JPH06157406A - テトラリン誘導体の製造方法 - Google Patents

テトラリン誘導体の製造方法

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JPH06157406A
JPH06157406A JP5080910A JP8091093A JPH06157406A JP H06157406 A JPH06157406 A JP H06157406A JP 5080910 A JP5080910 A JP 5080910A JP 8091093 A JP8091093 A JP 8091093A JP H06157406 A JPH06157406 A JP H06157406A
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Shinichi Nishiyama
山 伸 一 西
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中 徹 山
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、一方の環に相対的に電子受容性の
置換基または原子を有し、他方の環に相対的に電子供与
性の置換基または原子を有するナフタレン化合物を、P
d触媒の存在下に水素と接触させて、相対的に電子供与
性の高い置換基または原子が置換した環を選択的に還元
してテトラリン誘導体を製造する方法である。 【効果】 本発明によれば、ナフタレン環のうち、置換
基を相対的に比較して電子供与性の高い基が結合してい
る環を選択的に還元することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、テトラリン誘導体を製造
する新規な方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】現在、広汎に使用されている液晶
化合物を用いた表示デバイスは、通常はTN(ツイスト
ネマチック)モードによって駆動されている。
【0003】しかしながら、この方式を採用した場合、
表示されている画像を変えるためには、素子中における
液晶化合物の分子の位置を変える必要があるために、駆
動時間が長くなり、液晶化合物の分子位置を変えるため
に必要とする電圧、すなわち消費電力も大きくなるとい
う問題点がある。
【0004】強誘電性液晶化合物を用いたスイッチング
素子は、TN(ツイストネマッチク)モードあるいはS
TNモードを利用したスイッチング素子とは異なり、液
晶化合物の分子の配向方向を変えるだけでスイッチング
素子として機能させることができるため、スイッチング
時間が非常に短縮される。さらに、強誘電性液晶化合物
のもつ自発分極(Ps)と電界強度(E)とにより与え
られるPs×Eの値が液晶化合物の分子の配向方向を変
えるための実効エネルギー強度であるので、消費電力も
非常に少なくなる。
【0005】そして、このような強誘電性液晶化合物
は、印加電界の方向によって二つの安定状態、すなわち
双安定性を持つので、スイッチングのしきい値特性も非
常に良好であり、動画用の表示デバイスなどとして用い
るのに特に適している。
【0006】また、反強誘電性液晶はこれらの特性を備
えた上に、メモリー性の実現が容易であり、高コントラ
スト化が容易であるため、表示デバイス等として用いる
のに特に適している。
【0007】このような強誘電性液晶化合物あるいは反
強誘電性液晶化合物を光スイッチング素子などに使用す
る場合、強誘電性液晶化合物あるいは反強誘電性液晶化
合物には、例えば動作温度範囲が常温付近あるいはそれ
以下にあること、動作温度幅が広いこと、スイッチング
速度が大きい(速い)ことおよびスイッチングしきい値
電圧が適正な範囲内にあることなど多くの特性が要求さ
れる。
【0008】殊にこれらのうちでも、動作温度範囲は強
誘電性液晶化合物あるいは反強誘電性液晶化合物を実用
化する際に特に重要な特性である。しかしながら、これ
まで知られている強誘電性液晶化合物においては、例え
ば、R.B.Meyer,et.al.,の論文[ジャーナル・デ・フイ
ジーク(J.de Phys.)36巻L-69頁、1975年]、田口雅明、
原田隆正の論文[第11回液晶討論会予稿集168頁、1985
年]に記載されているように、一般に動作温度が狭く、
また動作温度範囲が広い強誘電性液晶化合物であっても
動作温度範囲が室温を含まない高温度域であるなど、強
誘電性液晶化合物として実用上満足できるものは得られ
ていない。また、反強誘電性液晶化合物としても実用上
満足できるものは得られていない。
【0009】
【従来技術における問題点】本発明者はこうした液晶化
合物としてカルボン酸エステル化合物が有用性が高いと
の知見を得た。このカルボン酸エステル化合物はテトラ
リン誘導体を用いて製造することができる。
【0010】従来、一般的なテトラリン誘導体の合成法
としてナフタレン化合物をラネーニッケル(R−Ni)
を触媒として還元する方法が知られている。例えば、1
938年には1-ナフトールをR−Niの存在下に還元す
る例が報告されている。この方法では収率40%で5-ヒ
ドロキシテトラリンを得ている(J.Am,Chem.Soc.,60,664
(1938))。
【0011】しかしながら、この方法では水素を350
atmという高圧条件下で反応させる必要があるという問
題点がある。また、このようなR-Ni触媒を用いた還元
法では、ナフタレン化合物を形成するナフタレン環の一
方の環を選択的に還元することが難しく、従って置換基
を有するナフタレン化合物からは2種類の異なるテトラ
リン誘導体が生成する。このため、この方法では得よう
とするテトラリン誘導体の収率を選択的に上げることが
困難であった。
【0012】また、別法として、アセトフェノン誘導体
を出発物質とし、閉環反応によって得られるテトラロン
誘導体を経てテトラリン誘導体を合成する方法が見いだ
されている(Helv.Chim.Acta.,65,1318(1982))。この
方法は、例えば2-アルキル-6-フェニル-1,2,3,4-テトラ
ヒドロナフタレンを合成する場合には、4-フェニルアセ
トフェノンを出発物質とし、実に6段階という反応工程
を経てテトラリン誘導体が合成されており、効率よく合
成することが難しいという問題点がある。
【0013】このように従来のテトラリン誘導体の合成
法では、ナフタレン化合物を選択的に還元してテトラリ
ン化合物を合成するのが困難であるか、選択的にナフタ
レン化合物の一方の環を還元した形態のテトラリン誘導
体を合成しようとすると非常に多くの反応段階を経て合
成する必要があった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ナフタレン
化合物から有用性の高いテトラリン誘導体を効率よく、
しかも高い選択率で製造することができる新規な方法を
提供することを目的としている。
【0015】さらに詳しくは本発明は、ナフタレン化合
物の一方の環を選択的に還元して所望のテトラリン誘導
体を効率よく製造する方法を提供することを目的として
いる。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明のテトラリン誘導
体の製造方法は、一方の環に相対的に電子受容性の置換
基または原子を有し、他方の環に相対的に電子供与性の
置換基または原子を有するナフタレン化合物を、Pd触
媒の存在下に水素と接触させて、相対的に電子供与性の
高い置換基または原子が置換した環を選択的に還元する
ことを特徴としている。
【0017】本発明のテトラリン誘導体の製造方法によ
れば、触媒としてPdの触媒を使用することにより、ナ
フタレン環のうち、置換基を相対的に比較して電子供与
性の高い基(または原子)が結合している環を選択的に
還元することができる。
【0018】このテトラリン誘導体からは、液晶として
有用性の高いカルボン酸エステル化合物を製造すること
ができる。
【0019】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るテトラリン誘
導体の製造方法について具体的に説明する。本発明のテ
トラリン誘導体の製造方法は、例えば液晶化合物として
有用性の高い特定のカルボン酸エステル化合物を製造す
る工程において、その原料となるテトラリン誘導体をナ
フタレン化合物から合成する際に利用することができ
る。
【0020】このカルボン酸エステル化合物の合成経路
の例を示すと下記のようになる。
【0021】
【化1】
【0022】そして、本発明のテトラリン誘導体の製造
方法は、上記例示された合成経路の中で、以下に示すよ
うに、6-n-アルコキシナフタレン-2-カルボン酸をパラ
ジウム/炭素触媒で加圧下加熱して水素添加することに
より、5,6,7,8-テトラヒドロ-6-n-アルコキシナフタレ
ン-2-カルボン酸を得る工程として示されている。
【0023】
【化2】
【0024】上記例においてナフタレン化合物として使
用されている6-n-アルコキシナフタレン-2-カルボン酸
を一般式で表すと、本発明で原料として使用されるナフ
タレン化合物は次式[I]で表すことができる。
【0025】
【化3】
【0026】・・・[I] 上記式[I]において、Raは電子供与性の基または原子
であり、Rbは電子受容性の基または原子である。ま
た、mおよびnはそれぞれ独立に0〜4の整数であり、
かつm×n≠0の関係を有している。
【0027】ここでRaで表される電子供与性の基また
は原子の例としては、アルキル基、アルコキシ基および
水酸基を挙げることができる。またRbで表される電子
受容性または原子の例としては、カルボキシル基、カル
ボニル、ニトロ基、ハロゲン原子およびシアノ基を挙げ
ることができる。これらの基または原子における電子供
与性および電子受容性は、相対的なものであって、例え
ば上記式[I]において、RaとRbとを比較して、より
電子受容性の高い基が電子受容性基であり、これよりも
電子受容性の低い基が電子供与性基である。例えば次式
[I-A]で示すと、
【0028】
【化4】
【0029】R−O−で表されるアルコキシ基(Rはア
ルキル基を表す)と、−COOHで表されるカルボキシ
ル基とを比較するとアルコキシ基の方がカルボキシル基
よりも電子供与性が高いので、上記式[I-A]で表され
る化合物において、電子供与性基(Ra)はアルコキシ
基であり、電子受容性基(Rb)はカルボキシル基であ
る。従って、本発明の方法では電子供与性基であるアル
コキシ基が結合している環が選択的に還元される。
【0030】また、ナフタレン化合物が例えば次式[I-
B]に示すように、二個以上の置換基を有する場合、相
対的な電子受容性と電子供与性とは次にようにして判断
することができる。
【0031】
【化5】
【0032】即ち、一方の環に結合している基R1
2、R3およびR4の総合的な電子供与性(あるいは電
子受容性)と、もう一方の環に結合している基R5
6、R7およびR8の総合的な電子供与性(あるいは電
子受容性)とを比較してより高い電子供与性を有する方
の環が電子供与性基(あるいは電子受容性基)を有する
環であり、他方が電子受容性基(あるいは電子供与性
基)を有する環である。
【0033】このように本発明において電子受容性の基
と電子供与性の基とは、ナフタレン環に結合した状態に
て、両者を比較して相対的に判断されるのであるから、
上記に示したように一般的には電子受容性の基として認
識されている基であっても、比較される基がより高い電
子受容性を有していれば、その化合物における限りにお
いて電子受容性の基として認識される。
【0034】例えば、ハロゲン原子とカルボキシル基と
ではハロゲン原子が電子受容性であり、ハロゲン原子と
シアノ基とではハロゲン原子が電子受容性であり、ハロ
ゲン原子とニトロ基とではハロゲン原子が電子受容性で
あり、カルボニル基とシアノ基とではカルボニル基が電
子受容性であり、カルボニル基とニトロ基とではカルボ
ニル基が電子受容性であり、カルボキシル基とシアノ基
とではカルボキシル基が電子受容性であり、カルボキシ
ル基とシアノ基とではカルボキシル基が電子受容性であ
り、この電子受容性の基が結合した環が選択的に還元さ
れる。これらの相対的な関係は、基と原子との間におい
ても成立する。
【0035】本発明では上記のようなナフタレン化合物
を、Pd触媒の存在下に水素と接触させる。この触媒
は、単独で使用することもできるが、担体に担持して使
用することが好ましい。ここで使用される担体には、触
媒の担体として通常使用されている物質を用いることが
できるが、アルミナ担体、炭素担体およびシリカ担体な
どが特に好ましく使用される。これらの担体の比表面積
はできるだけ大きいことが好ましく、通常は100〜5
00m2/g、好ましくは200〜400m2/g程度の
比表面積を有している。
【0036】触媒成分であるPdは、担体に対して、通
常1〜20重量%、好ましくは4〜10重量%の範囲で
担持されている。特に本発明においては、Pd/炭素の
組み合わせあるいはPd/アルミナの組み合わせが好ま
しい。
【0037】上記のような触媒量は、原料であるナフタ
レン化合物に対して通常1〜30重量%、好ましくは5
〜15重量%の範囲で使用される。上記の触媒を用いた
ナフタレン化合物の還元反応は、通常は反応溶媒中で行
われる。ここで使用される反応溶媒は、ナフタレン化合
物、触媒および水素に対して実質的に反応性を有してお
らず、しかも室温近傍で液体の化合物またはこのような
化合物の混合物が使用される。このような溶媒として
は、例えば飽和炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、アル
コール系溶媒および脂肪酸系溶媒などを挙げることがで
きる。これらの中ではテトラヒドロフラン、ジエチルエ
ーテル、ジブチルエーテル、ジオキサンおよび2-メトキ
シエチルエーテル等のエーテル系溶媒;メタノール、エ
タノール、プロパノール、2-プロパノールおよびブタノ
ール等のアルコール系溶媒;酢酸およびプロピオン酸等
の脂肪酸系溶媒を用いるのが好ましい。これらの溶媒は
単独で、または2種以上を混合して使用することができ
る。このような反応溶媒のなかでも、触媒であるPd/
炭素との相性を考慮すると、テトラヒドロフラン、エタ
ノール、酢酸、エタノール/酢酸混合溶媒が好ましく使
用される。この反応溶媒は、ナフタレン化合物100重
量部に対して、通常は1,000〜20,000重量部の量で使用
される。
【0038】Pd/炭素触媒あるいはPd/アルミナ触
媒を用いた本発明の反応は、反応温度を通常−20〜2
50℃、好ましくは80〜150℃の範囲に設定して行
われる。また、この際の反応圧力に特に限定はなく、通
常は、常圧〜60kg/cm2・G、好ましくは10〜30k
g/cm2・G、さらに好ましくは15〜25kg/cm2・G
の範囲内の圧力に設定される。反応圧力は、反応容器内
に導入される水素の圧力を調整することにより制御され
る。上記のような条件において、反応時間は反応温度、
反応圧力および用いる触媒などを考慮して適宜に設定さ
れるが、通常5分〜100時間、好ましくは1〜20時
間である。
【0039】こうして反応させることにより、例えば式
[I]で表されるナフタレン化合物は、電子供与性の基
(Ra)が結合している環が選択的に還元されて次式[I
I]で表されるテトラリン誘導体が生成する。
【0040】
【化6】
【0041】・・・[II] ここでRa、Rb、mおよびnは式[I]におけるのと同
じ意味である。具体的には式[I-A]で表されるナフタ
レン化合物は次式[II-A]で表されるように電子供与性
の基である-ORが結合している環が選択的に還元されて
テトラリン誘導体が生成する。
【0042】
【化7】
【0043】・・・[II-A] 上記のように本発明のテトラリン誘導体の製造方法よれ
ば、ナフタレン化合物に結合している基の特性によって
ナフタレン環の一方を選択的に還元してテトラリン誘導
体を効率よく合成することができる。即ち、本発明の方
法によれば、ナフタレン化合物から所望のテトラリン誘
導体を高い選択率で合成することができ、この反応の選
択率は、通常は20%以上であり、さらに反応条件によ
っては90%以上の選択率で所望のテトラリン誘導体を
合成することができる。
【0044】こうして得られたテトラリン誘導体は、再
結晶、カラムクロマトグラフィなど公知の方法を利用し
て反応液から分離することができる。得られたテトラリ
ン誘導体は、種々の用途に使用することができるが、例
えば上記反応経路に従ってこのテトラリン誘導体から液
晶材料として有用性の高い特定のカルボン酸エステル化
合物を製造することができる。
【0045】以下、本発明の方法によって得られるテト
ラリン誘導体から、液晶材料を製造する方法を、液晶材
料として有用性の高いカルボン酸エステル化合物の製造
法を例にして説明する。
【0046】上記反応経路において、4-ヒドロキシ安息
香酸エステルと4-ベンジルオキシ安息香酸とを、4-N,N-
ジメチルアミノピリジンおよび塩化メチレンを溶媒とし
て用い、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド溶液を
滴下しながら反応させることにより、4-ヒドロキシ安息
香酸エステルと4-(4'-ベンジルオキシベンゾイルオキ
シ)安息香酸とのエステル化合物を得ることができる。
【0047】上記のようにして得られたエステル化合物
を、テトラヒドロフラン等の溶媒に投入し、パラジウム
/炭素等の還元触媒の存在下に水素ガスを用いて還元す
ることにより、このエステル化合物からベンジル基が離
脱したエステル化合物を得ることができる。
【0048】上記のようにして得られたベンジル基が離
脱したエステル化合物と、本発明の方法により得られた
5,6,7,8-テトラヒドロ-6-n-アルコキシナフタレン-2-カ
ルボン酸を、4-N,N-ジメチルアミノピリジンおよび塩化
メチレンを溶媒として用い、N,N'-ジシクロヘキシルカ
ルボジイミド溶液を滴下しながら反応させることにより
カルボン酸エステル化合物を得ることができる。なお、
ここで4-ヒドロキシ安息香酸エステルが光学活性基を有
する場合には、得られるカルボン酸エステル化合物も光
学活性を有するようになる。
【0049】例えば、上記のようにして得られるカルボ
ン酸エステル化合物は次式[A]で表わすことができ
る。
【0050】
【化8】
【0051】・・・[A] 上記式[A]において、Rは、本発明の方法で原料とし
て使用するナフタレン化合物における置換基の種類によ
って異なるが、通常は、炭素数3〜20のアルキル基、
炭素数3〜20のアルコキシ基および炭素数3〜20の
ハロゲン化アルキル基のいずれかである。
【0052】上記式[A]において、Rが炭素数3〜2
0のアルキル基である場合には、このようなアルキル基
としては、直鎖状、分枝状、及び脂環状のいずれの形態
であってもよいが、Rが直鎖状のアルキル基であるカル
ボン酸エステルの分子は、分子が真っ直ぐに伸びた剛直
構造をとるため、優れた液晶性を示す。
【0053】このような直鎖状のアルキル基の具体例と
しては、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル
基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシ
ル基、ヘキサデシル基およびオクタデシル基などを挙げ
ることができる。
【0054】また、Rが炭素数3〜20のハロゲン化ア
ルキル基である場合、ハロゲン化アルキル基の例として
は、上記のようなアルキル基の原子の少なくとも一部
が、F、Cl、BrおよびIなどのハロゲン原子で置換
された基を挙げることができる。
【0055】さらに、Rが炭素数3〜20のアルコキシ
基である場合には、このようなアルコキシ基の例として
は、上記のようなアルキル基を有するアルコキシ基を挙
げることができる。このようなアルコキシ基の具体例と
しては、ヘキソキシ基、ヘプトキシ基、オクチルオキシ
基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキ
シ基、ドデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ヘプ
タデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基およびオクタ
デシルオキシ基を挙げることができる。
【0056】上記のようなRを有する化合物のうちアル
コキシ基を有する化合物が特に優れた液晶性を示す。ま
た、上記式[A]において、XおよびYは、それぞれ独
立に、−COO−、−OCO−、−CH2CH2−、−C
2O−、−OCH2−、−S−S−、−CO−CH2
および−CH2−CO−よりなる群から選ばれる基また
は単結合を表わす。
【0057】これらの内、このカルボン酸エステル化合
物を液晶化合物として使用する場合、XおよびYは、そ
れぞれ独立に、−COO−、−OCO−、−CH2CH2
−、−CH2O−および−OCH2−の内から選ばれるこ
とが好ましく、特に分子の直線性を考慮すると、X及び
Yの内、少なくともいずれか一方、好ましくは両者が、
−COO−であることが好ましい。
【0058】また、上記式[A]において、AおよびB
は、それぞれ独立に、
【0059】
【化9】
【0060】よりなる群から選ばれる基を表わす。これ
らの基のうち、カルボン酸エステル化合物を液晶化合物
として使用する場合、液晶物質としての特性を考慮する
と、
【0061】
【化10】
【0062】であることが好ましく、なかでもフェニレ
ン基が特に好ましい。また、式[A]において、R
*は、不整炭素を少なくとも1個有する炭素数4〜20
の光学活性基を表わす。なお、この光学活性基を構成す
る炭素原子に結合している水素原子は、例えばF、C
l、BrおよびIなどのハロゲン原子、特に好ましくは
フッ素原子で置換されていてもよい。
【0063】このような光学活性基の例として好ましく
は、−(CH23ーC*H(CH3)-C25、−CH2ーC
*H(CH3)-C25、−C*H(CH3)-C613、−
*H(CH3)-C511、−C*H(C25)-C
613、−C*H(CF3)-C613、および−C*H(C
3)ーCH2ーCOO-C25を挙げることができる。
【0064】これらの基のうち、このカルボン酸エステ
ル化合物を液晶化合物として使用する場合、液晶物質と
しての特性を考慮すると、以下に示す基が好ましい。 −C*H(CH3)-C613、−C*H(CF3)-C613
および−C*H(CF3)ーCH2ーCOO-C25 さらにこれらの内でも以下に示す基が特に好ましい。
【0065】−C*H(CF3)-C613 。 また、式[A]において、mおよびnは、それぞれ独立
に、0〜2の整数を表わす。ただし、上記式[A]にお
いて、mおよびnの両者が同時に0となることはない。
特に、このカルボン酸エステル化合物を液晶化合物とし
て使用する場合には、mは、1または2であることが好
ましい。
【0066】さらに、上記式[A]において、ナフタレ
ン化合物から本発明の方法で誘導される5,6,7,8-テトラ
ヒドロナフチル基としては、 5,6,7,8-テトラヒドロ-1,5-ナフチル基 5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチル基 5,6,7,8-テトラヒドロ-2,6-ナフチル基 および5,6,7,8-テトラヒドロ-1,7-ナフチル基を挙げる
ことができる。
【0067】特にこのカルボン酸エステル化合物を液晶
化合物として使用する場合には、分子全体が直線状にな
ることが好ましく、このため5,6,7,8-テトラヒドロナフ
チル基としては、5,6,7,8-テトラヒドロ-2,6-ナフチル
基が特に好ましい。
【0068】従って、上記式[A]で表わされるカルボ
ン酸エステル化合物としては、具体的には、下記式
[A']で表わされ、
【0069】
【化11】
【0070】・・・[A'] R,X,Y,m,n,A,BおよびR*が、例えば、下
記表1から表6に示すよに、化合物番号[1]〜[10
4]で示される化合物を挙げることができる。
【0071】なお、下記表中、R,X,Y,m,n,
A,BおよびR*は前記と同じ意味であり、p,q,r
はそれぞれR:Cpqr−基における炭素原子数、水
素原子数、酸素原子数を表わす。
【0072】また、記号A中、
【0073】
【化12】
【0074】をそれぞれ表わす。また、記号R*中、 イ:−C*H(CF3)-C613 ロ:−C*H(CH3)-C613 ハ:−CH2ーC*H(CH3)-C25 ニ:−C*H(C25)-C613 を表わす。以下、本明細書中では、同様である。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
【表5】
【0080】
【表6】
【0081】例えば、次式で表わされる4-[4'-(5",
6",7",8"-テトラヒドロ-6"-n-デシルオキシ-2"-ナフト
イルオキシ)ベンゾイルオキシ]安息香酸R-1"'-トリフ
ロロメチルヘプチルエステルの1H−NMRのチャート
を図1に示す。なお、次式中(eq)はエカトリアル配
座を表わし、(ax)はアキシャル配座を表わす。
【0082】
【化13】
【0083】なお、上記式中において1〜16の番号
は、水素原子を示し、この番号は、図1におけるピーク
に付した番号と対応している。また例えば次式で表わさ
れる4-(5',6',7',8'-テトラヒドロ-6'-n-デシルオキシ
-2'-ナフトイルオキシ)安息香酸R-1"'-トリフロロメチ
ルヘプチルエステルの 1H−NMRのチャートを図2に
示す。
【0084】
【化14】
【0085】なお、上記式中において1〜15の番号
は、水素原子を示し、この番号は、図2におけるピーク
に付した番号と対応している。上記のようにして得られ
た式[A]で表わされるカルボン酸エステル化合物は、
例えば液晶化合物として使用することができる。
【0086】特に光学活性を有するカルボン酸エステル
化合物は、強誘電性液晶化合物または反強誘電性液晶化
合物として使用することができる。そして、このような
カルボン酸エステル化合物の内、次式[4]、[12]
で表わされる化合物が特に優れた液晶特性を示す。
【0087】
【化15】
【0088】このように液晶化合物として特に優れてい
る式[4]、[12]で表わされる化合物の相転移温度
を表7に示す。なお、以下に示す表において、Cry
は、結晶相、SmCA *は、反強誘電相、SmAは、スメ
クチックA相、Isoは、等方性液体を表わす。
【0089】
【表7】
【0090】このような式[A]で表されるカルボン酸
エステル化合物の中には、表7に例示したように、広い
温度範囲で、スメクチック相を呈する化合物が多い。そ
して、こ液晶化合物は、スメクチック相を示す温度範囲
が広いだけでなく、このような液晶化合物を用いて製造
された光スイッチング素子は、高速応答性にも優れてい
る。
【0091】この液晶化合物は単独で使用することもで
きるが、他の液晶化合物と混合することにより液晶組成
物として使用することもできる。例えば、この液晶化合
物は、カイラルスメクチック相を呈する化合物を主剤と
する液晶組成物の助剤として使用することができる。
【0092】なお、この液晶化合物を用いて例えば表示
素子などを形成する際には、上記のカルボン酸エステル
化合物および他の液晶化合物に加えてさらに、例えば電
導性賦与剤および寿命向上剤など、通常の液晶化合物に
配合することができる添加剤を配合してもよい。
【0093】上記液晶化合物は、表面安定化強誘電性液
晶素子、表面安定化反強誘電性液晶素子、ヘリカル変歪
型素子、過渡散乱型素子、ゲストホスト型素子、あるい
は垂直配向液晶素子などに利用することができる。
【0094】上記の液晶化合物のうちでも特に強誘電性
または反強誘電性を有する液晶化合物は、上記のような
用途の他に、光シャッターあるいは液晶プリンタなどの
光スイッチング素子、圧電素子および焦電素子などの液
晶素子として好ましく使用することができる。
【0095】
【発明の効果】本発明の方法によれば、ナフタレン化合
物の一方の環を選択的に水素添加してテトラリン誘導体
を合成することができる。しかも、この反応はナフタレ
ン化合物の有する置換基の種類によって還元される環が
特定され、非常に高い選択率で所望のテトラリン誘導体
を合成することができ、さらにこの反応自体の収率も高
い。
【0096】さらに、この反応は反応条件を変えるので
はなく、還元される環の選択性が置換基に依存している
ので、反応条件の設定が容易であり、非常に容易に所望
のテトラリン誘導体を合成することができる。またこの
反応は複雑な反応操作を要せず一段で反応が終了するの
で、反応操作が容易である。
【0097】上記のようにして得られたテトラリン誘導
体を用いることにより液晶として有用性の高いカルボン
酸エステル化合物を得ることができる。
【0098】
【実施例】次に本発明の実施例を示すが、本発明はこれ
らの実施例に限定されるものではない。
【0099】また、下記で使用したRおよびSは、光学
異性体のR体およびS体を意味する。
【0100】
【実施例1】4-[4'-(5",6",7",8"-テトラヒドロ-6"-n-
デシルオキシ-2"-ナフトイルオキシ)ベンゾイルオキ
シ]安息香酸R-1"'-トリフロロメチルヘプチルエステル
の合成。
【0101】第1段階 5,6,7,8-テトラヒドロ-6-n-デシルオキシナフタレン-2-
カルボン酸の合成。容量100mlのオートクレーブ中
で、6-n-デシルオキシナフタレン-2-カルボン酸328m
g(1.0ミリモル)および5%パラジウム/炭素0.1
gをテトラヒドロフラン10mlに混合した。このオート
クレーブに水素を導入して、25気圧に加圧後、120
℃で3時間攪拌した。
【0102】常温常圧に戻した後、反応混合物を濾過助
剤であるセライトを用いて濾過し、さらに得られた濾液
を濃縮した後、この固体をテトラヒドロフラン(TH
F)とn-ヘキサンとの1:1混合溶媒を用いてカラム精
製し、n-ヘキサンからの再結晶により得られたものとを
合計して、白色固体である5,6,7,8-テトラヒドロ-6-n-
デシルオキシナフタレン-2-カルボン酸90mg(0.27
ミリモル)を得た(収率27.0%、選択率95%)。
【0103】
【参考例1】第2段階 R-1-トリフロロメチルヘプタノール9.20g(50ミ
リモル)、4-ベンジルオキシ安息香酸11.40g(5
0ミリモル)、4-N,N-ジメチルアミノピリジン0.61
g(5ミリモル)および塩化メチレン100mlの混合物
に、N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミド11.33g
(55ミリモル)を含む塩化メチレン溶液70mlを室温
で、攪拌下に2.5時間かけて滴下した。
【0104】さらに室温下で4時間反応させた。反応混
合物を濾過し、得られた濾液を濃縮した。濃縮物をカラ
ムクロマトグラフィーを用いて分離することにより、白
色固体である4-ベンジルオキシ安息香酸R-1'-トリフロ
ロメチルヘキシルエステル15.96g(40.6ミリモ
ル)を得た。
【0105】第3段階 第2段階で得られた4-ベンジルオキシ安息香酸R-1'-ト
リフロロメチルヘキシルエステル15.96g(40.6
ミリモル)、5%パラジウム/炭素1.6gおよびテト
ラヒドロフラン80gの混合物中に室温、常圧攪拌下に
水素を8時間吹き込んだ。反応混合物を濾過助剤である
セライトを用いて濾過し、さらに得られた濾液を濃縮
し、白色固体である4-ヒドロキシ安息香酸R-1'-トリフ
ロロメチルヘキシルエステル12.34g(40.6ミリ
モル)を得た。
【0106】第4段階 第3段階で得られた4-ヒドロキシ安息香酸R-1'-トリフ
ロロメチルヘキシルエステル12.34g(40.6ミリ
モル)、4-ベンジルオキシ安息香酸9.26g(40.6
ミリモル)、4-N,N-ジメチルアミノピリジン0.49g
(4ミリモル)および塩化メチレン80mlの混合物に、
N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミド9.2g(44.7
ミリモル)を含む塩化メチレン溶液50mlを室温で、攪
拌下に2時間かけて滴下した。
【0107】さらに室温下で3.5時間反応させた。反
応混合物を濾過し、得られた濾液を濃縮した。濃縮物を
カラムクロマトグラフィーを用いて分離することによ
り、白色固体である4ー(4'-ベンジルオキシベンゾイル
オキシ)安息香酸R-1'-トリフロロメチルヘキシルエス
テル19.64g(38.2ミリモル)を得た。
【0108】第5段階 第4段階で得られた4-(4'-ベンジルオキシベンゾイル
オキシ)安息香酸R-1'-トリフロロメチルヘキシルエス
テル19.64g(38.2ミリモル)、5%パラジウム
/炭素3.0gおよびテトラヒドロフラン100gの混
合物中に室温、常圧攪拌下に水素を14時間吹き込ん
だ。反応混合物を濾過助剤であるセライトを用いて濾過
し、さらに得られた濾液を濃縮し、白色固体である4-
(4'-ヒドロキシベンゾイルオキシ)安息香酸R-1'-トリ
フロロメチルヘキシルエステル16.29g(38.2ミ
リモル)を得た。
【0109】第6段階 実施例1の第1段階で得られた5,6,7,8-テトラヒドロ-6
-n-デシルオキシナフタレン-2-カルボン酸、0.332
g(1.0ミリモル)、第5段階で得られた4-(4'-ヒド
ロキシベンゾイルオキシ)安息香酸R-1'-トリフロロメ
チルヘキシルエステル0.424g(1.0ミリモル)、
4-N,N-ジメチルアミノピリジン0.012g(0.1ミリ
モル)および塩化メチレン25mlの混合物に、N,N'-ジ
シクロヘキシルカルボジイミド0.247(1.2ミリモ
ル)を含む塩化メチレン溶液10mlを室温、攪拌下に
2.5時間かけて滴下した。さらに室温下で2時間反応
させた。反応混合物を濾過し、得られた濾液を濃縮し
た。濃縮物をカラムクロマトグラフィーを用いて分離す
ることにより、白色固体0.23gを得た。
【0110】この白色固体のFD−マススペクトルの値
はM/e=738であった。図1にこの化合物の1H−
NMRスペクトルのチャートを示す。これらの分析の結
果より、この化合物は目的とする4-[4'-(5",6",7",8"
-テトラヒドロ-6"-n-デシルオキシ-2"-ナフトイルオキ
シ)ベンゾイルオキシ]安息香酸R-1"'-トリフロロメチ
ルヘプチルエステルであると同定した。
【0111】
【実施例2】4-(5',6',7',8'-テトラヒドロ-6'-n-デシ
ルオキシ-2'-ナフトイルオキシ)安息香酸R-1"-トリフ
ロロメチルヘプチルエステルの合成。
【0112】第1段階 5,6,7,8-テトラヒドロ-6-n-デシルオキシナフタレン-2-
カルボン酸の合成。容量1リットルのオートクレーブ中
で、6-n-デシルオキシナフタレン-2-カルボン酸50g
(0.15モル)および5%パラジウム/炭素5gをテ
トラヒドロフラン500mlに混合した。このオートクレ
ーブに水素を導入し、20気圧に加圧後、125℃で2
時間攪拌した。
【0113】常温常圧に戻した後、反応混合物を濾過助
剤であるセライトを用いて濾過し、さらに得られた濾液
を濃縮した後、テトラヒドロフラン(THF)とn-ヘキ
サンとの1:1混合溶媒を用いてカラム精製し、n-ヘキ
サンからの再結晶により得られたものと合計して5,6,7,
8-テトラヒドロ-6-n-デシルオキシナフタレン-2-カルボ
ン酸35.2gを得た(収率69%、選択率70%)。
【0114】
【参考例2】上記実施例2で得られた5,6,7,8-テトラヒ
ドロ-6-n-デシルオキシナフタレン-2-カルボン酸を33
2mg(1.0ミリモル)、実施例1の第3段階で得られ
た4-ヒドロキシ安息香酸R-1'-トリフロロメチルヘキシ
ルエステル304mg(1.0ミリモル)、4-N,N-ジメチ
ルアミノピリジン12mg(0.1ミリモル)および塩化
メチレン25mlの混合物に、N,N'-ジシクロヘキシルカ
ルボジイミド247mg(1.2ミリモル)を含む塩化メ
チレン溶液10mlを室温、攪拌下に2.5時間かけて滴
下し、反応させた。反応混合物を濾過し、得られた濾液
を濃縮した。濃縮物をジクロロメタンとヘキサンとの
1:1混合溶液を用いてカラム精製し、無色透明液体3
00mgを得た。
【0115】この白色固体のFD−マススペクトルの値
はM/e=618であった。図2にこの化合物の1H−
NMRスペクトルのチャートを示す。これらの分析の結
果より、この化合物は目的とする4-(5',6',7',8'-テト
ラヒドロ-6'-n-デシルオキシ-2'-ナフトイルオキシ)安
息香酸R-1"-トリフロロメチルヘプチルエステルである
と同定した。
【0116】
【実施例3】4-(5',6',7',8'-テトラヒドロ-6'-n-デシ
ルオキシ-2'-ナフトイルオキシ)安息香酸R-1"-トリフ
ルオロメチルヘプシルエステルの合成。
【0117】第1段階 5,6,7,8-テトラヒドロ-6-n-デシルオキシナフタレン-2-
カルボン酸の合成。
【0118】容量100mlのオートクレーブ中で、6-n-
デシルオキシナフタレン-2-カルボン酸328mg(1ミ
リモル)および5%パラジウム/アルミナ0.1gと、
テトラヒドロフラン(THF)10mlとを混合した。こ
のオートクレーブに水素を導入し、30気圧に加圧後、
140℃で5時間攪拌した。
【0119】常温常圧に戻した後、反応混合物を濾過助
剤であるセライトを用いて濾過し、さらに得られた濾液
を濃縮した後、テトラヒドロフラン(THF)とn-ヘキ
サンとの1:1混合溶媒を用いてカラム精製し、n-ヘキ
サンからの再結晶により得られたものと合計して目的と
する5,6,7,8-テトラヒドロ-6-n-デシルオキシ-2-カルボ
ン酸312mgを得た(収率94.1%、選択率95
%)。
【0120】
【参考例3】第2段階 上記実施例3と同様にして得られた5,6,7,8-テトラヒド
ロ-6-n-デシルオキシ-2-カルボン酸332mg(1.0ミ
リモル)を、参考例2に従って参考例1の第3段階で得
られた4-ヒドロキシ安息香酸R-1'-トリフルオロメチル
ヘキシルエステル304mg(1.0ミリモル)4-N,N-ジ
メチルアミノピリジン12mgおよび塩化メチレン25ml
の混合物に、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド2
47mg(1.2ミリモル)を含む塩化メチレン溶液10m
lを室温で攪拌下に2.5時間かけて滴下して反応させ
た。
【0121】反応混合物を濾過し、得られた濾液を濃縮
した。濾過物をジクロロメタンとヘキサンとの1:1混
合溶液を用いてカラム精製し、無色液体300mgを得
た。この化合物の機器分析の結果は参考例2で得られた
結果と一致したので、この化合物は4-(5',6',7',8'-テ
トラヒドロ-6'-n-デシルオキシ-2'-ナフトイルオキシ)
安息香酸R-1"-トリフルオロメチルヘプシルエステルで
あると同定した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は4-[4'-(5",6",7",8"-テトラヒドロ-
6"-n-デシルオキシ-2"-ナフトイルオキシ)ベンゾイル
オキシ]安息香酸R-1"'-トリフロロメチルヘプチルエス
テルの1H−NMRスペクトルのチャートである。
【図2】 図2は4-(5',6',7',8'-テトラヒドロ-6'-n-
デシルオキシ-2'-ナフトイルオキシ)安息香酸R-1"-ト
リフロロメチルヘプチルエステルの1H−NMRスペク
トルのチャートである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 69/76 A 9279−4H Z 9279−4H 69/773 9279−4H 69/86 9279−4H 69/92 9279−4H 69/94 9279−4H G02F 1/13 500 // C07B 61/00 300 (72)発明者 西 山 伸 一 千葉県君津郡袖ヶ浦町長浦字拓二号580番 32 三井石油化学工業株式会社内 (72)発明者 山 中 徹 千葉県君津郡袖ヶ浦町長浦字拓二号580番 32 三井石油化学工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一方の環に相対的に電子受容性の置換基
    または原子を有し、他方の環に相対的に電子供与性の置
    換基または原子を有するナフタレン化合物を、Pd触媒
    の存在下に水素と接触させて、相対的に電子供与性の高
    い置換基または原子が置換した環を選択的に還元してテ
    トラリン誘導体を製造する方法。
  2. 【請求項2】 前記触媒が担体に担持されていることを
    特徴とする請求項第1項記載のテトラリン誘導体の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 相対的に電子受容性の置換基が、カルボ
    キシル基、カルボニル、ニトロ基、ハロゲン原子および
    シアノ基よりなる群から選ばれる基であり、相対的に電
    子供与性の置換基が、アルキル基、アルコキシ基および
    水酸基よりなる群から選ばれる基であることを特徴とす
    る請求項第1項記載のテトラリン誘導体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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