JPH0615818A - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法

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JPH0615818A
JPH0615818A JP5037026A JP3702693A JPH0615818A JP H0615818 A JPH0615818 A JP H0615818A JP 5037026 A JP5037026 A JP 5037026A JP 3702693 A JP3702693 A JP 3702693A JP H0615818 A JPH0615818 A JP H0615818A
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ink
ink jet
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inkjet
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JP5037026A
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Yasushi Miura
康 三浦
Yoshihiro Takada
吉宏 高田
Akio Suzuki
章雄 鈴木
Nobuhiko Ogata
信彦 緒方
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Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 装置の大型化やコストアップを伴わずに、ケ
バや糸クズを容易に除去でき、インクの不吐出を防止で
きるインクジェット記録装置および方法を提供する。 【構成】 布帛36などの記録媒体に対向し、インクジ
ェットヘッド9の移動に付随して移動する粘着部材20
01を設ける。この粘着部材2001は、ケバや糸クズ
を付着して除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、記録媒体にインクを飛
翔させて画像形成を行なうインクジェット記録装置およ
びインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】布帛や壁紙などに対して記録を行なう方
法の代表的なものとして、シルクスクリーン版を用いて
布帛などに直接印刷を行なうスクリーン捺染方法があ
る。この方法では、まず、印刷すべき原画像に対しその
原画像に使われている色ごとにシルクスクリーン版を作
成し、このシルクスクリーン版をスクリーン捺染装置に
装着し、シルクスクリーン版の網目を通してインクを布
帛などに直接転写することによって記録が行なわれる。
【0003】しかしながらこのスクリーン捺染方法で
は、予めシルクスクリーン版を作成するのに当たり多大
な工数と日数を要するほか、各色のインクの調合、各色
ごとのシルクスクリーン版の位置合わせなどの作業も要
するという問題点がある。さらに、装置が大きく、使用
する色の数に比例して大型化し設置スペースを要するほ
か、シルクスクリーン版の保存スペースも必要であると
いう問題点がある。
【0004】そこで、布帛や壁紙などの記録媒体上に画
像を直接記録するインクジェット記録方法が提案されて
いる。このインクジェット記録方法は、インクジェット
記録手段に設けられた吐出口から微小のインクを布帛な
どの記録媒体に対して飛翔させ、記録媒体に画像を記録
する方法であり、この方法によれば、従来のスクリーン
捺染では必要であったスクリーン版を必要とせず、布帛
などに画像を形成するまでの工程、日数が大幅に短縮で
きるほか、装置の小型化もできるという利点が得られ
る。また、印刷のための画像情報も、テープ、フレキシ
ブルディスク、光ディスクなどの媒体に保存でき、その
ため画像情報の保管性、保存性についてもすぐれ、さら
に、原画像に対する配色変え、レイアウト変更、拡大・
縮小等の加工が容易に行なえるという利点もある。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】このインクジェット
記録方法では、記録媒体として布帛や壁紙などを使用し
た場合、これら記録媒体の表面上に存在するケバや、記
録媒体から生じインクジェットヘッド付近を漂う糸クズ
(繊維クズ)などが、インクジェットヘッドの吐出口を
ふさいでしまい、インクの不吐出の原因になるという問
題点がある。
【0006】また、これらケバや糸クズを除去するため
に、記録媒体の全幅に見合う長さの粘着ローラを使用す
ることも考えられるが、このようにすると装置の大型化
やコストアップが避けられないという問題点がある。
【0007】本発明の目的は、装置の大型化やコストア
ップを伴わずに、ケバや糸クズを容易に除去でき、イン
クの不吐出を防止できるインクジェット記録装置および
インクジェット記録方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
記録装置は、インクを飛翔させて画像形成を行なうイン
クジェット記録手段を使用し、記録媒体に対向させつつ
前記インクジェット記録手段を相対的に移動させ前記記
録媒体上に画像を記録するインクジェット記録装置にお
いて、前記記録媒体に対向し前記インクジェット記録手
段の移動に付随して移動する粘着部材が設けられてい
る。
【0009】本発明のインクジェット記録方法は、記録
媒体に対してインクを吐出して記録を行なうインクジェ
ット記録方法において、インクを吐出するインクジェッ
ト記録手段と前記記録媒体に対向させつつ前記インクジ
ェット記録手段を相対的に移動させる手段と前記インク
ジェット記録手段の移動に付随して移動する粘着部材と
を有する記録装置を使用して、前記記録媒体上にインク
を付与するインク付与工程を有する。
【0010】なお、本明細書において、「記録」とは
「捺染」の意味を含むものであり、広く布帛や紙などの
記録媒体に画像を付与することをいう。
【0011】記録媒体としては、布帛、壁紙、紙、OH
P用フィルム等が挙げられる。特に布帛、壁紙のような
低吸水性の記録媒体に対して本発明は好適である。
【0012】なお、本発明において、布帛とは、素材、
織り方、編み方を問わず、あらゆる織物、不織布、及び
その他の布地を含む。
【0013】また、本発明において、壁紙とは、紙、布
帛、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂シートを素材とする壁
用貼付材を含む。
【0014】
【作用】記録媒体に対向しインクジェット記録手段の移
動に付随して移動する粘着部材が設けられているので、
ケバや糸クズはこの粘着部材に付着することになり、小
型かつ安価な装置によって、吐出口まわりへのこれらケ
バや糸クズなどの塵の付着を低減することができる。し
たがって長時間にわたり、インクの不吐出が発生せず、
安定した高品位の画像を得ることができる。
【0015】この種のインクジェット記録装置では、イ
ンクジェット記録手段を移動させるとともに記録媒体も
搬送されるようにするのが一般的であるから、記録媒体
をインクジェット記録手段の移動方向とは異なる方向に
搬送させる搬送手段を設け、粘着部材が記録媒体の移動
方向に関してインクジェット記録手段より上流側に設け
られるようにするとよい。このように構成することによ
り、インクジェット記録手段に対向する位置に到達する
前に記録媒体上のケバが除去されることになる。また、
粘着部材にケバや糸クズが大量に付着すると、ケバや糸
クズの除去能力が低下するから、粘着部材がインクジェ
ット記録手段に対して脱着可能に設けられるようにする
とよい。なお、粘着部材が記録媒体に接触すると、かえ
って記録媒体表面のケバ立ちを助長するので、記録媒体
と粘着部材とは、微小の間隔をあけて非接触状態となる
ようにすることが望ましい。
【0016】本発明のインクジェット記録装置ないしイ
ンクジェット記録方法に使用される記録媒体として、布
帛や壁紙などを用いることにより、優れた効果を得るこ
とができる。
【0017】本発明において使用されるインクジェット
記録手段としては、インクを飛翔させて記録を行なうも
のであれば限定されるものではないが、特に、インク吐
出用の熱エネルギーを発生するための電気熱変換体を備
えているものを用いることによって、優れた効果を得る
ことができる。この場合、このインクジェット記録手段
は、電気熱変換体によって印加される熱エネルギーによ
り、インクに生ずる膜沸騰を利用して吐出口よりインク
を画像形成に向けて吐出・飛翔させるものであるように
するとよい。
【0018】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を用いて
詳細かつ具体的に説明する。
【0019】(実施例1)次に本発明の実施例について
図面を参照して説明する。図1は一実施例のインクジェ
ット記録装置の基本構成を示すブロック図であり、図2
は本発明に特に好ましい画像記録部303の概要を示す
模式図である。このインクジェット記録装置は、システ
ムとして構成され、大別して、デザイナー等が作成した
原画を読み取りこの原画像を電気信号で表される原画デ
ータに変換する画像読み取り装置301、画像読み取り
装置301からの原画データを取り込んで加工してイメ
ージデータとして出力する画像処理部302、画像処理
部302で作成されたイメージデータに基づき、布帛等
の記録媒体上に記録を行う画像記録部303とからなっ
ている。画像読み取り装置301では、CCDイメージ
センサにより原画像を読み取られる。画像処理部302
では、入力された原画データから、後述するマゼンタ
(略号M),シアン(略号C),イエロー(略号Y),ブ
ラック(略号Bk)の4色のインクを吐出するインクジ
ェット記録部A−2(図2)を駆動するためにデータを
作成する。データの作成の際には、原画像をインクのド
ットで再現するための画像処理、色調を決定する配色、
レイアウトの変更、拡大、縮小等の図柄の大きさの加
工、選択がなされる。画像記録部303では、インクジ
ェット記録部A−2により記録が行われる。インクジェ
ット記録部A−2は、微小のインク滴を記録媒体に向け
て飛翔させ、このインク滴を記録媒体に付着させること
により記録を行うものである。
【0020】図3は、本発明において使用されるインク
ジェット記録装置のプリント部1を示す斜視図である。
【0021】インクジェット記録部1は、大別して、フ
レーム枠6、フレーム枠6に取り付けられ相互に平行な
2本のガイドレール7,8、インクジェットヘッド9、
インクジェットヘッド9を保持するヘッドホルダ200
3、ヘッドホルダ2003を介してインクジェットヘッ
ド9が載置されるヘッドキャリッジ10、インク供給装
置11、インク供給装置11が載置されるインクキャリ
ッジ12、ヘッド回復装置13、および電装系5から構
成されている。インクジェットヘッド9(以下、単にヘ
ッドと呼ぶ)は、複数のノズル列と電気信号をインク吐
出エネルギーに変換するための変換装置とを含み、画像
処理部302から送られてきた画像信号に応じてノズル
列から選択的にインクを吐出させる機構をもつ。そして
図4に示すように、ヘッドホルダ2003の下側には保
持部材2002が設けられ、粘着部材2001が布帛3
6に近接して対向するように保持部材2002に取り付
けられている。
【0022】前記ヘッド9としては、熱エネルギーを利
用してインクを吐出する記録ヘッドであって、インクに
与える熱エネルギーを発生するための熱エネルギー変換
体を備えており、前記熱エネルギー変換体によって印加
される熱エネルギーよりインクに状態変化を生起させ、
該状態変化に基づいて吐出口よりインクを吐出させるヘ
ッドが好ましく使用される。この場合、ヘッド9には、
M,C,Y,Bkの各色ごとに記録ヘッドが設けられる。
【0023】インク供給装置11は、M,C,Y,Bkの
4色のインクをそれぞれ貯留しインクジェットヘッド9
に必要量供給するためのものであり、インクタンクやイ
ンクポンプなど(図示せず)を有する。インク供給装置
11とインクジェットヘッド9とはインク供給用のチュ
ーブ4で接続され、通常は毛細管作用により、インクジ
ェットヘッド9から吐出される分だけのインクが自動的
にインクジェットヘッド9に供給されるようになってい
る。また、後述するようなヘッド回復動作の時には、イ
ンクポンプ(不図示)を用いて強制的にインクをインク
ジェットヘッド9に供給する。これらインクジェットヘ
ッド9およびインク供給装置11は、それぞれヘッドキ
ャリッジ10、インクキャリッジ12に搭載され、不図
示の駆動装置によりガイドレール7,8に沿って往復移
動を行なうようになっている。
【0024】ヘッド回復装置13は、インクジェットヘ
ッド9の安定性を維持するために、ホームポジションに
おけるインクジェットヘッド9に対向して設けられてお
り、キャッピング部24を有する。具体的には次に述べ
るような動作を行なう。すなわち、非動作時には、イン
クジェットヘッド9のノズル内からインクの蒸発を防ぐ
ために、ホームポジションにおいてキャッピング部24
によりインクジェットヘッド9のキャッピングを行なう
(キャッピング動作)。画像記録を開始する前には、ノ
ズル内の気泡やゴミなどを排出するために、インクポン
プを用いてインクジェットヘッド9内のインク流路を加
圧してノズルから強制的にインクを排出するといった動
作を行なう必要があるが(加圧回復動作)、ヘッド回復
装置13はその際に排出インクを回収するなどの機能を
果たす。
【0025】電装系5は、電源部及びインクジェット記
録部全体のシーケンス制御を行うための制御部を含む。
布帛36はヘッド9がガイドレールに沿って主走査方向
に移動して所定長の記録が行われる毎に不図示の搬送装
置により副走査方向(矢印B方向)に所定量搬送され、
画像形成が行われていく。図中、斜線部36’は記録が
終了した部分(記録済部分)を示す。
【0026】なお、インクジェットヘッド9としては、
単色記録用のインクジェット記録ヘッド、カラー記録用
の異なる色のインクで記録する複数個の記録ヘッド、あ
るいは同一色彩で濃度の異なる濃淡インクで記録する複
数の記録ヘッド等を用いることができる。
【0027】また、記録ヘッドとインクタンクを一体化
したカートリッジタイプのもの、あるいは記録ヘッドと
インクタンクを別体としこれらをインク供給チューブで
接続する構成のもの等、記録手段及びインクタンクの構
成を問わず適用することができる。
【0028】ここで、粘着部材2001について、さら
に詳しく説明する。上述のように粘着部材2001は、
保持部材2002を介してヘッドホルダ2003の下側
に取り付けられている。ここでは布帛36は図示下方か
ら上方に(すなわち図4の図示矢印方向に)搬送される
ので、結局、粘着部材2001はインクジェットヘッド
9に対し、布帛36の搬送方向の上流側に位置している
ことになる。このように配置することにより、インクジ
ェットヘッド9がガイドレール7,8に沿って移動する
際に、記録が行なわれる直前の布帛36上のケバや糸ク
ズを粘着・除去することになる。
【0029】粘着部材2001は布帛36に対して非接
触であることが望ましく、本実施例の場合では、布帛3
6の表面とインクジェットヘッド9の表面との間隔d1
を1mm、布帛36の表面と粘着部材2001の表面と
の間隔d2を0.5mmに設定して、布帛36への記録を
行なった。また、粘着部材2001をヘッドホルダ20
03に対して脱着可能とし、粘着部材2001の清浄能
力(表面にどれだけのケバや糸クズが付着しているかな
ど)に応じて適宜交換するようにすればよい。
【0030】さらに、以下の態様の記録装置において本
発明を実施することにより、吸水性が極めて低い記録媒
体においても高品質な画像を得ることができる。
【0031】次に、図2を用いて画像記録部303をさ
らに詳細に説明する。この画像記録部303すなわち記
録装置は、大きく分けて、捺染用の前処理を施されたロ
ール状の布帛等の記録媒体を送り出す給布部Bと、送ら
れてきた布帛を精密に行送りして、インクジェットヘッ
ドでプリントを行う本体部Aと、プリントされた布帛を
乾燥させ巻取る巻取り部Cからなる。そして、本体部A
はさらにプラテンを含む布帛の精密送り部A−1とイン
クジェット記録部A−2とからなる。
【0032】以下、記録媒体として前処理された布帛を
用い捺染を実施する場合を例にとってこの装置の動作を
説明する。
【0033】前処理されたロール状の布帛36は給布部
Bから送り出され、本体部Aに送られる。本体部Aには
精密にステップ駆動される薄い無端のベルト37が駆動
ローラ47、巻回ローラ49に架け回されている。駆動
ローラ47は、高分解能のステッピングモータ(図示せ
ず)でダイレクトにステップ駆動されてそのステップ量
だけベルト37をステップ送りする。送られてきた布帛
36は巻回ローラ49によってバックアップされたベル
ト37表面に、押付けローラ40によって押付けられ、
張付けられる。
【0034】ベルト37によってステップ送りをされて
きた布帛36は、第1のプリント部31において、ベル
ト背面のプラテン32によって定位され表側からインク
ジェットヘッド9によってプリントされる。1行のプリ
ントが終る毎に、所定量ステップ送りされ、次いでベル
ト背面からの加熱プレート34による加熱と、温風ダク
ト35によって供給/排出される、表面からの温風によ
って乾燥される。続いて第2のプリント部31′におい
て、第1のプリント部31と同様な方法で重ねプリント
がなされる。
【0035】プリントが終った布帛36は引き剥されて
前述の加熱プレートと温風ダクトと同様な後乾燥部46
で再度乾燥され、ガイドロール41に導かれて巻取りロ
ール48に巻取られる。そして、巻取られた布帛は本装
置から取外され、バッチ処理で発色、洗浄、乾燥等の後
処理工程を経て製品となる。
【0036】次にインクジェット記録部A−2付近の詳
細について図5により説明する。
【0037】ここでの好ましい態様は、第1プリント部
のヘッドにより、ドット数を間引いて情報を記録し、乾
燥工程を経て、第2プリント部のヘッドにより、第1プ
リント部で間引かれた情報を補完するようにインク滴を
吐出するものである。
【0038】図4において、記録媒体である布帛36
は、ベルトに張り付けられて図中、上方向にステップ送
りされるようになっている。図中下方の第1のプリント
部31にはY,M,C,Bkの各記録ヘッドのほか、特色
S1〜S4用のインクジェットヘッド8本を搭載した第
1のキャリッジ44がある。本例におけるインクジェッ
トヘッド(記録ヘッド)は、インクを吐出するために利
用されるエネルギーとして、インクに膜沸騰を生じさせ
る熱エネルギーを発生する素子を有するものを用いてあ
り、また400dpi(ドット/インチ)の密度で12
8の吐出口を配列したものを用いている。
【0039】第1のプリント部31の下流側にはベルト
の背面から加熱する加熱プレート34と、表側から乾燥
させる温風ダクト35とからなる乾燥部45が設けられ
ている。加熱プレート34の熱伝達面は、強くテンショ
ンをかけられたベルト37に押し当てられ、中空になっ
ている内側に通してある高温高圧の蒸気によって、ベル
ト37を背面から強力に加熱する。ベルト37は、貼り
付けられている布帛36を熱伝導によって直接に効果的
に加熱する。加熱プレート面の内側は集熱のためのフィ
ン34′が設けられていて熱を効率的にベルト背面に集
中できるようにしてある。ベルトに接しない側は断熱材
43でカバーしてあり、放熱による損失を防いでいる。
【0040】表側では、下流側の供給ダクト30から乾
燥温風を吹き付けることによって、乾燥しつつある布帛
36に、より湿度の低い空気を当てて効果を高めるよう
にしている。そして布帛36の搬送方向とは逆に流れて
充分に水分を含んだ空気は、上流側の吸引ダクト33か
ら、吹き付けの量よりもはるかに多量の吸引をすること
によって、蒸発水分が漏れて周囲の機械装置に結露しな
いようにしてある。温風の供給源は図4の奥側にあり、
吸引は手前側から行うようになっていて、布帛36に対
向している吹き出し口38と吸引口39との圧力差が長
手方向全域にわたって均一になるようにしてある。空気
の吹き付け/吸引部は背面の加熱プレートの中心に対し
て下流側にオフセットされており、充分に加熱された所
に空気が当たるようにしてある。これらによって第1の
プリント部31が布帛36が受容した薄め液も含むイン
ク中の多量の水分を強力に乾燥させる。
【0041】その下流(上方)には第2のプリント部3
1′があり、第1のキャリッジと同様の構成の第2のキ
ャッリジ44′で第2のプリント部を形成している。
【0042】次に、画像読み取り装置301について説
明する。図6は、画像読み取り装置301の構成を示す
平面図である。この画像読み取り装置301は、いわゆ
るイメージスキャナと呼ばれるものの一種であり、CC
Dユニット18により原画像を電気信号(原画データ)
に変換するものである。
【0043】CCDユニット18は、CCD16、CC
D16に結像するレンズ15などにより構成されるユニ
ットであり、主方向レール54上を自由に移動できるよ
うになっている。主方向レール54の一端にはプーリ5
1とこのプーリ51に接続された主走査モータ50が取
り付けられている。主方向レール54の他端にはもう1
つのプーリ52が設けられ、両方のプーリ51,52に
懸けわたされCCDユニット18に接続されたワイヤ5
3が設けられている。これら主走査モータ50、プーリ
51,52、ワイヤ53は主走査方向の駆動系を構成
し、この駆動系でCCDユニット18を駆動することに
より、CCDユニット18が主方向レール54上の任意
の位置に移動できるようになっている。
【0044】主方向レール54の両端は、主方向レール
54に対して直角に設けられた2本の副方向レール6
5,69に摺動自在に取り付けられている。2本の副方
向レール65,69は、相互に平行で同じ長さであり、
この副方向レール65,69で挟まれた領域が読み取り
エリア77となる。各副方向レール65,69の一端に
はそれぞれプーリ76,68が設けられ、各副方向レー
ル65,69の他端にはそれぞれプーリ67,71が設け
られている。そして、副方向レール65,69ごとに、
両端のプーリ76,67,68,71を懸けわたすワイヤ
66,70がそれぞれ設けられ、各ワイヤ66,70はそ
れぞれ主方向レール54の両端に接続されている。各副
方向レール65,69の一端側のプーリ76,68は、と
もに一方の軸72に固着され、他端側のプーリ67,7
1は、ともに他方の軸73に固着されている。これら2
本の軸72,73は相互に平行かつ主方向レール54に
対して平行であり、それぞれ回転可能である。一方の軸
72の端部には、副走査モータ60が取り付けられてい
る。これら軸72,73、副方向レール65,67、プー
リ76,67,68,71、副走査モータ60は、副走査
方向の駆動系を構成し、副走査モータ60を駆動するこ
とにより、主方向レール54が副方向レール65,69
の延びる方向に移動できるようになっている。
【0045】読み取りエリア77のほぼ全面に原稿台ガ
ラス17が設けられており、この原稿台ガラス17はC
CDユニット18と対向している。また、読み取りエリ
ア77の端部は、補正エリア78となっている。
【0046】このように構成することにより、この画像
読み取り装置301では、主走査モータ50と副走査モ
ータ60とを駆動することによって、読み取りエリア7
7の任意の位置にCCDユニット18を移動させること
が可能となる。この場合、読み取りエリア77のホーム
ポジション(読み取り時の座標の原点となるべき位置)
にCCDユニットが来たことを検出するため、主方向レ
ール54の他端側と、一方の副方向レール65の他端側
に、それぞれホームポジションセンサ56,58が設け
られている。図6に示した例では、ホームポジションは
補正エリア78に対応して設けられている。
【0047】次に、この画像読み取り装置301の画像
読み取り動作について、図7を用いて説明する。
【0048】原稿の読み取り動作は、まず、補正エリア
78の中にあるホームポジションHPにCCDユニット
18を移動し、ここから原稿台ガラス17に置かれた原
稿全面の読み取り動作を開始する。
【0049】原稿の走査に先だって補正エリア78で、
シェーディング補正、黒レベルの補正、色補正などの処
理に必要なデータ設定を行なう。その後、図示の矢印の
方向に主走査モータ50によりCCDユニット18の主
走査方向(図示横方向)の走査を開始する。図示で示
した第1のエリアの読み取り動作が終了したら、主走査
モータ50を逆転させるとともに、副走査モータ60を
駆動し、図示のエリアに隣接する図示のエリアの補
正エリア78に副走査方向の移動を行なう。続いて、
のエリア場合と同様に、必要に応じてシェーディング補
正、黒レベルの補正、色補正等の処理を行ない、主走査
方向にCCDユニット18を移動させつつ原稿の読み取
りを行なう。
【0050】以上の走査を繰り返すことにより、図7に
示した例ではからのエリアのエリア全面の読み取り
動作を行ない、最後のエリアであるのエリアの読み取
り動作を終えた後、再びCCDユニット18をホームポ
ジションHPに戻す。一般的な原稿の大きさと、CCD
ユニット18が1回に読み取れる幅との関係から、本実
施例において実際にはもっと多くの回数の走査を行わな
ければならないが、本説明では動作を理解しやすくする
ために簡略化している。
【0051】以上説明した読み取り動作が等倍の読み取
り動作であるとすると、CCDユニット18が1回の読
み取り動作で読み取れるエリアは、図7に示すように実
際には、実際に読み取るエリアよりも広いエリアであ
る。これは、この画像読み取り装置301が拡大、縮小
の変倍機能を内蔵しているためである。例えば、インク
ジェットヘッド9で記録できる領域が1回に256ドッ
トであるとすると、50%の縮小動作を行なう場合に
は、最低、256ドットの2倍の512ドットの領域の
画像情報が必要となるからである。したがって、画像読
み取り装置301は、1回の主走査方向の読み取りで任
意の画像領域の画像情報を読み取り、出力する機能を内
蔵している。
【0052】次に、画像処理部302の構成について、
図8を用いて説明する。画像処理部302は、画像読み
取り装置301および画像記録部303のそれぞれの制
御系と一体的に作動するので、ここでは、これら画像読
み取り装置301および画像記録部303の制御系につ
いても説明する。
【0053】画像処理部302には、コンピュータなど
のホスト機(不図示)とのデータ送受信などを行なう制
御回路である制御部111が設けられている。そして、
画像読み取り装置301、画像記録部303にも、それ
ぞれの制御を行なう制御回路である制御部102、12
1が設けられている。これら制御部102、111、1
21は、マイクロプロセッサ、プログラムROM、デー
タメモリ、通信回路などにより構成されている。制御部
102と制御部111との間、制御部111と制御部1
21との間は、それぞれ通信回線により接続されてお
り、画像処理部302の制御部111の指示により、画
像読み取り装置301および画像記録部303の各制御
部102、121が動作を行なう、いわゆるマスタース
レーブの制御形態を採用している。
【0054】画像処理部301には、制御部111のほ
か、IEEE488インターフェースいわゆるGPIB
インターフェースなどの汎用パラレルインターフェース
の制御回路であるI/F制御部112、画像に関する各
種の処理を行なう多値合成部106、後述する画像処理
手段107、濃度ムラ補正を行なうヘッド補正部12
3、画像データの2値化処理を行なう2値化処理部10
8、画像データを記憶するバッファメモリ110が設け
られ、操作部20が接続されている。この制御部111
は、操作部20およびコンピュータ(不図示)よりの指
示に従い動作する。操作部20は、原稿を読み取る際の
色や編集に関する指定、動作の指定などの選択指示を与
える。また後述の画像形成時の濃度ムラ補正の指示も行
なう。また、この制御部111は、I/F制御部112
の制御機能を持っており、外部のコンピュータなどとの
画像データの入出力、外部装置によるリモート制御をI
/F制御部112に接続されたインターフェースを介し
て行なうことが出来るようになっている。さらに、制御
部111は、多値合成部106、画像処理手段107、
ヘッド補正部123、2値化処理部108、バッファメ
モリ110の制御を行なう。
【0055】画像読み取り装置301の制御系には、制
御部102のほか、画像読み取り装置301の機械部分
の駆動制御を行なうメカ駆動部105、原稿読み取り時
のランプ(不図示)の露光制御を行なう露光制御部10
3、104、CCD16が接続され画像に関する各種の
処理を行なうアナログ信号処理部100、入力された画
像を処理する入力画像処理部101が設けられている。
制御部102は、これら、メカ駆動部105、露光制御
部103、104、アナログ信号処理部100、入力画
像処理部101の制御を行なう。
【0056】画像記録部303の制御系には、制御部1
21のほか、画像記録部303の機械部分の駆動制御を
行なうメカ駆動部122と、各色ごとの記録ヘッド11
7〜120を駆動するヘッドドライバ116と、画像記
録部303の機械部分の動作の時間バラツキを吸収し記
録ヘッド117〜120の機構上の並びによる遅延補正
を行なう同期遅延メモリ115が設けられている。同期
遅延メモリ115には、記録ヘッド117〜120の駆
動に必要なタイミングの生成を行なう回路も含まれてい
る。制御部121は、同期遅延メモリ115とメカ駆動
部122の制御を行なう。
【0057】次に、本実施例における画像処理の流れを
図8を用いて説明する。
【0058】画像読み取り装置301において、CCD
ユニット18(図6)のCCD16上に結像された画像
は、CCD16によりアナログ電気信号に変換される。
変換されたアナログ電気信号(画像情報)は、R(赤)
→G(緑)→B(青)のようにシリアルに処理されアナ
ログ信号処理部100に入力する。アナログ信号処理部
100では、R、G、Bの各色ごとにサンプル&ホール
ド、ダークレベルの補正、ダイナミックレンジの制御な
どの処理を行なったのち、アナログ/デジタル変換(A
/D変換)を行ない、シリアル多値(本実施例では、各
色ごとに8ビット長)のデジタル画像信号に変換して入
力画像処理部101に出力する。入力画像処理部101
では、CCD補正、γ補正などの読み取り系で必要な補
正処理をシリアル多値のデジタル画像信号のまま行な
い、結果を原画データとして画像処理部302に出力す
る。
【0059】画像処理部302では、多値合成部106
において、画像読み取り装置301から送られてくるシ
リアル多値のデジタル画像信号(原画データ)と外部の
コンピュータ(不図示)からパラレルI/Fを介して送
られてくるデジタル画像信号との選択、および合成処理
が行なわれる。選択・合成された画像データは、シリア
ル多値のデジタル画像信号のまま画像処理手段107に
送られる。画像処理手段107は、スムージング処理、
エッジ処理、黒抽出、記録ヘッド117〜120で使用
する記録インクの色補正のためのマスキング処理などを
行なう回路である。シリアル多値のデジタル画像信号
は、この画像処理手段107において上述したような処
理を施される。そして、画像処理手段107の出力はヘ
ッド補正部123とバッファメモリ110にそれぞれ入
力する。ヘッド補正部123については後述するが、ヘ
ッド補正部123の出力は、2値化処理部108に入力
する。
【0060】2値化処理部108は、シリアル多値のデ
ジタル画像信号を2値化するための回路であり、固定ス
ライスレベルによる単純2値、ディザ法などによる疑似
中間調処理を選択することができる。シリアル多値のデ
ジタル画像信号は、ここで4色の2値パラレル画像信号
に変換され、イメージデータとして画像記録部303に
出力される。
【0061】画像記録部303では、画像処理部302
からの2値パラレル画像信号(イメージデータ)が同期
遅延メモリ115に入力し、この信号に基づいてヘッド
ドライバ116は、各記録ヘッド117〜120を駆動
し、各記録ヘッド117〜120から、それぞれ、シア
ン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインクが吐出さ
れ、布帛への画像の印刷が行なわれる。
【0062】続いて、外部のコンピュータなどとのイン
ターフェース(I/F)について説明する。
【0063】画像読み取り装置301で読み取られた原
稿の多値の画像データは、バッファメモリ110に一時
的に記憶される。この画像データは、I/F制御部11
2により、同期をとりながらGPIBなどのパラレルイ
ンターフェースを介してコンピュータ(不図示)に転送
される。コンピュータに転送された画像データは、CR
Tディスプレーなどを用いて、編集、色変換などの処理
が加えられ、フレキシブルディスク、固定ディスク、光
ディスクなどに画像ファイルとして記憶される。もちろ
ん、特別な処理を行なわずに、単に記憶のみを行なって
もよいことは言うまでもない。また画像読み取り装置3
01を使用せずに直接コンピュータ上で作製したコンピ
ュータグラフィックス(CG)などの画像も、画像読み
取り装置301で読み取った画像と同様に扱うことがで
きる。
【0064】このようにして作製、保存された画像ファ
イル中の画像データは、前述と同様に、GPIBなどの
パラレルインターフェースを介してバッファメモリ11
0に転送され、次いでバッファメモリ110から画像多
値合成部106、画像処理手段107、ヘッド補正部1
23、2値化処理部108、同期遅延メモリ115を通
ってヘッドドライバ116に送られ、その結果、記録ヘ
ッド117〜120によってその画像データの印刷が行
なわれる。
【0065】次に、上述のヘッド補正部123の詳細に
ついて図9を使用して説明する。
【0066】画像記録部303に設けられた記録ヘッド
117〜120の各ノズルは、均一になるように作られ
ているが、微妙にノズル径が異なっていたり、ノズル近
傍に付着したインクなどの影響によりごくわずかではあ
るが各ノズルのインク吐出方向がずれたり、吐出量が異
なったりすることがある。このため、一定濃度の画像デ
ータを記録させた場合であっても、主走査方向にスジ状
のムラが発生することがある。これを補正し一定濃度の
記録が得られるようにするため、濃度の薄い(あるいは
濃い)ノズル部分に相当する画像データの濃度をその記
録濃度に応じて増加(減少)させることで結果的に記録
濃度を均一にするような補正が行なわれる。ヘッド補正
部123はこのような補正を行なう部分である。ここで
は、各記録ヘッド117〜120にはそれぞれ256本
のノズルが設けられているものとする。
【0067】ヘッド補正部123では、選択RAM26
0に、C,M,Y,Bkのそれぞれに対応する記録ヘッド
117〜120の各256本のノズルの濃度ムラの特性
情報(後述で説明する補正用RAM262に書き込まれ
ている複数の補正用データのどれにより補正を加えるか
を選択する選択情報)がCPU258により書き込まれ
る。選択RAM260には、ノズルの数に対応した10
24(=256×4)ノズル分の特性情報が書き込まれ
るようになっている。画像入力データVDinは、画像
処理手段107からのシリアル多値のデジタル画像デー
タであり、この実施例では8ビット幅であって、1画素
ごとの色成分画像データ(8ビット)が、Y,M,C,B
k,Y,M,C,Bk,…というようにして、順次、画素の
点の順にしたがって入力している。選択RAM260か
らは、アドレスを1番地ずつ順次インクリメントするこ
とにより、入力する画像データの順序に合わせてデータ
が取り出される。また、選択データを選択RAM260
に書き込むための双方向バッファ263が設けられ、さ
らに、CPU258から出力される16ビットのアドレ
スバスのアドレスのうち下位10ビットあるいはカウン
タ250の10ビットの出力のいずれかを選択するセレ
クタ259が設けられている。カウンタ250は、外部
からホールド信号HSとクロックCLKとが入力し、ク
ロックCLKをカウントして10ビットのデータとして
出力する。この10ビットのデータすなわち選択RAM
260のアドレスとして入力するデータは、上記の10
24個のノズルのうち特定のノズルを指定するために使
用される。上述のように、画像入力データVDinで
は、1画素ごとの色成分画像データが画素の点の順にし
たがって入力してくるから、画像入力データVDinの
クロックとカウンタ250に入力するクロックとを同期
させることにより、カウンタ250の10ビット幅の出
力は、現在の画像入力データVDinがどの画素に対応
しているかを表わすことになる。セレクタ259は、選
択RAM260にデータを書き込む場合にはCPU25
8の出力を選択し、選択RAM260からデータを読み
出す場合にはカウンタ250の出力を選択する。なお、
選択RAM260の出力側には、データをラッチするた
めのフリップフロップ252が設けられている。
【0068】補正用RAM262は、CPU258から
補正テーブルが書き込まれるためのものであり、双方向
バッファ254を介してCPU258のデータバスと接
続されている。補正テーブルは、例えば図10の実線あ
るいは点線L1〜L5で示すようなデータからなる。ここ
では、実線あるいは点線L1〜L5で表わされるような5
通りのデータからなる補正テーブルが示されているが、
実際には補正テーブルに含まれる補正用のデータの数は
これよりも多い。例えば、選択RAM260からの出力
データが8ビットであれば、256通りの補正データを
用意することができる。セレクタ216は、CPUから
の16ビットのアドレス、あるいは8ビットのフリップ
フロップ252からの出力と画像データ入力VDinの
8ビットの合計16ビットのいずれかを選択して補正用
RAM262に入力させるものである。
【0069】前述の実線あるいは点線L1〜L5であらわ
される補正データは、補正RAM262に入力するアド
レスに応じて選択される。即ちセレクタ261が図示B
側を選択している場合には、8ビットの画像データ入力
VDinと8ビットの選択RAM260のデータ出力
が、補正用RAM262にアドレスAとして入力され
る。この中で、8ビットの選択RAM260からの出力
データが、前述の実線あるいは点線L1〜L5のいずれか
を選択するのに用いられる。なお、これらの実線あるい
は点線L1〜L5のうち実線は等倍時用、点線は変倍時用
のデータであり、等倍時と変倍時とでは記録ヘッド11
7〜120でそれぞれ使用されるノズルの範囲が異なる
ため、記録ヘッド117〜120の中での使用ノズルの
範囲に応じて、CPU258により点線あるいは実線い
ずれかの補正用のデータが補正用RAM262に書き込
まれる。また、補正用RAM262に書き込まれる補正
テーブルは、アドレス入力Aに対する補正用データΔA
を出力するようになっており、かかる補正用データΔA
は、フリップフロップ254によっていったんラッチさ
れ、加算器256により画像入力入力画像データVDi
nと加算され、補正済データすなわち画像出力データV
Doutとして、データラッチ用のフリップフロップ2
57を介して出力される。
【0070】つまり、各画素ごとに、選択用RAM26
0で補正用テーブルが指定され、補正用RAM262か
ら画像入力データVDinに対応する補正用データの値
が読み出され、読み出された補正用データが加算器25
6で画像入力データVDinに加算され、画像出力デー
タVDoutとして出力されることになる。なお、加算
器256に入力する画像入力データVDinをラッチす
るためのフリップフロップ255が設けられている。ま
た、図10には直線で表わされる補正用データが示され
ているが、補正用データは、直線でなく曲線で表わされ
るものであってもよい。
【0071】次に、選択RAM260に書き込む濃度ム
ラの特性情報の生成方法について、説明する。
【0072】画像処理部302に接続された操作部20
より濃度ムラ補正の実行を指示すると、C,M,Y,Bk
の順に特性情報を生成していく。まず最初に、図11に
示すように、任意の濃度をもつC,M,Y,Bkそれぞれ
の単色のストライプ状の階調パターンを不図示のパター
ンジェネレータにより3ライン(1ラインは、インクジ
ェットヘッド9で1回に記録できる幅)ずつ発生させ、
画像記録部303によって印刷させる。パターンジェネ
レータは、図8に示した多値合成部106に含まれてお
り、バッファメモリ110、入力画像処理部101から
の画像データの代りに一定値の8ビットデータを発生す
るものである。発生できる濃度データは、例えば33,
50,100%の中から選択出来るが、ここでは50%
を使用している。当然のことであるが、このとき、ヘッ
ド補正部123は補正が行なわれないように設定され、
記録ヘッド117〜120の裸特性がそのままで印刷出
力されるようになっている。
【0073】このように出力された濃度ムラ補正用パタ
ーンを画像読み取り装置301にセットし、この補正用
パターンの画像読み取り領域312を読み取り、記録ヘ
ッド117〜120のノズルごとにその濃度ムラの量を
求め、特性情報を生成していく。C、M、Y、BKの順
に以上の操作を全ての記録ヘッド117〜120につい
て行ない、特性情報の生成し、選択RAM260に書き
込む。以上で、ヘッド補正部123の濃度ムラ補正デー
タの設定が完了したことになる。これ以降の実際の画像
の出力時には、この補正データにより、絶えず濃度ムラ
の補正がリアルタイムで行なわれ、印刷が実行されるこ
とになる。
【0074】次に、画像記録部303における布帛36
の搬送動作について、図2を用いて説明する。
【0075】給布部Cにおける記録を開始するための初
期設定の作業として、まず記録前のロール状の布帛36
を巻いた巻き芯93を回転自在にセットする。そして、
図2に示すように、布帛36の一端をベルト37を経て
ローラ41に懸架し、巻取部Cに回転可能に支持された
芯99に巻き付ける。ここで、記録部位から前記芯99
に巻き付けられる部分の布帛36は、記録がなされず無
駄となるため、この部分は記録すべき布帛36を案内す
る専用の布帛を縫合などによって一体化させておくとよ
い。
【0076】続いて、布帛セット開始の信号により押圧
ローラ40がベルト37の外周面側に押圧され、さらに
駆動モータ163(図12)、巻き取りモータ(図示せ
ず)が回転を開始して、布帛36が移送されつつベルト
37に付着させられる。この際、芯99の巻き取り速度
は、搬送ベルト37が布帛36を送る量より多くなるよ
うに設定されているが、芯99と巻き取りモータとの駆
動連結部にはトルクリミッタ(図示せず)が設けられて
おり、ある一定以上のトルクが布帛36に対し印加され
ず、したがって記録位置での布帛36には負荷となら
ず、記録品質には影響を及ぼさない。また給布部Bの巻
き芯93にもブレーキ手段(不図示)が設けられてお
り、ベルト37により布帛36が送られる際にバックテ
ンションとして作動し、布帛36にたるみを生ずること
なく布帛36がベルト37上に接着されるようになって
いる。以上で布帛36の初期設定が完了し記録動作を行
なうことができる。
【0077】次に、インクジェットプリント部1の動作
について、図3により説明する。
【0078】記録開始の信号により、インクジェットプ
リント部1が動作を開始する。まず、インクジェットヘ
ッド9をキャッピングさせた状態で加圧回復動作を行な
う。次に、ヘッド回復装置13のキャッピング部をイン
クジェットヘッド9から離間させ、インクジェットヘッ
ド9をホームポジションからスタートポジションへ移動
させる。スタートポジションでいったん待機させた後、
画像処理部302から送られる動作信号、画像信号に同
期して、インクジェットヘッド9およびびインク供給装
置11がガイドレール7、8に沿って往復移動する(以
下、これを主走査移動あるいは単に主走査と呼ぶ)。そ
の際、画像信号に応じてインクジェットヘッド9内の各
記録ヘッド117〜120から対向側に保持された布帛
36に向かってインクが吐出され、布帛36上に画像が
形成される。インクジェットヘッド9がガイドレール
7,8上を1往復すると、画像幅(インクジェットヘッ
ド9で1回に記録できる布帛36の搬送方向の幅)分だ
け布帛36を搬送させ、次の主走査移動を行なう。以上
の動作を繰り返した後、所定の画像記録が終了すると、
インクジェットヘッド9はホームポジションまで移動し
てヘッド回復装置13によりキャッピングがなされる。
【0079】上記動作を設定された長さにわたって繰り
返し行ない、ロール状の布帛36に記録を行なう。1本
のロール状の布帛36の長さは有限であるが、ロール状
に巻き取られた布帛36の最終端が巻き芯93よりはず
れる時点で、次のロール状に巻き取られた布帛の先端部
と縫合することにより、連続して記録が行なえる。この
際、縫合に用いる糸に有彩色のものを用い、押圧ローラ
40の上流に濃度検出センサ98を設けておき、この濃
度検出センサ98により前記縫合部が検出されると、そ
の縫合部がインクジェットヘッド9の直前に搬送されて
きた際に上記1サイクル(インクジェットヘッド9の1
回の主走査方向への動作)の記録が終了した時点で記録
を一時停止するようにしておく。さらにこの後、布帛3
6を前記縫合部がインクジェットヘッド9の下流側の直
後の位置に到達するまで布帛36を一定量だけ送り、再
び記録が開始されるようにしておく。このようにするこ
とにより、一般に厚みが増大している縫合部をインクジ
ェットヘッド9が走査記録し、この際に縫合部にインク
ジェットヘッド9が摺擦して、布帛36に汚れを生じた
りインクジェットヘッド9が破損したりするということ
を防止している。
【0080】次に、画像記録部303において布帛36
の搬送動作の制御を行なう制御系の動作について、図1
2を用いて説明する。図12は、画像記録部303のイ
ンクジェット記録部1と布帛搬送部3の回路構成を示す
ブロック図である。
【0081】制御部160は布帛搬送部3の制御を行な
う制御回路である。この制御部160とインクジェット
記録部1の制御部121との間は通信回線で接続されて
いる。この制御部160はモータドライバ162を介し
て駆動モータ163を駆動するものであり、駆動モータ
163はベルト37(図2)を駆動するものである。制
御部160に接続された搬送系操作部161は、布帛搬
送部3を外部から操作するためのものであり、記録を開
始するための初期設定および記録終了後の搬送は、この
搬送系操作部161からの指令によって行なわれる。
【0082】搬送系操作部161に接続された一時停止
スイッチ164は、記録動作を一時的に中断したい場合
に用いるスイッチであり、このスイッチをONにすると
制御部160から制御部121へ信号がおくられる。こ
の信号を検知した制御部121は、このスイッチがOF
Fになるまで記録動作を行なわないようになっている。
この一時停止動作は、記録中にインク無しを検知した
り、布帛をつなぎ合わせた縫合部を検知したり、といっ
た復帰可能な異常を検出したときに行なわれる。インク
無しならばインクを補給したり、縫合部があった場合な
らこの縫合部がインクジェットヘッドの下流側直下に位
置するまで布帛を搬送したりすることにより正常な状態
に復帰したら、一時停止スイッチ164をOFFに戻す
ことで記録動作が再開する。同様に、搬送系操作部16
1に接続された緊急停止スイッチ165は、記録動作を
即座に中止したい場合に用いるスイッチであり、このス
イッチをONにすると制御部160から制御部121へ
信号が送られる。この信号を検知した制御部121は、
インクジェットヘッド9(図3)の走査を直ちに中止
し、記録動作を終了する。ここで、一時停止スイッチ1
64や緊急停止スイッチ165を設ける代わりに、イン
ク無しなどの異常検知信号を直接、制御部121へ通信
するようにしてもよい。
【0083】記録中の布帛36の搬送は、インクジェッ
トプリント部1側の制御部121からの信号に応じて行
なわれる。図13に、これら両方の制御部121と制御
部160との間の、搬送に関する通信のタイミングチャ
ートが示されている。布帛搬送指示信号は、インクジェ
ットプリント部1側の制御部121から布帛搬送部3の
制御部160へ送られる信号であり、通常時にはLOWで
あり、インクジェットヘッド9により1ライン分の記録
が終了するとHIGHになる。布帛搬送部3の制御部160
は、布帛搬送指示信号がHIGHになると搬送モータ63を
駆動し、布帛36の搬送を開始する。布帛搬送中信号
は、布帛搬送部3の制御部160からインクジェットプ
リント部1の制御部121へ送られる信号であり、通常
時にはLOWであって、布帛36の搬送中にはHIGHにな
る。インクジェット記録部1の制御部121は、布帛搬
送中信号がHIGHになったことを検知すると、布帛搬送指
示信号が受けつけられたと判定して、布帛搬送指示信号
をLOWにする。
【0084】布帛搬送指示信号をHIGHにして一定時間経
過しても布帛搬送中信号がHIGHにならない、あるいは、
一度HIGHになった布帛搬送中信号が一定時間経過しても
LOWにならないときには、画像記録部303の制御部1
21は、布帛搬送部3に異常が発生したと判断し、記録
動作を中断し、画像処理部302に接続された操作部2
0に異常表示をする。このように布帛搬送指示信号と布
帛搬送中信号とを相互に交換することにより、インクジ
ェットヘッド9による記録・印刷と布帛36の搬送と
が、交互に行なわれるようになる。
【0085】以上説明したように本実施例では、原画像
を画像読み取り装置301で読み取ることによって得ら
れた画像信号が画像処理部302で処理され、画像処理
部302の処理結果によって画像記録部303において
布帛36にインクジェット記録が行なわれ、布帛36へ
の捺染が行なわれることになる。
【0086】本実施例のインクジェット記録装置では、
第1および第2のプリント部31,31'を用いて、重ね
プリントがなされる。ここで、この重ねプリント動作に
ついて詳しく説明する。図14は、重ねプリントのため
のシーケンシャル・マルチスキャンにより記録される記
録データを説明する図である。
【0087】図14において、点線で囲まれた各矩形領
域が1ドット(画素)に対応し、例えば記録密度が40
0dpi(ドット/インチ)の場合は、各矩形は約6
3.5μm四方であって、その面積は約4000μm2
なる。黒い丸で示された部分がドットが打たれた場所
で、黒丸が存在していない箇所が記録が行われない部分
を示している。インクジェットヘッド9が図示矢印F方
向に移動し、インクジェットヘッド9のインク吐出用ノ
ズル9'より所定のタイミングでインクが吐出される。
このシーケンシャル・マルチスキャンは、各ノズル9'
の吐出するインク滴の大きさのばらつきや、インク吐出
方向のばらつきによって生ずる各ノズル間の濃度ばらつ
きを補正するために行われ、同一のライン(ヘッド移動
方向)を複数のノズルで記録する。このように複数個の
ノズルで1つのラインを形成することにより、各インク
ジェットヘッド9のノズル特性のランダム性を利用し、
濃度ムラの低減を図っている。すなわち、2度スキャン
によるシーケンシャル・マルチスキャンの場合、1回目
の走査でインクジェットヘッド9の上半分を用いて記録
を行い、2回目の走査ではインクジェットヘッド9の下
半分のノズルを用いて記録を行う。
【0088】このシーケンシャル・マルチスキャンによ
る記録をする例を示したのが図15と図16である。
【0089】いま、例えば図14に示したデータを記録
する場合には、まず図15に示すように、インクジェッ
トヘッド9の移動方向に発生するデータの奇数番目の記
録データのみを、インクジェットヘッド9の上半分のノ
ズルで記録する。次に、インクジェットヘッド(キャリ
ッジ)がホーム位置方向に戻され、布帛36がインクジ
ェットヘッド9の巾の半分だけ送られて、図16に示す
ように今度はインクジェットヘッド9の移動方法の偶数
番目のドットをインクジェットヘッドの下半分のノズル
を用いて記録する。こうして2度のスキャンにより図1
4に示すようなデータが布帛36上に記録される。
【0090】図17は通常の2回マルチスキャンでの印
刷例を示している。第1のプリント部31のインクジェ
ットヘッドで印刷したエリア(下1)701、(下2)
702、(下3)703で示し、第2のプリント部3
1′のインクジェットヘッドで印刷したエリアを(上
1)704、(上2)705、(上3)706で示す。
【0091】布送り方向は図示矢印の通りであり、布3
6の1回のステップ送り量は、インクジェットヘッドの
記録巾に対応している。図17(a)から明らかなように
記録された領域での全ては、第2のプリント部31′の
インクジェットヘッドの上半分と第1のプリント部31
のインクジェットヘッドの下半分か、第2のプリント部
31′のインクジェットヘッドの下半分と第1のプリン
ト部31のインクジェットヘッドの上半分とを用いて記
録されている。ここで、各インクジェットヘッドで記録
されるデータは、前述の図15及び図16に示すように
間引かれており、これら2つのインクジェットヘッドで
重ね合わせて記録された結果、図17(b)の707で示
す印刷濃度が得られる。
【0092】(実施例2)次に本発明の別の実施例を説
明する。この実施例は、粘着部材2001を巻き取り式
としたものである。図18はこの実施例における粘着部
材2001の取り付け方を説明する図であり、ヘッドホ
ルダ2003の上側から見た図である。したがって布帛
36は、図示紙背側から図示紙表側に搬送されることに
なる。
【0093】ヘッドホルダ2003の両側にはそれぞれ
軸2004,2005が設けられ、長尺の粘着部材20
01は、巻き取られた状態で一方の軸2004に装着さ
れ、そこから引き出されて他方の軸2005に巻き取ら
れるようになっている。他方の軸2005には、粘着部
材2001を巻き取るための図示しない駆動モータが接
続されている。このように構成することにより、実質的
に表面積の大きな粘着部材を使用することになって粘着
部材2001の交換頻度を減らすことが可能となり、メ
ンテナンス性が向上する。
【0094】この実施例の場合、インクジェットヘッド
9が10スキャンするごとに粘着部材2001を1mm
ずつ巻き取ることにより、粘着部材2001の交換なし
に、20mものの長尺の画像を布帛36上に安定して記
録することができた。また、原画像を取得するたびに粘
着部材2001を一定量巻き取るようにしてもよい。
【0095】(実施例3)次に、本発明にさらに別の実
施例について説明する。この実施例は、インクジェット
ヘッド9の移動方向に対して粘着部材が回転可能となる
ようにしたものである。図19はこの実施例における粘
着部材2001の取り付け方を示す図であ粘着部材20
01は円柱状の保持部材2006の側面に設けられ、保
持部材2006は軸2007を介してヘッドホルダ20
03の下面に回転自在に取り付けられている。軸200
7は、布帛36の搬送方向(図19における図示矢印方
向)に平行に設けられているので、保持部材2006は
インクジェットヘッド9の移動方向に対して自由に回転
できるようになる。このように構成することにより、布
帛36表面に微小な凸凹[布帛の貼りムラに起因するも
のや、布帛の端部(いわゆるミミ部)に存在するものな
ど]のために粘着部材2001が布帛36の表面に接触
した場合に、布帛36と粘着部材2001との間の摩擦
を吸収することができる。したがって、布帛36と粘着
部材2001が接触した場合であっても、インクジェッ
トヘッド9の移動をスムーズに行なうことが可能とな
る。この場合も、粘着部材を脱着可能にするとよい。
【0096】次に、インクジェット捺染記録の具体例を
説明する。先に説明したように図2は捺染に好適なイン
クジェット記録装置の構成を示す図である。図2に示す
ようなインクジェット記録装置を用いて、インクジェッ
ト印捺工程を経た後、布帛を乾燥(自然乾燥を含む)さ
せる。そして、引き続き布帛繊維上の染料を拡散させ、
かつ繊維への染料を反応定着させる工程を施す。この工
程により、充分な発色性と染料の固着による堅牢性を得
ることができる。
【0097】この拡散、反応定着工程は従来公知の方法
でよく、例えば、スチーミング法が挙げられる。なお、
この場合、印捺工程の前に、予め布帛にアルカリ処理を
施してもよい。
【0098】その後、後処理工程において、未反応の染
料の除去及び前処理に用いた物質の除去が行われる。最
後に、欠陥補正、アイロン仕上げ等の整理仕上げ工程を
経て記録が完成する。
【0099】特に、インクジェット捺染用布帛として
は、(1)インクを充分な濃度に発色させ得ること、
(2)インクの染着率が高いこと、(3)インクが布帛
上で速やかに乾燥すること、(4)布帛上での不規則な
インクの滲みの発生が少ないこと、(5)装置内での搬
送性に優れていること、等の性能が要求される。これら
の要求性能を満足させるために、必要に応じて布帛に対
し、予め前処理を施しておくことができる。例えば、特
開昭62-53492号公報においてインク受容層を有する布帛
類が開示され、また、特公平3-46589号公報においては
還元防止剤やアルカリ物質を含有させた布帛の提案がな
されている。このような前処理の例としては、布帛に、
アルカリ性物質、水溶性高分子、合成高分子、水溶性金
属塩、尿素及びチオ尿素から選ばれる物質を含有させる
処理を挙げることができる。
【0100】アルカリ性物質としては、例えば、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属、
モノ,ジ,トリエタノールアミン等のアミン類、炭酸ナ
トリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸
もしくは重炭酸アルカリ金属塩等が挙げられる。さらに
酢酸カルシウム、酢酸バリウム等の有機酸金属塩やアン
モニア及びアンモニア化合物等がある。また、スチーミ
ング及び乾熱下でアルカリ物質となるトリクロロ酢酸ナ
トリウム等も用い得る。特に好ましいアルカリ性物質と
しては、反応性染料の染色に用いられる炭酸ナトリウム
及び炭酸水素ナトリウムがある。
【0101】水溶性高分子としては、トウモロコシ、小
麦等のデンプン物質、カルボキシメチルセルロース、メ
チルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセル
ロース系物質、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、
ローカスイトビーンガム、トラガントガム、グアガム、
タマリンド種子等の多糖類、ゼラチン、カゼイン等の蛋
白質物質、タンニン系物質、リグニン系物質等の天然水
溶性高分子が挙げられる。
【0102】また、合成高分子としては、例えば、ポリ
ビニルアルコール系化合物、ポリエチレンオキサイド系
化合物、アクリル酸系水溶性高分子、無水マレイン酸系
水溶性高分子等が挙げられる。これらの中でも多糖類系
高分子やセルロース系高分子が好ましい。
【0103】水溶性金属塩としては、例えば、アルカリ
金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物のように典型的
なイオン結晶を作るものであって、pH4〜10である
化合物が挙げられる。かかる化合物の代表的な例として
は、例えば、アルカリ金属では、NaCl,Na2SO4,
KCl及びCH3COONa等が挙げられ、また、アル
カリ土類金属としては、CaCl2及びMgCl2等が挙
げられる。中でもNa,K及びCaの塩類が好ましい。
【0104】前処理において上記物質等を布帛に含有さ
せる方法は、特に制限されないが、通常行われる浸漬
法、パッド法、コーティング法、スプレー法等を挙げる
ことができる。
【0105】さらに、インクジェット捺染用布帛に付与
される捺染インクは、布帛上に付与した状態では単に付
着しているに過ぎないので、引き続き繊維への染料の反
応定着工程(染着工程)を施すのが好ましい。このよう
な反応定着工程は、従来公知の方法でよく、例えば、ス
チーミング法、HTスチーミング法、サーモフィックス
法、予めアルカリ処理した布帛を用いない場合は、アル
カリパッドスチーム法、アルカリブロッチスチーム法、
アルカリショック法、アルカリコールドフィックス法等
が挙げられる。
【0106】さらに未反応の染料の除去及び前処理に用
いた物質の除去は、上記反応定着工程の後に従来公知の
方法に準じ、洗浄により行うことができる。なお、この
洗浄の際に従来公知のフィックス処理を併用することが
好ましい。
【0107】なお以上述べた後処理工程が施された記録
物は、その後所望の大きさに切り離され、切り離された
片は縫着、接着、溶着等、最終的な加工品を得るための
工程が施され、ワンピース、ドレス、ネクタイ、水着等
の衣類や布団カバー、ソファカバー、ハンカチ、カーテ
ン等が得られる。布帛を縫製等により加工して衣類やそ
の他の日用品とする方法は、例えば「最新ニット縫製マ
ニュアル」:センイジャーナル社発行や月刊誌「装
苑」:文化出版局発行等、公知の書籍に多数記載されて
いる。
【0108】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも熱エネルギーを利用して飛翔的液滴を形成し、記
録を行うインクジェット方式の記録ヘッド、記録装置に
おいて優れた効果をもたらすものである。
【0109】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書
に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ま
しい。この方式はいわゆるオンデマンド型、コンティニ
ュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデ
マンド型の場合には、液体(インク)が保持されている
シートや液路に対応して配置されている電気熱変換体
に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度
上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加すること
によって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、
記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的に
この駆動信号に一対一で対応した液体(インク)内の気
泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮
により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させ
て、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパ
ルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われ
るので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達
成でき、より好ましい。
【0110】このパルス形状の駆動信号としては、米国
特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載さ
れているようなものが適している。なお、上記熱作用面
の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細
書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記
録を行うことができる。
【0111】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の
他に、熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を
開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第44596
00号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものであ
る。
【0112】加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開
示する特開昭59-123670号公報や熱エネルギーの圧力波
を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特
開昭59-138461号公報に基づいた構成としても本発明は
有効である。
【0113】さらに、記録装置が記録できる最大記録媒
体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているよう
な複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満た
す構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとして
の構成のいずれでもよいが、本発明は、上述した効果を
一層有効に発揮することができる。
【0114】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けら
れたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも
本発明は有効である。
【0115】また、本発明の記録装置の構成として設け
られる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助
手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できる
ので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、
記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング
手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこ
れとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる
予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モード
を行うことも安定した記録を行うために有効である。
【0116】さらに、記録装置の記録モードとしては黒
色等の主流色のみを記録モードだけではなく、記録ヘッ
ドを一体的に構成するか複数個を組み合わせによってで
もよいが、異なる色の複色カラー、または混色によるフ
ルカラーの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極
めて有効である。
【0117】以上説明した本発明実施例においては、イ
ンクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固
化するインクであって、室温で軟化するもの、もしくは
液体であるもの、あるいは上述のインクジェット方式で
はインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調
整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温
度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与
時にインクが液状をなすものであればよい。
【0118】加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温
をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネル
ギーとして使用せしめることで防止するか、またはイン
クの蒸発防止を目的として放置状態で固化するインクを
用いるかして、いずれにしても熱エネルギーの記録信号
に応じた付与によってインクが液化し、液状インクとし
て吐出するものや、記録媒体に到達する時点では既に固
化し始めるもの等のような、熱エネルギーによって初め
て液化する性質のインクの使用も本発明には適用可能で
ある。このような場合インクは、特開昭54-56847号公報
あるいは特開昭60-71260号公報に記載されるような、多
孔質シート凹部または貫通孔に液状または固形物として
保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するよう
な形態としてもよい。本発明においては、上述した各イ
ンクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を
実行するものである。
【0119】さらに加えて、本発明に係る記録装置の形
態としては、ワードプロセッサやコンピュータ等の情報
処理機器の画像出力端末として一体または別体に設けら
れるものの他、リーダ等と組み合わせた複写装置、さら
には送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採る
ものであっても良い。
【0120】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、記録媒体
に対向しインクジェット記録手段の移動に付随して移動
する粘着部材を設けることにより、ケバや糸クズはこの
粘着部材に付着するので、小型かつ安価な装置によって
吐出口まわりへのこれらケバや糸クズなどの塵の付着を
低減することができ、長時間にわたりインクの不吐出が
発生せず、安定した高品位の画像を得ることができると
いう効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のインクジェット記録装置の
構成を示すブロック図である。
【図2】画像記録部の構成を示す断面図である。
【図3】インクジェットプリント部の構成の詳細を示す
斜視図である。
【図4】粘着部材の取り付け方を示す図であるである。
【図5】インクジェット記録部付近の構成を示す図であ
る。
【図6】画像読み取り装置の構成を示す平面図である。
【図7】画像読み取り装置での画像読み取り動作を説明
する図である。
【図8】図1の装置における制御系の構成を示すブロッ
ク図である。
【図9】ヘッド補正部の構成を示すブロック図である。
【図10】ヘッド補正用に用いられる補正テーブルを説
明する図である。
【図11】濃度ムラ補正の方法を説明する図である。
【図12】インクジェット記録部と布帛搬送部の回路構
成を示すブロック図である。
【図13】制御部における各信号の相互の関係を示すタ
イミングチャートである。
【図14】シーケンシャル・マルチスキャンによる記録
を説明する図である。
【図15】シーケンシャル・マルチスキャンによる記録
を説明する図である。
【図16】シーケンシャル・マルチスキャンによる記録
を説明する図である。
【図17】シーケンシャル・マルチスキャンによる記録
例を示す図である。
【図18】実施例2における粘着部材の取り付け方を説
明する図である。
【図19】実施例3における粘着部材の取り付け方を説
明する図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリント部 3 布帛搬送部 4 チューブ 5 電装系 9 インクジェットヘッド 11 インク供給装置 13 ヘッド回復装置 15 レンズ 16 CCD 17 原稿台ガラス 18 CCDユニット 20 操作部 24 キャッピング部 30 供給ダクト 31 第1プリント部 31' 第2プリント部 33 吸引ダクト 34 加熱プレート 35 温風ダクト 36 布帛 37 ベルト 38 吹出し口 39 吸引口 40 押付けローラ 44 第1キャリッジ 44' 第2キャリッジ 45 乾燥部 47 駆動ローラ 49 巻回ローラ 50 主走査モータ 54 主方向レール 60 副走査モータ 65,69 副方向レール 98 濃度検出センサ 100 アナログ信号処理部 101 入力画像処理部 102,111,121 制御部 103,104 露光制御部 105,122 メカ駆動部 106 多値合成部 107 画像処理手段 108 2値化処理部 110 バッファメモリ 112 I/F制御部 115 同期遅延メモリ 116 ヘッドドライバ 117〜120 記録ヘッド 123 ヘッド補正部 160 制御部 161 搬送系操作部 162 モータドライバ 163 駆動モータ 164 一時停止スイッチ 165 緊急停止スイッチ 258 CPU 259 セレクタ 260 選択RAM 262 補正用RAM 263 双方向バッファ 300 布帛 301 画像読み取り装置 302 画像処理部 303 画像記録部 312 画像読み取り領域 2001 粘着部材 2002,2006 保持部材 2003 ヘッドホルダ A 本体部 A−1 精密送り部 A−2 インクジェット記録部 B 給布部 C 巻取部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 緒方 信彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを飛翔させて画像形成を行なうイ
    ンクジェット記録手段を使用し、記録媒体に対向させつ
    つ前記インクジェット記録手段を相対的に移動させ前記
    記録媒体上に画像を記録するインクジェット記録装置に
    おいて、 前記記録媒体に対向し前記インクジェット記録手段の移
    動に付随して移動する粘着部材が設けられていることを
    特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 記録媒体をインクジェット記録手段の移
    動方向とは異なる方向に搬送させる搬送手段を有し、粘
    着部材が前記記録媒体の移動方向に関して前記インクジ
    ェット記録手段より上流側に設けられている請求項1に
    記載のインクジェット記録装置。
  3. 【請求項3】 粘着部材がインクジェット記録手段に対
    して脱着可能に設けられている請求項1または2に記載
    のインクジェット記録装置。
  4. 【請求項4】 記録媒体が布帛である請求項1ないし3
    いずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  5. 【請求項5】 記録媒体が壁紙である請求項1ないし3
    いずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  6. 【請求項6】 前記インクジェット記録手段は、インク
    吐出用の熱エネルギーを発生するための電気熱変換体を
    備えていることを特徴とする請求項1ないし5いずれか
    1項に記載のインクジェット記録装置。
  7. 【請求項7】 前記インクジェット記録手段は、前記電
    気熱変換体によって印加される熱エネルギーにより、イ
    ンクに生ずる膜沸騰を利用して吐出口よりインクを吐出
    させることを特徴とする請求項6に記載のインクジェッ
    ト記録装置。
  8. 【請求項8】 記録媒体に対してインクを吐出して記録
    を行なうインクジェット記録方法において、 インクを吐出するインクジェット記録手段と前記記録媒
    体に対向させつつ前記インクジェット記録手段を相対的
    に移動させる手段と前記インクジェット記録手段の移動
    に付随して移動する粘着部材とを有する記録装置を使用
    して、前記記録媒体上にインクを付与するインク付与工
    程を有することを特徴とするインクジェット記録方法。
  9. 【請求項9】 前記インク付与工程の後に、前記記録媒
    体上に付与されたインクを前記記録媒体に定着させる定
    着工程を有する請求項8に記載のインクジェット記録方
    法。
  10. 【請求項10】 前記定着工程の後に、記録を行なった
    前記記録媒体を洗浄処理する洗浄工程を有する請求項9
    記載のインクジェット記録方法。
  11. 【請求項11】 前記インク付与工程前の前記記録媒体
    に対して前処理剤を含有させる工程を有する請求項8な
    いし10いずれか1項に記載のインクジェット記録方
    法。
  12. 【請求項12】 前記記録装置は前記記録媒体を前記イ
    ンクジェット記録手段に対向する位置にまで搬送するた
    めの搬送部を備えている請求項8ないし11いずれか1
    項に記載のインクジェット記録方法。
  13. 【請求項13】 前記搬送部は、前記インクジェット記
    録手段の移動方向とは異なる方向に前記記録媒体を搬送
    させるものであり、前記粘着部材が前記記録媒体の移動
    方向に関して前記インクジェット記録手段より上流側に
    設けられている請求項12に記載のインクジェット記録
    方法。
  14. 【請求項14】 前記粘着部材が前記インクジェット記
    録手段に対して脱着可能に設けられている請求項8ない
    し13いずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  15. 【請求項15】 前記インクジェット記録手段は、熱エ
    ネルギーを利用してインクを吐出する記録ヘッドであっ
    て、前記インクに与える熱エネルギーを発生するための
    熱エネルギー変換体を備えたインクジェット記録ヘッド
    である請求項8ないし14いずれか1項に記載のインク
    ジェット記録方法。
  16. 【請求項16】 前記熱エネルギー変換体が電気熱変換
    体である請求項15に記載のインクジェット記録方法。
  17. 【請求項17】 前記インクジェット記録ヘッドは、前
    記電気熱変換体によって印加される熱エネルギーにより
    前記インクに生ずる膜沸騰を利用して、前記インクを吐
    出させるものである請求項16に記載のインクジェット
    記録方法。
  18. 【請求項18】 前記記録媒体は布帛である請求項8な
    いし17いずれか1項に記載のインクジェット記録方
    法。
  19. 【請求項19】 前記記録媒体は壁紙である請求項8な
    いし17いずれか1項に記載のインクジェット記録方
    法。
  20. 【請求項20】 請求項8ないし19いずれか1項に記
    載のインクジェット記録方法を実施して得られた記録
    物。
  21. 【請求項21】 請求項20に記載の記録物をさらに加
    工して得られた加工品。
  22. 【請求項22】 前記加工品は、前記記録物を所望の大
    きさに切り離し、切り離された片に対して最終的な加工
    品を得るための工程を施して得られたものである請求項
    21に記載の加工品。
  23. 【請求項23】 前記最終的な加工品を得るための工程
    は縫製である請求項22に記載の加工品。
  24. 【請求項24】 前記加工品は衣類である請求項21に
    記載の加工品。
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