JPH06160517A - 車載用レーダ装置 - Google Patents

車載用レーダ装置

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Publication number
JPH06160517A
JPH06160517A JP4308838A JP30883892A JPH06160517A JP H06160517 A JPH06160517 A JP H06160517A JP 4308838 A JP4308838 A JP 4308838A JP 30883892 A JP30883892 A JP 30883892A JP H06160517 A JPH06160517 A JP H06160517A
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JP
Japan
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distance
road surface
vehicle
shoulder
road
Prior art date
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Pending
Application number
JP4308838A
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English (en)
Inventor
Masafumi Iwamoto
雅史 岩本
Takahiko Fujisaka
貴彦 藤坂
Takahiko Sugimoto
多佳彦 杉本
Yoshimasa Ohashi
由昌 大橋
Tomomasa Kondo
倫正 近藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP4308838A priority Critical patent/JPH06160517A/ja
Publication of JPH06160517A publication Critical patent/JPH06160517A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ミリ波またはマイクロ波の車載用レーダ装置
において、路肩が崖あるいは溝である場合に、車と路肩
の距離を測定し、その結果を運転者に表示あるいは制動
・操舵装置に出力して、脱輪・転落事故等を防止する装
置を得ることを目的とする。 【構成】 この発明にかかるレーダ装置は、雨または夜
間など視界が不良の場合でも、車から崖または溝になっ
ている路肩までの距離を測定することができて、脱輪・
転落事故等を防止する効果がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ミリ波、マイクロ波
等のレーダを自動車に搭載し、このレーダを用いて崖あ
るいは溝になっている路肩までの距離を計測し、計測し
た情報を運転者に通報したり、あるいは制動装置や操舵
装置に出力して、脱輪や転落事故等を防止し、安全運転
を支援する車載用レーダ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の装置としては、遠距離衝
突防止用レーダ、至近距離レーダ、対地レーダなどがあ
り、超音波、マイクロ波、ミリ波又は光等を送信源とし
ている。図17は例えば衝突防止等を目的として特公平
4−21145号に示された従来の車載レーダ装置の基
本構成図であり、図において、1はアンテナ、2はFM
変調や検波を行うマイクロ波回路、3は検波出力を増幅
する受信回路、4は受信回路出力から速度情報を取出す
速度検出回路、5は受信回路出力から距離情報と振幅情
報を取出す距離検出回路、6は速度、距離および粗さを
算出するCPU、7はマイクロ波回路でFM−CW変調
するためのスイープ信号を発生するスイープ電圧生成回
路である。
【0003】次に動作について説明する。マイクロ波回
路2にある発振器よりFM−CW変調されたマイクロ波
が出力され、アンテナ1に送られる。アンテナ1の取付
け位置は車の前バンパーに設置し、路面情報を得る時に
は路面に対する入射角度を約75度になるように、また
前方情報を得る時には路面に対して平行になるように、
機械的又は電子的に切替える。
【0004】アンテナ1から送信されたマイクロ波は、
路面又は先行車で反射し、再びアンテナ1で受信され、
マイクロ波回路2で検波されビート信号が抽出され、速
度検出回路4と距離検出回路5に分配される。このビー
ト信号は、FM部分とCW部分の周波数成分を持ち、C
W部分は先行車と自車との相対速度を示すドップラー周
波数fdを生じ、FM部分はマイクロ波のレーダと路面
もしくは先行車との間を往復する時間τに相当する周波
数frからfd分減少した周波数fbが得られる。ま
た、路面で反射するマイクロ波は滑らかな路面では前方
散乱が多く後方散乱が少ないため受信できる信号の強度
が弱く、路面が粗いほど後方散乱が多くなるので受信信
号の強度は強くなる。従って、ビート信号の強弱は路面
の粗さを示す。
【0005】速度検出回路4と距離検出回路5ではそれ
ぞれビート信号より帯域制限フィルタによりfdとfb
を抽出し、ディジタル信号に変換してCPU6におくら
れる。CPU6はこのfd、fb及びビート信号の強度
より、自車の対地速度、先行車との相対速度、車間距
離、路面の粗さを算定する。これらの速度や距離の情報
からブレーキを制御し、衝突の防止、安全速度維持、安
全な車間距離の維持等を行う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の車載用レーダ装
置は以上のように構成されているので、崖や溝になって
いる路肩までの距離とその時間変化を測定することはで
きず、脱輪や転落事故等を防止することはできないとい
う問題点があった。
【0007】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、崖や溝になっている路肩までの
距離を測定し、脱輪や転落事故等を防止することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1に係
る車載用レーダ装置は、マイクロ波またはミリ波の送受
信機と、路肩を検出しようとする方向の路面にビームを
照射する送受信アンテナと、受信信号強度を用いて車か
ら路肩までの距離を求める手段とを備えたものである。
【0009】また、この発明の請求項2に係る車載用レ
ーダ装置は、マイクロ波またはミリ波の送信器と、路肩
を検出しようとする方向の路面にビームを照射する送信
アンテナと、照射位置をずらせた複数のビームで受信す
る受信アンテナと、受信アンテナで受信したそれぞれの
ビームの信号を増幅・検波する受信機と、それらの受信
信号強度を比較して車から路肩までの距離を求める手段
とを備えたものである。
【0010】また、この発明の請求項3に係る車載用レ
ーダ装置は、マイクロ波またはミリ波の送信機と、路肩
を検出しようとする方向と前方の路面にそれぞれビーム
を照射する送受信アンテナと、これらの受信信号を増幅
・検波する受信機と、それらの信号強度の比を求める除
算器と、その比を用いて車から路肩までの距離を求める
手段とを備えたものである。
【0011】また、この発明の請求項4に係る車載用レ
ーダ装置は、マイクロ波またはミリ波の送受信機と、路
肩を検出しようとする方向の路面にビームを照射する送
受信アンテナと、受信信号をFFTして路面の角度方向
の形状を得る手段とを備えたものである。
【0012】また、この発明の請求項5に係る車載用レ
ーダ装置は、チャープ発振器と、チャープ信号により変
調されたマイクロ波またはミリ波を発生する送信機と、
この信号を路肩を検出しようとする方向の路面に照射す
る送受信アンテナと、送受信信号のビートの時系列信号
を周波数に変換するFFT手段と、その結果から路肩ま
での距離を求める手段とを備えたものである。
【0013】
【作用】この発明の請求項1にかかる車載用レーダ装置
は、マイクロ波またはミリ波を送信アンテナから路肩を
検出しようとする方向の路面に照射する。反射波は受信
アンテナで受信され増幅・検波される。距離測定手段
は、受信信号強度から路肩までの距離を求める。この測
定結果は運転者に通知、あるいは制動・操舵装置に出力
されるので、脱輪、転落事故等を防止することができ
る。
【0014】この発明の請求項2にかかる車載用レーダ
装置は、マイクロ波またはミリ波を、送信アンテナから
路肩を検出しようとする方向の路面に照射する。反射波
は複数のビームで受信する受信アンテナで受信するが、
これらのアンテナは路肩のそれぞれ異なる位置を角度分
解能の高いビームで照射しているので、それらの強度を
比較することにより路肩までの距離を測定することがで
きる。これらの測定結果は運転者に通知、あるいは制動
・操舵装置に出力されるので、脱輪、転落事故等を防止
することができる。
【0015】この発明の請求項3にかかる車載用レーダ
装置は、マイクロ波またはミリ波を、路肩を検出しよう
とする方向および前方の路面にそれぞれ照射する。それ
ぞれの反射波は2つの受信アンテナで受信し、増幅・検
波した後、その比を求める。距離検出手段は、その比か
ら路肩までの距離を求める。この発明では、前方の路面
の反射をリファレンスとして測定しているので、雨で濡
れた路面が急に現れるなど、路面の後方散乱が変化して
も、路肩までの距離を安定に測定することができる。こ
の測定結果は運転者に通知、あるいは制動・操舵装置に
出力されるので、脱輪、転落事故等を防止することがで
きる。
【0016】この発明の請求項4にかかる車載用レーダ
装置は、マイクロ波またはミリ波を、路肩を検出しよう
とする方向の路面に照射する。受信アンテナで受信した
信号は、増幅・検波した後、FFT手段により時系列か
ら周波数に変換される。ここで各ドップラー周波数は、
進行方向からの角度の違いを表しているので、この結果
から路肩までの距離を知ることができる。この結果は運
転者に通知、あるいは制動・操舵装置に出力されるの
で、脱輪、転落事故等を防止することができる。
【0017】この発明の請求項5にかかる車載用レーダ
装置は、FM−CW変調されたマイクロ波またはミリ波
を路肩を検出しようとする方向の路面に照射する。受信
アンテナで受信した信号は、増幅・検波した後、送信に
用いたFM−CW発振波とビートをとり、さらにFFT
手段により時系列から周波数に変換する。ここでビート
の各周波数は、送信アンテナからの距離の違いを表して
いるので、この結果から路肩までの距離を知ることがで
きる。この結果は運転者に通知、あるいは制動・操舵装
置に出力されるので、脱輪、転落事故等を防止すること
ができる。
【0018】
【実施例】
実施例1 以下、この発明の実施例1を図1について説明する。図
1において、8は送信機、9は送信アンテナ、10は受
信アンテナ、11は受信機、15は路肩までの距離を求
める手段である。また車のジオメトリを図2に示す。図
2において、16はレーダを搭載する車、17は路面、
18は路肩、19は送信ビームが照射する領域、20は
受信ビームが照射する領域である。また送受信アンテナ
のビームの照射領域を説明する図を図12に示す。図1
2において、9、16、19は図1、図2と同様であ
る。31は路面からの反射の生じる領域、32は崖や溝
のために反射を生じない領域である。また車から路肩ま
での距離と受信信号強度の関係の一例を図13に示す。
図13において、33は路肩が崖または溝になっている
場合に、車から崖までの距離Wと受信信号強度の関係で
ある。
【0019】次に動作について説明する。図1において
送信機8はマイクロ波またはミリ波を発生し送信アンテ
ナ9からあらかじめ決められた角度で路肩を検出しよう
とする斜め前方の路面に照射する。ここで、送信波は例
えばCW波とする。路面で反射した信号は受信アンテナ
10で受信され、受信機11で増幅・検波される。とこ
ろで、図12のように路肩18が溝あるいは崖になって
いる場合には、車16と路肩18の距離Wが短いと送信
波が路面に当たった領域のうち一部の後方散乱しか受信
されず、路肩18までの距離Wが長い場合に比べて受信
信号強度は低下する。この関係の一例を図13に示す。
従って、Wと受信信号強度の関係33をあらかじめ計算
あるいは測定しておくことにより、受信信号強度から車
16と路肩18の距離Wを求めることができる。
【0020】距離検出手段15はこのようにして距離W
を求め、表示装置あるいは制動・操舵装置へ出力する。
【0021】なお、この発明では送受信アンテナの照射
する領域は車16の斜め前方でなく、側面あるいは斜め
後方でも良い。
【0022】実施例2 以下、この発明の実施例2を図3について説明する。図
3において、8、9、10、11、15は図1のものと
同一または同等の手段である。また、車のジオメトリを
図4に示す。図4において、16、17、18、19、
20は図2のものと同一または同等である。また、受信
アンテナ毎の受信信号強度の例を図14に示す。図にお
いて34は第i番目の受信アンテナの受信信号強度であ
る。
【0023】次に動作について説明する。図3において
送信機8はマイクロ波またはミリ波を発生し送信アンテ
ナ9からあらかじめ決められた角度で路肩を検出しよう
とする斜め前方の路面に照射する。ここで、送信波は例
えばCW波とする。路面で反射した信号は受信アンテナ
10で受信され、受信機11で増幅・検波される。ここ
で、受信アンテナ10は図4に示すように、高い角度分
解能を持ち、送信アンテナが照射する領域19を複数の
隣あうビームで照射するものとする。ところで、路肩1
8が溝あるいは崖になっている場合には、車16と路肩
の距離Wによって、一部の受信アンテナの照射する領域
が路面からはずれて、エコーを受信できなくなる。した
がって各受信アンテナの受信信号強度を比較することに
より、車と路肩の距離Wを求めることができる。
【0024】例えば受信信号強度が図14のような分布
をしている場合には、路肩は2番目と3番目のビームの
間にあると考えることができる。このとき車と路肩の距
離Wは式(1)で表される。
【0025】
【数1】
【0026】ここに、Lは送信ビームが路面を照射する
領域の車からの距離、θi は第i番目のビームの角度で
ある。そこで、距離を求める手順15は、式(1)に従
って車と路肩の距離Wを求め、表示装置あるいは制動・
操舵装置に出力することができる。
【0027】例えば、送信周波数を60GHzとする
と、約30cmの開口径でビーム幅1度のアンテナを実
現できるので、10m先を観測した場合でも約20cm
の分解能で路肩までの距離Wを測定することができる。
【0028】なお、この発明では送受信アンテナの照射
する領域は車16の斜め前方でなく、斜め後方でも良
い。また、この発明では1台の素子アンテナを時分割し
て共用することにより、受信アンテナを1台としてもよ
い。
【0029】実施例3 以下、この発明の実施例3を図5について説明する。図
5において、8、9、10、11、15は図1のものと
同一または同等である。21は除算器である。また、車
のジオメトリを図6に示す。図6において、16、1
7、18は図2のものと同一または同等である。22、
24は前方の路面を照射する送受信ビームの照射領域、
23、25は斜め前方の路面を照射する送受信ビームの
照射領域である。
【0030】次に動作について説明する。図5において
送信機8はマイクロ波またはミリ波を発生し送信アンテ
ナ9からあらかじめ決められた角度で路肩を検出しよう
とする斜め前方の路面に照射する。また同じ信号を別の
送信アンテナ9から前方の路面に照射する。ここで、こ
れらの送信波は例えばCW波とする。2つの反射波はそ
れぞれの受信アンテナ10で受信され、受信機11で増
幅・検波される。次に除算器21は2つの反射波の比
(路肩を検出しようとする方向からの反射の信号強度/
前方の路面からの反射の信号強度)をもとめる。この比
の値は実施例1と同様に、車と路肩の距離Wとの間に図
13のような関係を示す。この実施例では、前方の路面
の反射を基準として斜め前方の路面からの反射の強度の
変化を計測するために、その値は雨などの路面状態や路
面構造による後方散乱断面積の変動の影響をうけない。
したがって距離検出手段15は実施例1と同様の演算
で、車と路肩の距離Wをより安定に測定することができ
る。
【0031】なお、この発明では送受信アンテナの照射
する領域は車16の斜め前方でなく、斜め後方でも良
い。
【0032】実施例4 以下、この発明の実施例4を図7について説明する。図
7において、8、9、10、11は図1のものと同一ま
たは同等である。26はFFT手段である。また、車の
ジオメトリを図8に示す。図8において、16、17、
18、19、20は図2のものと同一または同等であ
る。また、ビームの照射領域の説明図を図15に示す。
図15において、9、16、20は図7、図8のものと
同一である。35はビームの照射領域内にあって、角度
θの直線上の観測点である。また、受信信号のドップラ
ー周波数の例を図16に示す。図16において36は車
と路肩の距離が十分離れている場合の例、37は路肩ま
での距離が短い場合の例である。
【0033】次に動作について説明する。図7において
送信機8はマイクロ波またはミリ波を発生し送信アンテ
ナ9からあらかじめ決められた角度で路肩を検出しよう
とする斜め前方の路面に照射する。ここで、送信波は例
えばCW波とする。前方の路面で反射した波は受信アン
テナ10で受信され、受信機11で増幅・検波される。
【0034】ところで、図15の点35からの反射波の
ドップラー周波数は式(2)で表される。
【0035】
【数2】
【0036】従ってドップラー周波数fdは角度θの関
数となる。すなわち、受信信号をFFTすることによ
り、路面の角度θについての1次元の画像を得ることが
できる。この例を図16に示す。ここで、送受信ビーム
の一部が路面からはずれる場合には、その角度に相当す
るドップラー周波数の受信信号強度が低下するので、F
FT手段の出力から車と路肩の距離Wを知ることができ
る。なお、その距離は式(1)を用いて求めることもで
きる。
【0037】例えば、送信周波数を60GHz、車の速
度を時速60km、FFTの積分時間を10msとする
と、送信アンテナの10m前方で左右に2m寄った位置
の計測精度は約16cmと高い。ただし、式(2)から
もわかるように、この方法の分解能は車の速度に依存す
る。
【0038】この測定結果は表示装置または制動・操舵
装置に出力される。なお、この発明では送受信アンテナ
の照射する領域は車16の斜め前方でなく、斜め後方で
も良い。
【0039】実施例5 以下、この発明の実施例5を図9について説明する。図
9において、8、9、10、11は図1のものと同一ま
たは同等である。26はFFT手段、27はチャープ発
振器、28はミキサーである。また、FM−CW変調波
の例を図10に示す。図において29はFM−CW変調
された送信波の周波数のグラフ、30はその受信波の周
波数のグラフである。また、車のジオメトリを図11に
示す。図11において、16、17、18、19、20
は図2のものと同一または同等である。
【0040】次に動作について説明する。図9において
チャープ発振器27は周波数が時間にたいしてノコギリ
波状に変化する信号を発振する。送信機8はマイクロ波
またはミリ波を発生し、FM−CW変調した後、送信ア
ンテナ9からあらかじめ決められた角度で路肩を検出し
ようとする斜め前方の路面に照射する。前方の路面で反
射した波は受信アンテナ10で受信され、受信機11で
増幅・検波される。さらに、ミキサー28は受信信号と
チャープ信号のビートを求め、FFT手段26は周波数
に変換する。
【0041】ところで、図10に示すように、送信信号
の周波数変化29と受信信号の周波数変化30は、電波
の往復に要する時間Δtだけ遅延しているので、ビート
は式(3)で表される周波数fbの正弦波の和となる。
【0042】
【数3】
【0043】ここに、αはFM−CW波の周波数の時間
変化率、Lは送受信アンテナと反射位置までの距離、C
は電波伝搬速度である。従って受信信号をFFTするこ
とにより、距離Lの位置の後方散乱断面積を求めること
ができる。すなわち、送受信ビームの一部が路面からは
ずれた場合には、その距離に相当するビートの信号電力
が低下するので、これを知ることができる。この測定結
果は表示装置または制動・操舵装置に出力される。
【0044】なお、この発明では送受信アンテナの照射
する領域は車16の斜め前方でなく、側面、または斜め
後方でも良い。例えば、ビームを側面に照射した場合、
送信帯域を600MHzとすると、分解能は25cmで
ある。
【0045】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、雨・夜間など視界が不良の場合でも、簡単な演算で
車と路肩の距離を測定することができて、脱輪・転落事
故等を防止できる効果がある。
【0046】また、請求項2の発明によれば、雨・夜間
など視界が不良の場合でも、複数のビームを用いて車と
路肩の距離を精度良く測定することができて、脱輪・転
落事故等を防止できる効果がある。
【0047】また、請求項3の発明によれば、雨・夜間
など視界が不良の場合でも、2本のビームを用いて路面
の状態や構造によらずに車と路肩の距離を安定に測定す
ることができて、脱輪・転落事故等を防止できる効果が
ある。
【0048】また、請求項4の発明によれば、雨・夜間
など視界が不良の場合でも、路面の形状を精度良く観測
することができて、脱輪・転落事故等を防止できる効果
がある。
【0049】また、請求項5の発明によれば、雨・夜間
など視界が不良の場合でも、路肩までの距離を安定に測
定することができて、脱輪・転落事故等を防止できる効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1を示す構成図である。
【図2】この発明の実施例1における車のジオメトリを
示す図である。
【図3】この発明の実施例2を示す構成図である。
【図4】この発明の実施例2における車のジオメトリを
示す図である。
【図5】この発明の実施例3を示す構成図である。
【図6】この発明の実施例3における車のジオメトリを
示す図である。
【図7】この発明の実施例4を示す構成図である。
【図8】この発明の実施例4における車のジオメトリを
示す図である。
【図9】この発明の実施例5を示す構成図である。
【図10】この発明の実施例5における送受信信号の周
波数変化を示す図である。
【図11】この発明の実施例5における車のジオメトリ
を示す図である。
【図12】路肩が崖・溝になっている場合の構造を示す
図である。
【図13】この発明の実施例1における受信信号強度と
路肩までの距離の関係を示す図である。
【図14】この発明の実施例2における各受信アンテナ
の受信信号強度を示す図である。
【図15】この発明の実施例4における車と観測位置の
ジオメトリを示す図である。
【図16】この発明の実施例4におけるFFT出力の一
例を示す図である。
【図17】従来の発明の構成図である。
【符号の説明】
1 アンテナ 2 マイクロ波回路 3 受信回路 4 速度検出回路 5 距離検出回路 6 CPU 7 スイープ電圧生成回路 8 送信機 9 送信アンテナ 10 受信アンテナ 11 受信機 15 距離検出手段 16 車 17 路面 18 路肩 19 送信ビームが照射する領域 20 受信ビームが照射する領域 22 路面を向いた受信ビームが照射する領域 23 路肩を向いた受信ビームが照射する領域 24 路面を向いた送信ビームが照射する領域 25 路肩を向いた送信ビームが照射する領域 26 FFT手段 27 チャープ発振器 28 ミキサー 31 受信ビームの照射領域のうち反射を生ずる領域 32 受信ビームの照射領域のうち反射を生じない領域 33 受信信号強度と路肩までの距離のグラフ 34 第i番目の受信ビームの受信信号強度 35 受信ビームの照射領域中の観測点 36 路肩までの距離が長い場合の受信信号のドップラ
ー周波数の強度分布 37 路肩までの距離が短い場合の受信信号のドップラ
ー周波数の強度分布
【手続補正書】
【提出日】平成6年1月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ミリ波、マイクロ波
等のレーダを自動車に搭載し、このレーダを用いて崖あ
るいは溝になっている路肩までの距離を計測し、計測し
た情報を運転者に通報したり、あるいは制動装置や操舵
装置に出力して、脱輪や転落事故等を防止し、安全運転
を支援する車載用レーダ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の装置としては、遠距離衝
突防止用レーダ、至近距離レーダ、対地レーダなどがあ
り、超音波、マイクロ波、ミリ波又は光等を送信源とし
ている。図17は例えば衝突防止等を目的として特公平
4−21145号に示された従来の車載レーダ装置の基
本構成図であり、図において、1はアンテナ、2はFM
変調や検波を行うマイクロ波回路、3は検波出力を増幅
する受信回路、4は受信回路出力から速度情報を取出す
速度検出回路、5は受信回路出力から距離情報と振幅情
報を取出す距離検出回路、6は速度、距離および粗さを
算出するCPU、7はマイクロ波回路でFM−CW変調
するためのスイープ信号を発生するスイープ電圧生成回
路である。
【0003】次に動作について説明する。マイクロ波回
路2にある発振器よりFM−CW変調されたマイクロ波
が出力され、アンテナ1に送られる。アンテナ1の取付
け位置は車の前バンパーに設置し、路面情報を得る時に
は路面に対する入射角度を約75度になるように、また
前方情報を得る時には路面に対して平行になるように、
機械的又は電子的に切替える。
【0004】アンテナ1から送信されたマイクロ波は、
路面又は先行車で反射し、再びアンテナ1で受信され、
マイクロ波回路2で検波されビート信号が抽出され、速
度検出回路4と距離検出回路5に分配される。このビー
ト信号は、FM部分とCW部分の周波数成分を持ち、C
W部分は先行車と自車との相対速度を示すドップラー周
波数fdを生じ、FM部分はマイクロ波のレーダと路面
もしくは先行車との間を往復する時間τに相当する周波
数frからfd分減少した周波数fbが得られる。ま
た、路面で反射するマイクロ波は滑らかな路面では前方
散乱が多く後方散乱が少ないため受信できる信号の強度
が弱く、路面が粗いほど後方散乱が多くなるので受信信
号の強度は強くなる。従って、ビート信号の強弱は路面
の粗さを示す。
【0005】速度検出回路4と距離検出回路5ではそれ
ぞれビート信号より帯域制限フィルタによりfdとfb
を抽出し、ディジタル信号に変換してCPU6におくら
れる。CPU6はこのfd、fb及びビート信号の強度
より、自車の対地速度、先行車との相対速度、車間距
離、路面の粗さを算定する。これらの速度や距離の情報
からブレーキを制御し、衝突の防止、安全速度維持、安
全な車間距離の維持等を行う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の車載用レーダ装
置は以上のように構成されているので、崖や溝になって
いる路肩までの距離とその時間変化を測定することはで
きず、脱輪や転落事故等を防止することはできないとい
う問題点があった。
【0007】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、崖や溝になっている路肩までの
距離を測定し、脱輪や転落事故等を防止することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1に係
る車載用レーダ装置は、マイクロ波またはミリ波の送受
信機と、路肩を検出しようとする方向の路面にビームを
照射する送受信アンテナと、受信信号強度を用いて車か
ら路肩までの距離を求める手段とを備えたものである。
【0009】また、この発明の請求項2に係る車載用レ
ーダ装置は、マイクロ波またはミリ波の送信器と、路肩
を検出しようとする方向の路面にビームを照射する送信
アンテナと、照射位置をずらせた複数のビームで受信す
る受信アンテナと、受信アンテナで受信したそれぞれの
ビームの信号を増幅・検波する受信機と、それらの受信
信号強度を比較して車から路肩までの距離を求める手段
とを備えたものである。
【0010】また、この発明の請求項3に係る車載用レ
ーダ装置は、マイクロ波またはミリ波の送信機と、路肩
を検出しようとする方向と前方の路面にそれぞれビーム
を照射する送受信アンテナと、これらの受信信号を増幅
・検波する受信機と、それらの信号強度の比を求める除
算器と、その比を用いて車から路肩までの距離を求める
手段とを備えたものである。
【0011】また、この発明の請求項4に係る車載用レ
ーダ装置は、マイクロ波またはミリ波の送受信機と、路
肩を検出しようとする方向の路面にビームを照射する送
受信アンテナと、受信信号をFFTして路面の角度方向
の形状を得る手段とを備えたものである。
【0012】また、この発明の請求項5に係る車載用レ
ーダ装置は、チャープ発振器と、チャープ信号により変
調されたマイクロ波またはミリ波を発生する送信機と、
この信号を路肩を検出しようとする方向の路面に照射す
る送受信アンテナと、送受信信号のビートの時系列信号
を周波数に変換するFFT手段と、その結果から路肩ま
での距離を求める手段とを備えたものである。
【0013】
【作用】この発明の請求項1にかかる車載用レーダ装置
は、マイクロ波またはミリ波を送信アンテナから路肩を
検出しようとする方向の路面に照射する。反射波は受信
アンテナで受信され増幅・検波される。距離測定手段
は、受信信号強度から路肩までの距離を求める。この測
定結果は運転者に通知、あるいは制動・操舵装置に出力
されるので、脱輪、転落事故等を防止することができ
る。
【0014】この発明の請求項2にかかる車載用レーダ
装置は、マイクロ波またはミリ波を、送信アンテナから
路肩を検出しようとする方向の路面に照射する。反射波
は複数のビームで受信する受信アンテナで受信するが、
これらのアンテナは路肩のそれぞれ異なる位置を角度分
解能の高いビームで照射しているので、それらの強度を
比較することにより路肩までの距離を測定することがで
きる。これらの測定結果は運転者に通知、あるいは制動
・操舵装置に出力されるので、脱輪、転落事故等を防止
することができる。
【0015】この発明の請求項3にかかる車載用レーダ
装置は、マイクロ波またはミリ波を、路肩を検出しよう
とする方向および前方の路面にそれぞれ照射する。それ
ぞれの反射波は2つの受信アンテナで受信し、増幅・検
波した後、その比を求める。距離検出手段は、その比か
ら路肩までの距離を求める。この発明では、前方の路面
の反射をリファレンスとして測定しているので、雨で濡
れた路面が急に現れるなど、路面の後方散乱が変化して
も、路肩までの距離を安定に測定することができる。こ
の測定結果は運転者に通知、あるいは制動・操舵装置に
出力されるので、脱輪、転落事故等を防止することがで
きる。
【0016】この発明の請求項4にかかる車載用レーダ
装置は、マイクロ波またはミリ波を、路肩を検出しよう
とする方向の路面に照射する。受信アンテナで受信した
信号は、増幅・検波した後、FFT手段により時系列か
ら周波数に変換される。ここで各ドップラー周波数は、
進行方向からの角度の違いを表しているので、この結果
から路肩までの距離を知ることができる。この結果は運
転者に通知、あるいは制動・操舵装置に出力されるの
で、脱輪、転落事故等を防止することができる。
【0017】この発明の請求項5にかかる車載用レーダ
装置は、FM−CW変調されたマイクロ波またはミリ波
を路肩を検出しようとする方向の路面に照射する。受信
アンテナで受信した信号は、増幅・検波した後、送信に
用いたFM−CW発振波とビートをとり、さらにFFT
手段により時系列から周波数に変換する。ここでビート
の各周波数は、送信アンテナからの距離の違いを表して
いるので、この結果から路肩までの距離を知ることがで
きる。この結果は運転者に通知、あるいは制動・操舵装
置に出力されるので、脱輪、転落事故等を防止すること
ができる。
【0018】
【実施例】 実施例1 以下、この発明の実施例1を図1について説明する。図
1において、8は送信機、9は送信アンテナ、10は受
信アンテナ、11は受信機、15は路肩までの距離を求
める手段である。また車のジオメトリを図2に示す。図
2において、16はレーダを搭載する車、17は路面、
18は路肩、19は送信ビームが照射する領域、20は
受信ビームが照射する領域である。また送受信アンテナ
のビームの照射領域を説明する図を図12に示す。図1
2において、9、16、19は図1、図2と同様であ
る。31は路面からの反射の生じる領域、32は崖や溝
のために反射を生じない領域である。また車から路肩ま
での距離と受信信号強度の関係の一例を図13に示す。
図13において、33は路肩が崖または溝になっている
場合に、車から崖までの距離Wと受信信号強度の関係で
ある。
【0019】次に動作について説明する。図1において
送信機8はマイクロ波またはミリ波を発生し送信アンテ
ナ9からあらかじめ決められた角度で路肩を検出しよう
とする斜め前方の路面に照射する。ここで、送信波は例
えばCW波とする。路面で反射した信号は受信アンテナ
10で受信され、受信機11で増幅・検波される。とこ
ろで、図12のように路肩18が溝あるいは崖になって
いる場合には、車16と路肩18の距離Wが短いと送信
波が路面に当たった領域のうち一部の後方散乱しか受信
されず、路肩18までの距離Wが長い場合に比べて受信
信号強度は低下する。この関係の一例を図13に示す。
従って、Wと受信信号強度の関係33をあらかじめ計算
あるいは測定しておくことにより、受信信号強度から車
16と路肩18の距離Wを求めることができる。
【0020】距離検出手段15はこのようにして距離W
を求め、表示装置あるいは制動・操舵装置へ出力する。
【0021】なお、この発明では送受信アンテナの照射
する領域は車16の斜め前方でなく、側面あるいは斜め
後方でも良い。
【0022】実施例2 以下、この発明の実施例2を図3について説明する。図
3において、8、9、10、11、15は図1のものと
同一または同等の手段である。また、車のジオメトリを
図4に示す。図4において、16、17、18、19、
20は図2のものと同一または同等である。また、受信
アンテナ毎の受信信号強度の例を図14に示す。図にお
いて34は第i番目の受信アンテナの受信信号強度であ
る。
【0023】次に動作について説明する。図3において
送信機8はマイクロ波またはミリ波を発生し送信アンテ
ナ9からあらかじめ決められた角度で路肩を検出しよう
とする斜め前方の路面に照射する。ここで、送信波は例
えばCW波とする。路面で反射した信号は受信アンテナ
10で受信され、受信機11で増幅・検波される。ここ
で、受信アンテナ10は図4に示すように、高い角度分
解能を持ち、送信アンテナが照射する領域19を複数の
隣あうビームで照射するものとする。ところで、路肩1
8が溝あるいは崖になっている場合には、車16と路肩
の距離Wによって、一部の受信アンテナの照射する領域
が路面からはずれて、エコーを受信できなくなる。した
がって各受信アンテナの受信信号強度を比較することに
より、車と路肩の距離Wを求めることができる。
【0024】例えば受信信号強度が図14のような分布
をしている場合には、路肩は2番目と3番目のビームの
間にあると考えることができる。このとき車と路肩の距
離Wは式(1)で表される。
【0025】
【数1】
【0026】ここに、Lは送信ビームが路面を照射する
領域の車からの距離、θi は第i番目のビームの角度で
ある。そこで、距離を求める手順15は、式(1)に従
って車と路肩の距離Wを求め、表示装置あるいは制動・
操舵装置に出力することができる。
【0027】例えば、送信周波数を60GHzとする
と、約30cmの開口径でビーム幅1度のアンテナを実
現できるので、10m先を観測した場合でも約20cm
の分解能で路肩までの距離Wを測定することができる。
【0028】なお、この発明では送受信アンテナの照射
する領域は車16の斜め前方でなく、斜め後方でも良
い。また、この発明では1台の素子アンテナを時分割し
て共用することにより、受信アンテナを1台としてもよ
い。
【0029】実施例3 以下、この発明の実施例3を図5について説明する。図
5において、8、9、10、11、15は図1のものと
同一または同等である。21は除算器である。また、車
のジオメトリを図6に示す。図6において、16、1
7、18は図2のものと同一または同等である。22、
24は前方の路面を照射する送受信ビームの照射領域、
23、25は斜め前方の路面を照射する送受信ビームの
照射領域である。
【0030】次に動作について説明する。図5において
送信機8はマイクロ波またはミリ波を発生し送信アンテ
ナ9からあらかじめ決められた角度で路肩を検出しよう
とする斜め前方の路面に照射する。また同じ信号を別の
送信アンテナ9から前方の路面に照射する。ここで、こ
れらの送信波は例えばCW波とする。2つの反射波はそ
れぞれの受信アンテナ10で受信され、受信機11で増
幅・検波される。次に除算器21は2つの反射波の比
(路肩を検出しようとする方向からの反射の信号強度/
前方の路面からの反射の信号強度)をもとめる。この比
の値は実施例1と同様に、車と路肩の距離Wとの間に図
13のような関係を示す。この実施例では、前方の路面
の反射を基準として斜め前方の路面からの反射の強度の
変化を計測するために、その値は雨などの路面状態や路
面構造による後方散乱断面積の変動の影響をうけない。
したがって距離検出手段15は実施例1と同様の演算
で、車と路肩の距離Wをより安定に測定することができ
る。
【0031】なお、この発明では送受信アンテナの照射
する領域は車16の斜め前方でなく、斜め後方でも良
い。
【0032】実施例4 以下、この発明の実施例4を図7について説明する。図
7において、8、9、10、11は図1のものと同一ま
たは同等である。26はFFT手段である。また、車の
ジオメトリを図8に示す。図8において、16、17、
18、19、20は図2のものと同一または同等であ
る。また、ビームの照射領域の説明図を図15に示す。
図15において、9、16、20は図7、図8のものと
同一である。35はビームの照射領域内にあって、角度
θの直線上の観測点である。また、受信信号のドップラ
ー周波数の例を図16に示す。図16において36は車
と路肩の距離が十分離れている場合の例、37は路肩ま
での距離が短い場合の例である。
【0033】次に動作について説明する。図7において
送信機8はマイクロ波またはミリ波を発生し送信アンテ
ナ9からあらかじめ決められた角度で路肩を検出しよう
とする斜め前方の路面に照射する。ここで、送信波は例
えばCW波とする。前方の路面で反射した波は受信アン
テナ10で受信され、受信機11で増幅・検波される。
【0034】ところで、図15の点35からの反射波の
ドップラー周波数は式(2)で表される。
【0035】
【数2】
【0036】従ってドップラー周波数fdは角度θの関
数となる。すなわち、受信信号をFFTすることによ
り、路面の角度θについての1次元の画像を得ることが
できる。この例を図16に示す。ここで、送受信ビーム
の一部が路面からはずれる場合には、その角度に相当す
るドップラー周波数の受信信号強度が低下するので、F
FT手段の出力から車と路肩の距離Wを知ることができ
る。なお、その距離は式(1)を用いて求めること
きる。
【0037】例えば、送信周波数を60GHz、車の速
度を時速60km、FFTの積分時間を50msとする
と、送信アンテナの10m前方で左右に2m寄った位置
距離Wの計測精度は約15cmと高い。ただし、式
(2)からもわかるように、この方法の分解能は車の速
度に依存する。
【0038】この測定結果は表示装置または制動・操舵
装置に出力される。なお、この発明では送受信アンテナ
の照射する領域は車16の斜め前方でなく、斜め後方で
も良い。
【0039】実施例5 以下、この発明の実施例5を図9について説明する。図
9において、8、9、10、11は図1のものと同一ま
たは同等である。26はFFT手段、27はチャープ発
振器、28はミキサーである。また、FM−CW変調波
の例を図10に示す。図において29はFM−CW変調
された送信波の周波数のグラフ、30はその受信波の周
波数のグラフである。また、車のジオメトリを図11に
示す。図11において、16、17、18、19、20
は図2のものと同一または同等である。
【0040】次に動作について説明する。図9において
チャープ発振器27は周波数が時間にたいしてノコギリ
波状に変化する信号を発振する。送信機8はマイクロ波
またはミリ波を発生し、FM−CW変調した後、送信ア
ンテナ9からあらかじめ決められた角度で路肩を検出し
ようとする斜め前方の路面に照射する。前方の路面で反
射した波は受信アンテナ10で受信され、受信機11で
増幅・検波される。さらに、ミキサー28は受信信号と
チャープ信号のビートを求め、FFT手段26は周波数
に変換する。
【0041】ところで、図10に示すように、送信信号
の周波数変化29と受信信号の周波数変化30は、電波
の往復に要する時間Δtだけ遅延しているので、ビート
は式(3)で表される周波数fbの正弦波の和となる。
【0042】
【数3】
【0043】ここに、αはFM−CW波の周波数の時間
変化率、Lは送受信アンテナから反射位置までの距離、
Cは電波伝搬速度である。従って受信信号をFFTする
ことにより、距離Lの位置の後方散乱断面積を求めるこ
とができる。すなわち、送受信ビームの一部が路面から
はずれた場合には、その距離に相当するビート周波数
信号電力が低下するので、これを知ることができる。こ
の測定結果は表示装置または制動・操舵装置に出力され
る。
【0044】なお、この発明では送受信アンテナの照射
する領域は車16の斜め前方でなく、側面、または斜め
後方でも良い。
【0045】また、この発明では路肩が崖などで欠損し
ている場合だけでなく、歩道のように路面にたいして凹
凸がある場合でも検出することができる。例えば、ビー
ムを側面に照射した場合の様子を図18に示す。図にお
いて9、10、16、17、18は図2のものと同一ま
たは同等のものである。いま路肩18が図のように路面
17よりも下がっている場合には、鉛直線と角度θで路
肩に向けられた送信アンテナ9から放射された電波は距
離Lを伝搬して路肩18で反射し、受信アンナテ10で
再び受信される。この場合、路肩18が路面と同じ高さ
であった場合の往復の伝搬距離2×1に対して2×Lを
要している。従って電波の往復に要する時間が遅延し
て、式(3)を用いて路肩の凹凸を検出することができ
る。路肩の凹凸の高さHは式(4)から求めることがで
きる。
【0046】
【数4】
【0047】ここに、Cは電波伝搬速度、αはFM−C
Wの周波数の時間変化率、fbは式(3)で求められる
ビートの周波数、hは路面17から送受信アンテナ9、
10までの高さである。例えば送信帯域を1200MH
z、θを45度とすると、路肩の高さHの分解能は約9
cmである。
【0048】なお、この発明では、路肩が路面よりも上
がっていても同様にして検出することができて、路肩で
の脱輪、歩道への乗り上げ等を防止することができる。
【0049】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、雨・夜間など視界が不良の場合でも、簡単な演算で
車と路肩の距離を測定することができて、脱輪・転落事
故等を防止できる効果がある。
【0050】また、請求項2の発明によれば、雨・夜間
など視界が不良の場合でも、複数のビームを用いて車と
路肩の距離を精度良く測定することができて、脱輪・転
落事故等を防止できる効果がある。
【0051】また、請求項3の発明によれば、雨・夜間
など視界が不良の場合でも、2本のビームを用いて路面
の状態や構造によらずに車と路肩の距離を安定に測定す
ることができて、脱輪・転落事故等を防止できる効果が
ある。
【0052】また、請求項4の発明によれば、雨・夜間
など視界が不良の場合でも、路面の形状を精度良く観測
することができて、脱輪・転落事故等を防止できる効果
がある。
【0053】また、請求項5の発明によれば、雨・夜間
など視界が不良の場合でも、路肩までの距離を安定に測
定することができて、脱輪・転落事故等を防止できる効
果がある。また、路肩の凹凸を検出することができて、
脱輪・歩道への乗り上げ等を防止できる効果がある。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図18
【補正方法】追加
【補正内容】
【図18】この発明の実施例5における車と路肩の位置
関係を示す図。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】符号の説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【符号の説明】 1 アンテナ 2 マイクロ波回路 3 受信回路 4 速度検出回路 5 距離検出回路 6 CPU 7 スイープ電圧生成回路 8 送信機 9 送信アンテナ 10 受信アンテナ 11 受信機 15 距離検出手段 16 車 17 路面 18 路肩 19 送信ビームが照射する領域 20 受信ビームが照射する領域 22 路面を向いた受信ビームが照射する領域 23 路肩を向いた受信ビームが照射する領域 24 路面を向いた送信ビームが照射する領域 25 路肩を向いた送信ビームが照射する領域 26 FFT手段 27 チャープ発振器 28 ミキサー29 FM−CW変調された送信波の周波数のグラフ 30 FM−CW変調波の受信波の周波数のグラフ 31 受信ビームの照射領域のうち反射を生ずる領域 32 受信ビームの照射領域のうち反射を生じない領域 33 受信信号強度と路肩までの距離のグラフ 34 第i番目の受信ビームの受信信号強度 35 受信ビームの照射領域中の観測点 36 路肩までの距離が長い場合の受信信号のドップラ
ー周波数の強度分布 37 路肩までの距離が短い場合の受信信号のドップラ
ー周波数の強度分布
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図12
【補正方法】変更
【補正内容】
【図12】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図15
【補正方法】変更
【補正内容】
【図15】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図18
【補正方法】追加
【補正内容】
【図18】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大橋 由昌 鎌倉市大船五丁目1番1号 三菱電機株式 会社電子システム研究所内 (72)発明者 近藤 倫正 鎌倉市大船五丁目1番1号 三菱電機株式 会社電子システム研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マイクロ波またはミリ波の車載送信機
    と、この送信機で発生した高周波信号を路肩を検出しよ
    うとする方向の路面に照射する送受信アンテナと、受信
    信号を増幅・検波する受信機と、受信信号強度に基づい
    て崖または溝になっている路肩までの距離を求める手段
    とを備えた車載用レーダ装置。
  2. 【請求項2】 マイクロ波またはミリ波の車載送信機
    と、この送信機で発生した高周波信号を路肩を検出しよ
    うとする方向の路面に照射する送信アンテナと、照射位
    置をずらせた複数のビームで受信する受信アンテナと、
    受信アンテナで受信したそれぞれのビームの信号を増幅
    ・検波する受信機と、これらの信号に基づいて崖または
    溝になっている路肩までの距離を求める手段とを備えた
    車載用レーダ装置。
  3. 【請求項3】 マイクロ波またはミリ波の車載送信機
    と、この送信機で発生した高周波信号を路肩を検出しよ
    うとする方向と前方の路面に照射する送受信アンテナ
    と、それぞれの受信信号を増幅・検波する受信機と、こ
    れらの信号強度の比を求める除算器と、その出力信号強
    度に基づいて崖または溝になっている路肩までの距離を
    求める手段とを備えた車載用レーダ装置。
  4. 【請求項4】 マイクロ波またはミリ波の車載送信機
    と、この送信機で発生した高周波信号を路肩を検出しよ
    うとする方向の路面に照射する送受信アンテナと、受信
    信号を増幅・検波する受信機と、その出力を時系列から
    周波数に変換して前方の路面の形状を測定するFFT
    (Fast Fourier Transform)手
    段とを備えた車載用レーダ装置。
  5. 【請求項5】 チャープ発振器と、このチャープ信号で
    変調されたマイクロ波またはミリ波を発生する車載送信
    機と、この送信機で発生した高周波信号を路肩を検出し
    ようとする方向の路面に照射する送受信アンテナと、受
    信信号を増幅・検波する受信機と、その信号とチャープ
    信号のビートの周波数を求めるFFT手段と、その出力
    に基づいて路肩までの距離を求める手段とを備えた車載
    用レーダ装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1997028459A1 (fr) * 1996-01-31 1997-08-07 Komatsu Ltd. Vehicule possedant un radar a ondes millimetriques
JP2011018132A (ja) * 2009-07-07 2011-01-27 Hitachi Constr Mach Co Ltd 路肩崩落リスク監視装置及び運搬車両
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