JPH06148692A - 波長可変液晶光フィルタ - Google Patents

波長可変液晶光フィルタ

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JPH06148692A
JPH06148692A JP29453792A JP29453792A JPH06148692A JP H06148692 A JPH06148692 A JP H06148692A JP 29453792 A JP29453792 A JP 29453792A JP 29453792 A JP29453792 A JP 29453792A JP H06148692 A JPH06148692 A JP H06148692A
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liquid crystal
filter
fabry
wavelength
temperature
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JP29453792A
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Kazuo Kimura
一夫 木村
Kazuhiro Noguchi
一博 野口
Takao Matsumoto
隆男 松本
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】偏波依存性の無い波長可変フィルタを付加的な
光学部品無しで、且つ、小型に実現可能な波長可変液晶
光フィルタを提供する。 【構成】誘電体ミラー103 と透明電極104 と液晶配向膜
105 を設けた2枚のガラス基板102 を一定間隔を設けて
対向させたファブリペローエタロン中に、液晶分子軸が
ガラス基板102 と平行な螺旋構造を有した液晶101 を封
入し、偏波依存性が生じない構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、波長多重光通信システ
ムの分波器や光信号処理装置に用いる波長可変液晶光フ
ィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶を用いた波長可変フィルタは、その
コンパクト性、低電力性から、波長多重光通信システム
の分波器や波長切り換え型の光スイッチ等の光通信分野
への応用が期待されている。しかしながら、現状では、
液晶の偏波依存性のため、その用途が制限されてきた。
【0003】そこで、液晶フィルタの偏波依存性を解消
するため、従来よりさまざまな検討がなされてきた。例
えば、参考文献(K. Hirabayashi, Y. Ohiso, and T. Ku
rokawa, "Polarization-Independent Tunable Waveleng
th-Selective Filter Usinga Liquid Crystal", IEEE T
rans. Photonics Technology Letters, vol.3,No.12,p
p.1091-1093,1991.)では、偏光ビームスプリッタやミラ
ー等の光学部品を用い、入射光を2つの直線偏光に分離
し、液晶フィルタ透過後に分離した両偏波成分を再合成
する構成が、既に提案されている。しかし、偏光ビーム
スプリッタやミラー等の付加的な光学部品が必要であ
り、小型化が難しいことや、液晶フィルタの光学ギャッ
プの面的なばらつきの存在により、透過帯域幅の狭い液
晶フィルタを構成することが技術的に困難であると言う
問題点があった。
【0004】そこで、付加的な光学部品無しで、且つ、
入射光を2つの光路に分離せずに偏波依存性のない液晶
フィルタを構成する方法が検討されてきた。例えば、参
考文献(J.S.Patel and Sin-Doo Lee, "Electrically tu
nable and polarization insensitive Fabry-Perot eta
lon with a liquid-crystal film", Appl. Phys. Let
t., vol.58,No.22,pp.2491-2493,1991. あるいは、J.S.
Patel and Y.Silberberg, "Anticrossing of polarizat
ion modes in liquid-crystals etalons", Opt.Lett.,v
ol.16,No.13,pp.1049-1051,1991.) 記載の液晶フィルタ
では、ミラーを有した2枚のガラス基板間に液晶分子を
90°ツイストしたネマチック液晶を封入し、偏波依存
性の少ない(偏波無依存性ではない)液晶フィルタの構
成を提案している。図6に、前記参考文献に記載された
液晶フィルタの従来例を示す。 301、 302はファブリペ
ローエタロンを構成するミラー付きガラス基板であり、
液晶に電圧を印加する透明電極も同一基板上に堆積して
ある。 303は前記ガラス基板301,302 間に挟持されたネ
マチック液晶分子の配向ベクトルである。 304は液晶分
子のツイスト角θであり、ガラス基板 302に接した液晶
分子の配向ベクトルとガラス基板 301に接した液晶分子
の配向ベクトル間のなす角を示している。この従来例で
は、θは90°である。図6(a)は液晶に電圧を印加
していない状態を示しており、図6(b)は電圧を印加
し、液晶分子を電界方向に整列させた状態を示してい
る。液晶に電圧を印加していない状態(図6(a))で
は、液晶セルがモーガンの条件(2Δnd>λ、Δnは
液晶の屈折率異方性、dはセルギャプ、λは入射光の波
長である)を満たす時には、入射光の偏光方向が液晶分
子のねじれ配列に沿って回転するため、液晶フィルタの
偏波依存性は消失せず、液晶フィルタは偏波依存性を出
現する結果となる。しかし、電圧を印加した図6(b)
の状態では、あたかも偏光方向の直交する2枚の偏光板
を重ねたような状態となり、しかも、その厚さが、液晶
印加電圧により変化するように動作するので、偏波依存
性の少ない波長可変液晶フィルタを実現できる。しか
し、その液晶フィルタの偏波依存性の少なくなる領域
は、液晶分子の立ち上がり角が適当である僅かな領域で
しかなく、その使用波長帯域には制限がでてくる。
【0005】液晶フィルタの偏波依存性を少なくする別
の手法として、参考文献(J.S.Patel, "Polarization in
sensitive tunable liquid-crystal etalon filter", A
ppl.Phys.Lett.,vol.59,No.11,pp.1314-1316,1991.) の
例が周知である。この例では、一つの入射光ビームを液
晶分子の配向方向を直交させた2つの領域にまたがって
入射させることにより、偏波依存性の少ない波長可変液
晶フィルタを実現している。図7に、前記参考文献に記
載された液晶フィルタの従来例を示す。図7では、液晶
分子の配向方向だけを示しており、実際の液晶エタロン
を構成するガラス基板やミラーは省略している。 401、
402はそれぞれ、出射側、入射側のファイバコリメータ
レンズであり、 403は液晶フィルタ内を透過する光線で
ある。液晶フィルタ内の液晶は、液晶分子の配向方向が
直交する2つの領域 411、 412に分けられており、フィ
ルタ内を透過する光線は、その2つの領域411,412 を同
量透過するように設計されている。 413、 414はそれぞ
れ液晶分子の配向方向を示しており、それらは、お互い
に直交している。 421は液晶フィルタ内の液晶分子を表
わしている。液晶フィルタの偏波依存性をなくすために
は、図7(a)に示した構造の液晶配向状態が望ましい
が、一般に液晶分子は基板界面で乱れるためこの構造を
実現することは技術的に難しく、実際には、それに類似
する図7(b)の構造を実現した。図7(b)で特徴的
であるのは、片側の基板界面では液晶分子421 は基板と
平行(ホモジニアス配向)であり、もう片側の基板界面
では液晶分子421 は基板に垂直(ホメオトロピック配
向)に配向させたことである。液晶分子421 の配向方向
の分割は、ホモジニアス配向を行なった界面で行ない、
ラビング方向の直交する配向膜をフォトリソグラフィー
技術により分離作製することで実現した。このような構
造の液晶フィルタの透過特性は、透過中心波長が液晶印
加電圧に依存して変化する成分と、液晶印加電圧に依存
しない成分との2つの成分に分れる。また、透過光の偏
波依存性は液晶分子の配向方向の異なる領域を透過する
光ビームの強度比で主に決まり、実際には配向方向が異
なる液晶界面の不均一性等により2つの領域の透過光量
に差を生じ、完全な偏波無依存化は達成できていない。
また、液晶分子の配向方向が異なるそれぞれの領域にお
いて、液晶分子のガラス基板表面に対する傾き角(プレ
チルト角)が一定でないため、その2つの領域で屈折率
が若干異なり、それぞれの透過中心波長に差を生じ、全
体としての透過帯域幅が小さくできないと言う問題点が
存在している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように従
来の液晶フィルタでは、液晶フィルタの偏波依存性をな
くすために、付加的な光学部品を使用するか、あるい
は、液晶の配向状態を工夫して偏波依存性を無くす手法
が採られてきた。しかし、液晶の配向状態を工夫しても
完全に偏波依存性を無くすことは困難であり、また、完
全に偏波依存性を無くすには付加的な光学部品が必須で
あった。このような理由から、偏波依存性の無い波長可
変液晶フィルタを小型コンパクトに構成することが困難
であった。
【0007】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
ので、その目的は、偏波依存性の無い波長可変フィルタ
を付加的な光学部品無しで、且つ、小型に実現可能な波
長可変液晶光フィルタを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項1では、誘電体ミラーと透明電極と液晶配向膜
を設けた2枚のガラス基板を一定間隔を設けて対向させ
たファブリペローエタロン中に、液晶分子軸がガラス基
板と平行な螺旋構造を有した液晶を封入し、偏波依存性
が生じない構成とした。
【0009】また、請求2では、請求項1記載の波長可
変液晶フィルタにおいて、一方のガラス基板には、液晶
分子軸が基板に対して平行に配向するように基板を配向
処理した配向膜と透明電極とを設け、さらに他方のガラ
ス基板には、液晶分子軸がガラス基板に対して垂直に配
向するよう配向処理した配向膜と透明電極とを設け、前
記両ガラス基板の透明電極間に電圧を印加する手段を設
け、ファブリペローエタロン中の液晶媒質の屈折率を前
記電圧で変化させることにより、液晶フィルタを透過す
る波長を可変とした。この液晶フィルタの構造は、液晶
フィルタ垂直入射する入射光に対して、偏波依存性を生
じない特徴がある。
【0010】さらに、請求項3では、前記液晶ファブリ
ペローエタロンに温度制御手段を設け、液晶ファブリペ
ローエタロン中の液晶媒質の平均屈折率を温度により変
化させ、液晶ファブリペローエタロンの透過中心波長を
温度により可変とした。
【0011】
【作用】図1に、本発明の第一の実施例である偏波無依
存の液晶光フィルタの構成例を示す。 101は螺旋ピッチ
pの液晶(例えば、コレステリック液晶、スーパーツイ
ストネマチック液晶等)であり、2枚のガラス基板102
から構成されるファブリペローエタロン内に一定間隔を
おいて、且つ、液晶分子は両ガラス基板界面で平行配向
されて封入されている。ファブリペローエタロンを構成
するガラス基板 102には、誘電対ミラー 103、透明電極
104、液晶配向膜 105が順に堆積されており、反射防止
膜 106もその反対面に堆積されている。2枚のガラス基
板102 間の間隔は球状、あるいは円柱状のスペーサ 108
で一定に保たれている。ファブリペローエタロンで構成
された液晶フィルタには、液晶の螺旋ピッチを調整する
ための交流電源110 と液晶フィルタの温度を調整するた
めの温度制御装置 131が設けられている。
【0012】図4は本発明の動作を説明するもので、20
1 は液晶、202 は液晶分子、203 は配向膜、204 は透明
電極、205 はミラー、206 はガラス基板、207 はARコ
ート膜、211,212 は配向膜をそれぞれ示す。
【0013】ファブリペローエタロン中に封入された液
晶201 は、図4(a)に示すように液晶分子が螺旋状に
ねじれた配向をしており、入射光のそのねじれの方向に
対応した円偏光成分を選択的に反射する性質がある。光
が液晶の螺旋軸に平行に入射した場合では、その選択反
射される円偏光成分の中心波長λ0 は、 λ0 =n×p で与えられる。ここで、pは液晶の螺旋ピッチであり、
nは液晶媒質の平均屈折率である。液晶媒質の平均屈折
率nは、液晶の常光及び異常光の屈折率をそれぞれ
o 、ne とすると、 n=(no +ne )/2 となる。また、液晶の円偏光の選択反射を生じる波長幅
Δλは、 Δλ=λ0 Δn/n、 (但し、Δn=ne −no ) となる。(螺旋構造を有するコレステリック液晶の選択
反射動作については、例えば、参考文献:M.Schadt and
J.Funfschilling, "New Liquid Crystal Polarized Co
lor Projection Principle", Jpn.J.Appl.Phys.,vol.2
9,No.10,pp.1974-1984,(1990).に記載されている。)
しかし、上記選択反射を生じる以外の波長域では、液晶
は見かけ上、平均屈折率nの媒質としてふるまい、その
偏波依存性はなくなる。
【0014】選択反射を生じない波長域での上記液晶フ
ィルタの波長選択動作は、次のようになる。この場合で
は、液晶媒質は平均屈折率nの媒質と見なせるので、液
晶フィルタの透過中心波長λは、ファブリペローエタ
ロン同様、 λ=2nd/m (但し、mは整数) で与えられる。セル厚d、整数mは、それぞれ一定値で
あるが、液晶の平均屈折率nは、僅かではあるが温度依
存性を有しており、変化する。従って、上式に示すよう
に液晶フィルタの温度を制御すれば、偏波依存性のない
波長可変液晶フィルタを構成することができる。
【0015】具体的な、液晶の平均屈折率n(T)の温
度依存性は次のように表せる。
【0016】n(T)=a+b(T−T0 )、 (但
し、T0 は基準温度) ここで、Tは温度を表し、a、bはそれぞれ液晶材料に
依存する定数である。実際の液晶材料の平均屈折率の温
度依存性は、材料にも依存するが大体1[%/℃]程度
である。従って、液晶フィルタの温度を、温度制御手段
131を用いて十数度の可変範囲で温度制御することによ
り、フィルタの透過中心波長をおよそ十数%程度変化で
きる。例えば、温度20℃で平均屈折率n=1.5 であり、
温度依存性が1%/℃の螺旋構造を有した液晶を用い、
セル厚d=20.67 μmのエタロンを作製し、m=40の条
件で、温度20℃〜30℃の間で変化させれば、前記液晶フ
ィルタの透過中心波長は、1.55μm〜1.705 μmまで
(可変範囲 155nm)、連続的に変化させることができ
る。但し、選択反射が生じない条件として、液晶の螺旋
ピッチpは、 p<<2d/m と言う条件がつく。上記、実施例では、螺旋ピッチpの
条件はp<<1.03μmとなる。通常の液晶の螺旋ピッチ
は、 0.5μm程度であるので、上記液晶フィルタは十分
実現可能である。
【0017】しかし、エタロン内に封入された液晶の螺
旋ピッチは、一般に温度に依存してかなり変化する。従
って、波長選択動作のために行なう温度変化にともない
液晶の選択反射の波長域が液晶ファブリペローエタロン
の透過中心波長と一致する場合も考えられる。この場合
は、液晶ファブリペローエタロンの透過光が、液晶の選
択反射の影響を受けることが予想される。しかし、この
問題については、液晶螺旋ピッチの温度依存性の異なる
液晶材料を何種類か混合することで解決できる。実際の
液晶螺旋ピッチの温度依存性p(T)は、次式のように
かける。
【0018】 ここで、cはi番目の液晶材料成分の濃度であり、係
数A、B、Cはそれぞれi番目の液晶成分の温度
依存係数を表している。また、Tは温度を表し、T0
基準温度を表している。(螺旋構造を有するコレステリ
ック液晶の温度依存性については、例えば、参考文献:
M.Schadt and J.Funfschilling, "New Liquid Crystal
Polarized Color Projection Principle", Jpn.J.Appl.
Phys.,vol.29,No.10,pp.1974-1984,(1990). に記載され
ている。)従って、上記、液晶の螺旋ピッチの温度依存
性を表す式において、温度に関して2次以上の係数項を
無視すると、B(iは整数)の符号の異なる液晶を何
種類か混合することにより、螺旋ピッチの温度依存性の
ほとんどないコレステリック液晶を実現できる。例え
ば、最も簡単な2種類の液晶材料の混合では、 c1 1
=− c2 2 とすれば液晶の螺旋ピッチの温度依存性を
0 に補償できる。
【0019】前節では、液晶ファブリペローエタロンの
透過中心波長と液晶の選択反射の波長が一致しない場合
についての動作を述べたが、その両者が一致する場合で
も、同様に温度を変えることで波長選択動作を実現でき
る。液晶フィルタの透過中心波長と螺旋構造の液晶の選
択反射の波長が一致する場合の動作については、次のよ
うになる。図5に螺旋構造の液晶の選択反射が生じる波
長域での動作を説明する図を示す。 511は液晶フィルタ
のガラス基板であり、 512はミラーである。 513は透明
電極と液晶配向膜を堆積した領域を示し、その部分の屈
折率はn’とし、またその厚さを図のようにd1 、d3
とした。 514は螺旋構造を有した液晶であり、その厚さ
はd2 である。501 は入射光であり無偏波(U)であ
る。 502は出射光を表しており、L1 、L1 ’...L
i 、Li ’...(iは整数、反射の次数を表す)は液
晶フィルタを透過した左偏光成分を表し、また、R1
1’...R、R’...(iは整数、反射の次
数を表す)は液晶フィルタを透過した右偏光成分を表し
ている。
【0020】表1 液晶フィルタを透過した各円偏光成
分とL1 成分との光路差
【表1】 図5では、螺旋構造を有する液晶に右偏光を反射する液
晶を採用した場合を示した。液晶に左円偏光成分を反射
する液晶を採用した場合でも、その動作は偏光向きが変
わるだけでその動作は同様である。液晶での円偏光の選
択反射では、反射される円偏光の偏光の向きは反転せず
そのまま反射するが、ミラー 512では、反射により円偏
光の向きが反転して反射する。
【0021】表1に、液晶フィルタを透過した各円偏光
成分と透過光L1 成分との光路差を示す。ここで、膜厚
1 、d3 が、十分薄く無視できると仮定すると、i次
反射成分と(i+1)次の反射成分(iは整数)の光路
差は、左偏光、右偏光ともに2nd2 となるので、液晶
ファブリペローエタロンファイルタを透過する光の波長
は、選択反射がない状態での透過中心波長と一致する。
また、その透過光も左円偏光、右円偏光両成分存在する
ため、透過光の偏波依存性は存在しない。しかし、実際
には、上記膜厚d1 、d3 は0 ではないため、反射によ
り生ずる光路差が複数に分離し、液晶フィルタの透過波
長幅は選択反射を生じない時に比較して大きくなる。し
かし、上記説明の通り、液晶の選択反射の波長と液晶フ
ィルタ(ファブリペローエタロン)の透過中心波長が一
致した場合でも、液晶フィルタの透過波長は液晶媒質の
平均屈折率で決まり、その偏波依存性も出現せずに、温
度を変化させることで液晶フィルタの選択波長を可変と
することができる。
【0022】次に、前述の液晶フィルタの構造と異なる
もう一つの構造の液晶フィルタの動作について説明す
る。この液晶フィルタの構造は、2枚の対向するガラス
基板の片方の配向膜 212をホモジニアス配向(液晶分子
が基板に平行)させ、もう片方の配向膜 211をホメオト
ロピック配向(液晶分子が基板に垂直)させた構造であ
る。図4(b)に、その構造を有した液晶ファブリペロ
ーエタロンの構成図を示す。図4(b)の液晶フィルタ
では、その光学的な構造は螺旋ピッチp、平均屈折率
n、厚さd2 のねじれた配向の液晶層と、屈折率n
o (常光の屈折率)、厚さd3 の螺旋ピッチの解けた液
晶層を重ねた2層構造と近似的に見なすことができる。
このどちらの液晶層も、基板に対して垂直に入射する光
に対しては偏波依存性が少ないと言う性質を持ち、螺旋
構造を持つ液晶層の選択反射波長域以外では、液晶エタ
ロン内の光学ギャップはnd2 +no 3 となる。ここ
で、エタロン内に封入する液晶に誘電率異方性が正の液
晶を採用すると、液晶に外部電圧を印加することによ
り、液晶分子軸を電界方向に揃えるように制御できるの
で、螺旋構造を持つ液晶層の厚さd2 は減少でき、螺旋
構造の解けた液晶層の厚さd3は増加できる。従って、
液晶エタロン内の光学ギャップnd2 +no 3 が外部
電圧により変化でき、液晶フィルタの選択波長を可変と
することができる。また、エタロン内に封入した液晶に
は、前述のように、その構造上、偏波依存性がほとんど
ないため、液晶フィルタの透過特性も偏波依存性がほと
んど無くなる。
【0023】前記液晶の波長選択動作は、液晶が選択反
射を生じない波長域での動作であったが、選択反射を生
じる領域では表1に示した複数の円偏光成分の合成が液
晶フィルタの透過光となる。この場合では、液晶フィル
タ内で円偏光の多重反射が生じるため、液晶フィルタの
透過中心波長も、選択反射がない場合と異なり、偏波依
存性が現れる。従って、偏波無依存とするには、液晶の
選択反射が生じない波長領域で用いることが前提とな
る。
【0024】図4(b)に示した構造を有した液晶フィ
ルタの場合でも、ファブリペローエタロン内に封入する
液晶については、螺旋ピッチの温度依存性の補償は必要
である。この問題は、前述のように数種類の温度係数の
異なる液晶材料を混合することで実現できる。
【0025】
【実施例】図1に本発明の第1の実施例を示す。 101は
螺旋構造を有した液晶であり、コレステリック液晶を用
いた。 102はガラス基板、 103は誘電対ミラー、 104は
透明電極、 105は液晶配向膜である。液晶配向膜105 の
配向処理方向は、両ガラス基板102 でお互いに平行にな
るようにする。また、液晶分子のガラス基板界面での配
向状態は、ホモジニアス配向となるようにした。液晶セ
ルの厚さは、球状、あるいは円柱状のスペーサ 108で保
った。 107は液晶を封じるエポキシ系の接着剤である。
ガラス基板 102には、入射光の反射による損失を低減す
るためARコート 106を設けた。また、液晶の螺旋ピッ
チを変調可能なように交流電圧源 110を設けた。 111は
配線コードであり、 109は誘電性接着剤である。
【0026】131は温度制御装置であり、フィルタ全体
を覆うケース132 と、ケース132 内に充填された屈折率
整合オイル133 と、オイル133 の温度を検知する温度セ
ンサ134 と、ケース内を加温する発熱体135 と、ケース
内を冷却する冷却装置136 と、装置を制御する制御回路
137 と、入射及び出射光を透過する窓132 とから構成さ
れる。この温度制御装置131 により、液晶101 の平均屈
折率を変化させ、液晶ファブリペローエタロンの透過波
長を変化させる。
【0027】121は入射光であり、平行光ビームであ
る。入力が光ファイバである場合は、その光ファイバに
コリメータレンズを設置することで、平行光ビームを生
成することができる。 122は液晶フィルタからの透過光
である。この透過光を光ファイバに導くためには、前記
同様、光ファイバにコリメータレンズを取り付けること
で達成できる。
【0028】また、実施例1の構造の波長可変液晶フィ
ルタに、複数の光ビームを同時に透過させ、並列化する
ことは容易に実現できる。
【0029】図2に本発明の第2の実施例を示す。液晶
フィルタの構造は、図1に示した構造とほぼ同一である
が、片側のガラス基板に液晶の温度を上昇させる薄膜ヒ
ータ139を設置したことが異なっている。薄膜ヒータ 13
9に電流を流すことにより、液晶の温度を局部的に変え
ることができ、液晶フィルタの透過中心波長の異なる領
域を空間的に細分化できる。薄膜ヒータ139 の電極構造
例を図3(a)(b)に示す。 139は薄膜ヒータ、 104
は透明電極パタン、T1,T2 は端子である。入射光は、不
透明である薄膜ヒータ139 のない部分を透過するが、そ
の部分の温度分布がなるべく均一となるよう薄膜ヒータ
139 を設置した。本実施例でも、温度制御装置131 は存
在するが、その動作は主に冷却動作となる。
【0030】また、実施例2の構造の波長可変液晶フィ
ルタにおいて、同一液晶フィルタ基板内に、独立の薄膜
ヒータを複数個設けることにより、透過中心波長が独立
な波長可変フィルタをアレイ化でき、複数の光ビームの
波長を同時に、且つ、独立に選択することは容易に実現
可能である。
【0031】前記実施例において、図に向って下方の配
向膜 105は液晶分子をガラス基板に対してホモジニアス
配向させる配向膜とし、上方の配向膜 105は液晶分子を
ガラス基板に対してホメオトロピック配向させる配向膜
とすることもできる。このような構造の場合、液晶分子
の配向は図4(b)に示したような構造となり、液晶の
印加電界により液晶媒質の光学ギャップを変化できる。
この構造の場合でも、液晶の温度安定化のため温度制御
装置 131が必要である。
【0032】またこの実施例の構造の波長可変液晶フィ
ルタにおいて、同一液晶フィルタ基板内に、独立の透明
電極を複数個設けることにより、透過中心波長が独立な
波長可変フィルタをアレイ化でき、複数の光ビームの波
長を同時に且つ独立に選択することは容易に実現可能で
ある。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ファブリペローエタロン内に螺旋構造を有した液晶を封
入することによって、偏波無依存の波長可変フィルタを
付加的な光学部品無しに構成した。これにより、従来、
偏波依存性の問題があった液晶光フィルタの偏波依存性
を解決し、その用途を大幅に拡大でき、また偏波無依存
の波長可変液晶フィルタを大幅に小型化することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す図
【図2】本発明の第2の実施例を示す図
【図3】本発明の第2の実施例の薄膜ヒータと透明電極
形状を示す図
【図4】本発明の動作を説明する図
【図5】本発明の動作を説明するもう一つの図
【図6】従来の偏波依存性の少ない波長可変液晶フィル
タの構成図
【図7】従来の偏波依存性の少ない波長可変液晶光フィ
ルタの構成図
【符号の説明】
101…液晶、102…ガラス基板、103…ミラー、
104…透明電極、105…配向膜、106…ARコー
ト膜、107…シール接着剤、108…スペーサ、10
9…導電性接着剤、110…交流電圧源、111…配線
コード、121…入射光、122…出射光、131…温
度制御装置、139…薄膜ヒータ。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体ミラーと透明電極と液晶配向膜を
    設けた2枚のガラス基板を、一定間隔を設けて対向させ
    たファブリペローエタロン中に、液晶を封入した液晶フ
    ァブリペローエタロンにおいて、 上記液晶は、液晶分子軸がガラス基板と平行な螺旋構造
    を有したものであることを特徴とする波長可変液晶光フ
    ィルタ。
  2. 【請求項2】 誘電体ミラーと透明電極と液晶配向膜を
    設けた2枚のガラス基板を、一定間隔を設けて対向させ
    たファブリペローエタロン中に、液晶を封入した液晶フ
    ァブリペローエタロンにおいて、 一方のガラス基板には、液晶分子軸が基板に対して平行
    に配向するように基板を配向処理した配向膜と透明電極
    とを設け、 他方のガラス基板には、液晶分子軸がガラス基板に対し
    て垂直に配向するよう配向処理した配向膜と透明電極と
    を設け、 前記両ガラス基板の透明電極間に電圧を印加する手段を
    具備することを特徴とする請求項1記載の波長可変液晶
    フィルタ。
  3. 【請求項3】 液晶の温度制御手段を具備し、ファブリ
    ペローエタロン内に封入された液晶の温度を変化させ、
    その平均屈折率を変化させることにより、液晶ファブリ
    ペローエタロンの透過波長を変化させることを特徴とす
    る請求項1または2記載の波長可変液晶光フィルタ。
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