JPH0614773A - 新規なリパーゼ及びその製法 - Google Patents
新規なリパーゼ及びその製法Info
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- JPH0614773A JPH0614773A JP8282792A JP8282792A JPH0614773A JP H0614773 A JPH0614773 A JP H0614773A JP 8282792 A JP8282792 A JP 8282792A JP 8282792 A JP8282792 A JP 8282792A JP H0614773 A JPH0614773 A JP H0614773A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 リパーゼの有機溶媒に対する耐性が高く、し
かもアシルグリセロールの1位、3位に部位特異性が高
いリパーゼの提供。 【構成】 (1)次の性質を有する新規なリパーゼ。 (1) 作用:アシルグリセロールに作用し、1位及び
3位を特異的に加水分解して脂肪酸を生成する。 82) 基質特異性:トリアシルグリセロール、ジアシ
ルグリセロール及び1−モノアシグリセロールを基質と
し、1位及び3位に特異的に作用する。 (3) 至適pH:0.5〜6.5 (4) 安定pH範囲:約31,000(SDS−PA
GE法) およびフザリウム属に属し、上記新規なリパーゼ生産能
を有する菌株を栄養培地にて培養し、該培養物から新規
なリパーゼを採取することを特徴とする新規なリパーゼ
の製法。
かもアシルグリセロールの1位、3位に部位特異性が高
いリパーゼの提供。 【構成】 (1)次の性質を有する新規なリパーゼ。 (1) 作用:アシルグリセロールに作用し、1位及び
3位を特異的に加水分解して脂肪酸を生成する。 82) 基質特異性:トリアシルグリセロール、ジアシ
ルグリセロール及び1−モノアシグリセロールを基質と
し、1位及び3位に特異的に作用する。 (3) 至適pH:0.5〜6.5 (4) 安定pH範囲:約31,000(SDS−PA
GE法) およびフザリウム属に属し、上記新規なリパーゼ生産能
を有する菌株を栄養培地にて培養し、該培養物から新規
なリパーゼを採取することを特徴とする新規なリパーゼ
の製法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機溶媒耐性が高く、
かつ有機溶媒を含む水溶液中で作用性の高い性質を有す
る新規なリパーゼとその製法に関するものである。
かつ有機溶媒を含む水溶液中で作用性の高い性質を有す
る新規なリパーゼとその製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】リパーゼ(EC 3.1.1.3)は古くからその
存在が知られているにもかかわらず、基質が水に不溶性
の油脂であり、常温では固体のものもあることから、ア
ミラーゼやプロテアーゼに比べるとその利用は著しく遅
れ、消化剤やフレーバー剤の加工等に限られていた。し
かし最近になって、リパーゼを洗剤用酵素として使用し
たり、油脂の高度化加工、エステル合成や変換、さらに
は光学異性体の分割に利用しようとする研究が盛んに行
われるようになり、工業的に最も注目されている酵素の
一つとなってきた。しかし工業的利用を飛躍的に拡大さ
せるためには、耐熱、耐有機溶媒、耐酸、耐アルカリ性
のリパーゼを、また基質特異性に特徴のあるリパーゼを
より安価に供給することが必要である。従来、リパーゼ
を生産する微生物は、シュードモナス属、ムコール属、
リゾプス属、アスペルギルス属、ペニシリウム属等が知
られているが、有機溶媒耐性が十分でなく、有機溶媒中
での反応あるいは有機溶媒を含む水溶液での反応時に作
用性が低くなるため、過剰にリパーゼを添加する必要が
ある。一方、リパーゼはトリアシルグリセロールの加水
分解において、一般には、1位と3位の加水分解が速く
2位が遅い(酵素ハンドブック 初版)が、油脂の高度
化加工、エステル合成や変換及び光学異性体の分割等に
於いては、1位、3位に特異的で2位には全く作用しな
いリパーゼが望まれることがある。しかもこれらの反応
は有機溶媒中や有機溶媒を含む水溶液中で行われるもの
が多い。しかしながら、1位と3位にのみ基質特異性が
あり、2位に全く作用しないリパーゼは少なく、更に有
機溶媒の耐性が十分に高いリパーゼは報告されていな
い。
存在が知られているにもかかわらず、基質が水に不溶性
の油脂であり、常温では固体のものもあることから、ア
ミラーゼやプロテアーゼに比べるとその利用は著しく遅
れ、消化剤やフレーバー剤の加工等に限られていた。し
かし最近になって、リパーゼを洗剤用酵素として使用し
たり、油脂の高度化加工、エステル合成や変換、さらに
は光学異性体の分割に利用しようとする研究が盛んに行
われるようになり、工業的に最も注目されている酵素の
一つとなってきた。しかし工業的利用を飛躍的に拡大さ
せるためには、耐熱、耐有機溶媒、耐酸、耐アルカリ性
のリパーゼを、また基質特異性に特徴のあるリパーゼを
より安価に供給することが必要である。従来、リパーゼ
を生産する微生物は、シュードモナス属、ムコール属、
リゾプス属、アスペルギルス属、ペニシリウム属等が知
られているが、有機溶媒耐性が十分でなく、有機溶媒中
での反応あるいは有機溶媒を含む水溶液での反応時に作
用性が低くなるため、過剰にリパーゼを添加する必要が
ある。一方、リパーゼはトリアシルグリセロールの加水
分解において、一般には、1位と3位の加水分解が速く
2位が遅い(酵素ハンドブック 初版)が、油脂の高度
化加工、エステル合成や変換及び光学異性体の分割等に
於いては、1位、3位に特異的で2位には全く作用しな
いリパーゼが望まれることがある。しかもこれらの反応
は有機溶媒中や有機溶媒を含む水溶液中で行われるもの
が多い。しかしながら、1位と3位にのみ基質特異性が
あり、2位に全く作用しないリパーゼは少なく、更に有
機溶媒の耐性が十分に高いリパーゼは報告されていな
い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは上記の背
景を踏まえ、リパーゼの有機溶媒に対する耐性が高く、
望ましくはアシルグリセロールの1位および3位に特異
的に作用する特徴のあるリパーゼを見いだそうと種々試
みた。
景を踏まえ、リパーゼの有機溶媒に対する耐性が高く、
望ましくはアシルグリセロールの1位および3位に特異
的に作用する特徴のあるリパーゼを見いだそうと種々試
みた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究し
た結果、フザリウム(Fusarium)属菌株が有機溶媒耐性
が高く、しかもアシルグリセロールの1位、3位に部位
特異的に作用する特徴のある新規なリパーゼを生産する
ことを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、
本発明は50%(W/W )ジメチルスルホキシド溶液中
で、90%以上のリパーゼ活性を有する有機溶媒耐性の
高いリパーゼである。また、本発明はフザリウム属に属
する新規なリパーゼ生産能を有する菌株を栄養培地にて
培養し、該培養物から新規なリパーゼを採取することを
特徴とする新規なリパーゼの製法である。
た結果、フザリウム(Fusarium)属菌株が有機溶媒耐性
が高く、しかもアシルグリセロールの1位、3位に部位
特異的に作用する特徴のある新規なリパーゼを生産する
ことを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、
本発明は50%(W/W )ジメチルスルホキシド溶液中
で、90%以上のリパーゼ活性を有する有機溶媒耐性の
高いリパーゼである。また、本発明はフザリウム属に属
する新規なリパーゼ生産能を有する菌株を栄養培地にて
培養し、該培養物から新規なリパーゼを採取することを
特徴とする新規なリパーゼの製法である。
【0005】本発明の酵素は50% (W/W)ジメチルスル
ホキシド溶液中で、90%以上のリパーゼ活性を有する
有機溶媒耐性の高いリパーゼである。望ましくはアシル
グリセロールに作用し、1位及び3位を特異的に加水分
解する上記有機溶媒耐性の高いリパーゼである。更に望
ましくは、下記性質を有する上記有機溶媒耐性の高いリ
パーゼである。 作用:アシルグリセロールに作用し、1位及び3位
を特異的に加水分解して脂肪酸を生成する。 基質特異性:トリアシルグリセロール、ジアシルグ
リセロール及び1−モノアシルグリセロールを基質と
し、1位及び3位に特異的に作用する。 至適pH:5. 0〜6. 5 安定pH範囲:4. 0〜10. 0 分子量:約31, 000(1SDS−PAGE法)
ホキシド溶液中で、90%以上のリパーゼ活性を有する
有機溶媒耐性の高いリパーゼである。望ましくはアシル
グリセロールに作用し、1位及び3位を特異的に加水分
解する上記有機溶媒耐性の高いリパーゼである。更に望
ましくは、下記性質を有する上記有機溶媒耐性の高いリ
パーゼである。 作用:アシルグリセロールに作用し、1位及び3位
を特異的に加水分解して脂肪酸を生成する。 基質特異性:トリアシルグリセロール、ジアシルグ
リセロール及び1−モノアシルグリセロールを基質と
し、1位及び3位に特異的に作用する。 至適pH:5. 0〜6. 5 安定pH範囲:4. 0〜10. 0 分子量:約31, 000(1SDS−PAGE法)
【0006】本発明に用いる微生物は、上記性質を有す
るリパーゼを産生しうる菌株であれば、いずれの菌株で
もよく、望ましくはフザリウム属細菌であって、好適な
例としてはフザリウム・エスピー(Fusarium sp.)10
0があげられる。フザリウム・エスピー(Fusarium s
p.)100は、自然界より新たに分離した菌株であり、
その菌学的性質は下記の通りである。なお、顕微鏡にて
観察した結果は図1に示す通りであって、1は分生子、
2は菌糸を示す。 (a) 分生子:無色で側面からみるとカヌー形で、低
い方の末端に明確な基脚細胞をそなえ、数個の隔壁で分
かれている。 (b) 菌糸:綿状に広がり白色を呈している 上記菌学的性質の分類同定の基準として「イラストレイ
ティッド・ジェネラ・オブ・インパーフェクトフンジ」
第3版を参考にした。以上の文献及び菌学的性質から、
本菌はフザリウム属に属するとみなされ、本菌株をフザ
リウム・エスピー(Fusarium sp.)100と命名した。
なお本菌は、工業技術院微生物工業技術研究所に、微工
研菌寄第12810号として寄託されている。
るリパーゼを産生しうる菌株であれば、いずれの菌株で
もよく、望ましくはフザリウム属細菌であって、好適な
例としてはフザリウム・エスピー(Fusarium sp.)10
0があげられる。フザリウム・エスピー(Fusarium s
p.)100は、自然界より新たに分離した菌株であり、
その菌学的性質は下記の通りである。なお、顕微鏡にて
観察した結果は図1に示す通りであって、1は分生子、
2は菌糸を示す。 (a) 分生子:無色で側面からみるとカヌー形で、低
い方の末端に明確な基脚細胞をそなえ、数個の隔壁で分
かれている。 (b) 菌糸:綿状に広がり白色を呈している 上記菌学的性質の分類同定の基準として「イラストレイ
ティッド・ジェネラ・オブ・インパーフェクトフンジ」
第3版を参考にした。以上の文献及び菌学的性質から、
本菌はフザリウム属に属するとみなされ、本菌株をフザ
リウム・エスピー(Fusarium sp.)100と命名した。
なお本菌は、工業技術院微生物工業技術研究所に、微工
研菌寄第12810号として寄託されている。
【0007】本発明の酵素を製造するにあたっては、上
記リパーゼ生産菌を栄養培地に培養し、該培養物からリ
パーゼを採取することにより製造することができる。リ
パーゼ生産菌の培養に使用する培地としては、使用菌株
が資化し得る炭素源、窒素源、無機物、その他必要な栄
養素を適量含有するものであれば、合成培地、天然培地
いずれも使用出来る。例えば炭素源としては、グルコー
ス、グリセロール、クエン酸、リンゴ酸等が使用され
る。窒素源としては例えば、ペプトン類、コーンスチー
プリカー、酵母エキス、肉エキス等の窒素含有天然物
や、硝酸ナトリウム、塩化アンモニウム等の無機窒素含
有化合物が使用される。無機物としては、リン酸カリウ
ム、リン酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等が使用され
る。また、リパーゼの生産誘導物質として、大豆油、オ
リーブ油等の油脂を培地中に添加しておくことが望まし
い。培養は通常振とう培養あるいは通気撹拌培養で行な
う。培養温度は15〜40℃の範囲で、好ましくは20
〜30℃、培養pHは3〜10の範囲で、好ましくは
3. 5〜9に制御するのが良い。これら以外の条件下で
も使用する菌株が生育すれば実施できる。培養期間は通
常1〜10日で生育し、菌体外にリパーゼが分泌され
る。
記リパーゼ生産菌を栄養培地に培養し、該培養物からリ
パーゼを採取することにより製造することができる。リ
パーゼ生産菌の培養に使用する培地としては、使用菌株
が資化し得る炭素源、窒素源、無機物、その他必要な栄
養素を適量含有するものであれば、合成培地、天然培地
いずれも使用出来る。例えば炭素源としては、グルコー
ス、グリセロール、クエン酸、リンゴ酸等が使用され
る。窒素源としては例えば、ペプトン類、コーンスチー
プリカー、酵母エキス、肉エキス等の窒素含有天然物
や、硝酸ナトリウム、塩化アンモニウム等の無機窒素含
有化合物が使用される。無機物としては、リン酸カリウ
ム、リン酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等が使用され
る。また、リパーゼの生産誘導物質として、大豆油、オ
リーブ油等の油脂を培地中に添加しておくことが望まし
い。培養は通常振とう培養あるいは通気撹拌培養で行な
う。培養温度は15〜40℃の範囲で、好ましくは20
〜30℃、培養pHは3〜10の範囲で、好ましくは
3. 5〜9に制御するのが良い。これら以外の条件下で
も使用する菌株が生育すれば実施できる。培養期間は通
常1〜10日で生育し、菌体外にリパーゼが分泌され
る。
【0008】本発明の酵素の精製法は一般に使用される
精製法を用いれば良い。例えば、菌体分離法には、ろ
過、遠心分離、限外ろ過等いずれを用いても良い。さら
に抽出液については、硫安やぼう硝等の塩析法、塩化マ
グネシウムや塩化カルシウム等の金属凝集法、プロタミ
ンやポリエチレンイミン等の凝集法、エタノールやアセ
トン等の有機溶媒沈澱法、さらにはSP(スルホプロピ
ル)−セファデックス、DEAE(ジエチルアミノエチ
ル)−セファロース等のイオン交換クロマト法、セファ
デックスG−75等のゲルろ過法等により精製すること
ができる。また、これらの方法で得られた粗酵素液や精
製酵素液は、グリセロールや硫安等の安定化剤を添加し
液状酵素剤として、またスプレードライや凍結乾燥等の
乾燥により粉末酵素剤として、さらには適当な担体に固
定化して固定化酵素剤として使用できる。
精製法を用いれば良い。例えば、菌体分離法には、ろ
過、遠心分離、限外ろ過等いずれを用いても良い。さら
に抽出液については、硫安やぼう硝等の塩析法、塩化マ
グネシウムや塩化カルシウム等の金属凝集法、プロタミ
ンやポリエチレンイミン等の凝集法、エタノールやアセ
トン等の有機溶媒沈澱法、さらにはSP(スルホプロピ
ル)−セファデックス、DEAE(ジエチルアミノエチ
ル)−セファロース等のイオン交換クロマト法、セファ
デックスG−75等のゲルろ過法等により精製すること
ができる。また、これらの方法で得られた粗酵素液や精
製酵素液は、グリセロールや硫安等の安定化剤を添加し
液状酵素剤として、またスプレードライや凍結乾燥等の
乾燥により粉末酵素剤として、さらには適当な担体に固
定化して固定化酵素剤として使用できる。
【0009】次に、本発明の新規なリパーゼの活性測定
法を示す。反応液に50mM酢酸緩衝液(pH5. 6)
4. 5ml、オリーブ油1g、0. 1M塩化カルシウム
0. 5ml、及び酵素液1mを含む反応液を500rp
mで回転撹拌しながら30℃で60分間反応させる。反
応終了後、20mlのエタノールを加え、生成した脂肪
酸を0. 05NKOHで適定した。盲検は酵素液の代わ
りに蒸留水を加え、上記同様に操作を行う。リパーゼの
活性の表示は、上記条件下で1分間に1マイクロモルの
脂肪酸を遊離する活性を1単位(U)とする。
法を示す。反応液に50mM酢酸緩衝液(pH5. 6)
4. 5ml、オリーブ油1g、0. 1M塩化カルシウム
0. 5ml、及び酵素液1mを含む反応液を500rp
mで回転撹拌しながら30℃で60分間反応させる。反
応終了後、20mlのエタノールを加え、生成した脂肪
酸を0. 05NKOHで適定した。盲検は酵素液の代わ
りに蒸留水を加え、上記同様に操作を行う。リパーゼの
活性の表示は、上記条件下で1分間に1マイクロモルの
脂肪酸を遊離する活性を1単位(U)とする。
【0010】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に示
す。 実施例1 大豆油1%、ペプトン3%、酵母エキス1%を含む培地
100mlを500ml容坂口フラスコに移し、121
℃、15分間オートクレーブを行った。種菌として、フ
ザリウム・エスピー(Fusarium sp.)100(微工研菌寄
第12810号)の胞子懸濁液を植菌し、27℃で60
時間培養し、培養液を得た。該培養液をろ過し、得られ
た上清液を硫安分画、SP−セファデックスクロマトグ
ラフィー、セファデックスG−75ゲルろ過、等電点電
気泳動の順に分画し、比活性2006U/mgの酵素標品
を得た。得られたリパーゼは、下記の性質を有してい
た。 (1)下記の反応を触媒した。 アシルグリセロールに作用し、1位及び3位を特異的に
加水分解し、脂肪酸を生成する。 (2)基質特異性 本件発明酵素100U、トリオレイン0.2g及び50
mM酢酸緩衝液(pH5.6)4.5mlを含む反応液
を500rpmで回転攪拌しながら、30℃で60分間
反応させた後、エチルエーテル20mlを添加して反応
を停止し、反応生成物を抽出した。該抽出液をシリカゲ
ル60TLCプレートにアプライし、クロロホルム、ア
セトン、酢酸(96:4:1)の展開溶媒を用いて展開
した。該プレートに硫酸をスプレーした後、150℃で
20分間加熱し、スポットを検出した。マーカーとして
トリオレイン、1,2(2,3)ジオレイン、1,3ジ
オレイン、1(3)モノオレイン、2モノオレイン、オ
レイン酸を同時に展開した。その結果は表1に示す通
り、炭素数2〜18の脂肪酸基が結合したアシルグリセ
ロールを基質とする、特に炭素数4〜16の脂肪酸基を
有するトリアシルグリセロールに高い作用性を示す。な
お、活性値はトリオレインに対する相対活性で示した。
す。 実施例1 大豆油1%、ペプトン3%、酵母エキス1%を含む培地
100mlを500ml容坂口フラスコに移し、121
℃、15分間オートクレーブを行った。種菌として、フ
ザリウム・エスピー(Fusarium sp.)100(微工研菌寄
第12810号)の胞子懸濁液を植菌し、27℃で60
時間培養し、培養液を得た。該培養液をろ過し、得られ
た上清液を硫安分画、SP−セファデックスクロマトグ
ラフィー、セファデックスG−75ゲルろ過、等電点電
気泳動の順に分画し、比活性2006U/mgの酵素標品
を得た。得られたリパーゼは、下記の性質を有してい
た。 (1)下記の反応を触媒した。 アシルグリセロールに作用し、1位及び3位を特異的に
加水分解し、脂肪酸を生成する。 (2)基質特異性 本件発明酵素100U、トリオレイン0.2g及び50
mM酢酸緩衝液(pH5.6)4.5mlを含む反応液
を500rpmで回転攪拌しながら、30℃で60分間
反応させた後、エチルエーテル20mlを添加して反応
を停止し、反応生成物を抽出した。該抽出液をシリカゲ
ル60TLCプレートにアプライし、クロロホルム、ア
セトン、酢酸(96:4:1)の展開溶媒を用いて展開
した。該プレートに硫酸をスプレーした後、150℃で
20分間加熱し、スポットを検出した。マーカーとして
トリオレイン、1,2(2,3)ジオレイン、1,3ジ
オレイン、1(3)モノオレイン、2モノオレイン、オ
レイン酸を同時に展開した。その結果は表1に示す通
り、炭素数2〜18の脂肪酸基が結合したアシルグリセ
ロールを基質とする、特に炭素数4〜16の脂肪酸基を
有するトリアシルグリセロールに高い作用性を示す。な
お、活性値はトリオレインに対する相対活性で示した。
【0011】
【表1】
【0012】(3)至適pH ブリトンーロビンソン緩衝液(pH3.5〜9.0)中
での酵素活性を測定した。その結果は図2に示す通りで
あって、至適pHはpH5. 0〜6. 5であった。 (4)安定pH 本発明の酵素を、ブリトンーロビンソン緩衝液(pH
3. 5〜12. 0)中で40℃、4時間保存してその残
存活性を測定した。その結果は図3に示す通りであっ
て、安定pHはpH4. 0〜10. 0であった。 (5)至適温度 各温度における酵素活性を測定した。その結果は図4に
示す通りであって、至適温度は45〜50℃であった。 (6)熱安定性 本発明の酵素を、50mM酢酸緩衝液(pH5.6)中
で20分間保温した後、残存する酵素活性を測定した。
その結果は図5に示す通りであって、40℃まで安定で
あった。 (7)分子量 セファデックスG−75を用いたゲル濾過法により分析
したところ、約28,000であった。また、SDS−
PAGE法では約31, 000であった。 (8)等電点 ファーマライト(pH3〜10)を用いた等電点電気泳
動により、約7. 0であった。 (9)有機溶媒耐性 本発明の酵素を50%の各有機溶媒で30℃、20時間
保温した後、残存する酵素活性を測定した。その結果は
表2に示す通りであって、ジメチルスルホキシド、ヘキ
サン、ベンゼン、エーテル中で特に安定であった。
での酵素活性を測定した。その結果は図2に示す通りで
あって、至適pHはpH5. 0〜6. 5であった。 (4)安定pH 本発明の酵素を、ブリトンーロビンソン緩衝液(pH
3. 5〜12. 0)中で40℃、4時間保存してその残
存活性を測定した。その結果は図3に示す通りであっ
て、安定pHはpH4. 0〜10. 0であった。 (5)至適温度 各温度における酵素活性を測定した。その結果は図4に
示す通りであって、至適温度は45〜50℃であった。 (6)熱安定性 本発明の酵素を、50mM酢酸緩衝液(pH5.6)中
で20分間保温した後、残存する酵素活性を測定した。
その結果は図5に示す通りであって、40℃まで安定で
あった。 (7)分子量 セファデックスG−75を用いたゲル濾過法により分析
したところ、約28,000であった。また、SDS−
PAGE法では約31, 000であった。 (8)等電点 ファーマライト(pH3〜10)を用いた等電点電気泳
動により、約7. 0であった。 (9)有機溶媒耐性 本発明の酵素を50%の各有機溶媒で30℃、20時間
保温した後、残存する酵素活性を測定した。その結果は
表2に示す通りであって、ジメチルスルホキシド、ヘキ
サン、ベンゼン、エーテル中で特に安定であった。
【0013】
【表2】
【0014】また、10%の各有機溶媒中での酵素活性
を測定した。その結果は表3に示す通りであって、種々
の有機溶媒中で高い活性を示した。なお活性値は、有機
溶媒無添加のものに対する相対活性で示した。
を測定した。その結果は表3に示す通りであって、種々
の有機溶媒中で高い活性を示した。なお活性値は、有機
溶媒無添加のものに対する相対活性で示した。
【0015】
【表3】
【0016】さらに、本発明の酵素の50%のジメチル
スルホキシド中での酵素活性を市販のリパーゼと比較し
た。その結果は表5に示す通りであって、他の市販のリ
パーゼと比較して高い活性を示した。なお活性値は、そ
れぞれ有機溶媒無添加のものに対する相対活性で示し
た。
スルホキシド中での酵素活性を市販のリパーゼと比較し
た。その結果は表5に示す通りであって、他の市販のリ
パーゼと比較して高い活性を示した。なお活性値は、そ
れぞれ有機溶媒無添加のものに対する相対活性で示し
た。
【0017】
【表4】
【0018】
【発明の効果】本発明では、有機溶媒耐性に優れ、アシ
ルグリセロールの1位及び3位に特異に作用するリパー
ゼが得られる。
ルグリセロールの1位及び3位に特異に作用するリパー
ゼが得られる。
【図1】フザリウム・エスピー( Fusarium sp. )10
0を顕微鏡にて観察した結果を示す図である。
0を顕微鏡にて観察した結果を示す図である。
【図2】反応pHと本発明酵素の相対活性との関係を示
すグラフである。
すグラフである。
【図3】pH安定性を示すグラフである。
【図4】反応温度と本発明酵素の相対活性との関係を示
すグラフである。
すグラフである。
【図5】温度安定性を示すグラフである。
Claims (4)
- 【請求項1】 50%(W/W )ジメチルスルホキシド溶
液中で、90%以上のリパーゼ活性を有する有機溶媒耐
性の高い新規なリパーゼ。 - 【請求項2】 アシルグリセロールに作用し、1位及び
3位を特異的に加水分解する請求項1記載の新規なリパ
ーゼ。 - 【請求項3】 下記性質を有する、請求項1記載の新
規なリパーゼ。 (1) 作用:アシルグリセロールに作用し、1位及び
3位を特異的に加水分解して脂肪酸を生成する。 (2) 基質特異性:トリアシルグリセロール、ジアシ
ルグリセロール及び1−モノアシルグリセロールを基質
とし、1位及び3位に特異的に作用する。 (3) 至適pH:5. 0〜6. 5 (4) 安定pH範囲:4. 0〜10. 0 (5) 分子量:約31, 000(SDS−PAGE
法) - 【請求項4】 フザリウム属に属し、請求項1記載の新
規なリパーゼ生産能を有する菌株を栄養培地にて培養
し、該培養物から新規なリパーゼを採取することを特徴
とする新規なリパーゼの製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8282792A JPH0614773A (ja) | 1992-03-03 | 1992-03-03 | 新規なリパーゼ及びその製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8282792A JPH0614773A (ja) | 1992-03-03 | 1992-03-03 | 新規なリパーゼ及びその製法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0614773A true JPH0614773A (ja) | 1994-01-25 |
Family
ID=13785236
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8282792A Pending JPH0614773A (ja) | 1992-03-03 | 1992-03-03 | 新規なリパーゼ及びその製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0614773A (ja) |
-
1992
- 1992-03-03 JP JP8282792A patent/JPH0614773A/ja active Pending
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