JPH0614622Y2 - クッション体 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はクッション体に関する。本考案は、ベッド用マ
ットレス、チェア、自動車用ソファその他のマットレス
及びクッション等に利用される。

〔従来の技術〕

従来のマットレスにおいては、行列状に配置される複数
個のコイルスプリングの上面部及び下面部をヘリカル線
で連結して複数個のスプリングユニットを構成し、この
スプリングの上面及び下面の周辺部に外枠線が設けら
れ、この外枠線と各スプリングの上面部等とは継止部材
で固定されている。そしてこのスプリングユニットの上
に弾性体が配置されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記マットレスにおいては、ヘリカル線を巻きつける工
程が必要であり、また使用によりこのヘリカル線が抜け
出てくることもある。更に外枠線が必要でありそのため
重くなり、継止部材を１つ１つ取りつけるのでその工程
が煩雑である。またコイルスプリングを配置する場合、
そのスプリング径又は数を変えて機能的な構造体とする
ことが実質上困難であり、またスプリングユニットとそ
の上下に配置される弾性体が一体と成っていないので、
後工程でボタン掛け等が必要となる等の問題がある。

本考案は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ス
プリングが強固に接着され、構造が簡単で、製造が容易
で、ヘリカル線、外枠線及び継止部材が不要で、更に使
用時においてヘリカル線が抜け出ることがなく、ロック
状繊維状弾性体とスプリングが一体となったクッション
体を提供することを目的とする。更に、弾性力の異なっ
たスプリングを適度な位置に自由に配置できるので、硬
さの異なった部分を有するクッション体を容易に提供で
きる。

〔課題を解決するための手段〕

本第１考案のクッション体は、互いに離れて若しくは接
触して即ち非連結状に、且つ行列状に配置される複数個
のコイルスプリングと、該コイルスプリングの上面部及
び下面部の各々に配置され、且つ構成繊維が部分的に接
着固定されてなる一対のロック型繊維状弾性体と、上記
コイルスプリングの該上面部及び該下面部を被いかつ該
一対のロック型繊維状弾性体の内側表面部の繊維間に充
填され、更に多数の貫通孔をもつ発泡樹脂製接着部と、
を具備することを特徴とする。

本第２考案のクッション体は、コイルスプリングの相隣
合う上記上面部のうちの一部及び相隣合う上記下面部の
うちの一部を被いかつ上記一対のロック型繊維状弾性体
の内側表面部の繊維間に充填される樹脂製接着部を具備
することを特徴とする。この樹脂製接着部は、発泡性、
非発泡性を問わず、更には発泡性であっても独立発泡
（非通気性）、連続発泡（通気性）を問わない。

本第３考案のクッション体は、上記一対のうちの一方の
ロック型繊維状弾性体（通常、人体を配置する方のも
の）が、コイルスプリングの上面部及び下面部の一方に
配置される網入り高硬質弾性体と該高硬質弾性体上に配
置される厚肉硬質弾性体とからなるものである。この高
硬質弾性体の厚さは、特に問わないが、通常、約１〜５
mm程度である。

本第４考案のクッション体は、上記一対の繊維状弾性体
の各々の面上に一対の軟質弾性体を取付けたものであ
る。ここで、「取付け」とは、通常、接着剤による接合
であるが、これに限定されず、ボタン掛け等であっても
よい。

上記コイルスプリングの形状、大きさ、線材の太さ、使
用数、一スプリングの巻き数等は、目的、用途に応じて
種々選択される。例えば、形状として、鼓状、樽状、円
筒状等と、またそれらの混合とすることもできるし、所
望の位置に所望の特性をもつスプリングを配置すること
もできる。繊維状弾性体としては、椰子繊維、合成繊維
等の繊維を集積してゴム接着剤で部分的に固定（ロック
という）したもの等とすることができる。

発泡樹脂製接着部又は樹脂製接着部にいう「樹脂」と
は、樹脂のみならずゴムも含む。この発泡樹脂製接着部
又は樹脂製接着部は、例えば第１図に示すように一対の
弾性体のうちの内側表面部の繊維間に充填される。接着
剤としては、特に限定されず、両者を接着できるもので
あればよいが、通常、弾性に優れるポリウレタンが用い
られる。

〔実施例〕

以下、実施例により本考案を具体的に説明する。

実施例１ 本実施例では、第１図の一部説明図に示すように、縦５
００、横４５０、厚さ１５０mmの全体形状をもつクッシ
ョン体Ａを試作した。これは、スプリング１と一対の繊
維状弾性体２ａ、２ｂと発泡樹脂製接着部３とからな
る。

コイルスプリング１の数はその両端部は１列に４つ、そ
の内部の中間部は１列に５つでありほぼ行列状に各スプ
リング１の各上面部１１及び下面部１２間がやや隙間を
もつ程度に配設される。スプリング１は鼓状（５巻き、
両面部の径約６５、中央部の径約４０、線材太さ約２、
全体の高さ１４０mm）である。

繊維状弾性体（パームシート）２ａ、２ｂは、各スプリ
ング１の上面部１１及び下面部１２と各々接するように
配置されている。この弾性体２ａ、２ｂは、縦５３０、
横４８０、厚さ約５０〜６０mmであり通気性があり接着
剤でロックされた比較的厚板シート状パーム製弾性体で
ある。

発泡樹脂製接着部３は、一対の各繊維状弾性体２ａ、２
ｂの各内側表面部（厚さ約６mm）の繊維間に充填された
弾性体接着部３１と、スプリングの上面部１１及び下面
部１２を完全に被い繊維状弾性体２ａ、２ｂの表面上に
厚さ約１０mmの内側接着部３２とからなる。これは、発
泡ポリウレタンからなり、ほぼ真っ直ぐ伸びた多数の空
気導通用貫通孔（径が約５mm程度）４がほぼ平行に形成
されている。

このスプリングの両面部１１、１２が接着部３により弾
性体２ａ、２ｂに接合されている。

製造方法は以下の通りである。

先ず、第２図に示すように、所定の形状、大きさの型５
１を準備し、この型内にパームシート２ｂを配置する。
その後スプリング１をこのパームシート２ｂ上に下面部
１２を接触させるように配置する。尚、この場合、一時
的に固定できるようにこの下面部に接着剤を塗布しても
よい。接着剤としては、合成ゴムの溶液型接着剤（「３
８２Ａ」、サンスター技研（株）製）等を用いることが
できる。次いで、上記スプリングの配置前後を問わない
が、約３mmの外径をもつ棒状体又は管状体５２をパーム
シート２ｂに差込み、この棒状体５２等がパームシート
２ｂ上に突出し、少なくとも接着剤層を構成する部分に
はこの棒状体等５２が挿入される。

次いで、このパームシート２ｂ上にポリウレタンプレポ
リマー液を注入し、ある程度粘稠になって適度に落下す
る程度の粘性を持つものを所定厚さに積み上げる。暫く
するとややこの液が落下して表面位が低下するが粘稠に
なってその落下が防止され、しばらくすると発泡して硬
化し始める。

更にほぼ硬化した後この一体物を取り出し、上記型内に
上記と同じパームシート２ａを配置し、この上に上記一
体物を裏返して配置して、スプリングの上面部１１を上
記パームシート２ａ上に配置した。この後、上記と同様
にして同じポリウレタンプレポリマー液を注入して同様
にスプリングの上面部１１も硬化させて、固定し、その
後上記棒状体等を抜いて所定のクッション体Ａを製造し
た。尚、硬化を完全にするために加温してもよい。この
クッション体Ａは、スプリングと弾性シートが接着部に
より完全に一体となっており、スプリングが外れたり、
移動したりすることはなく、しかもその全体で機能し、
所定の強度、賦形性等を確保している。又、接着剤によ
り接合するのみであり、ヘリカル線、外枠線及び継止部
材も必要でないので、構造が簡単でありその製造工程も
簡便である。更に所望の位置に所望の特性を持つスプリ
ングを配置させることも容易である。

また天然素材のパームシートを用いるので、非吸水性、
透過性、濾過性に優れ、汗や湿気の良排出性、脱臭性、
振動吸収性に優れる。

実施例２ 本実施例のクッション体Ｃは、第３図及び第４図に示す
ように、コイルスプリング１の相隣合う上面部１１のう
ちの一部及び相隣合う下面部１２のうちの一部を被いか
つ該一対の繊維状弾性体２ａ、２ｂの少なくとも内側表
面部の繊維間に充填される発泡樹脂製接着部３Ｃをもつ
こと以外は、上記実施例１と同じである。

尚、この製造においては、通気孔確保のために棒状体等
を挿入する必要もなく、所定場所にポリウレタンプレポ
リマー液を注入、配置して、全体にその液が広がらずに
所定位置にて発泡硬化できるように調節すればよい。

本クッション体においては、一部であるが接着部により
完全にスプリングが固定されているので、スプリングの
固定が十分によいことに加えて、通気性及び軽量性が更
に優れる。

実施例３ 本クッション体Ｄの説明断面図を第５図に示す。これ
は、以下を除いては実施例１と実質上同じである。上面
側の繊維状弾性体は、コイルスプリング１の上面部１１
のみに配置される網５が入った高硬質弾性体２１ａと、
該高硬質弾性体２１ａ上に配置される硬質弾性体２ａと
からなる。尚、下側には網入り高硬質弾性体はなく、上
記通常の硬質弾性体のみが用いられる。

上面側の発泡樹脂製接着部３Ｄは、コイルスプリングの
該上面部１１を被いかつ網又は格子入り硬質弾性体２１
ａの繊維間及び硬質弾性体２ａの少なくとも内側表面部
の繊維間に充填され、更に多数の空気導通孔をもつ。こ
の網又は格子としては、樹脂製、金属製の有無、目の大
きさ線材の太さ等は問わない。これが樹脂製の場合は硬
質弾性体に直接、融着又は溶着により一体形成させたも
のでもよい。この線材太さは通常、約１mm、目径は約８
〜１０mm程度であり、適当な硬さをもつ。この場合は、
力の分散、へこみ防止に一層優れる。

本クッション体は、高硬質及び硬質の繊維状弾性体が接
着部により強固に接合されているので、全体が一体物と
なっており、そのため各シート間での移動、脱離がな
く、全体として所定の強度をもち、その耐久性に優れ
る。

また、第６図に示すように、接着部を除いては、上記と
同構造とし、接着部３Ｅは実施例２と同様に一部に構成
するクッション体Ｅとすることもできる。

実施例４ 本クッション体においては、第７〜１０図の説明断面図
に示すように、上記各クッション体Ａ、Ｃ、Ｄ及びの両
面上に接着剤を用いて軟質シート（軟質弾性体）６を接
合したものＡ′、Ｃ′、Ｄ′、Ｅ′である。尚、ボタン
掛けにより軟質シート６を固定することもできる。

本クッション体の製法は、上記実施例で製造され接着部
をもつ各クッション体Ａ等の両表面上に軟質シート６を
接着してもよいし、接着部を形成する前に、軟質シート
を接着、配置して、その後接着部を形成する方法でもよ
い。

本クッション体は、実施例１及び３の効果をもつ。更に
硬質層及び軟質層をもちスプリング層を含めると３層構
造をもつので、このままでマットレスとしての機能即ち
軟らかい感触で寝姿勢を正しく保ち衝撃を受け止める等
の効果をもち、ベッド用マットレスに好適である。

本考案においては、上記具体的実施例に示すものに限ら
れず、目的、用途に応じて本考案の範囲内で種々変更し
た実施例とすることができる。

即ち、コイルスプリングの形状、大きさ、太さ、数、配
置方法等は特に限定されない。形状もコイル状であれば
よく通常上面部及び下面部は円形であるが、これに限定
されず、四角状であってもよい。各スプリングの間に種
々の発泡弾性体等を配置して、弾性を調節してもよい。
更に本考案において行列状にスプリングを配置させる場
合、例えば中央部は、同一太さのスプリングのときに
は、コイル径を小さくしてより多く配置する、同一コイ
ル径のときにはその太さをより太くする、又は２重コイ
ルとする等として、中央部を硬くすることができる。

また硬質弾性体又は軟質弾性体の構成層数、その材質、
厚さ、硬さ等は、各実施例のものに限定されず、目的、
用途に応じて種々選択される。また不織布、布等からな
る最表面シート層を配置して、美観を高めることもでき
る。

第１１図に示すように、各種のクッション体（例えば
Ｄ）の周囲に、例えば発泡ウレタン等の樹脂製弾性体７
_ａ−ｃを配置したものとすることができる。本構造で
は、クッション体が周囲の各弾性体によりその形状が保
持されるので、全体形状が崩れにくい。また、第１２図
に示すように、硬さの異なるクッション体を組合せ、し
かも周辺のものＡよりもやや硬いクッション体Ｄを中央
に配置し、それらの間及び周辺部に発泡ポリウレタン製
性体７_ｄ−ｉを配置したものとすることもできる。本構
造では、クッション体の形状が保持されるとともに、中
心部が周辺部と比べて硬いのでベッド用マットレスの機
能に優れる。また目的、用途に応じて種々の構造（特
性）をもつクッション体及び弾性体の種々の組合せが自
由にでき、各機能又は要望に適したマットレスを自在に
かつ容易に製造できる。

更に、本考案において、第１３図に示すように、硬いク
ッション体８ａ〜ｄを人間の肩、腰及び太股等に、これ
よりも軟らかいクッション体９ａ〜ｃをその他に配置し
たものとすることができる。これは、人間がそのベッド
上に寝た場合それらの弾性体部分で人間を支え、背中及
び尻等が適度にへこむので人体の健康上好都合である。

また、各種のクッション体が各々遊離しないように鍵フ
ック又はマジックテープ等の継止手段により脱着可能の
ように継止させて、利用することができる。これは、種
々のクッション体を組み合わせることができるので、そ
の変化、機能を楽しむことができる。また容易に分割出
来るのでその収納も便利である。

〔考案の効果〕

本考案のクッション体は、ロック型繊維状弾性体とスプ
リングが接着部により一体となっているのでスプリング
が強固に接着され、構造が簡単で製造が容易で軽量であ
る。特に、接着部が一部に形成されるクッション体で
は、更に軽量である。また、本考案では、接着部に形成
される空気導入用貫通孔又はロック型繊維状弾性体が本
来もつ空気導通性により空気が通過するので、除湿性、
脱臭性等の点で好都合である。

本クッション体において、スプリングを取り囲むよう
に、その外周側に接合された発泡樹脂系弾性体をもつも
のは、スプリングがより一層固定され、横揺れにも強
く、その耐久性が更に優れる。

特に、硬質弾性体及び軟質弾性体が接合されたものは、
そのままマットレスとして利用でき、更に、表装体を自
由に取替可能であり、上記クッション体の自由な組合せ
ができ、その変化、機能を楽しむことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施例１に係わるクッション体の一部説明断面
図、第２図は実施例１においてクッション体を製造する
一部説明図、第３図は実施例２に係わるクッション体の
一部平面的説明図、第４図は第３図に示すクッション体
の一部説明断面図、第５図は実施例３に係わるクッショ
ン体の一部説明断面図、第６図は実施例３に係わり一部
に接着部を形成したクッション体の一部説明断面図、第
７図は実施例４に係わり第１図に示すクッション体上に
軟質弾性体を形成させたクッション体の一部説明断面
図、第８図は実施例４に係わり第３図に示すクッション
体上に軟質弾性体を形成させたクッション体の一部説明
断面図、第９図は実施例４に係わり第５図に示すクッシ
ョン体上に軟質弾性体を形成させたクッション体の一部
説明断面図、第１０図は実施例４に係わり第６図に示す
クッション体上に軟質弾性体を形成させたクッション体
の一部説明断面図、第１１図は第７図に示すクッション
体の周囲に発泡樹脂製弾性体を接着、配置したクッショ
ン体の一部断面斜視図、第１２図は３つのクッション体
を組合せその周囲に樹脂製弾性体を配列したものの全体
平面的説明図、第１３図はクッション体上に人が横臥し
た状態を示す説明図である。 １；スプリング、２；繊維状弾性体、２１ａ；網入り高
硬質弾性体、３；接着部、４；空気導通用貫通孔、５；
網、６；軟質弾性体、７、８；樹脂製弾性体。

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】互いに離れて若しくは接触して即ち非連結
   状に、且つ行列状に配置される複数個のコイルスプリン
   グと、該コイルスプリングの上面部及び下面部の各々に
   配置され、且つ構成繊維が部分的に接着固定されてなる
   一対のロック型繊維状弾性体と、上記コイルスプリング
   の該上面部及び該下面部を被いかつ該一対のロック型繊
   維状弾性体の内側表面部の繊維間に充填され、更に多数
   の空気導通用貫通孔をもつ発泡樹脂製接着部と、を具備
   することを特徴とするクッション体。
2. 【請求項２】互いに離れて若しくは接触して即ち非連結
   状に、且つ行列状に配置される複数個のコイルスプリン
   グと、該コイルスプリングの上面部及び下面部に配置さ
   れ、且つ構成繊維が部分的に接着固定されてなる一対の
   ロック型繊維状弾性体と、該コイルスプリングの相隣合
   う上記上面部のうちの一部及び相隣合う上記下面部のう
   ちの一部を被いかつ上記一対のロック型繊維状弾性体の
   内側表面部の繊維間に充填される樹脂製接着部と、を具
   備することを特徴とするクッション体。
3. 【請求項３】上記請求項第１項又は第２項記載の一対の
   ロック型繊維状弾性体のうちの一方のロック型繊維状弾
   性体は、コイルスプリングの上面部及び下面部の一方に
   配置される網入り高硬質弾性体と該高硬質弾性体上に配
   置される厚肉硬質弾性体とからなる請求項第１項又は第
   ２項記載のクッション体。
4. 【請求項４】上記請求項第１項乃至第３項記載の一対の
   ロック型繊維状弾性体の各々の面上に一対の軟質弾性体
   を取付けた請求項第１項乃至第３項記載のクッション
   体。