JPH06165619A - ラベンダー切り花の鮮度保持方法 - Google Patents

ラベンダー切り花の鮮度保持方法

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JPH06165619A
JPH06165619A JP27075192A JP27075192A JPH06165619A JP H06165619 A JPH06165619 A JP H06165619A JP 27075192 A JP27075192 A JP 27075192A JP 27075192 A JP27075192 A JP 27075192A JP H06165619 A JPH06165619 A JP H06165619A
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lavender
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cut flowers
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Sueo Urushizaki
末夫 漆崎
Yousuke Matsuda
養助 松田
Masaru Ikeda
勝 池田
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HOKKAIDO NOGYO SHIKENJO
NAKAFURANO NOGYO KYODO KUMIAI
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HOKKAIDO NOGYO SHIKENJO
NAKAFURANO NOGYO KYODO KUMIAI
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Abstract

(57)【要約】 【構成】ラベンダーを蕾状態の時に茎長が30cm以下の長
さとなるように収穫し、直ちに低温の密閉容器に横積み
し、その後無風、暗黒下、温度0〜10℃、相対湿度90〜
95%、酸素濃度10〜20% で、しかも上記ラベンダーの切り
花より生ずるエチレンを取り除くような条件下で保存す
るラベンダー切り花の鮮度保持方法。 【効果】ラベンダー切り花の高品質貯蔵・流通が可能と
なり、これまで未開発であったラベンダーの切り花とし
ての利用が期待される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、収穫後のラベンダー
切り花の貯蔵・流通に際しての鮮度保持方法に関し、更
に詳しくは収穫する時期及び茎長を特定し、収穫後は環
境制御によって貯蔵・流通に際してラベンダー切り花の
鮮度を保持する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ラベンダーは古来よりヨーロッパに自生
していたシソ科の小低木で、ハーブ特有のその香りは自
然の入浴剤や防腐剤等として利用されてきた。
【0003】我国には北海道に昭和12年に導入されて以
来、幾多の品種改良が重ねられ、今日ではその用途も香
水、化粧水、石鹸、浴湯料及びハーブティーなど香料原
料の他に、乾燥花はドライフラワー、ポプリやリース等
手芸用として利用されるに留まらず、新たな観光資源と
して地域農業振興の上から重要な役割を果たしつつあ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】ラベンダーのうち、
長茎品種のおかむらさき(種苗番号4号)は香料の原料
として、短茎品種のはやざき3号(種苗番号3号)は鑑
賞用に需要があったが、共に切り花として鑑賞とともに
香りを楽しむ等のニーズが期待されるが、ラベンダーの
切り花は落蕾、落花や茎の曲がり等を生じ易く、貯蔵・
流通に不向きであるとされていた。
【0005】そこで、本願発明者らはラベンダーの市場
性を高めるために、ラベンダーの切り花の鮮度保持方法
を開発することを目的として、鋭意研究の結果、これま
でラベンダーが切り花として貯蔵・流通に不向きであっ
た最大の原因がその品種を問わず水分を失い易く、乾燥
によって落蕾、落花や茎の曲がり等を生じ、また乾燥を
防ぐため吸水処理を行うと吸水し過ぎて生理障害を生
じ、同様な劣化を生ずるところにあり、したがってラベ
ンダー切り花の鮮度を保持するにも水分のコントロール
を図ることが必要であるとの結論に達した。
【0006】しかし、水分の蒸散量は一般に農産物の種
類によっても当然異なるが、同一品種を同じ栽培方法で
栽培しても、保蔵する環境の温度・湿度・成熟老化ホル
ンモン(エチレン)濃度・風の強さ・光の強さなどの条
件によって左右される。
【0007】そこで、本願発明者らはラベンダーの切り
花について落蕾、落花や茎の曲がり及び茎葉色等を観察
するとともに香りを嗅ぎつつ、水分の蒸散と吸入のバラ
ンスなどによる生重を鮮度指標として実験を重ねたとこ
ろ、貯蔵・流通が可能な保蔵条件を見出した。
【0008】
【問題点を解決するための手段】この発明はこの知見に
基づいて、ラベンダーを蕾状態の時に茎長が30cm以下の
長さとなるように収穫し、直ちに低温の密閉容器に横積
みし、その後切り花が振動を受ける輸送時以外は花蕾を
上向きとする姿勢を保持するように束ね、無風、暗黒
下、温度0〜10℃、相対湿度90〜95%、酸素濃度10〜20%
で、しかも上記ラベンダーの切り花より生ずるエチレン
を取り除くような条件下に移して保存するラベンダー切
り花の鮮度保持方法を提案するものである。
【0009】ここで、蕾状態で切り取られたラベンダー
の切り花の保存は、例えば天然のゼオライトや改質した
多孔質アルミニウム燒結板等の多孔質板を素材とした閉
鎖空間(コンテナ)内に保存中一切の風や光を断つ、即
ち無風、暗黒下で、温度0〜10℃に保つことにより行な
われる。
【0010】このようにすると、切り花より生ずる微量
のエチレンガスは空間を閉鎖する上記多孔質板の有する
ガス吸着吸収能により取り除かれる。
【0011】酸素については、切り花は酸素呼吸してお
り、閉鎖空間内の酸素濃度は低下するが、これに応じて
空間外からは空気中の酸素が上記多孔質板のガスバリア
性により空間内に侵入して閉鎖空間内の酸素濃度は10〜
20% で平衡に達する。
【0012】なお、保存条件において酸素濃度が10% 以
下では切り花の呼吸が困難になり、品質劣化を招き易
く、また20% 以上では切り花の呼吸が促進され、これに
よって体内養分の消耗が増大し、同様に品質劣化する。
【0013】水蒸気については、切り花から生理作用
(蒸散)により水蒸気が発散されるので、閉鎖空間内で
は温度に対応して飽和に達する。なお、水蒸気に対する
上記多孔質板の吸着吸収能は小さく、したがって閉鎖空
間内は相対湿度90〜95% 程度の高湿度に保たれる。
【0014】
【発明の効果】この発明によれば、ラベンダー切り花の
高品質貯蔵・流通が可能となり、これまで未開発であっ
たラベンダーの切り花としての利用が期待される。
【0015】
【実施例】以下、この発明を実施例により更に詳しく説
明する。 実施例1 北海道中富良野農協管内において長茎品種・おかむらさ
き(種苗番号4号)及び短茎品種・はやざき3号(種苗
番号3号)を蕾状態の時に、品種・おかむらさきは茎長
20cm,30cm,及び50cmに、品種・はやざき3号は茎長20cm
に切り揃えて収穫し、直ちに花蕾を上向きとする姿勢を
保持するように束ね、冷却剤によって10℃以下に冷やさ
れている密閉ボックスに横置きに入れ、更にその後北海
道農業試験場(芽室)内に設けられた多孔質板を素材と
した資材で囲まれた密閉空間内に収容し、無風、暗黒
下、温度4℃、湿度90〜95% 、酸素濃度10〜20% 、ラベ
ンダーの切り花より生ずる微量のエチレンが取り除かれ
るような条件下で、2週間保存した。その後、現地にお
ける夏場の通常的な室内環境[温度23〜30℃、湿度65〜
75%、エチレンは自然拡散、無風、自然光と蛍光灯(昼
間)・暗黒(夜間)]に移し、経時的に切り花の茎の曲
がりを観察した。
【0016】この結果、品種・おかむらさきでは茎長50
cmのものが24時間後に花蕾が密集した茎の上部でU字形
状に曲がり、切り花として利用する上から致命的な状態
になった。
【0017】他の品種・おかむらさきについては茎の曲
がりが観察されたが、切り花として致命的なものではな
く、したがって茎長は30cmが限度である。一方、品種・
はやざき3号については茎はほぼ直立状を維持した。
【0018】実施例2 実施例1と同様に蕾状態の品種・はやざき3号を収穫
し、同様の方法で北海道農業試験場に保蔵した。切り花
は茎長約10cmに切り揃え、このうち蕾の大きさ、葉色及
び香りなどが似た直立状の切り花40本を供試した。10本
は高さ7cm のガラスビーカーにとってそのまま現地にお
ける夏場の通常的な室内環境[実施例1と同じ]に保蔵
し、10本は330ml の二重ゴム栓付きマヨネーズ型ガラス
ビンに密封した。同様に10本は実施例1と同様の多孔質
板を素材とした資材で囲った閉鎖空間内に実施例1と同
様な条件で保蔵し、10本は同じサイズの二重ゴム栓付き
のマヨネーズ型ガラスビンに密封した。そして、経時的
に重量を測定するとともにエチレン量を測定した。これ
と同時並列的に落蕾の有無、茎の曲がり及び茎葉色を観
察し、ラベンダー匂を嗅いだ。2週間後の結果は次の通
りであった。
【0019】室内保蔵では落花、茎の曲がりは無かった
ものの、蕾は濃紫色が淡紫色に退色し、茎葉は緑色が黒
ずみ、劣化が明らかであった。蕾、茎葉とも委凋し、切
り花1本当たりの減量は24時間後に50mg/ 本に達した。
香りはラベンダー匂はするものの最初の強い匂いは消失
していた。生成したエチレンは0.703ppmとかなり高濃度
となり、落蕾や茎の曲がりは認められないが、蕾・茎葉
の退色が著しかった。生成したエチレン量が多く、これ
によって新陳代謝が促進され、加速度的に劣化が進行し
たものと解される。
【0020】一方、多孔質板を素材とした資材で囲った
閉鎖空間での保蔵では落蕾、茎の曲がりもなく、蕾、茎
葉及び香りとも殆ど変化が認められず、減量は測定され
なかった。生成エチレン量は0.05ppm と微量であった。
【0021】2週間後も実験を行ない、測定及び観察を
続けた。図1は縦軸に減量をとり、横軸に保蔵期間をと
ってプロットした結果である。これによれば多孔質板を
素材とした資材で囲った閉鎖空間内での保蔵では3週間
後も減量が測定されず、蕾及び茎葉とも殆ど委凋が観察
されず、強いラベンダー匂を放った。エチレンはほぼ同
じベースで生成し続けた(室内保蔵:0.085ppm/ 日、 多
孔質板を素材とした資材で囲った閉鎖空間での保蔵:0.
005ppm) 。
【0022】実施例3 実施例1と同様に蕾状態の品種・おかむらさき(種苗番
号4号)を収穫し、同様の方法で北海道農業試験場に搬
入し、保蔵した。切り花は約20cmに切り揃え、このうち
蕾の大きさ、茎葉の色及び香りが類似した直立状の切り
花100 本を供試した。50本は上下に結束し、室内環境
(実施例1と同じ)に保蔵し、50本は同様に結束して多
孔質板を素材とした資材で囲った閉鎖空間(実施例1と
同じ)下に保蔵した。経時的に重さを測定し、減量をプ
ロットした結果を図2に示す。多孔質板を素材とした資
材で囲った閉鎖空間下では2週間経過後に初めて減量が
測定された。切り花は蕾及び茎葉の委凋が認められず、
強いラベンダー匂は保持されたままであった。その後、
切り花の結束を解いて室内環境に移し、切り花50本のう
ち25本はそのまま保蔵し、25本は水にさし、観測を続け
た。室内にそのまま保蔵した切り花はラベンダー匂を放
ちつつ日増しに劣化が進み、最終的にはドライフラワー
と化した。これに対して、多孔質板を素材とした資材で
囲った閉鎖空間下で保蔵したものは収穫直後の切り花と
殆ど変わらず、水にさした25本はラベンダー匂を放ちつ
つ徐々に開花し始め、6日後には満開となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】品種・はやざき3号の保蔵に伴う切り花の減
量:積算量の経時変化を示す図
【図2】品種・おかむらさきの保蔵に伴う切り花の減
量:積算量の経時変化を示す図

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラベンダーを蕾状態の時に茎長が30cm以
    下の長さとなるように収穫し、直ちに低温の密閉容器に
    横積みし、その後無風、暗黒下、温度0〜10℃、相対湿
    度90〜95%、酸素濃度10〜20% で、しかも上記ラベンダー
    の切り花より生ずるエチレンを取り除くような条件下に
    移して保存することを特徴とするラベンダー切り花の鮮
    度保持方法。
JP27075192A 1992-09-16 1992-09-16 ラベンダー切り花の鮮度保持方法 Expired - Lifetime JPH0724511B2 (ja)

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JPH06165619A true JPH06165619A (ja) 1994-06-14
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JPH0724511B2 (ja) 1995-03-22

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