JPH06148154A - 超音波探触子 - Google Patents

超音波探触子

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JPH06148154A
JPH06148154A JP5102907A JP10290793A JPH06148154A JP H06148154 A JPH06148154 A JP H06148154A JP 5102907 A JP5102907 A JP 5102907A JP 10290793 A JP10290793 A JP 10290793A JP H06148154 A JPH06148154 A JP H06148154A
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JP
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wave
ultrasonic
piezoelectric element
divided
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JP5102907A
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Hiroshi Yamamoto
弘 山本
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高S/N比での超音波の受信を可能にするこ
とにより被検体の物性測定精度の向上を図る。 【構成】 音響レンズ20の上端面20aにPZTなど
電気機械結合係数の大きい圧電材料からなる送信用圧電
素子22を設け、音響レンズ20の下端にある凹部20
bにPVDFなど電圧出力係数の大きい圧電材料からな
る受信用圧電素子26を設けた。大出力の超音波を高感
度で受信することにより、受信信号のS/N比を向上さ
せることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超音波顕微鏡などにお
いて被検体の物性解析、探傷等に用いられる超音波探触
子に関する。
【0002】
【従来の技術】図6は、超音波顕微鏡に用いられる従来
の超音波探触子の一例を示す断面図である。図6におい
て1は超音波振動子であり、この超音波振動子1は、P
ZTなどの圧電セラミックスあるいは圧電半導体からな
る平板状の圧電素子2と、この圧電素子2の上下面にそ
れぞれ形成された上部電極3および下部電極4とを備え
ている。5はサファイヤなどからなる円筒状の音響レン
ズであり、この音響レンズ5の上端には平坦面5aが形
成されて超音波振動子1が設けられ、またその下端には
凹部(集束部)5bが形成されている。
【0003】図6に示す超音波探触子において、不図示
のリード線を介して上部電極3、下部電極4に電圧を供
給すると、圧電素子2が励振されてこの圧電素子2で超
音波が発生する。発生した超音波は音響レンズ5内を伝
播してその下端に設けられた凹部5bで集束され、超音
波伝播媒質(水)6を介して被検体7に向けて照射され
る。試料表面で反射、散乱を受けた超音波は、上述と逆
の経路をたどって圧電素子2に至り、この圧電素子2で
電気信号に変換されて受信される。
【0004】圧電素子2で受信される反射超音波には、
音響レンズ5の中心近傍の被検体7表面から直接反射さ
れてくる直接反射波(図中にAで示す)と、レーリー角
θ1で被検体7表面に入射して同様にレーリー角θ1で被
検体7表面から出射されるレーリー波(漏洩弾性表面
波、図中にBで示す)とがあり、これら2つの波が干渉
したものが反射超音波信号として圧電素子2で受信され
る。
【0005】図7は、被検体と音響レンズ5との間の距
離Zを横軸に、超音波探触子からの出力電圧Vを縦軸に
とったときのこれら距離および出力電圧の関係を表す曲
線(V(z)曲線と呼ばれる)を示す図である。探触子か
らの出力電圧Vはレーリー波と直接反射波とが干渉した
結果であり、V(z)曲線は、図7に示すように被検体の
レーリー波速度に関連する一定の周期を持つ(図中にΔ
Rで示す)。したがって、このV(z)曲線を測定する
ことにより被検体のレーリー波速度を求めることができ
る。レーリー波速度CRは、超音波伝播媒体(水)6の
音速をCw、超音波の周波数をfとすると、次式で与え
られる。
【数1】
【0006】一方、図8は、超音波顕微鏡に用いられる
従来の超音波探触子の他の例を示す断面図である。図8
において、8は図6に示すものと同様の音響レンズであ
り、その下端に形成された凹部8bには、この凹部8b
に沿った形状に形成された超音波振動子9が設けられて
いる。この超音波振動子9は、図6のものと同様に、P
VDF(ポリ弗化ビニリデン)などの高分子圧電体から
なる圧電素子10と、上部および下部電極11、12と
を備えている。超音波振動子9は、複数個(図示例では
3個)の分割振動子9a、9b、9cに分割され、これ
ら分割振動子9a〜9cは、音響レンズ8の軸線Xを中
心として同心円状に配置されている。
【0007】図8に示す超音波探触子において、最外周
の分割振動子9aおよび最内周の分割振動子9cの圧電
素子10a、10cを励振して被検体7に向けて超音波
を照射し、かつ、これら分割振動子9a、9cの圧電素
子10a、10cによってレーリー波、直接反射波をそ
れぞれ受信すれば(図中にA、Bでそれぞれ示す)、図
6の探触子と同様にV(z)曲線を得ることができ、(1)
式に基づいてレーリー波速度CRを求めることができ
る。
【0008】また、中間の分割振動子9bおよび最内周
の分割振動子9cの圧電素子10b、10cを励振して
被検体7に向けて超音波を照射すると、上述の直接反射
波と、縦波の臨界角θ2で被検体7表面に入射して同様
に縦波の臨界角θ2で被検体7表面から出射される擬似
縦波(図中にCで示す)とを圧電素子10b、10cに
より受信することができる。したがって、圧電素子10
b、10cを用いてV(z)曲線と類似の曲線を得ること
ができ、その周期をΔzLとすれば、次式に基づいて擬
似縦波CLの速度を求めることができる。
【数2】
【0009】なお、これらレーリー波の速度CRと擬似
縦波の速度CLとの間には、次のような関係式が成立す
る。
【数3】
【数4】 ただし、Eは被検体7のヤング率、ρは被検体7の密
度、νは被検体7のポアソン比である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】図6に示す超音波探触
子の圧電素子2に用いられている圧電セラミックス、圧
電半導体は、この圧電素子2に印加された電圧に対する
超音波の出力の割合を表す電気機械結合係数k33が大き
く(図9にその数値を示す)、大出力の超音波を発生す
ることができるが、比較的硬くてもろいため、音響レン
ズ5の凹部5bに合わせた形状に形成することが困難で
あり、図6に示すように音響レンズ5の上端にある平坦
面5aに形成されることが多い。
【0011】しかしながら、図6に示す従来の超音波探
触子にあっては、圧電素子2と被検体7との間での超音
波の送受信の行程中に音響レンズ5の往復行程が含まれ
るため、この音響レンズ5内を超音波が伝播する際の減
衰を無視することができない。特に、超音波が高周波に
なればなるほど音響レンズ5内での減衰が大きくなるた
め、高周波を用いた超音波探触子における受信超音波の
S/N比を十分に確保できなかった。
【0012】一方、図8に示す超音波探触子の圧電素子
10に用いられている高分子圧電体は可撓性に富むた
め、図8に示すように音響レンズ8の下端に形成された
凹部8bに沿って設けることができ、音響レンズ5内の
伝播行程を省略できて超音波の減衰を抑制することがで
きる。加えて、高分子圧電体は超音波の受信感度を表す
電圧出力係数g33が大きく(図9にその数値を示す)、
高感度の超音波探触子を実現することができる。
【0013】しかしながら、図8に示す従来の超音波探
触子にあっては、圧電素子10を構成する高分子圧電体
の電気機械結合係数k33が小さく(PZTとPVDFと
を比較すると約1/5程度)、大出力の超音波を発生す
ることができないため、この圧電素子10で受信される
超音波の強度が弱くてそのS/N比を十分に確保できな
かった。
【0014】本発明の目的は、高S/N比での超音波の
受信を可能にすることにより被検体の物性測定精度の向
上を図り得る超音波探触子を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】一実施例を示す図1およ
び図3に対応付けて説明すると、請求項1の発明は、超
音波顕微鏡などにおいて被検体の物性解析等に用いられ
る超音波探触子に適用され、そして、上述の目的は、送
信用圧電素子22と、前記送信用圧電素子22で発生し
た超音波を集束して被検体31に向けて照射する音響レ
ンズ20と、前記音響レンズ20のレンズ凹面部20b
に設けられ、前記被検体31からの反射超音波を直接受
信する受信用圧電素子26とを設けることにより達成さ
れる。請求項2の発明は、請求項1に記載の超音波探触
子において、前記送信用圧電素子22を電気機械結合係
数を重視した材質で形成し、前記受信用圧電素子26を
電圧出力係数を重視した材質で形成したようなものであ
る。また、請求項3の発明は、請求項2に記載の超音波
探触子において、前記受信用圧電素子26を複数個の分
割圧電素子26a〜26cに分割し、前記複数個の分割
圧電素子26a〜26cのそれぞれを、前記被検体31
の表面で反射された直接反射波A、前記被検体31の表
面を伝播するレーリー波B、および前記被検体31の表
面を伝播する擬似縦波Cのうちいずれか1つ受信可能と
なるように構成したものである。さらに、請求項4の発
明は、請求項3に記載の超音波探触子において、前記受
信用圧電素子を少なくとも3個の分割圧電素子26a〜
26cに分割し、前記複数個の分割素子26a〜26c
のそれぞれを、前記被検体31の表面で反射された直接
反射波が受信可能な素子群26c、前記被検体31の表
面を伝播するレーリー波が受信可能な素子群26a、お
よび前記被検体の表面を伝播する擬似縦波26bが受信
可能な素子群のいずれかの群に分類し、少なくとも前記
レーリー波が受信可能な素子群に属する前記分割素子2
6aの曲率と前記擬似縦波が受信可能な素子群に属する
前記分割素子26bの曲率とが異なるように前記レンズ
凹面部20bを形成したものである。
【0016】
【作用】−請求項1− 送信用圧電素子22で発生した超音波は、音響レンズ2
0内を伝播して被検体31に向けて送信されるが、被検
体31からの反射超音波は、音響レンズ20を介さずに
受信用圧電素子26により直接受信される。したがっ
て、被検体31との超音波送受信において超音波が音響
レンズ20内を伝播するのは送信時の片道のみとなる。 −請求項2− 電気機械結合係数を重視した材質で形成された送信用圧
電素子22は大出力の超音波を送信し、電圧出力係数を
重視した材質で形成された受信用圧電素子26は高い受
信感度で反射超音波を受信する。 −請求項4− レーリー波が受信可能な素子群に属する分割素子26a
の曲率と擬似縦波が受信可能な素子群に属する分割素子
26bの曲率とが異なるようにレンズ凹面部20bを形
成したので、これら分割素子26a、26bにより受信
されるレーリー波、擬似縦波の焦点距離がそれぞれ違っ
た値になる。
【0017】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段と作用の項では、本発明を分かり易
くするために実施例の図を用いたが、これにより本発明
が実施例に限定されるものではない。
【0018】
【実施例】−第1実施例− 図1は、本発明による超音波探触子の第1実施例を示す
断面図である。この図において、20はサファイヤ等で
形成され、上端面20aが平面に形成された円柱状の音
響レンズであり、この音響レンズ20の上端面20aに
は送信用超音波振動子21が設けられている。この送信
用超音波振動子21は、円板状の送信用圧電素子22
と、この圧電素子22を上下から挾む金属膜からなる円
板状の上部、下部電極23、24とを備える。圧電素子
22を構成する材質としては、ZnO薄膜、PZT等の
圧電セラミックス、圧電半導体といった電気機械結合係
数k33が大きいものが選択される(図9参照)。また、
各電極23、24および圧電素子22の中心は、音響レ
ンズ20の軸線Xと一致されている。
【0019】音響レンズ20の下端部(先端部)には凹
部20bが形成されており、この凹部20bの表面(下
面)は、音響レンズ20の軸線X上の一点を中心とする
球表面に形成されている。音響レンズ20の凹部20b
の下面には受信用超音波振動子25が設けられている。
この受信用超音波振動子25は複数個(図示例では3
個)の分割振動子25a、25b、25cに分割され、
これら分割振動子25a〜25cは、図2に示すよう
に、底面からみて音響レンズ20の軸線Xを中心として
同心円状に配置されている。
【0020】各分割振動子25a〜25cは、受信用圧
電素子26a〜26cと、この圧電素子26a〜26c
を上下から挾む金属膜からなる上部、下部電極27a〜
27c、28a〜28cとを備える(以下、受信用圧電
素子、上部、下部電極について一般的説明をおこなうと
きは符号26〜28を代表として用いる)。圧電素子2
6を構成する材質としては、PVDF(ポリ弗化ビニリ
デン)等の高分子圧電体といった電圧出力係数g33が大
きいものが選択される(図9参照)。
【0021】最外周に位置する分割振動子25aは、被
検体31からレーリー角θ1で出射した超音波(図中に
Bで示す)を受信できるように、その位置が調整されて
いる。同様に、中間に位置する分割振動子25bは縦波
の臨界角θ2で被検体31から出射する超音波(図中に
Cで示す)を受信できるように、最内周に位置する分割
振動子25cは被検体31からの直接反射波(図中にA
で示す)を受信できるように、その位置が調整されてい
る。
【0022】以上のような構成の超音波探触子を用いて
被検体31のレーリー波速度CRを測定するには、ま
ず、超音波伝播媒質(水)30を介して被検体31の上
方に超音波探触子を位置させ、この状態で、不図示のR
Fパルス発生手段を用いて、不図示のリード線から上
部、下部電極23、24を介して圧電素子22にRFパ
ルス状の電圧を印加する。圧電素子22は印加電圧によ
り励振され、このパルスに応じた周波数を有する超音波
を放射する。放射された超音波は音響レンズ20内を伝
播してその下端(先端)に形成された凹部(集束部)2
0bに至り、その一部は上部、下部電極27、28およ
び圧電素子26を通過した後、スネルの法則で定まる屈
折角をもって屈折して集束する。
【0023】集束された超音波の一部は被検体31の表
面で反射して直接反射波(図中にAで示す)となり、最
内周の分割振動子25cにより受信される。分割振動子
25cの圧電素子26cは、直接反射波に比例する受信
電圧信号を発生し、この受信電圧は上部・下部電極27
c、28cから不図示のリード線を介して外部に取り出
される。一方、集束された超音波の他の一部はレーリー
波として被検体31の表面を伝播してから再度被検体3
1から出射し(図中にBで示す)、最外周の分割振動子
25aにより受信される。分割振動子25aの圧電素子
26aは、レーリー波に比例する受信電圧信号を発生
し、この受信電圧は上部・下部電極27a、28aから
不図示のリード線を介して外部に取り出される。
【0024】超音波探触子から取り出された2つの受信
電圧は不図示の受信部によりその合成電圧のピーク値が
検出され、このピーク値は探触子と被検体31との間の
距離とともに不図示の記憶手段内に格納される。そし
て、探触子と被検体31との間の距離を変化させつつ各
距離において受信電圧のピーク値を測定すれば、図7に
示すようなV(z)曲線が得られる。この後は、V(z)曲
線の周期ΔzRを求め、この周期ΔzRおよび超音波伝播
媒質(水)30の音速Cwを(1)式に代入すればレーリ
ー波の速度CRを求めることができる。
【0025】一方、擬似縦波の速度CLを測定するに
は、上述と同様の行程により超音波を送信し、中間およ
び最内周の分割振動子25b、25cにより擬似縦波
(図中にCで示す)および直接反射波(図中にAで示
す)を受信し、その合成電圧のピーク値を探触子−被検
体31間の距離とともに不図示の記憶手段内に格納す
る。そして、探触子−被検体31間の距離を変化させつ
つ各距離において受信電圧のピーク値を測定すれば、図
7に示すようなV(z)曲線に類似の曲線が得られる。こ
の後は、V(z)曲線の周期ΔzLを求め、この周期ΔzL
および超音波伝播媒質(水)30の音速Cwを(1)式に
代入すれば擬似縦波の速度CLを求めることができる。
最後に、レーリー波の速度CRおよび擬似縦波の速度CL
を(2)、(3)式に代入すれば、被検体31のヤング率E
およびポアソン比νを求めることができる。
【0026】したがって、本実施例では、音響レンズ2
0の上端面20aに設けられた送信用圧電素子22で超
音波を発生し、音響レンズ20の下端凹部20bに設け
られた受信用圧電素子26で反射超音波を受信している
ので、被検体31との間の超音波送受信行程において超
音波が音響レンズ20内を伝播する行程を片道のみとす
ることができ、受信超音波の減衰を抑制することがで
き、S/N比の高い超音波受信を実現することができ
る。
【0027】特に、本実施例では、送信用圧電素子22
を電気機械結合係数k33の大きい材質で構成し、受信用
圧電素子26を電圧出力係数g33の大きい材質で構成し
ているので、送信超音波の大出力化を図りうるとともに
高感度な超音波受信を実現でき、受信超音波のS/N比
をさらに飛躍的に向上させることができる。これによ
り、被検体31のレーリー波の速度CRおよび擬似縦波
の速度CLの測定精度、ひいては被検体31のヤング率
Eおよびポアソン比νの測定精度を向上させることが可
能となる。
【0028】加えて、本実施例では、受信用圧電素子2
6を分割し、各分割圧電素子26a〜26cによりレー
リー波、擬似縦波および直接反射波を別個に受信してい
るので、各レーリー波等の受信の際に他の擬似縦波等の
干渉、影響を受けることがなく、被検体31のレーリー
波の速度CRといった被検体31の物性値の測定精度を
さらに向上させることができる。特に、擬似縦波はレー
リー波や直接反射波に比較して強度が小さいため、上述
の大出力送信、受信感度向上に加えて分割受信すること
により従来なし得なかった高S/N比での受信が可能と
なる。 −第2実施例− 図3は、本発明による超音波探触子の第2実施例を示す
断面図である。なお、以下の説明において、上述の第1
実施例と同様の構成要素については同一の符号を付し、
主に相違点のみを説明することで全体の説明を簡略化す
る。本実施例の特徴は、音響レンズ40の下端部(先端
部)に形成された凹部40bの形状にある。すなわち、
凹部40bは、軸線Xを中心とする円形領域に形成され
た凹曲面41aと、この凹曲面41aの外周に形成され
た凹曲面41bとを備え、これら2つの凹曲面41a、
41bはその曲率が異なるように形成されている。本実
施例では、凹曲面41aの曲率が凹曲面41bの曲率よ
り小さく(曲率半径では大きく)なるように設定されて
いる。したがって、図3に示すように、凹曲面41aに
より定まる音響レンズ40の焦点距離FLは、凹曲面4
1bにより定まる音響レンズ40の焦点距離FRよりも
長くなる。また、直接反射波および擬似縦波測定用の分
割振動子25b、25cは、上述の凹曲面41a上に形
成され、レーリー波測定用の分割振動子25aは凹曲面
41b上に形成されている。なお、本実施例では、図4
に示すように、中心の分割振動子25cを除く他の2つ
の分割振動子25a、25bはさらに周方向に分割され
ており、分割された周方向分割振動子42a、42bは
独立して超音波の送受信が可能にされている。これによ
り、被検体31の表面に沿った異なる方向における音速
測定ができ、音速の異方性が測定可能となる。
【0029】本実施例の超音波探触子においても、最外
周に位置する分割振動子25aは、被検体31からレー
リー角θ1で出射した超音波を受信できるように、その
位置が調整されている。同様に、中間に位置する分割振
動子25bは縦波の臨界角θ2で被検体31から出射す
る超音波を受信できるように、最内周に位置する分割振
動子25cは被検体31からの直接反射波を受信できる
ように、その位置が調整されている。また、音響レンズ
40の上端面40aに送信用超音波振動子21が設けら
れている点、送信用超音波振動子21の圧電素子22を
構成する材質に電気機械結合係数k33の大きいものが選
択されている一方、受信用超音波振動子25の圧電素子
26を構成する材質に電圧出力係数g33の大きいものが
選択されている、など他の構成については上述の第1実
施例と共通するため、その説明を省略する。
【0030】以上のような構成の超音波探触子を用いて
被検体31のレーリー波速度CRを測定するには、ま
ず、被検体31の上方に超音波探触子を位置させた状態
で、不図示のRFパルス発生手段を用いて圧電素子22
にRFパルス状の電圧を印加し、この圧電素子22を励
振して超音波を放射させる。放射された超音波は音響レ
ンズ40内を伝播してその下端(先端)に形成された凹
部(集束部)40bに至り、その一部は上部、下部電極
27、28および圧電素子26を通過した後、スネルの
法則で定まる屈折角をもって屈折して集束する。本実施
例では、凹部40bに形成された凹曲面41aと凹曲面
41bとの曲率が異なっているため、分割振動子25a
付近を通過した超音波は焦点距離FRの位置に、分割振
動子25b、25c付近を通過した超音波は焦点距離F
Lの位置に集束する。
【0031】集束された超音波の一部は被検体31の表
面で反射して直接反射波となり、最内周の分割振動子2
5cにより受信される。一方、集束された超音波の他の
一部はレーリー波として被検体31の表面を伝播してか
ら再度被検体31から出射し、最外周の分割振動子25
aにより受信される。超音波探触子の2つの分割振動子
25a、25cから取り出された2つの受信電圧は不図
示の受信部によりその合成電圧のピーク値が検出され、
このピーク値は探触子と被検体31との間の距離ととも
に不図示の記憶手段内に格納される。そして、探触子と
被検体31との間の距離を変化させつつ各距離において
受信電圧のピーク値を測定すれば、図5(a)に示すよう
なV(z)曲線が得られる。この後は、V(z)曲線の周期
ΔzRを求め、この周期ΔzRおよび超音波伝播媒質
(水)30の音速Cwを(1)式に代入すればレーリー波
の速度CRを求めることができる。
【0032】一方、擬似縦波の速度CLを測定するに
は、上述と同様の行程により超音波を送信し、中間およ
び最内周の分割振動子25b、25cにより擬似縦波お
よび直接反射波を受信し、その合成電圧のピーク値を探
触子−被検体31間の距離とともに不図示の記憶手段内
に格納する。そして、探触子−被検体31間の距離を変
化させつつ各距離において受信電圧のピーク値を測定す
れば、図5(b)に示すようなV(z)曲線に類似の曲線が
得られる。この後は、V(z)曲線の周期ΔzLを求め、
この周期ΔzLおよび超音波伝播媒質(水)30の音速
wを(1)式に代入すれば擬似縦波の速度CLを求めるこ
とができる。最後に、レーリー波の速度CRおよび擬似
縦波の速度CLを(2)、(3)式に代入すれば、被検体3
1のヤング率Eおよびポアソン比νを求めることができ
る。
【0033】したがって、本実施例も、音響レンズ40
の上端面40aに設けられた送信用圧電素子22で超音
波を発生し、音響レンズ40の下端凹部40bに設けら
れた受信用圧電素子26で反射超音波を受信しているの
で、上述の第1実施例と同様に受信超音波の減衰を抑制
することができ、S/N比の高い超音波受信を実現する
ことができる。また、送信用圧電素子22を電気機械結
合係数k33の大きい材質で構成し、受信用圧電素子26
を電圧出力係数g33の大きい材質で構成しているので、
送信超音波の大出力化および高感度な超音波受信を実現
でき、受信超音波のS/N比をさらに飛躍的に向上でき
る。さらに、各分割圧電素子26a〜26cによりレー
リー波、擬似縦波および直接反射波を別個に受信してい
るので、各レーリー波等の受信の際に他の擬似縦波等の
干渉、影響を受けることがなく、被検体31のレーリー
波の速度CRといった被検体31の物性値の測定精度を
さらに向上できる。
【0034】加えて、本実施例によれば、擬似縦波測定
用の分割振動子25bの焦点距離FLをレーリー波測定
用の分割振動子25aの焦点距離FRより長くしている
ため、被検体31の物性値の測定精度をさらに向上でき
る。すなわち、擬似縦波は縦波に近い性質を有し、横波
に近い性質を有するレーリー波と比較してその音速が速
い傾向がある(CR<CL)。音速が速ければ速いほど
【数1】あるいは
【数2】より、V(z)曲線の周期は長くなる。図5(a)
はレーリー波のV(z)曲線、同図(b)は擬似縦波のV
(z)曲線の一例であり、横軸の縮尺を考えると周期Δz
LはΔzRの5倍程度長い。したがって、分割振動子25
a、25bの焦点距離が等しい場合、同じデフォーカス
量だけ測定すると擬似縦波のほうが周期ΔzLの数が小
さくなる。逆にいえば、レーリー波と擬似縦波とで同じ
数の周期ΔzR、ΔzLを得るためには、擬似縦波測定時
にレーリー波の約5倍のデフォーカス量を確保しなけれ
ばならない。
【0035】しかしながら、焦点距離はレーリー波、擬
似縦波の臨界角θ1、θ2および音響レンズの寸法等によ
りその最適値があり、焦点距離を長くして十分なデフォ
ーカス量を得ることは必ずしも容易でない。したがっ
て、上述の第1実施例のようにレンズ凹部20bの曲率
が一様である場合、レーリー波、擬似縦波のそれぞれに
ついて納得のゆく数の周期ΔzR、ΔzLを得てさらに音
速の測定精度を向上させることは困難であった。そこ
で、本実施例では、擬似縦波測定時に焦点距離FLを長
くして十分なデフォーカス量を確保することにより、周
期ΔzLの数を多くして音速CLの測定精度をさらに向上
させている。焦点距離FRおよびFLの長さは、上述の観
点に鑑みて、周期ΔzRおよびΔzLがほぼ同数(例えば
4周期)測定可能なように定められる。
【0036】なお、本発明の超音波探触子は、その細部
が上述の各実施例に限定されず、種々の変形が可能であ
る。一例として、第1実施例、第2実施例では受信用超
音波振動子25を分割したが、これを一体に用いること
も可能である。また、各実施例ではレーリー波と擬似縦
波とを個々に測定していたが、同じデフォーカス量で分
割振動子25a、25bを切り換えればこれらレーリー
波および擬似縦波を同時に測定することができる。さら
に、上述の第2実施例において分割振動子25cに対応
する部分の凹曲面を他の凹曲面41a、41bと異なる
曲率、好ましくは曲率0にすることも可能である。
【0037】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、請求項1の
発明によれば、送信用圧電素子で発生した超音波を音響
レンズで集束して被検体に向けて照射し、この被検体か
らの反射超音波を受信用圧電素子により直接受信してい
るので、被検体との間の超音波送受信行程において超音
波が音響レンズ内を伝播する行程を片道のみとすること
ができる。これにより、受信超音波の減衰を抑制するこ
とができ、S/N比の高い超音波受信を実現することが
できる。請求項2の発明によれば、電気機械結合係数を
重視した材質で送信用圧電素子を形成し、電圧出力係数
を重視した材質で受信用圧電素子を形成しているので、
送信超音波の大出力化を図りうるとともに高感度な超音
波受信を実現でき、受信超音波のS/N比をさらに飛躍
的に向上させることができる。これにより、被検体の物
性測定精度を向上させることが可能となる。請求項3の
発明によれば、受信用圧電素子を分割し、各分割圧電素
子によりレーリー波、擬似縦波および直接反射波を別個
に受信しているので、各レーリー波等の受信の際に他の
擬似縦波等の干渉、影響を受けることがなく、被検体の
物性測定精度をさらに向上させることができる。請求項
4の発明によれば、少なくともレーリー波が受信可能な
素子群に属する分割素子の曲率と擬似縦波が受信可能な
素子群に属する分割素子の曲率とが異なるようにレンズ
凹面部を形成したので、各分割素子の焦点距離を異なら
せてそれぞれの波に応じた十分なデフォーカス量を確保
でき、被検体の物性値の測定精度をさらに向上させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例である超音波探触子を示す
断面図である。
【図2】第1実施例の超音波探触子の底面図である。
【図3】本発明の第2実施例である超音波探触子を示す
断面図である。
【図4】第2実施例の超音波探触子の底面図である。
【図5】V(z)曲線の一例を示す図である。
【図6】従来の超音波探触子の一例を示す断面図であ
る。
【図7】V(z)曲線の他の例を示す図である。
【図8】従来の超音波探触子の他の例を示す断面図であ
る。
【図9】圧電素子を構成する材質の物性値を示す図であ
る。
【符号の説明】
R、FL 焦点距離 20、40 音響レンズ 20a、40a 上端面 20b、40b 凹部 21 送信用超音波振動子 22 送信用圧電素子 25 受信用超音波振動子 26 送信用圧電素子 30 超音波伝播媒質 31 被検体 41a、41b 凹曲面

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 送信用圧電素子と、 前記送信用圧電素子で発生した超音波を集束して被検体
    に向けて照射する音響レンズと、 前記音響レンズのレンズ凹面部に設けられ、前記被検体
    からの反射超音波を直接受信する受信用圧電素子とを備
    えたことを特徴とする超音波探触子。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の超音波探触子におい
    て、 前記送信用圧電素子は電気機械結合係数を重視した材質
    で形成され、 前記受信用圧電素子は電圧出力係数を重視した材質で形
    成されていることを特徴とする超音波探触子。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の超音波探触子におい
    て、 前記受信用圧電素子は複数個の分割圧電素子に分割さ
    れ、 前記複数個の分割圧電素子のそれぞれは、前記被検体の
    表面で反射された直接反射波、前記被検体の表面を伝播
    するレーリー波、および前記被検体の表面を伝播する擬
    似縦波のうちいずれか1つが受信可能に構成されている
    ことを特徴とする超音波探触子。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の超音波探触子におい
    て、 前記受信用圧電素子は少なくとも3個の分割圧電素子に
    分割され、 前記複数個の分割素子のそれぞれは、前記被検体の表面
    で反射された直接反射波が受信可能な素子群、前記被検
    体の表面を伝播するレーリー波が受信可能な素子群、お
    よび前記被検体の表面を伝播する擬似縦波が受信可能な
    素子群のいずれかの群に分類され、 少なくとも前記レーリー波が受信可能な素子群に属する
    前記分割素子の曲率と前記擬似縦波が受信可能な素子群
    に属する前記分割素子の曲率とが異なるように前記レン
    ズ凹面部が形成されていることを特徴とする超音波探触
    子。
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