は双
    方を含む平滑剤とを含有することを特徴とする結晶化ガ
    ラス装飾品の製造方法。
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