JPH06158409A - 型紙作成装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 グレーディングに関する特別な知識を必要と
せず、複数サイズ型紙作成機能のために専用のデータを
作成する必要のない型紙作成装置を提供する。 【構成】 ワークステーション本体１はおもにＣＰＵ
２、ＲＯＭ３、ＲＡＭ４、インターフェース５から構成
され、パターンメーキング処理をはじめとする、アパレ
ルＣＡＤシステム全体の制御を行うものである。ＲＡＭ
４は、型紙を作成する手順を一時的に記憶するなどの処
理を行う。このほか周辺機器としてマウス６、キーボー
ド７、ディスプレイ８、プロッタ９、ハードディスク１
０が接続されている。ハードディスク１０には、原型デ
ータや型紙データが記憶される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、型紙作成装置に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】アパレル産業では、不特定多数の人に洋
服を提供しなければならない。工業であり、量産を行う
という面から考えると、個々の人それぞれにぴったりと
いう洋服を提供することは不可能である。体型をいくつ
かのサイズに分類し、それぞれの標準的な寸法に基づい
て洋服を作成することによって、様々な体型の人が着用
可能な洋服を提供している。体型の分類は、ＪＩＳ等の
規格が存在する。

【０００３】型紙の作成は、原型と呼ばれるベーシック
な形の型紙をもとにして、パターンメーキングと呼ばれ
る作業によって様々な変更を施し、所望の形の型紙を得
るというのが一般的である。その後、グレーディングと
呼ばれる作業によって、先ほどの型紙から複数のサイズ
の型紙を得る。

【０００４】原型と呼ばれる型紙は、様々な型紙のもと
になる。このため、人台（ボディ）を用いて立体的なチ
ェックをしながら丁寧に作成される。原型には、体型の
みを考慮した最もベーシックなものから、それに加えて
Ａライン、ボックスラインなどの、洋服ができあがった
ときのシルエットを表現しているものまで様々なタイプ
のものがある。シルエットを加味した原型は、シルエッ
ト原型などの名称で呼ばれている。

【０００５】型紙は、上述したシルエット原型に、パタ
ーンメーキング作業でデザイン的な要素を付加して作成
される。これは、デザインパターンなどと呼ばれる。例
えば、飾りのないセミタイトスカートの原型に、ひだを
取り、インバーティドプリーツスカートのデザインパタ
ーンを作成したりする。この手順を、図８及び図９を参
照して説明する。

【０００６】セミタイトスカートと、それをもとに作成
するインバーティドプリーツスカートを図８（ａ）及び
（ｂ）に示す。図９に示すように、まずは、前スカート
の中心線から外側へ、ひだの幅と、その２倍の幅で前中
心線と平行線を引く（図９（ｂ））。次に、ウエストラ
インを、外側の平行線にぶつかる位置まで延長する。裾
線を、外側の平行線にぶつかる位置まで延長する（図９
（ｃ））。その後、タックの印を入れる。最後に、仕上
がり線を変更する（図９（ｄ））。

【０００７】グレーディングというのは、デザインの印
象を変えないようにしながら、能率良くサイズを拡大・
縮小していくために考案された技術である。基にするサ
イズはマスターサイズなどと呼ばれるが、これにグレー
ディングを行うと別のサイズのデザインパターンを得る
ことができる。マスターサイズの型紙と同じ工程を経て
製作した方が適合率はよいが、それには大変な労力と時
間がかかる。このため、これらの作業を簡素化するため
にグレーディングの方法が用いられる。

【０００８】グレーディングは、人体を複数の平面に分
割した場合、違うサイズはそれぞれの面を拡大、縮小す
ることによって求めることができるという考え方に基づ
いている。それぞれの型紙に対して、分割するのに適当
な位置を求め、変化量を配分することが必要になる。ス
カートを例に、グレーディングの方法を簡単に説明す
る。

【０００９】図１０は（ａ）及び（ｂ）は、後ろスカー
トを６つに平面分割し、グレード量を配分した図であ
る。横方向はウエストライン（ＷＬ）とヒップライン
（ＨＬ）をそれぞれ３等分し、縦方向にはヒップライン
の上下で２等分する。そして各々の面に等量づつ、グレ
ード量を配分した。前スカートも同様に配分する。これ
を、最も単純なスカートのグレーディングとする。これ
をもとにして、実際にグレーディングを行なうデザイン
パターン（この場合、インバーティドプリーツスカー
ト）では、どの様に分割と配分を行なえば良いかを考え
る。例えば、中心線（ＣＢ）からダーツまでの間で１／
３、ダーツ位置で１／３、ダーツから脇線までで１／３
というように分散してウエストとヒップのグレード量を
入れるというように、である。これに従って、マスター
サイズの型紙をずらしながらトレースして他のサイズの
型紙を作成する。

【００１０】従来の型紙作成装置では、型紙作成装置上
で作成した型紙から複数のサイズの得る場合には、手で
作業を行なう場合と同様に、パターンメーキングした結
果の型紙をマスターとして、グレーディングという方法
により他のサイズの型紙を作成していた。型紙作成装置
で一般的な方法であるピッチ方式によりグレーディング
を行なう場合の手順を、図１１及び図１２に示す。まず
図１１（ａ）のように、型紙作成装置上でデザインパタ
ーンの各点に記号をつけて区別ができるようにする。次
に、同図（ｂ）のように分割位置とグレード量の配分を
考える。そして同図（ｃ）のように、同図（ａ）で記号
をつけた点はどう移動するかを割り出す。図１１に示し
たような準備を行なった後、型紙作成装置には図１２に
示したような表の形式で、グレーディングを指定する。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】結局グレーディングを
行うためには、基にするサイズを得るのに必要な知識と
は別の、グレーディング特有の知識を持っていることが
必要である。また上述したような考えを基本としている
ため、全ての部分が平均的に大きくなったり小さくなっ
たりする場合はかなりよい結果を得ることができるが、
そうでない場合、ことにマスターサイズから大きくはな
れて拡大・縮小を行なう場合は適合率の点で難がある。

【００１２】しかしながら従来の型紙作成装置で実現さ
れている複数サイズ型紙作成機能は、グレーディングと
いう手法を用いている。このため、グレーディングに関
する特別の知識が要求され、指定方法も難しい。得られ
る型紙の質についても、ユーザーの技能のレベルに大き
く依存するものであった。また、型紙作成装置にグレー
ディングを指定するために専用のデータを準備する必要
があった。

【００１３】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、グレーディングに関する特別な
知識を必要とせず、複数サイズの型紙作成のために新た
にデータを作成する必要のない型紙作成装置を提供する
ことを目的としている。

【００１４】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の型紙作成装置は、原型とする型紙のデータを
サイズ別に記憶する原型記憶手段と、前記原型記憶手段
に記憶された原型のうちより所望の原型を選択する選択
手段と、前記選択手段により選択された原型のデータに
所望の変形を施すパターンメーキング手段と、前記パタ
ーンメーキング手段により作成された型紙のデータを、
選択された原型の種類と、前記パターンメイキング手段
により施されたパターンメイキング手順とを対応させて
記憶する型紙記憶手段と、前記選択手段により選択され
た原型とはサイズの異なる原型に、前記記憶されたパタ
ーンメイキング手順を実行することにより、前記型紙記
憶手段に記憶された型紙とサイズの異なる型紙を作成す
る型紙作成手段とを備えた。

【００１５】

【作用】上記の構成を有する本発明の型紙作成装置にお
いては、原型記憶手段に記憶された原型のうちより所望
の原型を選択手段で選択し、選択された原型のデータに
パターンメーキング手段で変形を加える。そしてパター
ンメーキングにより作成された型紙のデータを、選択さ
れた原型の種類と、パターンメイキング手段により施さ
れたパターンメイキング手順とを対応させて型紙記憶手
段に記憶する。

【００１６】そして型紙作成手段は、選択された原型と
サイズの異なる原型に、型紙記憶手段に記憶されたパタ
ーンメイキング手順を実行することにより、型紙記憶手
段に記憶された型紙とサイズの異なる型紙を作成する。

【００１７】

【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図面を
参照して説明する。

【００１８】図２は、本発明をアパレルＣＡＤシステム
としてワークステーション上で具体化した実施例の構成
を示すブロック図である。

【００１９】ワークステーションは、同本体１のほか、
周辺機器としてマウス６、キーボード７、ディスプレイ
８、プロッタ９、ハードディスク１０が接続されてい
る。また、ワークステーション本体１はおもに、ＣＰＵ
２、ＲＯＭ３、ＲＡＭ４、インターフェース５からな
り、パターンメーキング処理をはじめとする、アパレル
ＣＡＤシステム全体の制御を行うものである。ＲＯＭ３
には、アパレルＣＡＤシステムの制御を行う各種プログ
ラムが格納されている。ＲＡＭ４は、型紙を作成する手
順を一時的に記憶するなどの処理を行う。インターフェ
ース５は、各種周辺装置とのやりとりを行うためのもの
である。また、マウス６とキーボード７は、パターンメ
ーキング作業をＣＰＵ２に対して指示するなどの操作を
行うためのものである。ディスプレイ８は、型紙の形状
をデータに基づいて表示し、プロッタ９は、型紙の形状
をデータに基づいて印刷するためのものである。ハード
ディスク１０は、原型記憶手段、型紙記憶手段として、
原型やデザインパターンのデータを記憶するためのもの
である。

【００２０】ハードディスク１０に設けられた原型記憶
部には、原型の各サイズの形状を示すデータが、原型の
種類ごとに記憶されている。また、型紙記憶部には、デ
ザインパターンのマスターサイズの形状を示すデータ
と、原型の種類と、原型からマスターサイズのデザイン
パターンを作成したときの手順とが、デザインごとに記
憶されている。

【００２１】まずは図３のフローチャートと図６の画面
イメージにしたがって、マスターサイズのデザインパタ
ーンのデータを原型から作成する手順を説明する。ハー
ドディスク１０の原型記憶部に記憶されている原型のデ
ータの一覧が、図６（ａ）で示すようにディスプレイ８
に表示される（ステップＳ１、以下単にＳ１とし、その
他のステップについても同様とする）。表示された一覧
から、元にする原型のデータを選ぶ（Ｓ２）。すると選
んだ原型データの形状が、図６（ｂ）のようにディスプ
レイ８に表示される。次に図６（ｃ）で示すように、そ
の原型にパターンメーキングを施して、所望の形状をな
すデータに変更する（Ｓ４）。

【００２２】そしてデータの登録が指示されると（Ｓ
５）、得られたデザインパターンの形状とＳ２で選ばれ
た原型種類と、Ｓ４で施されてＲＡＭ４に記憶されてい
るパターンメーキング手順とが、新しいデザインパター
ンのデータとしてハードディスク１０の型紙記憶部に登
録される（Ｓ６）。

【００２３】図４は、上記Ｓ４のパターンメーキング作
業の一例の処理のフローチャートである。前スカートの
前中心にインバーティドプリーツを作成する例を示し
た。これを、前述した図８及び図９を参照しながら説明
する。

【００２４】まずは、図９（ｂ）に示すように、前スカ
ートの中心線から外側へ、ひだの幅と、その２倍の幅で
前中心線と平行線を引く（Ｓ１１）。次に、図９（ｃ）
に示すように、ウエストラインを外側の平行線にぶつか
る位置まで延長する（Ｓ１３）。そして裾線を、外側の
平行線にぶつかる位置まで延長する（Ｓ１５）。その
後、図９（ｄ）に示すように、タックの印を入れる（Ｓ
１７）、最後に、仕上がり線を変更する（Ｓ１９）。パ
ターンメーキングを行った結果は逐次ディスプレイに表
示され、手順は、ＲＡＭ４に逐次記憶されていく（Ｓ１
２、１４、１６、１８、２０）。

【００２５】次に図５のフローチャートと図７の画面イ
メージにしたがって、マスターサイズの型紙から他のサ
イズの型紙を作成する手順を説明する。

【００２６】図７（ａ）に示すように、型紙記憶部に記
憶されているデザインパターンの一覧が画面に表示され
（Ｓ２１）、その中から他のサイズの型紙を作成するも
のを選ぶ（Ｓ２２）。すると、選ばれた型紙のデータを
ハードディスク１０の型紙記憶部から読み込む。そし
て、原型種類として指定されている原型のデータを、ハ
ードディスク１０の原型記憶部で調べ、指定されている
原型として登録されているサイズの一覧が、図７（ｂ）
のような形で表示される（Ｓ２３）。その中から型紙を
作成するサイズを選ぶ（Ｓ２４）。するとアパレルＣＡ
Ｄシステムでは、原型記憶部から指定種類・指定サイズ
の原型のデータを読み込み（Ｓ２５）、型紙データに記
憶されている手順を原型データに対して実行し（Ｓ２
６）、作成した型紙のデータの形状を、図７（ｃ）のよ
うに重ね合わせて画面に表示する。Ｓ２４で選ばれたサ
イズが全部作成できるまで（Ｓ２７）、Ｓ２５乃至Ｓ２
６の処理を繰り返す。全部作成できたら複数サイズ型紙
作成処理を終了する。

【００２７】以上、説明したことから明らかなように、
本実施例の発明のアパレルＣＡＤシステムによれば、一
度型紙を作成すれば、その型紙とサイズの異なる型紙を
作成するために新たにデータを作成する必要がなく、グ
レーディング理論を知らなくても、他のサイズの型紙を
正確に、容易に作成することができる。

【００２８】尚、本発明は以上詳述した実施例に限定さ
れるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲の変更は
可能である。例えば本実施例では、パターンメーキング
手段によって作成された型紙のデータの形状を、基本サ
イズの型紙データとして保持することを考えたが、変形
例として、基本サイズの型紙データもまた、原型種類と
基本型紙作成手順データにより保持し、必要なときに形
状を作成するという方法も考えることができる。

【００２９】

【発明の効果】以上、説明したことから明らかなよう
に、本発明の型紙作成装置によれば、一度型紙を作成す
れば、その型紙とサイズの異なる型紙を作成するために
新たにデータを作成する必要がなく、グレーディング理
論を知らなくても、他のサイズの型紙を正確に、容易に
作成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の構成を示す、ブロック図である。

【図２】本発明をアパレルＣＡＤシステムとして具体化
した実施例のブロック図である。

【図３】基本サイズ型紙データ作成処理の流れを示すフ
ローチャート図である。

【図４】基本サイズ型紙データ作成処理のパターンメー
キング作業の流れを示すフローチャート図である。

【図５】複数サイズ型紙データ作成処理の流れを示すフ
ローチャート図である。

【図６】（ａ）乃至（ｃ）は基本サイズ型紙データ作成
時の画面イメージを示す説明図である。

【図７】（ａ）乃至（ｃ）は複数サイズ型紙データ作成
時の画面イメージを示す説明図である。

【図８】（ａ）はセミタイトスカートの、（ｂ）はイン
バーティドプリーツスカートのそれぞれ型紙とできあが
りを示す説明図である。

【図９】（ａ）乃至（ｄ）はセミタイトスカートの原型
からインバーティドプリーツスカートのデザインパター
ンを作成する手順を示す説明図である。

【図１０】（ａ）及び（ｂ）はスカートの原型をグレー
ディングする場合の考え方を示す説明図である。

【図１１】（ａ）乃至（ｃ）はインバーティドプリーツ
スカートのデザインパターンをグレーディングする場合
の手順を示す説明図である。

【図１２】型紙作成装置へグレーディングを指示する場
合の画面イメージを示す説明図である。

【符号の説明】

２ ＣＰＵ ３ ＲＯＭ ４ ＲＡＭ ７ キーボード ８ ディスプレイ １０ ハードディスク

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 原型とする型紙のデータをサイズ別に記
   憶する原型記憶手段と、 前記原型記憶手段に記憶された原型のうちより所望の原
   型を選択する選択手段と、 前記選択手段により選択された原型のデータに所望の変
   形を施すパターンメーキング手段と、 前記パターンメーキング手段により作成された型紙のデ
   ータを、選択された原型の種類と、前記パターンメイキ
   ング手段により施されたパターンメイキング手順とを対
   応させて記憶する型紙記憶手段と、 前記選択手段により選択された原型とはサイズの異なる
   原型に、前記記憶されたパターンメイキング手順を実行
   することにより、前記型紙記憶手段に記憶された型紙と
   サイズの異なる型紙を作成する型紙作成手段とを備えた
   ことを特徴とする型紙作成装置。