JPH0614385A - 電気音響変換素子 - Google Patents
電気音響変換素子Info
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- JPH0614385A JPH0614385A JP17121492A JP17121492A JPH0614385A JP H0614385 A JPH0614385 A JP H0614385A JP 17121492 A JP17121492 A JP 17121492A JP 17121492 A JP17121492 A JP 17121492A JP H0614385 A JPH0614385 A JP H0614385A
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- piezoelectric
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 高耐水圧で、かつ低周波で、高感度の電気音
響変換素子を提供する。 【構成】 外部から音圧が加わると、それが圧電磁器4
1によって電気信号に変換され、端子45,46から出
力される。この際、圧電磁器41の電極43,44面方
向に加わる応力は、金属の円筒殻42によって減少す
る。そのため、静水圧モードでの圧電g定数が増加す
る。また、円板形のブロック構造であるため、単純な構
造で、高耐水圧の電気音響変換器を実現できる。
響変換素子を提供する。 【構成】 外部から音圧が加わると、それが圧電磁器4
1によって電気信号に変換され、端子45,46から出
力される。この際、圧電磁器41の電極43,44面方
向に加わる応力は、金属の円筒殻42によって減少す
る。そのため、静水圧モードでの圧電g定数が増加す
る。また、円板形のブロック構造であるため、単純な構
造で、高耐水圧の電気音響変換器を実現できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、海洋の音響計測機器等
の水中受波器に用いられ、音波を電気信号に変換するた
めの、高耐水圧で、かつ低周波で高感度な電気音響変換
素子に関するものである。
の水中受波器に用いられ、音波を電気信号に変換するた
めの、高耐水圧で、かつ低周波で高感度な電気音響変換
素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、水中受波器の電気音響変換素子の
材料としては、チタン酸バリウム、ジルコン酸・チタン
酸鉛(PZT)等の圧電磁器が用いられている。最近で
は、例えば次のような文献に記載されているように、圧
電磁器の圧電g定数を増大させた多孔質の圧電磁器の研
究も行われている。以下、従来の電気音響変換素子を図
を用いて説明する。 文献;Ferroelectrics、49(1983)Gordon and B
reach,Science Publishers(米)P.265−272 図2は、圧電磁器を用いた従来の円筒形電気音響変換素
子の斜視図である。この円筒形電気音響変換素子は、音
圧に対して、主に呼吸振動の周囲長の変化による感度を
利用したものであり、円筒形の圧電磁器11を有し、そ
の内周及び外周に電極12,13がそれぞれ形成され、
該電極12,13が端子14,15に接続されている。
この円筒形電気音響変換素子の受波感度Mは、圧電磁器
11の内径をa、外径をbとし、a/b≒1のとき、周
囲方向の圧電g定数をg31とすると、 M=20×log(|g31|・b) (dB re.
V/Pa) で表される。ここでg31は、周囲方向の圧電d定数をd
31、誘電率をεとすると、 g31=d31/ε (Vm/N) である。bが15(mm)、d31が−198×10-12
(C/N)、εが1.59×10-8(F/m)の円筒形
電気音響変換素子の場合、受波感度Mは M=−75 (dB re.V/Pa) となる。
材料としては、チタン酸バリウム、ジルコン酸・チタン
酸鉛(PZT)等の圧電磁器が用いられている。最近で
は、例えば次のような文献に記載されているように、圧
電磁器の圧電g定数を増大させた多孔質の圧電磁器の研
究も行われている。以下、従来の電気音響変換素子を図
を用いて説明する。 文献;Ferroelectrics、49(1983)Gordon and B
reach,Science Publishers(米)P.265−272 図2は、圧電磁器を用いた従来の円筒形電気音響変換素
子の斜視図である。この円筒形電気音響変換素子は、音
圧に対して、主に呼吸振動の周囲長の変化による感度を
利用したものであり、円筒形の圧電磁器11を有し、そ
の内周及び外周に電極12,13がそれぞれ形成され、
該電極12,13が端子14,15に接続されている。
この円筒形電気音響変換素子の受波感度Mは、圧電磁器
11の内径をa、外径をbとし、a/b≒1のとき、周
囲方向の圧電g定数をg31とすると、 M=20×log(|g31|・b) (dB re.
V/Pa) で表される。ここでg31は、周囲方向の圧電d定数をd
31、誘電率をεとすると、 g31=d31/ε (Vm/N) である。bが15(mm)、d31が−198×10-12
(C/N)、εが1.59×10-8(F/m)の円筒形
電気音響変換素子の場合、受波感度Mは M=−75 (dB re.V/Pa) となる。
【0003】図3は、厚み共振を利用した従来の円板形
電気音響変換素子の断面図である。この円板形電気音響
変換素子は、円板形の圧電磁器21を有し、その両面に
は正電極22及び負電極23が形成され、それらの正電
極22及び負電極23が端子24,25にそれぞれ接続
されている。この円板形電気音響変換素子を共振周波数
以下の低周波で使用した場合、該変換素子は静水圧的な
音圧を受けるため、受波感度Mは静水圧モードの圧電g
定数をgh 、厚さをtとすると、 M=20×log(|gh |・t) (dB r
e.V/Pa) で表される。ここで、分極方向の圧電g定数をg33、分
極と直角方向の圧電g定数をg31、g32とし、そのそれ
ぞれに対応する圧電d定数をd33、d31、d32とする
と、 gh =g33+g32+g31=d33/ε+d32/ε+d31/ε=dh /ε (Vm/N) である。圧電磁器21にはPZTが用いられている。t
が6(mm)、d33が417×10-12 (C/N)、d
31、d32が−198×10-12 (C/N)、誘電率εが
1.59×10-8(F/m)とすると、圧電g定数
gh 、受波感度Mは、 gh =1.32×10-3 (Vm/N) M=−102 (dB re.V/Pa) となる。
電気音響変換素子の断面図である。この円板形電気音響
変換素子は、円板形の圧電磁器21を有し、その両面に
は正電極22及び負電極23が形成され、それらの正電
極22及び負電極23が端子24,25にそれぞれ接続
されている。この円板形電気音響変換素子を共振周波数
以下の低周波で使用した場合、該変換素子は静水圧的な
音圧を受けるため、受波感度Mは静水圧モードの圧電g
定数をgh 、厚さをtとすると、 M=20×log(|gh |・t) (dB r
e.V/Pa) で表される。ここで、分極方向の圧電g定数をg33、分
極と直角方向の圧電g定数をg31、g32とし、そのそれ
ぞれに対応する圧電d定数をd33、d31、d32とする
と、 gh =g33+g32+g31=d33/ε+d32/ε+d31/ε=dh /ε (Vm/N) である。圧電磁器21にはPZTが用いられている。t
が6(mm)、d33が417×10-12 (C/N)、d
31、d32が−198×10-12 (C/N)、誘電率εが
1.59×10-8(F/m)とすると、圧電g定数
gh 、受波感度Mは、 gh =1.32×10-3 (Vm/N) M=−102 (dB re.V/Pa) となる。
【0004】図4は、図3と同様に厚み共振を利用した
円板形電気音響変換素子の断面図である。この円板形電
気音響変換素子は、図3とほぼ同様に、多孔質圧電磁器
31を有し、その両面には正電極32及び負電極33が
形成され、その正電極32及び負電極33に端子34,
35がそれぞれ接続されている。多孔質圧電磁器31
は、前記文献に記載されているような多孔質PZTで構
成されている。多孔質PZTの圧電d定数は、電極面と
平行な断面を考えた場合、PZTの占める面積は従来の
図3に比べ減少するが、その分PZTに応力の集中が起
こり、発生する電荷の量が従来の図3と同等であるた
め、PZTと同等の値を採用する。
円板形電気音響変換素子の断面図である。この円板形電
気音響変換素子は、図3とほぼ同様に、多孔質圧電磁器
31を有し、その両面には正電極32及び負電極33が
形成され、その正電極32及び負電極33に端子34,
35がそれぞれ接続されている。多孔質圧電磁器31
は、前記文献に記載されているような多孔質PZTで構
成されている。多孔質PZTの圧電d定数は、電極面と
平行な断面を考えた場合、PZTの占める面積は従来の
図3に比べ減少するが、その分PZTに応力の集中が起
こり、発生する電荷の量が従来の図3と同等であるた
め、PZTと同等の値を採用する。
【0005】tが6(mm)、d33が417×10-12
(C/N)、d31、d32が−198×10-12 (C/
N)、誘電率εが4.43×10-9(F/m)とする
と、圧電g定数gh 、受波感度Mは、 gh =4.74×10-3 (Vm/N) M=−91 (dB re.V/P
a) となる。
(C/N)、d31、d32が−198×10-12 (C/
N)、誘電率εが4.43×10-9(F/m)とする
と、圧電g定数gh 、受波感度Mは、 gh =4.74×10-3 (Vm/N) M=−91 (dB re.V/P
a) となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
電気音響変換素子では、次のような問題(i)〜(iii)
があり、それを解決することが困難であった。 (i) 図2の円筒形電気音響変換素子では、受波感度
が高い反面、内部に空気層を持つことから、耐水圧が低
く、深深度までは使用できないという問題がある。ま
た、耐水圧を持たせるために内部に油等を入れるバラン
ス方式もあるが、感度が低下したり、構造が複雑になる
等の問題がある。 (ii) 図3のブロック状の円板形圧電磁器21を用い
た電気音響変換素子は、高耐水圧であるが、共振周波数
以下の低周波で感度が低い。即ち、圧電磁器の圧電g定
数gh (=g33+g32+g31)は、g33に対してg31、
g32が異符号で、かつ絶対値が約1/2(1/2g33≒
|g31|≒|g32|)であることから、非常に小さな値
になるという問題がある。 (iii) 図4のブロック状の円板形多孔質圧電磁器31
を用いた電気音響変換素子は、高耐水圧で、従来の図3
の電気音響変換素子よりも感度がよいが、圧電g定数を
増大させるために誘電率を低下させているので、静電容
量が低下し、ケーブル容量による受波感度の低下、電気
インピーダンスの増大による電気回路での不都合等を生
じる問題がある。 本発明は、前記従来技術が持っていた課題として、高耐
水圧で、かつ低周波で高感度な電気音響変換素子を得る
ことが困難な点について解決した水中受波器の電気音響
変換素子を提供するものである。
電気音響変換素子では、次のような問題(i)〜(iii)
があり、それを解決することが困難であった。 (i) 図2の円筒形電気音響変換素子では、受波感度
が高い反面、内部に空気層を持つことから、耐水圧が低
く、深深度までは使用できないという問題がある。ま
た、耐水圧を持たせるために内部に油等を入れるバラン
ス方式もあるが、感度が低下したり、構造が複雑になる
等の問題がある。 (ii) 図3のブロック状の円板形圧電磁器21を用い
た電気音響変換素子は、高耐水圧であるが、共振周波数
以下の低周波で感度が低い。即ち、圧電磁器の圧電g定
数gh (=g33+g32+g31)は、g33に対してg31、
g32が異符号で、かつ絶対値が約1/2(1/2g33≒
|g31|≒|g32|)であることから、非常に小さな値
になるという問題がある。 (iii) 図4のブロック状の円板形多孔質圧電磁器31
を用いた電気音響変換素子は、高耐水圧で、従来の図3
の電気音響変換素子よりも感度がよいが、圧電g定数を
増大させるために誘電率を低下させているので、静電容
量が低下し、ケーブル容量による受波感度の低下、電気
インピーダンスの増大による電気回路での不都合等を生
じる問題がある。 本発明は、前記従来技術が持っていた課題として、高耐
水圧で、かつ低周波で高感度な電気音響変換素子を得る
ことが困難な点について解決した水中受波器の電気音響
変換素子を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、前記課題
を解決するために、音圧を電気信号に変換する水中受波
器の電気音響変換素子において、厚み方向に分極された
円板形の圧電磁器と、前記圧電磁器の両面に形成された
正電極及び負電極と、前記圧電磁器の周囲に設けられた
硬質の殻とを、備えている。第2の発明では、音圧を電
気信号に変換する水中受波器の電気音響変換素子におい
て、厚み方向に分極された円板形の多孔質圧電磁器と、
前記多孔質圧電磁器の両面に形成された正電極及び負電
極と、前記多孔質圧電磁器の周囲に設けられた硬質の殻
とを、備えている。
を解決するために、音圧を電気信号に変換する水中受波
器の電気音響変換素子において、厚み方向に分極された
円板形の圧電磁器と、前記圧電磁器の両面に形成された
正電極及び負電極と、前記圧電磁器の周囲に設けられた
硬質の殻とを、備えている。第2の発明では、音圧を電
気信号に変換する水中受波器の電気音響変換素子におい
て、厚み方向に分極された円板形の多孔質圧電磁器と、
前記多孔質圧電磁器の両面に形成された正電極及び負電
極と、前記多孔質圧電磁器の周囲に設けられた硬質の殻
とを、備えている。
【0008】第3の発明では、第1または第2の発明の
硬質の殻を、金属製または硬質樹脂製の円筒殻で構成し
ている。第4の発明では、音圧を電気信号に変換する水
中受波器の電気音響変換素子において、厚み方向に分極
された円板形の多孔質圧電磁器と、前記多孔質圧電磁器
の両面に形成された正電極及び負電極と、前記多孔質圧
電磁器の周囲に一体成型された磁器材料の殻とを、備え
ている。第5の発明では、第4の発明の磁器材料の殻
を、円筒殻で構成している。
硬質の殻を、金属製または硬質樹脂製の円筒殻で構成し
ている。第4の発明では、音圧を電気信号に変換する水
中受波器の電気音響変換素子において、厚み方向に分極
された円板形の多孔質圧電磁器と、前記多孔質圧電磁器
の両面に形成された正電極及び負電極と、前記多孔質圧
電磁器の周囲に一体成型された磁器材料の殻とを、備え
ている。第5の発明では、第4の発明の磁器材料の殻
を、円筒殻で構成している。
【0009】
【作用】第1の発明によれば、以上のように電気音響変
換素子を構成したので、円板形圧電磁器の周囲に設けら
れた硬質の殻は、該圧電磁器の電極面方向に加わる応力
を低減させ、静水圧モードでの圧電g定数を増大させる
働きがある。第2の発明によれば、円板形の多孔質圧電
磁器の周囲に設けられた硬質の殻は、該多孔質圧電磁器
の電極面方向に加わる応力を低減させ、静水圧モードで
の圧電g定数を増加させる働きがある。この圧電g定数
を増加させる働きにより、厚さを薄くすることが可能と
なって静電容量の増加も図れる。第3の発明によれば、
金属製または硬質樹脂製の円筒殻は、第1及び第2の発
明と同様に、圧電磁器の電極面方向に加わる応力を低減
させる働きがある。
換素子を構成したので、円板形圧電磁器の周囲に設けら
れた硬質の殻は、該圧電磁器の電極面方向に加わる応力
を低減させ、静水圧モードでの圧電g定数を増大させる
働きがある。第2の発明によれば、円板形の多孔質圧電
磁器の周囲に設けられた硬質の殻は、該多孔質圧電磁器
の電極面方向に加わる応力を低減させ、静水圧モードで
の圧電g定数を増加させる働きがある。この圧電g定数
を増加させる働きにより、厚さを薄くすることが可能と
なって静電容量の増加も図れる。第3の発明によれば、
金属製または硬質樹脂製の円筒殻は、第1及び第2の発
明と同様に、圧電磁器の電極面方向に加わる応力を低減
させる働きがある。
【0010】第4の発明によれば、円板形の多孔質圧電
磁器の周囲に一体成型された磁器材料の殻は、第2の発
明とほぼ同様に、多孔質圧電磁器の電極面方向に加わる
応力を低減させ、静水圧モードでの圧電g定数を増加さ
せ、さらに静電容量を増加させる働きがある。また、一
体成型された殻は、その中の多孔質圧電磁器との間の剥
離や、音圧の漏れ込みによる圧電g定数の低下を抑制す
る働きがある。第5の発明によれば、円筒殻は、第4の
発明とほぼ同様に、多孔質圧電磁器の電極面方向に加わ
る応力を低減させ、静水圧モードでの圧電g定数を増加
させて静電容量を増加させる働きがあると共に、多孔質
圧電磁器との間の剥離や音波の漏れ込み等を抑制する働
きがある。従って、前記課題を解決できるのである。
磁器の周囲に一体成型された磁器材料の殻は、第2の発
明とほぼ同様に、多孔質圧電磁器の電極面方向に加わる
応力を低減させ、静水圧モードでの圧電g定数を増加さ
せ、さらに静電容量を増加させる働きがある。また、一
体成型された殻は、その中の多孔質圧電磁器との間の剥
離や、音圧の漏れ込みによる圧電g定数の低下を抑制す
る働きがある。第5の発明によれば、円筒殻は、第4の
発明とほぼ同様に、多孔質圧電磁器の電極面方向に加わ
る応力を低減させ、静水圧モードでの圧電g定数を増加
させて静電容量を増加させる働きがあると共に、多孔質
圧電磁器との間の剥離や音波の漏れ込み等を抑制する働
きがある。従って、前記課題を解決できるのである。
【0011】
【実施例】第1の実施例 図1は、本発明の第1の実施例を示す円板形電気音響変
換素子の断面図である。この円板形電気音響変換素子
は、厚さt、及び半径ra の円板形の圧電磁器41を有
している。この圧電磁器41は、その厚み方向に分極さ
れ、その両面に正電極43及び負電極44が形成され、
その正電極43及び負電極44が端子45,46にそれ
ぞれ接続されている。円板形の圧電磁器41の周囲に
は、厚さt、内半径ra 、及び外半径rb からなる金属
の円筒殻42が設けられている。
換素子の断面図である。この円板形電気音響変換素子
は、厚さt、及び半径ra の円板形の圧電磁器41を有
している。この圧電磁器41は、その厚み方向に分極さ
れ、その両面に正電極43及び負電極44が形成され、
その正電極43及び負電極44が端子45,46にそれ
ぞれ接続されている。円板形の圧電磁器41の周囲に
は、厚さt、内半径ra 、及び外半径rb からなる金属
の円筒殻42が設けられている。
【0012】次に、動作を説明する。図1の円板形電気
音響変換素子は、該変換素子の寸法より十分長い波長で
ある低周波に対しては静水圧的な音圧を受ける。この音
圧(静水圧)をPa とすると、電気音響変換素子の全表
面に音圧Pa が加わる。圧電磁器41の厚み方向には音
圧Pa により応力Pa が加わるが、該圧電磁器41の電
極面方向には、円周に設けた金属の円筒殻42によって
音圧Pa が制動を受け、応力Pb (<Pa )が加わるこ
ととなる。圧電磁器41のヤング率、ポアソン比を
Ea 、νa 、金属のヤング率、ポアソン比をEb 、νb
とすると、Pb は
音響変換素子は、該変換素子の寸法より十分長い波長で
ある低周波に対しては静水圧的な音圧を受ける。この音
圧(静水圧)をPa とすると、電気音響変換素子の全表
面に音圧Pa が加わる。圧電磁器41の厚み方向には音
圧Pa により応力Pa が加わるが、該圧電磁器41の電
極面方向には、円周に設けた金属の円筒殻42によって
音圧Pa が制動を受け、応力Pb (<Pa )が加わるこ
ととなる。圧電磁器41のヤング率、ポアソン比を
Ea 、νa 、金属のヤング率、ポアソン比をEb 、νb
とすると、Pb は
【数1】 となる。よって、電気音響変換素子の圧電d定数dh 、
圧電g定数gh 、受波感度Mは、圧電磁器41の分極方
向の圧電d定数をd33、分極と直角方向の圧電d定数を
d31、d32、誘電率をεとすると、 dh =(Pa ・d33+Pb ・d32+Pb ・d31)/|Pa | (C/N) gh =dh /ε (Vm/N) M=20×log(|gh |・t) (dB re.V/Pa) =20×log(gh ・t)−120 (dB re.V/μPa) となる。ここで、電圧磁器41にPZT、金属の円筒殻
42に軟鉄を用いたとし、Ea =6.10×1010(N
/m2 )、Eb =21.14×1010(N/m2)、ν
a =νb =0.3、ra =12(mm)、rb =15
(mm)、Pa =1.0(N/m2 )、ε=1.59×
10-8(F/m)、d33=417×10-12 (C/
N)、d31=d32=−198×10-12 (C/N)、t
=6(mm)とすると、 Pb =8.64×10-1 (N/m2 ) dh =7.46×10-11 (C/N) gh =4.68×10-3 (Vm/N) M=−91 (dB re.V/P
a) =−211 (dB re.V/μP
a) となる。
圧電g定数gh 、受波感度Mは、圧電磁器41の分極方
向の圧電d定数をd33、分極と直角方向の圧電d定数を
d31、d32、誘電率をεとすると、 dh =(Pa ・d33+Pb ・d32+Pb ・d31)/|Pa | (C/N) gh =dh /ε (Vm/N) M=20×log(|gh |・t) (dB re.V/Pa) =20×log(gh ・t)−120 (dB re.V/μPa) となる。ここで、電圧磁器41にPZT、金属の円筒殻
42に軟鉄を用いたとし、Ea =6.10×1010(N
/m2 )、Eb =21.14×1010(N/m2)、ν
a =νb =0.3、ra =12(mm)、rb =15
(mm)、Pa =1.0(N/m2 )、ε=1.59×
10-8(F/m)、d33=417×10-12 (C/
N)、d31=d32=−198×10-12 (C/N)、t
=6(mm)とすると、 Pb =8.64×10-1 (N/m2 ) dh =7.46×10-11 (C/N) gh =4.68×10-3 (Vm/N) M=−91 (dB re.V/P
a) =−211 (dB re.V/μP
a) となる。
【0013】この第1の実施例では、次のような利点を
有している。 (i) 同一外径及び同一厚さの従来の図3の円板形電
気音響変換素子と比較すると、圧電g定数gh からわか
るように、本実施例の円板形電気音響変換素子が従来の
図3のものよりも圧電g定数で3.5倍程度優れたもの
となる。 (ii) 本実施例の電気音響変換素子は、従来の図3の
ものに比べ、同一外径ならば、電極面積が小さくなるこ
とから、静電容量が低下する懸念がある。しかし、従来
の図3のものと同一感度になるように、本実施例の電気
音響変換素子の厚さtを薄くすると、受波感度が厚さt
に比例することから、t=1.7(mm)となり、半径
12(mm)、ε=1.59×10-8(F/m)である
ことから、静電容量は4230(pF)となる。従来の
図3の円板形電気音響変換素子は半径15(mm)、厚
さ6(mm)、ε=1.59×10-8(F/m)である
から、静電容量が1880(pF)となる。従って、本
実施例による電気音響変換素子が、同一感度及び同一外
径であるならば、2.3倍だけ静電容量が増大している
ことがわかる。
有している。 (i) 同一外径及び同一厚さの従来の図3の円板形電
気音響変換素子と比較すると、圧電g定数gh からわか
るように、本実施例の円板形電気音響変換素子が従来の
図3のものよりも圧電g定数で3.5倍程度優れたもの
となる。 (ii) 本実施例の電気音響変換素子は、従来の図3の
ものに比べ、同一外径ならば、電極面積が小さくなるこ
とから、静電容量が低下する懸念がある。しかし、従来
の図3のものと同一感度になるように、本実施例の電気
音響変換素子の厚さtを薄くすると、受波感度が厚さt
に比例することから、t=1.7(mm)となり、半径
12(mm)、ε=1.59×10-8(F/m)である
ことから、静電容量は4230(pF)となる。従来の
図3の円板形電気音響変換素子は半径15(mm)、厚
さ6(mm)、ε=1.59×10-8(F/m)である
から、静電容量が1880(pF)となる。従って、本
実施例による電気音響変換素子が、同一感度及び同一外
径であるならば、2.3倍だけ静電容量が増大している
ことがわかる。
【0014】以上のように、本実施例の円板形電気音響
変換素子では、従来の図3のものに比べ、圧電磁器41
の電極面方向に加わる応力を低減させることができるた
め、従来の図3のものよりも、静水圧モードでの圧電g
定数gh を増加させることができる。さらに、図2の円
筒形電気音響変換素子と比較した場合、内部に空気層や
バランス構造を必要としないことから、単純な構造で、
高耐水圧の変換器が実現できる。なお、図1に示す金属
の円筒殻42に代えて、硬質樹脂の円筒殻を設けたり、
あるいは円筒殻以外の殻を設けても、前記とほぼ同様の
効果が得られる。
変換素子では、従来の図3のものに比べ、圧電磁器41
の電極面方向に加わる応力を低減させることができるた
め、従来の図3のものよりも、静水圧モードでの圧電g
定数gh を増加させることができる。さらに、図2の円
筒形電気音響変換素子と比較した場合、内部に空気層や
バランス構造を必要としないことから、単純な構造で、
高耐水圧の変換器が実現できる。なお、図1に示す金属
の円筒殻42に代えて、硬質樹脂の円筒殻を設けたり、
あるいは円筒殻以外の殻を設けても、前記とほぼ同様の
効果が得られる。
【0015】第2の実施例 図5は、本発明の第2の実施例を示す円板形電気音響変
換素子の断面図である。この円板形電気音響変換素子
は、厚さt、及び半径ra の円板形の多孔質圧電磁器5
1を有している。この多孔質圧電磁器51は、その厚み
方向に分極されており、その両面に正電極53及び負電
極54が形成され、それらの正電極53及び負電極54
に端子55,56がそれぞれ接続されている。多孔質圧
電磁器51の周囲には、厚さt、内半径ra 、及び外半
径rb の金属の円筒殻52が設けられている。
換素子の断面図である。この円板形電気音響変換素子
は、厚さt、及び半径ra の円板形の多孔質圧電磁器5
1を有している。この多孔質圧電磁器51は、その厚み
方向に分極されており、その両面に正電極53及び負電
極54が形成され、それらの正電極53及び負電極54
に端子55,56がそれぞれ接続されている。多孔質圧
電磁器51の周囲には、厚さt、内半径ra 、及び外半
径rb の金属の円筒殻52が設けられている。
【0016】この円板形電気音響変換素子の動作は、第
1の実施例とほぼ同様である。即ち、多孔質圧電磁器5
1に多孔質PZT、金属の円筒殻52に軟鉄を用いたと
し、多孔質PZTの分極方向の圧電d定数をd33、分極
と直角方向の圧電d定数をd31、d32、誘電率をεとす
ると、電気音響変換素子の多孔質PZT一金属間の応力
Pb 、圧電d定数dh 、圧電g定数gh 、受波感度M
は、Ea =1.75×1010(N/m2 )、Eb =2
1.14×1010(N/m2 )、νa =νb =0.3、
ra =13(mm)、rb =15(mm)、Pa =1.
0(N/m2 )、ε=4.43×10-9(F/m)、d
33=417×10-12 (C/N)、d31=d32=−19
8×10-12 (C/N)、t=6(mm)であるから、 Pb =7.20×10-1 (N/m2 ) dh =1.32×10-10 (C/N) gh =2.98×10-2 (Vm/N) M=−75 (dB re.V/P
a) となる。
1の実施例とほぼ同様である。即ち、多孔質圧電磁器5
1に多孔質PZT、金属の円筒殻52に軟鉄を用いたと
し、多孔質PZTの分極方向の圧電d定数をd33、分極
と直角方向の圧電d定数をd31、d32、誘電率をεとす
ると、電気音響変換素子の多孔質PZT一金属間の応力
Pb 、圧電d定数dh 、圧電g定数gh 、受波感度M
は、Ea =1.75×1010(N/m2 )、Eb =2
1.14×1010(N/m2 )、νa =νb =0.3、
ra =13(mm)、rb =15(mm)、Pa =1.
0(N/m2 )、ε=4.43×10-9(F/m)、d
33=417×10-12 (C/N)、d31=d32=−19
8×10-12 (C/N)、t=6(mm)であるから、 Pb =7.20×10-1 (N/m2 ) dh =1.32×10-10 (C/N) gh =2.98×10-2 (Vm/N) M=−75 (dB re.V/P
a) となる。
【0017】この第2の実施例では、次のような利点を
有している。 (a) 従来の図3と同一の外径・厚さの本実施例によ
る円板形電気音響変換素子と、従来の図3のものとを比
較すると、圧電g定数gh で、本実施例の電気音響変換
素子が22.6倍だけ優れたものとなるが、本実施例の
電気音響変換素子は使用する多孔質PZTの誘電率がP
ZTに比べて小さいため、静電容量が低下する。しか
し、本実施例の電気音響変換素子の厚さtを従来の図3
の電気音響変換素子と同一外径で、同一容量となるよう
薄くした場合、厚さtは1.3(mm)となり、受波感
度が−88(dB re.V/Pa)となる。そのた
め、従来の図3の電気音響変換素子に比べ、受波感度が
5倍増大している。 (b) 従来の図4と同一の外径・厚さの本実施例によ
る電気音響変換素子と、従来の図4のものとを比較する
と、圧電g定数gh で、本実施例の電気音響変換素子が
6.3倍だけ優れたものとなるが、本実施例の電気音響
変換素子は同一外径ならば、円周に設けた金属の円筒殻
52により、電極面積が小さくなることから、静電容量
が低下する。しかし、本実施例の電気音響変換素子の厚
さtを、従来の図4の電気音響変換素子と同一外径で、
同一感度となるよう薄くした場合、厚さtは0.9(m
m)となり、静電容量は2612(pF)となる。従来
の図4の静電容量は、t=6(mm)、半径15(m
m)、ε=4.43×10-9(F/m)だから、522
(pF)となり、本実施例の静電容量が5倍増大してい
る。
有している。 (a) 従来の図3と同一の外径・厚さの本実施例によ
る円板形電気音響変換素子と、従来の図3のものとを比
較すると、圧電g定数gh で、本実施例の電気音響変換
素子が22.6倍だけ優れたものとなるが、本実施例の
電気音響変換素子は使用する多孔質PZTの誘電率がP
ZTに比べて小さいため、静電容量が低下する。しか
し、本実施例の電気音響変換素子の厚さtを従来の図3
の電気音響変換素子と同一外径で、同一容量となるよう
薄くした場合、厚さtは1.3(mm)となり、受波感
度が−88(dB re.V/Pa)となる。そのた
め、従来の図3の電気音響変換素子に比べ、受波感度が
5倍増大している。 (b) 従来の図4と同一の外径・厚さの本実施例によ
る電気音響変換素子と、従来の図4のものとを比較する
と、圧電g定数gh で、本実施例の電気音響変換素子が
6.3倍だけ優れたものとなるが、本実施例の電気音響
変換素子は同一外径ならば、円周に設けた金属の円筒殻
52により、電極面積が小さくなることから、静電容量
が低下する。しかし、本実施例の電気音響変換素子の厚
さtを、従来の図4の電気音響変換素子と同一外径で、
同一感度となるよう薄くした場合、厚さtは0.9(m
m)となり、静電容量は2612(pF)となる。従来
の図4の静電容量は、t=6(mm)、半径15(m
m)、ε=4.43×10-9(F/m)だから、522
(pF)となり、本実施例の静電容量が5倍増大してい
る。
【0018】以上のように、本実施例の円板形電気音響
変換素子では、金属の円筒殻52により、多孔質の圧電
磁器(例えば、多孔質PZT)51の電極面方向に加わ
る応力を低減させることができ、従来の図3や図4の電
気音響変換素子よりも静水圧モードでの圧電g定数gh
を増加させることができる。また、圧電g定数gh が増
加するため、厚さを薄くすることが可能となり、静電容
量の増加も達成できる。さらに、従来の図2の円筒形電
気音響変換素子と比較して、内部に空気層やバランス構
造を必要としないことから、単純な構造で、高耐水圧の
電気音響変換素子が達成できる。なお、図5に示す金属
の円筒殻52に代えて、硬質樹脂の円筒殻を設けたり、
あるいは円筒殻以外の殻を設けても、前記とほぼ同様の
効果が得られる。
変換素子では、金属の円筒殻52により、多孔質の圧電
磁器(例えば、多孔質PZT)51の電極面方向に加わ
る応力を低減させることができ、従来の図3や図4の電
気音響変換素子よりも静水圧モードでの圧電g定数gh
を増加させることができる。また、圧電g定数gh が増
加するため、厚さを薄くすることが可能となり、静電容
量の増加も達成できる。さらに、従来の図2の円筒形電
気音響変換素子と比較して、内部に空気層やバランス構
造を必要としないことから、単純な構造で、高耐水圧の
電気音響変換素子が達成できる。なお、図5に示す金属
の円筒殻52に代えて、硬質樹脂の円筒殻を設けたり、
あるいは円筒殻以外の殻を設けても、前記とほぼ同様の
効果が得られる。
【0019】第3の実施例 図6は、本発明の第3の実施例を示す円板形電気音響変
換素子の断面図である。この円板形電気音響変換素子
は、厚さt、及び半径ra の円板形の多孔質圧電磁器6
1を有している。この多孔質圧電磁器61は、例えば多
孔質PZTで構成され、その厚み方向に分極されてお
り、さらにその両面に正電極63及び負電極64が形成
され、それらの正電極63及び負電極64に端子65,
66が接続されている。多孔質圧電磁器61の周囲に
は、磁器材料(例えば、PZT)からなる円筒殻62が
一体成型されている。この円筒殻62は、厚さt、内半
径ra 、及び外半径rb の大きさを成し、例えば、多孔
質PZTよりもヤング率の大きなPZTで形成されてい
る。
換素子の断面図である。この円板形電気音響変換素子
は、厚さt、及び半径ra の円板形の多孔質圧電磁器6
1を有している。この多孔質圧電磁器61は、例えば多
孔質PZTで構成され、その厚み方向に分極されてお
り、さらにその両面に正電極63及び負電極64が形成
され、それらの正電極63及び負電極64に端子65,
66が接続されている。多孔質圧電磁器61の周囲に
は、磁器材料(例えば、PZT)からなる円筒殻62が
一体成型されている。この円筒殻62は、厚さt、内半
径ra 、及び外半径rb の大きさを成し、例えば、多孔
質PZTよりもヤング率の大きなPZTで形成されてい
る。
【0020】この実施例の動作は、第1の実施例を示す
図1とほぼ同様である。即ち、Ea=1.75×1010
(N/m2 )、Eb =6.10×1010(N/m2 )、
νa =νb =0.3、ra =12(mm)、rb =15
(mm)、Pa =1.0(N/m2 )、多孔質PZTの
誘電率ε=4.43×10-9(F/m)、多孔質PZT
の圧電d定数d33=417×10-12 (C/N)、d31
=d32=−198×10-12 (C/N)、t=6(m
m)とすると、 Pb =8.64×10-1 (N/m2 ) dh =7.50×10-11 (C/N) gh =1.69×10-2 (Vm/N) M=−80 (dB re.V/P
a) となる。
図1とほぼ同様である。即ち、Ea=1.75×1010
(N/m2 )、Eb =6.10×1010(N/m2 )、
νa =νb =0.3、ra =12(mm)、rb =15
(mm)、Pa =1.0(N/m2 )、多孔質PZTの
誘電率ε=4.43×10-9(F/m)、多孔質PZT
の圧電d定数d33=417×10-12 (C/N)、d31
=d32=−198×10-12 (C/N)、t=6(m
m)とすると、 Pb =8.64×10-1 (N/m2 ) dh =7.50×10-11 (C/N) gh =1.69×10-2 (Vm/N) M=−80 (dB re.V/P
a) となる。
【0021】この第3の実施例では、次のような利点
(1)〜(5)を有している。 (1) 従来の図2の円筒形電気音響変換素子と比較し
て、内部に空気層やバランス構造を必要としないことか
ら、単純な構造で、高耐水圧の電気音響変換素子が実現
できる。 (2) 従来の図3と同一外径・同一厚さの本実施例に
よる電気音響変換素子と、従来の図3の電気音響変換素
子とを比較すると、圧電g定数gh で本実施例の電気音
響変換素子が12.8倍優れたものとなる。しかし、多
孔質PZTの誘電率がPZTに比べ小さいため、本実施
例の静電容量が低下するが、本実施例の電気音響変換素
子の厚さtを、従来の図3の電気音響変換素子と同一外
径で、同一容量となるよう薄くした場合、厚さtは1.
1(mm)となり、この場合の受波感度が−95(dB
re.V/Pa)となる。よって、同一外径・同一容
量ならば、従来の図3の電気音響変換素子に比べ、受波
感度が2.4倍増大する。 (3) 従来の図4と同一外径・同一厚さの本実施例に
よる電気音響変換素子と、従来の図4の電気音響変換素
子とを比較すると、圧電g定数gh で、本実施例の電気
音響変換素子が3.6倍優れたものとなる。しかし、本
実施例の電気音響変換素子は、同一外径ならば円周の円
筒殻62によって電極面積が小さくなることから、静電
容量が低下するが、本実施例の電気音響変換素子の厚さ
tを、従来の図4の電気音響変換素子と同一外径で、同
一感度となるよう薄くした場合、厚さtは1.7(m
m)となり、静電容量が1178(pF)となる。従来
の図4の静電容量は、t=6(mm)、半径15(m
m)、ε=4.43×10-9(F/m)だから、522
(pF)となり、本実施例の静電容量が2.3倍増大す
る。
(1)〜(5)を有している。 (1) 従来の図2の円筒形電気音響変換素子と比較し
て、内部に空気層やバランス構造を必要としないことか
ら、単純な構造で、高耐水圧の電気音響変換素子が実現
できる。 (2) 従来の図3と同一外径・同一厚さの本実施例に
よる電気音響変換素子と、従来の図3の電気音響変換素
子とを比較すると、圧電g定数gh で本実施例の電気音
響変換素子が12.8倍優れたものとなる。しかし、多
孔質PZTの誘電率がPZTに比べ小さいため、本実施
例の静電容量が低下するが、本実施例の電気音響変換素
子の厚さtを、従来の図3の電気音響変換素子と同一外
径で、同一容量となるよう薄くした場合、厚さtは1.
1(mm)となり、この場合の受波感度が−95(dB
re.V/Pa)となる。よって、同一外径・同一容
量ならば、従来の図3の電気音響変換素子に比べ、受波
感度が2.4倍増大する。 (3) 従来の図4と同一外径・同一厚さの本実施例に
よる電気音響変換素子と、従来の図4の電気音響変換素
子とを比較すると、圧電g定数gh で、本実施例の電気
音響変換素子が3.6倍優れたものとなる。しかし、本
実施例の電気音響変換素子は、同一外径ならば円周の円
筒殻62によって電極面積が小さくなることから、静電
容量が低下するが、本実施例の電気音響変換素子の厚さ
tを、従来の図4の電気音響変換素子と同一外径で、同
一感度となるよう薄くした場合、厚さtは1.7(m
m)となり、静電容量が1178(pF)となる。従来
の図4の静電容量は、t=6(mm)、半径15(m
m)、ε=4.43×10-9(F/m)だから、522
(pF)となり、本実施例の静電容量が2.3倍増大す
る。
【0022】(4) 第1の実施例を示す図1と同一外
径・同一厚さの本実施例による電気音響変換素子と、図
1の電気音響変換素子とを比較すると、圧電g定数gh
で、本実施例の電気音響変換素子が3.6倍優れたもの
となる。また、図1では、圧電磁器41と金属の円筒殻
42との間を接着剤で接着した場合、例えばその接着剤
が軟化して剥離したり、あるいは該接着剤が軟らかいた
め音圧が漏れ込んで圧電g定数gh が低下する等のおそ
れがある。これに対して本実施例の電気音響変換素子は
一体成型していることから、図1のような圧電磁器41
と金属の円筒殻42との間の剥離や、音波の漏れ込みに
よる圧電g定数gh の低下のおそれを的確に防止でき
る。 (5) 第2の実施例を示す図5と同一外径・同一厚さ
の本実施例による電気音響変換素子と、図5の電気音響
変換素子とを比較すると、本実施例の電気音響変換素子
の圧電g定数gh は図5の圧電g定数gh の3/5程度
のものとなる。しかし、本実施例の電気音響変換素子は
一体成型していることから、図5の多孔質圧電磁器51
と金属の円筒殻52との間の剥離や、音波の漏れ込みに
よる圧電g定数gh の低下を的確に防止できる。なお、
図6において、円筒殻62は、該円筒殻以外の磁器材料
の殻で構成しても、前記と同様の効果が得られる。
径・同一厚さの本実施例による電気音響変換素子と、図
1の電気音響変換素子とを比較すると、圧電g定数gh
で、本実施例の電気音響変換素子が3.6倍優れたもの
となる。また、図1では、圧電磁器41と金属の円筒殻
42との間を接着剤で接着した場合、例えばその接着剤
が軟化して剥離したり、あるいは該接着剤が軟らかいた
め音圧が漏れ込んで圧電g定数gh が低下する等のおそ
れがある。これに対して本実施例の電気音響変換素子は
一体成型していることから、図1のような圧電磁器41
と金属の円筒殻42との間の剥離や、音波の漏れ込みに
よる圧電g定数gh の低下のおそれを的確に防止でき
る。 (5) 第2の実施例を示す図5と同一外径・同一厚さ
の本実施例による電気音響変換素子と、図5の電気音響
変換素子とを比較すると、本実施例の電気音響変換素子
の圧電g定数gh は図5の圧電g定数gh の3/5程度
のものとなる。しかし、本実施例の電気音響変換素子は
一体成型していることから、図5の多孔質圧電磁器51
と金属の円筒殻52との間の剥離や、音波の漏れ込みに
よる圧電g定数gh の低下を的確に防止できる。なお、
図6において、円筒殻62は、該円筒殻以外の磁器材料
の殻で構成しても、前記と同様の効果が得られる。
【0023】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、第1の発明
によれば、円板形の圧電磁器の周囲に硬質の殻を設けた
ので、圧電磁器の電極面方向に加わる応力を該硬質の殻
で低減させることができる。そのため、従来の円板形圧
電磁器のみの電気音響変換素子よりも、静水圧モードで
の圧電g定数を増加させることができる。さらに、従来
の円筒形電気音響変換素子と比較して、内部に空気層や
バランス構造を必要としないことから、単純な構造で、
高耐水圧の電気音響変換素子が実現できる。第2の発明
によれば、円板形の多孔質圧電磁器の周囲に硬質の殻を
設けたので、該硬質の殻により、第1の発明とほぼ同様
に、多孔質圧電磁器の電極面方向に加わる応力を低減さ
せることができ、従来の円板形圧電磁器からなる電気音
響変換素子よりも静水圧モードでの圧電g定数を増加さ
せることができる。しかも、圧電g定数が増加するた
め、厚さを薄くすることが可能となり、静電容量の増加
も達成できる。また、第1の発明と同様に、従来の円筒
形電気音響変換素子と比較して、内部に空気層やバラン
ス構造を必要としないことから、単純な構造で、高耐水
圧の電気音響変換素子が達成できる。
によれば、円板形の圧電磁器の周囲に硬質の殻を設けた
ので、圧電磁器の電極面方向に加わる応力を該硬質の殻
で低減させることができる。そのため、従来の円板形圧
電磁器のみの電気音響変換素子よりも、静水圧モードで
の圧電g定数を増加させることができる。さらに、従来
の円筒形電気音響変換素子と比較して、内部に空気層や
バランス構造を必要としないことから、単純な構造で、
高耐水圧の電気音響変換素子が実現できる。第2の発明
によれば、円板形の多孔質圧電磁器の周囲に硬質の殻を
設けたので、該硬質の殻により、第1の発明とほぼ同様
に、多孔質圧電磁器の電極面方向に加わる応力を低減さ
せることができ、従来の円板形圧電磁器からなる電気音
響変換素子よりも静水圧モードでの圧電g定数を増加さ
せることができる。しかも、圧電g定数が増加するた
め、厚さを薄くすることが可能となり、静電容量の増加
も達成できる。また、第1の発明と同様に、従来の円筒
形電気音響変換素子と比較して、内部に空気層やバラン
ス構造を必要としないことから、単純な構造で、高耐水
圧の電気音響変換素子が達成できる。
【0024】第3の発明によれば、硬質の殻を、金属製
または硬質樹脂製の円筒殻で構成したので、第1及び第
2の発明とほぼ同様の効果が得られる。第4の発明によ
れば、円板形の多孔質圧電磁器の周囲に、磁器材料の殻
を一体成型したので、第1及び第2の発明とほぼ同様
に、高耐水圧で、感度がよく、さらに圧電g定数が大幅
に増大することから、厚さを薄くすることが可能とな
り、静電容量の増加も達成できる。さらに、第1の発明
と比較すると、圧電g定数で本発明の方が数倍優れてい
る。しかも、本発明の電気音響変換素子は一体成型のた
め、多孔質圧電磁器とその周囲の殻との間の剥離や、音
圧の漏れ込みによる圧電g定数の低下等といった不都合
を的確に防止できる。また、第2の発明と比較すると、
本発明による圧電g定数は第2の発明の圧電g定数より
も小さくなるが、本発明の電気音響変換素子は一体成型
していることから、多孔質圧電磁器とその周囲の殻との
間の剥離や、音圧の漏れ込みによる圧電g定数の低下等
といった不都合を的確に防止できる。第5の発明によれ
ば、磁器材料の殻を円筒殻で構成したので、第4の発明
とほぼ同様の効果が得られる。
または硬質樹脂製の円筒殻で構成したので、第1及び第
2の発明とほぼ同様の効果が得られる。第4の発明によ
れば、円板形の多孔質圧電磁器の周囲に、磁器材料の殻
を一体成型したので、第1及び第2の発明とほぼ同様
に、高耐水圧で、感度がよく、さらに圧電g定数が大幅
に増大することから、厚さを薄くすることが可能とな
り、静電容量の増加も達成できる。さらに、第1の発明
と比較すると、圧電g定数で本発明の方が数倍優れてい
る。しかも、本発明の電気音響変換素子は一体成型のた
め、多孔質圧電磁器とその周囲の殻との間の剥離や、音
圧の漏れ込みによる圧電g定数の低下等といった不都合
を的確に防止できる。また、第2の発明と比較すると、
本発明による圧電g定数は第2の発明の圧電g定数より
も小さくなるが、本発明の電気音響変換素子は一体成型
していることから、多孔質圧電磁器とその周囲の殻との
間の剥離や、音圧の漏れ込みによる圧電g定数の低下等
といった不都合を的確に防止できる。第5の発明によれ
ば、磁器材料の殻を円筒殻で構成したので、第4の発明
とほぼ同様の効果が得られる。
【図1】本発明の第1の実施例を示す円板形電気音響変
換素子の断面図である。
換素子の断面図である。
【図2】従来の円筒形電気音響変換素子の斜視図であ
る。
る。
【図3】従来の円板形電気音響変換素子の断面図であ
る。
る。
【図4】従来の円板形電気音響変換素子の断面図であ
る。
る。
【図5】本発明の第2の実施例を示す円板形電気音響変
換素子の断面図である。
換素子の断面図である。
【図6】本発明の第3の実施例を示す円板形電気音響変
換素子の断面図である。
換素子の断面図である。
41 圧電磁器 42,52,62 円筒殻 43,53,63 正電極 44,54,64 負電極 51,61 多孔質圧電磁器
Claims (5)
- 【請求項1】 音圧を電気信号に変換する水中受波器の
電気音響変換素子において、 厚み方向に分極された円板形の圧電磁器と、 前記圧電磁器の両面に形成された正電極及び負電極と、 前記圧電磁器の周囲に設けられた硬質の殻とを、 備えたことを特徴とする電気音響変換素子。 - 【請求項2】 音圧を電気信号に変換する水中受波器の
電気音響変換素子において、 厚み方向に分極された円板形の多孔質圧電磁器と、 前記多孔質圧電磁器の両面に形成された正電極及び負電
極と、 前記多孔質圧電磁器の周囲に設けられた硬質の殻とを、 備えたことを特徴とする電気音響変換素子。 - 【請求項3】 前記硬質の殻は、金属製または硬質樹脂
製の円筒殻であることを特徴とする請求項1または2記
載の電気音響変換素子。 - 【請求項4】 音圧を電気信号に変換する水中受波器の
電気音響変換素子において、 厚み方向に分極された円板形の多孔質圧電磁器と、 前記多孔質圧電磁器の両面に形成された正電極及び負電
極と、 前記多孔質圧電磁器の周囲に一体成型された磁器材料の
殻とを、 備えたことを特徴とする電気音響変換素子。 - 【請求項5】 前記磁器材料の殻は、円筒殻であること
を特徴とする請求項4記載の電気音響変換素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17121492A JPH0614385A (ja) | 1992-06-29 | 1992-06-29 | 電気音響変換素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17121492A JPH0614385A (ja) | 1992-06-29 | 1992-06-29 | 電気音響変換素子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0614385A true JPH0614385A (ja) | 1994-01-21 |
Family
ID=15919156
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17121492A Pending JPH0614385A (ja) | 1992-06-29 | 1992-06-29 | 電気音響変換素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0614385A (ja) |
-
1992
- 1992-06-29 JP JP17121492A patent/JPH0614385A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20000208 |