JPH06145199A - Icam−1のmac−1結合部位 - Google Patents

Icam−1のmac−1結合部位

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JPH06145199A
JPH06145199A JP3312764A JP31276491A JPH06145199A JP H06145199 A JPH06145199 A JP H06145199A JP 3312764 A JP3312764 A JP 3312764A JP 31276491 A JP31276491 A JP 31276491A JP H06145199 A JPH06145199 A JP H06145199A
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icam
mac
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lfa
cells
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JP3312764A
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English (en)
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Michael S Diamond
エス ダイアモンド マイケル
Donald E Staunton
イー ストーントン ドナルド
Timothy A Springer
エイ スプリンガー ティモシー
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BLOOD RES CENTER
CENTER FOR BURATSUDO RES Inc
Immune Disease Institute Inc
Original Assignee
BLOOD RES CENTER
CENTER FOR BURATSUDO RES Inc
Immune Disease Institute Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 炎症疾患及びウイルス疾患の治療に有益な細
胞間接着分子(ICAM−1)及びそれらの官能性誘導
体を提供することにある。 【構成】 Mac−1に実質的に結合できないが、LF
A−1に実質的に結合できるICAM−1官能性誘導
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、細胞間接着分子、IC
AM−1、及び白血球接着レセプターMac−1に結合
するその能力に関する。更に、本発明は炎症を治療する
ためにICAM−1−Mac−1結合能力の使用に関す
る。本発明は一部政府の援助によりなされた。政府は本
発明に或る種の権利を有する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
I.細胞接着 免疫系は、動物を細菌、ウイルス、等の如き外来の侵入
物から保護する責任を負う。防御系の優れた総説がEise
n,H.W により示されている(Microbiology 、第3編、Ha
rper&Row 、フィラデルフィア、PA(1980)、290 〜295
頁及び381 〜418 頁を参照のこと) 。外来の侵入物に対
して動物を保護する免疫系の能力は、白血球として知ら
れる血液細胞の存在及び機能に大部分依存する。
【0003】病原菌に対する免疫系の応答に於ける主要
な出来事は、好中球を炎症部位に循環することの補強で
ある。内皮への接着は、損傷の末梢部位への溢血に前も
って必要な生理工程である。好中球の局在化は、血流及
び好中球の表面の同族タンパク質から好中球が出ること
を促進する出来事の順序と、この相互作用を調整する内
皮細胞の両方を規定することが分子レベルで調べられ
た。
【0004】動物またはヒトを保護する白血球の能力
は、細胞基質及び細胞外の基質への免疫系細胞の接着を
必要とすることがわかった。例えば、白血球は内皮細胞
に付着できることが必要であり、その結果、それらは循
環から炎症を受けている部位へ移行できる。更に、それ
らは、通常の免疫応答が起こり得るように抗原提供細胞
に付着する必要がある。また、それらは、ウイルス感染
細胞(または腫瘍細胞)の溶解が起こり得るように適当
な標的細胞に付着し得る必要がある。更に、白血球は、
微生物及び細胞のデブリを有効に食作用し浄化し得るよ
うに、種々の活性タンパク質(例えば、iC3b−補体の第
三成分の活性形態)に付着し得る必要がある。こうし
て、白血球接着は、正常に機能する宿主防御系の前もっ
て必要なものである。この防御系の抑制は移植の如き場
合に所望される。何となれば、宿主は移植組織を異物と
して認識しその組織に対して免疫応答を開始するからで
ある。それ故、白血球接着はまた移植された組織及び器
官の拒絶に関与する。こうして、白血球接着の理解は、
感染と戦う動物の能力を増大させ、または移植組織を拒
絶する動物の能力を抑制することを可能にし得る。
【0005】白血球接着を媒介するのに関与する白血球
表面分子は、ハイブリドーマ技術を使用して同定され
た。簡単に言えば、ヒトT細胞に対して送られるモノク
ローナル抗体(Davignon,D. ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA78:4535-4539(1981)) 及びマウス脾臓細胞に対して送
られるモノクローナル抗体(Springer,T.ら、Eur.J.Immu
nol.9:301-306(1976))が同定され、これらは白血球表面
に結合し上記の付着に関連する機能を抑制した(Springe
r,T.ら、Fed.Proc.44:2660-2663(1985))。これらの抗体
により認識された分子は、接着レセプター分子の“リン
パ球機能に関連する抗原−1系統群”(即ち、“LFA
−1系統群”)として知られている白血球接着レセプタ
ーの組を含む。
【0006】接着レセプター分子のLFA−1系統群は
三種の高度に関連する細胞表面糖タンパク質:“LFA
−1”(CD11a/CD18) 、“Mac−1”(CD11b/CD18)
、及び"p150,95" (CD11c/CD18) を含む。これらの糖
タンパク質は、タンパク質の系統群の員である白血球イ
ンテグリンであり、これらは免疫系の接着機能に重要で
ある(Springerら、Ann.Rev.Immunol.,5:223-252,(198
7))。
【0007】LFA−1は殆どの白血球の表面に見られ
る(Springer,T.A.ら、Immunol.Rev.68:111-135(1982))
が、Mac−1及びp150,95 は主にマクロファージ、顆
粒球及びその他の大きな顆粒リンパ球に見られる(Sprin
ger,T.A.ら、Immunol.Rev.68:111-135(1982);Keizer,G.
ら、Eur.J.Immunol.15:1142-1147(1985)) 。接着レセプ
タータンパク質のLFA−1系統群は、特異なα鎖と非
共有結合で混在する共通のβ鎖を有するヘテロダイマー
である。その系統群のα−サブユニットは互いに異なっ
ていることがわかり、夫々CD11a 、CD11b 、及びCD11c
と称される。グリコシル化されたα−サブユニットは、
夫々ほぼ175kd 、160kd 、及び150kd の分子量を有す
る。対照的に、接着レセプターのLFA−1系統群のβ
−サブユニット(“CD18" と称される) は同一であり、
95kdの分子量を有することがわかった(Sanchez-Madrid,
F.ら、J.Exper.Med.158:1785-1803(1983);Keizer,G.D.
ら、Eur.J.Immunol.15:1142-1147(1985);Springer,T.、
Fed.Proc.44:2660-2663(1985) ;Sanchez-Madrid,F.ら、
J.Exper.Med.158:586-602(1983))。
【0008】糖タンパク質のα−サブユニットはβ−サ
ブユニットにより共有される広範な相同性を示さない
が、精密分析はそれらの間にかなりの類似性があること
を明らかにした。接着分子糖タンパク質系統群のα−サ
ブユニット及びβ−サブユニットの間の類似性の総説が
Sanchez-Madrid,F. らにより示されている(J.Exper.Me
d.158:586-602(1983);J.Exper.Med.158:1785-1803(198
3);Miller,L.J.ら、J.Immunol.138:2381-2383(1987))。
【0009】レセプターのLFA−1系統群の重要性
は、接着依存性の白血球機能を抑制するモノクローナル
抗体(これらは特定のα−サブユニットまたは共通のβ
−サブユニットに結合できる)の能力を示す研究で最初
に認識された(Sanchez-Madrid,F. ら、Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA79:7489-7493(1982);Beller,D.I.ら、J.Expe
r.Med.156:1000-1009(1982))。
【0010】白血球インテグリンの重要性は、臨床上の
症候群である“白血球接着欠乏" 症候群("LAD”)の
発見により確認され、それは共通のβ(CD18) 鎖の先天
性の欠乏または不在を特徴とし、減少されたpus 形成、
異常な創傷治癒、及び発熱性の感染に対する重大な感受
性を与える(Anderson,D.C. ら、Fed.Proc.44:2671-267
7(1985);Anderson,D.C. ら、J.Inf.Dis.152:668-689(19
85);Anderson,D.C. ら、Ann.Rev.Med.38:175-194(198
7);Amaout,M.A.ら、J.Clin.Invest.74:1291-1300(198
4)) だけでなく、試験管内の接着依存性の白血球機能の
異常を与える(Anderson,D.C. ら、Ann.Rev.Med.38:175
-194(1987);Todd,R.F.ら、Hem.Onc.ClinicsN.A.2:13-31
(1988)) 。
【0011】LAD患者からの白血球は、正常な個人の
白血球がLFA−1系統群の員に特異的な抗体により拮
抗作用を受けた場合に観察された欠損と同様であった試
験管内の欠損を示す。LAD患者は、正常な免疫応答を
取り得ないことがわかった。この欠乏は、LAD患者の
白血球が細胞基質及び細胞外の基質に接着し得ないこと
のためであることがわかった(Anderson,D.C. ら、Fed.
Proc.44:2671-2677(1985);Anderson,D.C. ら、J.Inf.Di
s.152:668-689(1985))。これらの研究は、白血球がそれ
らの細胞表面の機能性接着分子の欠如のために正常な方
法で接着し得ない場合に炎症反応が軽減されることを示
す。
【0012】 II. LFA−1系統群の白血球接着タンパク質の性質 三種の白血球接着タンパク質、Mac−1、p150,95 及
びLFA−1は、機能及び白血球のサブ集団(subpopula
tion) に関する発現を異にする。Mac−1及びp150,9
5 は好中球、及び単球に関して発現される(Springer,T.
A.ら、Biochemistry of Macrophages(CIBA Symposium 1
18);Pitman, ロンドン、102-126 頁(1986)) 。組織マク
ロファージへの血液単球の分化中に、p150,95 の発現は
大幅に増大され、Mac−1発現は減少される(Schwart
ing,R.ら、Blood 65:974-983(1985);Hogg,N.ら、Eur.J.
Immunol.16:240-248(1986)) 。また、p150,95 は或る種
の活性Tリンパ球及びBリンパ球に関して発現される
が、血液中のこれらの細胞に関して発現されない(Kali
garis-Cappio,F. ら、Blood 66:1035-1042(1985);Mille
r,L.J.ら、J.Immunol.137:2891-2900(1986);Keizer,G.
D. ら、J.Immunol.138:3130-3136(1987))。
【0013】LFA−1はマクロファージのサブセット
を除いた全ての白血球に存在する。モノクローナル抗体
阻止研究は、LFA−1がTリンパ球媒介の死滅、Tヘ
ルパーリンパ球の応答、自然死滅、及び抗体依存性の死
滅に重要であることを示した(Springer,T.A.ら、Ann.Re
v.Immunol.,5:223-252,(1987))。標的細胞への接着は、
LFA−1の抗体により阻止される工程である。機能試
験は、LFA−1が幾つかのリガンド( その一つがIC
AM−1である) と相互作用することを示唆した(Rothl
ein,R.ら、J.Immunol.137:1270-1274(1986))。
【0014】Mac−1及びp150,95 は、循環する好中
球及び単球中の細胞間の胞状区画中で発現され、これは
炎症媒介物質により細胞表面に移動される(Todd,R.F.
ら、J.Clin.Invest.74:1280-1290(1984);Springer,T.A.
ら、Biochemistry of Macrophages(CIBA Symposium 11
8);Pitman, ロンドン、102-126 頁(1986);Lainer,L.L.
ら、Eur.J.Immunol.15:713-718(1985);Yancey,K.B.ら、
J.Immunol.135:465-470(1985))。この移動は増大された
接着性と相関関係がある( Anderson,D.C. ら、Ann.Rev.
Med.38:175-194(1987)) 。Mac−1α−サブユニット
メッセージが血液単球及びPMA 誘導骨髄細胞系中で検出
されたが、Mac−1タンパク質表面発現と相関関係が
あるT系列またはB系列の細胞中で検出されなかった。
【0015】或る種の細胞毒性Tリンパ球クローンが同
様の量のp150,95 及びLFA−1を発現することがわか
った。LFA−1及びp150,95 のα−サブユニットのモ
ノクローナル抗体は、このようなCTLクローンによる
死滅を同様の程度に抑制し、それらの抑制効果の添加剤
である(Keizer,G.D. ら、J.Immunol.138:3130-3136(19
87))。更に、p150,95 α−サブユニットの抗体は内皮へ
の単球付着を抑制することが示された(Keizer,G.D.
ら、Eur.J.Immunol.17:1317-1322(1987)) 。
【0016】Mac−1またはp150,95 のモノクローナ
ル抗体は、好中球の凝集並びに内皮細胞、タンパク質被
覆表面、細菌、原生動物寄生虫、及び菌類への接着を抑
制する(Harlan,J.M.ら、Blood 66:167-178(1985);Sprin
ger,T.A.ら、Biochemistry of Macrophages(CIBA Sympo
sium 118);Pitman, ロンドン、102-126 頁(1986);Dana,
N.ら、J.Immunol.137:3259(1986);Bullock,W.D. ら、J.
Exper.Med.165:195-210(1987);Mosser,D.M. ら、J.Immu
nol.135:2785-2789(1985))。
【0017】Mac−1(CD11b/CD18)は、細胞−細胞接
着相互作用及び細胞−基質接着相互作用に於けるその役
割の他に、iC3b(Beller,D.I.ら、J.Exper.Med.156:1000
-1009(1982))、フィブリノーゲン(Altieri,D.C. ら、J.
Cell.Biol.107:1893-1900(1988);Wright,S.D. ら、Pro
c.Nat'l.Acad.Sci.(U.S.A.)85:7734-7738(1988)) 、及
び第X因子(Altieri,D.C. ら、J.Biol.Chem.863:7007-7
015(1988))を含む多重リガンドを結合することが実証さ
れた白血球接着糖タンパク質である。洗剤可溶性のMa
c−1及びp150,95 はiC3b−セファロースに結合し得る
ることが示された(Micklem,K.J.ら、Biochem.J.231:23
3-236(1985))。
【0018】Mac−1のα−サブユニットは、長い細
胞外の領域(1092 残基) 及び19のアミノ酸の細胞質テイ
ルを有する1137の残基の膜内外のタンパク質である。そ
の細胞外の領域は三つの推定の二価のカチオン結合配列
と19の潜在性のN−グリコシル化部位を含む。Mac−
1αのアミノ酸配列は、それがインテグリンスーパーフ
ァミリーの一員であることを示す。Mac−1αは白血
球接着糖タンパク質p150,95 のα−サブユニットに対し
て63%の同一性を示し、細胞外のマトリックスレセプタ
ー血小板糖タンパク質IIb/IIIaのα−サブユニット、フ
ィブロネクチンレセプター及びビトロネクチンレセプタ
ーに対して25%の同一性を示す。Mac−1α−サブユ
ニットの推定の二価のカチオン結合部位及びフランキン
グ領域は、p150,95 α−サブユニット( アミノ酸レベル
で87%の同一性) 及びインテグリンα−サブユニットの
残部(38 %) の両方に対して高度の同一性を示す。p15
0,95 α−サブユニットのようなMac−1のα−サブ
ユニットは、その他のインテグリンには存在しない細胞
外の領域中に187 のアミノ酸の領域を含む。この挿入領
域、即ち"I" 領域はバン・ウィルブランド(van Willebr
and)因子のA領域に相同性であり、このA領域は順にC3
結合タンパク質因子B及びC2の領域に相同性である。こ
れらの知見は、iC3bの潜在的な結合部位としてのMac
−1のこの領域に注意を喚起する。
【0019】Mac−1の機能上の役割は、マクロファ
ージ及び多形核白血球へのiC3b被覆赤血球のロゼット形
成(rosetting) を阻止する抗Mac−1α−サブユニッ
トモノクローナル抗体(MAb)の能力により最初に説
明され(Beller,D.I.ら、J.Exper.Med.156:1000-1009(19
82))、Mac−1が補体レセプター型3(CR3)から
区別し得ないことを実証した。続いて、炎症プロセスに
於けるMac−1の関与が、抗Mac−1α−サブユニ
ット及び抗β−サブユニット特異的MAbによる好中球
凝集及び内皮細胞への接着の抑制により明らかにされた
(Anderson,D.C.ら、J.Immunol.137:15-27(1986);Dana,
N. ら、J.Immunol.137:3259-3263(1986);Vedder,N.B.
ら、J.Clin.Invest.81:672-682(1988)) 。最近のエピト
ープ遺伝地図作製の研究は、iC3b結合に関与する部位が
好中球凝集及びタンパク質被覆プラスチックへの接着に
関与する部位と異なることを示唆した(Anderson,D.C.
ら、J.Immunol.137:15-27(1986);Dana,N. ら、J.Immuno
l.137:3259-3263(1986);Rosen,H.ら、J.Exper.Med.166:
1685-1701(1987))。それ故、Mac−1は少なくとも二
つの独立の接着に関係する機能を有する多価のレセプタ
ーであることが明らかである。
【0020】Mac−1の機能上の活性の発現は、白血
球の分化及び活性化中に調節される。骨髄球細胞系の分
化及び成熟は増大されたMac−1発現を生じ(Mille
r,L.J. ら、J.Immunol.137:2891-2900(1986))、一方、
組織マクロファージへの血液単球分化は全細胞表面のM
ac−1の量のかなりの減少により伴われる(Hogg,N.
ら、Eur.J.Immunol.16:240-248(1986)) 。循環する好中
球及び単球の表面上のMac−1の発現は炎症性刺激に
より増加調節される(upregulated) 。Mac−1は細胞
間の胞状区画中に貯蔵され、この区画は化学誘引物質に
より細胞表面に迅速に移動させられる(Todd,R.F.ら、J.
Clin.Invest.74:1280-1290(1984);Miller,L.J.ら、J.Cl
in.Invest.80:535-544(1987)) 。Mac−1の増強され
た発現は増大された接着性をもたらし得るが、細胞活性
化後の質的変化がまた調節リガンド結合に重要なことが
ある(Detmers,P.A. ら、J.Cell Biol.105:1137-1145(19
87) 。質的変化及び量的変化の両方が、炎症部位で後毛
細管内皮への白血球結合の調節に重要なことがある。
【0021】マウス及びヒトのMac−1α−サブユニ
ットのN−末端配列(Miller,L.J.ら、J.Immunol.138:23
81-2383(1987);Springer,T.A. ら、Nature314:540-542
(1985))及び短いN−末端エクソンを暗号化するマウス
ゲノムクローン(Sastre,L. ら、Proc.Natl.Acad.Sci.
(U.S.A.)83:5644-5648(1986))が報告されている。こう
して、要約すると、動物の健康及び生存力を維持する白
血球の能力は、それらがその他の細胞( 例えば、内皮細
胞) 及びタンパク質( 例えば、iC3b) に接着し得ること
を必要とする。この接着は、白血球の表面に存在する特
異的なレセプター分子を伴う接触を必要とすることがわ
かった。これらの細胞表面レセプター分子は互いに非常
に関連のあることがわかった。白血球がこれらの細胞表
面レセプター分子を欠いているヒトは、慢性感染及び断
続的な感染を示すだけでなく、その他の臨床上の症候を
示す。
【0022】白血球接着は、外来組織が同定され拒絶さ
れるプロセスに関与するので、このプロセスの理解は器
官移植、組織移植、アレルギー及び腫瘍学の分野で重要
な価値がある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明は、細胞接着分
子、ICAM−1、及び白血球細胞表面接着レセプター
分子、Mac−1に関するものであり、特に、ICAM
−1に関するMac−1結合部位の同定に関するもので
ある。この結合部位の配列及び構造の知識は、炎症の治
療にMac−1及びICAM−1の官能性誘導体を使用
することを容易にする。
【0024】ICAM−1の領域欠失突然変異体及びア
ミノ酸置換突然変異体を用いる従来の研究は、LFA−
1及びヒト・ライノウイルスの結合部位を第一のNH2-末
端Igのような領域に局在化した(Staunton,D.E.ら、Cell
61:243-254(1990)) 。また、LFA−1に密接に関連す
る白血球インテグリンMac−1がICAM−1に結合
することが示された(Smith,C.W. ら、J.Clin.Invest.8
3:2008-2017(1989)) 。
【0025】本発明は、ICAM−1に関するMac−
1結合部位の局在化に一部由来する。予期しないこと
に、明確な結合部位が第三のNH2-末端Igのような領域中
に見出され、この領域中のその二つのグリコシル化部位
はMac−1に接着するICAM−1の能力を著しく変
化させた。詳細には、本発明は、Mac−1に実質的に
結合し得ないが、LFA−1に実質的に結合し得るIC
AM−1官能性誘導体、特に可溶性の官能性誘導体に関
する。本発明は、上記のICAM−1官能性誘導体のう
ち、ICAM−1の領域1、2、3及び4を含む誘導
体、特にICAM−1の領域3中に突然変異を含むこの
ような誘導体を特別に含む。領域3中の特に好ましい突
然変異は、ICAM−1のICAM−1残基229-231 、
または254-256 中の突然変異である。
【0026】また、本発明は、LFA−1に実質的に結
合し得ないが、Mac−1に実質的に結合し得るICA
M−1官能性誘導体、特に可溶性の誘導体を提供する。
このような誘導体の中に、ICAM−1の領域1を含ま
ない誘導体、並びにICAM−1の領域1、2、3、4
及び5を含むが、ICAM−1の領域1または2中に突
然変異を含む誘導体がある。特に好ましい突然変異は、
ICAM−1の領域1の一種以上のICAM−1残基、
E34 、Q58ED 、またはQ73 中の突然変異である。領域1
を含まない好ましいICAM−1官能性誘導体の中に、
ICAM−1の領域3及び4を含む誘導体がある。
【0027】また、本発明は、Mac−1及びLFA−
1に実質的に結合し得ないが、ヒト・ライノウイルスを
実質的に結合し得るICAM−1官能性誘導体を提供す
る。また、本発明は、グリコシル化部位を含まないIC
AM−1官能性誘導体に関するものであり、その誘導体
はMac−1への増強された結合能力を有し得る。IC
AM−1のICAM−1残基N269、N240またはN358の位
置でグリコシル化部位を欠くことが、この目的に最も好
ましい。
【0028】また、本発明は、非特異的防御系の反応に
より生じる炎症を治療し得るが、特異的防御系の反応に
より生じる炎症を実質的に抑制し得ないことを特徴とす
る抗炎症薬を提供する。特に、本発明は、LFA−1に
実質的に結合し得ないが、Mac−1に実質的に結合し
得るICAM−1官能性誘導体、特に可溶性の誘導体で
ある抗炎症薬を提供する。
【0029】また、本発明は、特異的防御系の反応によ
り生じる炎症を治療し得るが、非特異的防御系の反応に
より生じる炎症を実質的に抑制し得ないことを特徴とす
る抗炎症薬を提供する。特に、本発明は、Mac−1に
実質的に結合し得ないが、LFA−1に実質的に結合し
得るICAM−1官能性誘導体、特に可溶性の誘導体で
ある抗炎症薬を提供する。
【0030】I.炎症の治療 本発明は、ICAM−1、Mac−1及びそれらの“官
能性誘導体”、並びにICAM−1に結合でき、それに
よりMac−1に結合するICAM−1の能力に影響を
及ぼす抗体(及び抗体フラグメント)に関する。本発明
の一つの特徴は、ICAM−1がMac−1に結合し得
るという発見、及びMac−1に結合する分子の能力に
責任を負うICAM−1の領域の同定に関する。これら
の発見は、Mac−1ヘテロダイマー、α−サブユニッ
トまたはβ−サブユニットに結合し得るICAM−1の
官能性誘導体の生産を可能にする。同様に、それらは、
ICAM−1に結合し得るMac−1ヘテロダイマー、
α−サブユニットまたはβ−サブユニット官能性誘導体
の生産を可能にする。
【0031】循環する好中球及び単球の接着能力は、M
ac−1レセプター分子を伴う相互作用から生じる。細
胞接着は、このような細胞が炎症の部位に移動し、且つ
/または炎症の原因となる種々のエフェクター作用を行
い得るために、必要とされるので、このような細胞接着
を抑制する薬剤は炎症を軽減し、または防止する。Ma
c−1レセプター分子は好中球及び単球細胞の表面に存
在する。プラスチック表面、または内皮細胞の単層への
これらの細胞の接着は、Mac−1レセプター分子によ
り媒介される。加えて、異物を食作用する単球の能力は
Mac−1レセプター分子により媒介されることがわか
った。また、レセプター分子は、単球のケモキネシス、
及び化学走性に役割を有するものとして関与していた。
【0032】Mac−1レセプター分子がその自然結合
リガンドに結合する能力を妨げる薬剤は、こうして、上
記のMac−1依存性の機能の全てを損なうことができ
る。それ故、これらの薬剤は本発明の抗炎症薬として利
用できる。このような薬剤は、ICAM−1、ICAM
−1の官能性誘導体、Mac−1、Mac−1の官能性
誘導体、及びICAM−1に結合し得る抗体を含む。こ
のような薬剤の全てが本発明に使用し得る。本発明の抗
炎症薬は、非特異的防御系の反応により生じる炎症を治
療できる。
【0033】本明細書に使用される“細胞接着の拮抗物
質”は、細胞−細胞接着または細胞−基質接着のプロセ
スを抑制し得るあらゆる分子を意味する。内皮細胞への
単球接着のアッセイを行うことにより特別な化合物が拮
抗物質であるか否かを調べることが可能である。細胞接
着の好適なアッセイは、例えば、Keizer,G.D. ら、Eur.
J.Immunol.17:1317-1322(1987)に開示されており、この
文献は参考として本明細書に含まれる。細胞接着の拮抗
物質は、炎症の治療に抗炎症薬として使用し得る。本明
細書に使用される“炎症”という用語は、特異的防御系
及び非特異的防御系の反応を含むことを意味する。
【0034】“非特異的防御系の反応”は、免疫記憶し
得ない白血球細胞により媒介される応答である。このよ
うな細胞は好中球及びマクロファージを含む。本明細書
に使用されるように、炎症が非特異的防御系の反応によ
り生じ、媒介され、またはそれと関連する場合に、炎症
は非特異的防御系の応答から生じると言われる。非特異
的防御系の反応から少なくとも一部生じる炎症の例は、
成人呼吸困難症候群(ARDS) 、または敗血症もしくは外
傷の二次的な多発性器官障害症候群;心筋またはその他
の組織の再環流(reperfusion) 障害;急性腎炎;反応性
関節炎;急性炎症成分による皮膚病;急性の化膿性髄膜
炎またはその他の中枢神経系炎症障害;熱傷;血液透
析;白血球搬出;潰瘍性大腸炎;クローン病;壊死性全
腸炎;果粒球輸注に関連する症候群;及びサイトカイン
誘発毒性の如き症状と関連する炎症を含む。
【0035】対照的に、“特異的防御系の反応”は、免
疫記憶を有する白血球により媒介される反応である。炎
症が特異的防御系の反応により生じ、媒介され、または
それと関連する場合に、炎症は特異的防御系の応答から
生じると言われる。特異的防御系の反応から生じる炎症
の例は、風疹ウイルスの如き抗原に対する応答、自己免
疫疾患、T細胞により媒介される遅延型過敏症応答(例
えば、マントー試験で“陽性”を示す個人に見られ
る)、等を含む。
【0036】好ましい実施態様に於いて、抗炎症薬はI
CAM−1もしくはMac−1または最も好ましくはそ
れらの可溶性部分を含む。 II. 細胞接着 A.CD11/CD18 系統群 CD11/CD18 系統群は、胚形成、細胞外基質への接着、及
び細胞分化を調節する表面レセプターの大きなインテグ
リン系統群と構造上及び遺伝上関係する(Hynes,R.O.,C
ell 48:549-554(1987);Kishimoto,T.K. ら、Adv.Immuno
l.46:149-182(1989);Kishimoto,T.K. ら、Cell 48:681-
690(1987);Ruoslahti,E.ら、Science238:491-497(198
7)) 。
【0037】この系統群の分子、及びそれらの細胞リガ
ンドは、炎症中に細胞−細胞相互作用を媒介することが
わかった。これらのタンパク質は、免疫系の接着機能(K
ishimoto,T.K. ら、Adv.Immunol.46:149-182(1989)) ;
内皮細胞への白血球接着を阻止するLFA−1のモノク
ローナル抗体(Dustin,M.L. ら、J.Cell.Biol.107:321-
331(1988);Smith,C.W.ら、J.Clin.Invest.83:2008-201
7))及び抗原特異的CTL死滅(Kishimoto,T.K. ら、Adv.Im
munol.46:149-182(1989)、T細胞増殖(Davignon,D.ら、
J.Immunol.127:590-595(1981))、及びNK細胞死滅(Kre
nsky,A.M. ら、J.Immunol.131:611-616(1983))に必要と
される複合体形成を抑制するLFA−1のモノクローナ
ル抗体;iC3b被覆粒子の結合(Beller,D.I.ら、J.Exp.Me
d.156:1000-1009(1982))、内皮細胞への骨髄細胞接着(L
o,S.K.ら、J.Immunol.143(10):3325-3329(1989);Smith,
C.W.ら、J.Clin.Invest.83:2008-2017))、好中球同型凝
集及び化学走性(Anderson,D.C.ら、J.Immunol.137:15-2
7(1986))を阻止するMac−1のモノクローナル抗体;
内皮細胞への単球接着(Anderson,D.C.ら、J.Immunol.13
7:15-27(1986);Keizer,G.D. ら、Eur.J.Immunol.17:131
7-1322(1987)) 及び標的細胞とのCTL 複合体形成(Keize
r,G.D.ら、J.Immunol.138:3130-3136(1987))を阻止する
p150,95 のモノクローナル抗体に重要であることがわか
った。
【0038】LFA−1は、未刺激内皮細胞または刺激
内皮細胞への白血球接着を媒介することがわかり(Dusti
n,M.L.ら、J.Cell.Biol.107:321-331(1988);Smith,C.W.
ら、J.Clin.Invest.83:2008-2017(1989)) 、一方、Ma
c−1は炎症内皮への好中球及び単球の接着を媒介する
ことがわかった(Luscinskas,F.W.ら、J.Immunol.142
(7):2257-2263(1989)) 。
【0039】B.ICAM−1 ICAM−1(CD54) は細胞表面接着レセプターであ
り、これは免疫グロブリンタンパク質スーパーファミリ
ーの一員であり(Rothlein,R.M.ら、J.Immunol.137:1270
-1274(1986);Staunton,D.E. ら、Cell 52:925-933(198
8))、種々の造血細胞及び非造血細胞で発現され、種々
の炎症媒介物質により増加調節される(Dustin ら、J.Im
munol.137:256-254(1986))。ICAM−1は、低いRN
Aメッセージレベルと未刺激内皮細胞での適度の表面発
現を有する90,000-110,000Mr糖タンパク質である。LPS
、IL-1、及びTNF はICAM−1のmRNA及び約18
〜24時間でピーク発現を有する表面発現を強く増加調節
する(Dustin,M.L.ら、J.Cell.Biol.107:321-331(1988);
Staunton,D.E. ら、Cell 52:925-933(1988))。ICAM
−1は五つの細胞外領域( 領域1、2、3、4、及び5
またはD1、D2、D3、D4及びD5と称される)及
び細胞内領域または細胞質領域を有する。これらの領域
の構造及び配列がStaunton,D.E. ら、Cell 52:925-933
(1988) に開示されており、この文献は参考として本明
細書に含まれる。
【0040】ICAM−1は当初LFA−1のカウンタ
ー−レセプターとして定義されていた(Springer ら、An
n.Rev.Immunol.5:223-252(1987);Marlin,S.D.,Cell 51:
813-819(1987);Simmons,D.ら、Nature331:624-627(198
8);Staunton,D.E.,Nature339:61-64(1989);Staunton,D.
E. ら、Cell 52:925-933(1988))。LFA−1−ICA
M−1相互作用は特に内皮細胞へのリンパ球接着(Dust
in,M.L. ら、J.Cell.Biol.107:321-331(1988);Mentzer,
S.J.ら、J.Cell.Physiol.126:285-290(1986)) 、単球接
着(Amaout,M.A.ら、J.Cell.Physiol.137:305(1988);Men
tzer,S.J. ら、J.Cell.Physiol.130:410-415(1987);te
Velde,A.A.ら、Immunology61:261-267(1987)) 、及び好
中球接着(Lo,S.K.ら、J.Immunol.143(10):3325-3329(19
89);Smith,C.W.ら、J.Clin.Invest.83:2008-2017(198
9)) の責任を負う。
【0041】C.細胞接着のプロセス モノクローナル抗体阻止研究は、未刺激内皮細胞及びサ
イトカイン刺激内皮細胞の両方への好中球接着に於ける
Mac−1の役割をもっともらしく実証していた(Lo,S.
K.ら、J.Exp.Med.169:1779-1793(1989);Lo,S.K. ら、J.
Immunol.143(10):3325-3329(1989);Luscinskas,F.W.
ら、J.Immunol.142(7):2257-2263(1989);Smith,C.W.
ら、J.Clin.Invest.83:2008-2017(1989)) が、内皮細胞
表面の一種以上のレセプターの同定は殆ど確かではない
ままであった。ICAM−1及びICAM−2は、Ma
c−1接着分子のために二つの候補リガンドを含んでい
た。
【0042】本発明の成果により、ICAM−1または
Mac−1が移入されたCOS細胞が精製Mac−1ま
たはICAM−1基質に結合すること、及びICAM−
1のモノクローナル抗体が内皮細胞(Smith,C.W.ら、J.
Clin.Invest.83:2008-2017(1989)) またはICAM−1
を含む平面状の膜(Smith,C.W. ら、J.Clin.Invest.83:2
008-2017(1989)) への好中球接着を抑制することを実証
することが可能になった。こうして、本発明によれば、
内皮細胞へのLFA−1依存性接着はICAM−1(Dus
tin ら、J.Cell Biol.107:321-331(1988);Smith,C.W.
ら、J.Clin.Invest.83:2008-2017(1989)) 及びICAM
−2により生じる。更に、本発明は、ICAM−1がM
ac−1のカウンター−レセプターであることを明らか
にする。
【0043】III.ICAM−1、Mac−1及びそれら
の官能性誘導体の生産 Mac−1レセプター分子のα−サブユニット及びβ−
サブユニットの核酸配列及びタンパク質配列が米国特許
出願第07/321,239号及び同第07/019,440号に夫々開示さ
れている。両出願は参考として本明細書に含まれる。I
CAM−1の核酸配列及びタンパク質配列がStaunton
ら、Cell 52:925-933(1988) に開示されている。その文
献は参考として本明細書に含まれる。これらの開示は、
ICAM−1、Mac−1及びそれらの官能性誘導体を
生産するために組換えDNA技術の使用を可能にする。
【0044】本発明の抗炎症薬及び抗ウイルス物質は、
自然法( 例えば、動物、植物、菌類、細菌、等を誘導し
てICAM−1の非免疫グロブリン拮抗物質を生産する
ことにより、または動物を誘導してICAM−1に結合
し得るポリクローナル抗体を生産することによる方法)
;合成法(例えば、ポリペプチドを合成するためのメ
リーフィールド法を使用してICAM−1、Mac−1
もしくはそのいずれかの官能性誘導体、またはICAM
−1、もしくはMac−1のタンパク質拮抗物質(免疫
グロブリンまたは非免疫グロブリン)を合成することに
よる方法);ハイブリドーマ技術(例えば、ICAM−
1に結合し得るモノクローナル抗体を生産するため);
または組換え技術(例えば、種々の宿主(例えば、酵
母、細菌、菌類、培養哺乳類細胞、等)中で、または組
換えプラスミドもしくはウイルスベクター(Kishimoto,
T.K.ら、Cell 48:681-690(1987) 、この文献は本明細書
に参考として含まれる) から本発明の抗炎症薬を生産す
るため) により得ることができる。どの方法を使用する
かの選択は、便宜、所望の収率、等の如き因子に依存す
る。特別な抗炎症薬を生産するため、上記の方法、プロ
セス、または技術の一つのみを使用することは必要とさ
れない。特別な抗炎症薬を得るため、上記のプロセス、
方法、及び技術が組み合わされてもよい。
【0045】本明細書に使用されるICAM−1の“官
能性誘導体" は、Mac−1ヘテロダイマー、またはM
ac−1ヘテロダイマーのフラグメントに結合でき、し
かもICAM−1の生物活性と実質的に同様である生物
活性( 機能上または構造上の生物活性) を更に有する化
合物である。生物活性の例は、糖タンパク質のLFA−
1系統群の一員に結合する能力、ICAM−1への抗I
CAM−1抗体の結合を競合的に抑制する能力、または
ICAM−1へのLFA−1、Mac−1もしくはp15
0,95 分子の結合を競合的に抑制する能力を含む。
【0046】Mac−1の“官能性誘導体" は、Mac
−1ヘテロダイマー、Mac−1α−サブユニット、ま
たはMac−1ヘテロダイマーのフラグメントから誘導
することができ、更にICAM−1、またはそのフラグ
メントに結合し得る化合物である。“官能性誘導体" と
いう用語は、分子の“フラグメント" 、“変異体" 、
“類縁体" 、または“化学誘導体" を含むことを意味す
る。ICAM−1またはMac−1の如き分子の“フラ
グメント" は、分子のあらゆるポリペプチドサブユニッ
トを表すことを意味する。ICAM−1活性を有し、且
つ可溶性である( 即ち、膜に結合されない) ICAM−
1のフラグメントが特に好ましい。同様に、ICAM−
1に結合し得るMac−1の可溶性のフラグメントが好
ましい。
【0047】ICAM−1またはMac−1の如き分子
の“変異体" は、その全分子、またはそのフラグメント
に構造及び機能が実質的に似ている分子を表すことを意
味する。ICAM−1またはMac−1の如き分子の
“類縁体" は、その全分子、またはそのフラグメントに
機能が実質的に似ている分子を表すことを意味する。二
つの分子が実質的に同様の構造を有する場合、または二
つの分子が同様の生物活性を有する場合に、分子は別の
分子に“実質的に似ている" と言われる。こうして、二
つの分子が同様の活性を有することを条件として、それ
らは変異体と考えられる。何となれば、一つの分子の構
造が他の分子に見られない場合、またはアミノ酸残基の
配列が同じでない場合であっても、その用語が使用され
るからである。
【0048】本明細書に使用されるように、分子が通常
その分子の一部ではない更に別の化学的部分を含む場合
に、分子は他の分子の“化学誘導体" であると言われ
る。このような部分は、分子の溶解性、吸収、生物半減
期、等を改善し得る。また、これらの部分は、その分子
の毒性を低下でき、その分子の望ましくない副作用、等
を排除または軽減し得る。このような効果を媒介し得る
部分がRemington's Pharmaceutical Science(1980)に開
示されている。“毒素誘導体化された" 分子は“化学誘
導体" の特別な類を構成する。“毒素誘導体化された"
分子は、毒素部分を含む分子( 例えば、ICAM−1ま
たはその官能性誘導体の一つ) である。細胞へのこのよ
うな分子の結合は、毒素部分を細胞に接近させ、それに
より細胞の死滅を促進する。あらゆる好適な毒素が使用
し得る。しかしながら、例えば、リシン毒素、ジフテリ
ア毒素、放射線同位元素毒素、膜−溝形成(membran-ch
annel-forming)毒素、等の如き毒素を使用することが好
ましい。このような毒素を分子にカップリングさせる操
作は当業者に公知である。
【0049】ICAM−1の“ペプチド擬態物質(pepti
domimetic)" は、三次構造がICAM−1の三次構造に
実質的に似ているICAM−1の官能性誘導体である。
同様に、Mac−1の“ペプチド擬態物質" は、三次構
造がMac−1の三次構造に実質的に似ているMac−
1の官能性誘導体である。本発明の範囲は、更に、或る
種のアミノ酸残基を含まないか、または変性されたアミ
ノ酸残基を含むICAM−1及びMac−1の官能性誘
導体が細胞接着を増進または抑制する能力を示す限り、
このような官能性誘導体を含むことが意図される。この
ような官能性誘導体は化学的手段または組換え手段によ
り生産し得る。
【0050】約100 個までの残基を有する官能性誘導体
が試験管内合成により都合よく調製し得る。所望によ
り、このようなフラグメントは、精製タンパク質または
粗タンパク質の標的アミノ酸残基を選択された側鎖また
は末端残基と反応し得る有機誘導体化剤と反応させるこ
とにより修飾し得る。得られる共有結合誘導体は、生物
活性に重要な残基を同定するのに使用し得る。最も普通
には、システイニル残基がクロロ酢酸またはクロロアセ
トアミドの如きα−ハロアセテート(及び相当するアミ
ン)と反応させられてカルボキシメチル誘導体またはカ
ルボキシアミドメチル誘導体を得る。また、システイニ
ル残基は、ブロモトリフルオロアセトン、α−ブロモ−
β−(5−イミドゾイル)プロピオン酸、クロロアセチ
ルホスフェート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ
−2−ピリジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジス
ルフィド、p−クロロマーキュリベンゾエート、2−ク
ロロマーキュリ−4−ニトロフェノール、またはクロロ
−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾール
との反応により誘導体化される。
【0051】ヒスチジル残基は、pH5.5 〜7.0 でジエチ
ルプロカーボネートとの反応により誘導体化される。何
となれば、この薬剤はヒスチジル側鎖に対して比較的特
異的であるからである。また、パラ−ブロモフェナシル
ブロミドが有効である。その反応は0.1 Mのナトリウム
カコジレート中でpH6.0 で行われることが好ましい。リ
シニル残基及びアミノ末端残基は無水コハク酸またはそ
の他の無水カルボン酸と反応させられる。これらの薬剤
による誘導体化は、リシニル残基の電荷を逆にする効果
を有する。α−アミノを含む残基を誘導体化するのに適
したその他の試薬は、メチルピコリンイミデートの如き
イミドエステル;ピリドキサルホスフェート;ピリドキ
サル;クロロボロヒドリド;トリニトロベンゼンスルホ
ン酸;O−メチルイソウレア;2,4−ペンタンジオ
ン;及びグリオキシレートとのトランスアミナーゼ触媒
による反応を含む。
【0052】アルギニル残基は、一種または数種の通常
の試薬、中でも、フェニルグリオキサル、2,3−ブタ
ンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン、及びニンヒ
ドリンとの反応により修飾される。アルギニン残基の誘
導体化は、そのグアニジン官能基の高pKa のため反応が
アルカリ条件で行われることを必要とする。更に、これ
らの試薬は、リシンの基と反応するだけでなく、アルギ
ニンε−アミノ基と反応し得る。
【0053】チロシル基それ自体の特別な修飾は広く研
究されており、芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラ
ニトロメタンとの反応によりスペクトルラベルをチロシ
ル残基に導入することが特に重要である。最も普通に
は、N−アセチルイミジゾール及びテトラニトロメタン
が夫々O−アセチルチロシル種及び3−ニトロ誘導体を
生成するのに使用される。チロシル残基は125Iまたは
131Iを使用してヨウ素化されてラジオイムノアッセイ用
のラベルされたタンパク質を調製し、クロラミンT法が
好適である。
【0054】カルボキシル側鎖基(アスパルチルまたは
グルタミル)は、カルボジイミド(R'-N-C-N-R') 、例え
ば1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−(4
−エチル)カルボジイミドまたは1−エチル−3(4ア
ゾニア4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミドとの
反応により選択的に修飾される。更に、アスパルチル残
基及びグルタミル残基はアンモニウムイオンとの反応に
よりアスパラギニル残基及びグルタミニル残基に変換さ
れる。
【0055】二官能の薬剤による誘導体化は、ICAM
−1またはMac−1の官能性誘導体融合ポリペプチド
を開裂して開裂ポリペプチドを遊離、回収する方法に使
用するために、ICAM−1またはMac−1の官能性
誘導体分子を水不溶性の担体マトリックスまたは表面に
架橋するのに有益である。普通使用される架橋剤は、例
えば、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニル
エタン、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシン
イミドエステル、例えば、4−アジドサリチル酸とのエ
ステル、ホモ二官能イミドエステル(3,3’−ジチオ
ビス(スクシンイミジルプロピオネート)の如きジスク
シンイミジルエステルを含む)、及び二官能マレイミ
ド、例えばビス−N−マレイミド−1,8−オクタンを
含む。メチル−3−[(p−アジドフェニル)ジチオ]
プロピオイミデートの如き誘導体化薬剤は、光の存在下
で架橋を形成し得る光活性化可能な中間体を生じる。ま
た、臭化シアンで活性化された炭水化物の如き反応性の
水不溶性マトリックス並びに米国特許第3,969,287 号、
同第3,691,016 号、同第4,195,128 号、同第4,247,642
号、同第4,229,537 号、及び同第4,330,440 号明細書に
記載された反応性基質がタンパク質固定化に使用され
る。
【0056】グルタミニル残基及びアスパラギニル残基
は、しばしば相当するグルタミル残基及びアスパルチル
残基に脱アミド化される。また、これらの残基は温和な
条件下で脱アミド化される。これらの残基の両形態は本
発明の範囲内にある。その他の修飾は、プロリン及びリ
シンのヒドロキシル化、セリル残基またはテオニル残基
のヒドロキシル基のホスホリル化、リシン、アルギニ
ン、及びヒスチジン側鎖のα−アミノ基のメチル化(T.
E.Creighton,Proteins:Structure and Molecule Proper
ties,W.H.Freeman &Co. 、サンフランシスコ、79-86
頁(1983))、N−末端アミンのアセチル化、及び或る場
合にはC−末端カルボキシル基のアミド化を含む。 ま
た、変更されたアミノ酸配列を有するICAM−1また
はMac−1の官能性誘導体は、ICAM−1またはM
ac−1を暗号化するDNA中の突然変異により調製し
得る。化学突然変異原または放射線突然変異原が、この
目的に使用される。化学突然変異原は、塩基類縁体(例
えば、5−ブロモウラシル、または2−アミノプリ
ン);脱アミノ剤(例えば、亜硝酸、ヒドロキシルアミ
ン、等);アルキル化剤(例えば、メチルメタンスルホ
ネート、ニトロソグアニジン、等);またはインターカ
レート剤(例えば、アクリジンオレンジ、臭化エチリジ
ウム、プソラン、等)を含む。放射線誘発突然変異は、
紫外線、γ線、X線、等の如き手段により生じることが
できる。核酸分子を突然変異させる技術は、Miller,J.
H. 著、Experiments in Molecular Biology,Cold Sprin
g Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1972)、
及びSilhavy,T.J.ら著、Experiments with Gene Fusion
s,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbo
r,NY(1984) に見られる。
【0057】このような薬剤は、ICAM−1またはM
ac−1を暗号化するDNAをランダムに突然変異させ
るのに使用し得る。その後、突然変異遺伝子はICAM
−1またはMac−1タンパク質を発現することが可能
にされ、そのタンパク質がMac−1( またはICAM
−1) に結合するその能力について測定される。Mac
−1に結合し得るICAM−1誘導体は、“官能性誘導
体" の一つの類を含む。ICAM−1に結合し得るMa
c−1誘導体は、“官能性誘導体" の第二の類を含む。
【0058】また、更に好ましくは、部位特異的突然変
異誘発が、ICAM−1またはMac−1分子を暗号化
する核酸の所望の部位で特異的な突然変異を生じるのに
使用でき、それにより官能性誘導体を暗号化するDNA
を生産でき、その後、DNAを組換え細胞培養中で発現
できる。官能性誘導体は典型的には天然産の類縁体と同
質の生物活性を示す。しかしながら、それらは通常生産
されるICAM−1またはMac−1分子に関してこの
ような特性を実質的に異にすることがある。
【0059】アミノ酸配列変化を導入するための部位は
前もって決められるが、突然変異それ自体は前もって決
められる必要がない。例えば、所定の部位に於ける突然
変異の実施を最適化するため、ランダムな突然変異誘発
を標的コドンまたは標的領域で行うことができ、発現I
CAM−1官能性誘導体または発現Mac−1官能性誘
導体が所望の活性の最適の組み合わせに関してスクリー
ニングされる。既知の配列を有するDNA中の前もって
決めた部位で置換突然変異を行う技術は公知であり、例
えば、部位特異的突然変異誘発が知られている。
【0060】本発明のICAM−1またはMac−1の
官能性誘導体分子の調製は、先に調製された官能性誘導
体またはタンパク質の非変異体変種を暗号化するDNA
の部位特異的突然変異誘発により行われることが好まし
い。部位特異的突然変異誘発は、所望の突然変異のDN
A配列を暗号化する特定のオリゴヌクレオチド配列の使
用によるだけでなく、トラバースされる欠失接合部の両
側で安定な二重らせんを形成するのに充分なサイズ及び
配列複雑さ(complexity)を有するプライマー配列を与え
るのに充分な数の隣接ヌクレオチドの使用により官能性
誘導体の生産を可能にする。
【0061】簡単に言えば、部位特異的な突然変異誘発
は、一般に所望の特定のDNA配列を有する合成オリゴ
ヌクレオチドの合成を伴う。典型的には、長さ約20〜25
個のヌクレオチドのプライマーが好ましく、その配列の
接合部の両側の約5〜10個の残基は変性されている。こ
のようなオリゴヌクレオチドの合成法は、Itakura,K.
ら、Ann.Rev.Biochem.53:323-356(1984)) 、Adelman
ら、DNA2:183(1983)) 、及びCreaら、Proc.Natl.Acad.S
ci.(USA)75:5765(1978))に開示されており、これらの開
示は参考として本明細書に含まれる。
【0062】ICAM−1、Mac−1またはこれらの
官能性誘導体を暗号化する核酸分子は、一般に二本鎖ベ
クター、例えばM13 、φX174、等にサブクローン化さ
れ、その一本鎖が互いに分離し得る(Messingら、Third
Cleveland Symposium on Macromolecules and Recombin
ant DNA 、編集者A.Walton,Elsevier 、アムステルダム
(1981)、その開示が参考として本明細書に含まれる) 。
これらのファージは市販されており、それらの使用は一
般に当業者に公知である。また、複製の一本鎖ファージ
原を含むプラスミドベクター(Veira ら、Meth.Enzymo
l.153:3(1987)) が一本鎖DNAを得るのに使用し得
る。
【0063】次いでベクターの一本鎖が合成オリゴヌク
レオチドの存在下でインキュベートされる。オリゴヌク
レオチドのDNAは調節して形成されるので、ICAM
−1またはMac−1を暗号化する核酸のいずれかの領
域と塩基対を形成し得るオリゴヌクレオチドをつくるこ
とが可能である。塩基対の形成がオリゴヌクレオチドと
一本鎖プラスミドの間で一旦起こると、DNAポリメラ
ーゼを使用してオリゴヌクレオチドを延長して二本鎖D
NA分子をつくることが可能であり、次いでこれをDN
Aリガーゼによりシールし得る。この二本鎖DNA分子
が細胞(好ましくはJM101 細胞) に導入される場合、半
保存的DNA複製は、オリゴヌクレオチドフラグメント
のDNA配列がICAM−1またはMac−1を暗号化
する配列に移入された子孫分子の生産をもたらす。
【0064】こうして、生成後に、ヘテロ二重鎖ベクタ
ーが、その後、JM101 細胞の如き適当な細胞を変換する
のに使用され、突然変異配列配置を有する組換えベクタ
ーを含むクローンが選択される。このようなクローンが
選択された後、突然変異タンパク質領域は除去され、タ
ンパク質生産に適したベクター、一般に、適当な宿主の
形質転換に使用し得る型の発現ベクターに入れることが
できる。
【0065】こうして、点突然変異、及び外来性DNA
配列を、ICAM−1またはMac−1を暗号化する配
列中の特定の部位に導入することが所望される場合、ま
たはこのような配列中に通常存在するヌクレオチドの欠
失をつくることが所望される場合、その突然変異または
配列を含んだ(または欠いた)オリゴヌクレオチドフラ
グメントが設計され、次いで上記の操作が進められる。
このような突然変異または外来性DNA配列をMac−
1サブユニットを暗号化する核酸の特別な領域に導入す
るために、突然変異誘発が所望される領域のDNA配列
に相補的であるフランキングDNA配列で突然変異また
は外来性DNA配列を包囲することが必要である(Jenk
ins,F.ら、Bioessays 5:244-247(1986);Doerfler,W.,An
gew.Chem.Int.Ed.Engl.23:919-931(1984);Kaina,B.,Bio
l.Zentralbl.99:513-531(1980);Kunkel,Proc.Natl.Aca
d.Sci.(USA)82:488-492(1985);Nisbet,I.T.ら、Gene An
al.Tech.2:23-29(1985);Hines,J.C. ら、Gene11:207-21
8(1980);Messing,J. ら、Nucl.Acad.Res.9:309(198
1))。
【0066】また、突然変異は組換えDNA技術のその
他の適用により生じることができる。例えば、ICAM
−1またはMac−1を暗号化する核酸分子のヌクレオ
チド配列を走査して制限エンドヌクレアーゼにより認識
されるオリゴヌクレオチド部位を同定することができ
る。次いで、このようなエンドヌクレアーゼを使用して
核酸配列を認識部位で特異的に開裂することができる。
ICAM−1またはMac−1を暗号化する配列中で二
つの部位を認識する( 且つその部位で開裂する)制限エ
ンドヌクレアーゼを使用することにより、この配列のフ
ラグメントを切除することが可能である。また、この目
的に二つの異なるエンドヌクレアーゼを使用することが
可能である。開裂分子をDNAリガーゼの存在下でイン
キュベートすることにより、ICAM−1またはMac
−1を暗号化する配列を再シールして単一配列( 切除フ
ラグメントを含まない) を形成することが可能である。
適当な制限エンドヌクレアーゼ認識部位がICAM−1
またはMac−1を暗号化する配列中に存在しない場
合、このような部位は上記の部位特異的突然変異誘発操
作により配列中に導入し得る。
【0067】また、突然変異は、ICAM−1またはM
ac−1を暗号化する配列を開裂し、自由末端をエキソ
ヌクレアーゼで“ニブリング(nibbling)" することによ
り導入し得る。このような処理により、欠失を導入する
だけでなく、フレームシフト及びその他の型の突然変異
を導入することが可能である。更に、この技術は新規な
制限エンドヌクレアーゼ部位を暗号配列に導入し得る。
制限エンドヌクレアーゼ、DNAリガーゼ、及びエキソ
ヌクレアーゼを使用する方法は、例えば、Maniatis,T.
ら著、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold S
pring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(198
2) に開示されている。
【0068】また、組換えDNA技術は、ICAM−1
またはMac−1タンパク質( またはその官能性誘導
体) 及び新規ポリペプチドを含む融合タンパク質を生産
するのに使用し得る。この新規タンパク質は特別なポリ
ペプチドに限定されず、単一アミノ酸またはアミノ酸の
いずれかの組もしくはペルミューテーション(permutati
on) を含んでもよい。このような融合分子は、新規ポリ
ペプチドを暗号化するDNA配列を、フレームシフト突
然変異を導入しない方法で、ICAM−1またはMac
−1( またはその官能性誘導体) を暗号化するDNA配
列につなぐことにより生産し得る。ICAM−1遺伝子
またはMac−1サブユニット( またはその官能性誘導
体) の遺伝子に融合し得る好ましいポリペプチドの例
は、真核もしくは原核の信号配列(Gilbert,W. ら、米国
特許第4,411,994 号;Casadaban,M. ら、Proc.Natl.Aca
d.Sci.(USA)76:4530-4533(1979)) 、またはICAM−
1もしくはMac−1( またはその官能性誘導体) の安
定性、生物半減期、もしくは能力を伸ばす( または低下
する) ポリペプチドを含む。ICAM−1もしくはMa
c−1分子またはICAM−1官能性誘導体と免疫グロ
ブリン(またはそのフラグメント)との融合タンパク質
が特に好ましい。遺伝子融合の方法の優れた総説がSilh
avy,T.J.らにより示されている(Experiments with Gene
Fusions,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring
Harbor,NY(1984)) 。
【0069】上記の方法を使用して、ICAM−1また
はMac−1の変異体をつくることができる。このよう
な変異体は、例えば、ICAM−1またはMac−1の
アミノ酸配列からの欠失、またはその配列内の残基の挿
入もしくは置換を含む。アミノ酸配列の欠失は、一般に
約1〜30個の残基、更に好ましくは1〜10個の残基の範
囲であり、典型的には連続である。アミノ酸配列の挿入
は、一つの残基から実質的に未制限長さのポリペプチド
へのアミノ末端融合及び/またはカルボキシル末端融合
を含むだけでなく、単一または複数のアミノ酸残基の配
列間挿入を含む。配列間挿入(即ち、完全なICAM−
1またはMac−1分子配列内の挿入)は、一般に約1
〜10個、更に好ましくは1〜5個の残基の範囲であって
もよい。末端挿入の例は、組換え宿主からの官能性誘導
体の分泌を促進するため、宿主細胞に異種または同種の
信号配列の、その分子のN−末端への融合を含む。ま
た、欠失、挿入、及び置換のあらゆる組み合わせをつく
って最終構成物を得てもよいが、ただし最終構成物が所
望の活性を有することを条件とする。明らかに、変異体
を暗号化するDNA中で行われる突然変異は、その配列
を読取り枠からはずれて置いてはならず、好ましくは二
次mRNA構造を生産し得るような相補領域を生じない
(欧州特許出願公開第75,444号を参照のこと) 。
【0070】上記の方法を使用して、ICAM−1また
はMac−1分子中の少なくとも一つ、好ましくは唯一
のアミノ酸残基が除去され、異なる残基がその場に挿入
された官能性誘導体を生産することが可能である。この
ような置換は、ICAM−1またはMac−1分子の特
性を微細に変調することが所望される場合に、表1に従
って行われることが好ましい。
【0071】表1 最初の残基 置換の例 Ala gly;ser Arg lys Asn gln;his Asp glu Cys ser Gln asn Glu asp Gly ala;pro His asn;gln Ile leu;val Leu ile;val Lys arg;gln;glu Met leu;tyr;ile Phe met;leu;tyr Ser thr Thr ser Trp tyr Tyr trp;phe Val ile;leu 機能上または免疫学上の同一性の実質的な変化は、表1
中の置換よりも保存性ではない置換を選択することによ
り、即ち、(a) 置換の領域中のポリペプチド主鎖の構
造、例えば、シートまたはらせん立体構造としての構
造、(b) 標的部位に於ける分子の電荷または疎水性、ま
たは(c) 側鎖の嵩高さを維持することに関するそれらの
効果をかなり異にする残基を選択することによりつくら
れる。一般に予想される置換は、次のような置換であ
る。(a) グリシン及び/またはプロリンが別のアミノ酸
により置換され、または欠失もしくは挿入される。(b)
親水性残基、例えば、セリルまたはスレオニルが疎水性
残基、例えば、ロイシル、イソロイシル、フェニルアラ
ニル、バリル、またはアラニルに代えて( または、それ
らにより) 置換される。(c) システイン残基がその他の
残基に代えて( または、それらにより) 置換される。
(d) 電気的に陽性の側鎖を有する残基、例えば、リシ
ル、アルギニル、またはヒスチジルが電気的に負の電荷
を有する残基、例えば、グルタミルまたはアスパルチル
に代えて( または、それらにより) 置換される。または
(e) 嵩高の側鎖を有する残基、例えば、フェニルアラニ
ンがこのような側鎖をもたない残基、例えば、グリシン
に代えて( または、それらにより) 置換される。
【0072】殆どの欠失及び挿入、及び特に置換は、I
CAM−1またはMac−1分子の特性に著しい変化を
生じないと予想される。しかしながら、置換、欠失、ま
たは挿入の正確な効果を、そうする前に予想することが
困難である場合には、当業者はその効果がルーチンのス
クリーニングアッセイにより評価されることを認める。
例えば、官能性誘導体は典型的には天然のICAM−1
またはMac−1を暗号化する核酸の部位特異的突然変
異誘発、組換え細胞培養中の変異体核酸の発現、及び、
必要により、細胞培養からの精製(例えば、抗ICAM
−1分子抗体カラム(官能性誘導体を少なくとも一種の
残りの免疫エピトープに結合することにより官能性誘導
体を吸収するため)による免疫アフィニティ吸着によ
る)によりつくられる。
【0073】細胞溶解産物または精製ICAM−1分子
官能性誘導体の活性は、その後、所望の特性に適したス
クリーニングアッセイでスクリーニングされる。例え
ば、所定の抗体に対する親和性の如き官能性誘導体の免
疫特性の変化は、競合型イムノアッセイにより測定され
る。免疫修飾活性の変化は適当なアッセイにより測定さ
れる。酸化還元安定性または熱安定性、生物半減期、疎
水性、タンパク質加水分解に対する感受性、または担体
と凝集する傾向もしくは多量体に凝集する傾向の如き、
タンパク質の性質の修飾は、当業者に公知の方法により
測定される。
【0074】IV. Mac−1へのICAM−1の結合に
影響し得る抗体の生産 抗体(特にモノクローナル抗体)は、本発明のICAM
−1分子のフラグメントによる免疫化に応答して誘発し
得る。このような抗体は、Mac−1に結合するICA
M−1の能力を特異的に損ない得る抗体を同定すること
について分析し得る。これらの抗体は、このような結合
を阻止または軽減するのに使用でき、こうして非特異的
防御系の炎症反応の治療に使用し得る。加えて、このよ
うな抗体は、ICAM−1へのウイルス(特に主要な血
清型のライノウイルス)の結合を阻止または軽減するの
に使用し得る。
【0075】このようなモノクローナル抗体を得るあら
ゆる方法が使用し得るが、Rothlein,R. ら(J.Immunol.1
37:1270-1274(1986)) により記載された経路及びスケジ
ュールを使用してBALB/Cマウスを、LFA−1欠乏の個
人からのエプスタイン- バーウイルスで形質転換された
末梢血単核細胞で免疫化することによりICAM−1結
合モノクローナル抗体を得ることが好ましい。このよう
な細胞は、Springer,T.A. ら著、J.Exper.Med.160:1901
-1918(1984) に開示されている。
【0076】ICAM−1に結合し得る抗体の発生及び
検出に好ましい方法に於いて、マウスが免疫アフィニテ
ィで精製されたICAM−1で免疫化される。その動物
からの脾臓細胞が取り出され、非分泌ミエローマ細胞と
融合され、抗体生産ハイブリドーマ細胞に発育させられ
る。次いで抗体が図6に示されるように精製Mac−1
及びLFA−1へのICAM−1+ L細胞接着の抑制に
関して試験される。これは、ICAM−1へのLFA−
1及びMac−1結合を差別的に抑制するモノクローナ
ル抗体を同定する。
【0077】V.本発明の分子の抗炎症薬としての用途 A.ICAM−1及びMac−1、並びにそれらの官能
性誘導体 ICAM−1は、LFA−1及びMac−1の両方の結
合パートナーである。このようなものとして、ICAM
−1またはその官能性誘導体は、疾患の治療に於いてM
ac−1またはLFA−1に結合し得る抗体と互換可能
に使用し得る。こうして、可溶化形態で、このような分
子は、Mac−1を発現する細胞とICAM−1を発現
する細胞との相互作用により生じる炎症を抑制するのに
使用し得る。同様に、Mac−1またはその官能性誘導
体(好ましくは、Mac−1の可溶化形態)は、ICA
M−1を発現する細胞とMac−1を発現する細胞との
相互作用により生じる炎症を抑制するために、ICAM
−1に結合し得る抗体と互換可能に使用し得る。このよ
うな炎症は一般に非特異的防御系の反応により媒介され
る。同様に、このような誘導体はまたICAM−1を発
現する細胞とLFA−1を発現する細胞との相互作用に
より生じる炎症を抑制するのに使用し得る。このような
炎症は一般に特異的防御系の反応により媒介される。
【0078】本発明は、ICAM−1とLFA−1の間
の相互作用の部位がMac−1と相互作用するICAM
−1の部位と切断できることを開示する。こうして、L
FA−1またはMac−1に実質的に結合し得るが、M
ac−1またはLFA−1に実質的に結合し得ないIC
AM−1の新規な官能性誘導体を生産することができ
る。また、LFA−1及びMac−1を実質的に結合し
得ないが、ヒト・ライノウイルスに実質的に結合し得る
ICAM−1の誘導体を生産することができる。本発明
の好ましい官能性誘導体の中に、ICAM−1の領域
1、2、3、4及び5を含む官能性誘導体(特に可溶性
誘導体)がある。
【0079】こうして、ICAM−1の特に好ましい可
溶性誘導体は、LFA−1を発現する細胞のLFA−1
に実質的に結合し得るが、Mac−1に実質的に結合し
得ない分子である。このような分子の例は、領域1、ま
たは領域1と2、または領域1と2と4を有するが領域
3を含まないICAM−1分子を含む。別の例は、領域
3を含むが、分子をMac−1を実質的に結合し得なく
する突然変異を領域3中に含むICAM−1誘導体を含
む。領域3中の特に好ましい突然変異は、ICAM−1
のICAM−1残基229-231 、または254-256 中の突然
変異である。このような突然変異は、ICAM−1を、
Mac−1を実質的に結合し得なくする。このような誘
導体は、非特異的防御系の炎症反応に影響しないで特異
的防御系の炎症反応を治療したい状況で望ましい。
【0080】同様に、本発明は、Mac−1を発現する
細胞のMac−1に実質的に結合し得るが、LFA−1
に実質的に結合し得ないICAM−1の新規な官能性誘
導体を生産することを可能にする。このような分子の例
は、ICAM−1の領域1を含まないICAM−1分
子、並びにICAM−1の領域1、2、3、4及び5を
含むが、ICAM−1の領域1または2中に突然変異を
含むICAM−1分子を含む。特に好ましい突然変異
は、ICAM−1の領域1の一種以上のICAM−1残
基E34 、Q58ED 、またはQ73 中の突然変異である。領域
1を含まない好ましいICAM−1官能性誘導体の中
に、ICAM−1の領域3と4を含む官能性誘導体があ
る。このような誘導体は、特異的防御系の炎症反応に影
響しないで非特異的防御系の炎症反応を治療したい状況
で望ましい。
【0081】特異的防御系の炎症反応に影響しないで非
特異的防御系の炎症反応を治療するのに使用し得るIC
AM−1誘導体を得ることができる第二の方法は、LF
A−1よりむしろMac−1に結合する誘導体の相対能
力を高めることによる。この目標を実現する一つの手段
は、一つ以上のグリコシル化部位を含まないICAM−
1官能性誘導体を生産することによる。このような誘導
体は、Mac−1への結合能力を高めることができる。
ICAM−1のICAM−1残基N269、N240またはN358
に於けるグリコシル化部位の欠如がこの目的に最も好ま
しい。
【0082】本明細書に使用されるように、分子の官能
性誘導体は、他の分子に結合するその能力が同分子を結
合するその誘導体の天然前駆体の能力とほぼ同じである
場合に他の分子に“実質的に結合し得る”と言われる。
こうして、例えば、ICAM−1の官能性誘導体は、そ
の誘導体がICAM−1それ自体とほぼ同じようなMa
c−1(またはLFA−1)結合能力を有する場合にM
ac−1(またはLFA−1)に“実質的に結合し得
る”と言われる。
【0083】本明細書に使用されるように、分子の官能
性誘導体は、他の分子に結合するその能力が同分子を結
合するその誘導体の天然前駆体の能力と実質的に異なる
(例えば、50%未満) 場合に他の分子に“実質的に結合
し得ない”と言われる。こうして、例えば、ICAM−
1の官能性誘導体は、その誘導体が、ICAM−1それ
自体が有するMac−1( またはLFA−1) 結合能力
の50%未満を有する場合に、Mac−1(またはLFA
−1)に“実質的に結合し得ない”と言われる。
【0084】上記の可溶化誘導体は、細胞の膜に結合さ
れない誘導体である。このような誘導体は、膜内外領域
を含まないトランケート分子を含んでもよい。また、そ
れらは、膜内外領域を含むとしても、細胞の膜に結合
(または安定に結合)される能力を欠いている天然分子
の突然変異体形態を含んでもよい。ICAM−1の領域
構造、ICAM−1の可溶性誘導体及びそれらの調製
は、Marlin,S.D. 著、Nature344:70-72(1990) に開示さ
れており、この文献が参考として本明細書に含まれる。
【0085】好ましい分子の更に別の型は、ICAM−
1を発現する細胞のICAM−1に実質的に結合し得る
が、ICAM−1への分子のLFA−1系統群の別の員
の結合を実質的に阻止し得ないMac−1の可溶性誘導
体である。このような分子の例は、ICAM−1の領域
1に結合するLFA−1の能力を損なわないMac−1
分子を含む。このような分子は、それらが特異的防御系
の反応に影響しないで非特異的防御系の炎症反応に影響
し得るので望ましい。このようなMac−1官能性誘導
体は、例えば、潜在的なMac−1官能性誘導体をLF
A−1に結合するICAM−1の能力をそれが損ない得
ないことに関してスクリーニングすることにより同定し
得る。
【0086】ICAM−1、またはその官能性誘導体
は、治療薬または診断薬の免疫原性を低下するために、
抗Mac−1抗体と同様に使用し得る。同様に、Mac
−1、またはその官能性誘導体は、治療薬または診断薬
の免疫原性を低下するために、抗ICAM−1抗体と同
様に使用し得る。ICAM−1、もしくはMac−1、
またはこれらの官能性誘導体は、表面でMac−1また
はICAM−1を発現する腫瘍細胞の転移または増殖を
阻止するのに使用し得る。種々の方法が、この目的を達
成するのに使用し得る。例えば、或る種の細胞の移動
は、LFA−1−ICAM−1結合を必要とする。IC
AM−1またはMac−1を結合し得る毒素誘導体化さ
れた分子が患者に投与し得る。このような毒素誘導体化
された分子が、分子のLFA−1系統群のICAM−1
またはMac−1α員を発現する腫瘍細胞に結合する場
合、毒素の存在は腫瘍細胞を死滅させ、それにより腫瘍
の増殖を抑制する。
【0087】B.ICAM−1を結合し得る抗体 ICAM−1に結合でき、それによりMac−1へのI
CAM−1の結合を阻止し得るモノクローナル抗体及び
ポリクローナル抗体は、哺乳類患者の抗炎症薬として非
常に適している。モノクローナル抗体がこのような用途
に特に好ましい。重要なことに、このような薬剤は、そ
れらが接着を選択的に抑制でき、しかも通常の薬剤に見
られるような腎毒性の如きその他の副作用を生じないと
いう点で、一般の抗炎症薬と異なる。このようなモノク
ローナル抗体は、非特異的防御系の反応により生じる炎
症を治療するのに使用し得る。
【0088】LFA−1を欠乏しているLAD患者は炎
症応答を増大しないので、LFA−1の天然リガンド、
ICAM−1の拮抗作用はまた炎症応答を抑制すると考
えられる。炎症を抑制するICAM−1の抗体の能力
は、慢性炎症疾患及び自己免疫疾患、例えばエリテマト
ーデス、自己免疫性甲状腺炎、実験的アレルギー性脳脊
髄炎(EAE)、多発硬化症、或る種の形態の糖尿病レ
イナウド(Reynaud's)症候群、慢性関節リウマチ、等の
治療に於けるそれらの治療上の使用の基礎を与える。ま
た、このような抗体は乾癬の治療に於ける治療薬として
使用し得る。一般に、ICAM−1に結合し得るモノク
ローナル抗体は、ステロイド治療薬により現在治療し得
る疾患の治療に使用し得る。
【0089】ICAM−1(またはそれらの官能性誘導
体)の抗体が本発明に特に重要であり、これらはMac
−1へのICAM−1の結合を実質的に抑制または阻止
し得るが、LFA−1へのICAM−1の結合を実質的
に抑制または阻止し得ない。このような抗体は、特異的
防御系の反応に影響しないで非特異的防御系の炎症を治
療するのに使用し得る。このような抗ICAM−1抗体
の例はモノクローナル抗体CBRIC1/1である。このモノク
ローナル抗体を分泌するハイブリドーマ細胞系が、1990
年11月14日にアメリカン・タイプ・カルチャー・コレク
ションに寄託され、ATCC登録番号HB10597 を与えられ
た。
【0090】また、ICAM−1(またはそれらの官能
性誘導体)の抗体が本発明に特に重要であり、これらは
LFA−1へのICAM−1の結合を実質的に抑制また
は阻止し得るが、Mac−1へのICAM−1の結合を
実質的に抑制または阻止し得ない。このような抗体は、
非特異的防御系の反応に影響しないで特異的防御系の炎
症を治療するのに使用し得る。このような抗体の例は、
抗ICAM−1モノクローナル抗体RP1/1(Rothlein,R.
M. ら、J.Immunol.137:1270-1274(1986))、LB2(Clark,
E.A.ら、Hum.Immunol.16:100-113(1986)) 、84H10(Makg
oba,M.W.ら、Nature331:86-88(1988))、及びCBRIC1/4で
ある。
【0091】抗ICAM−1抗体R6.5(Smith,C.W.ら、
J.Clin.Invest.82:1746-1756(1988)) は、Mac−1及
びLFA−1の両方がICAM−1に結合することを阻
止し得る。こうして、それは特異的防御系及び非特異的
防御系の両方を伴う好ましい抗体炎症反応である。上記
のように、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体
の両方が本発明に従って使用し得る。ヒト中で生産され
る抗体、または組換えもしくはその他の技術により“ヒ
ューマナイズされる(humanized)"( 即ち、ヒト中で非免
疫原性である) 抗体が、特に好ましい。このような抗体
は本明細書に開示されたモノクローナル抗体及びポリク
ローナル抗体の均等物であるが、それ程免疫原性ではな
く、患者により良く許容されるヒューマナイズされた抗
体は、例えば、抗体の免疫原性部分を相当する非免疫原
性部分( 即ち、キメラ抗体) で置換することにより生産
し得る(Robinson,R.R.ら、国際特許国際公開PCT/US86/0
2269;Akira,K. ら、欧州特許出願第184,187 号;Tanigut
i,M.、欧州特許出願第171,496 号;Morrison,S.L.ら、欧
州特許出願第173,494 号;Neuberger,M.S. ら、国際特許
出願第WO 86/01533;Cabilly,S.ら、欧州特許出願第125,
023 号;Better,M.ら、Science240:1041-1043(1988);Li
e,A.Y. ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA84:3439-3443(198
7);Lie,A.Y. ら、J.Immunol.139:3521-3526(1987);Sun,
L.K.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA84:214-218(1987);Nis
himura,Y. ら、Canc.Res.47:999-1005(1987);Wood,C.R.
ら、Nature314:446-449(1985);Shawら、J.Natl.Cancer
Inst.80:1553-1559(1988) 、これらの文献の全てが参考
として本明細書に含まれる) 。" ヒューマナイズされ
た" キメラ抗体の全般の総説が、Morrison,S.L. 著、Sc
ience,229:1202-1207(1985) 及びOi,V.T. ら著、BioTec
hniques 4:214(1986) に示されており、これらの文献が
参考として本明細書に含まれる。
【0092】好適な" ヒューマナイズされた" 抗体はま
たCDRまたはCEA置換により生産し得る(Jones,P.
T. ら、Nature321:552-525(1986);Verhoeyan ら、Scien
ce239:1534(1988);Beidler,C.B.ら、J.Immunol.141:405
3-4060(1988) 、これらの文献の全てが参考として本明
細書に含まれる) 。 VI. 本発明の分子の投与 Mac−1は、内皮組織に結合し得る細胞で発現される
ので、患者へのICAM−1、またはICAM−1の官
能性誘導体の投与は内皮組織を映像化または視覚化する
手段を与える。同様に、患者へのMac−1の投与はI
CAM−1発現の部位を視覚化させ、それにより炎症の
部位の検出を可能にする。更に、このような操作は、M
ac−1レセプター分子の結合リガンドまたは視覚化さ
れた組織に存在するICAM−1の結合リガンドの量及
び分布に関する診断情報を与える。
【0093】このような使用に際して、本発明の投与分
子は、放射線同位元素、アフィニティラベル(例えば、
ビオチン、アビジン、等)、蛍光ラベル、常磁性原子、
等の使用により検出可能にラベルされる。このようなラ
ベリングを行う操作は当業界で公知である。抗体(また
はそのフラグメント)は、放射線同位元素、酵素ラベ
ル、蛍光ラベル、常磁性ラベル、電子−濃密ラベル、等
の使用により検出可能にラベルし得る。個人へのこのよ
うなラベルされた分子の投与は炎症の部位を同定する。
また、このような検出可能なラベルが患者の免疫系の状
態を分析するのに使用できる。診断造影に於ける抗体の
臨床上の適用は、Grossman,H.B.,Urol.Clin.North Ame
r.13:465-474(1986) 、Unger,E.C.ら、Invest.Radiol.2
0:693-700(1985)、及びKhaw,B.A. ら、Science209:295-
297(1980)に概説されている。
【0094】炎症の部位に自然に移行する単球の能力は
Mac−1に依存する(Keizer,G.D.ら、Eur.J.Immunol.
17:1317-1322(1987)) 。このような移行は、ICAM−
1、またはICAM−1の官能性誘導体を患者に投与す
ることにより抑制し得る。同様に、内皮細胞に接着する
単球様細胞の能力、及び化学走性、ケモキネシス、また
は食作用を受ける単球様細胞の能力は、Mac−1に依
存することがわかった(Keizer,G.D.ら、Eur.J.Immunol.
17:1317-1322(1987)) 。本発明の抗炎症薬のいずれもが
このような活性を抑制するのに使用し得る。
【0095】本発明の分子は、それらを含む製剤がこれ
らの生産物と一緒に通常、自然にみられる物質を実質的
に含まない場合に、" 天然の汚染物質を実質的に含まな
い"と言われる。本発明は、ICAM−1に結合し得る
抗体、及びその生物活性フラグメント(ポリクローナル
またはモノクローナル)に及ぶ。このような抗体は、動
物、もしくは組織培養、または組換えDNA手段により
生産し得る。
【0096】ICAM−1に結合し得る抗体、またはそ
のフラグメントを患者に与える際に、またはICAM−
1、Mac−1(またはそのフラグメント、変異体、ま
たは誘導体)を受容患者に与える場合に、投与薬剤の投
薬量は患者の年齢、体重、身長、性別、全般の医療条
件、過去の病歴、等に応じて変化する。一般に、約1pg
/kg 〜10mg/kg(患者の体重) の範囲である抗体の投薬量
を受容体に与えることが望ましいが、それより少ない投
薬量または多い投薬量が投与されてもよい。ICAM−
1もしくはMac−1分子またはそれらの官能性誘導体
を患者に与える場合、このような分子を、また約1pg/k
g 〜10mg/kg(患者の体重) の範囲の投薬量で投与するこ
とが好ましいが、それより少ない投薬量または多い投薬
量がまた投与されてもよい。以下に説明されるように、
抗ICAM−1抗体が更に抗LFA−1抗体、またはそ
の均等物と一緒に投与される場合には、治療有効投薬量
を少なくすることができる。
【0097】本明細書に使用されるように、両化合物が
患者の血清中に同時に検出し得るような接近した時間で
二つの化合物が投与される場合、一つの化合物は更に第
二の化合物と一緒に投与されると言われる。本発明の分
子は、患者に静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、腸内
投与、または非経口投与することができる。このような
分子を注射により投与する場合、その投与は連続輸注に
よるものであってもよく、また単一もしくは複数の巨丸
剤によるものであってもよい。
【0098】本発明の抗炎症薬は、炎症を抑制するのに
充分な量で受容患者に与えられることを目的とする。そ
の薬剤の投薬量、投与経路、等が炎症を軽減または阻止
する場合に、量が炎症を”抑制”するのに充分であると
言われる。本発明の抗炎症薬は、単独で投与されてもよ
く、または一種以上の別の免疫抑制剤(特に器官または
組織移植の受容体に対して)と組み合わせて投与されて
もよい。このような一種以上の化合物の投与は、”予
防”目的または”治療”目的のためであってもよい。予
防で与えられる場合、一種以上の化合物は炎症応答また
は症候の前に与えられる。一種以上の化合物の予防上の
投与は、その後の炎症応答を阻止または軽減するのに役
に立つ。治療上投与される場合、一種以上の化合物は実
際の炎症の症候の開始(または直後)に与えられる。一
種以上の化合物の治療上の投与は、実際の炎症を軽減す
るのに役に立つ。こうして、本発明の抗炎症薬は、炎症
の開始の前(推測される炎症を抑制するため)または炎
症の開始後に投与し得る。
【0099】組成物は、その投与が受容患者により許容
される場合に”薬理学上許される”と言われる。このよ
うな組成物は、その投与量が生理学上有意である場合
に”治療有効量”で投与されると言われる。薬剤は、そ
の存在が受容患者の生理学上の検出可能な変化を生じる
場合に生理学上有意である。本発明の分子は、製薬上有
効な組成物を調製するための既知の方法により製剤化で
き、その方法により、これらの物質、またはそれらの官
能性誘導体が製薬上許される担体ビヒクルと混合され
る。好適なビヒクル及びそれらの配合物(その他のヒト
・タンパク質、例えばヒト血清アルブミンを含む)が、
例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences(第16
編、Osol,A. 編集、Mack,Easton PA(1980)) に記載され
ている。有効投与に適した製薬上許される組成物を生成
するために、このような組成物は、適当な量の担体ビヒ
クルと一緒に有効量の抗ICAM抗体、またはICAM
−1もしくはMac−1分子を含む。
【0100】別の製薬方法が、作用の期間を調節するの
に使用し得る。制御放出製剤は、本発明の治療薬と錯生
成し、またはそれを吸収するポリマーの使用により得る
ことができる。調節された送出は、放出を調節するため
に適当な巨大分子(例えば、ポリエステル、ポリアミノ
酸、ポリビニルピロリドン、エチレン酢酸ビニルコポリ
マー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロー
ス、またはプロタミンスルフェート)及び巨大分子の濃
度並びに混入方法を選択することにより行うことができ
る。制御放出製剤により作用の期間を調節するのに可能
な別法は、抗ICAM−1抗体もしくはICAM−1分
子、またはそれらの官能性誘導体をポリマー物質、例え
ばポリエステル、ポリアミノ酸、ヒドロゲル、ポリ乳酸
またはエチレン酢酸ビニルコポリマーの粒子に混入する
ことである。また、これらの薬剤をポリマー粒子に混入
することに代えて、例えば、コアセルベーション技術ま
たは界面重合により調製されたマイクロカプセル、例え
ば、夫々ヒドロキシメチルセルロースマイクロカプセル
またはゼラチンマイクロカプセル及びポリメチルメタク
リレートマイクロカプセル中、またはコロイド薬剤送出
系、例えば、リポソーム、アルブミン微小球、ミクロエ
マルション、ナノパーチクル、及びナノカプセル中、ま
たはマクロエマルション中にこれらの物質を閉じ込める
ことが可能である。このような技術がRemington's Phar
maceutical Sciences(1980) に開示されている。
【0101】本発明を全般に説明したが、本発明は以下
の実施例を参考にして更に容易に理解される。これらの
実施例は説明のために示されるものであり、特に断らな
い限り、本発明を限定することを目的とするものではな
い。
【0102】
【実施例】実施例1 Mac−1とICAM−1の相互作用を調べる方法 Smith,C.W.らによる最近の研究(J.Clin.Invest.83:2008
-2017(1989);J.Clin.Invest.82:1746-1756(1988)、これ
らは本明細書に参考として含まれる) は、LFA−1及
びMac−1が内皮細胞への好中球接着に協力し、未刺
激好中球が主として表面LFA−1により結合し、一
方、fMLP活性化好中球が殆どMac−1により付着する
ことを本発明者に示唆した。ICAM−1のモノクロー
ナル抗体は未刺激内皮細胞へのCD18依存性のfMLP刺激好
中球の接着を充分に阻止するので、Mac−1及びLF
A−1の両方はICAM−1と相互作用している可能性
がある(Smith,C.W. ら、J.Clin.Invest.82:1746-1756(1
988)) 。また、LFA−1及びMac−1のモノクロー
ナル抗体はICAM−1を含む平面状の膜への好中球付
着を阻止する(Smith,C.W. ら、J.Clin.Invest.83:2008-
2017(1989)) ことから、Smith らの研究は内皮細胞への
好中球接着が部分的にICAM−1−LFA−1及びI
CAM−1−Mac−1依存性であるという結論を支持
した。
【0103】対照的に、Lo,S.K. ら(J.Immunol.143(1
0):3325-3329(1989)) は、フォルボールエステルで刺激
された好中球が未刺激内皮細胞に接着する場合に、Ma
c−1及びLFA−1が関与するが、LFA−1のみが
ICAM−1と相互作用することを開示していた。その
他に、彼らは、マクロファージをICAM−1基質に塗
布する場合に、LFA−1のみが細胞表面の先端部分か
ら減少変調される(down-modulated) ことを見出した。
これらの結果は、Mac−1がICAM−1に結合する
のではなく、性質決定されていない内皮細胞表面レセプ
ターと相互作用するという結論を支持した。
【0104】このパラドックスを解決するため、免疫ア
フィニティ精製されたMac−1及びICAM−1、並
びにICAM−1、Mac−1及びLFA−1を発現す
る形質移入細胞を使用して、相互接着研究を行った。 モノクローナル抗体 ヒト抗原に対する下記のマウス・モノクローナル抗体は
腹水からのものであった。LPM19c( 抗CD11b,IgG2a);Uci
echowski,P. ら、Leukocyte Typing IV:WhiteCell Diff
erentiation Antigens,W.Knapp 編集、Oxford Universi
ty Press,Oxford、543-551 頁(1989)) 、W6/32(抗HLA
A, B, C, IgG2a)(Barnstable,C.J. ら、Cell 14:9-20(1
978)) 、TS1/22( 抗CD11a,IgG1)(Sanchez-Madrid,F.
ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:7489-7493(1982))、YF
C51.1(抗CD18,rate IgG2b)(Uciechowski,P. ら、Leukoc
yte Typing IV:White Cell Differentiation Antigens,
W.Knapp 編集、Oxford University Press,Oxford、543-
551 頁(1989)) 、CBRIC2/1及びCBRIC2/2( 抗ICAM-2,IgG
2a) 及びTS2/I6( 抗CD29,IgGI)(Sanchez-Madrid,F.ら、
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:7489-7493(1982))。下記の
ICAM−1モノクローナル抗体を精製IgG として使用
した。CL203(Maio,M. ら、J.Immunol.143:181-188(198
9))、LB-2(Clark,E.A. ら、Hum.Immunol.16:100-113(19
86)) 、84H10(Makgoba,M.W.ら、Nature331:86-88(198
8))。
【0105】RR1/1 Fab2 (IgGI)(Rothlein,R.M. ら、、
J.Immunol.137:1270-1274(1986))をプロテインAアフィ
ニティクロマトグラフィー後のペプシン消化により調製
した(Parham,P., Immnological Methods in Biomedical
Sciences,Weir,D.M. ら編集、Blackwell,Oxford(198
3)) 。R6.5(IgG2a)(Smith,C.W.ら、J.Clin.Invest.82:1
746-1756(1988))IgG及びFab をBoeringer Ingelheim Ph
armceuticals,Ridgefield,CTから得た。
【0106】モノクローナル抗体CBRIC1/1、CBRIC1/2、
CBRIC1/3、CBRIC1/4( 抗ICAM−1モノクローナル抗
体) 、M1/42(抗H-2 、ラットIgG2a)(Springer,T.A.、Mo
noclonal Antibodies,Kennett,R.H.ら編集、Plenum Pre
ss, ニューヨーク、185-217頁(1980)) 及びX63(非結合
抗体、IgG1) を組織培養上澄液として使用した。抑制ア
ッセイのため、腹水を1/400 希釈で使用し、精製IgG を
20〜25μg/mlで使用し、Fab2を20μg/mlで使用し、Fab
を50μg/mlで使用し、組織培養上澄液を1/2 で使用し
た。プロテインA精製TS1/18( 抗CD18,IgG1)(Sanchez-M
adrid,F.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:7489-7493(19
82))及びLM2/1(抗CD11b 、IgGI)(Miller,L.J. ら、J.Im
munol.137:2891-2900(1986))をヨウ素化し、Dustin,M.
L. ら(Nature341:619-624(1989)、この文献は参考とし
て本明細書に含まれる) により記載された部位密度測定
に使用した。TSI/18は無傷のα/βヘテロダイマーのみ
を認識する。
【0107】タンパク質精製:Mac−1、LFA−1
及びICAM−1 Mac−1を、Dustin,M.L. ら(Nature341:619-624(198
9)) 及びMiller,L.J.ら(Immunol.138:2381-2383(1987))
(これらの文献は参考として本明細書に含まれる) の操
作の改良法により白血球溶解産物から精製した。簡単に
言えば、精製官能性ヘテロダイマー500 μg を得るため
に、凍結末梢血白血球10g を溶解緩衝液(100ミリモルの
トリスHCl pH8.0 、150 ミリモルのNaCl、2ミリモルの
MgCl2 、1%のトリトン(Triton)X-100 、5ミリモルの
ヨードアセトアミド、0.025 %のNaN3、1ミリモルのフ
ェニルメチルスルホニルフルオリド、1ミリモルのジイ
ソプロピルフルオロホスフェート、0.2TIU/ mlのアプロ
チニン)200ml中で4℃で穏やかに攪拌しながら1時間で
可溶化した。得られる溶解産物を10,000xgで4℃で2時
間遠心分離した。上澄液をデカントし、次いで100,000x
g (Ti45 、ベックマン) で1時間超遠心分離した。
【0108】浄化した溶解産物を、セファロース(Sepha
rose)CL-4BにカップリングしたヒトIgG で前もって透明
にした。IgG-セファロースの1:1 スラリー40μl を溶解
産物1ml当たりに添加し、4℃で一夜回転させた。セフ
ァロースをペレットにし、前もって透明にした溶解産物
を、その後、LM2/1(抗CD11b;IgG1) 免疫アフィニティカ
ラム( 床容積6ml、3mg/mlのLM2/1)に通した。これ
を、プロテインA精製LM2/1 を臭化シアン活性化セファ
ロースに付着することにより調製した(March,S.C. ら、
Anal.Biochem.60:149-152(1974))。
【0109】そのカラムを、50ミリモルのトリスHCl pH
8.0 、150 ミリモルのNaCl、2ミリモルのMgCl2 、0.1
%のトリトンX-100 の10床容積で予備平衡させ、前もっ
て透明にした溶解産物を10ml/ 時間で装填した。そのカ
ラムを、中和緩衝液(10 容量%の1モルのトリスHCl pH
7.4)と一緒に、50ミリモルのトリスHCl pH8.0 、150ミ
リモルのNaCl、2ミリモルのMgCl2 、1%のn-オクチル
β−D−グルコピラノシドの10床容積で20ml/ 時間で連
続してチューブ中に洗浄した。ピーク画分を溜め、アリ
コートとし、-80 ℃で活性の損失なしに3〜6ケ月貯蔵
した。
【0110】末梢血白血球溶解産物を置換した以外は、
Dustin,M.L. ら(Nature341:619-624(1989)) により記載
されたようにして免疫アフィニティクロマトグラフィー
によりLFA−1を精製した。ICAM−1を、Marli
n,S.D. ら(Cell 51:813-819(1987)) により記載された
ようにして免疫アフィニティクロマトグラフィーにより
精製した。
【0111】SDS-PAGE タンパク質試料を5%のベータ−メルカプトエタノール
を含むポリアクリルアミド(Laemmli,U.K.,Nature227:68
0-685(1970))還元ゲルで7〜10%のドデシル硫酸ナトリ
ウムの存在下で流し、Morrissey,J.H.(Anal.Biochem.11
7:307-310(1981) により記載されたようにして銀染色し
た。
【0112】組織培養、形質移入、及び細胞調製 COS 細胞を、10%の牛胎児血清、5ミリモルのグルタミ
ン及び50μg/mlのゲンタマイシンを含むRPMI 1640 中で
10または15cmの組織培養処理プレート( ファルコン(Fal
con)) で増殖させた。細胞を、4〜6μg のCsCl精製し
た(Maniatis,T.ら、Molecular Cloning:A Laboratory M
anual,Cold Spring Harbor LaboratoryPress,Cold Spri
ng Harbor,NY(1982) 、この文献は参考として本明細書
に含まれる) ICAM−1 DNA(Staunton,D.E.ら、
Cell 61:243-254(1990))で10cmのプレート中で約50〜60
%の集密度(confluency)で形質移入し、またはDEAE- デ
キストラン法(Aruffo,A.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA8
4:8573-8577(1987);Kingston,R.E.著Current Protocols
in Molecular Biology,Greene Publishing Associates
、9.0.1-9.9.6 頁(1987)) により37℃で4時間にわた
って6μg のMac−1またはLFAα+6μg のβc
DNA(Hibbs,M.L.ら、J.Clin.Invest85:674-681(199
0);Larson,R.S. ら、Cell Reg.1:359-367(1990)) で同
時形質移入した。72時間後に、機能アッセイの前に、細
胞をPBS(リン酸緩衝食塩水) 、5ミリモルのEDTAで37℃
で5分間で組織培養プレートから溶離した。
【0113】安定なICAM−1+ L細胞を、Chen,C.
A. ら(BioTechniques6(7):632-637(1988)、この文献は
参考として本明細書に含まれる) に記載されたようにし
て発生させた。簡単に言えば、マウスL細胞(tk-) を6
cmの組織培養皿に接種し、2日間にわたって10〜20%の
集密度まで増殖させた。プラスミドCDM8(Staunton,D.E.
ら、Cell 61:243-254(1990) 中のICAM−1 cDNA
(10 μg)及びチミジンキナーゼ選択マーカーを含むプラ
スミド(100mg) を0.2 mlのCaCl2 及び0.2 mlの50ミリモ
ルのN-N-ビス-2−アミノ−エタンスルホン酸、280 ミリ
モルのNaCl、1.5ミリモルのNa2HPO4 、pH6.95と混合
し、室温で10〜20分間インキュベートした。リン酸カル
シウム−DNA溶液(0.4ml) を、塗布した細胞に滴下し
て添加し、3%のCO2 のインキュベーター中で35℃でイ
ンキュベートした。24時間後、細胞をレギュラーDMEM培
地で洗浄し、3日目まで5%のCO2 のインキュベーター
中で37℃で増殖させ、その時HAT(100 μM のヒポキサン
チン、400nM のアミノプテリン、16μM のチミジン) 選
択を開始した。
【0114】高いICAM−1発現の細胞を、クローニ
ングシリンダーによる単一コロニーピックス(picks) の
後に、フロー・サイトメトリにより同定した。ICAM
−1 + L細胞を、10%の熱失活牛胎児血清、5ミリモル
のグルタミン、50μg/mlのゲンタマイシンからなり、HA
T を補給した選択培地中に保った。形質移入されなかっ
たL細胞を、HAT を含まないDMEM中に保った。
【0115】ヒトのさい帯静脈内皮細胞(HUVEC) を、20
%の熱失活牛胎児血清、100 μg/mlのヘパリン、100 μ
g/mlのゲンタマイシンを補給したM199培地中で、フィブ
ロネクチン(50 μg/ml) で前もって塗布した組織培養プ
レートで低継代数( 2〜5)まで培養した(Dustin,M.
L. ら、J.Cell.Biol.107:321-331(1988))。細胞を回収
する24時間前に、1μg/mlのE.coliリポ多糖(内毒素)
を添加することにより、LPS 処理を行った。5U/mlのrI
L/1 β(Genentech,CA)の添加によりサイトカイン刺激を
行った。
【0116】二色蛍光研究用のHUVEC を溶離するため、
細胞をPBS 、5ミリモルのEDTAで37℃で5〜10分間処理
した。健康なボランティアの全血からデキストラン沈降
により好中球を単離した。フィコール勾配遠心分離、及
び低張性溶解を、English,D.ら(J.Immunol.Methods5:24
9(1974))により記載されたようにして行った。実験操作
の前に、好中球をハンクス平衡塩溶液、10ミリモルのHE
PES pH7.3 、0.5 %のヒト血清アルブミン(HHHSA) 中で
室温で貯蔵する。 細胞接合実験 二重蛍光細胞複合体アッセイを、Luce,G.G. ら(BioTech
niques 3:270-272(1985)、この文献は参考として本明細
書に含まれる) のプロトコルの改良法により行った。
【0117】簡単に言えば、108 個の好中球をHHHSA 中
で2回洗浄し、HHHSA 中の40μg/mlのヒドロエチジン(H
E,Polysciences) の濾過(0.2μm)溶液10ml中で再度懸濁
させ、試料を穏やかに揺動させながら37℃で35分間イン
キュベートした。HUVEC(2X10 7)をT150cmのフラスコから
PBS 、5ミリモルのEDTAで溶離し、RPMI 1640 、20ミリ
モルのHEPES pH7.3 、5%の熱失活牛胎児血清(RPMTHF
S) 中で3回洗浄し、スルホフルオレセインジアセテー
ト(SFDA,Molecular Probes) の200 μM 溶液10ml中で再
度懸濁させ、37℃で30分間インキュベートした。続い
て、細胞をRPMI 1640 、10ミリモルのHEPES pH7.3 、0.
5 %のHSA 、5%の熱失活牛胎児血清中で4回洗浄し、
以下のように再度懸濁させた。好中球1X107個の細胞/
ml;HUVEC,2X106個の細胞/ ml。Fcレセプターがモノクロ
ーナル抗体で架橋することを防止するための熱失活ヒト
血清(5%) の存在下でアッセイを行った。適当な抗体を
両細胞型に添加し、室温で25分間プレインキュベートし
た。
【0118】好中球(150μl)及びHUVEC(250 μl)を24ウ
ェルプレート( ファルコン) に添加し、下記の実験プロ
トコルを使用した。旋回振とう器(New Brunswick Scien
tific,NJ) で75rpm で振とうしながら、全インキュベー
ションは37℃であった。5分間のプレインキュベーショ
ン、1X10-7M のfMLP添加、10分間のインキュベーショ
ン。溶液を3回ピペットに通した(小凝集物は沈降し得
る)後、複合体を回収し、EPICS V(Coulter,Hialeah,F
L) またはFACScan(Becton Dickinson) を備えたフロー
サイトメトリにより二つの着色複合体中に存在するHUVE
C の比率( %) として定量した。
【0119】精製タンパク質への細胞結合 精製したMac−1またはLFA−1を、0.1 %〜0.01
%の範囲のオクチルグルコシド洗剤濃度を含む20ミリモ
ルのトリスpH7.4 、150 ミリモルのNaCl、2ミリモルの
MgCl2 中でタンパク質含量(SDS-PAGE 及びラジオイムノ
アッセイ(Dustin,M.L.ら、Nature341:619-624(1989) に
より判断した) に応じて1/8 から1/120まで希釈し、35m
mのペトリ皿の全表面上に、60mmのペトリ皿上の40μl
の境界を定めたスポットとして、または96ウェルプレー
ト(Linbro-Itertek)の夫々ウェルについて50μl 中に室
温で90分間にわたって塗布した(Staunton,D.E.,Nature3
39:61-64(1989)) 。プレート及び皿を遮断し、続いてPB
S,2ミリモルのMgCl2 、0.5 %のHSA(PBSMH)で3回洗浄
し、続いてPBSMH 中で37℃で2時間インキュベートし
た。Mac−1へのCOS 細胞接着アッセイに関して、M
ac−1の低部位密度(<500 部位/ μm2) を使用して、
COS 細胞表面のMac−1の内因性リガンドの発現によ
るバックグラウンド細胞結合を避けた。この部位密度
は、ICAM−1を発現するCOS 細胞が接着することを
可能にしたが、ベクター単独で形質移入されたCOS 細胞
の結合を支持しなかった。
【0120】96ウェルプレートアッセイに関して、刺激
されなかったHUVEC 、IL-1ベータで18時間またはLPS で
24時間刺激したHUVEC を、PBS 、5ミリモルのEDTAで組
織培養プレートから溶離し、HHHSA 中で2回洗浄し、10
6 個の細胞/ mlまで再度懸濁させ、50μCi/ mlのCr(San
chez-Madrid ら、J.Exp.Med.158:1785-1803(1983))で37
℃で1時間にわたってラベルし、HHHSA 中で2回洗浄
し、PBSMH+0.2 %のグルコース中で2回洗浄し、そして
Mac−1処理プレートと一緒に、適当な抗体と共に室
温で25分間プレインキュベートした。HUVEC(106 個の細
胞/ ml、50μl)を夫々のウェルに添加し、結合アッセイ
を室温で1時間行った。未結合の細胞を、26ゲージニー
ドルを使用する強力アスピレーション洗浄操作(Dustin,
M.L.ら、Nature341:619-624(1989))により除去した。結
合細胞を0.2MのNaOHまたはPBS 、25ミリモルのEDTAで溶
離し、γ線により定量した。結合緩衝液としてRPMI 164
0 、20ミリモルのHEPES pH7.3 、5%のFCS 、0.1 %の
HSA に代え、細胞をMac−1基質上に300rpmで5分間
遠心分離し、インキュベーションを37℃で行い、2回の
みのアスピレーション洗浄を行った以外は、同じプロト
コルをL細胞について使用した。
【0121】35mm及び60mmのペトリ皿アッセイに関し
て、形質移入されたCOS 細胞またはL細胞を、PBS 、5
ミリモルのEDTAまたはRPMI、10ミリモルのEDTAで組織培
養プレートから溶離した。COS 細胞をHHHSA 中で2回洗
浄し、HHHSA 中で8X105 個の細胞/ mlまで再度懸濁さ
せ、50μCi/ mlのCr(Sanchez-Madrid ら、J.Exp.Med.15
8:1785-1803(1983))で1時間にわたってラベルした。過
剰のラベルを洗浄して除き、細胞をPBS 、1.5 ミリモル
のMgCl2 、0.5 ミリモルのCaCl2 、0.2 %のグルコー
ス、0.5 %のHSA 中で8X105 個の細胞/ mlまで再度懸濁
させた。L細胞をPBS、2ミリモルのMgCl2 、5%のFCS
、0.1 %のHSA で3回洗浄した。細胞を適当な抗体と
共に室温で30分間プレインキュベートし、ペトリ皿に添
加し、37℃で50分間インキュベートした。未結合のCOS
細胞またはL細胞を、結合緩衝液1mlを添加して連続3
回洗浄して除去し、次いでプレートを横切って穏やかに
回転させた。COS 細胞実験の場合、洗浄した後、プレー
トを結合細胞に関して目視検査し、定性的に評価し、接
着集団を1mlのPBS 、25ミリモルのEDTAで溶離し(37 ℃
で15分間) 、γ線により定量した。L細胞実験に関し
て、洗浄した後、結合細胞を、夫々の実験箇所で4〜5
の高出力の光学顕微鏡フィールド中で細胞の数を目視で
数えることにより定量した。この数を割ってフィールド
当たりの細胞のインプット数とし、細胞結合率(%)を
得た。
【0122】フローサイトメトリ HHHSA 50μl 中の0.5-1.0X105 個の細胞を、抗体上澄液
50μl または抗体腹水の1/200 希釈液50μl を含むV形
底部のマイクロタイタ・プレートに添加した。そのプレ
ートをテープでシールし、ダイナテク(Dynatech)プレー
トシェーカーで4℃で45分間振とうした。細胞をペレッ
トにし(2000rpm、2分間、4℃) 、HHHSA で3回(150
μl)洗浄し、HHHSA 中の精製FITC接合ヤギ抗マウスIgG
L鎖+H鎖抗血清(Zymed,CA)の1/20希釈液100 μl 中で
再度懸濁させた。プレートを再度シールし、4℃で30分
間振とうした。細胞をHHHSA 中で2回洗浄し、PBS 、5
%のFCS 中で1回洗浄し、PBS200μl 、2.5 %のFCS 、
1%のパラホルムアルデヒド中で再度懸濁させた。試料
をEPICS V フローサイトメトリで分析した。
【0123】試薬 全ての化学試薬は最高の等級のものであり、下記のもの
を除いてSigma Chemical Co.( セントルイス、MO) から
購入した。rIL-1 β(Genentech,CA)、HE(Polysciences,
ワリントン、PA) 、SFDA(Molecular Probes)、Na2 51CrO
4 及びNa125I(Amersham,IL) 、デキストラン-500(Pharm
acia, スウェーデン) 、牛胎児血清(Flow Laboratories
またはJR Scientific)、内皮細胞増殖因子(Chemicon In
ternational,ロサンジェルス、CA) 、HSA(Alpha Corpor
ation,ロサンジェルス、CA) 、FITCヤギ抗マウスAb(Zym
ed,CA)、プロテインA(Pharmacia, スウェーデン) 、ヨ
ードゲン(Pierce)、トリトンX-100(DuPont、ウィルミン
トン、DE) 、CsCl (BRL)、ヒポキサンチン(GIBCO,NY)。
【0124】実施例2 精製ICAM−1へのMac−1形質移入体及びLFA
−1形質移入体の接着 本発明者に好中球のMac−1がICAM−1に結合す
ることを示唆したSmith,C.W.らの研究(J.Clin.Invest.8
3:2008-2017(1989))は、好中球の複数の接着レセプタ
ー、例えば好中球発現に有意な量のLFA−1及びMa
c−1の両方の存在により複雑にされる。上記の研究は
精製タンパク質形質移入体細胞結合アッセイを使用し、
この場合、夫々のリガンド対が接着に関して独立に調べ
られた(Larson,R.S.ら、Cell Reg.1:359-367(1990)、こ
の文献は参考として本明細書に含まれる) 。
【0125】共通のβ−サブユニット及びMac−1ま
たはLFA−1のα−サブユニットに関してcDNAで
同時形質移入されたCOS 細胞を、上記の方法を使用し
て、プラスチック基質に塗布された精製ICAM−1へ
の結合について分析した。表面発現は、免疫蛍光フロー
サイトメトリにより測定して、ICAM−1の場合には
平均30%であり、LFA−1の場合には平均40%であっ
た。Mac−1及びLFA−1を発現する形質移入され
たCOS 細胞は精製ICAM−1に結合したが( 図1)、
β鎖単独で形質移入された細胞は結合しなかった。LF
A−1、Mac−1及びICAM−1のモノクローナル
抗体は付着を抑制したので接着は特異的であり、一方、
CD29のサル相同体を結合する対照モノクローナル抗体は
結合を抑制しなかった。
【0126】図1に於いて、LFA−1またはMac−
1のα鎖及び共通のβ鎖のcDNAで同時形質移入され
たCOS 細胞を、51Crでラベルし、次いで細胞及びICA
M−1被覆基質の両方を下記のモノクローナル抗体で前
処理した。対照(TS2/16)、LFA−1(TS1/22)、Mac
−1(LPM19c)、ICAM−1(R6.5 及びRR1/1)。続い
て、細胞をICAM−1で被覆した35mmのペトリ皿の上
に37℃で1時間にわたって沈降させた。プレートをピペ
ット操作により4回洗浄し、結合細胞を取り出し、γ線
で定量した。51Crでラベルする前に、小比率の細胞をL
FA−1(TS1/22)モノクローナル抗体またはMac−1
(LM2/1) モノクローナル抗体で染色し、陽性細胞の比率
( %) をフローサイトメトリにより測定した。そのデー
タを、結合細胞の比率を陽性細胞の比率で割ることによ
り表面発現に関して規格化した。規格化しないと、β鎖
単独、Mac−1、及びLFA−1で形質移入されたCO
S 細胞は、夫々細胞の7%、30%、及び40%で発現に関
して陽性であった。そのデータは三つの別々の実験の平
均であり、誤差バーは平均の標準偏差を表す。
【0127】Mac−1形質移入体の接着は弱く(LF
A−1形質移入体の場合の75%に較べて44%の結合) 、
37℃で起こったが23℃では起こらず、一方、LFA−1
で形質移入されたCOS 細胞は23℃でICAM−1に結合
した。実施例3 官能性Mac−1の免疫アフィニティ精製 Mac−1とICAM−1の間の相互作用の確証を更に
得るため、上記の相互アッセイを使用してICAM−1
を有する細胞が精製Mac−1に結合するか否かを測定
した。官能性である形態のLFA−1を得るのに使用し
た操作の改良型(この場合、α鎖及びβ鎖は非共有結合
で混在したままである)(Dustin,M.L.ら、Nature341:61
9-624(1989))を使用してMac−1を上記のようにして
精製した。
【0128】末梢血白血球をMg2+の存在下でトリトンX-
100 に溶解し、Mac−1α/β複合体を上記のように
してLM2/1 モノクローナル抗体アフィニティカラムに結
合した。トリトンX-100 を透析可能な洗剤オクチル−β
−D−グルコシドと交換した。種々の塩、2価カチオン
濃度及びpHの溶離条件を試験し、収率及びヘテロダイマ
ーを再沈する能力について最適化した。最適の緩衝液は
50ミリモルのトリエチルアミンpH10.0、300 ミリモルの
NaCl、及び2ミリモルのMg2+を含んでいた。この操作に
より得られたMac−1は実質的に純粋であり、160,00
0 及び95,000のMrの二つのバンドで還元SDS-PAGEで移動
し、これは従来の観察(Mller,L.J. ら、Immunol.138:23
81-2383(1987))と一致した。精製物の抗βモノクローナ
ル抗体TS1/18による免疫沈澱はヘテロダイマーを生じ、
これは溶離後に二つの鎖が混在したままであったことを
示す。この物質は補体レセプター3活性を有していた。
何となれば、それはiC3b被覆赤血球に特異的に結合した
が、抗Forsmann抗体(Diamond,M.S. ら、Leukocyte Typi
ng IV,Knapp.W.ら編集、オクスフォード大学、ロンド
ン、570-574 頁(1989)、この文献は参考として本明細書
に含まれる) のみで被覆された赤血球に結合しなかった
からである。約500 μg の無傷のMac−1を白血球10
g から回収した。
【0129】実施例4 精製Mac−1及びLFA−1へのICAM−1cDN
Aで形質移入された細胞の接着 ICAM−1を有する細胞がMac−1と相互作用する
か否かを試験するために、COS 細胞をICAM−1cD
NAで形質移入し、Mac−1被覆基質上に沈降させ
た。形質移入されたCOS のICAM−1の表面発現は平
均50〜60%であり、一方、ベクターで形質移入されたCO
S 細胞は発現を示さなかった。これを、ベクター単独ま
たはICAM−1cDNAで形質移入されたCOS 細胞、
またはICAM−1cDNAで形質移入されなかったL
細胞もしくはICAM−1cDNAで形質移入されたL
細胞の蛍光強度を分析することにより測定した。細胞を
ICAM−1モノクローナル抗体(RR1/1)、FTTCヤギ−
抗マウスIgG と共にインキュベートし、フローサイトメ
トリにかけた。ICAM−1を発現するCOS 細胞は精製
Mac−1に接着したが、一方、ベクター単独で形質移
入された細胞は接着しなかった。これを実証するため、
COS 細胞をICAM−1cDNAまたはベクター単独で
形質移入し、35mmのペトリ皿中で37℃で50分間で精製M
ac−1のスポットの上に沈降させた。細胞及び皿を対
照のモノクローナル抗体(TS2/16)、Mac−1のモノク
ローナル抗体(LPM19c)、またはICAM−1のモノクロ
ーナル抗体(R6.5 及びRR1/1)で20分間前処理した。イン
キュベートした後、プレートをパスツールピペットで3
回洗浄して未結合の細胞を除去した。結合はMac−1
αのモノクローナル抗体(LPM19c)またはICAM−1の
モノクローナル抗体(R6.5及びRR1/1)で完全に阻止され
たので、結合は特異的であった。
【0130】Mac−1とICAM−1の間の相互作用
の強さを更に定量的に測定するため、投薬量応答分析を
行った。ICAM−1を発現するCOS 細胞の比率(%)
に於ける実験間の変化及び細胞間のICAM−1発現の
レベルの不均一性のために、細胞間でヒトICAM−1
発現を発現する安定な形質移入体、マウスL細胞中でヒ
トICAM−1を発現する安定な形質移入体を、Chen,
C.A. ら著、BioTechniques 6(7):632-637(1988)( この
文献は参考として本明細書に含まれる) に記載されたよ
うにして発生させた。
【0131】100 %のL細胞が多量のヒトICAM−1
を発現するコロニーを選択した。滴定実験を行い、この
場合ICAM−1+ L細胞を広範囲のMac−1部位密
度で塗布した基質に結合させた(図2)。図2に於い
て、ICAM−1+ のL細胞またはICAM−1- のL
細胞(形質移入されなかったもの)を51Crでラベルし
た。抗体阻止試験のために、ウェルプレート及び細胞の
両方を下記のモノクローナル抗体で前処理した。対照(M
1/42)、Mac−1(LPM19c)、及びICAM−1(R6.
5)。細胞をMac−1を塗布したウェルに添加し、37℃
で45分間インキュベートした。未結合の細胞を、4回洗
浄した後、微小ニードルアスピレーション(26ゲージ)
により除去した。結合細胞を0.2 NのNaOHで取り出し、
γ線で定量した。部位密度を平行して測定し、125I-LM2
/1によるラジオイムノアッセイにより定量した。全ての
実験を3回行い、示されたデータは三つの別々の実験の
平均である。誤差バーは標準偏差を表す。
【0132】ICAM−1を発現するL細胞は投薬量に
依存する様式でMac−1に接着し、有意な接着がみら
れる前に約250 の部位/ μm2の限界値を有していた。M
ac−1αのモノクローナル抗体(LPM19c)で前処理され
たプレート、ICAM−1のモノクローナル抗体(RR1/1
及びR6.5) で前処理された細胞、及び形質移入されなか
ったL細胞は付着しなかったので、その接着は特異的で
あった。
【0133】低緊縮性の洗浄プロトコルを使用すること
のために、LFA−1を塗布した基質及びMac−1を
塗布した基質に関して平行実験を行って相対的な結合活
性の相違を調べた( 図3)。基質に結合したMac−1
及びLFA−1の量を、共通β鎖のモノクローナル抗体
によるラジオイムノアッセイにより測定した。結合率
(%)を、下記の方法で測定した。ICAM−1+ のL
細胞を、Mac−1(図3中、白丸)及びLFA−1
(図3中、黒丸)のスポットで塗布された60mmのペトリ
皿に37℃で50分間にわたって添加した。未結合の細胞を
3回の洗浄によりパスツール・ピペットで除去した。結
合細胞を、夫々の実験箇所に関して4〜5の高出力の光
学顕微鏡中で細胞の数を目視で数えることにより定量し
た。この数を割って細胞のインプット数とし、細胞結合
率(%)を得た。インテグリンを塗布したスポットの外
側の結合は1〜3%の間で変化した。125I-TSI/18(抗CD
18) を使用して部位密度を測定した。二つの実験の内の
一つの代表的な実験が図示され、誤差バーは標準偏差を
表す。
【0134】ICAM−1+ L細胞は、わずかに高い結
合活性でLFA−1基質に接着した。何となれば、精製
Mac−1に関する結合等温線は高い部位密度にシフト
されたからである。Mac−1へのICAM−1+ L細
胞の結合は、LFA−1への結合よりもさらに温度感受
性であった(図4)。図4に於いて、ICAM−1+
細胞を、示された温度で10分間プレインキュベートし、
次いでMac−1及びLFA−1のスポットを含む60mm
のペトリ皿に添加した。皿を適当な温度で50分間インキ
ュベートし、パスツール・ピペットにより3回洗浄し、
高出力の倍率で接着細胞を目視で数えた。125I-TSI/18
(抗CD18) によるラジオイムノアッセイにより測定し
て、LFA−1の部位密度は803 部位/ μm2であり、M
ac−1の部位密度は738 部位/ μm2であった。結合率
は上記のようにして測定した。図4中に、二つの実験の
内の一つの代表的な実験が示され、そのデータは二つの
実験の平均であり、誤差バーは標準偏差を表す。*印
は、ICAM−1形質移入体が4℃で精製Mac−1に
結合しなかったことを示す。
【0135】基質に対するLFA−1及びMac−1の
均等な部位密度にもかかわらず、細胞は室温でLFA−
1に強く接着するが、Mac−1に弱く接着し、一方、
37℃では量的な接着に殆ど差がないか、または全く差が
なかった。実施例5 精製Mac−1へのHUVEC の接着 刺激されたHUVEC がICAM−1に依存性の様式でMa
c−1に接着したことを確かめるために、Mac−1基
質に結合するそれらの能力を試験した。HUVECは、IL-1
βまたはLSP で18〜24時間刺激された場合、高緊縮性の
洗浄条件下で精製Mac−1に結合することがわかった
( 図5)。
【0136】図5に於いて、IL-1β(5U/ml、18時間) 及
びLSP(1 μg/ml、24時間) で刺激され、または刺激され
なかったHUVEC を51Crでラベルし、Mac−1を塗布し
た96ウェルプレートに添加し、1時間インキュベートし
た。未結合の細胞を微小ニードルアスピレーションによ
り高緊縮性で洗浄した。結合細胞を回収し、γ線により
定量した。細胞及びプレートを下記のモノクローナル抗
体と共に室温で25分間プレインキュベートすることによ
り抗体阻止を行った。対照(W6/32) 、Mac−1(LMP19
c)、ICAM−1(R6.5 及びRR1/1)。これらの実験を3
回行い、図示されたデータは三つの別々の実験の平均で
ある。誤差バーは標準偏差を示す。
【0137】接着はICAM−1のモノクローナル抗体
(LPS に関して82%、IL-1βに関して66%) 及びMac
−1のモノクローナル抗体( 両方の場合とも>95 %) に
より抑制され、対照モノクローナル抗体により抑制され
なかったので、接着は特異的であり、主にICAM−1
依存性であった。少量のICAM−1を発現した未刺激
のHUVEC(Dustin,M.L. ら、J.Immunol.137:245-254(198
6))はこの緊縮性の洗浄で精製Mac−1に殆ど付着し
なかった。
【0138】実施例6 Mac−1及びLFA−1への接着の阻止に於けるIC
AM−1モノクローナル抗体間の相違 上記の相互接着アッセイは、Mac−1及びLFA−1
の両方がICAM−1に結合し得ることを示した。この
結果は、ICAM−1のどのエピトープがLFA−1及
びMac−1との相互作用に関与するかという疑問をか
りたてた。この疑問を解くため、ICAM−1+ L細胞
ICAM−1をMac−1のリガンドとして試験した。
【0139】これを行うため、ICAM−1+ L細胞
を、飽和濃度の示されたICAM−1モノクローナル抗
体で4℃で20分間前処理した。次いで細胞を、Mac−
1またはLFA−1でスポットされた60mmのペトリ皿に
添加し、37℃で50分間インキュベートした。未結合の細
胞を、パスツール・ピペットを使用して3回の洗浄で除
去した。細胞結合率を上記のようにして測定した(図
6)。そのデータは二つの別々の実験の平均であり、誤
差バーは標準偏差を示す。
【0140】モノクローナル抗体阻止データ(図6)
は、LFA−1及びMac−1に対するICAM−1の
相互作用の部位に関する相違を示唆する。モノクローナ
ル抗体R6.5) のみが、Mac−1及びLFA−1で塗布
された基質へのICAM−1形質移入されたL細胞の結
合をかなり抑制できたが、一方、LFA−1−ICAM
−1作用(Lo,S.K. ら、J.Immunol.143:3325-3329(198
9);Makgoba,M.W.ら、Nature331:86-88(1988);Marlin,S.
D.,Cell 51:813-819(1987);Rothlein,R. ら、J.Immuno
l.137:1270-1274(1986);Smith,C.W.ら、J.Clin.Invest.
82:1746-1756(1988)) を阻止するその他のモノクローナ
ル抗体(RR1/1、LB-2、84H10 、CBRIC1/4) はMac−1
への結合を減少しなかった。
【0141】更に、一つの新規なモノクローナル抗体(C
BRIC1/1)はMac−1−ICAM−1接着を部分的に阻
止した。別の証拠は、Mac−1とLFA−1はICA
M−1と同等には相互作用しないことを示す。Larsonら
(Cell Reg.1:359-367(1990) 、この文献は参考として本
明細書に含まれる) は、Mac−1及びLFA−1を発
現するCOS 細胞形質移入体がICAM−1塗布基質に接
着され、高緊縮性条件下で微小ニードルアスピレーショ
ンにより洗浄される場合に、LFA−1+ 細胞のみが付
着したままであることを示していた。しかしながら、本
明細書に記載した実験は、細胞が更に穏やかに洗浄され
る場合に、Mac−1が形質移入されたCOS 細胞及びL
FA−1が形質移入されたCOS 細胞の両方が結合された
ままであることを明らかにする。こうして、LFA−1
とICAM−1の相互作用は、より一層剪断抵抗性であ
ることが明らかである。この現象は、一部、結合活性の
相違により説明し得る。Mac−1またはLFA−1へ
のICAM−1+ L細胞結合について平行接着アッセイ
を行う場合、Mac−1より少量のLFA−1が細胞接
着を支持することがわかる。注意すべき点は、共通のβ
−サブユニットのモノクローナル抗体がMac−1及び
LFA−1の密度を定量するのに使用され、そしてその
モノクローナル抗体が、混在されているが自由ではない
β−サブユニットと反応する(Kishimoto,T.K.ら、Cell
50:193-202(1987))が、プラスチック上にあってICA
M−1に結合し得る活性立体構造のタンパク質の比率が
確かではないことである。
【0142】実施例7 HUVEC との接合に及ぼす好中球の走化性刺激の効果 好中球の走化性刺激は、未刺激の好中球の基準の複合体
形成よりもHUVEC との接合にかなりの増加をもたらした
( 表2)。刺激後の好中球と接合されるHUVECの数は3
〜4倍増加した。抗LFA−1αモノクローナル抗体で
あるTS1/22を添加した場合、複合体の形成はわずかであ
るが統計上有意に抑制されなかった。Mac−1αモノ
クローナル抗体のモノクローナル抗体を添加した場合、
刺激細胞複合体のかなりの抑制(73 %) があった。抗L
FA−1モノクローナル抗体と抗Mac−1モノクロー
ナル抗体の組み合わせまたは共通ベータ鎖の抗体は、最
大の抑制(88 %〜98%) を示した。R6.5Fab フラグメン
ト及びRR1/1 Fab2フラグメントは複合体形成を48.3%減
少した。この抑制はLFA−1抗体単独の抑制より大き
かったので、これらの結果は、LFA−1及びMac−
1の両方がICAM−1と相互作用したことを示す。CD
18依存性の接着はICAM−1のモノクローナル抗体だ
けでは抑制し得なかったので、LFA−1及び/または
Mac−1は別のリガンドと相互作用していることが明
らかであった。LFA−1に関して、ICAM−1は有
力な可能性があるが、Mac−1がICAM−2に結合
することは明らかではなく、こうしてその他の一種以上
の内皮細胞表面カウンター−レセプターが関与し得る。
【0143】表2に於いて、HEで赤に染色された好中球
(1.5X106) 及びSFDAで緑に染色されたHUVEC(6X105)を再
度懸濁させ、下記のモノクローナル抗体で別々に前処理
した。対照(W6/32) 、ICAM−2(CBRIC2/1)、LFA
−1(TS1/22)、Mac−1(LPM19c)、CD18(YFC51.1) 、
ICAM−1(R6.5 Fab 及びRR1/1 Fab'2)。細胞を24ウ
ェルプレート中で混合し、37℃でプレインキュベートし
た。fMLP(10 -7 M) を添加し、細胞を37℃で75rpm で10
分間攪拌した。得られた懸濁液を直ちにフローサイトメ
トリにより分析した。そのデータは好中球との異型複合
体中に見られるHUVEC の比率( %) として表され、刺激
好中球の接合の抑制はfMLPで刺激されなかった複合体の
基準レベルに対して表される。プールT試験を使用して
有意差を測定した。NSは、これらの値が対照と統計上
異なった(p>0.05)ことを意味する。括弧内の数値は標準
偏差を示す。
【0144】 表2 fMLPで刺激された好中球と24時間LPS 培養されたHUVEC の間の複合体形成 モノクローナル抗体 fMLP 複合体中のHUVEC(%) n 接着抑制率( %) ナシ − 12±3 6 − CD18 − 9±1 3 25.0 NS ナシ + 42±6 5 − 対照 + 41±5 7 0.3 NS ICAM−2 + 44±6 5 0.6 NS LFA−1 + 38±6 5 14.4 NS Mac−1 + 21±6 7 73.0(p<0.005) CD18 + 16±5 5 88.0(p<0.0005) Mac-1 + LFA-1 + 13±3 5 98.3(p<0.0005) ICAM−1 + 27±3 8 48.3(p<0.0005) 実施例8 Mac−1とICAM−1との間の相互作用に関する結
上記の実験は、精製Mac−1がICAM−1依存性の
細胞接着を媒介したことを実証し、また逆に、精製IC
AM−1がMac−1依存性の細胞接着を媒介したこと
を実証することにより、Mac−1がLFA−1(Marli
n,S.D.,Cell 51:813-819(1987)) のようにICAM−1
のカウンター・レセプターであることを立証する。
【0145】推定のカウンター・レセプターの特異的な
cDNAで形質移入された細胞を使用して、別のレセプ
ター−リガンド相互作用に関連する複雑な問題を排除し
た。これらの結果は、ICAM−1+ 形質移入体及びM
ac−1+ 形質移入体が夫々精製されたMac−1及び
ICAM−1を結合することを示す。これらの結果が実
験系の人工物であるという可能性を除外するために、刺
激された内皮細胞と精製Mac−1との間のMac−
1、ICAM−1依存性の接着を実証した。
【0146】そのようにしてICAM−1+ HUVEC と接
合された細胞からの刺激されたMac−1+ 末梢血好中
球はMac−1モノクローナル抗体及びICAM−1モ
ノクローナル抗体で抑制されたので、細胞−細胞状況下
のMac−1−ICAM−1相互作用がまた示された。
Mac−1及びLFA−1の両方へのICAM−1の結
合は、免疫グロブリンのような分子が一種より多くのイ
ンテグリンに接着し得ることを示した。しかしながら、
二種の姉妹白血球インテグリンとICAM−1の間の相
互作用は同一ではない。
【0147】LFA−1とMac−1の相互作用を区別
するその他の特徴は、接着に及ぼす温度の顕著な効果で
ある。ICAM−1+ L細胞及びCOS 細胞は室温で精製
固相LFA−1に強く結合するが( 図4)、精製Mac
−1にかなり接着するのには厳守すべき37℃の温度要件
がある( 図4)。また、ICAM−1を有する細胞と精
製Mac−1との相互作用は、LFA−1との相互作用
よりもエネルギー依存性であることが明らかである(Sta
unton,D.E.,Nature339:61-64(1989)) 。Mac−1とI
CAM−1の相互作用の温度及びエネルギー依存性は、
細胞表面で、より大きなICAM−1のクラスター形成
(clustering)がなされることの必要なため、または、よ
り一層緊密な細胞−基質の付着の必要なことのためであ
り得る。LFA−1との強い相互作用と一致して、IC
AM−1を発現する形質移入細胞は、Mac−1基質よ
りもLFA−1塗布基質上で、より一層広がり平らにな
ることが観察される。
【0148】ICAM−1へのMac−1の結合は、M
ac−1が内皮細胞表面カウンター−レセプターと相互
作用することを直接実証する。この知見は、内皮細胞へ
の好中球接着がMac−1のモノクローナル抗体により
抑制されること(Anderson,D.C.ら、J.Immunol.137:15-2
7(1986);Harlan,J.M. ら、Blood66:167-178(1985);Zimm
erman,G.A.ら、J.Clin.Invest.81:531-537(1988)、並び
に未刺激の内皮細胞(Smith,C.W. ら、J.Clin.Invest.8
2:1746-1756(1988)) またはICAM−1を含む平面状
の膜(Smith,C.W. ら、J.Clin.Invest.83:2008-2017(198
9)) へのfMLPで刺激された好中球のMac−1及びLF
A−1依存性の接着がICAM−1のモノクローナル抗
体(R6.5)により完全に阻止されることを示す従来の研究
を説明する。
【0149】対照的に、ICAM−1はMac−1のリ
ガンドではないことが報告されていた(Lo,S.K.ら、J.Im
munol.143(10):3325-3329(1989))。その研究に於いて、
フォルボールエステルで刺激された好中球は、LFA−
1、Mac−1及びICAM−1依存性であるように未
刺激の内皮細胞に接着し、その結果は本明細書に示され
たデータと一致する。しかしながら、このグループはL
FA−1のみがICAM−1と相互作用すると結論し
た。何となれば、LFA−1モノクローナル抗体及びI
CAM−1モノクローナル抗体(LB-2 、84H10)による抑
制は相加性ではなく、一方、Mac−1モノクローナル
抗体及びICAM−1モノクローナル抗体による抑制は
相加性であるからである。先の論文の相違は、モノクロ
ーナル抗体選択の不一致により一部説明し得る。ここ
で、R6.5モノクローナル抗体はMac−1−ICAM−
1相互作用及びLFA−1−ICAM−1相互作用の両
方を阻止したが、一方、LB2 及び84H10 モノクローナル
抗体はLFA−1−ICAM−1結合のみを抑制するこ
とが示される( 図6)。
【0150】本明細書に示されたモノクローナル抗体阻
止データは、ICAM−1分子の領域を区別するための
mAb エピトープを地図作製する突然変異誘発研究(Staun
ton,D.E.ら、Cell 61:243-254(1990))と一致する。RR1/
1 及びLB-2は第一N末端免疫グロブリン領域にマッピン
グされるが、一方、R6.5は第二領域にマッピングされ
る。また、そのデータは生体内実験(Barton,R.W.ら、J.
Immunol.143:1278-1282(1989))と一致し、これらの実験
は、LFA−1のモノクローナル抗体(R3.1)ではなくCD
18のモノクローナル抗体(R3.3)またはICAM−1のモ
ノクローナル抗体(R6.5)で前処理された後のフォルボー
ルエステルで炎症にされたウサギの肺中の果粒細胞浸潤
の減少を示す。これらの知見は、刺激好中球が接着のM
ac−1−ICAM−1依存性経路を利用して炎症内皮
への生体内付着を媒介し得ることを示す。
【0151】本明細書に示された実験は、未刺激の内皮
細胞(Lo,S.K.ら、J.Immunol.143(10):3325-3329(1989))
及び刺激内皮細胞の表面に於けるICAM−1とは異な
るMac−1のカウンターレセプターとしての可能性と
一致する。本発明で使用したアッセイでは、内皮細胞I
CAM−1は好中球のMac−1依存性接着の全てをそ
れ自体では相殺し得ない。高緊縮性の洗浄条件下の精製
Mac−1への刺激HUVEC の接着は、ICAM−1のモ
ノクローナル抗体によりわずかに部分的に(66〜82%)
阻止された( 図5)。更に、この緊縮性では未刺激のHU
VEC はMac−1に殆ど接着しなかったが、低緊縮性で
洗浄された場合には、精製Mac−1への非ICAM−
1依存性のかなりの接着があった。この結果は、未刺激
の内皮細胞へのfMLPで刺激された好中球接着がICAM
−1のモノクローナル抗体により84%阻止されることを
示した論文(Smith,C.W. ら、J.Clin.Invest.82:1746-17
56(1988)) と相反する。この不一致は、Mac−1の第
二リガンドを誘導し得る未処理のHUVEC の組織培養条件
の相違により説明し得る。
【0152】こうして、本発明は、ICAM−1とMa
c−1の相互作用を調べるための、多重細胞結合アッセ
イ、精製されたMac−1及びICAM−1、並びにM
ac−1及びICAM−1のcDNAで形質移入された
細胞系の使用を記載する。ICAM−1の高い表面密度
を発現する刺激HUVEC は、Mac−1及びICAM−1
のモノクローナル抗体により抑制されることがわかるよ
うに人工基質に吸着された免疫アフィニティ精製Mac
−1に結合する。ヒトICAM−1を発現する形質移入
されたマウスL細胞またはサルCOS 細胞は、特異的な投
薬量依存性の様式で精製Mac−1に結合した。Mac
−1への付着は、LFA−1への付着と較べて、温度感
受性であり、結合活性が低く、異なる系列のICAM−
1モノクローナル抗体により阻止されることがわかっ
た。相互アッセイに於いて、Mac−1またはLFA−
1のα鎖及びβ鎖cDNAで同時形質移入されたCOS 細
胞は、免疫アフィニティ精製ICAM−1基質に付着し
た。この接着はICAM−1及びMac−1またはLF
A−1のモノクローナル抗体により阻止された。二色蛍
光細胞複合体実験は、fMLPで刺激された好中球がICA
M−1、Mac−1、及びLFA−1に依存する様式で
LPS で刺激されたHUVEC に24時間で結合することを示し
た。細胞Mac−1及び精製Mac−1は細胞ICAM
−1及び精製ICAM−1と相互作用したので、ICA
M−1はMac−1のカウンターレセプターであるこ
と、及びこのレセプターは刺激好中球と刺激内皮細胞の
間の接着に一部責任を負うことが結論された。
【0153】上記の研究は、ICAM−1がLFA−1
のカウンターレセプターであるだけでなく、Mac−1
のカウンターレセプターであることを示す。細胞−細胞
結合研究は、好中球Mac−1がHUVEC で発現されたI
CAM−1と相互作用することを実証する。また、これ
らの知見は、Mac−1が内皮細胞の表面のICAM−
1以外の少なくとも一種の別の細胞リガンドと相互作用
することを示す。
【0154】実施例9 Mac−1結合部位の地図作製 上記のモノクローナル抗体阻止データは、予期しないこ
とに、Mac−1及びLFA−1がICAM−1の同じ
結合部位を共有しないことを示唆した。この点を調べる
ため、ICAM−1のアミノ酸置換及び領域欠失を行っ
た。
【0155】オリゴヌクレオチド誘導突然変異誘発を、
Kunkel,T.A.(Proc.Natl Acad.Sci.USA,82:488-492(198
5))により記載されたようにして、またPetersonら(Natu
re,329:842-846(1987))により改良されたようにして行
い、これを使用してICAM−1欠失置換を生じた(Sta
unton,D.E.ら、Cell 61:243-254(1990) 、この文献は参
考として本明細書に含まれる) 。
【0156】50%の集密度のCOS 細胞を、野生型または
突然変異型のICAM−1を含むベクターまたはベクタ
ー単独6μg を使用してDEAE- デキストラン法(Kingsto
n,R.E.著、Current Protocols in Molecular Biology,G
reene Publishing Associates 、9.0.1-9.9.6(1987))に
より形質移入した。COS 細胞を、アッセイの1日前にト
リプシン−EDTAを使用して懸濁させ、3日目に再度接種
した。精製されたMac−1もしくはLFA−1への結
合アッセイまたは免疫蛍光染色のため、形質移入した細
胞を食塩加入リン酸緩衝液(PBS) 、5ミリモルのEDTAで
溶離し(5分間、37℃) 、PBS 、1ミリモルのMgCl2 、0.
5nM のCaCl2 、0.2 %のグルコース、0.25%のヒト血清
アルブミンで3回洗浄した。
【0157】間接免疫蛍光染色を、モノクローナル抗体
RR1/1(Rothlein,R.M. ら、J.Immunol.137:1270-1274(19
86))、R6.5(Rothlein ら、J.Immunol.141:1665-1669(19
88))、及びCL203(Maio,M. ら、J.Immunol.143:181-188
(1989))を使用して行った。COS 細胞(5X105) を、免疫
アフィニティ精製されたMac−1及びLFA−1の分
画スポットで塗布された50mmのペトリ皿に添加し、37℃
で45分間接着させた。未結合の細胞をトランスファーピ
ペットで4回洗浄して除去し、プレートに符号を付け、
結合細胞を3回の独立の観察により計数した。LFA−
1及びMac−1へのICAM−1突然変異体の結合
を、インサートを含まないベクターで形質移入したCOS
細胞への結合(mock)について修正し、モノクローナル抗
体RR1/1 またはCL203(欠失に依存する) によるCOS 細胞
染色率( %) 及び野生型で得られた結合率( %) につい
て規格化した。
【0158】 LFA−1及びMac−1へのICAM−1結合に及ぼ
すアミノ酸置換の効果を示すために、Staunton,D.E.
ら、Cell 61:243-254(1990) に記載されているような突
然変異体をつくった。結合アッセイ、免疫蛍光、及び還
元データを図7に記載したように行った。領域1及び2
中でモノクローナル抗体のエピトープの全部を発現しな
い突然変異体を、イタリック体で示し、その指定のため
に下線を施す(Staunton,D.E.ら、Cell 61:243-254(199
0))。領域1中のボールド体の(boldface)突然変異体
は、LFA−1への結合を75%以上減少する突然変異体
に相当する。領域3中のボールド体の突然変異は、Ma
c−1への結合にかなりの効果(p<0.05)を有する突然変
異に相当する。小胞体グルコシダーゼインヒビターであ
るデオキシマンノジリマイシンを、精製Mac−1への
ICAM−1+ L細胞及びCOS 細胞接着に及ぼすその効
果に関して試験した(図8)。このインヒビターはゴル
ジ装置中で複合炭水化物添加を阻止し、こうしてN連鎖
部位を有するタンパク質は高マンノース、エンドH感受
性グリコシル化を保持する。細胞を40μg/mlのデオキシ
マンノジリマイシン(CalBiochem)で3日間処理し、次い
でフローサイトメトリにより表面発現について測定し、
接着について測定した。
【0159】実施例10 ICAM−1のMac−1結合部位 上記の形質移入体試験に於いて、ICAM−1のモノク
ローナル抗体間の抑制のパターンがLFA−1とMac
−1との間で異なることが予期せずに観察された。LF
A−1−ICAM−1相互作用を阻止するICAM−1
の4種のモノクローナル抗体はMac−1への結合に影
響せず、Mac−1への接着を低下する1種のモノクロ
ーナル抗体はLFA−1への付着を低下せず、そして唯
一のモノクローナル抗体がMac−1及びLFA−1の
両方への接着を阻止した。
【0160】従来、LFA−1に関するICAM−1結
合は、ICAM−1の領域欠失形態を使用して、最初の
二つのN末端Ig様領域に局在化されていた。本明細書に
記載した実験では、Mac−1に関するICAM−1の
結合部位を局在化した。表3は、LFA−1及びMac
−1へのアミノ酸置換突然変異体の結合を示す。そのデ
ータは2〜3回の独立の実験の平均であり、括弧内の値
は標準偏差を表す。
【0161】結合部位を同定するため、オリゴヌクレオ
チド誘導突然変異誘発(Staunton,D.E.ら、Cell 52:925-
933(1988))により生じたICAM−1の領域欠失形態を
COS細胞に形質移入し、免疫蛍光により陽性発現につい
て測定し、精製されたMac−1及びLFA−1の分画
スポットへの接着に関して試験した( 図7)。これは、
精製LFA−1に結合する能力がIg様領域D3-D5 の欠失
または細胞質テイルの欠失の後に保持されることを確か
めた。しかしながら、Mac−1に関する結果は全く異
なっていた。D3が存在する場合にのみ、Mac−1への
接着が保持された。D3-D4-D5- 突然変異体及びD3- 突然
変異体の両方が精製Mac−1に結合するそれらの能力
を失っていた(>95%) 。細胞質領域の損失またはホスホ
イノシトールグリカンテイルのICAM−1の五つの細
胞外のIg様領域の配置は、Mac−1への接着に殆ど影
響せず、D4及びD5の欠失はMac−1への結合をわずか
に減少した。
【0162】ICAM−1のD1がMac−1との相互作
用に必要とされないことを確かめるため、ICAM−1
のアミノ酸置換突然変異体(Staunton,D.E.ら、Cell 52:
925-933(1988))を、Mac−1に接着するそれらの能力
について試験した。これらの突然変異体を、Ig様分子の
構造上の予測に従ってβ鎖を連結するループ中でつくっ
た。ループはIgスーパーファミリィ(Williams ら、Ann.
Rev.Immunol.,6:381-405(1988)) の膜中の分子間接触の
部位として作用すると仮定される。領域立体構造を変え
ないでLFA−1への結合を最も強く阻止するD1中の二
種の単一アミノ酸置換突然変異体、E34/A 及びQ73/H
は、精製Mac−1への接着を低下しない( 表3)。三
種のその他の突然変異体、R13G/EA 、Q58EDS/AKDI 、及
びD60S/KL(これらは三つの異なるモノクローナル抗体エ
ピトープ(Staunton,D.E.ら、Cell 52:925-933(1988))の
損失により判断されるように、D1及びD2の立体構造を乱
した) は全てLFA−1への結合を阻止するが、Mac
−1への結合に影響しなかった。D1中の全てのその他の
突然変異体はMac−1へのICAM−1接着に影響し
なかった。このデータは、D1がMac−1への接着に殆
ど役割をもたないことを示し、ICAM−1のD1にマッ
ピングされるモノクローナル抗体((RR1/1 、LB-2、84H1
0)Staunton,D.E. ら、Cell 61:243-254(1990) 、この文
献は本明細書に参考として含まれる) が、Mac−1へ
の野生型のICAM−1結合を阻止しないが、それらが
LFA−1への接着を種々の程度に低下する(Staunton,
D.E.ら、Cell 61:243-254(1990))ことの理由を説明す
る。
【0163】D2中のエピトープ(Staunton,D.E.ら、Cell
61:243-254(1990))を認識するICAM−1のR6.5モノ
クローナル抗体は、Mac−1への野生型のICAM−
1接着を約90%低下することが示された。しかしなが
ら、ICAM−1のD2はおそらくMac−1への接着の
主要な部位を構成しない。N103/K突然変異体[これはD1
及びD2の立体構造を充分に乱してRR1/1 、LB-2、及びR
6.5の結合にかなりの低下を生じる(Staunton,D.E.ら、C
ell 61:243-254(1990))]は、LFA−1への結合を排
除するにもかかわらず、Mac−1への結合に影響しな
かった。また、R6.5エピトープを完全に破壊するE111GG
A/KAGS突然変異体はMac−1への接着を低下しない。
D2中のすべてのその他のアミノ酸置換突然変異体はMa
c−1またはLFA−1への接着に殆ど変化を生じなか
った( 表3)。
【0164】領域欠失実験は、D3がMac−1へのIC
AM−1結合に必要とされることを示す。この知見を確
かめ、展開させるために、D3中のアミノ酸置換突然変異
体をMac−1への接着に関するそれらの効果について
試験した。三種の突然変異体はMac−1への接着に顕
著な効果を有していた。D229QR/HLEはMac−1への結
合を完全に排除したが、一方、E254DE/KEKはそれを約4
倍低下した。この効果は低表面レベルにより生じなかっ
た。何となれば、D229QR/HLE及びE254DE/KEKの両方は野
生型レベルで発現され(Staunton,D.E.ら、Cell 61:243-
254(1990))、LFA−1への結合は保持されるからであ
る。潜在的なN連鎖グリコシル化部位を除くN240DS/KNA
突然変異体及びN269QSQE/IQAEQ突然変異体は、予期しな
いことに結合を増加した。D3突然変異に関して注意すべ
き点は、エピトープが本明細書でマッピングされる一種
以上のモノクローナル抗体を欠いているので、これらの
突然変異のうちの幾つかが分子の立体構造を総体的に乱
さないことは確かではないことである。しかしながら、
D3中の全ての突然変異はLFA−1への接着を支持し、
D3に部分的にマッピングされる一種のモノクローナル抗
体、CBRIC1/1は、D229、E254, 及びN269中の突然変異を
含むICAM−1分子でそのエピトープを保持する。
【0165】LFA−1への結合を阻止する突然変異と
Mac−1への結合を阻止する突然変異の比較を行っ
た。E34/A 突然変異体及びD229QR/HLE突然変異体は、β
鎖CとD(Williams ら、Ann.Rev.Immunol.,6:381-405(1
988)) の間のループ中の、D1及びD3のIg様領域中の相同
位置の変化を生じた。ヒトICAM−1、マウスICA
M−1(Horley ら、EMBO J.,8:1889-2896(1989))、及び
ヒトICAM−2の第一領域中には、LFA−1とIC
AM−1の接触部位として提案されるE34 残基(Staunto
n,D.E.ら、Cell 61:243-254(1990))付近のペプチド配列
に強い保存がある。D1中のこの重要な残基は、Mac−
1への結合を阻止する突然変異D229QR/HLEの部分である
D3中の保存Q230( ヒト及びマウスICAM−1の間) 残
基と並んでいる。
【0166】突然変異、N240DS/KNA及びN269QSQE/IQAEQ
は、Mac−1へのICAM−1接着を2〜4倍増強し
た。これらの効果は専らMac−1の場合に生じ、今ま
でのところ行われた突然変異はLFA−1への接着を増
大しなかった。NDS ペプチド及びNQS ペプチドは、IC
AM−1中のN連鎖グリコシル化の8つの共通配列のう
ちの二つである(Staunton,D.E.ら、Cell 52:925-933(19
88))。これらの配列は全てD2とD5の間で生じる。ICA
M−1はかなりグリコシル化されていることが知られて
おり(Dustin ら、J.Immunol.,137:256-254(1986)) 、少
なくとも7個の部位がN−グリカナーゼによる酵素消化
により実証されている(Tomassiniら、J.Biol.Chem.,264
(3):1656-1662(1989))。N240及びN269グリコシル化部位
は、構造上の予想によれば、D229及びE254と同じβシー
トに面しており、嵩高の糖基またはかなり帯電された糖
基はMac−1の結合を立体的に阻害し、または化学的
に排斥し得る。
【0167】ICAM−1中のこれらの二つの突然変異
(N240DS/KNA 及びN269QSQE/IQAEQ)は、潜在的なN連鎖
グリコシル化部位を破壊し、また精製Mac−1へのCO
S 細胞の結合を増強するので、ICAM−1のグリコシ
ル化の程度はMac−1への接着を調節し得ると仮定し
た。これを試験するため、解糖プロセスの一種のインヒ
ビターであるデオキシマンノジリマイシン、及び一種の
脱グリコシル化酵素であるノイラミニダーゼが精製Ma
c−1へのICAM−1発現L細胞の接着を変化させる
能力を調べた(図9)。デオキシマンノジリマイシンは
ゴルジ関連酵素マンノシダーゼIを抑制し、培養細胞中
の複合型オリゴ糖への高マンノースの処理を抑制する(F
uhrmanら、Nature307:755-758(1984))。ノイラミニダー
ゼはN−及びO−連鎖炭水化物の末端シアル酸残基を開
裂する。示されるように、デオキシマンノジリマイシン
で3日間処理されるICAM−1を有するL細胞は、I
CAM−1を有する未処理またはノイラミニダーゼ処理
の細胞に較べて精製Mac−1への増強された結合を示
す。対照の未形質移入のL細胞はインヒビター処理また
は酵素処理の場合に結合に変化を示さない。ゴルジ中の
側鎖の修飾(高マンノースから複合型糖への変換) はI
CAM−1とMac−1の相互作用を変化させ得ると結
論される。
【0168】本明細書に示された領域欠失実験及びアミ
ノ酸置換実験は、LFA−1及びMac−1が別個の重
ならない領域中でICAM−1に、夫々D1及びD3中の部
位に結合することを示す。これらの結合部位は、タンデ
ムIg様領域の複製の結果として発生したのかもしれな
い。配列の比較は、ユニットとしてのICAM−1のD1
及びD2が、タンデム対(D1 対D2またはD1対D4) 内の個々
の領域よりもICAM−1のD3及びD4またはICAM−
1のD1及びD2に対して相同性を有していたことを示す。
タンデム領域複製のこの現象はIg系統群の員( 例えば、
NCAM及びVCAM-1に関して) の間で共通であるが、その説
明は明らかではなかった。Igスーパーファミリィの員
は、通常、NH2 末端( これは単一リガンドと相互作用す
る) 付近で一つの結合部位を有すると一般に考えられて
いた。本願の結果は、更に別のIg様領域が作用し得るこ
とを示す。こうして、タンデム領域複製は更に別の結合
部位をもたらす進化の機構であり得る。そしてICAM
−1中では、これらの部位は異なるインテグリンを結合
するように特殊化するのに充分に相離していた。
【0169】突然変異誘発データ及びモノクローナル抗
体阻止データは、Mac−1及びLFA−1がICAM
−1に、その分子の異種の領域中で結合することを強く
示唆するので、同じ細胞表面上のLFA−1分子及びM
ac−1分子は単一のICAM−1分子を結合し得る。
このような結合は、内皮細胞ICAM−1とのそれらの
接着相互作用に於いて好中球で観察されたMac−1及
びLFA−1の協力(Smith,C.W. ら、J.Clin.Invest.8
3:2008-2017(1989)、この文献は参考として本明細書に
含まれる) と合致するようである。二種の関連するイン
テグリンが同一のカウンター構造に結合するこのような
機構は、例えば、フィブロネクチン及びVLA サブファミ
リィの員とその相互作用に更に一般に適用し得る。VLA-
4 はCS-1フラグメントに結合し、一方、VLA-5 は80kdの
結合フラグメント(Hemler,M.E.,Ann.Rev.Immunol.,8:36
5-400(1990))中のRGD 配列に付着する。
【0170】 表3 ICAM−1アミノ酸置換突然変異体の精製されたMac−1 及びLFA−1への接着の要約 ──────────────────────────────── 突然変異体 平均(標準偏差) 平均(標準偏差) Mac−1 LFA−1 ──────────────────────────────── (b)領域1 Q1/T 121(80) 150(42) K8/E 110(59) 126(33) R13G/EA 109(19) 3 ( 2) D26QPK/ALPE 99(24) 80(52) E34/A 113(14) 1( 0) K39KE/ERQ 73(50) 46(33) G46NN/ASI 101(60) 140(51) R49KV/EKL 105(45) 115(11) O58EDS/AKD1 75(18) 3( 4) D60S/KL 108(25) 0( 0) Q52PM/API 110( 1) 164(19) D71/N 75(12) 97(35) Q73/H 125(59) 21(19) (c)領域2 G101K/AN 121(30) 96(23) N103/K 110 0 E111GGA/KAGS 98(16) 84 N118/Q 122(41) 164(21) R125/E 83(37) 101(41) E127/R 88( 7) 109(34) K128/R 112(36) 110(12) R149RD/EEG 102(50) 130( 5) H152HGA/EEGS 94(41) 104(42) N156/E 124 (4) 150(21) R166PQ/EPA 94 (5) 82(37) N175/A 78(41) 107(35) (d)領域3 A189T/SI 162(61) 160(22) D203TQ/TAD 139(33) 110(14) D213GL/HGV 122( 1) 145(26) D229QR/HLE 1( 2) 103(19) N240DS/KNA 205(137) 144(24) E254DE/KEK 26(23) 144(24) N269QSQI/IQAE 479(245) 108(32) ──────────────────────────────── 本発明がその特別な実施態様に関して説明されたが、そ
れは更に改良が可能であることが理解される。本願は、
一般に本発明の原理に従う本発明のあらゆる変化、使
用、または適用に及び、しかも、本発明が関係する当業
界内で既知の慣例にはいるような本開示からの逸脱、並
びに請求項の範囲に特定された必須の特徴に適用し得る
ような本開示からの逸脱を含む。
【図面の簡単な説明】
【図1】精製ICAM−1へのLFA−1及びMac−
1のCOS 細胞形質移入体の接着を示す。
【図2】精製Mac−1へのICAM−1+ L細胞接着
の投薬量応答曲線を示す。
【図3】精製されたMac−1及びLFA−1に関する
ICAM−1+ L細胞の結合活性の比較を示す。
【図4】精製されたMac−1及びLFA−1へのIC
AM−1+ L細胞接着の温度依存性を示す。
【図5】精製Mac−1へのHUVEC 接着を示す。
【図6】精製されたMac−1及びLFA−1へのIC
AM−1+ L細胞接着のモノクローナル抗体抑制研究を
示す。
【図7】LFA−1及びMac−1へのICAM−1の
領域欠失突然変異体の結合を示す。そのデータは3回の
独立の実験の平均であり、誤差バーは標準偏差を表す。
【図8】Mac−1へのICAM−1+ 細胞の接着に及
ぼす小胞体グルコシダーゼインヒビターであるデオキシ
マンノジリマイシンの効果を示す。
【図9】精製Mac−1へのICAM−1L細胞接着に
及ぼす側鎖グリコシル化の効果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C12N 15/12 (72)発明者 ドナルド イー ストーントン アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 02167チェスナット ヒル チェスナット ヒル ロード 124 (72)発明者 ティモシー エイ スプリンガー アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 02157ニュートン モナードノック ロー ド 28

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mac−1に実質的に結合できないが、
    LFA−1に実質的に結合できるICAM−1官能性誘
    導体。
  2. 【請求項2】 可溶性のICAM−1官能性誘導体であ
    る請求項1に記載のICAM−1官能性誘導体。
  3. 【請求項3】 ICAM−1の領域1、2、3、4及び
    5を含む請求項2に記載の可溶性のICAM−1官能性
    誘導体。
  4. 【請求項4】 ICAM−1の領域3中に突然変異を含
    む請求項3に記載のICAM−1官能性誘導体。
  5. 【請求項5】 前記の突然変異がICAM−1の残基22
    9-231 、及び残基254-256 の群から選ばれた残基中にあ
    る請求項4に記載のICAM−1官能性誘導体。
  6. 【請求項6】 LFA−1に実質的に結合できないが、
    Mac−1に実質的に結合できるICAM−1官能性誘
    導体。
  7. 【請求項7】 可溶性のICAM−1官能性誘導体であ
    る請求項6に記載のICAM−1官能性誘導体。
  8. 【請求項8】 ICAM−1の領域1、2、3、4及び
    5を含む請求項7に記載の可溶性のICAM−1官能性
    誘導体。
  9. 【請求項9】 ICAM−1の領域1中に突然変異を含
    む請求項8に記載のICAM−1官能性誘導体。
  10. 【請求項10】 前記の突然変異がICAM−1のE3
    4、Q58ED、及びQ73の群から選ばれた残基中にある
    請求項9に記載のICAM−1官能性誘導体。
  11. 【請求項11】 ICAM−1の領域2中に突然変異を
    含む請求項8に記載のICAM−1官能性誘導体。
  12. 【請求項12】 ICAM−1の領域3及び4を含む請
    求項7に記載の可溶性のICAM−1官能性誘導体。
  13. 【請求項13】 Mac−1及びLFA−1に実質的に
    結合できないが、ヒト・ライノウイルスを実質的に結合
    できるICAM−1官能性誘導体。
  14. 【請求項14】 Mac−1に対する増強された結合能
    力をもつことができる、グリコシル化部位を含まないI
    CAM−1官能性誘導体。
  15. 【請求項15】 前記のグリコシル部位がICAM−1
    のN269 、N240 及びN358 からなる群から選ばれる請
    求項14に記載のICAM−1官能性誘導体。
  16. 【請求項16】 非特異的防御系の反応により生じる炎
    症を治療できるが、特異的防御系の反応により生じる炎
    症を実質的に抑制できないことを特徴とする抗炎症薬。
  17. 【請求項17】 LFA−1に実質的に結合できない
    が、Mac−1に実質的に結合できるICAM−1官能
    性誘導体である請求項16に記載の抗炎症薬。
  18. 【請求項18】 可溶性のICAM−1官能性誘導体で
    ある請求項17に記載の抗炎症薬。
  19. 【請求項19】 特異的防御系の反応により生じる炎症
    を治療できるが、非特異的防御系の反応により生じる炎
    症を実質的に抑制できないことを特徴とする抗炎症薬。
  20. 【請求項20】 Mac−1に実質的に結合できない
    が、LFA−1に実質的に結合できるICAM−1官能
    性誘導体である請求項19に記載の抗炎症薬。
  21. 【請求項21】 可溶性のICAM−1官能性誘導体で
    ある請求項20に記載の抗炎症薬。
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HU217792B (hu) * 1989-03-16 2000-04-28 Dana Farber Cancer Institute Eljárás intercelluláris adhéziós molekula (ICAM-1) oldható származékai és ezeket tartalmazó gyógyszerkészítmények előállítására

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