JPH06145330A - ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

ポリカーボネートの製造方法

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JPH06145330A
JPH06145330A JP29477592A JP29477592A JPH06145330A JP H06145330 A JPH06145330 A JP H06145330A JP 29477592 A JP29477592 A JP 29477592A JP 29477592 A JP29477592 A JP 29477592A JP H06145330 A JPH06145330 A JP H06145330A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形加工時や屋外使用時における紫外線吸収
物質の揮散が抑制され、安定した耐候性を有するポリカ
ーボネートの製造方法を開発すること。 【構成】 一般式(I) 【化1】 (式中の各記号は明細書に定義した通りである。)で表
されるベンゾトリアゾール誘導体を、原料モノマーのビ
スフェノール類に対して、0.1〜5.0重量%添加して重
合するポリカーボネートの製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリカーボネートの製造
方法に関し、詳しくは、成形加工時や屋外使用時におけ
る紫外線吸収物質の揮散が抑制され、安定した耐候性を
有し、アーケード,カーポート等の屋外使用板に好適に
用いることができるポリカーボネートの製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従
来、ポリカーボネート樹脂は、耐熱性,耐衝撃性,透明
性などに優れたエンジニアリングプラスチックとして、
例えば、光学機械部品,機械部品,電気・電子部品,自
動車部品などの用途に広く用いられているが、アーケー
ド,カーポート等用の成形板として、屋外使用する場
合、その耐候性が充分でなく、その改良が要望さてい
る。従来、ポリカーボネート樹脂の耐候性を改良する方
法としては、種々の手法が知られている。例えば、特公
昭44−28189号公報には、少量の紫外線吸収剤を
添加する方法が開示されているが、この方法において
は、成形加工時や屋外使用時に紫外線吸収剤が揮散する
といった欠点を有する。この紫外線吸収剤の揮散を防止
する方法として、紫外線吸収剤を共重合する方法が、例
えば、特開昭49−99596号公報,特開平1−20
1330号公報,特開平3−39326号公報などに開
示されている。この紫外線吸収剤を共重合する方法で
は、耐候性を付与するのに必要とされる紫外線吸収剤中
の水酸基を共重合反応に用いてしまうために、その耐候
性は同量の紫外線吸収剤を添加した場合に比べて劣ると
いう欠点があった。
【0003】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は、上
述の点に鑑み、従来法の欠点を解消し、耐候性に優れた
ポリカーボネートを効率的に製造する方法について鋭意
研究を重ねた。その結果、紫外線吸収に寄与する水酸基
が反応しにくいようにヒンダードされ、それ以外の部位
に存在する水酸基が共重合反応に関与しうる特定の紫外
線吸収物質を、ポリカーボネートを製造する際の共重合
成分として用いることによって、目的とする特性を有す
るポリカーボネートを効率的に製造できることを見出し
た。本発明はこのような知見に基づいてなされたもので
ある。すなわち、本発明は、界面重縮合法あるいはエス
テル交換法によるポリカーボネートの製造方法におい
て、一般式(I)
【0004】
【化3】
【0005】〔式中、Z1 〜Z7 はそれぞれ水素原子,
ハロゲン原子,炭素数1〜5のアルキル基,炭素数6〜
12のアリール基または水酸基を示し、Rは炭素数1〜
5のアルキル基,炭素数6〜12のアリール基,炭素数
7〜12のアラルキル基,アシル基,ベンゾトリアゾリ
ル基または一般式(II)もしくは(II')
【0006】
【化4】
【0007】(式中、Z8 〜Z12はそれぞれ水素原子,
炭素数1〜5のアルキル基,炭素数6〜12のアリール
基または水酸基を示し、Tは炭素数1〜15のアルキリ
デン基を示す。)で表される基を示す。但し、Z1 〜Z
12の内1〜3個は水酸基である。〕で表されるベンゾト
リアゾール誘導体を、原料モノマーのビスフェノール類
に対して0.1〜5.0重量%添加して重合することを特徴
とするポリカーボネートの製造方法を提供するものであ
る。
【0008】先ず、本発明の製造方法において、耐候性
を有するポリカーボネートを得るのに用いられるベンゾ
トリアゾール誘導体は、一般式(I)で表されるフェノ
ール性水酸基を有する化合物である。本発明において
は、ポリカーボネートを製造する際、このフェノール性
水酸基を有するベンゾトリアゾール誘導体を共重合の一
成分として用いることを特徴とするものである。すなわ
ち、本発明においては、フェノール性水酸基を有するベ
ンゾトリアゾール誘導体は、共重合の一成分として用い
られ、カーボネート構造単位を有する主鎖に組み込まれ
るが、一般式(I)において、Z1 〜Z12の内1〜3個
に入る水酸基の置換部位によって、末端停止剤としての
機能を果たしたり、また、カーボネート構造単位を有す
る主鎖に組み込まれ分岐剤としての機能を果たす。この
ようなベンゾトリアゾール誘導体としては、様々なもの
がある。これらの中で、一般式(I)において、Z5
7 の内1〜3個が水酸基で置換されたものとしては、
例えば、2−(3−メチル−2,4−ジヒドロキシフェ
ニル)ベンゾトリアゾール,2−(3−エチル−2,4
−ジヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール,2−
(3−アセチル−2,4−ジヒドロキシフェニル)ベン
ゾトリアゾール,2−(3−ブチル−2,5−ジヒドロ
キシフェニル)ベンゾトリアゾール,2−(3,6−ジ
ブチル−2,5−ジヒドロキシフェニル)ベンゾトリア
ゾール,2−(3−クミル−2,5−ジヒドロキシフェ
ニル)ベンゾトリアゾール,2−(3,6−ジクミル−
2,5−ジヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール,
2,4−〔ジ(2−ベンゾトリアゾール−2−イル)〕
−1,3−ジヒドロキシベンゼン,2,4−〔ジ(2−
ベンゾトリアゾール−2−イル)〕−1,3,5−トリ
ヒドロキシベンゼン,2−(3−p−ヒドロキシクミル
−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどが
挙げられる。また、一般式(I)において、ベンゾトリ
アゾールのベンゼン環に水酸基を有するものとしては、
例えば、2−(3,5−ジブチル−2−ヒドロキシフェ
ニル)−4−ヒドロキシベンゾトリアゾール,2−
(3,5−ジクミル−2−ヒドロキシフェニル)−4−
ヒドロキシベンゾトリアゾール,2−(3,5−ジブチ
ル−2−ヒドロキシフェニル)−5−ヒドロキシベンゾ
トリアゾール,2−(3,5−ジクミル−2−ヒドロキ
シフェニル)−5−ヒドロキシベンゾトリアゾールなど
が挙げられる。これらのベンゾトリアゾールは、単独で
用いてもよいし、また複数を組み合わせて用いてもよ
い。
【0009】次に、本発明において、ポリカーボネート
の製造に用いられるビスフェノール類としては、一般式
(III)
【0010】
【化5】
【0011】(式中、Zは単結合,−O−,−SO
2 −,−S−,−SO−,−CO−,炭素数1〜10の
アルキレン基,炭素数2〜10のアルキリデン基,炭素
数5〜15のシクロアルキレン基,炭素数5〜15のシ
クロアルキリデン基、または式
【0012】
【化6】
【0013】で表される基を示し、XおよびYはそれぞ
れ独立に水素原子,ハロゲン原子または炭素数1〜8の
アルキル基を示す。また、mおよびnはそれぞれ0〜4
の整数である。)で表される二価フェノールが用いられ
る。このような二価フェノールとしては、具体的には、
例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;1,
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフ
ェノールA);2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
オクタン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメ
タン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェ
ニル)プロパン;1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−
ブチルフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロ
キシ−3−ブロモフェニル)プロパン;2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパ
ン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニ
ル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5
−ジクロロフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパンなどの
ビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン;1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−ト
リメチルシクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリー
ル)シクロアルカン類;4,4−ジヒドロキシジフェニ
ルエーテル;4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメ
チルフェニルエーテルなどのジヒドロキシアリールエー
テル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィ
ド;4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフ
ェニルスルフィドなどのジヒドロキシジアリールスルフ
ィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシ
ド;4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフ
ェニルスルホキシドなどのジヒドロキシアリールスルホ
キシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ン;4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフ
ェニルスルホンなどのジヒドロキシジアリールスルホン
類などが挙げられる。これらのなかで、特に2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称:ビスフ
ェノールA)が好適である。これらのビスフェノール類
は一種用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いて
もよい。また、トリスヒドロキシフェニルエタンなどの
分岐剤を併用してもよい。さらに、末端フェノール性ポ
リジメチルシロキサンを共重合してもよい。本発明のポ
リカーボネートの製造方法においては、ホスゲン又はホ
スゲン誘導体を用いる界面重縮合法およびジフェニルカ
ーボネートのようなカーボネート前駆体を用いるエステ
ル交換法のいずれも用いることができる。
【0014】該ホスゲンまたはホスゲン誘導体として
は、ホスゲンをはじめトリホスゲン,ブロモホスゲン,
ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)カーボネー
ト,ビス(2,4−ジクロロフェニル)カーボネート,
ビス(2−シアノフェニル)カーボネート,クロロギ酸
トリクロロメチルなどが挙げられる。また、エステル交
換法において用いられるカーボネート前駆体としては、
ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート、
ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネート等のジア
ルキルカーボネートが挙げられる。
【0015】本発明の方法においては、前記したように
界面重縮合法およびエステル交換法のいずれの方法も用
いることができるが、一般的には界面重縮合法が用いら
れる。この界面重縮合法としては、例えば、 ビスフェノール類および一般式(I)で表されるベ
ンゾトリアゾール誘導体を含有するアルカリ水溶液およ
び不活性有機溶剤の共存下に、ホスゲンまたはホスゲン
誘導体を反応させてポリカーボネートを製造する方法、 一般式(I)で表されるベンゾトリアゾール誘導体
を含有するアルカリ水溶液および不活性有機溶剤の共存
下に、ホスゲンまたはホスゲン誘導体を反応させて、ベ
ンゾトリアゾール誘導体のオリゴマーを形成し、該オリ
ゴマーおよびビスフェノール類を反応させてポリカーボ
ネートを製造する方法、 ビスフェノール類から形成されるポリカーボネート
オリゴマーと一般式(I)で表されるベンゾトリアゾー
ル誘導体とを、アルカリ水溶液および不活性有機溶剤の
共存下で反応させてポリカーボネートを製造する方法、 ビスフェノール類から形成されるポリカーボネート
オリゴマーと一般式(I)で表されるベンゾトリアゾー
ル誘導体とをアルカリ水溶液および不活性有機溶剤の共
存下で反応させたのち、さらにビスフェノール類を反応
させてポリカーボネートを製造する方法、などが挙げら
れる。
【0016】次に、上記手法のなかで、代表的な一例で
あるの界面重縮合法による製造方法について説明す
る。先ず、原料のビスフェノール類を含有するアルカリ
水溶液を調製し、これに不活性有機溶剤を加え、攪拌し
ながらビスフェノール類を含有するアルカリ水溶液と不
活性有機溶剤との共存下にホスゲンまたはホスゲン誘導
体を反応させポリカーボネートオリゴマーを形成させ
る。この際、アルカリ水溶液としては、通常その濃度が
1〜15重量%のものが好ましく用いられる。また、ア
ルカリ水溶液中のビスフェノール類の含有量は、通常0.
5〜20重量%の範囲で選ばれる。さらに、不活性有機
溶剤の使用量は、有機相と水相の容量比が5/1〜1/
7、好ましくは2/1〜1/4となるように選定するの
が望ましい。そして、反応温度は通常冷却温度程度でよ
く、また、反応時間は通常15分〜4時間、好ましくは
30分〜2時間程度である。さらに、オリゴマーの重合
度は20以下、好ましくは2〜10の範囲である。反応
後、静置または遠心分離などの操作によって水相とポリ
カーボネートオリゴマーの有機相に分離する。
【0017】次いで、前記のようにして得られたポリカ
ーボネートオリゴマーを界面重縮合法によって、一般式
(I)で表されるベンゾトリアゾール誘導体を共重合成
分として反応させる。すなわち、ポリカーボネートオリ
ゴマーと不活性有機溶剤とを含有する有機相には、所望
により不活性有機溶剤をさらに添加する。ここで、有機
相と水相との容量比は、通常7/1〜2/1、好ましく
は4/1〜1/1の範囲で選ばれる。このポリカーボネ
ートオリゴマーは、ベンゾトリアゾール誘導体を含有す
るアルカリ水溶液と不活性有機溶剤との共存下で反応さ
せる。さらに、追加のビスフェノール類を加えて反応を
完結させることによって所望のポリカーボネートを得る
ことができる。該ベンゾトリアゾール誘導体を含有する
アルカリ水溶液におけるアルカリ濃度は1〜15重量%
の範囲が好ましく、またベンゾトリアゾール誘導体の含
有率は、通常0.5〜20重量%の範囲で選ばれる。また
は、該ベンゾトリアゾール誘導体を塩化メチレン等の不
活性有機溶剤に溶解して添加することもできる。
【0018】本発明において、このベンゾトリアゾール
誘導体は、原料モノマーのビスフェノール類に対して、
0.1〜5.0重量%、好ましくは0.2〜4.5重量%の範囲
で添加される。また、アルカリ/オリゴマーのクロロホ
ーメート基のモル比は、好ましくは1.0〜2.0、より好
ましくは1.2〜1.7の範囲である。そして、ポリカーボ
ネートオリゴマーとベンゾトリアゾール誘導体およびビ
スフェノール類との反応温度は、通常冷却温度程度でよ
く、反応時間は通常15分〜4時間、好ましくは30分
〜3時間程度である。上記界面重縮合反応においては、
所望に応じ、該ベンゾトリアゾール誘導体以外の末端停
止剤や触媒を用いることができる。該末端停止剤は、上
記各反応のいずれの段階に添加してもよく、その使用量
は、末端停止剤/オリゴマーのクロロホーメート基モル
比が、通常0.02〜0.20、好ましくは0.04〜0.17
になるように選ばれる。一方、触媒の使用量は、触媒/
オリゴマーのクロロホーメート基モル比が、通常1.0×
10-3〜10.0×10-3、好ましくは1.0×10-3〜5.
0×10-3になるように選ばれる。
【0019】上記末端停止剤としては、各種のものを用
いることができる。具体的には、一価フェノールとし
て、例えば、フェノール,p−クレゾール,p−t−ブ
チルフェノール,p−t−オクチルフェノール,p−ク
ミルフェノール,p−ブロモフェノール,トリブロモフ
ェノール,トリクロロフェノール,ペンタブロモフェノ
ール,ノニルフェノールなどが挙げられる。これらの中
では、特にp−t−ブチルフ,ノールが好適である。ま
た、触媒も各種のものを用いることができる。具体的に
は、四級アンモニウム塩,四級ホスホニウム塩あるいは
三級アミンなどで、例えば、四級アンモニウム塩として
は、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド,トリ
エチルベンジルアンモニウムクロライド,トリブチルベ
ンジルアンモニウムクロライド,トリオクチルメチルア
ンモニウムクロライド,テトラブチルアンモニウムクロ
ライド,テトラブチルアンモニウムブロマイドなどが挙
げられる。また、四級ホスホニウム塩としては、例え
ば、テトラブチルホスホニウムクロライド,テトラブチ
ルホスホニウムブロマイドなどが、そして、三級アミン
としては、例えば、トリエチルアミン,トリブチルアミ
ン,N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン,ピリジ
ン,ジメチルアニリン,ジメチルアミノピリジンなどが
挙げられる。これらの中では、特にトリエチルアミンが
好適である。
【0020】そして、上記界面重縮合反応におけるアル
カリ水溶液の調製に用いられるアルカリとしては、例え
ば、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化リチウ
ム,水酸化セシウムなどが挙げられる。これらの中で
は、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムが好適である。
また、不活性有機溶剤としては、各種のものがある。例
えば、ジクロロメタン(塩化メチレン);クロロホル
ム;1,1−ジクロロエタン;1,2−ジクロロエタ
ン;1,1,1−トリクロロエタン;1,1,2−トリ
クロロエタン;1,1,1,2−テトラクロロエタン;
1,1,2,2−テトラクロロエタン;ペンタクロロエ
タン,クロロベンゼンなどの塩素化炭化水素や、アセト
フェノンなどが挙げられる。これらの有機溶剤はそれぞ
れ単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用い
てもよい。これらの中では、特に塩化メチレンが好適で
ある。
【0021】このように形成されたポリカーボネート
は、公知の方法により反応終了液から回収することがで
きる。すなわち、反応終了液を有機相と水相とに分離
後、該有機相をアルカリ液,塩酸,水などで順次洗浄し
たのち、適当な手段により不活性有機溶剤を除去してポ
リマー粉末を得、次いで充分に乾燥することにより、所
望のポリカーボネートが得られる。このような本発明の
製造方法によると、一般式(IV)
【0022】
【化7】
【0023】(式中、X,Y,Z,mおよびnは前記と
同じである。)で表されるカーボネート構造単位を有す
る主鎖に、前記の一般式(I)で表されるベンゾトリア
ゾール誘導体に由来する骨格を導入することができ、耐
候性に優れたポリカーボネートを得ることができる。本
発明の製造方法によって得られるポリカーボネートは、
その粘度平均分子量は、10,000〜50,000、好ま
しくは、13,000〜50,000である。粘度平均分子
量が、10,000未満では、耐衝撃性などの機械的強度
が低下する。また、50,000を超えると、流動性が低
下し、成形性が悪くなり好ましくない。そして、一般式
(I)で表されるベンゾトリアゾール誘導体は、ビスフ
ェノール類に対して、0.1〜5.0重量%の割合で用いら
れるが、この使用量が0.1重量%未満では、所望の充分
な耐候性が得られない。また、5.0重量%を超えると、
耐衝撃性などの機械的強度が低下するので好ましくな
い。
【0024】本発明の方法により得られたポリカーボネ
ートには、所望に応じ、熱安定剤や、ヒンダードフェノ
ール系,亜リン酸エステル系,アミン系等の酸化防止
剤、ベンゾトリアゾール系,ベンゾフェノン系などの紫
外線吸収剤、ヒンダードアミン系などの光安定剤、脂肪
族カルボン酸エステル系,パラフィン系などの外部滑
剤、難燃剤、難燃助剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤な
どの各種添加剤、さらにガラス繊維なとの充填材や各種
ポリマーを配合してもよい。各添加成分の配合、混練は
通常用いられている方法、例えば、リボンブレンダー,
ヘンシェルミキサー,バンバリーミキサー,ドラムタン
ブラー,単軸スクリュー押出機,二軸スクリュー押出
機,コニーダ,多軸スクリュー押出機等を用いる方法に
より行うことができる。そして、混練に際しての加熱温
度は、通常250〜300℃の範囲で選ばれる。
【0025】本発明の方法により得られたポリカーボネ
ートまたは前記のようにして調製されたポリカーボネー
ト樹脂組成物は、既知の種々の成形方法、例えば、射出
成形,中空成形,押出成形,圧縮成形,カレンダー成
形,回転成形などを適用して、所望形状の成形品を得る
ことができる。このようにして得られた成形品は安定し
た耐候性を有しており、例えば、アーケード,カーポー
トなどの屋外使用板として好適に用いられる。
【0026】
【実施例】更に、本発明を合成例,実施例および比較例
により、詳しく説明する。 合成例1 3リットルの攪拌機付き容器に濃塩酸370ミリリット
ル、水400ミリリットルを入れ、ここにo−ニトロア
ニリン138g(1モル)を少量ずつ添加して0℃に冷
却した。亜硝酸ナトリウム70gを水250ミリリット
ルに溶解した亜硝酸ナトリウム水溶液を滴下した後、濾
過し、ジアゾニウム塩を含んだ濾液を得た。2−アセチ
ルレゾルシノール152g(1モル)、水酸化ナトリウ
ム40g及び炭酸ナトリウム300gを水1.5リットル
に溶解し、これを攪拌しながら上記のジアゾニウム塩の
濾液を0〜10℃で徐々に滴下した。これを濾過して、
赤褐色粒状固体としてジアゾ化合物を得た。得られたジ
アゾ化合物を2N−水酸化ナトリウム水溶液1070ミ
リリットルに溶解し、攪拌しながら亜鉛粉300gを徐
々に加えた。さらに、25重量%水酸化ナトリウム水溶
液500ミリリットルをゆっくり滴下し、6時間攪拌し
て反応を完結させた。これをエタノールでソックスレー
抽出し、エタノール/水混合溶媒で再結晶して、2−
(3−アセチル−2,4−ジヒドロキシフェニル)ベン
ゾトリアゾール(ADPB)を得た。このADPBの化
学構造式は、次の通りである。
【0027】
【化8】
【0028】合成例2 合成例1において、2−アセチルレゾルシノール152
gの代わりに、2−エチルレゾルシノール138gを用
いた以外は、合成例1と同様に実施して、2−(3−エ
チル−2,4−ジヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ
ール(EDPB)を得た。このEDPBの化学構造式
は、次の通りである。
【0029】
【化9】
【0030】合成例3 合成例1において、2−アセチルレゾルシノール152
gの代わりに、レゾルシノール110gを用い、ジアゾ
ニウム塩の濾液を速やかに加えた以外は、合成例1と同
様に実施して、2,4−〔ジ(2−ベンゾトリアゾール
−2−イル〕−1,3−ジヒドロキシベンゼン(DBD
H)を得た。このDBDHの化学構造式は、次の通りで
ある。
【0031】
【化10】
【0032】実施例1 内容積50リットルの攪拌機付き容器にビスフェノール
A(BPA)2275g(10モル)、塩化メチレン8
250ミリリットル、2.0N−水酸化ナトリウム水溶液
14リットルを入れて攪拌し、冷却しながらホスゲンを
毎分0.3モルの流量で70分間吹き込んで反応を行っ
た。その後、静置によって水相と塩化メチレン相に分離
し、ポリカーボネートオリゴマーの塩化メチレン溶液を
得た。このポリカーボネートオリゴマーの濃度は、33
0g/リットル、クロロホーメート基含有割合は0.70
規定であった。次いで、このオリゴマー溶液10リット
ルを内容積50リットルの攪拌機付き容器に仕込み、p
−ターシャリーブチルフェノール40g(0.267モ
ル)、合成例1で得られたADPB54g(0.20モ
ル)、水酸化ナトリウム140g(3.3モル)、水1.8
リットル、触媒としてトリエチルアミン6ミリリットル
を加え、400rpmで30分間攪拌した。その後、B
PA790g(3.46モル)、水酸化ナトリウム360
g(9.0モル)、水4.6リットル、塩化メチレン10リ
ットルを加え、さらに60分間攪拌した。得られた反応
生成物を静置分離しポリマーの塩化メチレン溶液を抜き
出した。この溶液を水、酸(0.1規定塩酸)、水の順に
洗浄した。その後、40℃の減圧下にて塩化メチレンを
除去し、白色の粉体(コポリマー)を得た。さらに、1
20℃で一昼夜乾燥後、押出機で溶融し、ペレットにし
た。得られたペレットのガラス転移温度(Tg)を測定
したところ、153℃であった。また、粘度平均分子量
は24,300であった。次に、このペレットを射出成形
機にて、温度300℃,射出圧力55kg/cm2 にて
射出成形し、試験片を得た。
【0033】実施例2〜3 実施例1において、ADPBの量を第1表のように変え
た以外は、実施例1と同様に実施した。 実施例4 実施例1において、ADPBの代わりにEDPBを用い
た以外は、実施例1と同様に実施した。 実施例5 実施例1において、ADPBの代わりにDBDHを用い
た以外は、実施例1と同様に実施した。
【0034】比較例1〜2 実施例1において、ADPBの量を第1表のように変え
た以外は、実施例1と同様に実施した。
【0035】比較例3 実施例1において、ADPBの代わりに2−(2−ヒド
ロキシ−5−ターシャリーオクチルフェニル)ベンゾト
リアゾール〔ケミプロ化成(株)製,ケミソーブ79〕
を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
【0036】比較例4 実施例1において、ADPBの代わりに2−〔2−ヒド
ロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロシクロヘ
キシルイミダメチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾト
リアゾール〔住友化学(株)製,スミソーブ250〕を
用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
【0037】実施例1〜5及び比較例1〜4で得られた
ペレットについて、粘度平均分子量を測定した。また、
試験片について、品質評価として、アイゾット衝撃強度
及び耐候性を測定した。その結果を第1表に示す。
【0038】
【表1】
【0039】なお、粘度平均分子量,アイゾット衝撃強
度及び耐候性の測定は、次にしたがった。 1)粘度平均分子量(Mv) ウベローデ型粘度管にて、20℃における塩化メチレン
溶液の粘度を測定し、これより極限粘度〔η〕をもとめ
た後、次式にて算出した。 〔η〕=1.23×10-5×Mv0.83 2)アイゾット衝撃強度(ノッチ付き) 試験片厚さ3.2ミリ,測定温度23℃で、JIS K−
7110に準拠して測定した。 3)耐候性 サンシャインウエザーメーターを用い、下記条件にて1
000時間照射後のイエローネスインデックス(YI
値)を測定した。 照射条件 ブラックパネル温度 63℃ 降雨サイクル 12分/60分 照射時間 1000時間
【0040】
【発明の効果】以上の如く、本発明の製造方法によって
得られるポリカーボネートは、機械的強度特性および耐
候性に優れたものである。したがって、本発明によるポ
リカーボネートは、アーケード,カーポート等の屋外使
用板の素材として幅広くかつ有効に利用される。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 界面重縮合法あるいはエステル交換法に
    よるポリカーボネートの製造方法において、一般式
    (I) 【化1】 〔式中、Z1 〜Z7 はそれぞれ水素原子,ハロゲン原
    子,炭素数1〜5のアルキル基,炭素数6〜12のアリ
    ール基または水酸基を示し、Rは炭素数1〜5のアルキ
    ル基,炭素数6〜12のアリール基,炭素数7〜12の
    アラルキル基,アシル基,ベンゾトリアゾリル基または
    一般式(II)もしくは(II') 【化2】 (式中、Z8 〜Z12はそれぞれ水素原子,炭素数1〜5
    のアルキル基,炭素数6〜12のアリール基または水酸
    基を示し、Tは炭素数1〜15のアルキリデン基を示
    す。)で表される基を示す。但し、Z1 〜Z12の内1〜
    3個は水酸基である。〕で表されるベンゾトリアゾール
    誘導体を、原料モノマーのビスフェノール類に対して0.
    1〜5.0重量%添加して重合することを特徴とするポリ
    カーボネートの製造方法。
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