JPH0616012A - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ

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JPH0616012A
JPH0616012A JP4197665A JP19766592A JPH0616012A JP H0616012 A JPH0616012 A JP H0616012A JP 4197665 A JP4197665 A JP 4197665A JP 19766592 A JP19766592 A JP 19766592A JP H0616012 A JPH0616012 A JP H0616012A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ゴムの老化に起因してバットレス部に生じるシ
ワ、割れの発生を防止し、タイヤの耐久性を向上する。 【構成】ベルト層7の端縁近傍のカーカス6との間にク
ッションゴム層9を設け、このクッションゴム層9は、
タイヤバットレス面10と間隙を隔ててのびる外向き面
11を具えており、該クッションゴム層9を前記外向き
面を通る分割線Dにより外層12と、内層13とに半径
方向内外に区分するとともに、前記内層13の外向き面
の長さL1は、該外向き面の全長さLの0.3〜0.7
倍、外層12の体積は、ベルトクッション層9全体の体
積の0.4〜0.8倍、しかも前記内層13のゴムの老
化防止剤の重量部をサイドウォールゴム15の老化防止
剤の重量部の1.3倍よりも大としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ゴムの老化に起因して
バットレス部に生じるシワ、割れの発生を防止しタイヤ
の耐久性を向上しうる空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】タイヤのバットレス部において、経時的
にゴムの性質が変化することによって、シワ、割れが生
じ、このシワ、割れを核としてクラックが成長し、タイ
ヤの耐久性を低下させることがある。このようなシワ、
割れの発生はバス、トラック等の重荷重用のタイヤ及び
小型トラック用のタイヤにおいて特に著しい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来、このようなシ
ワ、割れの発生を防ぐには、サイドウォールゴムのゴム
厚さを厚くする、又はゴム組成に老化防止剤を添加す
る、さらには図7に示す如く老化防止剤を添加したゴム
組成からなりウイングと呼ばれる小片をバットレス部a
に添着又は挟着する等の方法が用いられて来た。
【0004】しかし、前記構成のものにあっても、ヒ
ビ、割れの発生を防止するには不十分であり、又後者の
ウイングwを設けることは、バットレス部aにおいてベ
ースゴムb、ウイングw、トレッドゴムcの3種類のゴ
ムを重ね合わせてトレッド部を成形するため構造が複雑
となりコスト高となる。
【0005】前記ウイングwにはヒビ、割れ、発生を防
ぐため、ゴム組成の中に老化防止剤が添加されているの
であるが、タイヤtが走行とともにトレッド面dが、図
7において例えば一点鎖線に示す位置まで摩耗した場合
には、前記ウイングwはトレッド面dにおいて露出する
こととなる。その結果、ウイングwに貯えられた老化防
止剤は経時的に排出されることとなり、ウイングwの老
化が促進されることとなる。又ウイングwが露出するこ
とによって偏摩耗が生じかつ耐摩耗性に劣る。
【0006】なおウイングwに前記老化防止剤を多量に
配した場合であっても前述の経時変化によって老化防止
剤はタイヤ外に排出されるのであるから高価な老化防止
剤を多量に添加することは経済的にも得策でない。なお
ウイングに代えてサイドウォールゴムをバットレス部に
延在させた場合においても同様の結果が生じる。
【0007】発明者は、バットレス面を構成するサイド
ウォールゴム又は、ウイングに含まれる老化防止剤を逐
次補給しうる構成について検討を重ねた結果、カーカス
とベルト層端部との間に配されるクッションゴム層の一
部を利用して、前記老化防止剤を貯えることが可能であ
ることを見出し本発明の完成させたのである。
【0008】本発明は、ベルトクッション層の一部を老
化防止剤の補給のために利用することによって、ゴムの
老化に起因するバットレス部のシワ、割れの発生を防止
し、耐久性を向上しうる空気入りタイヤの提供を目的と
している。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、トレッド部か
らサイドウォール部をへてビード部のビードコアの周り
を折返すカーカスと、トレッド部の内部かつカーカスの
半径方向外側に配されるとともにタイヤ軸方向外側が前
記カーカスから除々に離れかつこの離れる部分にクッシ
ョンゴム層を配したベルト層とを具える空気入りタイヤ
において、前記クッションゴム層は、ベルト層のタイヤ
軸方向端縁をこえてタイヤバットレス面と間隙を隔てて
のびる外向き面を具え、かつ前記外向き面を通る分割線
により前記ベルト層に接する外層と、ベルト層とは離間
した内層とに半径方向内外に区分されるとともに、前記
内層の外向き面の長さは、該外向き面の全長さの0.3
倍以上かつ0.7倍以下、外層の体積は、ベルトクッシ
ョン層全体の体積の0.4倍以上かつ0.8倍以下、し
かも前記内層のゴムの老化防止剤の重量部を前記サイド
ウォール部の外壁面を形成するサイドウォールゴムの老
化防止剤の重量部の1.3倍よりも大としたことを特徴
とする空気入りタイヤである。
【0010】
【作用】バットレス部のサイドウォールゴム又はウイン
グ内に貯えられる老化防止剤は、トレッド面が接地を繰
返すことにより除々に滲出し、流失する。この流失は経
時的に続き例えば図4に示すグラフにおいて、破線で示
すように老化防止剤の残存量は2年間で約1/7に減少
し、この減少によってバットレス部にヒビ、割れ等の疵
が発生しこの疵が成長することによってトレッド縁に欠
けが生じるなどタイヤの耐久性を低下させるのである。
【0011】しかし本願では、クッションゴム層を半径
方向内外に区分するとともに、内層を形成するゴムに、
サイドウォールゴムの老化防止剤の重量部1.3倍をこ
える重量部の老化防止剤を添加したため、前記サイドウ
ォールゴム又はウイングに老化防止剤を補給でき、これ
によって前記サイドウォールゴム等の老化防止剤の保有
が確保される。従って図4のグラフに実線で示すように
サイドウォールゴム又はウイングは2年経過した後であ
っても老化防止剤の残存量は、初期値の略1/2にとど
まり、ヒビ、割れの発生を防止でき、タイヤの耐久性を
向上しうるのである。
【0012】なお外層は前記内層とともに、トレッド部
のショルダー領域に弾性を与え、接地面の形状を整え操
縦安定性を確保する。
【0013】
【実施例】以下本発明の一実施例を図面に基づき説明す
る。図1において空気入りタイヤ1は、トレッド部2か
らサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5
の周りを折返すカーカス6と、トレッド部2の内部かつ
カーカス6の外側に配されるとともに、タイヤ軸方向外
側が前記カーカス6から除々に離れ、この離れる部分に
クッションゴム層9を配してなるベルト層7とを具え、
本実施例では空気入りタイヤ1は、バス、トラックに用
いる重荷重用タイヤとして形成される。
【0014】カーカス6は、ナイロン、レーヨン、ポリ
エステル、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維又はス
チールからなるカーカスコードをタイヤ赤道Cに対して
70〜90°の角度で傾けて配列したラジアル又はセミ
ラジアル配列のカーカスプライを単数又は複数枚、本例
では2枚により形成される。
【0015】ベルト層7は本例では4枚のベルトプライ
7A、7B、7C、7Dからなり、各ベルトプライはカ
ーカスプライと同様にナイロン、レーヨン、ポリエステ
ル、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維又はスチール
からなるベルトコードをタイヤ赤道Cに対して10〜7
0°の角度で傾けて配設している。なお前記ベルト層7
は、本実施例ではタイヤ軸方向の巾が最大となるベルト
プライの巾がなすベルト巾をトレッド巾TWの0.7〜
0.95倍に設定している。
【0016】前記ベルトプライの中で、カーカス6に最
も近い内のベルトプライ7Aは、タイヤ軸方向外側部分
に前記カーカス6から除々に離れる部分8が存在し、こ
の部分8にはクッションゴム層9が充填される。
【0017】クッションゴム層9は、ベルト層7のタイ
ヤ軸方向端縁Fをこえて、タイヤバットレス面10と間
隙gを隔ててのびる外向き面11を具えるとともに、こ
の外向き面11を通る分割線Dにより前記ベルト層7に
隣接する外層12と、ベルト層7とは離間した内層13
とに半径方向内外に区分される。
【0018】サイドウォール部3には、前記カーカス6
の外側かつ外壁面14を形成するサイドウォールゴム1
5が配され、該サイドウォールゴム15の外端はバット
レス面のトレッド端縁Eの近傍までのびるとともに前記
クッションゴム層9の内層13に接している。
【0019】なお前記トレッド部2には、ベルト層7の
半径方向外側にトレッド面2Aを形成するトレッドゴム
21が設けられ、かつベルト層7のタイヤ軸方向外方部
分は、前記トレッドゴム21の内側に隣接されるショル
ダパッキングゴム22によって被覆される。ショルダパ
ッキングゴム22は、低発熱性のゴムを用いており、こ
のようにベルト層7の各ベルトプライの端縁部をショル
ダパッキングゴム22が覆うことによってベルト層の端
部Fが剥離するのを防止している。
【0020】前記サイドウォールゴム15は、タイヤが
転動することによって繰返し曲げと圧縮の作用を受け、
又このような作用力を受けることにより、ゴム組成の中
に含まれる老化防止剤が排出されがちとなる。サイドウ
ォールゴム15の組成の1例を表1に示す。老化防止剤
は、JIS K6211に規定されたゴム用防止剤に規
定される種類のものが採用でき、とくにPPD系のもの
が好適に用いられる。又老化防止剤はゴム組成中に通常
2〜5重量部が添加される。
【0021】
【表1】
【0022】クッションゴム層9は前記した如く分割線
Dによって、外層12と内層13とに区分され、内層1
3の外向き面の長さL1は外向き面11の全長さLの
0.3倍以上かつ0.7倍に区分している。又外層12
にあっては、その体積VOをクッションゴム層9の全体
の体積Vの0.4倍以上かつ0.8倍以下にしている。
【0023】前記外層12、内層13はJISA硬度が
50〜58度の軟質のゴムからなり、そのゴム組成の一
例を表1に示す。又内層13にはそのゴム組成の中に含
まれる老化防止剤はサイドウォール部15に含まれる老
化防止剤と同一種類のものであり、かつサイドウォール
ゴム15の老化防止剤の重量部1.3倍以上の重量部を
含んでいる。なお内層13における老化防止剤の含有量
は、サイドウォール15へ移行を持続させるには、走行
後であってもサイドウォールゴム15の含有量の1.3
倍よりも大であることが好ましく、従って初期の加硫時
におけるゴム組成にはサイドウォールゴム15の1.5
倍以上の老化防止剤を添加することが好ましい。
【0024】クッションゴム層9において内層13の外
向き面の長さLIが全長さLの0.3倍未満、又は外層
12の体積V0が全体の体積Vの0.8倍をこえた場合
には、内層13内に貯える老化防止剤の量が少ないた
め、サイドウォールゴム15への老化防止剤の補給が不
十分となり、該サイドウォールゴム15の老化防止剤の
含有量の経時的な減量が著しく、その結果、サイドウォ
ールゴム15に短期でヒビ、割れが生じやすい。逆に内
層13の外向き面11の長さLIが全長さの0.7倍を
こえた場合、又は外層12の体積VOが全体の体積Vの
0.4倍未満の場合には、前記分割線Lがベルト層7に
近接するため、ベルト層7は端縁において剥離が生じや
すく、又内層13の体積が増すことによって、高価な老
化防止剤の添加量が多くなることによってコスト高を招
く。
【0025】なお本実施例のようにサイドウォールゴム
15を内層13の外向き面11と接触させた場合には、
内層13に貯える老化防止剤のサイドウォールゴムへの
移行が円滑に行われる。
【0026】図2、3はウイング17を具えた他の態様
を示し、図2はサイドウォールゴム15と略同一組成か
らなるウイング17をサイドウォールゴム15に隣接し
て立上げバットレス面10を形成しており、このように
形成することによって老化防止剤の散失が著しいウイン
グ17に対しても内層13に貯える老化防止剤を補給で
き、バットレス面のヒビ、割れの発生を防止することが
出来る。又トレッド面2が摩耗することによって、ウイ
ング17がトレッド面に露出しヒビ、割れに起因してト
レッド端縁Eが破損するなど偏摩耗の発生をも防ぎう
る。なおウイング17は、図3に示すように表皮ゴム1
9を設けてその内側に配してもよく、さらにウイング1
7と内層13とを隣接させてもよい。
【0027】
【具体例】タイヤサイズが285/75R 24.5で
ありかつ図1に示す構成のタイヤについて、クッション
ゴム層の全体積に対する外層の体積の比を段階的に変化
させ、ヒビ、割れの発生状況を調査した。なお各試供タ
イヤの内層の老化防止剤の添加重量部は何れもサイドウ
ォールゴムのそれの1.5倍とした。
【0028】調査方法は、試供タイヤを実車の前輪に装
着するとともに、北米にて12万km走行した後バットレ
ス部に生じるキズ、割れの発生、状況を調査しかつ評価
するとともにその評価を指数で表示した。数値が大きい
ほどキズ、割れの発生が少なく良好であることを示す。
【0029】テストの結果、体積比VO/Vが0.4以
上でヒビ、割れの発生が著減することが確認出来た。
【0030】
【具体例2】具体例1と同サイズ、同一構成のタイヤに
ついて、サイドウォールゴムにおける老化防止剤の添加
重量部RIに対する内層の老化防止剤の添加重量部の比
RSを段階的に変化させ、ヒビ、割れの発生状況を調査
した。なお各試供タイヤの外層の体積VOは何れもクッ
ションゴム全体の体積Vの1.5倍とした。
【0031】調査は具体例1と同じ方法で実施し、かつ
評価するとともにその評価を指数で表示した。数値が大
きいほどキズ、割れの発生が少なく良好であることを示
すとともに、6.0以上が合格値である。
【0032】テストの結果含有比R1/RSが1.3よ
りも大とすることによってヒビ、割れの発生が激減する
ことが確認出来た。
【0033】
【発明の効果】叙上の如く本発明はクッションゴム層を
半径方向内、外に規制された分割位置と体積比率で分割
するとともに、その内方に位置する内層に、老化防止剤
をサイドウォールゴムの組成に含まれる老化防止剤の重
量部の1.3倍をこえる重量部で添加することを要旨と
しているため、サイドウォールゴムの走行による経時的
な老化防止剤の損失を前記内層から移動させることによ
り補充でき、今まで生じがちであったバットレスの経時
的なヒビ、割れの発生を防ぎタイヤの耐久性を向上しう
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すタイヤ右半分断面図で
ある。
【図2】他の態様を示す部分断面図である。
【図3】他の態様を示す部分断面図である。
【図4】バットレスゴムの老化防止剤の経時的な減少を
示すグラフである。
【図5】クッションゴムの容積比とヒビ、割れの発生と
の関係を示すグラフである。
【図6】サイドウォールゴムに対する内層の老化防止剤
の含有比とヒビ、割れの発生との関係を示すグラフであ
る。
【図7】従来技術を示す断面図である。
【符号の説明】
2 トレッド部 3 サイドウォール部 4 ビード部 5 ビードコア 6 カーカス 7 ベルト層 9 クッションゴム層 10 バットレス面 11 外向き面 12 外層 13 内層 14 外壁面 15 サイドウォールゴム D 分割線 F 端縁 g 間隙 L 外向き面の長さ LI 内層の外向き面の長さ V 体積 VI 外層の体積

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トレッド部からサイドウォール部をへてビ
    ード部のビードコアの周りを折返すカーカスと、トレッ
    ド部の内部かつカーカスの半径方向外側に配されるとと
    もにタイヤ軸方向外側が前記カーカスから除々に離れか
    つこの離れる部分にクッションゴム層を配したベルト層
    とを具える空気入りタイヤにおいて、前記クッションゴ
    ム層は、ベルト層のタイヤ軸方向端縁をこえてタイヤバ
    ットレス面と間隙を隔ててのびる外向き面を具え、かつ
    前記外向き面を通る分割線により前記ベルト層に接する
    外層と、ベルト層とは離間した内層とに半径方向内外に
    区分されるとともに、前記内層の外向き面の長さは、該
    外向き面の全長さの0.3倍以上かつ0.7倍以下、外
    層の体積は、ベルトクッション層全体の体積の0.4倍
    以上かつ0.8倍以下、しかも前記内層のゴムの老化防
    止剤の重量部を前記サイドウォール部の外壁面を形成す
    るサイドウォールゴムの老化防止剤の重量部の1.3倍
    よりも大としたことを特徴とする空気入りタイヤ。
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